(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0012】
〈第1の実施の形態〉
[第1の実施の形態に係る半導体パッケージの構造]
図1は、第1の実施の形態に係る半導体パッケージを例示する断面図である。
図1を参照するに、半導体パッケージ10は、半導体チップ20と、第1配線層31と、第1絶縁層32と、第2配線層33と、第2絶縁層34と、第3配線層35と、第3絶縁層36と、第4配線層37と、ソルダーレジスト層38と、外部接続端子39とを有する。
【0013】
なお、本実施の形態では、便宜上、第1絶縁層32側を下、ソルダーレジスト層38側を上とする。例えば第1絶縁層32の第2絶縁層34と接する面は上面であり、第1絶縁層32の露出面(第2絶縁層34と接する面の反対面)は下面である。
【0014】
半導体パッケージ10の平面形状は例えば矩形状であり、その寸法は、例えば幅12mm(X方向)×奥行き12mm(Y方向)×厚さ0.5mm(Z方向)程度とすることができる。以下、半導体パッケージ10を構成する半導体チップ20等について詳説する。
【0015】
半導体チップ20は、半導体基板21と、電極パッド22と、突起電極23とを有する。半導体チップ20の平面形状は例えば矩形状であり、その寸法は、例えば幅8mm(X方向)×奥行き8mm(Y方向)×厚さ90μm(Z方向)程度とすることができる。
【0016】
半導体基板21は、例えばシリコン(Si)を主成分とする基板に半導体集積回路(図示せず)が形成されたものである。電極パッド22は、半導体基板21の回路形成面側に形成されており、半導体集積回路(図示せず)と電気的に接続されている。電極パッド22の材料としては、例えばアルミニウム(Al)等を用いることができる。電極パッド22の材料として、銅(Cu)とアルミニウム(Al)をこの順番で積層したもの、銅(Cu)とアルミニウム(Al)とシリコン(Si)をこの順番で積層したもの等を用いても構わない。
【0017】
突起電極23は電極パッド22上に形成されている。突起電極23としては、例えば円柱形状の銅(Cu)ポスト等を用いることができる。突起電極23の直径は、例えば50μm程度とすることができる。突起電極23の高さは、例えば5〜10μm程度とすることができる。隣接する突起電極23のピッチは、例えば100μm程度とすることができる。なお、電極パッド22上に突起電極23を設けなくてもよい。この場合には、電極パッド22自体が第2配線層33と電気的に接続される電極となる。
【0018】
以降、半導体チップ20において、回路形成面と反対側に位置する回路形成面と略平行な面を裏面と称する場合がある。又、半導体チップ20において、回路形成面及び裏面と略垂直な面を側面と称する場合がある。
【0019】
半導体チップ20の回路形成面及び側面は第1絶縁層32に封止されており、裏面は第1絶縁層32から露出している。半導体チップ20の裏面は、第1絶縁層32の下面と略面一とされている。
【0020】
第1配線層31は、第1層31a及び第2層31bを有する。第1層31aとしては、例えば金(Au)膜、パラジウム(Pd)膜、ニッケル(Ni)膜を、金(Au)膜が半導体パッケージ10の外部に露出するように、この順番で順次積層した導電層を用いることができる。第1層31aとして、例えば金(Au)膜とニッケル(Ni)膜を、金(Au)膜が半導体パッケージ10の外部に露出するように、この順番で順次積層した導電層を用いても良い。第2層31bとしては、例えば銅(Cu)層等を含む導電層を用いることができる。第1配線層31の厚さは、例えば10〜20μm程度とすることができる。
【0021】
第1配線層31の一部(第1層31aの下面)は第1絶縁層32から露出しており、第1絶縁層32の下面及び半導体チップ20の裏面と略面一とされている。第1配線層31の一部(第1層31aの下面)は、他の半導体パッケージや半導体チップ、或いは電子部品等(図示せず)と電気的に接続される電極パッドとして機能する。以降、第1絶縁層32から露出する第1配線層31を第1電極パッド31と称する場合がある。
【0022】
なお、
図1では、第1電極パッド31は図面を簡略化するために数量を減らして描かれているが、実際には、例えば、複数列の第1電極パッド31が、平面視において半導体チップ20の裏面を額縁状に取り囲むように設けられている。第1電極パッド31の平面形状は例えば円形であり、その直径は例えば100〜350μm程度とすることができる。第1電極パッド31のピッチは、例えば400〜500μm程度とすることができる。
【0023】
第1絶縁層32は、第1配線層31の上面及び側面、並びに、半導体チップ20の回路形成面及び側面を封止し、第1配線層31の下面及び半導体チップ20の裏面を露出するように形成されている。第1絶縁層32の材料としては、例えばエポキシ系樹脂やフェノール系樹脂等を主成分とする熱硬化性の絶縁性樹脂を用いることができる。第1絶縁層32の厚さは、例えば150μm程度とすることができる。第1絶縁層32は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。第1絶縁層32は、本発明に係る封止絶縁層の代表的な一例である。
【0024】
第1絶縁層32には、第1絶縁層32を貫通し第1配線層31の上面を露出する第1ビアホール32x、及び第1絶縁層32を貫通し突起電極23の上面を露出する第2ビアホール32yが形成されている。第1ビアホール32xは、第2絶縁層34側に開口されていると共に、第1配線層31の上面によって底面が形成された、開口部の面積が底面の面積よりも大となる円錐台状の凹部となっている。第1ビアホール32xの開口部の径は、例えば150μm程度とすることができる。第2ビアホール32yは、第2絶縁層34側に開口されていると共に、突起電極23の上面によって底面が形成された、開口部の面積が底面の面積よりも大となる円錐台状の凹部となっている。第2ビアホール32yの開口部の径は、例えば30μm程度とすることができる。
【0025】
第2配線層33は、第1絶縁層32上に形成されている。第2配線層33は、第1ビアホール32xの側壁及び第1配線層31の上面に形成された第1ビア配線(貫通配線)、第2ビアホール32y内に充填された第2ビア配線(貫通配線)、及び第1絶縁層32上に形成された配線パターンを含んでいる。第2配線層33は、第1ビアホール32xの底部に露出した第1配線層31、及び第2ビアホール32yの底部に露出した突起電極23と電気的に接続されている。第2配線層33の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。第2配線層33を構成する配線パターンの厚さは、例えば10〜20μm程度とすることができる。
