(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光ファイバケーブルを介して光信号を受光または/および発信する光学素子と、該光学素子を収容保持するとともに、前記光ファイバケーブルに装着したコネクタの嵌着を許容するコネクタハウジングと、金属製のシールドケースとで構成し、
前記コネクタハウジングを、
前記コネクタの嵌着を許容する嵌着部と、
該嵌着部から前記コネクタの嵌着方向に延設するとともに、前記光学素子を内部に収容保持する素子収容部と、
該素子収容部から延設するとともに、内部に収容保持される前記光学素子を前記嵌着方向に対して逆方向から保護する保護部とで一体にして形成するとともに、
前記素子収容部を、
前記コネクタの前記嵌着方向に開口部を設けて、前記嵌着部から前記嵌着方向に延設して形成するとともに、前記素子収容部の下端に、前記開口部に向けて延設した下面壁部を備え、
前記保護部を、
前記開口部を閉塞可能な形状に形成した閉塞部と、
可撓性を有して前記素子収容部、及び前記閉塞部の上部を連結する連結部とで構成し、
前記閉塞部の下端に、前記素子収容部に向けて延設する支持突部を備え、
光ファイバケーブルを介して光信号を受光または/および発信する光学素子を、前記下面壁部及び前記支持突部で下方から支持して前記素子収容部に収容し、
前記シールドケースを、前記素子収容部及び前記保護部を一体的に囲繞する構成とするとともに、
前記シールドケースに、前記コネクタハウジングの前記保護部の前記閉塞部を前記嵌着方向と逆方向に付勢する付勢部を備え、
該付勢部を、幅方向における先端に、前方に向けて突設した付勢突部を有するとともに、幅方向に対向して2つ備えた
光コネクタ。
【背景技術】
【0002】
近年の車両内での制御信号、画像信号、音声信号等の通信情報量の増大に伴い、情報信号の伝送に使用される伝送路には、従来のメタルケーブルに代えて、光ファイバケーブルが用いられている。
そして、この光ファイバケーブルを用いた光伝送路において、光ファイバケーブルを通信対象となる装置に接続する場合、光ファイバケーブルの端部に備えた光コネクタを介して接続される。
【0003】
例えば、通信対象となる装置と光ファイバケーブルとを接続する場合、配線基板等に接続される光素子で構成したFOT(Fiber Optical Transceiver)を組み付けた雌型コネクタと、光ファイバケーブルが接続された雄型コネクタとを凹凸嵌合して接続することで、光伝送路を構成している(特許文献1参照)。
【0004】
この際、雌型コネクタは、雄型コネクタの光ファイバケーブルからの伝搬光をFOTに確実に伝送するため、FOTとコネクタハウジングとの相対的な位置ズレを抑制する必要がある。このため、特許文献1の雌型コネクタには、バネ機構によってFOTを雄型コネクタ側へ付勢して、FOTとコネクタハウジングとの相対的な位置ズレを抑制する金属ケースを備えている。
【0005】
ところが、特許文献1の雌型コネクタでは、FOTを組み付けた雌型コネクタハウジングに金属ケースを被せる際、金属ケースとFOTとが直接接触するため、FOTが損傷するおそれがあった。
【0006】
そこで、
図7に示すように、受信用レンズ50、送信用レンズ60、FOT70、及びFOT70の後面にスペーサ100を収容したメス型コネクタハウジング130に対して、金属ケースであるシールドケース40を被着することで、FOT70とシールドケース40とが直接接触することをスペーサ100で阻止して、FOT70の損傷を防止することができる。
しかしながら、スペーサ100を設けたことで、部品点数が増加するとともに、組付け工数が増加するという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、上述の問題に鑑み、部品点数を削減するとともに、光学素子を容易に保護することができるコネクタハウジング、及び光コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、光ファイバケーブルを介して光信号を受光または/および発信する光学素子と、該光学素子を収容保持するとともに、前記光ファイバケーブルに装着したコネクタの嵌着を許容するコネクタハウジングと、金属製のシールドケースとで構成し、前記コネクタハウジングを、前記コネクタの嵌着を許容する嵌着部と、該嵌着部から前記コネクタの嵌着方向に延設するとともに、前記光学素子を内部に収容保持する素子収容部と、該素子収容部から延設するとともに、内部に収容保持される前記光学素子を前記嵌着方向に対して逆方向から保護する保護部とで一体にして形成するとともに、前記素子収容部を、前記コネクタの前記嵌着方向に開口部を設けて、前記嵌着部から前記嵌着方向に延設して形成
