特許第5715969号(P5715969)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社堀場エステックの特許一覧

<>
  • 特許5715969-流体抵抗デバイス 図000002
  • 特許5715969-流体抵抗デバイス 図000003
  • 特許5715969-流体抵抗デバイス 図000004
  • 特許5715969-流体抵抗デバイス 図000005
  • 特許5715969-流体抵抗デバイス 図000006
  • 特許5715969-流体抵抗デバイス 図000007
  • 特許5715969-流体抵抗デバイス 図000008
  • 特許5715969-流体抵抗デバイス 図000009
  • 特許5715969-流体抵抗デバイス 図000010
  • 特許5715969-流体抵抗デバイス 図000011
  • 特許5715969-流体抵抗デバイス 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5715969
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】流体抵抗デバイス
(51)【国際特許分類】
   F15D 1/02 20060101AFI20150423BHJP
   G01F 1/40 20060101ALI20150423BHJP
【FI】
   F15D1/02 E
   G01F1/40
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-12050(P2012-12050)
(22)【出願日】2012年1月24日
(65)【公開番号】特開2013-151956(P2013-151956A)
(43)【公開日】2013年8月8日
【審査請求日】2014年1月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000127961
【氏名又は名称】株式会社堀場エステック
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100113468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(72)【発明者】
【氏名】矢田 秀貴
(72)【発明者】
【氏名】畑板 剛久
(72)【発明者】
【氏名】岸田 創太郎
【審査官】 吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭52−160810(JP,U)
【文献】 特表2009−505011(JP,A)
【文献】 特表2010−522851(JP,A)
【文献】 特開2009−204626(JP,A)
【文献】 特開2004−052900(JP,A)
【文献】 特開平09−144886(JP,A)
【文献】 米国特許第3779076(US,A)
【文献】 英国特許出願公告第1165723(GB,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0258572(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0078329(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0275972(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15D 1/02
F15C 1/06
F16J 15/08
G01F 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側流路、下流側流路及びそれら流路間を接続する流体抵抗路が形成され、前記上流側流路と前記下流側流路との間に所定の差圧を発生させる流体抵抗デバイスであって、
互いに対向する対向面を有するとともに、前記対向面における互いに偏位した箇所に、前記上流側流路の下流端及び前記下流側流路の上流端を開口させた2つの部材と、
前記下流端開口及び上流端開口を取り囲むように配置され、前記対向面に挟まれることによって該下流端開口及び上流端開口の間に前記流体抵抗路を形成し、前記2つの部材とは別体をなす環状シール部材とを具備し、
前記環状シール部材を前記各部材よりも固い素材で形成しておき、前記対向面が接近するように2つの部材を締め付けることによって、前記環状シール部材が前記対向面に食い込むように構成していることを特徴とする流体抵抗デバイス。
