(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリオール混合物(X)とポリイソシアネート化合物とを、ウレタン化触媒、発泡剤および整泡剤の存在下で反応させて軟質ポリウレタンフォームを製造する方法において、
ポリオール混合物(X)が、下記ポリオール(A)、下記ポリオール(B)および下記モノオール(D)を含み、
原料中の全活性水素含有化合物とポリイソシアネート化合物との割合がイソシアネート指数で90以上であって、
ウレタン化触媒が、ジオクチルスズジラウレートを含み、かつジブチルスズジラウレートを含まず、
軟質ポリウレタンフォームのコア密度が、10〜50kg/m3となるように前記ポリオール混合物(X)と前記ポリイソシアネート化合物とを反応させることを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
ポリオール(A):平均水酸基数が2〜3、水酸基価が10〜60mgKOH/g、オキシエチレン基含有量が0〜30質量%であるポリオキシアルキレンポリオール、
ポリオール(B):平均水酸基数が2〜3、水酸基価が100〜250mgKOH/gであるポリオキシアルキレンポリオール、
モノオール(D):水酸基価が10〜200mgKOH/gであるポリオキシアルキレンモノオール。
前記ポリオール(A)と前記ポリオール(B)との割合が、ポリオール(A)とポリオール(B)との合計の100質量部のうち、ポリオール(A)の割合が5〜50質量部である請求項1に記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
前記モノオール(D)の割合が、前記ポリオール(A)と前記ポリオール(B)との合計の100質量部に対して、1〜30質量部である請求項1または2に記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
前記モノオール(D)が、開始剤にプロピレンオキシドのみを開環付加重合させたポリオキシプロピレンモノオールである請求項1〜3のいずれか一項に記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
前記ポリオール混合物(X)が、さらに下記ポリオール(C)を、ポリオール混合物全体の100質量部のうち2〜10質量部含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
ポリオール(C):平均水酸基数が2〜6、水酸基価が10〜60mgKOH/g、オキシエチレン基含有量が50〜100質量%あるポリオキシアルキレンポリオール。
前記ウレタン化触媒が、ポリオール混合物(X)の100質量部中に0.01〜3.0質量部含まれる請求項1〜5のいずれか一項に記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明における「反応性混合物」とは、ポリオール混合物、ポリイソシアネート化合物、ウレタン化触媒、発泡剤および整泡剤等の混合物である。
【0009】
本発明で得られる軟質ポリウレタンフォームは、ポリオール混合物(X)とポリイソシアネート化合物とを、ウレタン化触媒、発泡剤および整泡剤の存在下で反応させて製造する。以下、各原料について説明する。
【0010】
<ポリオール混合物(X)>
本発明において用いるポリオール混合物(X)は、後述するポリオール(A)、ポリオール(B)およびモノオール(D)を含む。さらにポリオール(C)を含むことが好ましい。また、場合により、ポリオール(A)、ポリオール(B)、モノオール(D)以外のポリオール(以下、ポリオール(E)という)やモノオール(D)以外のモノオールを含んでもよい。以下、各ポリオールについて説明する。
【0011】
(ポリオール(A))
本発明におけるポリオール(A)は、平均水酸基数が2〜3、水酸基価が10〜60mgKOH/gのポリオキシアルキレンポリオールである。このポリオキシアルキレンポリオールは、重合触媒存在下で開始剤にアルキレンオキシドを開環付加重合させて得られる。
【0012】
ポリオール(A)の製造に用いる重合触媒としては、アルカリ金属化合物触媒(ナトリウム系触媒、カリウム系触媒、セシウム系触媒等。)、カチオン重合触媒、複合金属シアン化物錯体触媒、ホスファゼニウム化合物等が挙げられる。触媒が入手安価の点からアルカリ金属触媒、低副生成物のポリオールが得られる点から複合金属シアン化錯体触媒が好ましい。
【0013】
ナトリウム系触媒、およびカリウム系触媒としては、ナトリウム金属、カリウム金属、ナトリウムアルコキシドまたはカリウムアルコキシド(ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムプロポキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムプロポキシド等。)、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
【0014】
セシウム系触媒としては、セシウム金属、セシウムアルコキシド(セシウムメトキシド、セシウムエトキシド、セシウムプロポキシド等。)、水酸化セシウム、炭酸セシウム等が挙げられる。
【0015】
カチオン重合触媒としては、MoO
2(diketonate)Cl、MoO
2(diketonate)OSO
2CF
3、トリフルオロメタンスルホン酸、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素配位化合物(三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート、三フッ化ホウ素ジブチルエーテラート、三フッ化ホウ素ジオキサネート、三フッ化ホウ素アセチックアンハイドレートまたは三フッ化ホウ素トリエチルアミン錯化合物。)、フッ素原子を含有する芳香族炭化水素基もしくはフッ素原子を含有する芳香族炭化水素オキシ基を少なくとも1個有するアルミニウムまたはホウ素化合物等が好ましい。
【0016】
フッ素原子を含有する芳香族炭化水素基としては、ペンタフルオロフェニル、テトラフルオロフェニル、トリフルオロフェニル、3,5−ビス(トリフルオロメチル)トリフルオロフェニル、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル、β−ペルフルオロナフチル、2,2’,2’’−ペルフルオロビフェニル等が挙げられる。
【0017】
フッ素原子を含有する芳香族炭化水素オキシ基としては、前記フッ素原子を含有する芳香族炭化水素基に酸素原子が結合した炭化水素オキシ基が好ましい。