するとともに、前記素子収容部の下端に、前記開口部に向けて延設した下面壁部を備え、前記保護部を、前記開口部を閉塞可能な形状に形成した閉塞部と、可撓性を有して前記素子収容部、及び前記閉塞部
の上部を連結する連結部とで構成し、
前記閉塞部の下端に、前記素子収容部に向けて延設する支持突部を備え、光ファイバケーブルを介して光信号を受光または/および発信する光学素子を、
前記下面壁部及び前記支持突部で下方から支持して前記素子収容部に収容し、前記シールドケースを、前記素子収容部及び前記保護部を一体的に囲繞する構成とするとともに、前記シールドケースに、前記コネクタハウジングの前記保護部の前記閉塞部を前記嵌着方向と逆方向に付勢する付勢部を備え
、該付勢部を、幅方向における先端に、前方に向けて突設した付勢突部を有するとともに、幅方向に対向して2つ備えたことを特徴とする。
【0010】
この発明により、部品点数を削減するとともに、光学素子を容易に保護できる光コネクタを構成することができる。これにより、光コネクタは、光学素子を組み付ける際の組付け工数の削減、及びコストの増加を抑制することができる。
【0011】
また、前記コネクタハウジングの前記素子収容部を、前記コネクタの前記嵌着方向に開口部を設けて、前記嵌着部から前記嵌着方向に延設して形成し、前記保護部を、前記開口部を閉塞可能な形状に形成した閉塞部と、可撓性を有して前記素子収容部、及び前記閉塞部を連結する連結部とで構成することにより、光学素子を組み付ける際のスペースを確保するとともに、開口部を容易に閉塞することができる。
【0012】
より詳しくは、コネクタハウジングに光学素子を組み付ける際、素子収容部の開口部によって、光学素子を素子収容部に容易に組み付けることができる。そして、可撓性の連結部を折り曲げることで、嵌着方向とは逆方向から光学素子を閉塞部で保護することができる。
【0013】
これにより、コネクタハウジングは、素子収容部に保護部を一体に形成したことで、光学素子の組付け性が低下することを防止できる。
従って、光コネクタは、部品点数を削減するとともに、光学素子の組み付け性を確保することができる。
【0014】
さらに、例えば、コネクタハウジングとは別体で構成したスペーサなどで光学素子を保護する場合、スペーサの組み付け忘れが生じるおそれがあるのに対して、コネクタハウジングに保護部を一体に形成したことにより、コネクタハウジングは、光学素子を保護する部品の組み付け忘れが生じることを防止できる。
【0015】
さらにまた、例えば、コネクタハウジングとは別体で構成したスペーサで光学素子を保護するとともに、コネクタハウジングにシールドケースを被せる際、スペーサが脱落しないようにコネクタハウジングにシールドケースを被せる必要がある。
【0016】
これに対して、コネクタハウジングに保護部を一体に形成したことにより、光コネクタは、保護部が脱落することがないため、シールドケースを容易に被せることができる。
【0017】
これにより、例えば、コネクタハウジングと光学素子との相対的な位置ズレを抑制するために光学素子を付勢部で付勢するシールドケースでコネクタハウジングを覆う際、コネクタハウジングは、光学素子を保護するとともに、組付け性の向上を図ることができる。
従って、光コネクタは、部品点数を削減するとともに、組付け性を向上して、光学素子を容易に保護することができる。
【0018】
