【実施例】
【0053】
以下に本発明の実施例を挙げるが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
【0054】
<乳清ミネラルの製造>
〔製造例1〕
チーズを製造する際に副産物として得られる甘性ホエーをナノ濾過膜分離した後、更に逆浸透濾過膜分離により固形分が20質量%となるまで濃縮し、次いで、これを更にエバポレーターで濃縮し、スプレードライ法により、固形分98質量%の乳清ミネラルAを得た。得られた乳清ミネラルAの固形分中の灰分量は35質量%、カルシウム含量は2.2質量%であった。尚、キエルダール法により全窒素含量を測定し、係数6.38を乗じて算出したタンパク質含量は21質量%、レーゼゴットリーブ法で測定した脂質含量は1質量%未満であった。
【0055】
〔製造例2〕
チーズを製造する際に副産物として得られる甘性ホエーをナノ濾過膜分離した後、更に逆浸透濾過膜分離により固形分が20質量%となるまで濃縮し、次いで、80℃、20分の加熱処理をして生じた沈殿を遠心分離して除去し、これを更にエバポレーターで濃縮し、スプレードライ法により、固形分98質量%の乳清ミネラルBを得た。得られた乳清ミネラルBの固形分中の灰分量は55質量%、カルシウム含量は0.4質量%であった。尚、キエルダール法により全窒素含量を測定し、係数6.38を乗じて算出したタンパク質含量は18質量%、レーゼゴットリーブ法で測定した脂質含量は1質量%未満であった。
【0056】
<乳風味飲料、乳飲料及びコーヒー飲料の製造>
〔実施例1〕
乳清ミネラルA0.6質量部と乳糖5質量部を水94.4質量部に添加・溶解し、乳風味飲料Aを得た。得られた乳風味飲料Aの吸光度を、分光光度計((株)日立製作所社製 U−3210 spectrophotometer)を用い、ブランクを水として、波長660nmの吸光度を測定したところ、0.0150であった。
得られた乳風味飲料Aのタンパク質含有量は0.13質量%、脂質含量は0.01質量未満、乳清ミネラルと甘味料の比率は、乳清ミネラルの固形分1質量部に対し、ショ糖換算で1.4質量部以上であった。
対照として市販の牛乳(タンパク質含量は3.3質量%、脂質含量は3.8質量%)を用意し、乳風味飲料Aと比較飲食したところ、乳風味飲料Aは、市販の牛乳に比べコク味は若干劣るが、市販の牛乳と同様の風味を有していた。
また、この乳風味飲料Aをウォーターバスで80℃、20分間加熱したところ、水溶液中に浮遊状の沈殿を生じた。
【0057】
〔実施例2〕
乳清ミネラルB0.6質量部と乳糖5質量部を水94.4質量部に添加・溶解し、乳風味飲料Bを得た。得られた乳風味飲料Bの吸光度を実施例1と同様の方法で測定したところ0.0001未満であった。
得られた乳風味飲料Bのタンパク質含有量は0.11質量%、脂質含量は0.01質量未満、乳清ミネラルと甘味料の比率は、乳清ミネラルの固形分1質量部に対し、ショ糖換算で1.4質量部以上であった。
対照として市販の牛乳(タンパク質含量は3.3質量%、脂質含量は3.8質量%)を用意し、乳風味飲料Bと比較飲食したところ、乳風味飲料Bは、市販の牛乳とほぼ同等の風味を有していた。
また、この乳風味飲料Bをウォーターバスで80℃、20分間加熱したが、水溶液中に沈殿を生じず、清澄な状態を維持していた。
【0058】
〔実施例3〕
実施例2における乳清ミネラルBの添加量を0.6質量部から0.2質量部に変更し、水の添加量を94.4質量部から94.8質量部に変更した以外は実施例2と同様の配合・製法で、乳風味飲料Cを得た。得られた乳風味飲料Cの吸光度を実施例1と同様の方法で測定したところ0.0001未満であった。
得られた乳風味飲料Cのタンパク質含有量は0.04質量%、脂質含量は0.01質量未満、乳清ミネラルと甘味料の比率は、乳清ミネラルの固形分1質量部に対し、ショ糖換算で4.1質量部以上であった。
対照として市販の牛乳(タンパク質含量は3.3質量%、脂質含量は3.8質量%)を用意し、乳風味飲料Cと比較飲食したところ、乳風味飲料Cは、市販の牛乳に比べコク味は若干劣るが、市販の牛乳とほぼ同等の風味を有していた。
