(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の特許文献1に記載の発明では、例えば、
図10に示すように、段差部のエッジの方向とレーザ光のラインの方向が一致した場合など、ワークWの向き(段差の方向)によっては依然として光の散乱が発生してしまい、フォーカス検出が困難な場合がある。
【0006】
本発明は、測定対象物の表面に段差部があった場合でも好適に測定できるオートフォーカス装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、オートフォーカス装置において、
光源と、
前記光源と測定対象物との間に配され、前記光源からの出射光と前記測定対象物からの戻り光とが同一光路となるように通過させる光学部と、
前記光学部を通過した前記戻り光によりフォーカス検出を行う検出手段と、
前記検出手段により検出された戻り光の光量が所定の閾値を超えているか否かを判定し、所定の閾値を超えていないと判定した場合に、エラーとして判定するエラー判定手段と、
を備え、
前記光学部は、
前記光源からの前記出射光を平行光とするチューブレンズと、
前記チューブレンズからの前記平行光をライン形状に変形させる光形状変形手段と、
前記光形状変形手段からのライン形状の光により前記測定対象物の表面にライン形状のパターン像を集光させる対物レンズと、
前記対物レンズにより集光されるライン形状のパターン像を所定の角度回転させる回転手段と、
を備え
、
前記検出手段は、
前記光学部を通過した前記戻り光がビームスプリッタにより2つに分岐された光のうち一方を受光する第1検出手段と、
前記2つに分岐された光のうち他方を受光する第2検出手段と、を備え、
前記エラー判定手段は、前記第1検出手段及び前記第2検出手段により検出された戻り光の光量が所定の閾値を超えていないと判定した場合に、エラーとして判定し、
前記回転手段は、前記エラー判定手段によりエラーが検出された場合に、前記ライン形状のパターン像を回転させることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のオートフォーカス装置において、
前記光形状変形手段は、シリンドリカルレンズであり、
前記回転手段は、前記シリンドリカルレンズを回転させることにより、前記ライン形状のパターン像を回転させることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のオートフォーカス装置において、
前記シリンドリカルレンズは、着脱可能に備えられていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のオートフォーカス装置において、
前記光形状変形手段は、
駆動ミラーと、
前記駆動ミラーと前記測定対象物の表面とを結ぶ光軸に対して垂直な面に平行な軸回りに前記駆動ミラーを回転駆動させる駆動手段と、
を備え、
前記回転手段は、前記駆動ミラーと前記測定対象物の表面とを結ぶ光軸回りに前記駆動ミラーを回転させることにより、前記ライン形状のパターン像を回転させることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のオートフォーカス装置において、
前記駆動手段は、前記駆動ミラーを駆動状態と静止状態とに切り替え可能であり、
前記駆動ミラーを駆動状態と静止状態とに切り替えることにより、前記パターン像の形状をライン形状とスポット状とに切り替えることを特徴とする。
【0013】
請求項
6に記載の発明は、請求項1〜
5の何れか一項に記載のオートフォーカス装置において、
前記光源からの前記出射光の波長を変更することで、前記パターン像の色が変更可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、出射光を平行光とするチューブレンズと対物レンズとの間に、チューブレンズからの平行光をライン形状に変形する光形状変形手段が備えられているため、測定対象物の表面にライン形状のパターン像が結像され、スポット状のパターン像に比べて平均化効果が向上するので、測定対象物の表面に段差部があった場合でもフォーカス検出ができる。また、対物レンズにより集光されるライン形状のパターン像を所定の角度回転させる回転手段が備えられているため、その段差部が如何なる向きに存在する場合でも、フォーカス検出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図を参照して、本発明に係るオートフォーカス装置について、詳細に説明する。