また、前記シールドケースを、前記素子収容部及び前記保護部を一体的に囲繞する構成とするとともに、前記シールドケースに、前記コネクタハウジングの前記保護部の前記閉塞部を前記嵌着方向と逆方向に付勢する付勢部を備えることにより、保護部を介してコネクタハウジングに収容保持した光学素子を付勢部で付勢することができる。このため、光コネクタは、コネクタハウジングと光学素子との相対的な位置ズレを抑制することができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明により、部品点数を削減するとともに、光学素子を容易に保護できるコネクタハウジング、及び光コネクタを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
なお、
図1はメス型光コネクタ付基板1における前方視からの外観斜視図を示し、
図2はメス型光コネクタ付基板1における後方視からの外観斜視図を示し、
図3はメス型光コネクタ付基板1における構成要素の後方視からの分解斜視図を示し、
図4は
図2中のA−A矢視断面図を示している。
【0022】
また、図中において、矢印Xは長手方向を示し(以下「長手方向X」とする)、矢印Yは幅方向を示している(以下、「幅方向Y」とする)。さらに、長手方向Xにおいて、後述する嵌着部31側(
図1中における左下側)を前方とし、後述する素子収容部32側(
図1中における右上側)を後方とする。加えて、図中における上側を上方とし、下側を下方とする。
また、図中におけるプリント配線基板10は、図示を簡略化するため、その一部分を切り抜いて図示している。
【0023】
光伝送路において、光ファイバケーブル(図示省略)が接続されたオス型光コネクタ付ケーブル(図示省略)と通信対象装置とを接続する場合、光伝送路の接続部(図示省略)は、オス型光コネクタ付ケーブルにおけるオス型光コネクタ(図示省略)と、通信対象装置に内蔵されるメス型光コネクタ付基板1におけるメス型光コネクタ20とで構成され、オス型光コネクタとメス型光コネクタ20とを長手方向Xで凹凸嵌合して接続している。
【0024】
オス型光コネクタ付ケーブルは、例えば、光ファイバケーブルの先端に接続端子(図示省略)を装着した2本の端子付光ファイバケーブル(図示省略)と、端子付光ファイバケーブルが装着されるとともに、後述するメス型コネクタハウジング30と凹凸嵌合するオス型コネクタハウジング(図示省略)とで構成している。
【0025】
一方、通信対象装置に内蔵されるメス型光コネクタ付基板1は、
図1及び
図2に示すように、プリント配線基板10と、プリント配線基板10に接続されたメス型光コネクタ20とで構成している。
【0026】
具体的には、プリント配線基板10は、
図3に示すように、絶縁性を有する略板状の絶縁板における板面上に電気回路パターン(図示省略)を形成するとともに、電気回路パターンに接続可能に開口した複数のスルーホール11を有する形状に形成している。さらに、プリント配線基板10には、後述するメス型コネクタハウジング30を装着許容する2つのハウジング挿着孔12と、後述するシールドケース40を装着許容する2つのケース挿着孔13とを形成している。
【0027】
メス型光コネクタ20は、
図3及び
図4に示すように、プリント配線基板10に装着される絶縁性を有する樹脂製のメス型コネクタハウジング30と、上方からメス型コネクタハウジング30に被着した金属製のシールドケース40と、メス型コネクタハウジング30の内部に収容した受信用レンズ50と、送信用レンズ60と、FOT(Fiber Optical Transceiver)70とで構成している。
【0028】
受信用レンズ50は、オス型光コネクタ付ケーブルからの伝搬光を受光して、FOT70に伝送する機能を有している。
送信用レンズ60は、FOT70から発せられた光を集光して伝搬光としてオス型光コネクタ付ケーブルの光ファイバケーブルに伝送する機能を有している。
【0029】
FOT70は、受信用レンズ50を介して伝搬光を受光して電気信号に変換する受信素子と、電気信号を伝搬光に変換して送信用レンズ60に向けて発信する送信素子とを一体にして構成するとともに、プリント配線基板10のスルーホール11に挿入する複数の接触子71を備えている。
【0030】
メス型コネクタハウジング30は、
図1、
図3及び
