(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5719648
(24)【登録日】2015年3月27日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】エッチング方法、およびエッチング装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20150430BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-55516(P2011-55516)
(22)【出願日】2011年3月14日
(65)【公開番号】特開2012-191128(P2012-191128A)
(43)【公開日】2012年10月4日
【審査請求日】2014年3月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099944
【弁理士】
【氏名又は名称】高山 宏志
(72)【発明者】
【氏名】秋庭 亜輝
【審査官】
杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−135198(JP,A)
【文献】
特開平11−284148(JP,A)
【文献】
特開昭60−115232(JP,A)
【文献】
特開2002−222797(JP,A)
【文献】
特表2007−529904(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン酸化物膜、及びこのシリコン酸化物膜上に形成されたシリコン膜を含む多層構造体をエッチングするエッチング方法であって、
レジスト膜又は有機膜が形成された前記多層構造体を含む基板を、エッチング装置の処理室内に搬入し、
前記基板を搬入した後、前記処理室内に、CH2F2ガスにN2ガス及びArガスを混合させたガスを供給し、
前記レジスト膜又は有機膜をエッチングのマスクに用いつつ、前記CH2F2ガスにN2ガス及びArガスを混合させたガスをエッチングガスとして、前記シリコン膜及び前記シリコン酸化物膜を含む前記多層構造体を、この多層構造体の下地に達するまで一括してエッチングすることを特徴とするエッチング方法。
【請求項2】
シリコン酸化物膜、このシリコン酸化物膜上に形成されたシリコン膜、及びこのシリコン膜上に形成されたシリコン窒化物膜を含む多層構造体をエッチングするエッチング方法であって、
レジスト膜又は有機膜が形成された前記多層構造体を含む基板を、エッチング装置の処理室内に搬入し、
前記基板を搬入した後、前記処理室内に、CH2F2ガスにN2ガス及びArガスを混合させたガスを供給し、
前記レジスト膜又は有機膜をエッチングのマスクに用いつつ、前記CH2F2ガスにN2ガス及びArガスを混合させたガスをエッチングガスとして、前記シリコン窒化物膜、前記シリコン膜及び前記シリコン酸化物膜を含む前記多層構造体を、この多層構造体の下地に達するまで一括してエッチングすることを特徴とするエッチング方法。
【請求項3】
第1のシリコン酸化物膜、この第1のシリコン酸化物膜上に形成されたシリコン膜、このシリコン膜上に形成されたシリコン窒化物膜、及びこのシリコン窒化物膜上に形成された第2のシリコン酸化物膜を含む多層構造体をエッチングするエッチング方法であって、
レジスト膜又は有機膜が形成された前記多層構造体を含む基板を、エッチング装置の処理室内に搬入し、
前記基板を搬入した後、前記処理室内に、CH2F2ガスにN2ガス及びArガスを混合させたガスを供給し、
前記レジスト膜又は有機膜をエッチングのマスクに用いつつ、前記CH2F2ガスにN2ガス及びArガスを混合させたガスをエッチングガスとして、前記第2のシリコン酸化物膜、前記シリコン窒化物膜、前記シリコン膜及び前記第1のシリコン酸化物膜を含む前記多層構造体を、この多層構造体の下地に達するまで一括してエッチングすることを特徴とするエッチング方法。
【請求項4】
前記多層構造体をエッチングするとき、前記処理室内にプラズマを発生させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【請求項5】
前記処理室内には、下部電極を構成する載置台と、この載置台に対向して配置され、上部電極を構成するガス吐出部とが配置され、
前記レジスト膜又は有機膜が形成された前記多層構造体を含む基板を、エッチング装置の処理室内に搬入し、前記処理室内に配置された前記載置台に載置し、
前記エッチングガスを前記ガス吐出部から吐出させ、前記上部電極と前記下部電極との間に電界を印加して、前記多層構造体を、この多層構造体の下地に達するまで一括してエッチングすることを特徴とする請求項4に記載のエッチング方法。
【請求項6】