本発明に係るオートフォーカス装置は、例えば、顕微鏡、画像計測機などの光学装置に搭載されるものである。
【0017】
(第1実施形態)
まず、構成について説明する。
第1実施形態に係るオートフォーカス装置100は、
図1、2に示すように、光出射部1と、ハーフミラー2と、光学部10と、ビームスプリッタ3と、検出部4A,4Bと、演算部5と、ステージ6と、ステージ駆動機構部7と、制御部8と、を備えて構成される。
なお、第1実施形態においては、
図1に示すように、光出射部1からハーフミラー2に向かう方向をX方向(左右方向)、ハーフミラー2から光学部10に向かう方向をZ方向(高さ方向)、X方向及びZ方向に直交する方向をY方向(前後方向)とする。
【0018】
光出射部1は、例えば、放電灯、発光ダイオード、レーザなどの光源を備え、光ビームを発生させて出射する。光出射部1から出射された光(出射光)は、光出射部1のX方向右側に配置されたハーフミラー2に照射される。
【0019】
ハーフミラー2は、光出射部1から入射した光を、光出射部1のZ方向下側に配置された光学部10に向かって反射させる。ハーフミラー2により反射された光は、光学部10に上方から照射される。
また、ハーフミラー2は、ワークWの表面にて反射され、下方から光学部10を透過して進んできた戻り光を透過させ、ビームスプリッタ3に向かって照射する。
【0020】
光学部10は、ハーフミラー2とワークWとの間に配され、光出射部1からの出射光とワークWからの戻り光とを同一光路にて通過させる。
具体的に、光学部10は、上方から順にチューブレンズ11と、シリンドリカルレンズ12と、対物レンズ13と、を備えて構成される。なお、チューブレンズ11、シリンドリカルレンズ12、及び対物レンズ13は、光軸が同一となっている。
【0021】
チューブレンズ11は、ハーフミラー2から入射した光を平行光として、下方のシリンドリカルレンズ12に照射する。
【0022】
シリンドリカルレンズ12は、光形状変形手段として、チューブレンズ11からの円形状の平行光をライン形状に変形させる。このシリンドリカルレンズ12に上方から平行光が照射されると、平行光はライン形状ビームに変換されて、下方の対物レンズ13に照射される。なお、シリンドリカルレンズ12は、着脱可能に備えられている。
【0023】
また、シリンドリカルレンズ12の外周部分には、歯車状の第一ギア121が取り付けられている。この第一ギア121は、歯車部分が噛み合わさるように配置された第二ギア122の回転と連動して回転することで、シリンドリカルレンズ12を回転させる。第一ギア121の回転に伴いシリンドリカルレンズ12が回転すると、対物レンズ13により集光されるライン形状のパターン像が、例えば、L1からL2まで回転する。
【0024】
第二ギア122は、回転軸123の一端と結合され、回転軸123の回転により回転し、第一ギア121を回転させる。
回転軸123は、その他端が駆動モータ124と結合され、駆動モータ124から伝達される駆動力により一定速度で回転する。
駆動モータ124は、制御部8が出力する制御信号に応じて回転軸123を回転させる。
これら第一ギア121、第二ギア122、回転軸123、駆動モータ124は、対物レンズ13により集光されるライン形状のパターン像を所定の角度回転させる回転手段として機能する。
【0025】
対物レンズ13は、ワークWに対向して備えられ、シリンドリカルレンズ12から照射されたライン形状ビームによりワークWの表面にライン形状のパターン像を結像させる。従って、ハーフミラー2から照射され、光学部10(チューブレンズ11、シリンドリカルレンズ12、対物レンズ13)を透過してワークWに到達した光は、当該ワークWの表面においてライン形状のパターン像を形成する。
ワークWの表面に形成されるライン形状のパターン像は、回転手段(駆動モータ124)を制御してシリンドリカルレンズ12を回転させることにより、回転させることが可能である。
