(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
キャスターが取り付けられた支持枠と、該支持枠の両端部に立設された左右の支柱と、該各支柱間に対し水平に取り付けられた天板とを備えたカート本体で構成されるスタッキング可能な医療用カートであって、
前記支持枠を、前記医療用カートのスタッキング方向の上流側から下流側に向けて徐々に幅狭となる形状に形成し、
前記天板の一端側を、前記左右の支柱に対し上下回動自在に枢着し、かつ、該天板の他端側を、前記天板の枢着部を中心として水平姿勢と傾斜姿勢とに上下揺動可能に設け、
前記天板の枢着側端部及び揺動側端部を、複数台の前記医療用カートをスタッキング方向に対しスタッキングする際において前記天板の揺動側端部が上方に向けて回動ガイドされる形状に形成し、
前記天板の下方に、該天板の全長よりも短尺寸法に形成した棚板を配置し、
前記棚板の一端側を、前記天板より下方の左右の支柱に対し上下回動自在に枢着し、
前記天板及び棚板の他端側を連結部材にて一体的に連結するとともに、
前記水平姿勢に回動した前記天板の前記連結部材の下端部と対向する位置に、該連結部材の下端部が垂直に当接され前記天板を水平姿勢に支持する支持部材を設けた
医療用カート。
前記天板の枢着側端部を、該天板の枢着側端部に対し前記スタッキング方向の上流側から当接される天板の揺動側端部が上方に向けて突上げられる滑らかな曲面形状に形成し、
前記天板の揺動側端部を、該天板の揺動側端部に対し前記スタッキング方向の下流側から当接される天板の枢着側端部に乗り上げが許容される滑らかな曲面形状に形成した
請求項1に記載の医療用カート。
前記支柱の上端側を、前記スタッキング方向の上流側から下流側に向けて徐々に高くなるように傾斜し、該支柱の上端部に、前記医療用カートを所望する走行方向に操舵するためのハンドル部を設けた
請求項1又は2に記載の医療用カート。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、複数台の医療用カートを同一方向に整列してスタッキングすることができ、かつ、限られた小さな保管スペース内に一括して保管することができる医療用カートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、キャスターが取り付けられた支持枠と、該支持枠の両端部に立設された左右の支柱と、該各支柱間に対し水平に取り付けられた天板とを備えたカート本体で構成されるスタッキング可能な医療用カートであって、前記支持枠を、前記医療用カートのスタッキング方向の上流側から下流側に向けて徐々に幅狭となる形状に形成し、前記天板の一端側を、前記左右の支柱に対し上下回動自在に枢着し、かつ、該天板の他端側を、前記天板の枢着部を中心として水平姿勢と傾斜姿勢とに上下揺動可能に設け、前記天板の枢着側端部及び揺動側端部を、複数台の前記医療用カートをスタッキング方向に対しスタッキングする際において前記天板の揺動側端部が上方に向けて回動ガイドされる形状に形成し
、前記天板の下方に、該天板の全長よりも短尺寸法に形成した棚板を配置し、前記棚板の一端側を、前記天板より下方の左右の支柱に対し上下回動自在に枢着し、前記天板及び棚板の他端側を連結部材にて一体的に連結するとともに、前記水平姿勢に回動した前記天板の前記連結部材の下端部と対向する位置に、該連結部材の下端部が垂直に当接され前記天板を水平姿勢に支持する支持部材を設けた医療用カートであることを特徴とする。
【0007】
上述の医療用カートをスタッキングする場合、例えばスタッキング方向の上流側に配置した医療用カートと、下流側に配置した医療用カートとをスタッキング方向に相対移動して、上流側天板の揺動側端部と下流側天板の枢着側端部とをスタッキング方向に当接する。これにより、上流側天板の揺動側端部を下流側天板の枢着側端部に乗り上げさせながら上方に回動し、かつ、上流側天板を下流側天板上に重ね合わせる。
【0008】
すなわち、各医療用カートの各天板を上下に重ね合わせることで、複数台の医療用カートを並列配置するのに比べて、各医療用カートの天板を上下に重なり合わせた寸法だけ保管スペースを小さくすることができる。
この結果、複数台の医療用カートを同一方向に整列してスタッキングすることができ、かつ、限られた小さな保管スペース内に一括して保管することができる。
【0009】
また、医療用カートのスタッキングを解除する場合、上流側の医療用カートを下流側の医療用カートから分離される方向に相対移動させて引き抜いた際、上流側天板は下流側天板から滑り落ちながら水平姿勢に回動復帰する。つまり、天板は自重により水平姿勢に回動復帰するので、例えば看護婦や利用者の手で天板を水平姿勢に回動する手間及び作業が省ける。
【0010】
さらに、上述の天板が水平姿勢に回動復帰した際、天板及び棚板を連結する左右の連結部材の下端部が、該連結部材の下端部と対向する位置に配置した支持部材の上端部に対し垂直に当接される。
これにより、天板及び棚板が水平姿勢に回動規制されるので、例えばノート型パーソナルコンピューターや医療器具、医療用品等を載置するのに適した安定した姿勢を維持することができる。
【0011】
この結果、例えば患者の診察や検査などの検診結果の記録、医療日誌の更新などノート型パーソナルコンピューターの操作、或いは、医療器具、医療用品等を取り扱う作業が天板上にて安定して行える。
【0012】
また、連結部材を連結した天板及び棚板の枢着部分が、支持部材を上方に向けて延長した直線上に位置するので、天板及び棚板に付加される全重量が、左右の棚受支柱によって受け止められる。
これにより、例えばノートパソコン等の載置物が安定した姿勢に載置されるだけでなく、該ノートパソコンより重い載置物を載置することが可能な構造的強度が得られる。
