【実施例】
【0044】
本発明を実施例(例1〜13、19〜21)、比較例(例14〜18)により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0045】
[例1]
100mLガラス製重合アンプルに、C
4F
9CH
2CH
2OCOCH=CH
2(ホモポリマの微結晶の融点なし。以下C4FAと記す。)の8.1g、ステアリルアクリレート(ホモポリマの微結晶の融点42℃。以下STAと記す。)の12.3g、ヒドロキシエチルアクリレート(以下HEAと記す)の0.4g、ポリオキシアルキレングリコールモノメタクリレート(ポリオキシアルキレン部分はプロピレンオキサイドの3モル、エチレンオキサイドの7モルが付加した構造である。以下PAGMと記す。)の0.3g、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(以下PEOPと記す。)の1.7g、ステアリルトリエチルアンモニウムクロリド(以下STEAと記す。)の0.4g、水の26.2g、アセトンの10.5g、分子量調整剤であるステアリルメルカプタン(以下STMと記す。)の0.1g、開始剤である2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)2塩酸塩(以下ABMAと記す。)の0.04gを入れた。
【0046】
そして、窒素置換を行い、55℃で12時間重合反応を行ったところ、固形分濃度38.1%のエマルションを得た。得られたエマルションをメタノールで2回洗浄した後、30℃にて一晩真空乾燥させてポリマを得た。得られたポリマの微結晶の融点は37.2℃であった。
【0047】
[例2]
100mLガラス製重合アンプルに、C4FAの4.1g、ベヘニルアクリレート(ホモポリマの微結晶の融点57℃)の16.2g、HEAの0.4g、PAGMの0.3g、エチレングリコールジメタクリレートの0.1g、PEOPの1.7g、STEAの0.4g、水の26.2g、アセトンの10.5g、STMの0.1g、ABMAの0.04gを入れた。
【0048】
そして、窒素置換を行い、60℃で12時間重合反応を行ったところ、固形分濃度38.8%のエマルションを得た。得られたエマルションをメタノールで2回洗浄した後、30℃にて一晩真空乾燥させてポリマを得た。得られたポリマの微結晶の融点は55.2℃であった。
【0049】
[例3]
100mLガラス製重合アンプルに、C4FAの4.1g、セチルアクリレートの16.2g、HEAの0.4g、PAGMの0.3g、PEOPの1.7g、STEAの0.4g、水の26.2g、アセトンの10.5g、STMの0.1g、ABMAの0.04gを入れた。
【0050】
そして、窒素置換を行い、55℃で12時間重合反応を行ったところ、固形分濃度37.4%のエマルションを得た。得られたエマルションをメタノールで2回洗浄した後、30℃にて一晩真空乾燥させてポリマを得た。得られたポリマの微結晶の融点は27.3℃であった。
【0051】
[例4]
100mLガラス製重合アンプルに、C
6F
13CH
2CH
2OCOCH=CH
2(ホモポリマの微結晶の融点なし。以下C6FAと記す。))の8.1g、STAの12.2g、HEAの0.4g、PAGMの0.3g、PEOPの1.7g、STEAの0.4g、水の26.2g、アセトンの10.5g、STMの0.1g、ABMAの0.04g入れた。
【0052】
そして、窒素置換を行い、55℃で12時間重合反応を行ったところ、固形分濃度38.1%のエマルションを得た。得られたエマルションをメタノールで2回洗浄した後、38℃にて一晩真空乾燥させてポリマを得た。得られたポリマの微結晶の融点は38.4℃であった。
【0053】
[例5]
撹拌翼を備えた1000mLのガラス製反応容器に、C4FAの55.6g、STAの88g、ジオクチルマレエートの13g、N−メチロールアクリルアミドの5.5g、ポリエチレンオキサイドポリプロピレンオキサイド重合物の2g、ポリオキシエチレンオレイルエーテルの7.4g、アセチレングリコールエチレンオキシド30モル付加物の0.8g、アセチレングリコールエチレンオキシド10モル付加物の0.8g、水の296.4g、アセトンの82g、STMの0.6gを入れた。
【0054】
これを55℃で1時間前分散した後、高圧ホモジナイザ(ゴウリン社製乳化機、LAB60−10TBS)を用いて、200kg/cm
