特許第5718277号(P5718277)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5718277
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月13日
(54)【発明の名称】試験システム
(51)【国際特許分類】
   G01M 15/10 20060101AFI20150423BHJP
   G01M 17/007 20060101ALI20150423BHJP
【FI】
   G01M15/10
   G01M17/00 Z
【請求項の数】13
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-118186(P2012-118186)
(22)【出願日】2012年5月24日
(65)【公開番号】特開2013-245977(P2013-245977A)
(43)【公開日】2013年12月9日
【審査請求日】2014年1月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000155023
【氏名又は名称】株式会社堀場製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100113468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(72)【発明者】
【氏名】浦谷 勝己
(72)【発明者】
【氏名】渡部 功司
(72)【発明者】
【氏名】中村 博司
【審査官】 谷垣 圭二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−090057(JP,A)
【文献】 特開2004−318762(JP,A)
【文献】 特開平08−063223(JP,A)
【文献】 特開2012−038044(JP,A)
【文献】 特開2006−106974(JP,A)
【文献】 長野隆史,大崎拓司,最新のULEV計測のニーズとホリバの対応,Readout,日本,1999年 3月,No.19,11-13
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 15/10
G01M 17/00−17/10
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両、船舶、飛行機等の移動体又は該移動体の構成機器の試験をするためのものであって、
前記試験に用いられる複数の試験用ユニットと、前記試験用ユニットを管理する管理装置とを具備し、
前記管理装置が、複数の試験用ユニットの集合を試験用グループとして認識するとともに、複数の前記試験用グループの集合を試験用デバイスとして認識する認識部と、指定された1以上の前記試験用グループ単位で一括した所定動作の指令又は所定の設定を行う管理本体部とを具備し
前記認識部が、前記試験用デバイスを識別するためのデバイスIDを上位階層とするとともに、前記試験用グループを識別するためのグループID、前記試験用ユニットを識別するためのユニットIDの順に下位階層に位置づけた階層構造データを記憶している記憶部であることを特徴とする試験システム。
【請求項2】
前記管理本体部が、指定された1以上の前記試験用デバイスに属する試験用ユニットに対して一括した所定動作の指令又は所定の設定を行うものである請求項1記載の試験システム。
【請求項3】
前記試験用グループに属する試験用ユニットのうちの一部を除いて前記一括動作指令又は一括設定を行うことができるように構成している請求項1又は2記載の試験システム。
【請求項4】
前記試験用デバイスに属する試験用グループ又は試験用ユニットのうちの一部を除いて前記一括動作指令又は一括設定を行うことができるように構成している請求項2記載の試験システム。
【請求項5】
前記管理装置が、前記試験用グループ又は試験用デバイスの追加、変更、削除を受け付けて、該追加、変更、削除を前記記憶部に反映させる受付部をさらに具備している請求項記載のガス測定システム。
【請求項6】
前記受付部は、所定の試験用ユニットを前記試験用デバイスに、又は所定の試験用デバイスを前記試験用ユニットに変更することも受け付けるものである請求項記載のガス測定システム。
【請求項7】
複数の管理本体部が通信可能に接続されており、
一の管理本体部の前記一括動作指令内容又は一括設定内容を、他の管理装置に送信する通信部をさらに具備している請求項1乃至いずれか記載の試験システム。
【請求項8】
前記試験用ユニットが、内燃機関の吸排気経路を流れるガスを測定するために用いられる測定用ユニットである請求項1乃至いずれか記載の試験システム。
【請求項9】
前記吸排気経路に設けられた所定のサンプリングポイントでのガスを測定するための測定用ユニットの集合を、試験用グループとして認識させている請求項記載の試験システム。
【請求項10】