【0013】
この発明の態様として、前記天板の枢着側端部を、該天板の枢着側端部に対し前記スタッキング方向の上流側から当接される天板の揺動側端部が上方に向けて突上げられる滑らかな曲面形状に形成し、前記天板の揺動側端部を、該天板の揺動側端部に対し前記スタッキング方向の下流側から当接される天板の枢着側端部に乗り上げが許容される滑らかな曲面形状に形成することができる。
【0014】
上述の医療用カートをスタッキングする場合、スタッキング方向の上流側に配置した医療用カートの天板の滑らかな曲面に形成した揺動側端部と、下流側に配置した医療用カートの天板の滑らかな曲面に形成した枢着側端部とを当接して、上流側天板の揺動側端部を、下流側天板の枢着側端部に乗り上げさせながら上方に回動し、かつ、上流側天板を下流側天板上に重ね合わせる。
【0015】
すなわち、各天板の滑らかな曲面に形成した枢着側端部と揺動側端部とを当接するので、各天板をスムースに重なり合わせることができる。
この結果、複数台の医療用カートをスムースにスタッキングすることができる。
【0016】
また、この発明の態様として、前記支柱の上端側を、前記カート本体の前部側から後部側に向けて徐々に高くなるように傾斜し、該支柱の傾斜側上端部に、前記医療用カートを所望する走行方向に操舵するためのハンドル部を設けることができる。
【0017】
上述の医療用カートをスタッキングした際、各医療用カートの各ハンドル部が当接することがなく上下に重なり合うため、複数台の医療用カートのスタッキングが支障なく行える。
【0018】
また、医療用カートの幅広側(前部側)から天板上に載置された例えばノートパソコンを操作する際、ノートパソコンを操作する手の肘が左右のハンドル部に当接するのを防止或いは回避することができる。
この結果、天板上に載置されたノートパソコンの操作が支障なく行える。
【0019】
また、この発明の態様として、複数台の前記医療用カートをスタッキング方向に対しスタッキングする際において、前記スタッキング方向の上流側からスタッキングされる医療用カートの天板と、該スタッキング方向の下流側からスタッキングされる医療用カートの天板との間に、該各医療用カートをスタッキングした状態に保持するスタッキング保持手段を設けることができる。
【0020】
上述の医療用カートをスタッキング方向に相対移動させてスタッキングした際、例えば凹部と凸部を係合したり、マグネットと金属板を吸着する等のスタッキング保持手段によって各医療用カートをスタッキング状態に保持する。
また、スタッキング状態の医療用カートを分離する場合、スタッキング保持手段による保持を解除するだけで、所望する台数の医療用カートを簡単に分離することができる。
【0021】
これにより、スタッキング保持手段によって複数台の医療用カートをスタッキング状態に保持した際、そのスタッキング保持手段による保持を解除するまでは、医療用カートのスタッキング状態が勝手に解除されることがなく、医療用カートが分離してしまうことを防止できる。
この結果、スタッキング状態の医療用カートを例えば看護婦や利用者の手で分離するまでは、スタッキング状態を維持したまま長期に亘り保管しておくことができる。
【0022】
また、この発明の態様として、前記天板に、外部電源から供給される電力を所定の電圧に変換するトランスと、該トランスにて所定の電圧に変換された電力を電気製品に供給するコードとを備え、前記コードを、前記天板に形成したコード引出し孔に挿通して、該天板上に載置された電気製品に対し接続が許容される長さ引き出し可能に設けることができる。
【0023】
上述のコードを、天板のコード引出し孔から該天板上に載置された電気製品に対し接続が許容される長さ引き出して、該天板上の電気製品に直接接続するので、コードの引き出し長さが短くて済む。このため、コードを必要以上に弛ませたり、垂れ下げることなく、所望する長さ引き出して電気製品に接続することができる。
【0024】
この結果、天板上に配索されるコードの引き出し長さが短くて済み、コードの配索によって天板上での作業が妨げられることを防止でき、天板上を有効に活用することができる。
また、例えば天板内部に収容されたバッテリーの電力を、上述のコードを介して電気製品に供給することも可能である。
【0025】
さらに、コードを、例えば天板のコード引出し孔に挿入して該天板の内部或いは底面側に収容しておけば、医療用カートのスタッキング時において、上流側天板と下流側天板とを重ね合わせる際、コードが邪魔にならず、医療用カートのスタッキングが支障なく行える。
【0026】
また、この発明の態様として、前記天板に、前記トランスを介して前記コードに接続され、かつ、前記外部電源に対し接続される電源コードを備え、前記電源コードを、前記天板に形成したコード出入口に挿通して、前記外部電源に対し接続が許容される長さ引き出し可能に設けることができる。
【0027】
上述の電源コードを、天板のコード出入口から外部電源(家庭用のコンセント)に対し接続が許容される長さ引き出して、医療用カートを走行移動した場所の外部電源に接続する。また、天板に備えられたコードを、該天板上に載置された電気製品に接続する。
【0028】
これにより、電源コードを介し外部電源から供給される電力を利用して、天板上に載置された電気製品を駆動することができる。
この結果、例えばノート型パーソナルコンピューター等の電気製品に内蔵されたバッテリーの残量を気にすることなく、外部電源から供給される電力にて連続して駆動することができる。
また、電源コードを、例えば天板のコード出入口に挿入して該天板の内部或いは底面側に収容しておけば、医療用カートのスタッキング時において、電源コードが邪魔にならず、医療用カートのスタッキングが支障なく行える。
