(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5713616
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】液晶駆動用のソースドライバのオフセットキャンセル出力回路
(51)【国際特許分類】
G09G 3/36 20060101AFI20150416BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20150416BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20150416BHJP
H03K 5/08 20060101ALI20150416BHJP
【FI】
G09G3/36
G02F1/133 575
G02F1/133 550
G09G3/20 623F
G09G3/20 641C
G09G3/20 611H
G09G3/20 623B
G09G3/20 612E
H03K5/08 E
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-210627(P2010-210627)
(22)【出願日】2010年9月21日
(65)【公開番号】特開2012-68294(P2012-68294A)
(43)【公開日】2012年4月5日
【審査請求日】2013年9月13日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079119
【弁理士】
【氏名又は名称】藤村 元彦
(72)【発明者】
【氏名】一倉 宏嘉
【審査官】
中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−134107(JP,A)
【文献】
特開2001−067047(JP,A)
【文献】
特開2007−288477(JP,A)
【文献】
特開平08−017183(JP,A)
【文献】
特開平06−021443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 − 3/38
G02F 1/133
H03K 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディジタルデータが示す階調に対応した階調電圧を入力して液晶表示パネルに駆動電圧を出力するソースドライバのオフセットキャンセル出力回路であって、
基準電圧が非反転入力端に印加されたオペアンプと、
前記オペアンプの反転入力端に各々の一端が接続された入力コンデンサ及び出力コンデンサと、
リセット動作時に前記反転入力端と前記オペアンプの出力端との間に接続された第1の電界効果トランジスタをオンさせて前記反転入力端と前記オペアンプの出力端との間を短絡させると共に前記入力コンデンサ及び前記出力コンデンサ各々にオフセット電圧を蓄電させ、前記リセット動作後の通常出力動作時に前記第1の電界効果トランジスタをオフさせ、前記入力コンデンサの他端に前記階調電圧を印加しかつ前記出力コンデンサの他端を前記オペアンプの出力端に接続するスイッチ素子回路と、を備え、
前記スイッチ素子回路は、
前記リセット動作時及び前記通常出力動作時に前記第1の電界効果トランジスタの基板に前記基準電圧に等しい第1の電位を印加し、
前記通常出力動作中の前記階調電圧の切り替え毎に、当該階調電圧の電圧レベルが変化する遷移期間においてのみ、前記第1の電界効果トランジスタのソース/ドレインから前記基板に流れるリーク電流を防止するように前記基板に前記第1の電位とは異なる第2の電位を前記第1の電位に代えて印加することを特徴とするオフセットキャンセル出力回路。
【請求項2】
前記スイッチ素子回路は、前記リセット動作時にオンして前記反転入力端に前記基準電圧を印加させる第2の電界効果トランジスタを有し、
前記リセット動作時及び前記通常出力動作時に前記第1及び前記第2の電界効果トランジスタ各々の基板に前記第1の電位を印加し、前記通常出力動作中の前記階調電圧の切り替え時に前記第1及び前記第2の電界効果トランジスタ各々のソース/ドレインから前記基板に流れるリーク電流を防止するように前記基板に前記第2の電位を前記第1の電位に代えて印加することを特徴とする請求項1記載のオフセットキャンセル出力回路。
【請求項3】