【0026】
なお、例えば、第1絶縁層32の厚さを150μm、第1配線層31の厚さを10μmとすれば、第1ビアホール32xの深さは140μmとなり、第1ビア配線を第1ビアホール32x内に充填することは困難である。そのため、第1ビア配線は、第1ビアホール32xの側壁及び第1配線層31の上面のみに膜状に形成され、第1ビアホール32x内に充填されてはいない。一方、例えば、第1絶縁層32の厚さを150μm、半導体チップ20の厚さ(突起電極23の高さも含む)を100μmとすれば、第2ビアホール32yの深さは50μmとなり、第1ビアホール32xよりも大幅に浅い。そのため、第2ビア配線は、第2ビアホール32y内に充填されている。
【0027】
第2絶縁層34は、第1絶縁層32上に、第2配線層33を覆うように形成されている。第2絶縁層34の材料としては、第1絶縁層32と同様の絶縁性樹脂を用いることができる。第2絶縁層34の厚さは、例えば15〜35μm程度とすることができる。第2絶縁層34は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0028】
第3配線層35は、第2絶縁層34上に形成されている。第3配線層35は、第2絶縁層34を貫通し第2配線層33の上面を露出する第3ビアホール34x内に充填されたビア配線、及び第2絶縁層34上に形成された配線パターンを含んで構成されている。第3ビアホール34xは、第3絶縁層36側に開口されていると共に、第2配線層33の上面によって底面が形成された、開口部の面積が底面の面積よりも大となる円錐台状の凹部となっている。又、この凹部内にビア配線が形成されている。
【0029】
第3配線層35は、第3ビアホール34xの底部に露出した第2配線層33と電気的に接続されている。第3配線層35の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。第3配線層35を構成する配線パターンの厚さは、例えば10〜20μm程度とすることができる。
【0030】
第3絶縁層36は、第2絶縁層34上に、第3配線層35を覆うように形成されている。第3絶縁層36は、ガラスクロス40を内蔵している。より詳しくは、第3絶縁層36は、ガラスクロス40に例えばエポキシ系樹脂を主成分とする絶縁性樹脂等を含浸させたものである。第3絶縁層36の厚さは、例えば15〜35μm程度とすることができる。第3絶縁層36は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0031】
図1及び
図2を参照するに、ガラスクロス40は、例えば、X方向に並設されたガラス繊維束40aと、Y方向に並設されたガラス繊維束40bとが格子状に平織りされた形態を有する。ガラスクロス40は、本発明に係る補強部材の代表的な一例である。ガラス繊維束40a及び40bは、1本が例えば数μm程度のガラス繊維を複数本束ねて例えば数100μm程度の幅にしたものである。ガラス繊維束40a及び40bの厚さは、それぞれ10〜15μm程度とすることができる。
【0032】
ガラスクロス40を内蔵する第3絶縁層36を設ける理由は、以下のとおりである。すなわち、前述のように、厚さ方向の一方の側のみに半導体チップが内蔵されていると、半導体パッケージに反りが発生する問題がある。つまり、半導体パッケージ10において、第1絶縁層32側(一方の側)には半導体チップ20が内蔵されているが、第3絶縁層36側(他方の側)には半導体チップは内蔵されていない。
【0033】
そのため、何の対策も講じないと(第3絶縁層36がガラスクロス40を内蔵していないと)、半導体チップ20を内蔵する第1絶縁層32と絶縁性樹脂のみから構成される第3絶縁層36等との物性値(熱膨張係数やヤング率)の相違により、従来の半導体パッケージと同様に反りが発生する虞がある。特に、260℃程度の環境下では、第3絶縁層36が絶縁性樹脂のみから構成されていると、ガラス転移温度を超えて熱膨張係数が格段に大きくなり強度が保てなくなるため、大きな反りが発生する虞がある。
【0034】
そこで、ガラスクロス40を内蔵する第3絶縁層36を他方の側に設けた。ガラスクロス40は、二酸化ケイ素(SiO
2)を主成分とし、酸化ナトリウム(Na
2O)や酸化マグネシウム(MgO)等の金属化合物を副成分とする材料から構成されている。そのため、二酸化ケイ素(SiO
2)の含有量を調整することにより、ガラスクロス40の熱膨張係数を可変することができる(二酸化ケイ素(SiO
2)の含有量が多いほどシリコンに近い熱膨張係数を示すようになる)。又、ガラス繊維の径や織り方を選択することにより、ガラスクロス40のヤング率を可変することができる。
【0035】
一例を挙げると、エポキシ系樹脂のみからなる第3絶縁層36(ガラスクロス40を内蔵していない)の熱膨張係数は、25℃で40ppm/℃程度、260℃で120ppm/℃程度である。一方、ガラスクロス40を内蔵する第3絶縁層36の熱膨張係数は、例えば、25℃で20ppm/℃程度、260℃で10ppm/℃程度とすることができる。
【0036】
つまり、ガラスクロス40を内蔵する第3絶縁層36を他方の側に設けることにより、第3絶縁層36が絶縁性樹脂のみから構成される場合に比べて、他方の側の物性値(熱膨張係数やヤング率)を半導体チップ20を内蔵する第1絶縁層32側(一方の側)の物性値に近づけることができる。又、第3絶縁層36が絶縁性樹脂のみから構成される場合と異なり、ガラスクロス40を内蔵する第3絶縁層36は260℃程度の環境下にあっても強度を保持できる。その結果、半導体パッケージ10が熱応力等により反ることを防止できる。又、半導体パッケージ10全体の剛性を向上することが可能となり、半導体パッケージ10の形状を安定化できる。
【0037】
なお、ガラスクロス40はガラス繊維束から構成される補強部材であるが、本発明に係る補強部材はガラスクロスには限定されず、炭素繊維束、ポリエステル繊維束、テトロン繊維束、ナイロン繊維束、アラミド繊維束等から構成されていても構わない。又、繊維束の織り方は平織りには限定されず、朱子織り、綾織り等であっても構わない。又、織布以外に不織布を用いてもよい。
【0038】