【発明の効果】
【0029】
この発明によれば、複数台の医療用カートを同一方向に整列してスタッキングすることができ、かつ、限られた小さな保管スペース内に一括して保管することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
この発明の一実施形態を以下図面に基づいて詳述する。
図1は走行移動可能な医療用カート10の外観斜視図、
図2、
図3は医療用カート10の正面図と背面図、
図4、
図5は
図2に示す医療用カート10の平面図と底面図、
図6、
図7は
図2に示す医療用カート10の右側面図と左側面図、
図8、
図9は
図2に示す医療用カート10のA−A線矢視断面図とB−B線矢視断面図、
図10は医療用カート10のスタッキング状態を示す右側面図である。
【0032】
本実施形態の医療用カート10は、走行移動可能なキャスター付きカート本体20と、カート本体20の上段位置に架設したトレイ型を有する天板30と、該カート本体20の中段位置に架設した棚板40と、該カート本体20の下段位置に架設した棚板50とで構成している(
図1参照)。
【0033】
カート本体20は、
図2〜
図8に示すように、幅広側(
図1中の左斜め下方)を正面として、平面から見て台形状に形成した支持枠21(
図5参照)と、支持枠21の左右端部に対し真上方向に向けて垂直に固定した左右一対の支柱22と、支持枠21の左右端部上面に対し真上方向に向けて垂直に固定した左右一対の棚受支柱23と、天板30及び棚板40を一体的に連結する左右一対の連結支柱24と、支持枠21の幅広側下面及び幅狭側下面に取り付けた複数のキャスター25とで構成している。
【0034】
支持枠21は、医療用カート10のスタッキング方向Aの上流側と対応する幅広側(
図1中の左斜め下方)から、下流側と対応する幅狭側(
図1中の右斜め上方)に向けて徐々に幅狭となる形状に形成している(
図5参照)。また、支持枠21の幅広側は、利用者の歩行動作が許容される間隔に開角している。
つまり、支持枠21は、2台の医療用カート10をスタッキング方向Aに対しスタッキングする際(
図10参照)、該スタッキング方向Aに対し重ね合わせが許容される大きさ及び形状に形成している。
【0035】
支持枠21は、幅狭側中央部に形成した中央枠部21aと、中央枠部21aの両端を幅広側に向けて所望する開角度に変形してなる左右枠部21bとで構成している。また、左右枠部21bの間は、幅狭側から幅広側に向けて徐々に幅広となる間隔に隔てている。
【0036】
つまり、医療用カート10の幅狭側(支持枠21の中央枠部21a側)を先頭として、医療用カート10の幅広側に立った利用者が該医療用カート10を所望する方向に走行移動する際、利用者の歩行動作が許容される間隔(足の前後動が妨げられない間隔)に離間している。
また、医療用カート10を走行移動する走行面と、下段位置に架設した棚板50の下面との間には、利用者の歩行動作が許容される空間を確保している。
【0037】
支柱22は、支持枠21の左右枠部21bの開角側端部に対し真上方向に向けて垂直に立設している。また、後述する棚板40,50の間と対応する支柱22,22の間には、パイプ状の支持杆27をカート本体20の幅方向に向けて水平に架設している。
これにより、支柱22,22を、下端側から上端側に向けて所定間隔を隔てて平行に立設している。
【0038】
棚受支柱23は、支柱22の後方側に配置され、支持枠21の左右端部上面に対し真上方向に向けて垂直に固定している。また、棚受支柱23の上端部外周面は、連結板23aを介して支柱22の中間部外周面に対し固定している。
これにより、棚受支柱23を支柱22に対し所定間隔を隔てて平行に立設している(
図6〜
図9参照)。
【0039】
さらに、中央枠部21aの両端部下面と、左右枠部21bの端部に対し真上方向に向けて垂直に固定した支柱22の下端部には、ストッパー機能付きキャスター25を所望する方向(330度方向)に対して水平回動自在に取り付けている。
【0040】
左右支柱22の上端側には、医療用カート10を所望する走行方向に操舵するためのハンドル部26をそれぞれ形成している。
【0041】
ハンドル部26は、支柱22の上端側を、スタッキング方向Aの上流側と対応する幅広側(前部側)から、下流側と対応する幅狭側(後部側)に向けて徐々に高くなるように傾斜している。
また、支柱22の上端側外周面には、該上端側外周面全体が覆われる大きさ及び形状に形成した接触抵抗が大きい合成ゴム製のハンドルカバー26aを装着している。
すなわち、2台の医療用カート10をスタッキングした際(
図10参照)、前後医療用カート10のハンドル部26が上下に重なり合うため、2台の医療用カート10のスタッキングが支障なく行える。
【0042】
また、医療用カート10の幅広側(前部側)から天板30上に載置されたノートパソコンBを操作する際、ノートパソコンBを操作する手の肘が左右のハンドル部26に当接するのを防止或いは回避することができる。
この結果、天板30上に載置されたノートパソコンBの操作が支障なく行える(
図1参照)。
また、支柱22の上端側を、カート本体20の前部側から後部側に向けて徐々に高くなる曲率半径に湾曲して、該支柱22の湾曲側上端部にハンドル部26を設けてもよい。
【0043】
天板30は、後述する棚板40,50の幅広側と幅狭側とを結ぶ全長より長尺寸法に形成している。また、支持枠21に立設した支柱22,22の間よりも幅狭で、かつ、支持枠21の外側縁部内に収まる大きさ及び形状、横幅に形成している。また、天板30の上面には、凹状の収容部30aを形成している(
図4、
図8参照)。