【0018】
複合金属シアン化物錯体触媒(以下、「DMC触媒」とも記す。)は有機配位子を有する。有機配位子としてはtert−ブチルアルコール、n−ブチルアルコール、iso−ブチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、iso−ペンチルアルコール、N,N−ジメチルアセトアミド、エチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル(グライムともいう。)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライムともいう。)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライムともいう。)、iso−プロピルアルコール、およびジオキサンが挙げられる。ジオキサンは、1,4−ジオキサンでも1,3−ジオキサンでもよいが、1,4−ジオキサンが好ましい。有機配位子は1種でもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
これらのうちでも、有機配位子としてtert−ブチルアルコ−ルを有することが好ましい。したがって、有機配位子の少なくとも一部としてtert−ブチルアルコ−ルを有するDMC触媒を用いることが好ましい。このようなDMC触媒は高活性であり、総不飽和度の低いポリオールを製造することができる。
【0020】
ポリオール(A)の製造に用いる開始剤としては、分子中の活性水素(アルキレンオキシドが反応しうる、水酸基やアミノ基の水素原子)の数が2または3である化合物を、単独で用いるか、または併用する。開始剤としては、多価アルコール類、多価フェノール類などの水酸基含有化合物が好ましい。活性水素の数が4以上である化合物を少量併用することもできる。活性水素数が2である化合物の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどの2価アルコールが挙げられる。また活性水素数が3である化合物の具体例としては、グリセリン、トリメチロールプロパンなどの3価アルコールが挙げられる。また、これらの化合物にアルキレンオキシド、好ましくはプロピレンオキシドを開環付加重合させて得られた高水酸基価ポリオキシアルキレンポリオールを用いることが好ましい。具体的には、水酸基数が2または3であって、水酸基1個当たりの分子量が200〜500程度、すなわち水酸基価が110〜280mgKOH/gの高水酸基価ポリオキシアルキレンポリオール(好ましくはポリオキシプロピレンポリオール)を用いることが好ましい。
【0021】
ポリオール(A)の製造に用いるアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−エポキシブタン、2,3−エポキシブタン等が挙げられる。これらのうち、プロピレンオキシド、またはプロピレンオキシドとエチレンオキシドとの併用が好ましく、プロピレンオキシドのみが特に好ましい。すなわちポリオール(A)としては、開始剤にプロピレンオキシドのみを開環付加重合させたポリオキシプロピレンポリオールが好ましい。プロピレンオキシドのみを用いると、得られる軟質ポリウレタンフォームの加湿時の耐久性が向上するため好ましい。
【0022】
プロピレンオキシドとエチレンオキシドとを併用する場合、ブロック重合およびランダム重合のいずれの重合法を用いてもよい。さらにブロック重合とランダム重合の両者を組み合わせて製造することもできる。ブロック重合の場合、開環付加重合させる順序は、プロピレンオキシド、エチレンオキシドの順で付加するか、先にエチレンオキシドを付加し、プロピレンオキシド、エチレンオキシドの順に付加することが好ましい。この順番で開環付加重合することで、ポリオキシアルキレンポリオール(A)の水酸基の多くは一級水酸基となり、ポリオール(A)とポリイソシアネート化合物との反応性が高くなる。その結果、得られる軟質ポリウレタンフォームの成形性が良好になりやすく好ましい。末端はエチレンオキシドであることが好ましい。
【0023】
ポリオール(A)におけるオキシエチレン基含有量は30質量%以下が好ましく、15質量%以下が特に好ましい。また下限値は0質量%である。オキシエチレン基含有量を30質量%以下とすることで、加湿時における耐久性が良好となるため好ましい。
【0024】
本発明におけるポリオール(A)の平均水酸基数は2〜3であり、より好ましくは2〜2.7である。本発明における平均水酸基数とは、開始剤の活性水素数の平均値を意味する。平均水酸基数を2〜3とすることにより、得られる軟質ポリウレタンフォームの圧縮残留歪み等の物性が良好となる。また、得られる軟質ポリウレタンフォームの伸びが良好となり、硬度が高くならず適度となり引張強度等の物性が良好となる。ポリオール(A)としては、水酸基数が2であるポリオキシアルキレンジオールを、ポリオール(A)の100質量部のうち50〜100質量部用いることが、得られる軟質ポリウレタンフォームの感温性を抑制しやすい点で好ましい。特にポリオール(A)は、水酸基数が2であるポリオキシアルキレンジオールであることが好ましい。
【0025】
本発明におけるポリオール(A)の水酸基価は10〜60mgKOH/gである。水酸基価を10mgKOH/g以上とすることで、コラップス(collapse)等を抑制し、軟質ポリウレタンフォームを安定して製造することができる。また水酸基価を60mgKOH/g以下とすることで、製造される軟質ポリウレタンフォームの柔軟性を損なわず、かつ、反発弾性率を低く抑えられる。ポリオール(A)の水酸基価は、10〜50mgKOH/gがより好ましく、10〜45mgKOH/gが最も好ましい。
【0026】
本発明におけるポリオール(A)は、ポリマー分散ポリオールであってもよい。
本発明において、ポリオールがポリマー分散ポリオールであるとは、ポリオールをベースポリオール(分散媒)として、ポリマー微粒子(分散質)が安定に分散している分散系であることを意味する。
【0027】