図1に戻り、第4配線層37は、第3絶縁層36上に形成されている。第4配線層37は、第3絶縁層36を貫通し第3配線層35の上面を露出する第4ビアホール36x内に充填されたビア配線、及び第3絶縁層36上に形成された配線パターンを含んで構成されている。第4ビアホール36xは、ソルダーレジスト層38側に開口されていると共に、第3配線層35の上面によって底面が形成された、開口部の面積が底面の面積よりも大となる円錐台状の凹部となっている。又、この凹部内にビア配線が形成されている。
【0039】
第4配線層37は、第4ビアホール36xの底部に露出した第3配線層35と電気的に接続されている。第4配線層37の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。第4配線層37を構成する配線パターンの厚さは、例えば10〜20μm程度とすることができる。
【0040】
ソルダーレジスト層38は、第3絶縁層36上に、第4配線層37を覆うように形成されている絶縁層である。ソルダーレジスト層38の厚さは、例えば15〜35μm程度とすることができる。ソルダーレジスト層38は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。ソルダーレジスト層38は開口部38xを有し、開口部38xの底部には第4配線層37の一部が露出している。必要に応じ、開口部38xの底部に露出する第4配線層37上に、金属層を形成してもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。なお、ソルダーレジスト層を単に絶縁層と称する場合がある。
【0041】
外部接続端子39は、開口部38xの底部に露出する第4配線層37上に(第4配線層37上に金属層が形成されている場合には、金属層の上に)形成されている。本実施の形態において、半導体パッケージ10は、外部接続端子39の形成されている領域が半導体チップ20の直上の領域の周囲に拡張された所謂ファンアウト構造を有する。隣接する外部接続端子39のピッチは、隣接する突起電極23のピッチ(例えば100μm程度)よりも拡大することが可能となる。但し、半導体パッケージ10は、目的に応じて所謂ファンイン構造を有しても構わない。
【0042】
外部接続端子39は、マザーボード等の実装基板や他の半導体パッケージ等(図示せず)に設けられたパッドと電気的に接続される端子として機能する。外部接続端子39としては、例えば、はんだボール等を用いることができる。はんだボールの材料としては、例えばPbを含む合金、SnとCuの合金、SnとSbの合金、SnとAgの合金、SnとAgとCuの合金等を用いることができる。外部接続端子39として、リードピン等を用いても構わない。
【0043】
但し、本実施の形態では外部接続端子39を形成しているが、外部接続端子39は必ずしも形成する必要はない。外部接続端子39を形成しない場合には、開口部38xの底部に露出する第4配線層37(第4配線層37上に金属層が形成されている場合には、金属層)自体が外部接続端子となる。このように、必要なときに外部接続端子39を形成できるように第4配線層37の一部がソルダーレジスト層38から露出していれば十分である。以降、開口部38xの底部に露出する第4配線層37を第2電極パッド37と称する場合がある。
【0044】
なお、
図1では、第2電極パッド37は図面を簡略化するために数量を減らして描かれているが、実際には、例えば、多数の第2電極パッド37がエリアレイ状に設けられている。第2電極パッド37の平面形状は例えば円形であり、その直径は例えば100〜350μm程度とすることができる。第2の電極パッド37のピッチは、例えば400〜500μm程度とすることができる。
【0045】
[第1の実施の形態に係る半導体パッケージの製造方法]
次に、第1の実施の形態に係る半導体パッケージの製造方法について説明する。
図3〜
図16は、第1の実施の形態に係る半導体パッケージの製造工程を例示する図である。
【0046】
まず、
図3に示す工程では、支持体51を準備する。支持体51としては、シリコン板、ガラス板、金属板、金属箔等を用いることができるが、本実施の形態では、支持体51として銅箔を用いる。後述する
図5に示す工程等において電解めっきを行う際の給電層として利用でき、後述する
図15に示す工程において容易にエッチングで除去可能だからである。支持体51の厚さは、例えば35〜100μm程度とすることができる。
【0047】
次に、
図4に示す工程では、支持体51の一方の面に、第1配線層31に対応する開口部52xを有するレジスト層52を形成する。具体的には、支持体51の一方の面に、例えばエポキシ系樹脂やアクリル系樹脂等を含む感光性樹脂組成物からなる液状又はペースト状のレジストを塗布する。或いは、支持体51の一方の面に、例えばエポキシ系樹脂やアクリル系樹脂等を含む感光性樹脂組成物からなるフィルム状のレジスト(例えば、ドライフィルムレジスト等)をラミネートする。そして、塗布又はラミネートしたレジストを露光及び現像することで開口部52xを形成する。これにより、開口部52xを有するレジスト層52が形成される。なお、予め開口部52xを形成したフィルム状のレジストを支持体51の一方の面にラミネートしても構わない。開口部52xは、後述の
図5に示す工程で形成される第1配線層31に対応する位置に形成される。開口部52xの平面形状は、例えば円形であり、その直径は例えば40〜120μm程度とすることができる。
【0048】
次に、
図5に示す工程では、支持体51をめっき給電層に利用する電解めっき法等により、支持体51の一方の面の開口部52x内に、第1層31a及び第2層31bから構成される第1配線層31を形成する。第1層31aは、例えば金(Au)膜、パラジウム(Pd)膜、ニッケル(Ni)膜をこの順番で順次積層した構造を有する。よって、第1配線層31を形成するには、先ず、支持体51をめっき給電層に利用する電解めっき法等により、金(Au)膜、パラジウム(Pd)膜、ニッケル(Ni)膜を順にめっきして第1層31aを形成し、続いて、支持体51をめっき給電層に利用する電解めっき法等により、第1層31a上に銅(Cu)等からなる第2層31bを形成すれば良い。なお、第1層31aは、金(Au)膜とニッケル(Ni)膜をこの順番で順次積層した構造としても良い。
【0049】
次に、
図6に示す工程では、半導体チップ20を準備する。半導体チップ20は、半導体基板21と、電極パッド22と、突起電極23とを有し、電極パッド22及び突起電極23は半導体チップ20の回路形成面側に形成されている。又、半導体チップ20は、例えば100μm程度に薄型化されている。そして、
