(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上端が開放する処理カップ内に配設され、基板を水平に保持する基板保持部と、上記基板保持部を鉛直軸回りに回転させる回転機構と、上記基板の表面に処理液を供給する処理液供給部と、上記基板保持部に保持された基板の周囲雰囲気を排気する排気機構と、を具備し、上記排気機構は、上記処理カップの底部に設けられた排気口に接続され、排気装置を介設する排気流路と、上記排気流路から分岐して上記処理カップに連通する循環流路と、上記排気流路における上記分岐部を含む該分岐部の一次側又は上記循環流路に介設される気液分離器と、上記排気流路に介設される開閉及び開度調整可能な第1の調整弁と、上記気液分離器の二次側の排気流路に介設される開閉可能な第2の調整弁と、を具備する液処理装置を用いた液処理方法であって、
鉛直軸回りに回転する基板の表面に処理液供給部から処理液を供給して基板表面に処理液の液膜を形成する処理工程と、
上記第1の調整弁を開き、上記第2の調整弁を閉じて、上記気液分離器で分離された気体を循環流路から上記処理カップ内に流入する排気循環工程と、
上記第1の調整弁を閉じ、上記第2の調整弁を開いて上記排気流路中の排気を排出する排出工程と、を具備し、
上記処理工程中に、上記排気循環工程を行って上記循環流路から上記処理カップ内に流入する気流によって上記処理カップ内における基板の周囲雰囲気を排気口側へ誘導し、
上記処理工程及び排気循環工程の停止後、上記排出工程を行う、
ことを特徴とする液処理方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年の基板の大口径化に伴い、既存の300mmφから450mmφの基板が用いられており、この450mmφ基板の液処理(塗布膜形成処理)においては、既存の液処理装置の構造では、ミストの発生防止に必要となる処理カップ排気流量は、既存のプロセス比で約2倍に増加することが予想される。また、液処理装置の内圧確保のために必要となる処理カップ内への供給風量も処理カップ排気流量と同様に増加する。したがって、液処理装置の運用コストに占める工場用力が相対的に増加する懸念がある。
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、処理カップ内に発生する不要な雰囲気を吸引口から吸引した外気と共に、排気口に接続する排気流路に介設される吸引手段による吸引力によって装置外部の工場側に排出するため、工場側への排気量は減少せず、液処理装置の運用コストに占める工場用力を削減できない懸念がある。
【0009】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、液処理により発生したミストを除去した排気を処理カップ内に循環させて、排気の有効利用を図ると共に、工場側へ排出する排気流量の削減及び工場側排気用力の削減を図り、処理カップへの供給風流を低減させるようにした液処理装置及び液処理方法並びに液処理用記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、この発明の第1の液処理装置は、上端が開放する処理カップ内に配設され、基板を水平に保持する基板保持部と、上記基板保持部を鉛直軸回りに回転させる回転機構と、上記基板の表面に処理液を供給する処理液供給部と、上記基板保持部に保持された基板の周囲雰囲気を排気する排気機構と、を具備する液処理装置において、 上記排気機構は、上記処理カップの底部に設けられた排気口に接続され、排気装置を介設する排気流路と、上記排気流路から分岐して上記処理カップに連通する循環流路と、上記排気流路における上記分岐部を含む該分岐部の一次側又は上記循環流路に介設される気液分離器と、上記排気流路に介設される開閉及び開度調整可能な第1の調整弁と、上記気液分離器の二次側の排気流路に介設される開閉可能な第2の調整弁と、
上記回転機構、排気装置、第1及び第2の調整弁の駆動を制御する制御部と、を具備し、上記制御部からの制御信号に基づいて、回転する基板表面に上記処理液供給部から処理液を供給して基板表面に処理液の液膜を形成する処理工程中は、上記第1の調整弁を開き、上記第2の調整弁を閉じて、上記気液分離器で分離された気体を上記循環流路から上記処理カップ内に流入して、処理カップ内に流入される気体によって処理カップ内における基板の周囲雰囲気を上記排気口側へ誘導し、上記処理工程の停止後、上記第1の調整弁を閉じ、上記第2の調整弁を開いて排気する、ことを特徴とする(請求項1)。