前記所定動作が、測定動作、校正動作、パージ動作の少なくとも1つを含むものである請求項8又は9記載の試験システム。
【請求項11】
前記所定設定が、スパンガス濃度の設定を含むものである請求項8乃至10いずれか記載の試験システム。
【請求項12】
車両、船舶、飛行機等の移動体又は該移動体の構成機器の試験に用いられる複数の試験用ユニットと通信可能に接続され、該試験用ユニットを管理するものであって、
複数の前記試験用ユニットの集合を試験用グループとして認識するとともに、複数の前記試験用グループの集合を試験用デバイスとして認識する認識部と、指定された1以上の前記試験用グループ単位で一括した所定動作の指令又は所定の設定を行う管理本体部とを具備し
前記認識部が、前記試験用デバイスを識別するためのデバイスIDを上位階層とするとともに、前記試験用グループを識別するためのグループID、前記試験用ユニットを識別するためのユニットIDの順に下位階層に位置づけた階層構造データを記憶している記憶部であることを特徴とする管理装置。
【請求項13】
車両、船舶、飛行機等の移動体又は該移動体の構成機器の試験に用いられる複数の試験用ユニットと通信可能に接続され、該試験用ユニットを管理する管理装置に搭載されることにより、該管理装置に、複数の前記試験用ユニットの集合を試験用グループとして認識するとともに、複数の前記試験用グループの集合を試験用デバイスとして認識すべく、前記試験用デバイスを識別するためのデバイスIDを上位階層とするとともに、前記試験用グループを識別するためのグループID、前記試験用ユニットを識別するためのユニットIDの順に下位階層に位置づけた階層構造データを記憶している認識部と、指定された1以上の前記試験用グループ単位で一括した所定動作の指令又は所定の設定を行う管理本体部としての機能を発揮させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両、船舶、飛行機等の移動体そのものの他、移動体に用いられる内燃機関等の構成機器を試験するための試験システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば自動車の試験システムとして、特許文献1に示すように、1台の管理装置に複数台の測定ユニットを接続して、この管理装置に各測定ユニットを個別に管理させるようにしたものが知られている。また、特許文献2に示すように、この管理装置の上位に試験自動管理装置を設け、この試験自動管理装置によって試験スケジュールを決められるようにしたものもある。
【0003】
このような試験システムによれば、オペレータは管理装置から各測定ユニットに対する種々の設定や動作指令(例えばスパンガス濃度の値の設定や測定動作開始指令など)を、リモートで行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許3524754号公報
【特許文献1】特開2005−49353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の構成であると、前記設定や動作指令を測定ユニット毎に行わなければならないために、測定ユニットを多数用いる試験システムでは、その操作が煩雑になる。かかる不具合は、測定装置を用いた試験システムのみならず、移動体又はその構成機器の試験をする試験用ユニットを用いた試験システムに共通すると考えられる。
【0006】
これに対し、複数の試験用ユニットを選んで、その選んだ試験用ユニットに対し一括して設定できるような構成にすることも単純には考えられるが、本発明は、さらに進んで、複数の試験用ユニットに対する種々の設定や動作指令を、オペレータに分かり易く、しかも操作性よくできるようにするとともに、柔軟な運用の可能な試験システムを提供すべく図ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明に係る試験システムは、車両、船舶、飛行機等の移動体又は該移動体の構成機器の試験をするためのものであって、前記試験に用いられる1又は複数の試験用ユニットと、前記試験用ユニットを管理する管理装置とを具備し、前記管理装置が、1以上の試験用ユニットの集合を試験用グループとして認識する認識部と、指定された1以上の前記試験用グループ単位で一括した所定動作の指令又は所定の設定を行う管理本体部とを具備していることを特徴とするものである。
【0008】
また、前記認識部が、1以上の試験用グループの集合を試験用デバイスとして認識するものであり、前記管理本体部が、指定された1以上の試験用デバイスに属する試験用ユニットに対して一括した所定動作の指令又は所定の設定を行うものであれば、より好ましい。
【0009】
しかしてこのようなものであれば、各試験用ユニットの系統だった関係を把握しながら、一括動作指令や設定を行うことができるので、操作がよりわかりやすくなるとともに、試験用デバイスの選択ミスなどを防止できる。
【0010】