図5に示すレジスト層52を除去した後、支持体51の一方の面に、ダイアタッチフィルム等の接着層(図示せず)を介して、半導体チップ20をフェイスアップの状態(回路形成面を上にした状態)で配置する。
【0050】
次に、
図7に示す工程では、半導体チップ20の回路形成面及び側面、並びに、第1配線層31の上面及び側面を封止するように、支持体51の一方の面に第1絶縁層32を形成する。第1絶縁層32の材料としては、例えばエポキシ系樹脂やフェノール系樹脂等を主成分とする熱硬化性の絶縁性樹脂を用いることができる。第1絶縁層32の厚さは、例えば150μm程度とすることができる。第1絶縁層32は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0051】
第1絶縁層32の材料として、例えば熱硬化性を有するフィルム状のエポキシ系樹脂やフェノール系樹脂等を主成分とする絶縁性樹脂を用いた場合には、半導体チップ20の回路形成面及び側面、並びに、第1配線層31の上面及び側面を封止するように、支持体51の一方の面にフィルム状の第1絶縁層32をラミネートする。そして、ラミネートした第1絶縁層32を押圧しつつ、第1絶縁層32を硬化温度以上に加熱して硬化させる。なお、第1絶縁層32を真空雰囲気中でラミネートすることにより、ボイドの巻き込みを防止できる。
【0052】
第1絶縁層32の材料として、例えば熱硬化性を有する液状又はペースト状のエポキシ系樹脂やフェノール系樹脂等を主成分とする絶縁性樹脂を用いた場合には、半導体チップ20の回路形成面及び側面、並びに、第1配線層31の上面及び側面を封止するように、支持体51の一方の面に液状又はペースト状の第1絶縁層32を例えばロールコート法等により塗布する。そして、塗布した第1絶縁層32を硬化温度以上に加熱して硬化させる。
【0053】
次に、
図8に示す工程では、第1絶縁層32に、第1絶縁層32を貫通し第1配線層31の上面を露出させる第1ビアホール32xを形成する。第1ビアホール32xは、例えばCO
2レーザ等を用いたレーザ加工法により形成できる。レーザ加工法により形成した第1ビアホール32xは、第2絶縁層34が形成される側に開口されていると共に、第1配線層31の上面によって底面が形成された、開口部の面積が底面の面積よりも大となる円錐台状の凹部となる。第1ビアホール32xの開口部の径は、例えば150μm程度とすることができる。
【0054】
次に、
図9に示す工程では、第1絶縁層32に、第1絶縁層32を貫通し突起電極23の上面を露出する第2ビアホール32yを形成する。第2ビアホール32yは、例えばUVレーザ等を用いたレーザ加工法により形成できる。レーザ加工法により形成した第2ビアホール32yは、第2絶縁層34が形成される側に開口されていると共に、突起電極23の上面によって底面が形成された、開口部の面積が底面の面積よりも大となる円錐台状の凹部となる。第2ビアホール32yの開口部の径は、例えば30μm程度とすることができる。
【0055】
なお、第1ビアホール32x及び第2ビアホール32yをレーザ加工法により形成した場合には、
図9に示す工程後にデスミア処理を行い、第1ビアホール32xの底部に露出する第1配線層31の上面、及び第2ビアホール32yの底部に露出する突起電極23の上面に付着した第1絶縁層32の樹脂残渣を除去することが好ましい。
【0056】
次に、
図10に示す工程では、第1絶縁層32上に第2配線層33を形成する。第2配線層33は、第1ビアホール32xの側壁及び第1配線層31の上面に形成された第1ビア配線、第2ビアホール32y内に充填された第2ビア配線、及び第1絶縁層32上に形成された配線パターンを含んでいる。第2配線層33は、第1ビアホール32xの底部に露出した第1配線層31、及び第2ビアホール32yの底部に露出した突起電極23と電気的に接続されている。第2配線層33の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。第2配線層33を構成する配線パターンの厚さは、例えば10〜20μm程度とすることができる。なお、前述の理由により、第1ビア配線は第1ビアホール32x内に充填されてはいないが、第2ビア配線は第2ビアホール32y内に充填されている。
【0057】
第2配線層33は、セミアディティブ法やサブトラクティブ法等の各種の配線形成方法を用いて形成できるが、一例としてセミアディティブ法を用いて第2配線層33を形成する方法を以下に示す。
【0058】
まず、無電解めっき法又はスパッタ法により、第1ビアホール32xの底部に露出した第1配線層31の上面及び第2ビアホール32yの底部に露出した突起電極23の上面、並びに、第1ビアホール32xの側壁及び第2ビアホール32yの側壁を含む第1絶縁層32上に銅(Cu)等からなるシード層(図示せず)を形成する。更に、シード層上に第2配線層33に対応する開口部を備えたレジスト層(図示せず)を形成する。そして、シード層を給電層に利用した電解めっき法により、レジスト層の開口部に銅(Cu)等からなる配線層(図示せず)を形成する。続いて、レジスト層を除去した後に、配線層をマスクにして、配線層に覆われていない部分のシード層をエッチングにより除去する。これにより、第1ビアホール32xの側壁及び第1配線層31の上面に形成された第1ビア配線、第2ビアホール32y内に充填された第2ビア配線、及び第1絶縁層32上に形成された配線パターンを含む第2配線層33が形成される。
【0059】
次に、
図11に示す工程では、上記と同様な工程を繰り返すことにより、第1絶縁層32上に、第2絶縁層34、第3配線層35を積層する。すなわち、第1絶縁層32上に第2配線層33を被覆する第2絶縁層34を形成した後に、第2絶縁層34を貫通し第2配線層33の上面を露出する第3ビアホール34xを形成する。第2絶縁層34の材料としては、第1絶縁層32と同様の絶縁性樹脂を用いることができる。第2絶縁層34の厚さは、例えば15〜35μm程度とすることができる。第2絶縁層34は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0060】
更に、第2絶縁層34上に、第3ビアホール34xを介して第2配線層33に接続される第3配線層35を形成する。第3配線層35は、第3ビアホール34x内を充填するビア配線、及び第2絶縁層34上に形成された配線パターンを含んで構成されている。第3配線層35は、第3ビアホール34xの底部に露出した第2配線層33と電気的に接続される。第3配線層35の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。第3配線層35は、例えばセミアディティブ法により形成される。第3配線層35を構成する配線パターンの厚さは、例えば10〜20μm程度とすることができる。
