特許第5718112号(P5718112)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5718112
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】たこ焼き用またはお好み焼き用ミックス
(51)【国際特許分類】
   A21D 10/00 20060101AFI20150423BHJP
   A23L 1/48 20060101ALI20150423BHJP
   A21D 13/00 20060101ALI20150423BHJP
【FI】
   A21D10/00
   A23L1/48
   A21D13/00
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-60179(P2011-60179)
(22)【出願日】2011年3月18日
(65)【公開番号】特開2012-191915(P2012-191915A)
(43)【公開日】2012年10月11日
【審査請求日】2013年10月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】398012306
【氏名又は名称】日清フーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076532
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 修
(72)【発明者】
【氏名】小野崎 博
【審査官】 水野 浩之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−124452(JP,A)
【文献】 特開2007−274964(JP,A)
【文献】 特開昭60−118138(JP,A)
【文献】 特開平04−262730(JP,A)
【文献】 特開平11−009173(JP,A)
【文献】 特開2002−051688(JP,A)
【文献】 特開2010−154800(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0026114(US,A1)
【文献】 たこ焼きMSG,たこ焼きと小麦粉(6),2008年 5月12日,[online],URL,http://punichu.chu.jp/hts/blognplus/index.php?e=94
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21D 2/00−17/00
A23L 1/48
G−Search
Mintel GNPD
Food Science and Tech Abst(FSTA)/
Foodline Science/INSPEC(ProQuest Dialog)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀粉類100質量部に対して、麦芽粉末0.01〜1質量部及び澱粉20〜35質量部を含有することを特徴とするたこ焼き用またはお好み焼き用ミックス。
【請求項2】
上記澱粉がワキシーコンスターチおよび/または馬鈴薯澱粉である、請求項1に記載のたこ焼き用またはお好み焼き用ミックス。
【請求項3】
上記澱粉が酸化澱粉である、請求項1または2に記載のたこ焼き用またはお好み焼き用ミックス。
【請求項4】
請求項1〜のいずれか一項に記載のたこ焼き用またはお好み焼き用ミックスを用いて製造された、たこ焼きまたはお好み焼き。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たこ焼き用またはお好み焼き用ミックスに関する。詳細には、特定量の麦芽粉末を含有することで、焼き色が良好で、かつ風味に優れ、その食感は表面がカリッと香ばしく、その内部がなめらかで口溶けがよい食感のたこ焼きやお好み焼きが得られるたこ焼き用またはお好み焼き用ミックスに関する。
【背景技術】
【0002】
たこ焼きやお好み焼きは、焼き色が適度につき、その食感は表面がカリッと香ばしく、その内部がなめらかで口溶けがよい食感が好まれる。特に、たこ焼きでは、表面はカリッとてしていて、内部がクリーミーでなめらかな食感が好まれている。昨今の食事スタイルの変化に伴い、冷蔵または冷凍保存後に電子レンジで再加熱して食する場合にも、このような食感が持続することが望まれている。
【0003】
たこ焼きの食感を向上させる観点から、たこ焼き用ミックスに澱粉を用いる技術が提案されており、特許文献1には、小麦粉とハイドロキシプロピル化デンプンを含有するプレミックスが、特許文献2には、可溶性澱粉として、酸化等の処理により、冷水に不溶で熱水に可溶にした変性澱粉を用いることが、特許文献3には、α化澱粉を用いることが記載されている。しかし、これらの技術では、得られるたこ焼きは内部の食感がクリーミーなものとはいえず、なめらかさも十分とはいえない。
【0004】
また、特許文献4には、穀粉類と共に、α化度の異なる2種類のα化澱粉及び/又はα化穀粉を併用するお好み焼類用ミックスが記載されている。しかし、この技術は、α化澱粉及び/又はα化穀粉を多用することから、小麦粉本来の風味が減退すると共に、α化澱粉及び/又はα化穀粉由来のネチャツキが残るものであった。
【0005】
一方、従来、製パンに用いられている麦芽粉末(モルトフラワー)は、大麦や小麦、ライ麦を発芽させた後、乾燥して粉砕したもので、アミラーゼやプロテアーゼ等の酵素を含み、その他に、多くの糖類や無機質、ビタミン類を含むことが知られている。しかし、麦芽粉末を、たこ焼きやお好み焼き等に用いることは従来行われていない。
【0006】
特許文献5には、食用油脂を含む油相部とアミラーゼを含む水相部からなる水中油型乳化油脂を冷凍たこ焼きに用いることが記載されている。しかし、単にアミラーゼを添加しただけでは、内部の食感において、なめらかさ、クリーミーさという点ではある程度は効果が認められるものの、良好な焼き色、優れた風味、そして表面のカリッとした食感の点では効果は得られない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−277011号公報
【特許文献2】特許第3665835号公報
【特許文献3】特許第4160698号公報
【特許文献4】特開2002−125578号公報