前記第2の電位は、前記第1及び前記第2の電界効果トランジスタ各々がPチャンネルの電界効果トランジスタであるとき前記基準電圧より高いレベルの電源電圧に等しい電位であり、前記第1及び前記第2の電界効果トランジスタ各々がNチャンネルの電界効果トランジスタであるとき前記基準電圧より低いレベルのアース電位に等しいことを特徴とする請求項2記載のオフセットキャンセル出力回路。
【請求項4】
前記通常出力動作中の前記階調電圧の切り替え時に、前記第1及び前記第2の電界効果トランジスタ各々のゲートに前記基準電圧とは異なるレベルの電圧が印加されることを特徴とする請求項2又は3記載のオフセットキャンセル出力回路。
【請求項5】
前記通常出力動作中の前記階調電圧の切り替え時に、前記基板に前記第2の電位を印加する期間は所定時間であるであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1記載のオフセットキャンセル出力回路。
【請求項6】
前記通常出力動作中の前記階調電圧の切り替え時に、前記基板に前記第2の電位を印加する期間は前記オペアンプの出力電圧又は階調電圧が変化すべき電圧に対応して定められた閾値に達するまで期間であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1記載のオフセットキャンセル出力回路。
【請求項7】
基準電圧が非反転入力端に印加されたオペアンプと、前記オペアンプの反転入力端に各々の一端が接続された入力コンデンサ及び出力コンデンサと、を備え、ディジタルデータが示す階調に対応した階調電圧を入力して液晶表示パネルに駆動電圧を出力するソースドライバの出力回路のオフセットキャンセル方法であって、
リセット動作時に前記反転入力端と前記オペアンプの出力端との間に接続された第1の電界効果トランジスタをオンさせて前記反転入力端と前記オペアンプの出力端との間を短絡させると共に前記入力コンデンサ及び前記出力コンデンサ各々にオフセット電圧を蓄電させ、
前記リセット動作後の通常出力動作時に前記第1の電界効果トランジスタをオフさせ、前記入力コンデンサの他端に前記階調電圧を印加しかつ前記出力コンデンサの他端を前記オペアンプの出力端に接続し、
前記リセット動作時及び前記通常出力動作時に前記第1の電界効果トランジスタの基板に前記基準電圧に等しい第1の電位を印加し、
前記通常出力動作中の前記階調電圧の切り替え毎に、当該階調電圧の電圧レベルが変化する遷移期間においてのみ、前記第1の電界効果トランジスタのソース/ドレインから前記基板に流れるリーク電流を防止するように前記基板に前記第1の電位とは異なる第2の電位を前記第1の電位に代えて印加することを特徴とするオフセットキャンセル方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶駆動用のソースドライバのオフセットキャンセル出力回路に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルを駆動するソースドライバにおいてはオペアンプからなる出力回路から出力される駆動電圧のオフセット成分をキャンセルする機能が備えられている(特許文献1及び2参照)。
図1は特許文献2に示された従来のオフセットキャンセル出力回路の構成を示している。このオフセットキャンセル回路はキャパシタカップリング方式のオペアンプ回路であり、出力アンプ1、入力コンデンサCin、出力コンデンサCout、スイッチ素子SW1〜SW6、及び抵抗R1を備えている。また、このオフセットキャンセル出力回路には入力電圧として基準電圧VOPと、電圧VDACとが供給される。電圧VDACはソースドライバに供給される画素毎の階調を示すディジタルデータがソースドライバ内のD/A(ディジタル/アナログ)コンバータ(図示せず)によってアナログ電圧に変換されて得られた電圧(階調電圧)である。基準電圧VOPの印加端子はオペアンプからなる出力アンプ1の非反転入力端に接続されている。出力アンプ1の反転入力端は入力コンデンサCin及び出力コンデンサCout各々の一端に接続されている。スイッチ素子SW1は電圧VDACの印加端子と入力コンデンサCinの他端との間に接続されている。スイッチ素子SW2は基準電圧VOPの印加端子と入力コンデンサCinの他端との間に接続されている。スイッチ素子SW3は出力アンプ1の非反転入力端と反転入力端との間に接続されている。スイッチ素子SW4は出力アンプ1の反転入力端と出力端OUTとの間に接続されている。スイッチ素子SW5は出力コンデンサCoutの他端と出力アンプ1の出力端OUTとの間に接続されている。スイッチ素子SW6は出力コンデンサCoutの他端と基準電圧VOPの印加端子との間に接続されている。抵抗R1の一端は出力アンプ1の出力端OUTに接続され、出力アンプ1の出力電圧が抵抗R1を介して端子PADから駆動電圧として出力されるようになっている。