前記多層構造体に含まれた前記シリコン膜をエッチングするとき、前記上部電極に印加する電力を、前記下部電極に印加する電力よりも大きくし、
前記多層構造体に含まれた前記シリコン酸化物膜、又は前記シリコン窒化物膜をエッチングするとき、前記上部電極に印加する電力と前記下部電極に印加する電力とを、等しくすることを特徴とする請求項5に記載のエッチング方法。
【請求項7】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の多層構造体をエッチングするエッチング装置であって、
処理室と、
前記処理室にエッチングガスを供給するガス供給源と、
前記処理室内に配置され、前記基板を載置する載置台と、
前記処理室内に前記載置台に対向して配置され、前記処理室に前記エッチングガスを吐出するガス吐出部と、
前記載置台に接続された第1の高周波電源と、
前記ガス吐出部に接続された第2の高周波電源と、
前記エッチング装置を制御するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載されたエッチング方法が実行されるように、前記エッチング装置を制御することを特徴とするエッチング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エッチング方法、
およびエッチング装
置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路装置の製造には、シリコン(Si)膜をエッチングするプロセスが含まれる。シリコン膜をエッチングするとき、エッチングガスとしては、特許文献1に記載されているように、臭化水素(HBr)ガスや、三フッ化水素(HF
3)ガスを含有するガスが使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−245101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、HBrガスや、HF
3ガスを含有するガスは、レジスト膜や有機膜もエッチングしてしまう。このため、半導体集積回路装置の多層構造体中に存在するシリコン膜を、レジスト膜や有機膜をマスクに用いてエッチングしようとする場合には、十分なマスク選択比がほとんどとれないことが現状である。
【0005】
また、シリコン膜の上に厚いシリコン酸化物膜が存在する多層構造体の場合には、エッチング装置としては、シリコン酸化物膜向けのエッチング装置が用いられる。
【0006】
しかしながら、シリコン酸化物膜向けのエッチング装置は、HBrガスやHF
3ガスを搭載していない。このため、厚いシリコン酸化物膜の下にあるシリコン膜を一括してエッチングすることが困難である。
【0007】
この発明は、多層構造体中にあるシリコン膜であっても、レジスト膜や有機膜をマスクに用いてエッチングすることが可能であり、かつ、シリコン膜、及びこのシリコン膜の下に存在するシリコン酸化物膜を一括してエッチングすることも可能なエッチング方法、
およびエッチング装
置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の第1の態様に係るエッチング方法は、シリコン酸化物膜、及びこのシリコン酸化物膜上に形成されたシリコン膜を含む多層構造体をエッチングするエッチング方法であって、
レジスト膜又は有機膜が形成された前記多層構造体を含む基板を、エッチング装置の処理室内に搬入し、前記基板を搬入した後、前記処理室内に、CH2F2ガスにN2ガス及びArガスを混合させたガスを供給し、前記レジスト膜又は有機膜をエッチングのマスクに用いつつ、前記CH2F2ガスにN2ガス及びArガスを混合させたガスをエッチングガスとして、前記シリコン膜及び前記シリコン酸化物膜を
含む前記多層構造体を、この多層構造体の下地に達するまで一括してエッチングする。
【0009】
この発明の第2の態様に係るエッチング方法は、シリコン酸化物膜、このシリコン酸化物膜上に形成されたシリコン膜、及びこのシリコン膜上に形成されたシリコン窒化物膜を含む多層構造体をエッチングするエッチング方法であって、
レジスト膜又は有機膜が形成された前記多層構造体を含む基板を、エッチング装置の処理室内に搬入し、前記基板を搬入した後、前記処理室内に、CH2F2ガスにN2ガス及びArガスを混合させたガスを供給し、前記レジスト膜又は有機膜をエッチングのマスクに用いつつ、前記CH2F2ガスにN2ガス及びArガスを混合させたガスをエッチングガスとして、前記シリコン窒化物膜、前記シリコン膜及び前記シリコン酸化物膜を
含む前記多層構造体を、この多層構造体の下地に達するまで一括してエッチングする。
【0010】