【0061】
次に、
図12に示す工程では、第2絶縁層34上に、第3絶縁層36を積層する。第3絶縁層36は、ガラスクロス40に例えばエポキシ系樹脂を主成分とする絶縁性樹脂等を含浸させたものである。第3絶縁層36の厚さは、例えば50〜70μm程度とすることができる。第3絶縁層36は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。第3絶縁層36は、ガラスクロス40に例えばエポキシ系樹脂を主成分とする絶縁性樹脂等を含浸させた樹脂フィルム(プリプレグ)を準備し、第3配線層35を覆うように第2絶縁層34上に積層し、加圧及び加熱して樹脂を硬化させることにより形成できる。この際、真空雰囲気中で加圧及び加熱することにより、ボイドの巻き込みを防止できる。
【0062】
次に、
図13に示す工程では、第3絶縁層36上に、第4配線層37を積層する。すなわち、第3絶縁層36を貫通し第3配線層35の上面を露出する第4ビアホール36xを形成し、第3絶縁層36上に、第4ビアホール36xを介して第3配線層35に接続される第4配線層37を形成する。第4配線層37は、第4ビアホール36x内を充填するビア配線、及び第3絶縁層36上に形成された配線パターンを含んで構成されている。第4配線層37は、第4ビアホール36xの底部に露出した第3配線層35と電気的に接続される。第4配線層37の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。第4配線層37は、例えばセミアディティブ法により形成される。第4配線層37を構成する配線パターンの厚さは、例えば10〜20μm程度とすることができる。
【0063】
このようにして、支持体51の一方の面に所定のビルドアップ配線層が形成される。本実施の形態では、3層のビルドアップ配線層(第2配線層33、第3配線層35、及び第4配線層37)を形成したが、n層(nは1以上の整数)のビルドアップ配線層を形成してもよい。
【0064】
次に、
図14に示す工程では、第3絶縁層36上に、第4配線層37の一部を露出する開口部38xを有するソルダーレジスト層38を形成する。ソルダーレジスト層38は、例えば液状又はペースト状の感光性のエポキシ系やアクリル系の絶縁性樹脂を、第4配線層37を被覆するように第3絶縁層36上にスクリーン印刷法、ロールコート法、又は、スピンコート法等で塗布することにより形成できる。或いは、例えばフィルム状の感光性のエポキシ系やアクリル系の絶縁性樹脂を、第4配線層37を被覆するように第3絶縁層36上にラミネートすることにより形成してもよい。
【0065】
開口部38xは、塗布又はラミネートした絶縁性樹脂を露光及び現像することすることにより形成できる(フォトリソグラフィ法)。予め開口部38xを形成したフィルム状の絶縁性樹脂を、第4配線層37を被覆するように第3絶縁層36上にラミネートしても構わない。なお、ソルダーレジスト層38の材料として、非感光性の絶縁性樹脂を用いてもよい。この場合には、第3絶縁層36上にソルダーレジスト層38を形成して硬化させた後、例えばCO
2レーザ等を用いたレーザ加工法や、アルミナ砥粒等の研磨剤を用いたブラスト処理により開口部38xを形成すればよい。
【0066】
図14に示す工程により、開口部38xを有するソルダーレジスト層38が形成され、第4配線層37の一部が開口部38x内に露出する。必要に応じ、開口部38xの底部に露出する第4配線層37上に、例えば無電解めっき法等により金属層を形成してもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。
【0067】
次に、
図15に示す工程では、
図14に示す支持体51を除去する。銅箔から構成されている支持体51は、例えば塩化第二鉄水溶液や塩化第二銅水溶液、過硫酸アンモニウム水溶液、塩化アンモニウム銅水溶液、過酸化水素水・硫酸系のエッチング液等を用いたウェットエッチングにより除去できる。この際、第1絶縁層32から露出する第1配線層31の最表層は金(Au)膜等であり、第1絶縁層32から露出する半導体チップ20の裏面はシリコンであるため、銅箔から構成されている支持体51のみを選択的にエッチングできる。但し、第4配線層37が銅(Cu)から構成されている場合には、開口部38xの底部に露出する第4配線層37が支持体51とともにエッチングされることを防止するため、第4配線層37をマスクする必要がある。
【0068】
次に、
図16に示す工程では、開口部38xの底部に露出する第4配線層37上に(第4配線層37上に金属層が形成されている場合には、金属層の上に)外部接続端子39を形成する。外部接続端子39は、マザーボード等の実装基板や他の半導体パッケージ等(図示せず)に設けられたパッドと電気的に接続される端子として機能する。外部接続端子39としては、例えば、はんだボール等を用いることができる。はんだボールの材料としては、例えばPbを含む合金、SnとCuの合金、SnとSbの合金、SnとAgの合金、SnとAgとCuの合金等を用いることができる。
【0069】
外部接続端子39は、例えば開口部38xの底部に露出する第4配線層37上に(第4配線層37上に金属層が形成されている場合には、金属層の上に)、表面処理剤としてのフラックスを塗布した後、はんだボールを搭載し、240℃〜260℃程度の温度でリフローし、その後、表面を洗浄してフラックスを除去することにより形成できる。なお、外部接続端子39として、リードピン等を用いても構わない。
【0070】
但し、本実施の形態では外部接続端子39を形成しているが、外部接続端子39は必ずしも形成する必要はない。外部接続端子39を形成しない場合には、開口部38xの底部に露出する第4配線層37(第4配線層37上に金属層が形成されている場合には、金属層)自体が外部接続端子となる。このように、必要なときに外部接続端子39を形成できるように第4配線層37の一部がソルダーレジスト層38から露出していれば十分である。
【0071】
なお、
図3〜
図16では、支持体51上に1個の半導体パッケージ10を作製する例を示したが、支持体51上に複数の半導体パッケージ10となる部材を作製し、支持体51を除去して外部接続端子39を形成後、それをダイシング等によって切断して個片化し、複数の半導体パッケージ10を得るような工程としても構わない。又、個片化の際に、複数の半導体チップ20を有するように切断しても構わない。その場合には、複数の半導体チップ20を有する半導体パッケージが作製される。