【0003】
かかる従来のオフセットキャンセル出力回路の動作としてはリセット動作と通常出力動作とがある。リセット動作は映像信号の垂直同期信号に同期した外部リセット信号に応じて生じる。電圧VDACは通常出力動作において水平同期信号に同期して生成される。
【0004】
先ず、リセット動作では、
図2に示すように、スイッチ素子SW1,SW5がオフとなり、スイッチ素子SW2,SW3,SW4,SW6がオンとなる。よって、
図2において黒丸で示された全ての接続点(ノード)の電圧が基準電圧VOPに等しくされることによりリセットが行われる。すなわち、基準電圧VOPがスイッチ素子SW2を介して入力コンデンサCinの他端に印加され、同時にスイッチ素子SW6を介して出力コンデンサCoutの他端に印加される。更に、出力アンプ1の反転入力端と非反転入力端とがスイッチ素子SW3によって短絡されるので、出力アンプ1の出力端にはオフセット電圧ΔVが生成される。このオフセット電圧ΔVはスイッチ素子SW4を介して接続点FBに供給される。これにより、入力コンデンサCin及び出力コンデンサCout各々にはオフセット電圧ΔVが蓄電された状態となり、この状態で本出力回路の動作が安定する。
【0005】
次に、リセット動作から通常出力動作に移行すると、
図3に示すように、スイッチ素子SW1,SW5がオンとなり、スイッチ素子SW2,SW3,SW4,SW6がオフとなる。反転入力端の接続点FBはフローティング状態となり、接続点FBの電圧が基準電圧VOPで維持されるように出力アンプ1は動作する。すなわち、入力コンデンサCinには基準電圧VOPと電圧VDACとの差電圧に応じて電荷が流れ、出力コンデンサCoutには出力アンプ1の出力電圧と基準電圧VOPとの差電圧に応じて電荷が流れ、これにより、出力アンプ1からはオフセット電圧ΔV分がキャンセルされて出力電圧が生成される。また、反転入力端には電圧VDACに応じて入力コンデンサCinを介して電圧が印加されるので、基準電圧VOPと反転入力端の電圧との差に応じた電圧が出力される。この通常出力動作では、出力アンプ1の出力電圧が駆動電圧として1水平期間毎の書き込み信号に応じて書き込み期間に液晶表示パネルの画素に出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−044872号公報
【特許文献2】特開2001−67047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
かかる従来のオフセットキャンセル出力回路においては、
図4に示すように、上記したリセット信号と書き込み信号とが生成され、リセット動作においてリセット信号の発生に応じて反転入力端の接続点FBの電圧がほぼ基準電圧VOP(ΔVを含む)に等しくなり、リセット動作から通常出力動作に移行すると、その接続点FBの電圧は基準電圧VOPから徐々に低下していく。これはFET(電界効果トランジスタ)からなるスイッチ素子SW4における
基板(サブストレート)へのリーク電流やソース・ドレイン間のリーク電流の存在によって生じる。よって、出力アンプ1の反転入力端の接続点FBにおいて基準電圧VOPを長時間に亘って維持できないために出力アンプ1の出力電圧中のオフセット電圧分が増加して表示品質の悪化をもたらすという問題があった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、かかる点を鑑みてなされたものであり、出力アンプのオフセット電圧が適切にキャンセルされて表示品質の悪化を防止することができる液晶駆動用のソースドライバのオフセットキャンセル出力回路及びオフセットキャンセル方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のオフセットキャンセル出力回路は、ディジタルデータが示す階調に対応した階調電圧を入力して液晶表示パネルに駆動電圧を出力するソースドライバのオフセットキャンセル出力回路であって、基準電圧が非反転入力端に印加されたオペアンプと、前記オペアンプの反転入力端に各々の一端が接続された入力コンデンサ及び出力コンデンサと、