この発明の第3の態様に係るエッチング方法は、第1のシリコン酸化物膜、この第1のシリコン酸化物膜上に形成されたシリコン膜、このシリコン膜上に形成されたシリコン窒化物膜、及びこのシリコン窒化物膜上に形成された第2のシリコン酸化物膜を含む多層構造体をエッチングするエッチング方法であって、
レジスト膜又は有機膜が形成された前記多層構造体を含む基板を、エッチング装置の処理室内に搬入し、前記基板を搬入した後、前記処理室内に、CH2F2ガスにN2ガス及びArガスを混合させたガスを供給し、前記レジスト膜又は有機膜をエッチングのマスクに用いつつ、前記CH2F2ガスにN2ガス及びArガスを混合させたガスをエッチングガスとして、前記第2のシリコン酸化物膜、前記シリコン窒化物膜、前記シリコン膜及び前記第1のシリコン酸化物膜を
含む前記多層構造体を、この多層構造体の下地に達するまで一括してエッチングする
【0011】
この発明の第4の態様に係るエッチング装置は、
上記第1から第3の態様のいずれか一つに記載の多層構造体をエッチングするエッチング装置であって、
処理室と、前記処理室にエッチングガスを供給するガス供給源と、前記処理室内に配置され、前記基板を載置する載置台と、前記処理室内に前記載置台に対向して配置され、前記処理室に前記エッチングガスを吐出するガス吐出部と、前記載置台に接続された第1の高周波電源と、前記ガス吐出部に接続された第2の高周波電源と、前記エッチング装置を制御するコントローラと、を備え、前記コントローラは、上記第1から第3の態様のいずれか一つに記載されたエッチング方法が実行されるように、前記エッチング装置を制御する。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、多層構造体中にあるシリコン膜であっても、レジスト膜や有機膜をマスクに用いてエッチングすることが可能であり、かつ、シリコン膜、及びこのシリコン膜の下に存在するシリコン酸化物膜を一括してエッチングすることも可能なエッチング方法、
およびエッチング装
置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】半導体集積回路装置を製造している段階の多層構造体(半導体ウエハ)を示す断面図
【
図2】(A)図〜(F)図はこの発明の一実施形態に係るエッチング方法の一例を示す断面図
【
図3】(A)図はレジスト膜のエッチングレートを示す図、(B)図はシリコン膜のエッチングレートを示す図
【
図4】(A)図はレジスト膜のエッチングレートを示す図、(B)図はシリコン窒化物膜のエッチングレートを示す図、(C)図はシリコン酸化物膜のエッチングレートを示す図
【
図5】この発明の一実施形態に係るエッチング方法を実行することが可能なエッチング装置を概略的に示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照してこの発明の一実施の形態について説明する。なお、全図にわたり、同一の部分には同一の参照符号を付す。
【0016】
図1は、半導体集積回路装置を製造している段階の多層構造体(半導体ウエハ)を示す断面図である。
【0017】
図1に示すように、シリコン基板1上には、第1のシリコン酸化物膜2が形成されている。第1のシリコン酸化物膜2上にはシリコン膜3が形成されている。シリコン膜3上にはシリコン窒化物膜4が形成されている。シリコン窒化物膜4上には第2のシリコン酸化物膜5が形成されている。
【0018】
この発明の一実施形態に係るエッチング方法では、多層構造体中に存在しているシリコン膜3を、レジスト膜又は有機膜をエッチングのマスクに用いてエッチングする。さらに、本例では、シリコン膜3の下に存在する第1のシリコン酸化物膜2についても、シリコン膜3と一括してエッチングする。
【0019】
図2A〜
図2Fは、この発明の一実施形態に係るエッチング方法の一例を示す断面図である。
【0020】
まず、
図2Aに示すように、フォトリソグラフィ法を用いて、第2のシリコン酸化物膜5上にエッチングのマスクとなるレジスト膜6を形成する。レジスト膜6については有機膜であっても良い。
【0021】
次に、レジスト膜6が形成された多層構造体を、エッチング装置の処理室内に搬入する。エッチング装置の一例については後述するが、例えば、平行平板型のプラズマエッチング装置である。多層構造体は、処理室内の載置台上に載置される。載置台は下部電極である。載置台上方にはシャワーヘッドが設けられている。シャワーヘッドは、処理室内にガス、例えば、エッチングガスや、パージガスなどを供給するとともに、上部電極としても機能する。
【0022】
次に、エッチング装置の処理室内に、エッチングガスとしてジフルオロメタン(CH
2F
2)ガスを含むエッチングガスを供給する。
【0023】
本例では、ジフルオロメタン(CH
2F
2)ガスに、窒素(N