ポリマー微粒子のポリマーとしては、付加重合系ポリマーまたは縮重合系ポリマーが挙げられる。付加重合系ポリマーは、たとえば、アクリロニトリル、スチレン、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル等のモノマーを単独重合または共重合して得られる。また、縮重合系ポリマーとしては、たとえば、ポリエステル、ポリウレア、ポリウレタン、ポリメチロールメラミン等が挙げられる。ポリオール中にポリマー微粒子を存在させることにより、ポリオールの水酸基価が低く抑えられ、軟質ポリウレタンフォームの硬度を高くすることができ、引張強度等の機械的物性向上に有効である。またポリマー分散ポリオール中のポリマー微粒子の含有割合は、特に制限なく、ポリオール(A)の100質量部に対して5質量部以下が好ましい。なお、ポリマー分散ポリオールのポリオールとしての諸物性(不飽和度、水酸基価等)は、ポリマー微粒子を除いたベースポリオールについて考えるものとする。
【0028】
(ポリオール(B))
本発明におけるポリオール(B)は、平均水酸基数が2〜3、水酸基価が100〜250mgKOH/gであるポリオキシアルキレンポリオールである。このポリオキシアルキレンポリオールは、ポリオール(A)と同様に、重合触媒存在下で開始剤にアルキレンオキシドを開環付加重合させて得られる。
【0029】
ポリオール(B)の製造に用いる重合触媒としては、フォスファゼン化合物、ルイス酸化合物またはアルカリ金属化合物触媒、複合金属シアン化物錯体触媒が好ましく、このうちアルカリ金属化合物触媒が特に好ましい。アルカリ金属化合物触媒としては、水酸化カリウム、カリウムメトキシド等のカリウム化合物、セシウム金属、水酸化セシウム、炭酸セシウム、セシウムメトキシド等のセシウム化合物などのアルカリ金属化合物またはアルカリ金属水酸化物が好ましく挙げられる。
【0030】
ポリオール(B)の製造に用いる開始剤としては、分子中の活性水素数が2または3である化合物を、単独で用いるか、または併用する。活性水素の数が4以上である化合物を少量併用することもできる。活性水素数が2または3である化合物の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類;ビスフェノールA等の多価フェノール類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ピペラジン等のアミン類が挙げられる。このうち多価アルコール類が特に好ましい。また、これらの化合物にアルキレンオキシド、好ましくはプロピレンオキシドを開環付加重合させて得られた高水酸基価ポリオキシアルキレンポリオールを用いることが好ましい。
【0031】
ポリオール(B)の製造に用いるアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−エポキシブタン、2,3−エポキシブタン等が挙げられる。このうち、プロピレンオキシド、またはプロピレンオキシドとエチレンオキシドとの併用が好ましく、プロピレンオキシドのみが特に好ましい。
【0032】
ポリオール(B)としては、オキシエチレン基含有量の低いポリオールが好ましく、そのオキシエチレン基含有量は0〜20質量%が好ましく、0〜10質量%がより好ましい。特にオキシアルキレン基としてオキシプロピレン基のみを有するポリオキシアルキレンポリオールが好ましい。このようなオキシエチレン基含有量の低いポリオールを用いると、得られる軟質ポリウレタンフォームの加湿時の耐久性が向上する。
【0033】
本発明におけるポリオール(B)の平均水酸基数は2〜3である。平均水酸基数を2〜3とすることにより、得られる軟質ポリウレタンフォームの圧縮残留歪み等の物性が適度となり、また、得られる軟質ポリウレタンフォームの伸びに優れ、硬度が適度となり引張強度等の物性に優れる。
【0034】
ポリオール(B)の平均水酸基数は、好ましくは2〜2.7であり、2〜2.6がより好ましい。ポリオール(B)の平均水酸基数を上記範囲とすることで反発弾性率を低くでき、かつ硬さ変化が小さい(感温性が低い)軟質ポリウレタンフォームが得られる。
【0035】
また、ポリオール(B)は平均水酸基数が2のポリオキシアルキレンジオールと、平均水酸基数が3のポリオキシアルキレントリオールを併用することが好ましく、ポリオール(B)の100質量部中に含まれる平均水酸基数が2のポリオキシアルキレンジオールの割合は、40質量部以上が好ましく、45質量部以上がより好ましい。
【0036】
本発明におけるポリオール(B)の水酸基価は100〜250mgKOH/gである。水酸基価を100mgKOH/g以上とすることで、コラップス等を抑制し、軟質ポリウレタンフォームを安定して製造することができる。また水酸基価を250mgKOH/g以下とすることで、製造される軟質ポリウレタンフォームの柔軟性を損なわず、かつ、反発弾性率を低くできる。ポリオール(B)としては、水酸基価が100〜200mgKOH/gであるポリオールを用いることが好ましい。
【0037】
本発明におけるポリオール(B)は、ポリマー分散ポリオールであってもよい。ポリマー微粒子のポリマーとしては、ポリオール(A)の項で説明したものと同様のものが例示できる。またポリマー分散ポリオール中のポリマー微粒子の含有割合は、特に制限なく、ポリオール(B)の100質量部に対して、0〜10質量%が好ましい。
【0038】
(ポリオール(C))
本発明におけるポリオール(C)は、平均水酸基数が2〜6、水酸基価が10〜60mgKOH/g、オキシエチレン基含有量が50〜100質量%であるポリオキシアルキレンポリオールである。このポリオキシアルキレンポリオールは、ポリオール(A)やポリオール(B)と同様に、重合触媒存在下で開始剤にアルキレンオキシドを開環付加重合させて得られる。また、ポリオール(C)は、エチレンオキシドの多量化で得られるポリエチレングリコールであってもよい。ポリオール(C)を用いると、破泡効果が認められ、ポリオール(C)の添加は通気性の向上に効果がある。
【0039】
ポリオール(C)の製造に用いる重合触媒としては、前記重合触媒のうちでも特にアルカリ金属化合物触媒が好ましい。ポリオール(C)の製造に用いる開始剤としては、前記開始剤のうちでも特に多価アルコール類やアミン類が好ましい。
【0040】
開始剤である多価アルコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。開始剤であるアミン類としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ピペラジン等のアミン類が挙げられる。
【0041】
ポリオール(C)の製造に用いられるアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−エポキシブタン、2,3−エポキシブタン等が挙げられる。また、ポリオール(C)のオキシアルキレン基におけるオキシエチレン含有量は50〜100質量%であり、エチレンオキシドの単独使用、またはプロピレンオキシドとエチレンオキシドとの併用が好ましい。特に、ポリオール(C)としては、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドの混合物を開環付加重合させて得られるポリオールが好ましい。