従って、例えば、
図3(a)〜(c)に示すように、ワークWの表面に存在するエッジの方向と重ならないようにパターン像を回転させることで、エッジが如何なる向きに存在する場合でも、フォーカス検出ができるようになっている。
そして、ワークWの表面にて反射され、出射光と同一光路を逆方向に進むワークWからの戻り光は、光学部10を下方から透過する際に、シリンドリカルレンズ12によりライン形状ビームから円形状の平行光に再度変換されて、上方のハーフミラー2を透過して、ビームスプリッタ3に向かうこととなる。
【0026】
ここで、シリンドリカルレンズ12は、着脱可能に備えられているため、シリンドリカルレンズ12を抜き差しすることにより、ワークWの表面に現れるパターン像をライン形状のものと従来のスポット状のものとに切り替えることができるようになっている。例えば、シリンドリカルレンズ12が取り外されている場合、対物レンズ13は、チューブレンズ11から照射される平行光によりワークWの表面にスポット状のパターン像を結像させる。
なお、シリンドリカルレンズ12の抜き差し作業は、手動で行うようにしてもよいし、ライン形状のパターン像でフォーカス検出できなかった場合(例えば、ワークWの表面に形成されたパターン像がエッジと重なってうまく反射されずに、所定の光量が得られなかった場合等)に、自動的にシリンドリカルレンズ12を光路上から取り外すことで、スポット状のパターン像に切り替えるようにしてもよい。反対に、スポット状のパターン像でフォーカス検出できなかった場合(所定の光量が得られなかった場合等)に、自動的にシリンドリカルレンズ12を光路上に配置することで、ライン形状のパターン像に切り替えるようにしてもよい。
【0027】
ビームスプリッタ3は、ハーフミラー2のZ方向上側に配置され、光学部10及びハーフミラー2を下方から透過してきたワークWの表面からの戻り光を2つに分岐して、検出部4A,4Bに入射させる。
【0028】
検出部4A,4Bは、受光素子41A,41Bと、各受光素子41A,41Bに備えられたピンホール42A,42Bと、から構成され、ビームスプリッタ3により2つに分岐された光のうち一方をそれぞれ受光し、受光した光の光量を検出して制御部8に出力する。
【0029】
演算部5は、検出部4A,4Bからの出力信号のそれぞれを、増幅器(図示省略)により増幅し、演算回路(図示省略)によりそれらの増幅信号の差をとることにより、フォーカス誤差信号を取得する。
【0030】
ステージ6は、対物レンズ13のZ方向の下方において、その上面にワークWを載置する。このステージ6は、ステージ駆動機構部7により水平(X、Y方向)及び垂直(Z方向)の3方向に移動可能となっている。
【0031】
ステージ駆動機構部7は、ステージ6をX、Y、Z方向に移動可能に支持している。
具体的に、ステージ駆動機構部7は、演算部5で取得されたフォーカス誤差信号に基づいて制御部8から出力される制御信号に応じてステージ6をX、Y、Z方向に移動させると共に、ステージ6のX、Y、Z方向における位置(位置座標)を制御部8に出力する。従って、ステージ駆動機構部7により、ステージ6と対物レンズ13との間の相対距離を変化させ、ワークWの表面に焦点を合わせる(フォーカスを検出する)ことが可能となっている。
【0032】
制御部8は、例えば、CPU(Central Processing Unit)81、RAM(Random Access Memory)82、記憶部83等を備えて構成され、光出射部1、検出部4A,4B、演算部5、ステージ駆動機構部7、駆動モータ124等と接続されている。
CPU81は、記憶部83に記憶されている各種処理プログラム等を読み出してRAM82に展開し、この展開されたプログラムとの協働で各種処理を実行することにより、オートフォーカス装置100全体の制御を行う。
RAM82は、CPU81により実行された処理プログラム等を、RAM82内のプログラム格納領域に展開するとともに、入力データや上記処理プログラムが実行される際に生じる処理結果等をデータ格納領域に格納する。
記憶部83は、例えば、不揮発性の半導体メモリで構成され、CPU81によって実行可能なシステムプログラムや、そのシステムプログラムで実行可能な各種処理プログラム、これら各種処理プログラムを実行する際に使用されるデータ、CPU81によって演算処理された各種処理結果のデータなどを記憶する。なお、プログラムは、コンピュータが読み取り可能なプログラムコードの形で記憶部83に記憶されている。