また、この乳風味飲料Cをウォーターバスで80℃、20分間加熱したが、水溶液中に沈殿を生じず、清澄な状態を維持していた。
【0059】
〔実施例4〕
乳清ミネラルB4.5質量部と乳糖10.0質量部及びショ糖8.3質量部とを、水77.5質量部に添加・溶解し、乳風味飲料Dを得た。得られた乳風味飲料Dの吸光度を実施例1と同様の方法で測定したところ0.0001未満であった。
得られた乳風味飲料Dのタンパク質含有量は0.81質量%、脂質含量は0.05量未満、乳清ミネラルと甘味料の比率は、乳清ミネラルの固形分1質量部に対し、ショ糖換算で2.2質量部以上であった。
対照として市販の牛乳(タンパク質含量は3.3質量%、脂質含量は3.8質量%)を用意し、乳風味飲料Dと比較飲食したところ、乳風味飲料Dは、市販の牛乳に比べコクが強く感じられるが、市販の牛乳と同様の風味を有していた。
また、この乳風味飲料Dをウォーターバスで80℃、20分間加熱したが、水溶液中に沈殿を生じず、清澄な状態を維持していた。
【0060】
〔実施例5〕
乳糖5質量部を上白糖0.9質量部に変更し、水の添加量を94.4質量部から98.5質量部に変更した以外は実施例2と同様の配合・製法で、乳風味飲料Eを得た。得られた乳風味飲料Eの吸光度を実施例1と同様の方法で測定したところ0.0001未満であった。
得られた乳風味飲料Eのタンパク質含有量は0.11質量%、脂質含量は0.01質量未満、乳清ミネラルと甘味料の比率は、乳清ミネラルの固形分1質量部に対し、ショ糖換算で1.5質量部以上であった。
対照として市販の牛乳(タンパク質含量は3.3質量%、脂質含量は3.8質量%)を用意し、乳風味飲料Eと比較飲食したところ、乳風味飲料Eは、市販の牛乳に比べやや甘味が弱いものの市販の牛乳とほぼ同等の風味を有していた。
また、この乳風味飲料Eをウォーターバスで80℃、20分間加熱したが、水溶液中に沈殿を生じず、清澄な状態を維持していた。
【0061】
〔実施例6〕
乳糖5質量部をアセスルファムカリウム0.004質量部に変更し、水の添加量を94.4質量部から99.393質量部に変更した以外は実施例2と同様の配合・製法で、乳風味飲料Fを得た。得られた乳風味飲料Fの吸光度を実施例1と同様の方法で測定したところ0.0001未満であった。
得られた乳風味飲料Fのタンパク質含有量は0.11質量%、脂質含量は0.01質量未満、乳清ミネラルと甘味料の比率は、乳清ミネラルの固形分1質量部に対し、ショ糖換算で1.3質量部以上であった。
対照として市販の牛乳(タンパク質含量は3.3質量%、脂質含量は3.8質量%)を用意し、乳風味飲料Fと比較飲食したところ、乳風味飲料Fは、市販の牛乳に比べやや甘質が異なるものの市販の牛乳とほぼ同等の風味を有していた。
また、この乳風味飲料Fをウォーターバスで80℃、20分間加熱したが、水溶液中に沈殿を生じず、清澄な状態を維持していた。
【0062】
〔実施例7〕
乳糖5質量部をアセスルファムカリウム0.001質量部、スクラロース0.0006質量部、還元水あめ(粉末)1.1質量部、及び難消化性デキストリン1.8質量部に変更し、水の添加量を94.4質量部から96.4984質量部に変更した以外は実施例2と同様の配合・製法で、乳風味飲料Gを得た。得られた乳風味飲料Gの吸光度を実施例1と同様の方法で測定したところ0.0001未満であった。
得られた乳風味飲料Gのタンパク質含有量は0.11質量%、脂質含量は0.01質量未満、乳清ミネラルと甘味料の比率は、乳清ミネラルの固形分1質量部に対し、ショ糖換算で1.5質量部以上であった。
対照として市販の牛乳(タンパク質含量は3.3質量%、脂質含量は3.8質量%)を用意し、乳風味飲料Gと比較飲食したところ、乳風味飲料Gは、市販の牛乳とほぼ同等の風味を有していた。
また、この乳風味飲料Gをウォーターバスで80℃、20分間加熱したが、水溶液中に沈殿を生じず、清澄な状態を維持していた。
【0063】
〔実施例8〕
市販の牛乳(タンパク質含量は3.3質量%、脂質含量は3.8質量%):実施例2で得られた乳風味飲料B=25:75の質量比で混合し、牛乳の75%を本発明の乳風味飲料で代替した本発明の乳飲料Aを得た。