【0072】
[第1の実施の形態に係る半導体パッケージの実装例]
次に、第1の実施の形態に係る半導体パッケージの実装例について説明する。
図17は、第1の実施の形態に係る半導体パッケージの実装例を示す断面図である。
図17を参照するに、マザーボード100上に半導体パッケージ10
1が実装され、更に半導体パッケージ10
1上に半導体パッケージ10
2が実装されている。なお、
図17では、便宜上、半導体パッケージ10
1及び10
2は別符号としているが、何れも半導体パッケージ10(
図1参照)と同一構造の半導体パッケージである。又、
図17において、半導体パッケージ10
1及び10
2は、
図1に示す半導体パッケージ10とは上下が反転した状態で描かれている。
【0073】
図17において、マザーボード100の電極パッド110と半導体パッケージ10
1の第2電極パッド37とは、半導体パッケージ10
1の外部接続端子39を介して、電気的に接続されている。又、半導体パッケージ10
1の第1電極パッド31と半導体パッケージ10
2の第2電極パッド37とは、半導体パッケージ10
2の外部接続端子39を介して、電気的に接続されている。
【0074】
このように、マザーボード100上に、半導体パッケージ10
1及び10
2を積層することができる。なお、半導体パッケージ10を3個以上積層してもよい。又、半導体パッケージ10
2に代えて、或いは、半導体パッケージ10
2に加えて、他の半導体パッケージや半導体チップ、抵抗やコンデンサ等の電子部品を半導体パッケージ10
1に実装してもよい。
【0075】
以上のように、第1の実施の形態によれば、半導体パッケージ10において、半導体チップ20を内蔵した第1絶縁層32の他方の側にガラスクロス40を内蔵する第3絶縁層36を設けた。これにより、第3絶縁層36が絶縁性樹脂のみから構成される場合に比べて、他方の側の物性値(熱膨張係数やヤング率)を半導体チップ20を内蔵する第1絶縁層32側(一方の側)の物性値に近づけることができる。又、第3絶縁層36が絶縁性樹脂のみから構成される場合と異なり、ガラスクロス40を内蔵する第3絶縁層36は260℃程度の環境下にあっても強度を保持できる。その結果、半導体パッケージ10が熱応力等により反ることを防止できる。又、半導体パッケージ10全体の剛性を向上することが可能となり、特に260℃程度の環境下にあっても半導体パッケージ10の形状を安定化できる。
【0076】
〈第1の実施の形態の変形例1〉
第1の実施の形態の変形例1では、第1絶縁層32(封止絶縁層)から最も遠い絶縁層にあたるソルダーレジスト層に、ガラスクロス40を内蔵する例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例1において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0077】
図18は、第1の実施の形態の変形例1に係る半導体パッケージを例示する断面図である。
図18を参照するに、半導体パッケージ10Aは、第3絶縁層36が第3絶縁層46に置換され、ソルダーレジスト層38がソルダーレジスト層48に置換された点が、半導体パッケージ10(
図1参照)と相違する。
【0078】
第3絶縁層46は、第3絶縁層36とは異なり、ガラスクロス40を内蔵していない。第3絶縁層46の材料としては、例えばエポキシ系樹脂やフェノール系樹脂等を主成分とする熱硬化性の絶縁性樹脂を用いることができる。第3絶縁層46の厚さは、例えば15〜35μm程度とすることができる。第3絶縁層46は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0079】
ソルダーレジスト層48は、ソルダーレジスト層38とは異なり、ガラスクロス40を内蔵している。より詳しくは、ソルダーレジスト層48は、ガラスクロス40に例えばエポキシ系樹脂を主成分とする絶縁性樹脂等を含浸させたものである。ソルダーレジスト層48の厚さは、例えば50〜70μm程度とすることができる。ソルダーレジスト層48は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0080】
半導体パッケージ10Aは、半導体パッケージ10と略同様の製造工程により作製できる。但し、
図12に示す工程において、ガラスクロス40を内蔵していない第3絶縁層46を形成し、
図14に示す工程において、ガラスクロス40を内蔵しているソルダーレジスト層48を形成する点が相違する。なお、
図14に示す工程において、フォトリソグラフィ法を用いて開口部48xを形成すると、絶縁性樹脂は除去できるがガラスクロス40は除去できない。
【0081】
そこで、絶縁性樹脂と共にガラスクロス40を除去するため、例えばCO
2レーザ等を用いたレーザ加工法や、アルミナ砥粒等の研磨剤を用いたウェットブラスト処理等のブラスト処理により開口部48xを形成する必要がある。但し、レーザ加工法よりもブラスト処理により開口部48xを形成する方が好適である。これに関して、
図19を参照しながら説明する。
図19は、
図18の開口部近傍を拡大して例示する断面図である(ブラスト処理により開口部48xを形成した場合の図)。なお、
図19において、外部接続端子39は省略されている。
【0082】
ソルダーレジスト層48にレーザ加工法で形成した開口部は、側壁の断面が直線的なテーパ形状になる(図示せず)。これに対して、ソルダーレジスト層48にウェットブラスト処理等のブラスト処理により形成した開口部48xは、
図19に示すように、側壁の断面が凹型R形状となる。よって、外部接続端子39を形成する際に、振り込み法によりはんだボールを開口部48x内に露出する第2電極パッド37に搭載する場合、開口部48xの凹型R形状の壁面に沿って球状のはんだボールが振り込まれるため、はんだボールを搭載しやすくなる。
【0083】
又、開口部48xをレーザ加工法で形成すると、ソルダーレジスト層48を構成する絶縁性樹脂とガラスクロス40とのエッチングレートの違いにより、開口部48xの側壁からガラスクロス40の端部が突出する。これに対して、開口部48xをウェットブラスト処理等のブラスト処理により形成すると、ガラスクロス40の端部も研磨剤により研磨されるため、開口部48xの側壁からガラスクロス40の端部が突出することはない。その結果、はんだボール等の外部接続端子39を形成する際に、はんだボール等がガラスクロス40の突出部分に引っかからず、開口部48xにはんだボール等を搭載しやすくなる。又、開口部48x内に露出する第4配線層37(第2電極パッド37)上に容易にめっきを施すことができる。