【請求項2】
前記下流端開口と上流端開口とがともに一方の部材の対向面に形成してある請求項1記載の流体抵抗デバイス。
【請求項3】
前記下流端開口と上流端開口との間において、前記環状シール部材の対向する内縁部が互いに等しい距離を保ちながら平行に延伸する平行延伸部が形成してあり、該平行延伸部において横断面に比べて長さが十分に長い流体抵抗路が形成されている請求項1又は2記載の流体抵抗デバイス。
【請求項4】
前記環状シール部材が、中央部材と、該中央部材における一方の対向面を向く面の一部から突出する第1突出部と、該中央部材における他方の対向面を向く面の一部から突出する第2突出部とから構成されている請求項1乃至3いずれか記載の流体抵抗デバイス。
【請求項5】
前記第1突出部が前記中央部材の内端部から突出しており、前記第突出部が前記中央部材の外端部から突出している請求項4記載の流体抵抗デバイス。
【請求項6】
前記第1突出部が前記中央部材の中央部から突出しており、前記第2突出部が前記中央部材の内端部及び外端部からそれぞれ突出した一対のものである請求項4記載の流体抵抗デバイス。
【請求項7】
上流側流路、下流側流路及びそれら流路間を接続する流体抵抗路が形成され、前記上流側流路と前記下流側流路との間に所定の差圧を発生させる流体抵抗デバイスであって、
互いに対向する対向面を有するとともに、前記対向面における互いに偏位した箇所に、前記上流側流路の下流端及び前記下流側流路の上流端を開口させた2つの部材と、
前記下流端開口及び上流端開口を取り囲むように配置され、前記対向面に挟まれることによって該下流端開口及び上流端開口の間に前記流体抵抗路を形成し、前記2つの部材とは別体をなす環状シール部材とを具備し、
前記各部材を前記環状シール部材よりも固い素材で形成しておき、前記対向面が接近するように2つの部材を締め付けることによって、前記対向面が前記環状シール部材に食い込むように構成していることを特徴とする流体抵抗デバイス。
【請求項8】
前記各対向面に環状の突条がそれぞれ形成してあり、各突条が前記環状シール部材の表面及び裏面に食い込むように構成してある請求項7記載の流体抵抗デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流量を測定するときなどに用いられる、例えば差圧を発生させるための流体抵抗デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
差圧式の流量測定装置や流量制御装置などでは、差圧を発生させるための流体抵抗デバイスを使用する。代表的な流体抵抗デバイスとしては、板材に細孔を開けて形成したオリフィス部材や、金属細管によって形成したキャピラリ部材などを挙げることができる。
【0003】
ところで、オリフィス部材を用いるかキャピラリ部材を用いるかは、流体の流量や粘度、流量などによって適宜選択されるが、ここでキャピラリ部材に着目すると、従来、キャピラリ部材は、例えば、特許文献1における図1図2等に示すように、ブロック体などに形成した流体流路に金属細管5を溶接接続して構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−204626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記溶接作業には非常な手間と技術力とが必要とされ、コストアップ等を招くという不具合がある。また、流体抵抗を大きくしたい場合に、金属細管を細くすると、前記溶接作業がさらに難しくなったりすることから、金属細管を長くせざるを得なくなり、コンパクト化を図れないという不具合もある。さらに、キャピラリ部材を一定の大きさに収める必要があることから金属細管を曲げる工程も存在するところ、その曲げ工程のときに内径が僅かに変わるなどして流体抵抗値が変化するため、製品毎の性能の均一化を図ることが難しい。
【0006】
本発明はかかる課題を解決すべく、シール部材を利用して流体抵抗路を形成するという全く新しい発想に基づいてなされたものであって、簡単に製作できてコンパクト化を図れ、さらには性能の均一化や精度向上等にも寄与できる流体抵抗デバイスを提供することをその主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明に係る流体抵抗デバイスは、内部に上流側流路、下流側流路及びそれら流路間を接続する流体抵抗路が形成され、前記上流側流路と前記下流側流路との間に所定の差圧を発生させるものであって、