図4に示すように、オス型光コネクタ付ケーブルのオス型コネクタハウジングを長手方向Xにおける後方に向けて嵌着可能に形成した嵌着部31と、FOT70を収容する素子収容部32と、FOT70の後面を後方から保護する後面保護部33とを一体にして形成している。
【0031】
嵌着部31は、幅方向Yにおける断面形状が略矩形の閉断面形状であって、長手方向Xに延設するとともに、後方の開口を閉塞する後壁部31aを備えた略ボックス状に形成している。さらに、嵌着部31の上面には、後述するシールドケース40の係止爪41が係止する係止孔31bを形成し、嵌着部31の側面には、後述するシールドケース40の嵌合部42が嵌合する側面視略矩形の嵌合突部31cを幅方向Yに突出して形成している。加えて、嵌着部31の下面には、下方に延びる略円柱状で、プリント配線基板10のハウジング挿着孔12に挿入される固定軸部34を形成している。
【0032】
素子収容部32は、FOT70を収容可能にして、嵌着部31の後方に形成している。より詳しくは、素子収容部32は、幅方向Yにおける断面形状が略門型形状であって、長手方向Xに延設するとともに、前方の開口を閉塞する前壁部32aと、前壁部32aの下端から後方に向けて略直角に延設した下面壁部32bとを備えた形状に形成している。なお、素子収容部32における後方の開口を、開口部32cとする。
【0033】
そして、嵌着部31と素子収容部32とは、嵌着部31と素子収容部32の内部空間を連通する略筒状の連通筒部35を介して接続している。この連通筒部35は、嵌着部31と素子収容部32の内部空間を連通するように、素子収容部32の前壁部32aから嵌着部31の内部空間に向けて延設して形成している。なお、連通筒部35は、嵌着部31の内部において、オス型光コネクタ付ケーブルの接続端子を挿入許容して保持し、素子収容部32において受信用レンズ50、及び送信用レンズ60を挿入許容して保持する形状に形成している。
【0034】
後面保護部33は、素子収容部32の開口部32cを閉塞する本体部36と、素子収容部32と本体部36とを接続する2つの接続部37とで構成している。
本体部36は、素子収容部32の開口部32cを閉塞可能な大きさで所定の厚みを有する略平板形状の平板部36aと、組付け状態において、FOT70を下方より支持する支持突部36bとを一体にして側面視略L字状に形成している。
【0035】
接続部37は、素子収容部32における上面の後端から本体部36に向けて延設した可撓性を有する略帯状に形成している。
このようにメス型コネクタハウジング30は、嵌着部31、素子収容部32、連通筒部35、及び後面保護部33を一体にして形成している。
【0036】
シールドケース40は、電磁波等を遮蔽する機能を有する金属製ケースであって、所定の厚みの金属板を打ち抜いてプレス成形し、メス型コネクタハウジング30における上面、側面、及び後面を包囲する立体形状に形成している。さらに、シールドケース40の前端には、嵌着部31の係止孔31bに係止する係止爪41を形成し、シールドケース40の側面には、嵌着部31の嵌合突部31cに嵌合する嵌合部42を形成している。加えて、シールドケース40には、プリント配線基板10のケース挿着孔13に挿着する脚部43と、スルーホール11に挿入する複数のケース接触子44を下方に向けて形成している。
【0037】
また、シールドケース40の後面には、後面視において、幅方向Yに寝かせた略U字状で、幅方向Yに対向する2つのケース付勢部45を、スリット状の開口によって形成している。このケース付勢部45には、幅方向Yにおける先端に後面視略円状で前方に向けて突設した付勢突部45aを形成している。
【0038】
次に、このような受信用レンズ50、送信用レンズ60、FOT70、メス型コネクタハウジング30、及びシールドケース40を組み付けてメス型光コネクタ20を構成するとともに、メス型光コネクタ20をプリント配線基板10に装着してメス型光コネクタ付基板1を構成する方法について説明する。
【0039】
まず、メス型コネクタハウジング30における素子収容部32の開口部32cから、受信用レンズ50、及び送信用レンズ60をそれぞれ連通筒部35に装着する。その後、素子収容部32の開口部32cから受信用レンズ50、及び送信用レンズ60に対応するようにFOT70を収容する。この際、素子収容部32の下面壁部32bでFOT70を下方から支持する。