また、この発明の第2の液処理装置は、上端が開放する処理カップ内に配設され、基板を水平に保持する基板保持部と、上記基板保持部を鉛直軸回りに回転させる回転機構と、上記基板の表面に処理液を供給する処理液供給部と、上記基板保持部に保持された基板の周囲雰囲気を排気する排気機構と、を具備する液処理装置において、 上記排気機構は、上記処理カップの底部に設けられた排気口に接続され、排気装置を介設する排気流路と、上記排気流路から分岐して上記処理カップに連通する循環流路と、上記排気流路における上記分岐部を含む該分岐部の一次側又は上記循環流路に介設される気液分離器と、上記排気流路に介設される開閉及び開度調整可能な第1の調整弁と、上記気液分離器の二次側の排気流路に介設される開閉可能な第2の調整弁と、を具備し、上記第2の調整弁を開度調整可能に形成し、上記循環流路中に、上記気液分離器から供給口側に向かって順に第3の調整弁と有機濃度を測定する濃度センサを介設し、上記回転機構、排気装置、第1及び第2の調整弁の駆動を制御すると共に、上記濃度センサからの検知信号を受信して上記第3の調整弁の駆動を制御する制御部を具備し、上記制御部からの制御信号に基づいて、回転する基板表面に上記処理液供給部から処理液を供給する処理工程中は、上記第1及び第3の調整弁を開き、上記第2の調整弁を閉じて、上記気液分離器で分離された気体を上記循環流路から上記処理カップ内に流入して、処理カップ内に流入される気体によって処理カップ内における基板の周囲雰囲気を上記排気口側へ誘導し、上記処理工程の停止後、上記第1及び第3の調整弁を閉じ、上記第2の調整弁を開いて排気し、更に、上記濃度センサによって上記循環流路中の気体に含まれる有機濃度が所定濃度以上の場合は、上記第1及び第2の調整弁を開き、上記第3の調整弁を閉じて排気し、上記有機濃度が所定濃度より低く許容濃度より高い場合は、上記第1及び第2の調整弁を開き、上記第3の調整弁を閉じて排気した後、上記第1の調整弁を閉じて上記排気流路中の残留気体を排出し、上記有機濃度が許容濃度以下の場合は、上記第1及び第3の調整弁を開き、上記第2の調整弁の開度を絞った後閉じて、上記処理工程を行う、ことを特徴とする(請求項2)。
【0011】
この発明において、上記処理カップにおける開放部と基板の周縁部との隙間より下方側に供給口を設け、該供給口と上記循環流路とを連通するのが好ましい(請求項
3)。この場合、上記循環流路の供給口に、上記循環流路から上記処理カップ内に流入する気体の基板側への流れを阻止する邪魔板を設けるか(請求項
6)、あるいは、上記循環流路の供給口を、上記基板保持部に保持された基板に対して外方側に開口させる(請求項
7)のが好ましい。
【0014】
この発明の液処理装置において、上記第1の調整弁の開度を調整して上記循環流路を流れる気体の流量を一定に制御するのが好ましい(請求項
4)。
【0015】
また、この発明の液処理装置において、上記循環流路における上記気液分離器の二次側に温度又は湿度の少なくとも一方を調整する温湿度調整器を介設し、上記温湿度調整器を制御部によって制御し、上記制御部によって上記処理カップの上方から処理カップ内に流入する気体の温度及び又は湿度と上記循環流路から上記処理カップ内に流入する気体の温度及び又は湿度を一定に調整するのが好ましい(請求項
5)。
【0016】
この発明の第1の液処理方法は、上端が開放する処理カップ内に配設され、基板を水平に保持する基板保持部と、上記基板保持部を鉛直軸回りに回転させる回転機構と、上記基板の表面に処理液を供給する処理液供給部と、上記基板保持部に保持された基板の周囲雰囲気を排気する排気機構と、を具備し、上記排気機構は、上記処理カップの底部に設けられた排気口に接続され、排気装置を介設する排気流路と、上記排気流路から分岐して上記処理カップに連通する循環流路と、上記排気流路における上記分岐部を含む該分岐部の一次側又は上記循環流路に介設される気液分離器と、上記排気流路に介設される開閉及び開度調整可能な第1の調整弁と、上記気液分離器の二次側の排気流路に介設される開閉可能な第2の調整弁と、を具備する液処理装置を用いた液処理方法であって、鉛直軸回りに回転する基板の表面に処理液供給部から処理液を供給して基板表面に処理液の液膜を形成する処理工程と、上記第1の調整弁を開き、上記第2の調整弁を閉じて、上記気液分離器で分離された気体を循環流路から上記処理カップ内に流入する排気循環工程と、上記第1の調整弁を閉じ、上記第2の調整弁を開いて上記排気流路中の排気を排出する排出工程と、を具備し、上記処理工程中に、上記排気循環工程を行って上記循環流路から上記処理カップ内に流入する気流によって上記処理カップ内における基板の周囲雰囲気を排気口側へ誘導し、上記処理工程及び排気循環工程の停止後、上記排出工程を行う、ことを特徴とする(請求項
8)。
【0017】
この発明の第2の液処理方法は、請求項
2に記載の液処理装置を用いた液処理方法であって、鉛直軸回りに回転する基板の表面に処理液供給部から処理液を供給して基板表面に処理液の液膜を形成する処理工程と、上記第1の調整弁及び第3の調整弁を開き、上記第2の調整弁を閉じて、上記気液分離器で分離された気体を循環流路から上記処理カップ内に流入する排気循環工程と、上記第1の調整弁及び第2の調整弁を開き、上記第3の調整弁を閉じて、上記排気流路中の排気を排出する排出工程と、上記濃度センサによって上記循環流路中の気体に含まれる有機濃度を測定する濃度測定行程と、を具備し、上記処理工程中に、上記排気循環工程を行って上記循環流路から上記処理カップ内に流入する気流によって上記処理カップ内における基板の周囲雰囲気を排気口側へ誘導し、上記処理工程後に上記濃度測定工程を行って、上記循環流路中の気体に含まれる有機濃度が所定濃度以上の場合は、上記第1及び第2の調整弁を開き、上記第3の調整弁を閉じて排気し、上記有機濃度が所定濃度より低く許容濃度より高い場合は、上記第1及び第2の調整弁を開き、上記第3の調整弁を閉じて排気した後、上記第1の調整弁を閉じて上記排気流路中の残留気体を排出し、上記有機濃度が許容濃度以下の場合は、上記第1及び第3の調整弁を開き、上記第2の調整弁の開度を絞った後閉じて、上記処理工程を行う、ことを特徴とする(請求項
9)。
【0018】
この発明の液処理方法において、上記第1の調整弁の開度を調整して上記循環流路を流れる気体の流量を一定に制御するのが好ましい(請求項
10)。
【0019】
また、この発明の液処理方法において、上記循環流路における上記気液分離器の二次側に温度又は湿度の少なくとも一方を調整する温湿度調整器を制御部によって制御して、上記処理カップの上方から処理カップ内に流入する気体の温度及び又は湿度と上記循環流路から上記処理カップ内に流入する気体の温度及び又は湿度を一定に調整するのが好ましい(請求項
11)。
【0020】
この発明の液処理用記憶媒体は、コンピュータに制御プログラムを実行させるソフトウエアが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、上記制御プログラムは、実行時に請求項
8ないし11のいずれかに記載の工程が実行されるように、コンピュータが液処理装置を制御するものである、ことを特徴とする(請求項
12)。
【0021】
請求項
1,3,8,12に記載の発明によれば、鉛直軸回りに回転する基板の表面に処理液供給部から処理液を供給して基板表面に処理液の液膜を形成する処理工程中に、排気流路における気液分離器の一次側に介設された第1の調整弁を開き、気液分離器の二次側に介設された第2の調整弁を閉じて、液処理によって発生したミストを除去した排気を処理カップ内に循環させると共に、処理カップ内に流入された気流によるエゼクタ作用により処理カップ内における基板の周囲雰囲気を排気口側へ誘導することができる。この際、第1の調整弁の開度を調整することで、循環流路を流れる気体の循環流量を一定に保つことができるので、処理性能の安定化が図れる(請求項
4,10)。
【0022】
また、処理工程及び排気循環工程の停止後、第1の調整弁を閉じ、第2の調整弁を開いて排気流路中の排気を排出することで、排気流路中に残留するミストを含む排気を工場側へ排出することができる。
【0023】
請求項