天板30の収容部30aは、ノート型パーソナルコンピューターB(以下、ノートパソコンと略記する)の載置が許容される大きさ及び形状、深さに形成している。
【0044】
天板30の枢着側端部30Xは、側面から見て滑らかな円弧形状に形成している。すなわち、該天板30の枢着側端部30Xに対しスタッキング方向Aの上流側から当接される天板30の揺動側端部30Yが上方に向けて突上げられる滑らかな曲面形状に形成している。
【0045】
天板30の揺動側端部30Yは、スタッキング方向Aの上流側から下流側に向けて反り返る弧形状に形成している。
すなわち、該上流側天板30の揺動側端部30Yに対しスタッキング方向Aの下流側から当接される天板30の枢着側端部30X上への乗り上げが許容される滑らかな曲面形状に形成している。
【0046】
さらに、天板30の枢着側端部30Xは、
図6中実線で示す棚板40の枢着側端部よりも前方に突出している。また、天板30の揺動側端部30Yは、
図6中実線で示す棚板40の揺動側端部よりも後方に突出している。
さらにまた、天板30の揺動側端部30Yの後端側反り返り部は、
図6中実線で示す棚板40の枢着側端部よりも上位となる高さに形成している。
なお、天板30の揺動側端部30Yを、後端側下部から後端側上部に向けて徐々に高くなるように傾斜するテーパー面に形成してもよい。
【0047】
棚板40,50は、天板30の幅広側と幅狭側とを結ぶ全長より短尺寸法に形成している。また、支持枠21に立設した支柱22,22の間よりも幅狭で、かつ、支持枠21の外側縁部よりも内側に収まる大きさ及び形状に形成している。また、棚板40,50の上面には、凹状の収容部40a,50aを形成している(
図8参照)。
【0048】
棚板40の収容部40aは、例えば注射器、体温計、血圧計、輸液器具などの医療器具、或いは、ガーゼ、包帯、綿、消毒薬、薬剤容器、輸液剤容器などの医療用品の収容が許容される大きさ及び形状、深さに形成している。
棚板50の収容部50aは、例えばガーゼ、包帯、綿等の医療用廃棄物(図示せず)を投入する廃棄物投入袋Dの底部側が載置される深さに形成している。
【0049】
次に、支柱22に対する天板30及び棚板40,50の取り付け構造を説明する。
天板30の幅広側と対応する一端側両側部は、支軸やネジなどの支持部材(図示せず)を用いて、支柱22の上端側外周面に固定した軸受板22aに対して上下回動自在に枢着している。
【0050】
棚板40の幅広側と対応する一端側両側部は、支軸やネジなどの支持部材(図示せず)を用いて、支柱22の中間部外周面に固定した軸受板22bに対し上下回動自在に枢着している。
天板30及び棚板40の幅狭側と対応する他端側両側部は、左右一対の連結支柱24により一体的に連結している。
【0051】
連結支柱24の上端部は、天板30の両側端部に形成した凹状溝部31に挿入し、該凹状溝部31に対し上下回動自在に枢着している。また、連結支柱24の下端部は、棚板40の中央両側端部に対し上下回動自在に枢着している。
これにより、天板30及び棚板40を、
図6中の実線で示す水平姿勢と、
図6中の仮想線で示す傾斜姿勢とに上下揺動可能に設けている。
【0052】
また、連結支柱24の上端側は、
図10に示すように、2台の医療用カート10をスタッキングした際、天板30の枢着側端部30Xの嵌り込みが許容される曲面形状に幅広側に向けて湾曲している。
棚板50の両側部は、ネジやボルトなどの固定部材を用いて、支柱22と棚受支柱23に対し一体的に固定している。また、棚板50の全体は、幅広側から幅狭側に向けて徐々に高くなるように傾斜している(
図8参照)。
【0053】
すなわち、棚板50は、2台の医療用カート10をスタッキングした際、上下互い違いに重なり合いが許容される角度に傾斜している(
図10参照)。
【0054】
また、棚板40の幅広側と対応する一端側前縁部には、廃棄物投入袋Dの口部が係止される一対の袋掛けフック40bを該一端側前縁部に沿って所定間隔を隔てて左右に配置している。
すなわち、廃棄物投入袋Dの口部を開口して、該口部の一側縁部を棚板40の袋掛けフック40bに対し上方から係止する。また、左右の袋掛けフック40bには、2袋の廃棄物投入袋Dの口部をそれぞれ引っ掛けておく。
【0055】
また、廃棄物投入袋Dの底部側は、支持杆27と棚板40との間に挿入して、棚板50の収容部50aに予め載置しておく。
患者に対し医療行為を行った際に発生する医療用廃棄物、すなわち、例えばガーゼ、包帯、綿等の医療用廃棄物を左右の廃棄物投入袋Dに対し種類別に分別して投入する。
【0056】
医療用廃棄物を廃棄物投入袋D内に投入する際、廃棄物投入袋Dの口部を開口する手間及び作業が省ける。また、廃棄物投入袋Dに投入された医療用廃棄物の総重量が重くなっても、廃棄物投入袋Dの底部側が棚板50から脱落する心配がない。
【0057】
したがって、廃棄物投入袋Dの口部が袋掛けフック40bから抜け落ちたり、該口部の係止した位置がズレたりすることがなく、廃棄物投入袋Dに投入された医療用廃棄物が床に散乱することを防止できる。
この結果、医療用廃棄物に付着する病原菌が周囲に飛散することがなく、例えばC型肝炎、エイズウイルス等の病原菌による2次感染が起きることを防止できる。
【0058】
次に、2台の医療用カート10をスタッキングする方法を説明する。
先ず、
図6中左側の実線で示す医療用カート10の幅狭側と、
図6中右側の仮想線で示す医療用カート10の幅広側とを対向させた後、図中左側及び図中右側の医療用カート10をスタッキング方向A(前後方向)に相対移動させてスタッキングする(
図10参照)。
すなわち、図中左側の天板30の揺動側端部30Yを、図中右側の天板30の枢着側端部30Xに対しスタッキング方向Aに向けて水平に当接する。
【0059】