【0040】
そして、メス型コネクタハウジング30の接続部37を下方に向けて折り曲げて、後面保護部33における支持突部36bでFOT70を下方から支持するとともに、平板部36aとFOT70の後面とを長手方向Xで当接させる。
【0041】
その後、受信用レンズ50、送信用レンズ60、及びFOT70を収容したメス型コネクタハウジング30に対して、上方から被せるようにしてシールドケース40を装着する。より詳しくは、シールドケース40の係止爪41をメス型コネクタハウジング30の係止孔31bに係止するとともに、シールドケース40の嵌合部42をメス型コネクタハウジング30の嵌合突部31cに嵌合して、メス型コネクタハウジング30にシールドケース40を被着する。
【0042】
この際、シールドケース40は、メス型コネクタハウジング30の後面保護部33における平板部36aに、ケース付勢部45の付勢突部45aが長手方向Xで当接することで、後面保護部33を介してFOT70を長手方向Xの前方に向けて付勢する。
このようにして受信用レンズ50、送信用レンズ60、FOT70、メス型コネクタハウジング30、及びシールドケース40を組み付けてメス型光コネクタ20を構成する。
【0043】
引き続き、プリント配線基板10に対して、このメス型光コネクタ20を装着固定する。より詳しくは、メス型コネクタハウジング30の固定軸部34をハウジング挿着孔12に挿着するとともに、プリント配線基板10のスルーホール11にFOT70の接触子71、及びシールドケース40のケース接触子44を挿通し、プリント配線基板10のケース装着孔にシールドケース40の脚部43を挿通する。その後、FOT70の接触子71、及びシールドケース40のケース接触子44をプリント配線基板10の回路パターンに半田等で接続して、メス型光コネクタ付基板1を構成する。
【0044】
以上のような構成のメス型光コネクタハウジング30、及びメス型光コネクタ20は、部品点数を削減するとともに、FOT70を容易に保護することができる。これにより、メス型コネクタハウジング30は、FOT70を組み付ける際の組付け工数の削減、及びコストの増加を抑制することができる。
【0045】
さらに、例えば、メス型コネクタハウジング130(
図7参照)とは別体で構成したスペーサ100(
図7参照)などでFOT70を保護する場合、スペーサの組み付け忘れが生じるおそれがあるのに対して、メス型コネクタハウジング30にスペーサ―として機能する後面保護部33を一体に形成したことにより、メス型コネクタハウジング30は、FOT70を保護する部品の組み付け忘れが生じることを防止できる。
【0046】
さらにまた、例えば、メス型コネクタハウジング130とは別体で構成したスペーサ100でFOT70を保護するとともに、メス型コネクタハウジング130にシールドケース40を被せる場合、スペーサ100が脱落しないようにメス型コネクタハウジング130にシールドケース40を被せる必要がある。
【0047】
これに対して、メス型コネクタハウジング30に後面保護部33を一体に形成したことにより、メス型コネクタハウジング30は、後面保護部33が脱落することがないため、シールドケース40を容易に被せることができる。
【0048】
これにより、FOT70を付勢するシールドケース40でメス型コネクタハウジング30を覆う際の組付け性の向上を図ることができる。
従って、メス型コネクタハウジング30、及びメス型光コネクタ20は、部品点数を削減するとともに、組付け性を向上して、FOT70を容易に保護することができる。
【0049】
また、本体部36と接続部37と構成した後面保護部33で、素子収容部32の開口部32cを閉塞することにより、FOT70を組み付ける際のスペースを確保するとともに、開口部32cを容易に閉塞することができる。より詳しくは、メス型コネクタハウジング30にFOT70を組み付ける際、素子収容部32の開口部32cによって、FOT70を素子収容部32に容易に組み付けることができる。そして、可撓性の接続部37を折り曲げることで、本体部36でFOT70を後方から保護することができる。