互いに対向する対向面を有するとともに、前記対向面における互いに偏位した箇所に、前記上流側流路の下流端及び前記下流側流路の上流端を開口させた2つの部材と、
前記下流端開口及び上流端開口を取り囲むように配置され、前記対向面に挟まれることによって該下流端開口及び上流端開口の間に前記流体抵抗路を形成し、前記2つの部材とは別体をなす環状シール部材とを具備し、
前記環状シール部材を前記各部材よりも固い素材で形成しておき、前記対向面が接近するように2つの部材を締め付けることによって、前記環状シール部材が前記対向面に食い込むように構成していることを特徴とする。
【0008】
このようなものであれば、例えば予め型成形などで作っておいた環状体を、一方の部材の対向面における所定位置に載せ、そこに他方の部材を取り付けるだけで、環状体の内周縁と各対向面に囲まれた流体抵抗路を形成することができる。したがって、溶接などの複雑な作業をすることなく、極めて簡単に流体抵抗デバイスを製造することができる。
また、流体抵抗路の寸法精度を向上させることが容易にできるので、性能のばらつきが少ない流体抵抗デバイスを提供できる。
さらに、流体抵抗路を形成する環状体が、各部材の対向面にそれぞれ食い込んでシール部材の機能をも担うので、部品点数の削減を図ることができる。
また、前記部材は共通にして、挟みこむ環状体の種類さえ変えれば、様々な流体抵抗特性を有する流体抵抗デバイスを簡単に製造することができ、製品としてのラインアップを容易に取り揃えることができる。
【0009】
一方の部材にのみ上流側流路や下流側流路を形成するようにして、他方の部材の構造の簡単化を図るには、前記下流端開口と上流端開口とがともに一方の部材の対向面に形成してあるものが望ましい。
【0010】
キャピラリを形成する具体的態様としては、前記下流端開口と上流端開口との間において、環状体の対向する内縁部が互いに等しい距離を保ちながら平行に延伸する平行延伸部が形成してあり、該平行延伸部において横断面に比べて長さが十分に長いキャピラリが形成されているものを挙げることができる。
【0011】
前記環状体が、中央部材と、該中央部材における一方の対向面を向く面の一部から突出する第1突出部と、該中央部材における他方の対向面を向く面の一部から突出する第2突出部とから構成されていれば、環状体の中央部は各突出部に比べて幅広であることから該中央部は対向面にほとんど食い込まず、突出部のみが対向面に食い込むこととなるので、この中央部の高さ分だけの寸法精度のよい隙間が対向面間に形成されることとなる。その結果、流体抵抗路の形状、寸法を極めて精度よく再現することができ、性能のばらつきがより少ない性能の良い流体抵抗デバイスを提供できる。
【0012】
具体的には、前記第1突出部が前記中央部材の内端部から突出しており、前記第突出部が前記中央部材の外端部から突出しているものを挙げることができる。このようなものであれば、横断面から視て環状シール部材が若干回転しながら、すなわち突出部が斜めに傾きながら各対向面に食い込んでいくので、食い込み箇所において、単に上下方向だけでなく横方向にも応力が生じ、シールをより確実に行うことができる。
【0013】
前記第1突出部が前記中央部材の中央部から突出しており、前記第2突出部が前記中央部材の内端部及び外端部からそれぞれ突出した一対のものであってもよい。
【0014】
また、本発明は、上流側流路、下流側流路及びそれら流路間を接続する流体抵抗路が形成され、前記上流側流路と前記下流側流路との間に所定の差圧を発生させる流体抵抗デバイスであって、
互いに対向する対向面を有するとともに、前記対向面における互いに偏位した箇所に、前記上流側流路の下流端及び前記下流側流路の上流端を開口させた2つの部材と、前記下流端開口及び上流端開口を取り囲むように配置され、前記対向面に挟まれることによって該下流端開口及び上流端開口の間に前記流体抵抗路を形成する環状シール部材とを具備し、前記各部材を前記環状シール部材よりも固い素材で形成しておき、前記対向面が接近するように2つの部材を締め付けることによって、前記対向面が前記環状シール部材に食い込むように構成していることを特徴とするものでも構わない。
【0015】
この場合に、シールをより確実に図る具体的態様としては、前記各対向面に環状の突条がそれぞれ形成してあり、各突条が環状体の表面及び裏面に食い込むように構成してあるものが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