【0033】
また、制御部8は、検出部4A,4Bにより検出された光の光量が所定の閾値を超えているか否かを判定する。ここで、所定の閾値は、通常取得される光量の値に設定するとよい。そして、制御部8は、光量が所定の閾値を超えていないと判定した場合、通常取得される光量が取得されていないと判断し、エラーとして判定する。即ち、制御部8は、検出部4A,4Bにより検出された戻り光の光量が所定の閾値を超えているか否かを判定し、所定の閾値を超えていないと判定した場合に、エラーとして判定するエラー判定手段として機能する。
エラー判定される場合としては、例えば、
図4(a)に示すように、ワークWの表面に形成されたパターン像がエッジと重なってうまく反射されなかった場合等が挙げられる。この場合、制御部8は、回転手段(駆動モータ124)を制御してシリンドリカルレンズ12を回転させることにより、
図4(b)に示すように、パターン像を回転させ、パターン像とエッジの重なりを解消する。即ち、オートフォーカス装置100は、制御部8によりエラーを検出した場合に、ライン形状のパターン像を回転させることで、自動的にエラーを解消することができるようになっている。
なお、エラー判定時にパターン像を回転させる角度については特に制限はないが、例えば、45°周期(0°、45°、90°、135°)で回転させるとよい。
【0034】
また、本発明の実現は光出射部1の波長にはよらない為、光出射部1の光源を適宜変更して、光出射部1から出射する光の波長を変更することができる。そして、光出射部1から出射される光の波長を変更することで、
図5(a)(b)に示すように、ワークWの表面に現れるパターン像の色が変更される。つまり、ワークWの特性(色や反射率)に応じてパターン像の色を変更できるようになっている。
【0035】
次に、作用について説明する。
オートフォーカス装置100では、光出射部1から出射した光は、ハーフミラー2を介して光学部10に照射され、光学部10を上方から透過してワークWに照射される。そして、ワークWの表面にて反射された戻り光は、光学部10及びハーフミラー2を下方から透過して、ビームスプリッタ3を介して検出部4A,4Bに入射する。
光学部10は、チューブレンズ11と対物レンズ13との間にシリンドリカルレンズ12を備えており、ワークWの表面に結像されるパターン像がライン形状に形成される。そして、ワークWの表面にて反射した戻り光は、再度、下方から光学部10内のシリンドリカルレンズ12を透過するため、円形状に戻される。
つまり、光出射部1から出射した円形状の出射光は、シリンドリカルレンズ12によりライン形状となりワークWの表面にて反射して、ライン形状の戻り光はシリンドリカルレンズ12により円形状に戻って検出部4A,4Bに到達する。
ここで、ワークWの表面に形成されるライン形状のパターン像は、シリンドリカルレンズ12を回転させることにより回転させることが可能であるため、段差部のエッジの方向と重ならないようにパターン像を回転させることで、エッジが如何なる向きに存在する場合でもフォーカス検出が可能である。
また、制御部8は、検出部4A,4Bにより検出された戻り光の光量が所定の閾値を超えているか否かを判定し、所定の閾値を超えていないと判定した場合に、エラーとして判定する。そして、制御部8は、エラーと判定した場合に、回転手段(駆動モータ124)を制御してシリンドリカルレンズ12を回転させることにより、ライン形状のパターン像を回転させ、自動的にエラーを解消する。
更に、シリンドリカルレンズ12は、着脱可能に備えられているため、シリンドリカルレンズ12の抜き差しにより、パターン像をスポット状とライン形状とに切り替えることができる。
【0036】