2)ガスと、希釈ガスとしてアルゴン(Ar)ガスとを混合させたガスを、処理室内に供給する。
【0024】
次に、上部電極と下部電極との間に電界を印加し、処理室内にプラズマを発生させる。これにより、所定時間経過後、まず、第2のシリコン酸化物膜5がエッチングされる(
図2B)。さらに、所定時間経過後、シリコン窒化物膜4がエッチングされる(
図2C)。さらに、所定時間経過後、シリコン膜3がエッチングされる(
図2D)。さらに、所定時間経過後、第1のシリコン酸化物膜2がエッチングされる(
図2E)。さらに、本例では、シリコン基板1の途中までエッチングが進められる(
図2F)。
【0025】
図3Aはレジスト膜6のエッチングレートを示す図、
図3Bはシリコン膜3のエッチングレートを示す図である。
【0026】
図3A及び
図3Bは、以下のエッチング条件により得られた結果である。
【0027】
CH
2F
2流量: 50sccm
Ar 流量:300sccm
N
2 流量:200sccm
処 理 圧 力:5.32Pa(0.04Torr)
上部電極と下部電極とのギャップ:35mm
上部電極電力:2400W
下部電極電力:1000W
図3Aに示すように、レジスト(PR)膜6のエッチングレートは、−15.3nm/minであった。これは、レジスト膜6上に堆積物が堆積されて膜厚が増していることを示している。
【0028】
対して、
図3Bに示すようにシリコン(Poly)膜3のエッチングレートは、73.4nm/minである。
【0029】
このように、CH
2F
2ガスを含むエッチングガスをエッチングガスとして用いることで、レジスト膜6とシリコン膜3との間には大きなエッチングレートの差が生ずる。このため、十分なマスク選択比をとることができる。
【0030】
図4Aはレジスト膜6のエッチングレートを示す図、
図4Bはシリコン窒化物膜4のエッチングレートを示す図、
図4Cはシリコン酸化物膜2、5のエッチングレートを示す図である。
【0031】
図4A〜
図4Cは、以下のエッチング条件により得られた結果である。
【0032】
CH
2F
2流量: 50sccm
Ar 流量:200sccm
N
2 流量:200sccm
処 理 圧 力:6.65Pa(0.05Torr)
上部電極と下部電極とのギャップ:35mm
上部電極電力: 500W
下部電極電力: 500W
図4Aに示すように、レジスト(PR)膜6のエッチングレートは、−1.4nm/minであった。これは、
図3Aに示す結果よりも小さい値となっているが、レジスト膜6上に堆積物が堆積されて膜厚が増していることを示している。
【0033】
対して、
図4Bに示すようにシリコン窒化物(SiN)膜4のエッチングレートは、69.1nm/minである。
【0034】
また、
図4Cに示すようにシリコン酸化物(Ox)膜2、5のエッチングレートは、74.1nm/minである。
【0035】
このように、CH
2F
2ガスを含むエッチングガスをエッチングガスとして用いることで、レジスト膜6とシリコン窒化物膜4との間、及びレジスト膜6とシリコン酸化物膜2、5との間にも大きなエッチングレートの差が生ずる。このため、十分なマスク選択比をとることができる。
【0036】
このような一実施形態に係るエッチング方法によれば、CH
2F
2ガスを含むエッチングガスをエッチングガスとして用いることで、レジスト膜6がほとんどエッチングされることがない、あるいは逆にレジスト膜6上に堆積物が堆積されて膜厚が増す。このため、レジスト膜6又は有機膜をエッチングのマスクに用いて、多層構造体中の深いところに存在しているシリコン膜3をエッチングでき、さらにシリコン膜3の下に存在する第1のシリコン酸化物膜2についても、シリコン膜3と一括してエッチングすることが可能となる、という利点を得ることができる。
【0037】
次に、この発明の一実施形態に係るエッチング方法を実行することが可能なエッチング装置の一例を説明する。
【0038】
図5は、この発明の一実施形態に係るエッチング方法を実行することが可能なエッチング装置を概略的に示す断面図である。
【0039】
図5に示すように、エッチング装置100は、平行平板型のプラズマエッチング装置である。エッチング装置100は、エッチングガスを用いて、被処理体、本例では半導体ウエハWに処理を施す処理室102と、処理室102にエッチングガスなどのガスを供給するガス供給源103とを備えている。ウエハWには、例えば、
図2Aに示したような多層構造体が形成されている。
【0040】