対照として上記市販の牛乳を用意し、乳飲料Aと比較飲食したところ、乳飲料Aは、乳のコク味、乳風味とも市販の牛乳とほとんど同一であった。
【0064】
〔実施例9〕
市販の牛乳(タンパク質含量は3.3質量%、脂質含量は3.8質量%):実施例2で得られた乳風味飲料B=50:50の質量比で混合し、牛乳の50%を本発明の乳風味飲料で代替した本発明の乳飲料Bを得た。
対照として上記市販の牛乳を用意し、乳飲料Bと比較飲食したところ、乳飲料Bは、乳のコク味、乳風味とも市販の牛乳とほとんど同一であった。
【0065】
〔実施例10〕
市販の牛乳(タンパク質含量は3.3質量%、脂質含量は3.8質量%):実施例2で得られた乳風味飲料B=75:25の質量比で混合し、牛乳の25%を本発明の乳風味飲料で代替した本発明の乳飲料Cを得た。
対照として上記市販の牛乳を用意し、乳飲料Cと比較飲食したところ、乳飲料Cは、乳のコク味、乳風味とも市販の牛乳とほとんど同一であった。
【0066】
〔比較例1〕
実施例2における乳清ミネラルBの添加量を0.6質量部から無添加に変更し、水の添加量を94.4質量部から95質量部に変更した以外は実施例2と同様の配合・製法で、乳風味飲料Hを得た。得られた乳風味飲料Hの吸光度を下記の方法で測定したところ0.0001未満であった。
対照として市販の牛乳(タンパク質含量は3.3質量%、脂質含量は3.8質量%)を用意し、乳風味飲料Hと比較飲食したところ、乳風味飲料Hは、牛乳の風味は全く感じられなかった。
【0067】
〔比較例2〕
実施例2における乳糖の添加量を5質量部から無添加に変更し、水の添加量を94.4質量部から99.4質量部に変更した以外は実施例2と同様の配合・製法で、乳風味飲料Iを得た。得られた乳風味飲料Iの吸光度を下記の方法で測定したところ0.0001未満であった。
対照として市販の牛乳(タンパク質含量は3.3質量%、脂質含量は3.8質量%)を用意し、乳風味飲料Iと比較飲食したところ、乳風味飲料Iは、苦味が極めて強く、また不快臭がして、牛乳の風味は全く感じられなかった。
【0068】
〔実施例11〕
市販のレギュラーコーヒー(粉)40gをお湯700gで抽出し、コーヒー抽出液を得た。このコーヒー抽出液420gに、砂糖30g及び実施例2で得た乳風味飲料B50gを添加、混合、溶解し、コーヒー飲料Aを得た。得られたコーヒー飲料Aは、濃厚なブラックコーヒーの色調でありながら、ミルクコーヒーのような乳風味を有していた。
続いて、得られたコーヒー飲料Aを密閉容器に入れて123℃、20分加熱殺菌したが、沈殿や濁りを生じず、また加熱殺菌前と同一の風味を有していた。
更に、得られたコーヒー飲料Aを60℃で30日保管したが、風味の変化は感じられなかった。
【0069】
〔実施例12〕
実施例11における乳風味飲料B50gを、実施例8で得た乳飲料B50gに変更した以外は実施例11と同様の配合・製法で、コーヒー飲料Bを得た。
対照として乳風味飲料B50gを市販の牛乳(タンパク質含量は3.3質量%、脂質含量は3.8質量%)50gに変更した以外は実施例11と同様の配合・製法でコーヒー飲料Cを得た。コーヒー飲料Bとコーヒー飲料Cを比較飲食したところ、コーヒー飲料Bは、コーヒー飲料Cとほぼ同等の乳風味を有していた。また、コーヒー風味については、コーヒー飲料Bはコーヒー飲料Cよりもはっきりと感じられた。
【0070】
〔実施例13〕
実施例11における砂糖30gを無添加に変更した以外は実施例11と同様の配合・製法で、コーヒー飲料Dを得た。得られたコーヒー飲料Dは、濃厚なブラックコーヒーの色調でありながら、ミルクコーヒーのような乳風味を有していた。
【0071】
〔実施例14〕
実施例11における乳風味飲料B50gを、実施例7で得られた乳風味飲料G50gに変更し、砂糖30gを無添加とし、アセスルファムカリウム0.035質量部及びスクラロース0.035質量部を添加した以外は実施例11と同様の配合・製法で、コーヒー飲料Eを得た。得られたコーヒー飲料Eは、濃厚なブラックコーヒーの色調でありながら、ミルクコーヒーのような乳風味を有していた。