【0050】
これにより、メス型コネクタハウジング30は、素子収容部32に後面保護部33を一体に形成したことで、FOT70の組付け性が低下することを防止できる。
従って、メス型コネクタハウジング30は、部品点数を削減するとともに、FOT70の組み付け性を確保することができる。
【0051】
また、後面保護部33を後方から前方に向けて付勢するシールドケース40により、後面保護部33を介してメス型コネクタハウジング30に収容保持したFOT70を付勢することができる。このため、メス型光コネクタ20は、メス型コネクタハウジング30とFOT70との相対的な位置ズレを抑制することができる。
【0052】
従って、メス型光コネクタ20は、シールドケース40によって、FOT70を損傷することなく、メス型コネクタハウジング30とFOT70との相対的な位置ズレを確実に抑制することができる。
【0053】
なお、上述の実施形態において、メス型コネクタハウジング30に送信用レンズ60、受信用レンズ50、及びFOT70を収容する構成としたが、これに限定せず、オス型コネクタハウジングに送信用レンズ60、受信用レンズ50、及びFOT70を収容する構成としてもよい。
【0054】
また、シールドケース40をメス型コネクタハウジング30の上面、側面、及び後面を覆う立体形状に形成したが、これに限定せず、メス型コネクタハウジング30の素子収容部32における上面、側面、及び後面を覆う立体形状としてもよい。
また、受信素子と送信素子とを一体にして構成したFOT70を用いて説明したが、これに限定せず、受信素子と送信素子とを別体で構成してもよい。あるいは、受信素子、もしくは送信素子のどちらか一方で構成してもよい。
【0055】
また、メス型コネクタハウジング30の後面保護部33を介して、シールドケース40のケース付勢部45でFOT70を付勢する構成としたが、これに限定せず、素子収容部32の開口部32cを閉塞するように素子収容部32と一体に形成した後面保護部に、上述の実施形態におけるシールドケース40のケース付勢部45と同様にスリット状の開口によって形成した付勢部を設けて、組付け状態において後面保護部の付勢部によってFOT70を長手方向Xの前方に向けて付勢してもよい。
【0056】
例えば、別のメス型コネクタハウジング30における後方視からの外観斜視図を示す
図5のように、素子収容部32の開口部32cを閉塞するように形成した後面保護部39に、上下方向に延びるスリット状に開口したスリット部39aを設けて付勢部39bを形成してもよい。
なお、
図5におけるメス型コネクタハウジング30の長手方向における断面形状は、上述の実施形態における
図4と略同一のため、断面形状の図示を省略する。
【0057】
さらに、シールドケース40をメス型コネクタハウジング30に被着して、ケース付勢部45と、メス型コネクタハウジング30の付勢部39bとでFOT70を付勢する構成としてもよい。
【0058】
この際、付勢部39bの付勢力とシールドケース40の付勢力とが協働して、メス型コネクタハウジング30とFOT70との相対的な位置ズレを抑制することができる。
【0059】
このため、メス型コネクタハウジング30にFOT70を組み付ける際、メス型コネクタハウジング30における付勢部39bの付勢力でFOT70を仮組みすることができ、メス型コネクタハウジング30からFOT70が脱落することを阻止できる。そして、シールドケース40の付勢力によって、FOT70を付勢して位置ズレを抑制することができる。
【0060】
つまり、メス型コネクタハウジング30にFOT70、及びシールドケース40を組み付ける際、メス型光コネクタ20は、メス型コネクタハウジング30における付勢部39bの付勢力とシールドケース40の付勢力とが協働することで、FOT70、及びシールドケース40の組付け性を向上することができる。
【0061】
これにより、メス型コネクタハウジング30にFOT70を付勢する付勢部39bを備えた場合であっても、メス型光コネクタ20は、FOT70、及びシールドケース40の組付けを容易にするとともに、メス型コネクタハウジング30とFOT70との相対的な位置ズレを抑制することができる。