リセット動作時に前記反転入力端と前記オペアンプの出力端との間に接続された第1の電界効果トランジスタをオンさせて前記反転入力端と前記オペアンプの出力端との間を短絡させると共に前記入力コンデンサ及び前記出力コンデンサ各々にオフセット電圧を蓄電させ、前記リセット動作後の通常出力動作時に前記第1の電界効果トランジスタをオフさせ、前記入力コンデンサの他端に前記階調電圧を印加しかつ前記出力コンデンサの他端を前記オペアンプの出力端に接続するスイッチ素子回路と、を備え、前記スイッチ素子回路は、前記リセット動作時及び前記通常出力動作時に前記第1の電界効果トランジスタの基板に前記基準電圧に等しい第1の電位を印加し、前記通常出力動作中の前記階調電圧の切り替え
毎に、当該階調電圧の電圧レベルが変化する遷移期間においてのみ、前記第1の電界効果トランジスタのソース/ドレインから前記基板に流れるリーク電流を防止するように前記基板に前記第1の電位とは異なる第2の電位を前記第1の電位に代えて印加することを特徴としている。
【0010】
本発明のオフセットキャンセル方法は、基準電圧が非反転入力端に印加されたオペアンプと、前記オペアンプの反転入力端に各々の一端が接続された入力コンデンサ及び出力コンデンサと、を備え、ディジタルデータが示す階調に対応した階調電圧を入力して液晶表示パネルに駆動電圧を出力するソースドライバの出力回路のオフセットキャンセル方法であって、リセット動作時に前記反転入力端と前記オペアンプの出力端との間に接続された第1の電界効果トランジスタをオンさせて前記反転入力端と前記オペアンプの出力端との間を短絡させると共に前記入力コンデンサ及び前記出力コンデンサ各々にオフセット電圧を蓄電させ、前記リセット動作後の通常出力動作時に前記第1の電界効果トランジスタをオフさせ、前記入力コンデンサの他端に前記階調電圧を印加しかつ前記出力コンデンサの他端を前記オペアンプの出力端に接続し、前記リセット動作時及び前記通常出力動作時に前記第1の電界効果トランジスタの基板に前記基準電圧に等しい第1の電位を印加し、前記通常出力動作中の前記階調電圧の切り替え
毎に、当該階調電圧の電圧レベルが変化する遷移期間においてのみ、前記第1の電界効果トランジスタのソース/ドレインから前記基板に流れるリーク電流を防止するように前記基板に前記第1の電位とは異なる第2の電位を前記第1の電位に代えて印加することを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明のオフセットキャンセル出力回路及びオフセットキャンセル方法によれば、階調電圧の切り替え時に第1の電界効果トランジスタのソース/ドレインから
基板に流れるリーク電流を防止するように
基板に第1の電位とは異なる第2の電位を第1の電位に代えて印加することが行われる。これにより、第1の電界効果トランジスタのソース/ドレインから
基板に流れるリーク電流を抑えるために反転入力端の電位を基準電圧に保持することができ、出力電圧オフセットを最小に留めることができる。よって、オペアンプのオフセット電圧が適切にキャンセルされて表示品質の悪化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】従来のオフセットキャンセル出力回路の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1の回路のリセット動作時のスイッチ素子のオンオフを示す図である。
【
図3】
図1の回路の通常出力動作時のスイッチ素子のオンオフを示す図である。
【
図4】
図1の回路の外部リセット信号、書き込み信号及び接続点FBの電圧変化を示す図である。
【
図5】本発明の実施例としてオフセットキャンセル出力回路の構成を示すブロック図である。
【
図6】
図5の回路のリセット動作時のスイッチ素子のオンオフを示す図である。
【
図7】
図5の回路の通常出力動作時のスイッチ素子のオンオフを示す図である。
【
図8】
図5の回路の外部リセット信号、書き込み信号及び接続点FBの電圧変化を示す図である。
【
図9】
図5の回路のリセット動作から通常出力動作への切り替え時のスイッチ素子のオンオフを示す図である。
【
図10】