このように構成した本発明によれば、環状体がシール部材としても流体抵抗路の形成部材としても機能するので、簡単に製作できてコンパクト化や部品点数の削減を図れ、さらには性能の均一化や精度向上等にも寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態における流体抵抗デバイスの模式的全体図。
図2】同実施形態における流体抵抗デバイスの模式的分解斜視図。
図3】同実施形態における環状体の平面図。
図4】同実施形態における環状体の部分斜視図。
図5】同実施形態における流体抵抗デバイスの組み立て手順を説明する横断面から見た組み立て説明図。
図6】本発明の他の実施形態における流体抵抗デバイスの組み立て手順を説明する横断面から見た組み立て説明図。
図7】本発明のさらに他の実施形態における環状体の横断面図。
図8】本発明のさらに他の実施形態における環状体の平面図。
図9】本発明のさらに他の実施形態における環状体の平面図。
図10】本発明のさらに他の実施形態における流体抵抗デバイスの模式的分解斜視図。
図11】同実施形態における流体抵抗デバイスの組み立て手順を説明する横断面から見た組み立て説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本実施形態にかかる流体抵抗デバイス100を図面を参照して説明する。
【0019】
この流体抵抗デバイス100は、例えば流量制御装置の一部、すなわち、この流体抵抗デバイス100の前後の圧力を測定して流量を測定する部分(具体的には3cc/min以下の液体流量測定部分)を構成するものであり、図1に示すように、全体として直方体ブロック状をなし、その内部には、流体が流れる上流側流路(図示しない)、下流側流路(図示しない)及びそれら流路間を接続する流体抵抗路5(図2等参照)が形成してある。
より具体的に説明すると、この流体抵抗デバイス100は、図2に示すように、2つの部材たる本体部材1及び蓋部材2と環状体3とを具備している。
【0020】
本体部材1は、直方体形状をなす金属製のものであり、内部に前記上流側流路及び下流側流路が形成してある。これら各流路は実質的に流体の抵抗にはならない十分な大きさの断面積を有するものであり、前記上流側流路の下流端41及び前記下流側流路の上流端42は、この本体部材1の上面1a(請求項の対向面)における異なる位置に開口させてある。
【0021】
蓋部材2は、前記本体部材1の上面1aに取り付けられる平板状金属製のものであり、平面視、その輪郭形状を前記本体部材1と合致させてある。なお、前記本体部材1及び蓋部材2は、例えば、耐腐食性に富むSUS316Lを素材とするものである。
【0022】
環状体3は、図2図4に示すように、本体部材1及び蓋部材2の対向面1a、2a間(本体部材1の上面1aと蓋部材2の下面2aとの間)に挟まれて保持される金属製のものであって、前記下流端開口41及び上流端開口42を含んで取り囲むように配置される。
【0023】
詳述すれば、この環状体3は、平面方向から視ると、図3に示すように、各開口41、42の周囲にそれぞれ配置される一対の部分円弧部31と、前記部分円弧部31間に設けられて、対向する内縁部321が等しい距離を保って直線的に平行に延伸する平行延伸部32とからなるものである。なお、この部分円弧部31は、その内径が前記開口41、42の径よりも大きくしてあり、この環状体3の本体部材1に対する位置ずれをある程度許容できるように構成してある。
【0024】
一方、この環状体3は、図4図5等に示すように、延伸方向と直交する面で切った横断面形状が等しいものであり、この横断面方向から視ると、この環状体3は、横長の矩形状をなす中央部3aと、前記中央部3aの中央から蓋部材2に向かって突出する第1突出部3bと、前記中央部3aの各外端部から本体部材1に向かって突出する一対の第2突出部3cとからなるものである。なお、この環状体3は、前記本体部材1及び蓋部材2よりも固い素材、例えばここではSUS316LHを採用している。
【0025】
次に、この流体抵抗デバイス100の組み立て方を説明する。
まず、図2に示すように、本体部材1の上面に環状体3を載せる。このとき、環状体3の各部分円弧部31が前記下流端開口41と上流端開口42との周囲にそれぞれ配置されるようにする。
【0026】
次に、図5(a)に示すように、環状体3が載った本体部材1の上に蓋部材2を載せる。そして、蓋部材2の周縁部からねじNを所定トルクで締結して本体部材1と蓋部材2とを互いの対向面1a、2aが近づくように押圧する。
【0027】