2,9,12に記載の発明によれば、鉛直軸回りに回転する基板の表面に処理液供給部から処理液を供給して基板表面に処理液の液膜を形成する処理工程中に、排気流路における気液分離器の一次側に介設された第1の調整弁及び循環流路における気液分離器の二次側に介設された第3の調整弁を開き、気液分離器の二次側に介設された第2の調整弁を閉じて、液処理によって発生したミストを除去した排気を処理カップ内に循環させると共に、処理カップ内に流入された気流によるエゼクタ作用により処理カップ内における基板の周囲雰囲気を排気口側へ誘導することができる。この際、第1の調整弁の開度を調整することで、循環流路を流れる気体の循環流量を一定に保つことができるので、処理性能の安定化が図れる(請求項
4,10)。
【0024】
更に、処理工程後に濃度センサによって循環流路中の気体に含まれる有機濃度を測定して、循環流路中の気体に含まれる有機濃度が所定濃度以上の場合は、第1及び第2の調整弁を開き、第3の調整弁を閉じて排気し、有機濃度が所定濃度より低く許容濃度より高い場合は、第1及び第2の調整弁を開き、第3の調整弁を閉じて排気した後、第1の調整弁を閉じて排気流路中の残留気体を排出することができる。また、有機濃度が許容濃度以下の場合は、第1及び第3の調整弁を開き、第2の調整弁の開度を絞った後閉じて、上記処理工程を行い、上述のように、液処理によって発生したミストを除去した排気を処理カップ内に循環させると共に、処理カップ内に流入された気流によるエゼクタ作用により処理カップ内における基板の周囲雰囲気を排気口側へ誘導することができる。
【0025】
請求項
5,11に記載の発明によれば、循環流路における気液分離器の二次側に温度又は湿度の少なくとも一方を調整する温湿度調整器を制御部によって制御して、処理カップの上方から処理カップ内に流入する気体の温度及び又は湿度と循環流路から処理カップ内に流入する気体の温度及び又は湿度を一定に調整することにより、処理カップ内の処理雰囲気を一定にすることができる。
【発明の効果】
【0026】
この発明によれば、液処理により発生したミストを除去した排気を処理カップ内に循環させて処理カップの開口部と基板の周縁部との隙間を流れる気体を排気口側へ誘導することにより、排気の有効利用が図れると共に、工場側へ排出する排気流量の削減及び工場側排気用力の削減を図ることができ、かつ、処理カップへの供給風流を低減させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、この発明の実施形態について、添付図面に基づいて説明する。ここでは、この発明に係る液処理装置をレジスト塗布処理装置に適用し、塗布・現像処理装置に露光処理装置を接続した処理システムに適用した場合について説明する。
【0029】
上記処理システムは、被処理基板である半導体ウエハW(以下にウエハWという)を複数枚例えば25枚を密閉収納するキャリア10を搬出入するためのキャリアステーション1と、このキャリアステーション1から取り出されたウエハWにレジスト塗布,現像処理等を施す処理部2と、ウエハWの表面に光を透過する液層を形成した状態でウエハWの表面を液浸露光する露光部4と、処理部2と露光部4との間に接続されて、ウエハWの受け渡しを行うインターフェース部3とを具備している。
【0030】
キャリアステーション1は、キャリア10を複数個並べて載置可能な載置部11と、この載置部11から見て前方の壁面に設けられる開閉部12と、開閉部12を介してキャリア10からウエハWを取り出すための受け渡し手段A1とが設けられている。
【0031】
また、キャリアステーション1の奥側には筐体20にて周囲を囲まれる処理部2が接続されており、この処理部2にはキャリアステーション1から見て左手手前側から順に加熱・冷却系のユニットを多段化した棚ユニットU1,U2,U3を配置し、右手に液処理ユニットU4,U5を配置する。棚ユニットU1,U2,U3の間に、各ユニット間のウエハWの受け渡しを行う主搬送手段A2,A3が棚ユニットU1,U2,U3と交互に配列して設けられている。また、主搬送手段A2,A3は、キャリアステーション1から見て前後方向に配置される棚ユニットU1,U2,U3側の一面部と、後述する例えば右側の液処理ユニットU4,U5側の一面部と、左側の一面をなす背面部とで構成される区画壁21により囲まれる空間内に配設されている。また、キャリアステーション1と処理部2との間、処理部2とインターフェース部3との間には、各ユニットで用いられる処理液の温度調節装置や温湿度調節用のダクト等を備えた温湿度調節ユニット22が配置されている。
【0032】