より柔軟なシステム運用を可能とするには、前記管理本体部が、前記試験用グループに属する試験用ユニットのうちの一部を除いて前記グループ管理を行うことができるように構成したものや、前記試験用デバイスに属する試験用グループ又は試験用ユニットのうちの一部を除いて前記デバイス管理を行うことができるように構成したものが望ましい。
【0011】
前記認識部の具体的態様としては、試験用デバイスを示すデバイスIDを上位階層として試験用グループを示すグループID、試験用ユニットを示すユニットIDの順に下位階層に位置づけた階層構造データを記憶している記憶部を挙げることができる。
【0012】
ハードウェア構成に縛られることなく、あるいは、ハードウェア構成の変更等に対応してシステム管理を行えるようにするには、管理装置が、前記認識部で認識されている試験用グループ又は試験用デバイスの追加、変更、削除を受け付けて、該追加、変更、削除を前記記憶部に反映させる受付部をさらに具備しているものが好適である。
【0013】
より好ましくは、前記受付部が、所定の試験用ユニットを試験用デバイスに、又は所定の試験用デバイスを試験用ユニットに変更することも受け付けるように構成したものを挙げることができる。
【0014】
管理本体部間で前記一括動作指令内容又は一括設定内容を共有できるようにするには、一の管理本体部の前記一括動作指令内容又は一括設定内容を、他の管理装置に送信する通信部をさらに具備しているものが望ましい。
【0015】
本発明の効果がより顕著に発揮される具体的態様としては、前記試験用ユニットが、内燃機関の吸排気経路を流れるガスを測定するために用いられる測定用ユニットであり、前記吸排気経路に設けられた所定のサンプリングポイントでのガスを測定するための測定用ユニットの集合を、試験用グループとして認識させているものを挙げることができる。
【発明の効果】
【0016】
このように構成した本発明によれば、例えば設定内容別に試験用デバイスを階層構造にしてグループ化しておくことにより、オペレータは、各試験用デバイスの系統だった関係を把握しながら、一括設定するための複数の試験用デバイスを選ぶことができるので、設定操作がよりわかりやすくなる。また、認識部の認識変更をするだけで、一括動作指令や設定の対象を変更できるので、試験システムの柔軟な運用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る試験システムの全体を示す模式的構成図である。
図2】同実施形態のガス流路を簡便に示す流体回路図である。
図3】同実施形態のデバイス及び管理装置の機能ブロック図である。
図4】同実施形態のデータ階層構造を示す模式図であるとともに、設定を一括指定するときに表示される画面の概要を示す画面概要構成図である。
図5】同実施形態の初期画面を示す画面構成図である。
図6】同実施形態の一括動作指令を指示するときに表示される画面構成図である。
図7】同実施形態の一括動作指令を出すための操作ボタンの拡大図である。
図8】同実施形態の校正設定値を入力するための設定値入力画面である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は下記実施形態に限られないのは言うまでもない。
【0019】
図1は、本実施形態に係る試験システム100の全体を模式的に示したものである。この試験システム100は、車両のエンジン性能を試験するためのものであって、図示しない試験自動管理装置、内燃機関EGに接続されたダイナモメータ1、複数のガス分析装置2、管理装置7等を備えている。
【0020】
ガス分析装置2は、例えば、前記試験自動管理装置からのコマンドによって動作する内燃機関EGの吸排気経路LG(区別が必要なときは、吸気側をLG(1)、排気側をLG(2)とする)からガスをサンプリングし、そのサンプリングしたガスに含まれるHC、NO、CO、CO等の各成分量を測定するとともに、その測定値から内燃機関EGや触媒装置Cなどの機器の性能値を必要に応じて算出するものである。
【0021】
そのために、各分析装置2は、図2に示すように、内燃機関EGの吸排気経路LGから吸入ガス又は排出ガスをサンプリングするためのサンプリング管LDに接続されている。吸排気経路LGにおけるサンプリング管が接続されるポイント(サンプリングポイント)は、例えば内燃機関EGの前後、触媒装置Cの前後、排気経路LG(2)の終端部などに設定されている。なお、図2中、符号LSは、校正用のスパンガスを導入するためのスパンガス導入管、符号LZは、校正用のゼロガスを導入するためのゼロガス導入管、符号Vは切替のためのバルブを示している。また、図1中、符号Cは触媒が内蔵されたマフラーを示している。
サンプリングされたガスは、図2に示すように、各分析装置2が有する1以上の分析ユニット21に導かれ、所定の成分濃度が測定される。なお、分析装置2を区別する必要があるときは()を付けることとする。
【0022】