【特許文献5】特開平9−107932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、焼き色が良好で、かつ風味に優れ、その食感は表面がカリッと香ばしく、その内部がなめらかで口溶けがよい食感のたこ焼きやお好み焼きが得られるたこ焼き用またはお好み焼き用ミックスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、穀粉類100質量部に対して、麦芽粉末0.01〜1質量部を含有することを特徴とするたこ焼き用またはお好み焼き用ミックスを提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のたこ焼き用またはお好み焼き用ミックスを用いれば、焼き色が良好で、かつ風味に優れ、その食感は表面がカリッと香ばしく、その内部がなめらかで口溶けがよい食感のたこ焼きやお好み焼きを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のたこ焼き用またはお好み焼き用ミックスは、主として小麦粉からなる穀粉類100質量部に対して、麦芽粉末を0.01〜1質量部、好ましくは0.1〜0.5質量部の範囲で含有することを特徴とする。麦芽粉末をこの範囲で含有することで、得られるたこ焼きやお好み焼きは、焼き色が良好なものとなり、かつ風味に優れ、その食感は、表面がカリッとてしていて、内部がよりクリーミーでなめらかであり、しかもトロッとした好ましい食感となる。麦芽粉末の含有量が0.01質量部未満であると、これらの効果が得られず、1質量部を超えるとたこ焼きやお好み焼きの内部において離水が起こり、食感が不均一なものとなる。
【0012】
上記麦芽粉末としては、例えば、製パン用原料として市販されているものを適宜用いることができる。また、モルトシロップを澱粉等の適当な賦形剤を用いて粉末化したものも同様に用いることができる。
【0013】
本発明のたこ焼き用またはお好み焼き用ミックスに用いる上記穀粉類としては、小麦粉を主体(好ましくは全穀粉類中で80質量%以上)とするものであれば特に限定されないが、小麦粉としては、薄力粉、中力粉、全粒粉、準強力粉、強力粉、デュラム小麦粉が挙げられ、薄力粉や中力粉が好ましく、薄力粉がより好ましい。小麦粉以外の穀粉類としては、ライ麦粉、ライ小麦粉、米粉などが挙げられる。
【0014】
本発明のたこ焼き用またはお好み焼き用ミックスは、上記穀粉類100質量部に対して、さらに澱粉を20〜35質量部含有することが好ましく、さらに好ましくは22〜30質量部の範囲で含有する。該澱粉としては、馬鈴薯澱粉、ワキシーコーンスターチ、コーンスターチ、小麦澱粉、タピオカ澱粉、米澱粉、甘藷澱粉等が挙げられ、馬鈴薯澱粉および/またはワキシーコーンスターチを用いることが好ましい。さらに、澱粉としては、酸化澱粉が好ましく用いられる。従って、澱粉としては、酸化馬鈴薯澱粉および/または酸化ワキシーコーンスターチを用いることが最も好ましい。
これらの澱粉を上記の量で用いることで、麦芽粉末との相乗効果により、たこ焼きの内部の食感がよりトロッとして、クリーミーなものとなり、さらに好ましいものとなる。これら澱粉の含有量が20質量部未満であると、これらの効果が得られ難く、35質量部を超えるとたこ焼き等の保形性が劣るようになり、つぶれやすくなるため好ましくない。
【0015】
本発明のたこ焼き用またはお好み焼き用ミックスは、上記の穀粉類、麦芽粉末および澱粉のほかに、たこ焼き用またはお好み焼き用ミックスに従来用いられているその他の原材料を適宜含有することができる。その他の原材料としては、油脂、食塩、風味調味料、糖類、植物性蛋白質(大豆粉、小麦蛋白等)、ヤマイモ粉、卵粉(全卵粉、卵黄粉、卵白粉)、魚節類(カツオ節、サバ節、ソーダ節、マグロ節等)、粉末昆布、増粘剤、香辛料、着色料、エキス・スープ類、乾燥野菜類等が挙げられる。本発明の効果を損ねないようにする観点から、その他の原料の含有量は、穀粉類、麦芽粉末および澱粉の合計量100質量部に対して、合計で20質量部以下の範囲とすることが好ましい。
【0016】
本発明のたこ焼き用またはお好み焼き用ミックスを用いてたこ焼きまたはお好み焼きを製造する際は、常法に従って、本発明のたこ焼き用またはお好み焼き用ミックスから適宜生地を調製して焼成すればよい。
【0017】
本発明のたこ焼き用またはお好み焼き用ミックスを用いて製造されたたこ焼きまたはお好み焼きは、焼成後直ぐに食してもよく、冷蔵または冷凍処理して保存後、電子レンジ等で解凍、再加熱して食してもよい。さらに、冷凍保存したたこ焼きまたはお好み焼きを解凍、再加熱して食する場合、該冷凍保存したたこ焼きまたはお好み焼きを、食する前日より解凍を兼ねて冷蔵保存にしておいて、食する当日に電子レンジ等で再加熱して食してもよい。
【実施例】
【0018】
以下、実施例等を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等によって制限されるものではない。
【0019】
〔実施例1〜6および比較例1〜5〕
下記の表1に示すたこ焼き原料粉1000gに、粉末油脂30g、食塩20gおよび粉末調味料15gを混合して、たこ焼き用ミックスを得た。
このたこ焼き用ミックス100gに、水300gおよび溶き卵25gを加え、攪拌混合してたこ焼き生地を調製した。このたこ焼き生地を180℃に熱したたこ焼き器に流し込んだ。そこに、たこのぶつ切り、天かす、ネギおよび紅生姜を加えて加熱し、たこ焼き器に接した部分が焼けてきたら、竹串を用いて、生地を反転させた。さらに全体に熱が通るまで焼成し、たこ焼きを得た。
得られたたこ焼きについて、10名のパネラーにより、たこ焼きの表面と内部の食感、たこ焼きの風味および焼き色を、表2に示す評価基準により評価した。その結果の平均点を表3に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】
【表3】
【0023】
〔比較例6〕
麦芽粉末0.1質量部の代わりに、αアミラーゼ(商品名「ビオザイムA」、天野エンザイム社製)0.01質量部を添加した以外は実施例2と同様にして、たこ焼き用ミックスを得た。
このたこ焼き用ミックスを用いて、実施例2と同様にして、たこ焼きを得た。得られたたこ焼きについて、10名のパネラーにより、たこ焼きの表面と内部の食感、たこ焼きの風味および焼き色を、上記表2に示す評価基準により評価した。その結果の平均点を表4に示す。なお、下記表4には、対比のため実施例2の結果を併せて示す。
【0024】
【表4】