【0042】
ポリオール(C)におけるオキシエチレン基含有量は50〜100質量%であり、好ましくは55〜95質量%であり、特に好ましくは60〜90質量%である。ポリオール(C)におけるオキシエチレン基含有量を50質量%以上とすることで、ポリオール(C)を添加した際に高い通気性を確保できる。
【0043】
本発明においてポリオール(C)の平均水酸基数は2〜6が好ましく、3〜4がより好ましい。また、ポリオール(C)の水酸基価は10〜60mgKOH/gが好ましく、15〜50mgKOH/gがより好ましい。
【0044】
(モノオール(D))
本発明におけるモノオール(D)は、水酸基価が10〜200mgKOH/gであるポリオキシアルキレンモノオールである。このポリオキシアルキレンモノオールは、活性水素の数が1である開始剤を使用し、この開始剤にポリオール(A)やポリオール(B)と同様に重合触媒存在下でアルキレンオキシドを開環付加重合させて得られる。
【0045】
モノオール(D)の製造に用いる重合触媒としては、DMC触媒、フォスファゼン化合物、ルイス酸化合物またはアルカリ金属化合物触媒が好ましく、このうち複合金属シアン化物錯体触媒(DMC触媒)が特に好ましい。複合金属シアン化物錯体触媒としては、前記の複合金属シアン化物錯体触媒を使用できる。
【0046】
モノオール(D)の製造に用いる開始剤としては、活性水素原子を1個のみ有する化合物を用いる。その具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の1価アルコール類;フェノール、ノニルフェノール等の1価フェノール類;ジメチルアミン、ジエチルアミン等の2級アミン類等が挙げられる。また、前記ポリオール(A)等を製造するための高水酸基価ポリオキシアルキレンポリオールと同様に、目的とするモノオール(D)の水酸基価よりも高い水酸基価を有する高水酸基価ポリオキシアルキレンモノオールを開始剤として使用することもできる。
【0047】
モノオール(D)の製造に用いるアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−エポキシブタン、2,3−エポキシブタン等が挙げられる。このうち、プロピレンオキシド、またはプロピレンオキシドとエチレンオキシドとの併用が好ましく、プロピレンオキシドのみが特に好ましい。すなわちモノオール(D)としては、開始剤にプロピレンオキシドのみを開環付加重合させたポリオキシプロピレンモノオールが好ましい。プロピレンオキシドのみを用いることは、得られる軟質ポリウレタンフォームの加湿時の耐久性が向上するため好ましい。
【0048】
本発明におけるモノオール(D)の平均水酸基数は1である。またモノオール(D)の水酸基価は10〜200mgKOH/gであり、10〜120mgKOH/gが好ましい。
【0049】
なお、本発明におけるポリオール混合物(X)は、モノオール(D)以外のモノオール(例えば水酸基価が200mgKOH/gを超えるポリオキシプロピレンモノオール)を含有していてもよいが、通常はモノオール(D)以外のモノオールは含有しない。本発明におけるポリオール混合物がモノオール(D)以外のモノオールを含有する場合であっても、ポリオール混合物の100質量部のうち、その割合は5質量部以下が好ましく、2質量部以下がより好ましい。
【0050】
(ポリオール(E))
本発明におけるポリオール(E)は、ポリオール(A)、ポリオール(B)、ポリオール(C)以外のポリオールであり、例えば、ポリオール(B)よりも高水酸基価のポリオール、ポリオール(A)およびポリオール(B)よりも平均水酸基数が大きく、かつポリオール(C)よりもオキシエチレン含有量が高いポリオール、ポリオキシアルキレンポリオール以外の高分子量ポリオールなどが挙げられる。
【0051】
ポリオール(E)としては、平均水酸基数が2〜6であり、水酸基価が300〜1830mgKOH/gであるポリオールが好ましい。より好ましくは、ポリオール(E)の平均水酸基数が3〜4、水酸基価が300〜600mgKOH/gのポリオールである。このポリオールとしては、多価アルコール類、水酸基を2〜6個有するアミン類、ポリオキシアルキレンポリオールが好ましい。このような高水酸基価のポリオールは、架橋剤として作用し、軟質ポリウレタンフォームの硬度等の機械的物性が向上する。特に発泡剤を多く使用して低密度(軽量)の軟質ポリウレタンフォームを製造しようとする場合にも、発泡安定性が良好となる。
【0052】
ポリオール(E)として使用できる多価アルコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。水酸基を2〜6個有するアミン類としてはジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。ポリオキシアルキレンポリオールとしては、ポリオール(B)などと同様に、開始剤にアルキレンオキシドを開環付加重合させて得られたポリオキシアルキレンポリオールが挙げられる。ポリオキシアルキレンポリオールであるポリオール(E)の製造に用いられる開始剤としては、ポリオール(E)として用いてもよい多価アルコール類、またはポリオール(B)の製造に用いられる開始剤が例示できる。
【0053】
ポリオキシアルキレンポリオールであるポリオール(E)の製造に用いられるアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−エポキシブタン、2,3−エポキシブタン等が挙げられる。このうち、プロピレンオキシド、またはプロピレンオキシドとエチレンオキシドとの併用が好ましく、プロピレンオキシドのみが特に好ましい。すなわちポリオキシアルキレンポリオールであるポリオール(E)としては、開始剤にプロピレンオキシドのみを開環付加重合させたポリオキシプロピレンポリオールが好ましい。ポリオール(E)としては、上記のうちポリオキシアルキレンポリオールが好ましく、ポリオキシプロピレンポリオールが特に好ましい。プロピレンオキシドのみを用いることは、得られる軟質ポリウレタンフォームの加湿時の耐久性が向上するため好ましい。ポリオール(E)としては、1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。
【0054】