図中左側の天板30の揺動側端部30Yを、図中右側の天板30の枢着側端部30Xに乗り上げさせながら上方に回動する。かつ、図中左側の天板30の下側に、図中右側の天板30を潜り込ませる。
これにより、図中左側の医療用カート10の天板30と、図中右側の医療用カート10の天板30とを斜めに傾斜した姿勢のまま上下に重なり合わせることができる(
図10参照)。
【0060】
また、天板30が上方に向けて回動すると、連結支柱24にて連結した棚板40も上方に向けて斜めに傾斜した姿勢に回動される。
これにより、図中左側及び図中右側の医療用カート10の棚板40を斜めに傾斜した姿勢のまま互いに重なり合わせることができる(
図10参照)。
【0061】
また、図中左側及び図中右側の医療用カート10の棚板50も斜めに傾斜した姿勢のまま互いに重なり合わせることができる。
すなわち、2台の医療用カート10をスタッキングする際、図中左側の医療用カート10の天板30及び棚板40を上方に向けて斜めに傾斜した姿勢に回動して、図中右側の医療用カート10の天板30及び棚板40の上に重なり合わせるので、2台の医療用カート10のスタッキングが支障なく行える。
【0062】
上述と同様にして、3台目、4台目の医療用カート10をスタッキング方向Aに対しスタッキングして、1つのカート保管場所に複数台保管するので、医療用カート10を保管するための保管スペースが小さくて済み、病院内の限られた保管スペース内に一括して保管することができる。
【0063】
次に、カート保管場所に保管された医療用カート10を使用する場合、図中左側の医療用カート10を、図中右側の医療用カート10から分離される方向に相対移動する。
図中左側の医療用カート10を、図中右側の医療用カート10から分離した際、図中左側の天板30が、図中右側の天板30から滑り落ちながら下方に回動する。また、天板30が下方に向けて回動すると、連結支柱24にて連結した棚板40も下方に向けて回動する。
【0064】
この時、連結支柱24の下端部が棚受支柱23の上端部に対し垂直に当接するので、天板30及び棚板40が水平姿勢に回動規制される(
図6、
図7参照)。
すなわち、医療用カート10の天板30及び棚板40は自重により水平姿勢に回動復帰するので、医療用カート10の天板30及び棚板40を看護婦や利用者の手で水平姿勢に回動する手間及び作業が省け、医療用カート10を引き出して即使用することができる。
【0065】
また、連結支柱24の上下端部を連結した天板30及び棚板40の枢着部分が、棚受支柱23を上方に向けて延長した直線上に位置するので、天板30及び棚板40に付加される全重量が、左右の棚受支柱23によって受け止められる。
【0066】
これにより、ノートパソコンBが安定した姿勢に載置されるだけでなく、該ノートパソコンBより重い載置物を載置することが可能な構造的強度が得られる。また、天板30が、ノートパソコンBや医療器具、医療用品等を載置するのに適した安定した姿勢に維持される。
【0067】
この結果、例えば患者の診察や検査などの検診結果の記録、医療日誌の更新などを記録するノートパソコンBの操作、或いは、医療器具、医療用品等を取り扱う作業が天板30上にて安定して行える。
【0068】
次に、上述の医療用カート10を用いて、患者の診察や検査、治療などの医療行為を行う方法を説明する。
【0069】
患者に対する医療行為を病室にて行う際、その医療行為に必要な医療用品として、例えば注射器、輸液器具、薬剤容器、輸液剤容器などの医療用品を医療用カート10の棚板40に予め載置しておく。また、患者に関する医療データを記録するためのノートパソコンBを天板30に予め載置しておく。
【0070】
次に、医療用カート10の左右のハンドル部26を利用者の手で把持して、上述の医療用品及びノートパソコンBが載置された医療用カート10を患者が待機する病室まで人力にて走行移動する。
【0071】
移動先の病室にて、患者の採血や点滴などを行う場合、棚板40に載置された注射器を取り出して採血したり、薬剤容器に入った薬剤を注射器にて適量投与したりする。或いは、輸液器具を取り出して輸液剤容器に入った輸液溶剤を適量輸液するなどの医療行為を行うことができる。
【0072】
また、医療行為を行った際、天板30上に載置したノートパソコンBを起動すれば、上述の医療行為を行った患者の傍或いは病室内にて、例えば患者の診察や検査などの検診結果を記録したり、医療日誌の更新などを行うことができる。
この結果、患者に関する医療記録の記載ミスや記録ミスなどが起きることを防止できる。
なお、上述の医療記録の書き込みや更新などの作業は、ナースステーションに戻ってから行うこともできる。
【0073】
すなわち、上述の医療器具や医療用品を医療用カート10の棚板40に載置し、ノートパソコンBを天板30上に載置しておけば、医療用カート10を患者が待機する病室に走行移動するだけで、患者に対する医療行為が病室にて即行える。
【0074】
これにより、ノートパソコンBや医療器具、医療用品を保管場所まで取りに行ったり、探したりする必要がなく、個々に運搬する手間及び作業が省けるため、利用者に与える負担を軽減することができる。
【0075】
次に、ノートパソコンBを外部電源に接続する方法として、巻取り式の電源コード60を天板30に内蔵した医療用カート10の他の例を説明する。
図11は電源コード60を天板30に設けた医療用カート10の斜視図である。
【0076】
電源コード60は、差込みプラグ60aが接続された電源コード60を巻き取るための巻き取りユニット60bと、外部電源(家庭用のコンセント)から供給される電力をノートパソコンBが駆動する所定の電圧に変換するためのトランス60cとで構成している。また、巻き取りユニット60b及びトランス60cは、天板30の内部に収容している。