以上のように、第1実施形態に係るオートフォーカス装置100は、光出射部1と、光出射部1とワークWとの間に配され、光出射部1からの出射光とワークWからの戻り光とが同一光路となるように通過させる光学部10と、光学部10を通過した戻り光によりフォーカス検出を行う検出部4A,4Bと、を備え、光学部10は、光出射部1からの出射光を平行光とするチューブレンズ11と、チューブレンズ11からの平行光をライン形状に変形させるシリンドリカルレンズ12と、シリンドリカルレンズ12からのライン形状の光によりワークWの表面にライン形状のパターン像を集光させる対物レンズ13と、対物レンズ13により集光されるライン形状のパターン像を所定の角度回転させる回転手段(第一ギア121、第二ギア122、回転軸123、駆動モータ124)と、を備える。
このため、ワークWの表面にライン形状のパターン像が結像され、スポット状のパターン像に比べて平均化効果が向上するので、ワークWの表面に段差部があった場合でもフォーカス検出ができることとなる。また、ライン形状のパターン像は、シリンドリカルレンズ12を回転させることにより回転させることが可能であるため、その段差部が如何なる向きに存在する場合でも、フォーカス検出することができる。
【0037】
また、第1実施形態に係るオートフォーカス装置100は、シリンドリカルレンズ12が着脱可能に備えられている。
このため、シリンドリカルレンズ12を抜き差しすることにより、ワークWの表面に現れるパターン像をライン形状のものと従来のスポット状のものとに切り替えることができるので、例えば、狭小範囲においてスポット状のパターン像が形成されるように切り替えることが可能となり、汎用性を向上させることができる。
【0038】
また、第1実施形態に係るオートフォーカス装置100は、検出部4A,4Bにより検出された戻り光の光量が所定の閾値を超えているか否かを判定し、所定の閾値を超えていないと判定した場合に、エラーとして判定するエラー判定手段(制御部8)を更に備え、回転手段(第一ギア121、第二ギア122、回転軸123、駆動モータ124)は、制御部8によりエラーが検出された場合に、ライン形状のパターン像を回転させる。
このため、例えば、パターン像がエッジと重なってうまく反射されなかった場合等に、パターン像を回転させてエッジとの重なりを解消することができ、自動的にエラーを解消することができる
【0039】
また、第1実施形態に係るオートフォーカス装置100は、光出射部1からの出射光の波長を変更することで、パターン像の色が変更可能である。
このため、ワークWの特性(色や反射率)に応じてパターン像の色が変更でき、汎用性を向上させることができる。
【0040】
(第2実施形態)
まず、構成について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付するものとする。
第2実施形態に係るオートフォーカス装置200は、
図6、7に示すように、光出射部1と、ハーフミラー2と、光学部20と、ビームスプリッタ3と、検出部4A,4Bと、演算部5と、ステージ6と、ステージ駆動機構部7と、制御部8と、を備えて構成される。
なお、第2実施形態においては、
図5に示すように、光出射部1からハーフミラー2に向かう方向をZ方向(高さ方向)、ハーフミラー2から光学部20に向かう方向をX方向(左右方向)、X方向及びZ方向に直交する方向をY方向(前後方向)とする。
【0041】
光出射部1は、例えば、放電灯、発光ダイオード、レーザなどの光源を備え、光ビームを発生させて出射する。光出射部1から出射された光(出射光)は、光出射部1のZ方向下側に配置されたハーフミラー2に照射される。
【0042】
ハーフミラー2は、光出射部1から入射した光を、光出射部1のX方向左側に配置された光学部20に向かって反射させる。ハーフミラー2により反射された光は、光学部20に右方から照射される。
また、ハーフミラー2は、ワークWの表面にて反射され、光学部20を出射光とは逆方向に通過して進んできた戻り光を透過させ、ビームスプリッタ3に向かって照射する。
【0043】
光学部20は、ハーフミラー2とワークWとの間に配され、光出射部1からの出射光とワークWからの戻り光とを同一光路にて通過させる。
具体的に、光学部20は、チューブレンズ21と、光形状変形部22と、対物レンズ23と、を備えて構成される。
【0044】
チューブレンズ21は、ハーフミラー2から入射した光を平行光として、チューブレンズ21のX方向左側に配置された光形状変形部22に照射する。
【0045】
光形状変形部22は、光形状変形手段として、チューブレンズ21からの円形状の平行光をライン形状に変形させる。