【0084】
更に、ソルダーレジスト層48にウェットブラスト処理等のブラスト処理により開口部48xを形成する際には、側壁の断面が凹型R形状の開口部48xを形成すると共に、開口部48x内に露出する最上層の配線層である第4配線層37(第2電極パッド37)に、凹型R形状と連続した凹部37xを形成すると好適である。凹部37xを形成することにより、開口部48xを形成後の開口部48x内のデスミア処理は不要となる。
【0085】
このように、第3絶縁層46にガラスクロス40を内蔵せずに、ソルダーレジスト層48にガラスクロス40を内蔵しても、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0086】
つまり、ガラスクロス40は、半導体チップ20を内蔵する第1絶縁層32の他方の側に設けることが重要であり、第1絶縁層32から最も遠い絶縁層(ソルダーレジスト層)にガラスクロス40を内蔵してもよいし、第1絶縁層32から最も遠い絶縁層(ソルダーレジスト層)に隣接する絶縁層(第3絶縁層)にガラスクロス40を内蔵してもよい。但し、これらの両方の絶縁層にガラスクロス40を内蔵してもよいし、更に、他の絶縁層にガラスクロス40を内蔵してもよい。なお、第1絶縁層32に近い絶縁層のみにガラスクロス40を内蔵すると、反り低減等の効果は低下する。
【0087】
又、ソルダーレジスト層48にウェットブラスト処理等のブラスト処理により開口部48xを形成することにより、ガラスクロス40の端部が開口部48xの側壁から突出しないため、開口部48x内に露出する第4配線層37(第2電極パッド37)上に容易にめっきを施すことができ、又、開口部48xに容易に接続用のピンやはんだボール、リードピン等の外部接続端子39を配置できる。
【0088】
〈第1の実施の形態の変形例2〉
第1の実施の形態の変形例2では、第1電極パッド31を設けない例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例2において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0089】
図20は、第1の実施の形態の変形例2に係る半導体パッケージを例示する断面図である。
図20を参照するに、半導体パッケージ10Bは、第1配線層31(第1電極パッド31)及び第1ビアホール32xが設けられていない点が、半導体パッケージ10(
図1参照)と相違する。半導体パッケージ10Bは、半導体パッケージ10と略同様の製造工程により作製できる。但し、第1配線層31(第1電極パッド31)及び第1ビアホール32xを設ける工程は不要である。このように、電極パッドは、半導体パッケージの少なくとも一方の側に設ければよい。
【0090】
図21は、第1の実施の形態の変形例2に係る半導体パッケージの実装例を示す断面図である。
図21を参照するに、マザーボード100上に半導体パッケージ10Bが実装されている。より詳しくは、マザーボード100の電極パッド110と半導体パッケージ10Bの第2電極パッド37とは、半導体パッケージ10Bの外部接続端子39を介して、電気的に接続されている。なお、
図21において、半導体パッケージ10Bは、
図20とは上下が反転した状態で描かれている。
【0091】
このように、マザーボード100上に、複数の半導体パッケージを積層する必要がない場合には、半導体パッケージ10Bのように、電極パッドを一方の側のみに設ければよい。
【0092】
〈第1の実施の形態の変形例3〉
第1の実施の形態の変形例3では、第1電極パッド31を第1絶縁層32の下面より窪んだ位置に設ける例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例3において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0093】
図22は、第1の実施の形態の変形例3に係る半導体パッケージを例示する断面図である。
図22を参照するに、半導体パッケージ10Cは、第1配線層31(第1電極パッド31)が第1絶縁層32の下面より窪んだ位置に設けられている(凹部32zが形成されている)点が、半導体パッケージ10(
図1参照)と相違する。
【0094】
半導体パッケージ10Cは、以下のような製造工程により作製できる。まず、第1の実施の形態の
図3及び
図4と同様の工程を実施した後、
図23に示す工程で、支持体51をめっき給電層に利用する電解めっき法等により、支持体51の一方の面の開口部52x内に、犠牲層53を形成する。そして、犠牲層53上に、
図5に示す工程と同様にして、第1層31a及び第2層31bから構成される第1配線層31を積層形成する。
【0095】
犠牲層53の材料は、支持体51と同一材料とする。後述の
図25に示す工程で、支持体51と共にエッチングにより除去するためである。ここでは、支持体51として銅箔を用いているため、犠牲層53の材料として銅(Cu)を用いる。犠牲層53の厚さは、最終的に第1電極パッド31が第1絶縁層32の下面より窪む深さ(凹部32zの深さ)に相当する。従って、犠牲層53の厚さは適宜決定することができるが、例えば1〜30μm程度とすることができる。
【0096】
次に、第1の実施の形態の
図6〜
図14と同様の工程を実施し、
図24に示す構造体を作製する。そして、
図25に示す工程で、
図24に示す支持体51及び犠牲層53を除去する。銅から構成されている支持体51及び犠牲層53は、例えば塩化第二鉄水溶液や塩化第二銅水溶液、過硫酸アンモニウム水溶液、塩化アンモニウム銅水溶液、過酸化水素水・硫酸系のエッチング液等を用いたウェットエッチングにより除去できる。
【0097】
この際、第1絶縁層32の下面から窪んだ位置にある第1配線層31の最表層は金(Au)膜等であり、第1絶縁層32から露出する半導体チップ20の裏面はシリコンであるため、銅から構成されている支持体51及び犠牲層53のみを選択的にエッチングできる。これにより、凹部32zが形成されて、第1配線層31は第1絶縁層32の下面から窪んだ位置に露出する。但し、第4配線層37が銅(Cu)から構成されている場合には、開口部38xの底部に露出する第4配線層37が支持体51とともにエッチングされることを防止するため、第4配線層37をマスクする必要がある。
【0098】
次に、第1の実施の形態の
図16と同様の工程を実施することにより、
図22に示す半導体パッケージ10Cが完成する。