基板電圧の制御の無し及び有りの各々の場合の接続点FBの電圧変化及びスイッチ素子のオンオフを示す図である。
【
図11】本発明の他の実施例としてオフセットキャンセル出力回路の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0014】
図5は本発明の実施例としてオフセットキャンセル出力回路の構成を示している。このオフセットキャンセル出力回路においては、
図1の従来のオフセットキャンセル出力回路の構成に、更に、スイッチ素子SW7,SW8が追加されている。このオフセットキャンセル出力回路においては、スイッチ素子SW1〜SW8はPチャンネルのFETである。なお、スイッチ素子SW4が第1の電界効果トランジスタに相当し、スイッチ素子SW3が第2の電界効果トランジスタに相当する。
【0015】
スイッチ素子SW7は基準電圧VOPの印加端子とスイッチ素子SW3,SW4各々の
基板(サブストレート又はバックゲート)との間に接続されている。この
基板への接続点をVGとしている。スイッチ素子SW8は電源電圧VDDの印加端子とスイッチ素子SW3,SW4各々の
基板との接続点VGとの間に接続されている。スイッチ素子SW1,SW2,SW5〜SW8の
基板には電源電圧VDDが印加される。
【0016】
また、スイッチ素子SW3,SW4各々のゲートにはインバータ2から制御信号CONTが供給される。インバータ2はコンプリメンタリ構成の2つのFET2a,2bから構成される。PチャンネルのFET2aのソースは接続点VGに接続されている。NチャンネルのFET2bのソースは接続点VGに基準電位(アース電位)VSSが供給される。FET2a,2b各々のドレインから制御信号CONTが出力される。
【0017】
なお、この実施例において電源電圧VDDは18Vであり、基準電圧VOPは3Vであり、アース電位VSSは0Vであり、電圧VDACは0〜18Vである。
【0018】
かかる構成のオフセットキャンセル出力回路の動作としては従来の回路と同様に、リセット動作と通常出力動作とがある。リセット動作は映像信号の垂直同期信号に同期した外部リセット信号に応じて生じる。
【0019】
先ず、リセット動作では、
図6に示すように、スイッチ素子SW1,SW5,SW8がオフとなり、スイッチ素子SW2,SW3,SW4,SW6,SW7がオンとなる。よって、基準電圧VOPがスイッチ素子SW2を介して入力コンデンサCinの他端に印加され、同時にスイッチ素子SW6を介して出力コンデンサCoutの他端に印加される。更に、出力アンプ1の反転入力端と非反転入力端とがスイッチ素子SW3によって短絡されるので、出力アンプ1の出力端にはオフセット電圧ΔVが生成される。このオフセット電圧ΔVはスイッチ素子SW4を介して接続点FBに供給される。これにより、入力コンデンサCin及び出力コンデンサCout各々にはオフセット電圧ΔVが蓄電された状態となり、この状態で本出力回路の動作が安定する。
【0020】
次に、リセット動作から通常出力動作に移行すると、
図7に示すように、スイッチ素子SW1,SW5,SW7がオンとなり、スイッチ素子SW2,SW3,SW4,SW6,SW8がオフとなる。反転入力端の接続点FBはフローティング状態となり、接続点FBの電圧が基準電圧VOPで維持されるように出力アンプ1は動作する。すなわち、入力コンデンサCinには基準電圧VOPと電圧VDACとの差電圧に応じて電荷が流れ、出力コンデンサCoutには出力アンプ1の出力電圧と基準電圧VOPとの差電圧に応じて電荷が流れ、これにより、出力アンプ1からはオフセット電圧ΔV分がキャンセルされて出力電圧が生成される。通常出力動作では、1水平期間毎の書き込み信号に応じて書き込み期間にオンとなるスイッチ素子(図示せず)によって出力アンプ1の出力電圧が駆動電圧として液晶表示パネルに出力され、これにより液晶表示パネルにおいて駆動電圧が対応する画素の書き込み電圧として保持される。
【0021】
通常出力動作期間及びリセット動作期間には、スイッチ素子SW7がオンされ、スイッチ素子SW8がオフされる。これにより、基準電圧VOPがスイッチ素子SW7を介して接続点VGのラインに印加されるので、接続点VGの電位が基準電圧VOPに固定される。よって、接続点FBと接続点VGの電位差がなくなり、スイッチ素子SW4においては
基板へリークする電流を低減させることができ、
図8に示すように、接続点FBにおける基準電圧VOP変動を抑えることができる。