本発明においてポリオール(E)としては、上記平均水酸基数や水酸基価に限定されない、ポリエステルポリオールやポリカーボネートポリオールであってもよい。これらポリオールの平均水酸基数は2〜3が好ましく、水酸基価は20〜300mgKOH/gが好ましい。
【0055】
(ポリオール混合物(X)の配合比)
本発明におけるポリオール混合物は、前記ポリオール(A)、ポリオール(B)およびモノオール(D)を含む。さらにこのポリオール混合物は前記ポリオール(C)を含むことが好ましい。
【0056】
本発明におけるポリオール混合物(X)において、前記ポリオール(A)と前記ポリオール(B)との割合は、ポリオール(A)とポリオール(B)との合計の100質量部のうち、ポリオール(A)の割合が、5〜50質量部が好ましく、10〜30質量部がより好ましい。ポリオール混合物(X)中のポリオール(A)の割合を上記の範囲とすることで、低反発で、温度変化に対する反発弾性率および硬さの変化が小さい(感温性の低い)軟質ポリウレタンフォームが得られる。
【0057】
またポリオール混合物(X)の100質量部のうち、ポリオール(A)とポリオール(B)との合計の割合は、70質量部以上が好ましく、75質量部以上がより好ましく、90質量部以上が特に好ましい。上限値は99質量部である。ポリオール混合物(X)中のポリオール(A)とポリオール(B)との合計の割合を上記の範囲とすることで、低反発性に優れ、耐久性に優れ、かつ、通気性の良好な軟質ポリウレタンフォームが得られる。
【0058】
またモノオール(D)の割合が、ポリオール(A)とポリオール(B)との合計の100質量部に対して、1〜30質量部であることが好ましく、1〜25質量部がより好ましく、1〜10質量部であることが特に好ましい。モノオール(D)の割合を上記の範囲とすることで、低反発性に優れ、耐久性に優れ、かつ、通気性の良好な軟質ポリウレタンフォームが得られる。
【0059】
また、ポリオール混合物(X)がポリオール(C)を含有する場合、ポリオール混合物(X)の100質量部のうち、ポリオール(C)の割合は、10質量部以下が好ましく、1〜10質量部がより好ましく、1〜8質量部が特に好ましい。ポリオール(C)を使用し、かつポリオール(C)の割合を上記の範囲とすることで、得られる軟質ポリウレタンフォームの通気性を向上させることができる。
【0060】
また、ポリオール混合物(X)はポリオール(E)を含有する必要性は少ないが、ポリオール(E)を使用する場合は、ポリオール混合物(X)の100質量部のうち、ポリオール(E)の割合は、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、2質量部以下が特に好ましい。
【0061】
本発明において、ポリオール混合物(X)(100質量部)の好ましい組成の具体例は、ポリオール(A)を10〜30質量部、ポリオール(B)を50〜80質量部、ポリオール(C)を0〜10質量部、モノオール(D)を1〜24質量部、ポリオール(E)を0〜5質量部である。さらに好ましいポリオール混合物(X)の組成は、ポリオール(A)を15〜30質量部、ポリオール(B)を60〜75質量部、ポリオール(C)を1〜8質量部、モノオール(D)を1〜10質量部、ポリオール(E)を0〜2質量部である。特に好ましいポリオール混合物(X)の組成は、ポリオール(A)を20〜25質量部、ポリオール(B)を60〜70質量部、ポリオール(C)を1〜7質量部、モノオール(D)を1〜7質量部、ポリオール(E)を0質量部である。
【0062】
ポリオール混合物(X)に含まれる触媒残渣としてのZnおよびCoの合計量は、0.1〜200ppmであり、0.5〜100ppmが好ましく、1〜50ppmが特に好ましい。ZnおよびCoを合計量で0.1〜200ppm含むことにより、軟質ポリウレタンフォームの製造時の発泡安定性が向上し、セル荒れおよびフォームの収縮を抑えることができる。また、得られる軟質ポリウレタンフォームの難燃性が向上する。
【0063】
ポリオール混合物(X)中に含まれるZnおよびCoの合計量は、下記の方法より求める。
(ZnおよびCoの合計量の測定方法)
ポリオール混合物の20gを白金皿に秤量し、ガスバーナーを用いて燃焼、灰化させた後、さらに600℃の電気炉にて完全に灰化させる。灰化残渣を6N塩酸の2mLに溶解させ、蒸留水にて100mLに定溶し、灰化残渣に含まれるZnおよびCoの量を原子吸光光度計にて測定する。ZnおよびCoの定量は、金属標準液で作成した検量線から求める。
【0064】
ポリオール混合物(X)にZnおよびCoを含ませる方法としては、(i)未精製のポリオール(A)、すなわちDMC触媒が残存しているポリオール(A)を用いる方法、(ii)DMC触媒を用いて製造された、未精製の他のポリオール等が挙げられる。なお、ポリオール混合物(X)中にZnおよびCoが合計で0.1〜200ppmが含まれていればよく、特に方法は問わない。
【0065】
ポリオール混合物(X)中にZnおよびCoを含有させるために使用されるDMC触媒としては、得られる軟質ポリウレタンフォームのセル荒れおよびフォームの収縮を抑える効果が高いことから、亜鉛ヘキサシアノコバルテート−t−ブチルアルコール錯体触媒、亜鉛ヘキサシアノコバルテート−エチレングリコールジメチルエーテル錯体触媒が好ましい。
【0066】
<ポリイソシアネート化合物>
本発明において用いられるポリイソシアネート化合物としては、特に制限はなく、イソシアネート基を2以上有する芳香族系、脂環族系、脂肪族系等のポリイソシアネート;前記ポリイソシアネートの2種類以上の混合物;これらを変性して得られる変性ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0067】
ポリイソシアネート化合物の具体例としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(通称:クルードMDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)等が挙げられる。また変性ポリイソシアネートの具体例としては、上記各ポリイソシアネートのプレポリマー型変性体、ヌレート変性体、ウレア変性体、カルボジイミド変性体等が挙げられる。これらのうちでも、TDI、MDI、クルードMDI、またはこれらの変性体が好ましい。さらにこれらのうち、TDI、クルードMDIまたはその変性体(特にプレポリマー型変性体が好ましい。)を用いると発泡安定性が向上し、耐久性が向上する等の点で好ましい。特にTDI、クルードMDIまたはその変性体のうち、反応性が比較的低いポリイソシアネート化合物を用いると通気性が向上し好ましい。具体的には2,6−TDIの割合の多い(30質量%以上が特に好適である。)TDI混合物が好ましい。