分析ユニット21とは、例えば、THCを測定するためのFIDであるとか、NOxを測定するためのCLDであるとか、CO、COを測定するためのNDIR等のことであり、単一又は同種のガス成分を測定するためのセンサ21a及びその周辺機器からなるものである。なお、この分析ユニット21が請求項で言う試験用ユニット又は測定用ユニットに相当する。
【0023】
さらにこの分析装置2は、ローカルコンピュータを有している。このローカルコンピュータは、物理的には、図示しないCPU、メモリ、A/Dコンバータ、通信インタフェースなどを備えたものであり、メモリに搭載されたプログラムにしたがってCPUや周辺機器が協働することによって、図3に示すように、前記各分析ユニット21のセンサ21aから出力される検出値に所定の演算を施して、前記各成分量を示す測定値を算出するとともに、その測定値から前記機器性能値を算出する演算部26や、該演算部26によって算出された測定値や機器性能値等を所定のプロトコルで管理装置7に送信する通信部22としての機能を発揮する。なお、分析装置2毎にローカルコンピュータが設けられていてもよいし、複数の分析装置2に亘って1つのローカルコンピュータが設けられていてもよい。ここでは、後述するデバイスを単位としてこのローカルコンピュータが動作するように構成してある。
【0024】
また、このローカルコンピュータは、管理装置7からの指令信号を受信してバルブVや温調機構21b、ポンプ21cなどをコントロールし、当該排ガス分析装置2の動作モード(測定モード、校正モード、パージモード等)や状態モード(スリープモード、ポーズモード、スタンバイモード等)を制御する制御部23、演算部26による測定値や性能値算出のための演算式に補正を施してセンサ21aの校正を行う校正部24、あるいは、該分析装置2の過去から現在に亘る状態情報等を逐次取得して蓄積するローカル蓄積部25等をさらに具備している。
【0025】
管理装置7は、例えば汎用のコンピュータに所定のプログラムをインストールして構成されたもので、物理的には、CPU、メモリ、ディスプレイ、入力手段(キーボードやマウス等)、通信インタフェース等を備えている。そして、前記メモリに記憶させたプログラムに従ってCPU及びその周辺機器が協働することにより、この管理装置7は、図3に示すように、受付部71、表示部72、管理本体部73、通信部74、記憶部75等としての機能を発揮する。この管理装置7には、通信ポートが設けられていて、前記分析装置2は、有線又は無線によって、管理装置7に相互通信可能に接続される。
【0026】
記憶部75には、分析ユニット21を最小単位として、1以上の分析ユニット21の集合からなるグループ(請求項の試験用グループに相当)、1以上のグループからなるデバイス(請求項の試験用デバイスに相当)に分類したデータが格納されている。
【0027】
より具体的には、図4に模式的に示すように、前記デバイスを示すデバイスIDが属するデバイス階層の下層にグループを示すグループIDが属するグループ階層、さらにその下に分析ユニット21を示すユニットIDが属するユニット階層が形成されたツリー構造の階層構造データがこの記憶部75に格納されている。
【0028】
基本的には、1つのデバイスには1つの分析装置2が対応し、そのデバイスの下層にあるグループは、その分析装置2内にある1以上の分析ユニットから構成されるが、前記グループ及びデバイスは、ユーザの使い勝手や制御上、機能上等の観点から適宜分類したものであって、物理構成と1対1に対応しない場合もある。すなわち、複数のデバイスが1つの分析装置2に相当することもあるし、1つのデバイスが複数の分析装置2に亘ることもある。また、1つのグループが複数の異なる分析装置2の複数の分析ユニット21から構成される場合があるなど、そのバリエーションは多岐に及ぶ。
【0029】
ただし、ここでは、グループ、デバイスは、それを単位として独立して動作可能な物理構成となっていること(例えばポンプを具備して、独立してガスをサンプリングできるなど)を条件としている。
【0030】
さらにここでは、共通の目的のために動作する分析ユニット21を1グループとして設定している。共通の目的とは、例えば、吸排気経路LGの所定サンプリングポイントでの排ガスの成分分析であるとか、内燃機関EGの所定性能(例えばEGR率、排ガス流量等)の測定であるとかである。
【0031】
具体的には、例えば、排気経路LG(2)の終端部(テールパイプ)を流れるガスの測定をする一群の分析ユニットをTailPipeグループとして記憶部75に登録してある。物理的機器との関係で言えば、図1における分析装置2(1)、分析装置2(2)がTailPipeグループに属することとなる。
【0032】
その他を例示すれば、触媒装置Cの上流に接続された一群の分析ユニットをPreCATグループとして記憶部75に登録してある。物理的機器との関係で言えば、図1における分析装置2(3)がPreCATグループに属することとなる。なお、触媒装置Cの上流からサンプリングされたガスは、分析装置2(1)の一部の分析ユニットにも導入されるので、分析装置2(1)の一部は、PreCATグループに属することとなる。
【0033】