インターフェース部3は、処理部2と露光部4との間に前後に設けられる第1の搬送室3A及び第2の搬送室3Bにて構成されており、それぞれに第1のウエハ搬送部30A及び第2のウエハ搬送部30Bが設けられている。
【0033】
棚ユニットU1,U2,U3は、液処理ユニットU4,U5にて行われる処理の前処理及び後処理を行うための各種ユニットを複数段例えば10段に積層した構成とされており、その組み合わせはウエハWを加熱(ベーク)する加熱ユニット(HP)、ウエハWを冷却する冷却ユニット(CPL)等が含まれる。また、液処理ユニットU4,U5は、例えば
図2に示すように、レジストや現像液などの薬液収納部の上に反射防止膜を塗布するボトム反射防止膜塗布ユニット(BCT)23、塗布ユニット(COT)24、ウエハWに現像液を供給して現像処理する現像ユニット(DEV)25等を複数段例えば5段に積層して構成されている。この発明に係る液処理装置であるレジスト塗布処理装置40は塗布ユニット(COT)24に設けられている。
【0034】
次に、上記の処理システムにおけるウエハWの流れについて簡単に説明する。先ず外部からウエハWの収納されたキャリア10が載置台11に載置されると、開閉部12と共にキャリア10の蓋体が外されて受け渡し手段A1によりウエハWが取り出される。そしてウエハWは棚ユニットU1の一段をなす受け渡しユニットを介して主搬送手段A2へと受け渡され、棚ユニットU1〜U3内の一つの棚にて、塗布処理の前処理として、反射防止膜の形成や冷却ユニットによる基板の温度調整などが行われる。
【0035】
その後、主搬送手段A2によりウエハWは塗布ユニット(COT)24内に搬入され、ウエハWの表面にレジスト膜が成膜される。レジスト膜が成膜されたウエハWは主搬送手段A2により外部に搬出され、加熱ユニットに搬入されて所定の温度でベーク処理がなされる。ベーク処理を終えたウエハWは、冷却ユニットにて冷却された後、棚ユニットU3の受け渡しユニットを経由してインターフェース部3へと搬入され、このインターフェース部3を介して露光部4内に搬入される。なお、液浸露光用の保護膜をレジスト膜の上に塗布する場合には、上記冷却ユニットにて冷却された後、処理部2における図示しないユニットにて保護膜用の薬液の塗布が行われる。その後、ウエハWは露光部4に搬入されて液浸露光が行われる。このとき、液浸露光の前にインターフェース部3に設けられた図示しない基板洗浄装置にて洗浄するようにしてもよい。
【0036】
液浸露光を終えたウエハWは第2のウエハ搬送部30Bにより露光部4から取り出され、棚ユニットU6の一段をなす加熱ユニット(PEB)に搬入される。その後、ウエハWは第1のウエハ搬送部30Aによって加熱ユニット(PEB)から搬出され、主搬送手段A3に受け渡される。そしてこの主搬送手段A3により現像ユニット25内に搬入される。現像ユニット25では、基板の現像が行われ、更に洗浄が行われる。その後、ウエハWは主搬送手段A3により現像ユニット25から搬出され、主搬送手段A2、受け渡し手段A1を経由して載置台11上の元のキャリア10へと戻される。
【0037】
<第1実施形態>
この発明の液処理装置を適用したレジスト塗布処理装置の実施の形態について
図3ないし
図5を参照して説明する。
【0038】
レジスト塗布処理装置40は、
図3に示すように、上端が開放する処理カップ50内に配設され、ウエハWを水平に保持する基板保持部であるスピンチャック41と、スピンチャック41を鉛直軸回りに回転させる回転機構42と、スピンチャック41を昇降させる昇降機構43と、ウエハWの表面に処理液であるレジスト液を供給(吐出)する処理液供給部であるレジスト供給ノズル44(以下にレジストノズル44という)と、ウエハWの表面にレジスト液の溶媒であるシンナー等の溶剤を供給(吐出)する溶剤供給ノズル45(以下にシンナーノズル45という)と、レジストノズル44をスピンチャック41に保持されたウエハWの上方とウエハWの周縁外方側の待機位置(図示せず)に移動する第1のノズル移動機構46と、シンナーノズル45をスピンチャック41に保持されたウエハWの上方とウエハWの周縁外方側の待機位置(図示せず)に移動する第2のノズル移動機構47と、スピンチャック41に保持されたウエハWの周囲雰囲気を排気する排気機構60と、を具備している。
【0039】