【0077】
天板30の右側部外面(
図11中の右側)には、電源コード60の引き出し動作及び巻き取り動作が許容されるコード出入口30bを開口している。
また、コード出入口30bには、電源コード60を天板30の外部に対し引き出し可能に挿入するとともに、電源コード60に接続された差込みプラグ60aを外部電源に対し接続が許容される長さ引き出し可能に保持している。
【0078】
天板30の収容部30aの揺動側中央上面には、パソコン用コード60dの引き出しが許容されるコード引出し孔30cを天板30の内部と連通して開口している。
また、コード引出し孔30cには、パソコン用コード60dを天板30の外部に対し引き出し可能に挿入するともに、天板30上に載置されたノートパソコンBに対し接続が許容される長さ引き出し可能に保持している。パソコン用コード60dは、電気回路(図示せず)を介して電源コード60に接続している。
【0079】
すなわち、天板30のコード出入口30bから所望する長さ引き出した電源コード60の差込みプラグ60aを外部電源(家庭用のコンセント)に接続し、天板30のコード引出し孔30cから所望する長さ引き出したパソコン用コード60dを、天板30上に載置されたノートパソコンBに接続する。
【0080】
これにより、医療用カート10を移動した場所に外部電源が存在すれば、その場所にてノートパソコンBを駆動することができ、例えばカルテの書き込み、医療日誌の更新などをノートパソコンBにて行うことができる。
なお、巻き取りユニット60b及びトランス60cは、天板30の底面に設けてもよい。
【0081】
前述の実施形態では、ノートパソコンBを本体に内蔵されたバッテリー(図示せず)にて駆動するが、
図11の医療用カート10は、外部電源から供給される電力にてノートパソコンBを連続して駆動することができるので、バッテリーの残量を気にすることなく、上述の書き込みや更新などの入力作業が円滑に行える。かつ、バッテリーの充電も同時に行える。
また、電源コード60が不要な場合、差込みプラグ60aを外部電源から抜き取った後、電源コード60を、天板30内部に収容された巻き取りユニット60bに巻き取る。
【0082】
これにより、医療用カート10の回りで作業する際、或いは、医療用カート10を所望する場所に走行移動する際、電源コード60が医療用カート10に絡み付いたり、電源コード60が足に引っ掛かったりすることを防止できる。
また、電源コード60を、天板30のコード出入口30bから取り込んで該天板30の内部に巻き取り収容しておけば、医療用カート10のスタッキング時において、電源コード60が邪魔にならず、医療用カート10のスタッキングが支障なく行える。
【0083】
さらに、パソコン用コード60dを、天板30のコード引出し孔30cから所望する長さ引き出して、該天板30上に載置されたノートパソコンBに直接接続するので、パソコン用コード60dの引き出し長さが短くて済む。
このため、パソコン用コード60dを必要以上に弛ませたり、垂れ下げることなく、所望する長さ引き出してノートパソコンBに接続することができる。
この結果、天板30上に配索されるパソコン用コード60dの引き出し長さが短くて済み、パソコン用コード60dの配索によって天板30上での作業が妨げられることを防止でき、天板30上を有効に活用することができる。
【0084】
また、天板30の左側部外面(
図11中の左側)に、医療器具や医療用品を引っ掛けるためのフック30dを取り付けてもよい(
図11参照)。
フック30dは、該フック30dの軸部先端に形成した雄ネジ部を、天板30の左側部外面に捩じ込んで固定している。
【0085】
医療器具の一例である聴診器Eを、フック30dに引っ掛けておけば、医療用カート10を移動した先の患者の脈拍や血圧を検査する際、聴診器Eを取りに行ったり、探したりする必要がなく、聴診器Eをフック30dから取り外して即使用することができるので大変便利である。また、不要時には、聴診器Eをフック30dに引っ掛けておけば何時でも使用することができる。
【0086】
なお、ネジ止め式のフック30dに代えて、例えば両面粘着テープ、マグネットなどで固定する市販のフックを、天板30の左側部外面及び右側部外面のいずれか一方或いは両方に取り付けてもよい。また、聴診器E以外の医療器具、或いはカルテなどの医療用品を引っ掛けることも可能である。
【0087】
次に、ウエットティッシュが収容されたティッシュ容器F、使用済みの注射針を投入する注射針投入容器Gなどの容器を保持するための容器保持具71,72を支柱22に取り付けた医療用カート10の他の例を説明する。
図12は容器保持具71,72を取り付けた医療用カート10の正面図、
図13は
図12の医療用カート10のC−C線矢視断面図である。
【0088】
ティッシュ容器Fを保持する容器保持具71は、左側支柱22の外周面に固定した正面から見てL字状の容器受け板71aと、容器受け板の上端部に固定した上方から見てC字状の容器保持板71bとで構成している。
【0089】
ティッシュ容器Fを容器保持具71にて保持する際、容器保持板71bの開放側両端部を復元力に抗して左右に押し広げながら、該ティッシュ容器Fを容器保持板71bの内側に押し込み、該ティッシュ容器Fを容器保持板71bの復元力により保持するとともに、該ティッシュ容器Fを容器受け板71aに載置する。
【0090】
これにより、看護や診療の際、必要時において、ティッシュ容器Fからウエットティッシュを取り出す際、ティッシュ容器Fが容器保持具71から脱落したりせず、所望する枚数だけ取り出して看護や診療などに即使用することができる。
【0091】