さらに、例えば、内燃機関EGの上流及び下流からサンプリングしたガスを測定する一群の分析ユニットをEGRグループとして記憶部75に登録してある。物理的機器との関係で言えば、図1における分析装置2(4)がEGRグループ(後述する図6ではこれをgroup1と表記している)に属することとなる。
【0034】
なお、この実施形態では、デバイスやグループは、必ずしも分析ユニットを単位とするものではなく、測定のために用いる機器、例えば、図示しないが、測定の前処理をするCVSの動作ユニット(PSU、ESU、CSUなど)単位としても構成している。
【0035】
また、この実施形態では、図4に示すように、デバイス階層のさらに上位階層に管理装置階層、さらにその上位階層に統合管理装置階層を設けている。これは、複数の管理装置7が統合管理装置に管理されている物理的構成に基づいたものである。
【0036】
次に、かかる構成の試験システム100において、管理装置7を用いて分析装置(あるいはデバイス)に、所定の動作を一括して指令したり所定の設定を一括して行ったりする場合の動作を説明する。
【0037】
まず動作の一括指令から説明するが、その前の前提である初期画面を表示する。
管理装置7のディスプレイ7aには、前記表示部72の機能により、初期画面として、図5に示すような、画面(以下、プラグイン画面とも言う。)8Aが表示される。このプラグイン画面8Aには、予め登録されたデバイスを示すデバイス標識81が重ならないように複数配置されている。各デバイス標識81は矩形状をなすもので、該当するデバイスを表す模式図の他に、このデバイスに接続するための接続ボタン82と、このデバイスの接続を切断するための切断ボタン83と、接続状態を示す接続状態表示領域84とが設けてある。
【0038】
このプラグイン画面8A上で、オペレータが、例えば接続ボタン82をクリックすると、該当するデバイスの通信部22との交信を始め、所定の接続プロトコルが正常に終了し、相互通信可能な接続状態が確立されると、通信可能に接続されている状態を示すConnectedなる表示が、該デバイス標識中の接続状態表示領域84に表示される。
【0039】
一方、この接続状態から切断ボタン83をクリックすると該当するデバイスとの交信が遮断され、接続が解除されている状態を示すStoppedなる表示が接続状態表示領域84に表示される。
【0040】
このようにして、必要なデバイスが管理装置7に通信可能に接続され、所定の操作を実施すると、表示部72がディスプレイ7aに、図6に示すような、詳細情報表示画面9Aを表示する。この詳細情報表示画面9Aは、デバイスの測定データや、動作モード(測定モード、校正モード、パージモード等)や状態モード(スリープモード、スタンバイモード等)における各種の情報を表示するものである。
【0041】
この詳細情報表示画面9Aでは、各デバイスから出力された種々の情報に対応して校正データや測定データ等をグラフや数値等により表示するデバイスパネルウィンドウ9が表示部72により表示されるとともに、その下方の動作状況アイコン領域10内に、動作状況アイコン11が表示される。
【0042】
このデバイスパネルウィンドウ9には、このデバイスに属するグループを選択するためのプルダウンメニュー15が設けられており、このプルダウンメニュー15で選んだグループに属する各分析ユニット21からの測定データが表示される。その表示形態は、表示形態切り替えボタン12をクリックすることにより、グラフや数値等に切り替えることができる。
【0043】
ところで、このデバイスパネルウィンドウ9の下部には複数の操作ボタン14が設けてあり、この操作ボタン14のいずれかをオペレータがクリックすると、前記受付部71がその操作を受け付けるとともに、管理本体部73が、このデバイスパネルウィンドウ9で選択されているグループに属する各分析ユニット21を記憶部75を参照して特定し、それら各分析ユニット21に前記操作ボタン14の図柄が示す動作を一括して指令する。
【0044】
操作ボタン14の詳細は、図7に示すとおりである。「Span」と表示される操作ボタン141をクリックすると、対応するデバイスパネルウィンドウ9に表示されているデバイス又は測定用グループに対してスパンガスを導入するという動作が指令される。同様に、「Zero」の操作ボタン142の場合は、ゼロガスを導入する。「CAL」の操作ボタン143は、導入されたスパンガス及びゼロガスの測定結果に基づいて、キャリブレーションを実行するという動作が指令される。「Purge」の操作ボタン144は、デバイス中のガスの掃討を実行する動作が指令される。「Measure」の操作ボタン145の場合は、サンプリングしたガスの測定実行という動作が指令される。「Stop」の操作ボタン146の場合は、測定停止という動作が指令される。
【0045】
一括動作指令の対象は、前記プルダウンメニュー15により選ぶことができる。すなわち、グループのみならず、その上位階層であるデバイスや、さらにその上位階層である管理装置、統括管理装置なども選択できるし、分析ユニット21単位でも選択できるように構成してある。そして、選択操作が行われると、記憶部75に格納された前記階層データにしたがって、その下層にある全ての分析ユニット21に対する動作の指令が行われる。