2で処理し、乳化液を得た。得られた乳化液を1000mLのステンレス製オートクレーブに入れ、窒素置換した。これに、塩化ビニルの43gを加えた後、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)]プロパンの2.2gを加え、55℃で8時間重合反応を行ったところ、固形分濃度32.5%のエマルションを得た。得られたエマルションをメタノールで2回洗浄した後、30℃にて一晩真空乾燥させてポリマを得た。得られたポリマの微結晶の融点は32℃であった。
【0055】
[例6]
100mLガラス製重合アンプルに、C6FAの8.5g、ベヘニルアクリレートの11.7g、HEAの0.4g、PAGMの0.3g、PEOPの1.7g、STEAの0.4g、水の26.2g、アセトンの10.5g、STMの0.1g、ABMAの0.04gを入れた。
【0056】
そして、窒素置換を行い、60℃で12時間重合反応を行ったところ、固形分濃度38.1%のエマルションを得た。得られたエマルションをメタノールで2回洗浄した後、30℃にて一晩真空乾燥させてポリマを得た。得られたポリマの微結晶の融点は56.8℃であった。
【0057】
[例7]
撹拌翼を備えた500mLのガラス製反応容器に、C6FAの51.2g、STAの70.4g、HEAの2.5g、PAGMの1.8g、PEOPの10.1g、STEAの2.5g、水の157.2g、アセトンの63g、STMの0.7gを入れた。
【0058】
そして、50℃で30分間前分散した後、高圧ホモジナイザ(ゴウリン社製乳化機)を用いて、200kg/cm
2で処理し、乳化液を得た。この乳化液を500mLのステンレス製オートクレーブに入れ、窒素置換した。これに、塩化ビニルの4.8gを加えた後、ABMAの0.2gを加え、55℃で12時間重合反応を行ったところ、固形分濃度38.6%のエマルションを得た。得られたエマルションをメタノールで2回洗浄した後、30℃にて一晩真空乾燥させてポリマを得た。得られたポリマの微結晶の融点は39℃であった。
【0059】
[例8]
100mLガラス製重合アンプルに、C
4F
9CH
2CH
2OCOC(CH
3)=CH
2(ホモポリマの微結晶の融点なし)の13.8g、STAの6.2g、HEAの0.4g、PAGMの0.3g、PEOPの1.7g、STEAの0.4g、水の26.2g、アセトンの10.5g、STMの0.1g、ABMAの0.04gを入れた。
【0060】
そして、窒素置換を行い、55℃で12時間重合反応を行ったところ、固形分濃度38.4%のエマルションを得た。得られたエマルションをメタノールで2回洗浄した後、30℃にて一晩真空乾燥させてポリマを得た。得られたポリマの微結晶の融点は35.6℃であった。
【0061】
[例9]
100mLガラス製重合アンプルに、C4FAの2.6g、C6FAの6.0g、STAの11.7g、HEAの0.4g、PAGMの0.3g、PEOPの1.7g、STEAの0.4g、水の26.2g、アセトンの10.5g、STMの0.1g、ABMAの0.04gを入れた。
【0062】
そして、窒素置換を行い、55℃で12時間重合反応を行ったところ、固形分濃度37.8%のエマルションを得た。得られたエマルションをメタノールで2回洗浄した後、30℃にて一晩真空乾燥させてポリマを得た。得られたポリマの微結晶の融点は37.8℃であった。
【0063】
[例10]
100mLガラス製重合アンプルに、C
3F
7O(CF
2CF(CF
3)O)
2CF(CF
3)CH
2OCOCH=CH
2(ホモポリマの微結晶の融点なし)の8.7g、STAの11.5g、HEAの0.4g、PAGMの0.3g、PEOPの1.7g、STEAの0.4g、水の26.2g、アセトンの10.5g、STMの0.1g、ABMAの0.04gを入れた。
【0064】
そして、窒素置換を行い、55℃で12時間重合反応を行ったところ、固形分濃度39.2%のエマルションを得た。得られたエマルションをメタノールで2回洗浄した後、30℃にて一晩真空乾燥させてポリマを得た。得られたポリマの微結晶の融点は38℃であった。
【0065】
[例11]
1Lのガラス製ビーカーに、C4FAの256.3g、ヒドロキシエチルメタクリレートの1.4g、3,5−ジメチルピラゾールでイソシアネート基がブロックされた2−イソシアネートエチルメタクリレートの16.5g、n−ドデシルメルカプタンの3.6g、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(エチレンオキサイドの平均付加モル数30)の7.4g、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体の2.5g、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド(純度63%)の2.5g、ジプロピレングリコールの108g、イオン交換水の389.9g、酢酸の1.1gを入れた。