具体的に、光形状変形部22は、駆動ミラー221と、駆動ミラー221を駆動する駆動部222と、を備えて構成される。
【0046】
駆動ミラー221は、そのミラー面が、チューブレンズ21からの平行光に対して斜めになるように配置されている。また、駆動ミラー221は、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems: 微小電気機械システム)技術を利用した電磁駆動型のMEMSミラーで構成されており、駆動ミラー221とワークW表面とを結ぶZ方向の光軸(図中Z1)に対して垂直な面に平行な軸回りに共振駆動(回転駆動)しつつ、チューブレンズ21からの平行光を対物レンズ23に対して反射させる。
具体的には、チューブレンズ21からの円形状の平行光は、駆動ミラー221のミラー面に対して斜めの方向から照射され、当該駆動ミラー221によって反射される際に駆動ミラー221が回転駆動した場合に、ライン形状ビームに変換されて、下方の対物レンズ23に照射されるようになっている。
つまり、駆動ミラー221が回転駆動すると反射角度が変化するため、光はその反射角度に応じてワークWの表面をライン形状に連続移動し、例えば、
図6に示すように、ライン形状のパターン像を結像する。
【0047】
なお、
図6では、X方向(左右方向)にライン形状のパターン像が結像されているが、第2実施形態に係るオートフォーカス装置200は、例えば、
図3(a)〜(c)に示すように、ライン形状のパターン像を所定の角度回転させることができる。具体的には、駆動部222を制御することにより、駆動ミラー221を、駆動ミラー221とワークWの表面とを結ぶ光軸Z1回りに回転させることで、ワークWの表面に結像させるライン形状のパターン像を所定の角度回転させることができるようになっている。
【0048】
駆動部222は、制御部8が出力する制御信号に応じて、駆動ミラー221とワークWの表面とを結ぶ光軸Z1に対して垂直な面に平行な軸回りに駆動ミラー221を回転駆動させる(駆動手段)。また、駆動部222は、駆動ミラー221とワークWの表面とを結ぶ光軸Z1回りに駆動ミラー221を回転させることにより、ライン形状のパターン像を回転させる(回転手段)。
更に、駆動部222は、駆動ミラー221を駆動状態と静止状態とに切り替え可能であり、駆動ミラー221を駆動状態と静止状態とに切り替えることにより、パターン像をライン形状とスポット状とに切り替えることができるようになっている。
【0049】
対物レンズ23は、ワークWに対向して備えられ、駆動ミラー221が駆動している場合には、駆動ミラー221から照射されたライン形状ビームによりワークWの表面にライン形状のパターン像を結像させる。一方、駆動ミラー221が静止している場合には、駆動ミラー221から照射された平行光によりワークWの表面にスポット状のパターン像を結像させる。
【0050】
従って、ハーフミラー2から照射され、光学部20(チューブレンズ21、光形状変形部22、対物レンズ23)を通過してワークWに到達した光は、駆動ミラー221が駆動している場合には、当該ワークWの表面においてライン形状のパターン像を形成する。
ワークWの表面に形成されるライン形状のパターン像は、駆動ミラー221を光軸Z1回りに回転させることで、回転させることが可能である。
従って、例えば、
図3(a)〜(c)に示すように、ワークWの表面に存在するエッジの方向と重ならないようにパターン像を回転させることで、エッジが如何なる向きに存在する場合でも、フォーカス検出ができるようになっている。
そして、ワークWの表面にて反射され、出射光と同一光路を逆方向に進むワークWからの戻り光は、光学部20を出射光と逆方向に通過する際に、光形状変形部22によりライン形状ビームから円形状の平行光に再度変換されて、ハーフミラー2を透過して、ビームスプリッタ3に向かうこととなる。
【0051】
ビームスプリッタ3は、ハーフミラー2のX方向右側に配置され、光学部20及びハーフミラー2を通過してきたワークWの表面からの戻り光を2つに分岐して、検出部4A,4Bに入射させる。
【0052】