【0022】
通常動作期間中において電圧VDACのレベルが変化する時(すなわち出力端OUTの電圧が変化する時)のその電圧変化幅によっては、入力コンデンサCin及び出力コンデンサCoutのカップリングにより接続点FBの電圧レベルが大きく変動し、スイッチ素子SW3,SW4各々のソース/ドレインと接続点VGとの間でPN順方向電流が流れて大きなリークが発生してしまう。この結果、接続点FBの電圧は例えば
図10のAに示すように出力端OUTの電圧変化時に低下することが起きる。
【0023】
これに対して、通常出力動作期間中に電圧VDACのレベルが変化する時には、
図9に示すように、スイッチ素子SW7がオフされ、スイッチ素子SW8がオンされる。具体的には
図10に示すように書き込み信号(パルス)の発生から所定時間に亘ってスイッチ素子SW7がオフされ、スイッチ素子SW8がオンされる。
【0024】
このようにスイッチ素子SW7のオフ及びスイッチ素子SW8のオンの期間は遷移期間として
図10に示されている。遷移期間には電源電圧VDDがスイッチ素子SW8を介してスイッチ素子SW3,SW4各々の
基板に印加されるので、スイッチ素子SW3,SW4各々においてソース/ドレインと
基板との間で大きなリーク電流が流れることが回避される。よって、
図10のBに示すように出力端OUTの電圧変化時の接続点FBの電圧レベル低下を抑えることができる。
【0025】
これら一連の動作の中で、スイッチ素子SW3,SW4におけるリーク電流を抑えるため、スイッチ素子SW3,SW4の
基板電位を切り替えると同時に制御信号CONTの電位も切り替えることが行われる。すなわち、スイッチ素子SW3,SW4のオフのためにそのゲートに供給される制御信号CONTは接続点VGの電圧である電源電圧VDDとなる。これにより、スイッチ素子SW3,SW4の
基板電位の切り替えによるスイッチ素子SW3,SW4におけるリーク電流の発生を防止することができる。
【0026】
以上のように、かかる実施例によれば、スイッチ素子SW3,SW4の
基板に至る接続点VGを基準電圧VOPと電源電圧VDDとの間で切り替えるスイッチ素子SW7,SW8を追加したので、接続点FBから接続点VGへのリーク電流を抑え、接続点FBを長時間に渡って基準電圧VOPに保持することができ、出力電圧オフセットを最小に留めるという効果が得られる。
【0027】
なお、上記した実施例においては、スイッチ素子としてPチャンネルのFETが用いられているが、NチャンネルのFETを用いても良い。スイッチ素子としてNチャンネルのFETを用いた場合には、電圧VDACのレベルが変化する遷移期間にはスイッチ素子SW3及びスイッチ素子SW4各々の
基板には電源電圧VDDに代えてアース電位VSSが供給される。
【0028】
また、電圧VDACのレベルが変化する時に、スイッチ素子SW7がオフされ、スイッチ素子SW8がオンされる期間(上記の所定時間)は、出力アンプの出力電圧又は電圧VDACの電圧変化が終了するに要する時間であっても良いし、出力アンプの出力電圧又は電圧VDACが変化すべき電圧に対応して定められた閾値に達するまでを検出した期間であっても良い。
【0029】
図11は本発明の他の実施例を示している。この
図11のオフセットキャンセル出力回路は、
図5の出力回路のスイッチ素子SW3が設けられていない構成である。この構成は特許文献1の
図13に示された回路のものと同様である。
図11のオフセットキャンセル出力回路においても通常出力動作期間中に電圧VDACのレベルが変化する時には、スイッチ素子SW7がオフされ、スイッチ素子SW8がオンされる。スイッチ素子SW7のオフ及びスイッチ素子SW8のオンにより、電源電圧VDDがスイッチ素子SW8を介してスイッチ素子SW4の
基板に印加されるので、スイッチ素子SW4においてソース/ドレインと
基板との間で大きなリーク電流が流れることが回避される。よって、出力端OUTの電圧変化時の接続点FBの電圧レベル低下を抑えることができる。
【0030】
更に、上記した実施例で示した電源電圧VDD、基準電圧VOP、アース電位VSS、及び電圧VDAC各々のレベルは一例であり、それらの電圧レベルに限定されることはなく、他の電圧レベルで良いことは勿論である。
【符号の説明】
【0031】
1 出力アンプ
2 インバータ
Cin 入力コンデンサ
Cout 出力コンデンサ
SW1〜SW8 スイッチ素子