【0066】
このビーカーを50℃の湯浴に入れて加温し、内容物をホモミキサー(特殊機化社製、TKホモミクサーMK2)を用いて混合し混合液を得た。この混合液を50℃に保ちながら高圧ホモジナイザ(ゴウリン社製乳化機、LAB60−10TBS)を用いて、40MPaで処理し、乳化液を得た。得られた乳化液の698.8gを1Lのオートクレーブに入れ、30℃以下に冷却した。気相を窒素置換し、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]の1.4gを加えて、撹拌しながら60℃で8時間重合反応を行ったところ、固形分濃度34.3%のエマルションAを得た。
【0067】
エマルジョンAの調製方法において、モノマの組成として、C4FAの93.2gを用い、ヒドロキシエチルメタクリレートの2.7gを用い、3,5−ジメチルピラゾールでイソシアネート基がブロックされた2−イソシアネートエチルメタクリレートの同量を用い、STAの161.8gを追加で用いる以外は、エマルションAを得るのと同様にして、固形分濃度34.1%のエマルションBを得た。
【0068】
エマルションAおよびエマルションBを、それぞれ固形分濃度が20%となるようにイオン交換水にて希釈した後、エマルションAとエマルションBを質量比で2対1となるように混合した。得られたエマルションをメタノールで2回洗浄した後、30℃にて一晩真空乾燥させてポリマを得た。得られたポリマの微結晶の融点は37℃であった。
【0069】
[例12]
C4FAの代わりにC6FAを用いる以外は、例11と同様にして、エマルションCおよびエマルションDを得た。エマルションCの固形分濃度は33.9%であり、エマルションDの固形分濃度は34.2%であった。
エマルションCおよびエマルションDについて、例11と同様にしてポリマを得た。得られたポリマの微結晶の融点は37.4℃であった。
【0070】
[例13]
100mLガラス製重合アンプルに、(C
4F
9C
2H
4)
2CHOCOCH=CH
2(13a)、C
4F
9C
2H
4(C
4F
9)CHC
2H
4OCOCH=CH
2(13b)およびC
4F
9C
2H
4(C
4F
9CH
2)CHCH
2OCOCH=CH
2(13c)の混合物(13a:13b:13cの質量比は4:3:3。各々の化合物においてホモポリマの微結晶の融点なし。)の8.1g、STAの12.3g、HEAの0.4g、PAGMの0.3g、PEOPの1.7g、STEAの0.4g、水の26.2g、アセトンの10.5g、STMの0.1g、ABMAの0.04gを入れた。
【0071】
そして、窒素置換を行い、55℃で12時間重合反応を行ったところ、固形分濃度38.3%のエマルションを得た。得られたエマルションをメタノールで2回洗浄した後、30℃にて一晩真空乾燥させてポリマを得た。得られたポリマの微結晶の融点は37℃であった。
【0072】
[例14]
100mLガラス製重合アンプルに、C4FAの1.8g、C6FAの4.3g、C
10F
21CH
2CH
2OCOCH=CH
2の2.6g、STAの11.5g、HEAの0.4g、PAGMの0.3g、PEOPの1.7g、STEAの0.4g、水の26.2g、アセトンの10.5g、STMの0.1g、ABMAの0.04gを入れた。
【0073】
そして、窒素置換を行い、55℃で12時間重合反応を行ったところ、固形分濃度37.9%のエマルションを得た。得られたエマルションをメタノールで2回洗浄した後、30℃にて一晩真空乾燥させてポリマを得た。得られたポリマの微結晶の融点は43.4℃と90.1℃であった。
【0074】
[例15]
100mLガラス製重合アンプルに、C4FAの21.2g、PEOPの1.7g、STEAの0.4g、水の26.2g、アセトンの10.5g、STMの0.1g、ABMAの0.04gを入れた。
【0075】
そして、窒素置換を行い、55℃で12時間重合反応を行ったところ、固形分濃度38.2%のエマルションを得た。得られたエマルションをメタノールで2回洗浄した後、30℃にて一晩真空乾燥させてポリマを得た。得られたポリマの微結晶の融点は観測されなかった。
【0076】
[例16]
100mLガラス製重合アンプルに、STAの21.2g、PEOPの1.7g、STEAの0.4g、水の26.2g、アセトンの10.5g、STMの0.1g、ABMAの0.04gを入れた。
【0077】
そして、窒素置換を行い、55℃で12時間重合反応を行ったところ、固形分濃度38.8%のエマルションを得た。得られたエマルションをメタノールで2回洗浄した後、30℃にて一晩真空乾燥させてポリマを得た。得られたポリマの微結晶の融点は43℃であった。