【0062】
なお、
図5において上下方向に延びるスリット部39aによって付勢部39bを形成したが、別の付勢部39bの例として、後面保護部39における幅方向Yの一方の縁辺近傍において、下端から上方に向けて開口するとともに、後面保護部39の上縁近傍から上縁と略平行に幅方向Yに開口した後方視略L字状のスリット部39aによって付勢部39bを形成してもよい。
【0063】
あるいは、後面保護部39の略中央の下端から上方に向けて開口するとともに、後面保護部39の上縁近傍で幅方向Yに開口した後方視略T字状のスリット部39aによって付勢部39bを形成してもよい。
もしくは、後方視において後面保護部39の略中央に略門型に開口したスリット部39aによって付勢部39bを形成してもよい。
また、
図5において、メス型コネクタハウジング30の後面保護部39に付勢部39bを設けたが、付勢部39bに付勢力を持たせず、後面保護部39をスリット部39aによって揺動可能にして、シールドケース40のケース付勢部45でFOT70を付勢する構成としてもよい。
【0064】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の光信号は、実施形態の伝搬光に対応し、
以下同様に、
光学素子は、FOT70に対応し、
コネクタは、オス型コネクタに対応し、
コネクタハウジングは、メス型コネクタハウジング30に対応し、
嵌着方向は、長手方向Xにおける後方側に対応し、
保護部は、後面保護部33、後面保護部39に対応し、
閉塞部は、本体部36に対応し、
連結部は、接続部37に対応し、
付勢手段は、付勢部39bに対応し、
光コネクタは、メス型光コネクタ20に対応し、
付勢部材は、シールドケース40に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0065】
例えば、別のメス型光コネクタ21における断面図を示す
図6のように、付勢手段としてメス型コネクタハウジング80における後面保護部83に弾性片88を備えたメス型光コネクタ21としてもよい。
【0066】
なお、メス型光コネクタ21におけるメス型コネクタハウジング80の嵌着部81、素子収容部82、開口部82c、固定軸部84、及び連通筒部85は、上述の実施形態におけるメス型コネクタハウジング30の嵌着部31、素子収容部32、開口部32c、固定軸部34、及び連通筒部35と略同一構成のため、その詳しい説明を省略する。
【0067】
具体的には、メス型コネクタハウジング80の後面保護部83は、開口部82cを閉塞する側面視略L字状の本体部86と、本体部86と素子収容部82を接続する接続部87と、本体部86におけるFOT70側の面に一体に形成した弾性を有する弾性片88とを一体にして形成している。
【0068】
さらに、本体部86における側面には、詳細な図示を省略した略円柱状の柱状突部86aを、幅方向Yに突出して形成している。
また、素子収容部82における内側面には、幅方向Yに凹設して後面保護部83の柱状突部86aが嵌合する柱状嵌合部89を形成している。
【0069】
このような構成のメス型コネクタハウジング80に対して、受信用レンズ50、送信用レンズ60、及びFOT70を所定の位置に収容する。そして、メス型コネクタハウジング80の接続部87を、上述の実施形態と同様に、開口部82cを本体部86で閉塞するように下方に向けて折り曲げるとともに、後面保護部83の柱状突部83aを、素子収容部82の柱状嵌合部89に嵌合して、メス型光コネクタ21を構成する。この際、後面保護部83の弾性片88は、FOT70の後面と当接するとともに、その弾性力によりFOT70を前方に向けて付勢する。
【0070】
これにより、メス型コネクタハウジング80は、上述の実施形態におけるシールドケース40を不要にして、FOT70を付勢することができる。このため、メス型コネクタハウジング80は、より部品点数を削減して、FOT70との相対的な位置ズレを抑制することができる。
従って、メス型コネクタハウジング80は、部品点数を削減して、FOT70を保護するとともに、後面保護部83の弾性片88によってFOT70との位置ズレを抑制することができる。