検出部4A,4Bは、受光素子41A,41Bと、各受光素子41A,41Bに備えられたピンホール42A,42Bと、から構成され、ビームスプリッタ3により2つに分岐された光のうち一方をそれぞれ受光し、受光した光の光量を検出して制御部8に出力する。
【0053】
演算部5は、検出部4A,4Bからの出力信号のそれぞれを、増幅器(図示省略)により増幅し、演算回路(図示省略)によりそれらの増幅信号の差をとることにより、フォーカス誤差信号を取得する。
【0054】
ステージ6は、対物レンズ23のZ方向の下方において、その上面にワークWを載置する。このステージ6は、ステージ駆動機構部7により水平(X、Y方向)及び垂直(Z方向)の3方向に移動可能となっている。
【0055】
ステージ駆動機構部7は、ステージ6をX、Y、Z方向に移動可能に支持している。
具体的に、ステージ駆動機構部7は、演算部5で取得されたフォーカス誤差信号に基づいて制御部8から出力される制御信号に応じてステージ6をX、Y、Z方向に移動させると共に、ステージ6のX、Y、Z方向における位置(位置座標)を制御部8に出力する。従って、ステージ駆動機構部7により、ステージ6と対物レンズ23との間の相対距離を変化させ、ワークWの表面に焦点を合わせる(フォーカスを検出する)ことが可能となっている。
【0056】
制御部8は、例えば、CPU(Central Processing Unit)81、RAM(Random Access Memory)82、記憶部83等を備えて構成され、光出射部1、検出部4A,4B、演算部5、ステージ駆動機構部7、駆動部222等と接続されている。
【0057】
CPU81は、記憶部83に記憶されている各種処理プログラム等を読み出してRAM82に展開し、この展開されたプログラムとの協働で各種処理を実行することにより、オートフォーカス装置200全体の制御を行う。
RAM82は、CPU81により実行された処理プログラム等を、RAM82内のプログラム格納領域に展開するとともに、入力データや上記処理プログラムが実行される際に生じる処理結果等をデータ格納領域に格納する。
記憶部83は、例えば、不揮発性の半導体メモリで構成され、CPU81によって実行可能なシステムプログラムや、そのシステムプログラムで実行可能な各種処理プログラム、これら各種処理プログラムを実行する際に使用されるデータ、CPU81によって演算処理された各種処理結果のデータなどを記憶する。なお、プログラムは、コンピュータが読み取り可能なプログラムコードの形で記憶部83に記憶されている。
【0058】
また、制御部8は、第1実施形態と同様、検出部4A,4Bにより検出された戻り光の光量が所定の閾値を超えているか否かを判定し、所定の閾値を超えていないと判定した場合に、エラーとして判定するエラー判定手段として機能する。制御部8は、エラー判定した場合、駆動ミラー221を光軸Z1回りに回転させることで、ワークWの表面に結像させるライン形状のパターン像を回転させ、パターン像とエッジの重なりを解消する。
なお、エラー判定時にパターン像を回転させる角度については特に制限はないが、例えば、光軸Z1に対して45°回転させるとよい。
【0059】
また、第1実施形態と同様、第2実施形態に係るオートフォーカス装置200においても、光出射部1の光源を適宜変更して、光出射部1から出射する光の波長を変更することで、パターン像の色を変更できるようになっている。
【0060】
次に、作用について説明する。
オートフォーカス装置200では、光出射部1から出射した光は、ハーフミラー2を介して光学部20に照射され、光学部20を通過してワークWに照射される。そして、ワークWの表面にて反射された戻り光は、光学部20及びハーフミラー2を出射光とは逆方向に通過して、ビームスプリッタ3を介して検出部4A,4Bに入射する。
光学部20は、チューブレンズ21と対物レンズ23との間に光形状変形部22を備えており、駆動ミラー221が駆動している場合には、ワークWの表面に結像されるパターン像がライン形状に形成される。そして、ワークWの表面にて反射した戻り光は、再度、光学部20内の光形状変形部22により反射するため、円形状に戻される。
つまり、駆動ミラー221が駆動している場合、光出射部1から出射した円形状の出射光は、光形状変形部22によりライン形状となりワークWの表面にて反射して、ライン形状の戻り光は光形状変形部22により円形状に戻って検出部4A,4Bに到達する。