【0078】
[例17]
100mLガラス製重合アンプルに、ベヘニルアクリレートの21.2g、PEOPの1.7g、STEAの0.4g、水の26.2g、アセトンの10.5g、STMの0.1g、ABMAの0.04gを入れた。
【0079】
そして、窒素置換を行い、60℃で12時間重合反応を行ったところ、固形分濃度39.5%のエマルションを得た。得られたエマルションをメタノールで2回洗浄した後、30℃にて一晩真空乾燥させてポリマを得た。得られたポリマの微結晶の融点は58℃であった。
【0080】
[例18]
100mLガラス製重合アンプルに、C
gF
2g+1CH
2CH
2OCOCH=CH
2(gの平均が9、ホモポリマの微結晶の融点78℃)の8.7g、STAの13.2g、HEAの0.4g、PAGMの0.3g、エチレングリコールジメタクリレートの0.1g、PEOPの1.7g、STEAの0.4g、水の26.2g、アセトンの10.5g、STMの0.1g、ABMAの0.04gを入れた。
【0081】
そして、窒素置換を行い、55℃で12時間重合反応を行ったところ、固形分濃度38.1%のエマルションを得た。得られたエマルションをメタノールで2回洗浄した後、30℃にて一晩真空乾燥させてポリマを得た。得られたポリマの微結晶の融点は39.5℃と62℃であった。
【0082】
[試験布の作製]
例1〜18で得られたエマルションを用いて、下記の方法にて試験布を作製し、撥水性、撥油性、洗濯耐久性(HL5)を評価した。結果を表3に示す。また、風合い、柔軟性、接着性(剥離強度)についても、下記に示す方法により評価した。結果を表4に示す。
【0083】
得られたエマルションを固形分濃度が2%となるようにイオン交換水にて希釈し、さらにトリメチロールメラミンおよび有機アミン塩触媒(住友化学工業社製、商品名「ACX」)をそれぞれ0.3質量%となるように添加して、試験液とした。これらの試験液をポリエステル布に浸漬塗布し、ウェットピックアップが90質量%となるように絞った。これを、85℃にて180秒間乾燥(以下、低温処理と記す。)したもの、または、110℃で90秒間乾燥した後に170℃で60秒間乾燥(以下、高温処理と記す。)したもの、の2種類の試験布を作製した。
【0084】
[撥水性の評価]
JIS L−1092のスプレー法による撥水性ナンバ(表1参照)で表す。なお、下記の撥水性ナンバに+を付して表した評価結果は、それぞれの評価がその数字よりもわずかに良好なものを示し、−はわずかに低いことを示す。結果を表3にまとめた。
【0085】
【表1】
【0086】
[撥油性の評価]
AATCC−TM118−1966により行い、表2に示す撥油性ナンバで表す。結果を表3にまとめた。
【0087】
【表2】
【0088】
[洗濯耐久性(HL5)の評価]
JIS−L0217別表103の水洗い法に従い、低温処理の試験布を用いて洗濯を5回繰り返し、75℃で5分間乾燥した後の撥水性および撥油性を評価した。
【0089】
[風合いの評価]
触感により◎:非常に柔らかい、○:柔らかい、△:原反と同等または少し硬い、×:原反より硬い、の4段階の評価基準で示す。
【0090】
[柔軟性の評価]
例1〜18で得られたエマルションを用いて、固形分濃度が2質量%となるようにイオン交換水にて希釈し柔軟性評価用試験液とした。該試験液を綿布に浸漬塗布し、ウェットピックアップが90質量%となるように絞った。110℃にて90秒間乾燥し、続いて170℃にて60秒間処理した。これを、縦方向2cm×横方向10cmの長方形に切り出したものを柔軟性評価用の試験布とした。
【0091】
水平棒(直径3mm、長さ50mm)の上に、柔軟性評価用の試験布を長辺または短辺の中心線に合わせて置き、垂れ下がった短辺間の距離(単位:mm)を測定した。切り出す方向を変えた試験布について、長辺または短辺間の距離を各々5回づつ測定し、10回の測定の平均値を計算し、柔軟性の指標とした。この数字が小さいほど試験布は柔軟であることを意味する。
【0092】
[接着性(剥離強度)の評価]
例1〜18で得られたエマルションを用いて、固形分濃度が1.2質量%となるようにイオン交換水にて希釈し、さらにメラミン樹脂(住友化学社製、商品名「スミテックスレジンM3」)および触媒(住友化学社製、商品名「スミテックスアクセレレーターACX」)をそれぞれ0.3質量%となるように添加して、接着性試験液とした。
【0093】
得られた接着性試験液を、染色およびフィックス処理済のナイロンタスラン布に浸漬塗布し、2本のゴムローラーの間で布を絞った。この操作を2回繰り返した後、ウェットピックアップが90質量%となるように絞った。そして100℃で60秒間乾燥し、さらに150℃で60秒間保持したものを接着性評価用の試験布とした。