【0068】
ポリイソシアネート化合物の使用量は、原料中の全活性水素含有化合物とポリイソシアネート化合物の割合がイソシアネート指数で90以上となる量が好ましい。原料とは、ポリオール混合物(X)、ポリイソシアネート化合物、ウレタン化触媒、発泡剤および製泡剤をいう。活性水素含有化合物とは、ポリオール混合物(X)、および発泡剤として使用しうる水等をいう。イソシアネート指数とは、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の当量を、ポリオール、モノオール、水等の原料中の全活性水素含有化合物中の全ての活性水素の合計の当量で除した数値の100倍で表される。
【0069】
本発明の軟質ポリウレタンフォームの製造方法においては、原料中の全活性水素含有化合物とポリイソシアネート化合物との割合を、イソシアネート指数で90以上とする。上記割合がイソシアネート指数で90以上であると、ポリオール、モノオールが適度に用いられ、可塑剤としての影響が小さく、洗濯耐久性が良好となり好ましい。またウレタン化触媒が放散しにくく、製造された軟質ポリウレタンフォームが変色しにくい等の点でも好ましい。上記割合はイソシアネート指数で90〜130が好ましく、95〜110がより好ましい。
【0070】
<ウレタン化触媒>
ポリオール混合物(X)とポリイソシアネート化合物とを反応させるウレタン化触媒としては、ウレタン化反応を促進させる触媒のうち、軟質ポリウレタンフォームの人体および環境へ悪影響を及ぼす懸念のある物質の使用を制限するCerti−PURに該当しない触媒のみを使用することができる。1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0071】
たとえば、酢酸カリウム、2−エチルヘキサン酸カリウム等のカルボン酸金属塩;スタナスオクトエート、ジオクチルスズジラウレート等の有機金属化合物;トリエチレンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン等の3級アミン類が挙げられる。
【0072】
ウレタン化触媒の使用量は、ポリオール混合物(X)の100質量部に対して、0.001〜5質量部が好ましく、0.01〜3質量部がより好ましい。上記範囲の上限値以下であると発泡反応の制御が容易であり、上記範囲の下限値以上であると軟質ポリウレタンフォームのキュアー(curing)が良好であるので好ましい。
【0073】
有機金属化合物としては、ジオクチルスズジラウレートを使用するのが好ましい。ジオクチルスズジラウレートを使用する場合、ポリオール混合物(X)の100質量部に対して、0.01〜3質量部であるのが好ましく、0.03〜2質量部がより好ましく、0.05〜1質量部がさらに好ましく、0.07〜0.5質量部が最も好ましい。上記範囲の上限値以下であると軟質ポリウレタンフォームの収縮が抑制され、上記範囲の下限値以上であると軟質ポリウレタンフォームのセトリング(settling)が抑制され、良好な外観の軟質ポリウレタンフォームが製造可能であるので好ましい。
【0074】
ウレタン化触媒は、有機金属化合物に3級アミン類を併用するのが好ましい。発泡剤とポリイソシアネート化合物の相溶性がよくなり、発泡時に小さな均質な泡が生成するので、好ましい。3級アミン類としては、発泡挙動の制御が容易であり、かつ経済的な点から、トリエチレンジアミンが好ましい。3級アミン類を併用する場合、ポリオール混合物(X)の100質量部に対して、0.01〜3質量部であるのが好ましく、0.05〜2質量部がより好ましく、0.1〜1質量部がさらに好ましく、0.2〜0.5質量部が最も好ましい。上記範囲の上限値以下であると発泡反応の制御が容易であり、上記範囲の下限値以上であると硬化性が良好であるので好ましい。
【0075】
<整泡剤>
整泡剤としては、シリコーン系整泡剤、フッ素系整泡剤等が挙げられる。これらのうち、シリコーン系整泡剤が好ましい。シリコーン系整泡剤のうち、ポリオキシアルキレン・ジメチルポリシロキサンコポリマーを主成分とするシリコーン系整泡剤が好ましい。整泡剤は、ポリオキシアルキレン・ジメチルポリシロキサンコポリマー単独であっても、これに他の併用成分を含んだ混合物であってもよい。他の併用成分としては、ポリアルキルメチルシロキサン、グリコール類、ポリオキシアルキレン化合物等が挙げられる。整泡剤としては、ポリオキシアルキレン・ジメチルポリシロキサンコポリマー、ポリアルキルメチルシロキサンおよびポリオキシアルキレン化合物を含む整泡剤混合物が、軟質ポリウレタンフォームの安定性に優れる点から特に好ましい。該整泡剤混合物としては、たとえば、東レダウコーニング社製のSZ−1127、L−580、L−582、L−520、SZ−1919、L−5740S、L−5740M、SZ−1111、SZ−1127、SZ−1162、SZ−1105、SZ−1328、SZ−1325、SZ−1330、SZ−1306、SZ−1327、SZ−1336、SZ−1339、L−3601、SZ−1302、SH−192、SF−2909、SH−194、SH−190、SRX−280A、SRX−298、SF−2908、SF−2904、SRX−294A、SF−2965、SF−2962、SF−2961、SRX−274C、SF−2964、SF−2969、PRX−607、SZ−1711、SZ−1666、SZ−1627、SZ−1710、L−5420、L−5421、SZ−1669、SZ−1649、SZ−1654、SZ−1642、SZ−1720、SH−193等、信越化学工業社製のF−114、F−121、F−122、F−348、F−341、F−502、F−506、F−607、F−606等、GE東芝シリコーン社製のY−10366、L−5309、TFA−4200、TFA−4202等、ゴールドシュミット社製のB−8110、B−8017、B−4113、B−8727LF,B−8715LF、B−8404、B−8462等が挙げられる。整泡剤は、2種類以上併用してもよく、また前記特定の整泡剤以外の整泡剤を併用してもよい。
【0076】
整泡剤の使用量は、ポリオール混合物(X)の100質量部に対して、0.01〜2質量部が好ましく、0.1〜0.5質量部がより好ましい。
【0077】
<発泡剤>
発泡剤としては、フッ素化炭化水素等の公知の発泡剤が使用でき、水および不活性ガスからなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。不活性ガスとしては、具体的には、空気、窒素、炭酸ガス等が好ましく挙げられる。これらのうちでも、環境への配慮から水がもっとも好ましい。