注射針投入容器Gを保持する容器保持具72は、右側支柱22の外周面に固定したL字状の容器受け板72aと、容器受け板の上端部に対し上下回動自在に枢着した上方から見て矩形の容器保持枠72bとで構成している。
【0092】
注射針投入容器Gを容器保持具72にて保持する際、容器保持枠72bを開姿勢(
図12中仮想線で示す)に回動して、注射針投入容器Gを口部が上向きとなる姿勢のまま容器受け板72aに載置した後、容器保持枠72bを閉平姿勢(
図12中実線で示す)に回動して、注射針投入容器Gの口部側を保持する。
【0093】
これにより、点滴や採血などに使用された使用済みの注射針を注射針投入容器Gに投入すれば、使用済みの注射針を、例えば指や手等に誤って突き刺してしまうことを防止することができる。
この結果、例えばC型肝炎、エイズウイルス等の病原菌による2次感染が起きることを防止できる。
【0094】
また、医療用カート10の走行時に生じる振動が注射針投入容器Gに付与されても、注射針投入容器Gが容器保持具72から脱落するようなことがなく、使用済みの注射針が床に散乱することを防止できる。
【0095】
また、容器保持具72の容器受け板72aを、支柱22の軸芯を中心として水平回動自在に取り付けているので、医療用カート10の走行時において、容器保持具72に保持した注射針投入容器Gが、例えば机や柱、或いは、歩行者などに接触した際、容器保持具72の全体が支柱22を中心として水平回動する。このため、注射針投入容器Gに付与される衝撃や振動が緩和される。
この結果、注射針投入容器Gが容器保持具72から脱落するか、使用済みの注射針が床に散乱することを防止できる。
【0096】
次に、天板30及び棚板40を真っ直ぐな短尺の連結支柱24Aにて一体的に連結した医療用カート10の他の例を説明する。
図14は真っ直ぐな短尺の連結支柱24Aにて連結した医療用カート10の右側面図である。
天板30及び棚板40の中央両側部は、天板30が水平姿勢に支持される長さに形成した真っ直ぐな連結支柱24Aにより一体的に連結している。
【0097】
図中左側の実線で示す医療用カート10の天板30の揺動側端部30Yを、図中右側の仮想線で示す医療用カート10の天板30の枢着側端部30Xに当接すると、上述の実施形態と同様に、図中左側の天板30が上方に回動しつつ、図中右側の天板30に乗り上げて上下に重ね合わされる。
また、図中左側の天板30が上方に向けて回動すると、連結支柱24Aにて連結した棚板40も上方に向けて回動される。
【0098】
これにより、図中左側及び図中右側の医療用カート10の天板30及び棚板40を斜めに傾斜した姿勢のまま互いに重なり合わせて、2台の医療用カート10をスタッキングすることができる。
【0099】
2台の医療用カート10のスタッキングを解除する場合、図中左側の医療用カート10を、図中右側の医療用カート10から分離される方向に相対移動させて引き抜いた際、連結支柱24Aにて連結した天板30及び棚板40が自重により水平姿勢に回動復帰する。
この時、連結支柱24Aの下端部が棚受支柱23の上端部に対し垂直に当接し、天板30及び棚板40が水平姿勢に支持される。
【0100】
この結果、医療用カート10を保管するための保管スペースが小さくなるだけでなく、ノートパソコンBを載置した際、天板30に付加される全重量が左右の棚受支柱23によって受け止められるので、前記実施形態と略同等の作用及び効果を奏することができる。
【0101】
次に、天板30及び棚板40,50を真っ直ぐな長尺の連結支柱24Bにて連結した医療用カート10の他の例を説明する。
図15は真っ直ぐな長尺の連結支柱24Bにて連結した医療用カート10の右側面図である。
天板30及び棚板40,50の中央両側部は、天板30が水平姿勢に支持される長さに形成した真っ直ぐな長尺の連結支柱24Bにて一体的に連結している。
【0102】
図中左側の実線で示す医療用カート10の天板30の遊端側後端部30Yを、図中右側の仮想線で示す医療用カート10の天板30の枢着側端部30Xに当接すると、上述の実施形態と同様に、図中左側の天板30が上方に回動しつつ、図中右側の天板30に乗り上げて上下に重ね合わされる。
これにより、図中左側及び図中右側の医療用カート10の天板30及び棚板40を斜めに傾斜した姿勢のまま互いに重なり合わせて、2台の医療用カート10をスタッキングすることができる。
【0103】
2台の医療用カート10のスタッキングを解除する場合、図中左側の医療用カート10を、図中右側の医療用カート10から分離される方向に相対移動させて引き抜いた際、連結支柱24Bにて連結した天板30及び棚板40,50が自重により水平姿勢に回動復帰する。
この時、連結支柱24Bの下端部が支持枠21の左右端部上面に対し垂直に当接し、天板30及び棚板40,50が水平姿勢に支持される。
【0104】
この結果、医療用カート10を保管するための保管スペースが小さくなるだけでなく、ノートパソコンBを載置した際、天板30に付加される全重量が左右の連結支柱24Bによって受け止められるので、前記実施形態と略同等の作用及び効果を奏することができる。
【0105】
次に、天板30のみを上下回動自在に設けた医療用カート10の他の例を説明する。
図16は天板30のみを上下回動自在に設けた医療用カート10の右側面図である。
天板30は、左右の支柱22に対し上下回動自在に枢着している。その枢着構造は、上述の実施形態と同一の構成は、同一の符号を記してその詳細な説明を省略する。
【0106】
棚板40,50は、左右の支柱22と、天板30が水平姿勢に支持される長さに形成した左右の棚受支柱23Cとの間に対し固定している。また、棚板40,50は、2台の医療用カート10をスタッキングする際、上下互い違いに重なり合いが許容される角度に傾斜している。
【0107】