【0094】
得られた接着性評価用の試験布の表面に、アジペート系ポリエステルとMDIからなるポリエステル型ポリウレタン樹脂のDMF溶液(樹脂濃度30質量%)の100部とヘキサメチレンジイソシアネートの1部との混合物を100g/m
2となるようにバーコータで塗布した。次に、該試験布を25℃の水に1分間浸漬して樹脂を凝固させた後、50℃の温水で5分間洗浄した。この試験布を130℃にて2分間保持してコーティング布を得た。
【0095】
得られたコーティング布の樹脂面に、幅2.5cm、長さ15cmのホットメルトテープ(サン化成社製「MELCOテープ」)を転写プレス器(奥野電気製)を用いて150℃、30秒間にて接着した。そして、25℃、湿度60%の条件にて72時間保持した。得られた布について、引っ張り試験機を用いて、ナイロンタスラン布とポリウレタン樹脂との間の接着性を測定した。
【0096】
【表3】
【0097】
【表4】
【0098】
[例19]
撹拌翼を備えた1Lの反応器に、C4FAの92g、STAの84g、塩化ビニリデンの103.6g、N,N,N−トリメチル−N−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピル)アンモニウムクロリド(CH
2=C(CH
3)COOCH
2CH(OH)CH
2N
+(CH
3)
3・Cl
−)の2.7g、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテルの13.3g、モノオクタデシルトリメチルアンモニウムクロリドの2.7g、イオン交換水の398.4g、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPGMME)の119.5g、アゾビスイミダゾリンプロパンの0.5gを入れた。
【0099】
そして、窒素置換を行い、300r.p.m.で撹拌しながら60℃に保ち、15時間重合反応を行ったところ、固形分濃度35.5%のエマルションを得た。得られたエマルションをメタノールで2回洗浄した後、30℃にて一晩真空乾燥させてポリマを得た。得られたポリマの微結晶の融点は36℃であった。
【0100】
[例20]
例19において、C4FAを42.4g用い、C6FAの64gを追加で用いる以外は、例19と同様にして固形分濃度36.6%のエマルションを得た。得られたエマルションをメタノールで2回洗浄した後、30℃にて一晩真空乾燥させてポリマを得た。得られたポリマの微結晶の融点は36.2℃であった。
【0101】
[例21]
例19において、C4FAの92gの代わりに、C6FAの121.3gを用いる以外は、例19と同様にして固形分濃度37.7%のエマルションを得た。得られたエマルションをメタノールで2回洗浄した後、30℃にて一晩真空乾燥させてポリマを得た。得られたポリマの微結晶の融点は37.3℃であった。
【0102】
[加工紙の作製]
例19〜21で得られたエマルションを固形分濃度が0.9質量%となるようにイオン交換水にて希釈し処理浴とした。この処理浴に、無サイズ紙(坪量85g/m
2)を浸漬して、サイズプレスを用いてピックアップを60質量%とし、次いで、80℃に加温したドラムドライヤで30秒間乾燥し、加工紙を得た。得られた加工紙について、撥油度、撥水度およびサイズ性を評価した。結果を表7に示す。
【0103】
[加工紙における耐油度の評価]
サラダオイルを加工紙の表面に滴下し、30秒後に加工紙の裏へ浸透するか否かを目視にて判定した。
【0104】
[加工紙における撥水度の評価]
JIS P−8137により、表5に示す撥水度で表す。
【0105】
【表5】
【0106】
[加工紙におけるサイズ性の評価]
JIS−P−8122により、ステキヒトサイズ度(秒)を測定した。値が大きいほうがサイズ性に優れることを意味する。
【0107】
[試験皮革の作製]
例19〜21で得られたエマルションを、それぞれ固形分濃度が4質量%となるようにpH6の水道水にて希釈した。希釈後のエマルションの1リットルを、3リットルのビーカーに入れ、約200mm四方のクロムなめし牛皮革を漬け込み、50℃で60分間浸漬処理を行った。続けて該皮革を水洗し、乾燥した後、通常の方法で揉み、その後70℃で40分間乾燥したものを試験皮革とした。得られた試験皮革について耐水性を評価した。
【0108】
[試験皮革における耐水性の評価]
試験皮革を、それぞれ袋状にして水を入れ、48時間後の水の浸透状態を目視にて観察し、表6に示した。
【0109】
【表6】