【0078】
発泡剤の使用量は、水を使用する場合、ポリオール混合物(X)の100質量部に対して、10質量部以下が好ましく、0.1〜4質量部がより好ましい。低密度の軟質ポリウレタンフォームを製造する場合、ポリオール混合物の100質量部に対して、0.5〜5質量部の水を使用するのが好ましい。
【0079】
<その他の助剤>
本発明において軟質ポリウレタンフォームを製造する際には、上述したウレタン化触媒、発泡剤、整泡剤以外に所望の添加物も使用できる。添加剤としては、炭酸カリウム、硫酸バリウム等の充填剤;乳化剤等の界面活性剤;酸化防止剤、紫外線吸収剤等の老化防止剤;難燃剤、可塑剤、着色剤、抗カビ剤、破泡剤、分散剤、変色防止剤等が挙げられる。
【0080】
本発明に用いる酸化防止剤としては、特に制限はなく、市販されている酸化防止剤を任意に選択して使用すれば良い。具体的な例としては、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(商品名、IRGANOX 1076、BASFジャパン社製)、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(商品名、IRGANOX 1010、BASFジャパン社製)、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(商品名、ノンフレックスDCD、精工化学社製)等が例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0081】
使用する酸化防止剤の種類は、単独でも、また2種類以上を組み合わせて使用しても良い。酸化防止剤の添加濃度は、ポリオール混合物(X)中に50〜20,000ppmであることが好ましく、100〜10,000ppmがより好ましく、500〜8,000ppmがさらに好ましく、1,000〜6,000ppmが特に好ましい。酸化防止剤をポリオール混合物中(X)中に上記範囲の下限値以上含むことにより、発泡時の発熱によるフォームの焼け(スコーチ)を抑制することができ、上記範囲の上限値以下とすることにより、コラップス等が抑制され良好な発泡安定性が確保できる。
【0082】
<発泡方法>
本発明で得られる軟質ポリウレタンフォームの形成法としては、密閉された金型内に反応性混合物を注入し発泡成形する方法(モールド法)でも、開放系で反応性混合物を発泡させる方法(スラブ法)でもよく、スラブ法が好ましい。具体的には、ワンショット法、セミプレポリマー法、プレポリマー法等の公知の方法により行うことができる。軟質ポリウレタンフォームの製造には、通常用いられる製造装置を用いることができる。
【0083】
本発明で得られる軟質ポリウレタンフォームの形成は、反応性混合物の反応性が適度であることが好ましい。反応性が高すぎると、外観不良の軟質ポリウレタンフォームが形成されてしまう。反応性が低すぎると、生産性が悪い。
【0084】
<軟質ポリウレタンフォーム>
本発明で得られる軟質ポリウレタンフォームは、低反発であることを特徴とし、そのコア反発弾性率は、20%以下が好ましく、18%以下がより好ましく、15%以下がとりわけ好ましく、12%以下が最も好ましい。コア反発弾性率を20%以下とすることで、充分な低反発性が発揮される。通常下限は0%である。コア反発弾性率の測定は、JIS K6400(1997年版)に準拠した方法で行う。また、本発明における「コア」とは、軟質ポリウレタンフォームの中央部から表皮部を除いた部分である。
【0085】
本発明で得られる軟質ポリウレタンフォームは耐久性が良好である。耐久性の指標は圧縮残留歪みおよび湿熱圧縮残留歪みで表され、本発明では圧縮率を50%と90%で測定した。本発明で得られる軟質ポリウレタンフォームは、特に蒸れた状態における耐久性の指標である湿熱圧縮残留歪みが小さい。なお圧縮残留歪みおよび湿熱圧縮残留歪みの測定はいずれもJIS K6400(1997年版)に準拠した方法で行う。
本発明で得られる軟質ポリウレタンフォームにおいて、圧縮率50%の圧縮残留歪みは10%以下が好ましく、6%以下がより好ましく、5%以下がとりわけ好ましく、4%以下が最も好ましい。圧縮率90%での圧縮残留歪みは20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、12%以下がとりわけ好ましく、10%以下が最も好ましい。
また本発明で得られる軟質ポリウレタンフォームにおいて、圧縮率50%での湿熱圧縮残留歪みは15%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、5%以下が特に好ましく、4%以下が最も好ましい。圧縮率90%での湿熱圧縮残留歪みは20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、12%以下がとりわけ好ましく、10%以下が最も好ましい。
【0086】
本発明で得られる軟質ポリウレタンフォームのコア密度は、10〜110kg/m
3が好ましく、10〜80kg/m
3がより好ましく、10〜50kg/m
3が特に好ましい。特に本発明で得られる軟質ポリウレタンフォームは、低密度においても安定して発泡し、製造が容易であり、かつ、耐久性に優れるという特徴を有する。
【実施例】
【0087】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は下記例によって何ら限定されない。なお、実施例および比較例中の数値は質量部を示す。また、不飽和度の測定は、JIS K 1557(1970年版)に準拠した方法で実施した。
【0088】
(原料)
ポリオールA1:水酸化カリウム触媒の存在下、ジプロピレングリコールを開始剤として数平均分子量1,000までプロピレンオキシドを開環重合させた後、珪酸マグネシウムで精製し、開始剤(a1)を製造した。次いで、DMC触媒である亜鉛ヘキサシアノコバルテート−tert−ブチルアルコール錯体触媒の存在下、前記開始剤(a1)にプロピレンオキシドを開環付加重合させて得られる、平均水酸基数2、水酸基価14mgKOH/gのポリオキシプロピレンポリオール。
ポリオールB1:水酸化カリウム触媒を用いてジプロピレングリコールを開始剤として、プロピレンオキシドを開環付加重合させて得られる平均水酸基数が2、水酸基価が160mgKOH/gのポリオキシプロピレンポリオール。