処理室102内には、ウエハWを載置する載置台104、及び載置台104に対向して配置され、処理室102の内部にエッチングガスなどの処理ガスを吐出する処理ガス吐出部、本例ではシャワーヘッド105が設けられている。シャワーヘッド105は平行平板の上部電極を構成しており、整合器106を介して第1の高周波電源107に接続される。第1の高周波電源107は、例えば40MHz以上、例えば60MHzの高周波電圧を出力する。一方、載置台104は平行平板の下部電極を構成しており、本例では、整合器108を介して第2の高周波電源109に接続される。第2の高周波電源109は、例えば2MHz〜20MHzの範囲、例えば13.56MHzの周波数の高周波電圧を出力する。
【0041】
また、処理室102は、排気口110を介して排気装置111に接続されている。処理室102は内部を所望の真空度に減圧できる真空容器として構成されている。排気装置111は、真空容器として構成された処理室102の内部を排気し、処理室102の内部を所望の真空度に減圧する。
【0042】
エッチング装置100は、例えばマイクロプロセッサ(コンピュータ)からなるプロセスコントローラ112により制御される。プロセスコントローラ112には、ユーザーインターフェース113、及び記憶部114が接続されている。ユーザーインターフェース113は、オペレータがエッチング装置100を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードや、エッチング装置100の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等が含まれている。記憶部114には、エッチング装置100で実行される処理を、プロセスコントローラ112の制御にて実現する制御プログラムや、処理条件に応じてエッチング装置100の各構成部に処理を実行させるためのプログラム、即ちレシピが格納される。レシピは、例えば、記憶部114の中の記憶媒体に記憶される。記憶媒体は、ハードディスクや半導体メモリであってもよいし、CD-ROM、DVD、フラッシュメモリ等の可搬性のものであってもよい。また、他の装置から、例えば専用回線を介してレシピを適宜伝送させるようにしてもよい。レシピは、必要に応じて、ユーザーインターフェース113からの指示等にて記憶部114から読み出され、読み出されたレシピに従った処理をプロセスコントローラ112が実行することで、エッチング装置100は、コントローラ112の制御のもと、上記一実施形態に従ったエッチング方法を実行する。
【0043】
ガス供給源103は、上記一実施形態に従ったエッチング方法を実行可能とするために、CH
2F
2ガス供給部103a、N
2ガス供給部103b、Arガス供給部103cを備えている。
【0044】
上記一実施形態に係るエッチング方法は、このようなエッチング装置100を用いて実行することができる。
【0045】
以上、この発明の一実施形態によれば、多層構造体中にあるシリコン膜であっても、レジスト膜や有機膜をマスクに用いてエッチングすることが可能であり、かつ、シリコン膜、及びこのシリコン膜の下に存在するシリコン酸化物膜を一括してエッチングすることも可能なエッチング方法及びエッチング装置を提供できる。
【0046】
なお、この発明は上記一実施形態に限定されることなく種々変形可能である。また、この発明の実施形態は上記一実施形態が唯一の実施形態でもない。
【0047】
例えば、上記一実施形態では、レジスト膜6又は有機膜をエッチングのマスクに用い、エッチングガスとしてCH
2F
2ガスを含むエッチングガスを用いて、多層構造体中の第2のシリコン酸化物膜5、シリコン窒化物膜4、シリコン膜3及び第1のシリコン酸化物膜2を一括してエッチングする例を示した。
【0048】
しかし、第2のシリコン酸化物膜5が無い場合でも、レジスト膜6又は有機膜をエッチングのマスクに用い、エッチングガスとしてCH
2F
2ガスを含むエッチングガスを用いて、多層構造体中のシリコン窒化物膜4、シリコン膜3及び第1のシリコン酸化物膜2を一括してエッチングするようにしても良い。
【0049】
さらに、シリコン窒化物膜4が無い場合でも、レジスト膜6又は有機膜をエッチングのマスクに用い、エッチングガスとしてCH
2F
2ガスを含むエッチングガスを用いて、多層構造体中のシリコン膜3及び第1のシリコン酸化物膜2を一括してエッチングするようにしても良い。
【0050】
また、第2のシリコン酸化物膜5がシリコン酸化物以外の膜であった場合や、シリコン窒化物がシリコン窒化物以外の膜であった場合には、この膜をエッチングすることが可能なエッチングガスを処理室に供給し、この膜のエッチングが終わったら、エッチングガスをCH
2F
2ガスを含むエッチングガスに切り換えて、多層構造体中のシリコン窒化物膜4、シリコン膜3及び第1のシリコン酸化物膜2を一括してエッチングすることも可能である。
【符号の説明】
【0051】
1…シリコン基板、2…第1のシリコン酸化物膜、3…シリコン膜、4…シリコン窒化物膜、5…第2のシリコン酸化物膜、6…レジスト膜