この過程で、環状体3は、図5(b)に示すように、横断面から視て僅かに回転しながら、その第1突出部3bを蓋部材2の下面(対向面)2aに、第2突出部3cを本体部材1の上面(対向面)1aにそれぞれ食い込ませる。環状体3の方が蓋部材2及び本体部材1よりも固い素材で形成しているからである。
【0028】
一方、環状体3の中央部3aは突出部3b、3cに比べて幅広であることから対向面1a、2aにほとんど食い込まないので、この中央部3aの略高さ分だけの寸法精度のよい隙間が対向面1a、2a間に形成されることとなる。
【0029】
そして、このことによって、図5(b)に示すように、環状体3における平行延伸部32の内縁部321間及び対向面1a、2a間に囲まれて、横断面積に比べ長さが十分に長い流体抵抗路5であるキャピラリが形成される。
【0030】
しかしてこのような構成によれば、予めエッチング成形や型成形などで作っておいた環状体3を、本体部材1の上面所定位置に載せ、蓋部材2を取り付けるだけで、溶接などの複雑な作業をすることなく、極めて簡単に流体抵抗デバイス100を製造することができる。
【0031】
また、流体抵抗路5は、その幅寸法が環状体3の内縁部321間の距離、その高さ寸法が環状体3の中央部3aの高さでそれぞれ規定されるので、その形状、寸法を極めて精度よく再現することができる。したがって性能のばらつきが少ない流体抵抗デバイス100を提供できる。
【0032】
さらに、流体抵抗路5を形成する環状体3が、蓋部材2及び本体部材1の対向面1a、2aにそれぞれ食い込んでシール部材の機能をも担うので、部品点数の削減を図ることができる。
【0033】
加えて、この実施形態では、横断面方向から視て第2突出部3cがやや斜めに傾いて開きながら各対向面1a、2aに食い込んでいくので、食い込み箇所において、単に上下方向だけでなく横方向にも応力が生じ、シールを確実に行うことができる。
【0034】
また、本体部材1と蓋部材2とは共通にして挟みこむ環状体3の種類さえ変えれば、様々な流体抵抗特性を有する流体抵抗デバイス100を簡単に製造することができ、製品としてのラインアップを容易に取り揃えることができる。
【0035】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
例えば、環状体3の横断面形状を、図6(a)に示すように、第1突出部3bが中央部3aの内端部から突出しており、前記第2突出部3cが前記中央部3aの外端部から突出したものとしてもよい。このようなものであれば、図6(b)に示すように、横断面方向から視て、環状体3が若干回転しながら、各対向面1a、2aに食い込んでいくこととなる。このように環状体3を横断面で見て上下非対称な形状にしておくことで、第1突出部3b、第2突出部3cの双方に横方向にも力が加わって、図6(b)に示すような、横方向への変形が見込まれるので、シールを確実にすることができる。
【0036】
また、環状体3の横断面形状を、図7に示すように、単純な縦長矩形状のものとしてもよい。この場合は、対向面1a、2a間の距離を規定するスペーサを別に設けておくことが好ましい。
【0037】
環状体3の平行延伸部32が、図8に示すように、曲線状をなし、曲がりくねっていてもよい。このような構成によれば、流体抵抗路5の長さを無理なく長くすることができる。
環状体3に平行延伸部32がなく、平面視、例えば、図9に示す楕円形状や円形状をなすものとしてもよい。
【0038】
上流側流路と下流側流路とは、前記実施形態のように、部材の一方にのみ設ける必要はなく、例えば、一方の部材に上流側流路、他方の部材に下流側流路を設けてもよい。その場合は、下流端開口が一方の部材の対向面、上流端開口が他方の部材の対向面にそれぞれ設けられることとなる。
【0039】
さらに、図10図11に示すように、部材1、2の方を環状体3よりも固くしても構わない。この場合は、例えば、部材1、2の対向面1a、2aにそれぞれ突条1d、2dを設け、図11(b)に特に示すように、横断面扁平な形状をなす環状体3の表裏面に突条1d、2dが食い込むように構成すればよい。
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0040】
100・・・流体抵抗デバイス
1・・・本体部材
2・・・蓋部材
1a、2a・・・対向面
3・・・環状体
3a・・・中央部
3b・・・第1突出部
3c・・・第2突出部
32・・・平行延伸部
41・・・下流端開口
42・・・上流端開口
5・・・流体抵抗路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11