ポリオールB2:水酸化カリウム触媒を用いてグリセリンを開始剤として、プロピレンオキシドを開環付加重合させて得られる平均水酸基数が3、水酸基価が168mgKOH/gのポリオキシプロピレンポリオール。
ポリオールC1:水酸化カリウム触媒を用いてグリセリンを開始剤として、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドの混合物を開環付加重合させて得られる、平均水酸基数が3、水酸基価が48mgKOH/g、全オキシエチレン基含有量が80質量%であるポリオキシプロピレンオキシエチレンポリオール。
モノオールD1:n−ブチルアルコールを開始剤として、亜鉛ヘキサシアノコバルテート−tert−ブチルアルコール錯体触媒を用いて、プロピレンオキシドを開環付加重合させて得られる平均水酸基数が1、水酸基価が16.7mgKOH/gのポリオキシプロピレンモノオール。
【0089】
発泡剤:水。
触媒A:ジオクチルスズジラウレート(日東化成社製、商品名:ネオスタンU−810)
触媒B:ジブチルスズジラウレート(日東化成社製、商品名:ネオスタンU−100)。
触媒C:2−エチルヘキサン酸スズ(エアプロダクツ アンド ケミカルズ社製、商品名:ダブコT−9)。
触媒D:トリエチレンジアミンのジプロピレングリコール溶液。(東ソー社製、商品名:TEDA−L33)。
整泡剤A:シリコーン系整泡剤(東レダウコーニング社製、商品名:SRX−298)。
整泡剤B:シリコーン系整泡剤(東レダウコーニング社製、商品名:SZ−1327)。
【0090】
ポリイソシアネート化合物a:TDI−80(2,4−TDI/2,6−TDI=80/20質量%の混合物)、イソシアネート基含有量48.3質量%(日本ポリウレタン工業社製、商品名:コロネートT−80)。
【0091】
[例1〜7]
表1および表2に示した原料および配合剤のうち、ポリイソシアネート化合物以外の全原料の混合物(「ポリオールシステム液」ということもある)の液温を23℃±1℃に調整し、ポリイソシアネート化合物を液温23℃±1℃に調整した。ポリオールシステム液にポリイソシアネート化合物を所定量加えて、ミキサー(毎分3000回転)で5秒間混合し、室温(23℃)状態で上部が開放になっている縦が600mm、横が600mm、高さが400mmのビニールシートを敷きつめた木箱に注入し、軟質ポリウレタンフォーム(スラブフォーム)を製造した。製造された軟質ポリウレタンフォームを取り出して、室温(23℃)、湿度50%RHに調節された室内に24時間以上放置してから、各種物性の測定を行った。その測定結果を表1および表2に示す。なお例1
、2は参考例、例3〜5は実施例、例6〜7は比較例である。
【0092】
[評価方法]
(クリームタイム、ライズタイム)
ポリオールシステム液とポリイソシアネート化合物の混合を開始した時間を0sとし、0sから発泡反応の開始が目視で確認出来た時間をクリームタイム、0sから発泡が終了して軟質ポリウレタンフォーム上部からガス抜け(所謂ヘルシーバブル)が観測された時間をライズタイムとして、ストップウオッチで測定した。
【0093】
(コア密度、コア反発弾性率)
コア密度、コア反発弾性率は、JIS K6400(1997年版)に準拠した方法で測定した。軟質ポリウレタンフォームの中央部から表皮部を除いて縦横各250mm、高さ50mmの大きさに切り出したものを測定に用いた。
【0094】
(25%硬さ、50%硬さ、65%硬さ、通気性、引張強度、伸び、引裂強度、ヒステリシスロス率、50%圧縮残留歪み、50%湿熱圧縮残留歪み、90%圧縮残留歪み、90%湿熱圧縮残留歪み)
25%硬さ(ILD)、50%硬さ(ILD)、65%硬さ(ILD)、引張強度、伸び、引裂強度、ヒステリシスロス率、50%圧縮残留歪み、50%湿熱圧縮残留歪み、90%圧縮残留歪み、および90%湿熱圧縮残留歪みは、JIS K6400(1997年版)に準拠した方法で測定した。通気性はJIS K6400(1997年版)のB法に準拠した方法で測定した。
【0095】
(Certi−PUR環境試験)
Certi−PURの環境試験は、次のように行った。製造した軟質ポリウレタンフォームの1g(約5mm角)を人工汗溶液50gに浸漬させ、40℃で1時間、超音波にかけた。得られた人工汗溶液を測定溶液とし、該測定溶液をドイツ規格DIN 38407−13に準ずる分析方法により、ガスクロマトグラフ質量分析にて定量分析した。評価結果は、Certi−PURのスペック値であるトリブチルスズが50ppb、ジブチルスズが100ppb、モノブチルスズが100ppb以上確認された場合は×(不良)、トリブチルスズが50ppb、ジブチルスズが100ppb、モノブチルスズが100ppb未満で確認された場合は○(良好)とした。
【0096】
なお、人工汗溶液とは、ISO 105−E104(1994)に準拠して、下記3成分を0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液により、pH5.5に調整した水溶液である。
・L−ヒスチジンオノ塩酸塩第一水和物 0.5g/L
・リン酸二水素ナトリウム二水和物 2.2g/L
・食塩 5g/L
【0097】
【表1】
【0098】
【表2】
【0099】
特定のポリオール(A)、(B)およびモノオール(D)を用い、ウレタン化触媒としてCerti−PURに該当しないジオクチルスズジラウレートを使用し
、かつジブチルスズジラウレートを使用せずに製造した例1〜5の軟質ポリウレタンフォームは、表1に示すように、ウレタン化触媒をジオクチルスズジラウレートにしても、マットレス等に最適な低反発性、伸び等の機械特性に優れ、耐久性の指標である50%圧縮残留歪みおよび50%湿熱圧縮残留歪みが10%以下と小さく、90%圧縮残留歪みおよび90%圧縮残留歪みが20%以下と小さく、耐久性が良好である。これはCerti−PURの規制に該当するジブチルスズジラウレートを使用して製造した例6と同等である。
また、例
3〜5では、驚くべきことに、低密度の軟質ポリウレタンフォームを安定的に得ることが出来た。加えて、反応性混合物のクリームタイムが比較的長く、好ましい反応性を有し、作業性に優れる反応性混合物であることが確認できた。
【0100】
一方、ウレタン化触媒としてCerti−PURの規制に該当するジブチルスズジラウレートを使用して製造した例6の軟質ポリウレタンフォームは、低反発性、機械特性等に優れるが、反応性混合物のクリームタイムが短く、反応性が高すぎるため、外観不良であった。
【0101】
ウレタン化触媒として2−エチルヘキサン酸スズを使用した例7は、コア密度34kg/m
3の軟質ポリウレタンフォームを製造することができなかった。