【0099】
図26は、第1の実施の形態の変形例3に係る半導体パッケージの実装例を示す断面図である。
図26を参照するに、マザーボード100上に半導体パッケージ10C
1が実装され、更に半導体パッケージ10C
1上に半導体パッケージ10C
2が実装されている。なお、
図26では、便宜上、半導体パッケージ10C
1及び10C
2は別符号としているが、何れも半導体パッケージ10C(
図22参照)と同一構造の半導体パッケージである。又、
図26において、半導体パッケージ10C
1及び10C
2は、
図22に示す半導体パッケージ10Cとは上下が反転した状態で描かれている。
【0100】
図26において、マザーボード100の電極パッド110と半導体パッケージ10C
1の第2電極パッド37とは、半導体パッケージ10C
1の外部接続端子39を介して、電気的に接続されている。又、半導体パッケージ10C
1の第1電極パッド31と半導体パッケージ10C
2の第2電極パッド37とは、半導体パッケージ10C
2の外部接続端子39を介して、電気的に接続されている。
【0101】
半導体パッケージ10C
1上に半導体パッケージ10C
2を実装する際に、半導体パッケージ10C
2の外部接続端子39が半導体パッケージ10C
1の凹部32z内に入り込むため、半導体パッケージ10C
1に対する半導体パッケージ10C
2の位置決めが容易となる。
【0102】
このように、マザーボード100上に、半導体パッケージ10C
1及び10C
2を積層することができる。なお、半導体パッケージ10Cを3個以上積層してもよい。又、半導体パッケージ10C
2に代えて、或いは、半導体パッケージ10C
2に加えて、他の半導体パッケージや半導体チップ、抵抗やコンデンサ等の電子部品を半導体パッケージ10C
1に実装してもよい。
【0103】
以上のように、第1の実施の形態の変形例3によれば、第1の実施の形態と同様の効果を奏するが、更に、以下の効果を奏する。すなわち、第1電極パッド31を第1絶縁層32の下面より窪んだ位置に設けることにより、半導体パッケージ10Cを積層する際の位置決めが容易となる。
【0104】
〈反りのシミュレーション〉
図1において第2配線層33と第2絶縁層34との間に、更に絶縁層と配線層を交互に3層ずつ挿入した、全部で7つの配線層及び7つの絶縁層(1つのソルダーレジスト層を含む)を有する半導体パッケージ(便宜上、半導体パッケージ10Dとする)について、反りのシミュレーションを実行した。
【0105】
シミュレーション条件としては、半導体パッケージ10Dの平面形状を12mm×12mmの矩形状とし、半導体パッケージ10Dの総厚を500μmとした。又、第1絶縁層32に内蔵された半導体チップ20の平面形状を8mm×8mmの矩形状とし、半導体チップ20の総厚を90μmとした。又、半導体チップ20の材料をシリコン、各絶縁層の材料をエポキシ系樹脂、各配線層の材料を銅(Cu)とした。又、ガラスクロス40としては、IPC#1015タイプのガラスクロスを用いた。
【0106】
又、便宜上、下層側から、第1配線層31を0層、第2配線層33を1層、新たに挿入された3つの配線層をそれぞれ2層、3層、4層、第3配線層35を5層、第4配線層37を6層と称する。
【0107】
又、0層と1層に挟持された絶縁層をL01、1層と2層に挟持された絶縁層をL12、2層と3層に挟持された絶縁層をL23、3層と4層に挟持された絶縁層をL34、4層と5層に挟持された絶縁層をL45、5層と6層に挟持された絶縁層をL56、6層を覆う絶縁層をSRと称する。つまり、L01は第1絶縁層32、L12,L23,L34は新たに挿入された3つの絶縁層、L45は第2絶縁層34、L56は第3絶縁層36、SRはソルダーレジスト層38である。
【0108】
シミュレーションでは、まず、7つの絶縁層(L01〜L56及びSR)の何れにもガラスクロス40を内蔵していない状態(
図27等で初期と表示)について、25℃及び260℃における反りを求めた。次に、SRのみにガラスクロス40を内蔵した状態(
図27等でSRと表示)、SR及びL56にそれぞれガラスクロス40を内蔵した状態(
図27等で+L56と表示)、SR,L56,及びL45にそれぞれガラスクロス40を内蔵した状態(
図27等で+L45と表示)、SR,L56,L45,及びL34にそれぞれガラスクロス40を内蔵した状態(
図27等で+L34と表示)、SR,L56,L45,L34,及びL23にそれぞれガラスクロス40を内蔵した状態(
図27等で+L23と表示)、SR,L56,L45,L34,L23,及びL12にそれぞれガラスクロス40を内蔵した状態(
図27等で+L12と表示)、のそれぞれについて、25℃及び260℃における初期に対する相対的な反りを求めた。
【0109】
シミュレーション結果を表1、
図27、及び
図28に示す。表1及び
図27は、25℃及び260℃における初期の反りをそれぞれ1とした場合の、上記各状態における反りの相対値を示している。
図28は、上記各状態における反りの変化率を示している。
【0110】
【表1】
表1及び
図27に示すように、ソルダーレジスト層38のみにガラスクロス40を内蔵させると(SR)、25℃(室温)における半導体パッケージ10Dの反りは3%程度減少し、260℃(高温)における半導体パッケージ10Dの反りは10%程度減少する。又、ガラスクロス40を内蔵する層が増加すると、半導体パッケージ10Dの反りが更に減少する。又、
図28に示すように、ガラスクロス40を内蔵する層が増加すると、25℃(室温)の反りは同程度の割合で減少し続けるが、260℃(高温)の反りはソルダーレジスト層38に近い層にガラスクロス40を内蔵する方が反りの減少率が大きい。つまり、ソルダーレジスト層38に近い層にガラスクロス40を内蔵する方が反りの減少に対する効果が高い。
【0111】
以上のように、ソルダーレジスト層38や第3絶縁層36等にガラスクロス40を内蔵することにより、半導体パッケージ10Dの反りを低減できることが確認された。
【0112】
以上、好ましい実施の形態及びその変形例について詳説したが、上述した実施の形態及びその変形例に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態及びその変形例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0113】
例えば、第1の実施の形態の変形例1に対して、更に、第1の実施の形態の変形例2や第1の実施の形態の変形例3と同様な変形を加えてもよい。