図中左側の実線で示す医療用カート10の天板30の揺動側端部30Yを、図中右側の仮想線で示す医療用カート10の天板30の枢着側端部30Xに当接すると、上述の実施形態と同様に、図中左側の天板30が上方に回動しつつ、図中右側の天板30に乗り上げて上下に重ね合わされる。
これにより、2台の医療用カート10をスタッキングすることができる。
【0108】
2台の医療用カート10のスタッキングを解除する場合、図中左側の医療用カート10を、図中右側の医療用カート10から分離される方向に相対移動させて引き抜いた際、天板30のみが自重により水平姿勢に回動復帰する。
この時、天板30の凹状溝部31に固定した当接部材32が棚受支柱23Cの上端部に対し垂直に当接するので、天板30が水平姿勢に支持される。
【0109】
この結果、医療用カート10を保管するための保管スペースが小さくなるだけでなく、ノートパソコンBを載置した際、天板30に付加される全重量が左右の棚受支柱23Cによって受け止められるので、前記実施形態と略同等の作用及び効果を奏することができる。
【0110】
次に、2台の医療用カート10をスタッキング状態に保持する方法を説明する。
図17は、凸状の係止部33と凹状の収容部30aとによってスタッキング状態を保持する医療用カート10の拡大右側面図である。
【0111】
図示の医療用カート10は、天板30の底面側中央部に、スタッキング状態を保持する大きさ及び形状の係止部33を形成している。また、係止部33は、天板30の枢着側から揺動側に向けて徐々に低くなるように形成するとともに、スタッキング方向Aの下流側から当接される図中右側の天板30の収容部30aに対し係合可能に形成している。
【0112】
すなわち、左右の医療用カート10をスタッキング方向Aに相対移動させてスタッキングした際、図中左側の天板30に形成した係止部33が、図中右側の天板30に形成した収容部30aの枢着側内縁部に係止されるとともに、その係止部33と収容部30aとの係合力によって、左右2台の医療用カート10がスタッキング状態に保持される(
図17参照)。
【0113】
また、スタッキング状態の医療用カート10を分離する場合、マグネット34の吸着力に抗して、左右の医療用カート10をスタッキングが解除される方向へ相対移動させ、図中左側の天板30に形成した係止部33を、図中右側の天板30に形成した収容部30aから離脱すれば、係止部33と収容部30aとの係合が解除されるので、左右の医療用カート10を簡単に分離することができる。したがって、必要とする台数の医療用カート10を即使用することができる。
【0114】
これにより、左右2台の医療用カート10をスタッキングした際、そのスタッキング状態が勝手に解除され、2台の医療用カート10が前後に分離してしまうことを防止できる。
【0115】
この結果、スタッキング状態の医療用カート10を看護婦や利用者の手で分離するまでは、スタッキング状態を維持したまま長期に亘り保管しておくことができる。
【0116】
図18は、マグネット34と金属板35との吸着によってスタッキング状態を保持する医療用カート10の拡大右側面図である。
図示の医療用カート10は、天板30の枢着側底面部に形成した突出部30eの斜面に、スタッキング状態を保持する磁力に励磁されたマグネット34を取り付けている。また、マグネット34は、スタッキング方向Aの下流側から当接される図中右側の天板30の枢着側端部30Xに取り付けた金属板35と対向して取り付けている。
【0117】
また、天板30の枢着側端部30Xの外面には、上述のマグネット34により吸着可能な金属板35を取り付けている。また、金属板35は、スタッキング方向Aの上流側(図中左側)から当接される図中左側の天板30の突出部30eに取り付けた金属板35と対向して取り付けている。
【0118】
すなわち、左右の医療用カート10をスタッキング方向Aに相対移動させてスタッキングした際、図中左側の天板30に取り付けたマグネット34が、図中右側の天板30に取り付けた金属板35に対し押し付けられるとともに、そのマグネット34の吸着力によって、2台の医療用カート10がスタッキング状態に保持される(
図18参照)。
【0119】
また、スタッキング状態の医療用カート10を分離する場合、マグネット34の吸着力に抗して、左右の医療用カート10をスタッキングが解除される方向へ相対移動させ、図中左側の天板30に取り付けたマグネット34を、図中右側の天板30に取り付けた金属板35から分離すれば、マグネット34と金属板35との吸着が解除されるので、左右の医療用カート10を簡単に分離することができる。
この結果、前記実施形態と略同等の作用及び効果を奏することができる。
【0120】
なお、スタッキング保持手段の他の例として、例えば係止爪やフックを、天板30の枢着側上縁部に係止するか、収容部30aの枢着側内縁部に係止する等してもよい。或いは、ベルトやロープ等の拘束具を用いて、複数台の医療用カート10…をスタッキング状態に拘束しておくことも可能である。
【0121】
この発明の構成と、前記実施形態との対応において、
この発明の支持部材は、実施形態の支持枠21及び棚受支柱23,23Cに対応し、
以下同様に、
連結部材は、連結支柱24,24A,24Bに対応し、
コードは、パソコン用コード60dに対応し、
スタッキング保持手段は、収容部30a及び係止部33と、マグネット34及び金属板35に対応し、
電気製品は、ノートパソコンBに対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。
【0122】
本実施形態では、2台の医療用カート10をスタッキング方向Aに移動させてスタッキングする例を説明したが、スタッキング方向Aに対し逆の方向に移動させてもスタッキングすることが可能である。