ここで、ワークWの表面に形成されるライン形状のパターン像は、駆動ミラー221を光軸Z1回りに回転させることで回転させることが可能であるため、段差部のエッジの方向と重ならないようにパターン像を回転させることで、エッジが如何なる向きに存在する場合でもフォーカス検出が可能である。
また、制御部8は、検出部4A,4Bにより検出された戻り光の光量が所定の閾値を超えているか否かを判定し、所定の閾値を超えていないと判定した場合に、エラーとして判定する。そして、制御部8は、エラーと判定した場合に、駆動ミラー221を光軸Z1回りに回転させることで、ライン形状のパターン像を回転させ、自動的にエラーを解消する。
更に、駆動ミラー221を駆動状態と静止状態とに切り替えることができ、駆動ミラー221を静止させて、パターン像をスポット状に切り替えることができる。
【0061】
以上のように、第2実施形態に係るオートフォーカス装置200は、光出射部1と、光出射部1とワークWとの間に配され、光出射部1からの出射光とワークWからの戻り光とが同一光路となるように通過させる光学部20と、光学部20を通過した戻り光によりフォーカス検出を行う検出部4A,4Bと、を備え、光学部20は、光出射部1からの出射光を平行光とするチューブレンズ21と、チューブレンズ21からの平行光をライン形状に変形させる光形状変形手段22(駆動ミラー221、駆動部222)と、光形状変形手段22からのライン形状の光によりワークWの表面にライン形状のパターン像を集光させる対物レンズ23と、対物レンズ23により集光されるライン形状のパターン像を所定の角度回転させる回転手段(駆動部222)と、を備える。
このため、ワークWの表面にライン形状のパターン像が結像され、スポット状のパターン像に比べて平均化効果が向上するので、ワークWの表面に段差部があった場合でもフォーカス検出ができることとなる。また、ライン形状のパターン像は、駆動ミラー221を光軸Z1回りに回転させることで回転させることが可能であるため、その段差部が如何なる向きに存在する場合でも、フォーカス検出することができる。
【0062】
また、第2実施形態に係るオートフォーカス装置200の駆動部222は、駆動ミラー221を駆動状態と静止状態とに切り替え可能であり、駆動ミラー221を駆動状態と静止状態とに切り替えることにより、パターン像の形状をライン形状とスポット状とに切り替える。
このため、例えば、狭小範囲においてスポット状のパターン像が形成されるように切り替えることが可能となり、汎用性を向上させることができる。
【0063】
また、第2実施形態に係るオートフォーカス装置200は、検出部4A,4Bにより検出された戻り光の光量が所定の閾値を超えているか否かを判定し、所定の閾値を超えていないと判定した場合に、エラーとして判定するエラー判定手段(制御部8)を更に備え、駆動部222(回転手段)は、制御部8によりエラーが検出された場合に、ライン形状のパターン像を回転させる。
このため、例えば、パターン像がエッジと重なってうまく反射されなかった場合等に、パターン像を回転させてエッジとの重なりを解消することができ、自動的にエラーを解消することができる
【0064】
また、第2実施形態に係るオートフォーカス装置200は、光出射部1からの出射光の波長を変更することで、パターン像の色が変更可能である。
このため、ワークWの特性(色や反射率)に応じてパターン像の色が変更でき、汎用性を向上させることができる。
【0065】
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0066】
例えば、上記実施形態に係るオートフォーカス装置においては、何れもピンホール法の構成を例示しているが、例えば、ナイフエッジ法、フーコー法、非点収差法、等のピンホール法以外の検出原理を用いることとしてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、駆動部222が、駆動ミラー221を光軸Z1回りに回転させることで、ライン形状のパターン像を回転させる回転手段としても機能するように構成しているが、これに限定されるものではない。例えば、駆動部222とは別に、駆動ミラー221を光軸Z1回りに回転させる機構を設けるようにしてもよい。