また、図示しないが、一括指定されるべき対象のうちから、オペレータが操作して、いずれかのユニット、グループ、デバイス等を除くこともできる。
【0046】
次に、一括設定の動作を、スパン校正に係る設定動作を一例として説明する。
【0047】
図2に示すように、スパン校正する場合には、まず、濃度が既知であるスパンガス供給源B(ここではボンベ乃至シリンジ)を、バルブVaなどを操作して、前記スパンガス導入管LSに接続する。
【0048】
前記スパンガス供給源Bのスパンガス濃度は、同種のものであっても個々の製品ごとにわずかに異なるため、オペレータは、スパンガス供給源Bを取り替える都度、スパンガス供給源Bに記載されている正確な濃度を、管理装置7に入力する必要がある。
【0049】
そこで、オペレータは、適宜の操作をして、管理装置7に、図8に示す校正設定画面A1を表示させる。この校正設定画面A1には、例えば、スパンガスの種類とスパンガスの濃度とを入力する欄R2、R1が設けてあるとともに、一括設定すべき分析装置2を指定する一括指定画面A2に移行するための移行ボタンB1が設けてある。
【0050】
この一括指定画面A2には、例えば図4に示すような、前記記憶部75に記憶されている階層構造を示す図が、グループIDやデバイスIDとともに図示される。
【0051】
そこで、任意のグループを、そのID(例えばここではグループA1など)をオペレータが指定操作すると、そのグループに属する分析ユニット21、つまりそのグループの下位階層に位置する全ての分析ユニット21が選択されたこととなる。また、例えば、当該管理装置のID(ここでは「管理装置A」という欄)をクリックするなどして指定すれば、このグループ、すなわち、この管理装置7が管理している全ての分析ユニット21が選択され、選択部分の表示が他と区別可能に変化する。また、統合管理装置のID欄(ここでは「DB」という欄)を選択すれば全ての分析ユニット21が選択される。
【0052】
その状態で、例えば図示しない決定ボタンをクリックすると、前記受付部71が、その設定内容であるスパンガス濃度をグループ指定とともに受け付け、管理本体部73が、選択された各分析ユニット21を含むデバイス(あるいは分析装置2)に対し、一括してスパンガス濃度を送信する。
【0053】
このスパンガス濃度及びコマンドを受信した測定デバイス(あるいは分析装置2)のローカルコンピュータでは、校正部24が校正するときに用いるスパンガス濃度の値又はそれを用いた校正算出式を補正してローカル蓄積部に保存する。
【0054】
以上が設定動作であるが、さらに本実施形態では、図4に示す前記一括指定画面において、指定したグループ以外のグループも指定することができるし、指定したグループに属するデバイス又は下位グループの指定を解除することもできる。例えば、一括指定画面に表示されている階層構造図において、グループとグループとを接続しているラインが接続するように、所定操作をすれば、そのラインにつながっているグループやデバイスに対する一括設定ができるようになるし、指定したグループ内におけるラインを切断するように所定操作すれば、切断されたライン以降のグループやデバイスには、一括設定がなされない。
【0055】
もちろん、スパン設定のみならず、例えば、分析装置2の動作などのクォリティチェックの項目設定や、クォリティチェックの期間設定、あるいは分析装置2を構成する部品の許容稼働時間の設定なども同様に一括して行うことができる。そのときのグルーピングやそれに伴う階層構造は、設定内容毎に異なるようにしても構わない。
【0056】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。例えば、グループや階層構造は、管理装置7を単位とするものに限られない。例えば、異なる管理装置7に内蔵されている同種の分析ユニット21を、管理上、1つのグループに設定してもよい。画面の表示態様は種々変更可能であり、例えば前記校正設定画面と一括指定画面とをディスプレイに同時に表示しても構わない。また、本システムは、例えば、車両の試験にも適用できるし、飛行機や船舶、あるいはその機器などの試験にも用いることができる。設定対象としては、分析装置2(試験用デバイス)のみならず、試験対象となる同種の機器が複数ある場合などにおいては、その機器の諸元を一括設定できるようにしてもよい。その他、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
【符号の説明】
【0057】
100・・・試験システム
21 ・・・試験用ユニット(分析ユニット)
7 ・・・管理装置
71・・・受付部
72・・・表示部
73・・・管理本体部
75・・・記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8