なお、スピンチャック41は、図示しない吸引機構によってウエハWを吸着して保持するように構成されている。また、処理カップ50の上方からは、フィルターファンユニット70から清浄な空気80がダウンフローとしてウエハWに向けて供給されるように構成されている。
【0040】
処理カップ50は、ウエハWの外周を包囲するように配置された外カップ51と、外カップ51の内側においてウエハWの下方の近接部から外カップ51側に向かって拡開テーパー状に形成され、スピンチャック41を包囲するように配置された気流制御用の中間カップ52と、外カップ51の内側で、中間カップ52よりも下方に配置された内カップ53とで主に構成されている。
【0041】
この場合、外カップ51は、円筒状の胴部51aと、この胴部51aの上端から内側に向かって円弧状に延在された頭部51bと、頭部51bの内周縁に一体に形成され、内周面が外側下方に向かって拡径する内周縁部51cとからなる。なお、内周縁部51cにより、ウエハWを処理カップ50に対して搬入出するための開放部50aが形成される。
【0042】
中間カップ52は、スピンチャック41を包囲する拡開テーパー状の基部52aと、基部52aの上端に一体に形成され、内周面が内側下方に向かって縮径する内周縁片52bと、基部52aの下端から鉛直方向に垂下して処理カップ50内に回収されるレジストを内カップ53内に導く垂下片52cとで構成されている。
【0043】
内カップ53は、外カップ51の胴部51aの内側において円筒状に形成されている。この場合、内カップ53の外周壁部53aと外カップ51の胴部51aの下端部との間には、後述する循環流路63の流入口53bを有するドーナツ状のバッファ部53cが設けられており、バッファ部53cの頂部53dには環状スリット53eが設けられている(
図4参照)。このように構成されるバッファ部53cにおいて、流入口53bからバッファ部53cに流入する循環流は環状スリット53eを介して処理カップ50内に均等に流れるようになっている。また、内カップ53の底部53fには、処理カップ50内に発生するミストを排気するための排気口54と、内カップ53内に回収されたレジスト液を排出するための排液口55が設けられている。
【0044】
上記のように形成された処理カップ50内に収容されるウエハWは、処理カップ50の開放部50aよりもウエハWの周縁部の方が低くなる隙間Sをもって配置される。
【0045】
これにより、処理カップ50内で振り切られて飛散したレジスト液は、処理カップ50の内周縁部51cに衝突して処理カップ50内に回収される。また、開放部50aとウエハWの周縁部との隙間Sから僅かに吸引されるため、処理カップ50内でミスト状となったレジスト液を含む不要な雰囲気は、ウエハWの上方へ漏れることはない。
【0046】
上記排気機構60は、処理カップ50の底部53fに設けられた排気口54に接続され、排気装置であるブロアファン62を介設する排気流路61と、排気流路61から分岐されて処理カップ50に連通する循環流路63と、排気流路61と循環流路63の分岐部に介設され、処理カップ50内で発生したミストを含む排気中からミストと気体とを分離する気液分離器64(以下にミストトラップ64という)と、排気流路61に介設される開閉及び開度調整可能なオートダンパからなる第1の調整弁Vaと、ミストトラップ64の二次側の排気流路61に介設される開閉可能な第2の調整弁Vbと、上記回転機構42,ブロアファン62、第1の調整弁Va及び第2の調整弁Vbの駆動を制御する制御部90aと、を具備している。
【0047】
上記処理カップ50における開放部50aとウエハWの周縁部との隙間Sより下方側に開口する供給口56が設けられており、この供給口56と循環流路63が連通されている。 この場合、循環流路63の供給口56から処理カップ50内に流入する気体がウエハW側に流れないようにする必要がある。そのため、供給口56は下方側に向かって開口している。ただし、供給口56から処理カップ50内に流入する気体によるエゼクタ作用を更に効果的にするためには、供給口56をなるべく処理カップ50の開放部50aとウエハWの周縁部の隙間Sに近接する方がよい。そのため、
図5(a)に示すように、供給口56をウエハW側に開口すると共に、供給口56から処理カップ50内に流入する気体がウエハW側に流れるのを阻止する邪魔板57を設ける。あるいは、
図5(b)に示すように、供給口56をウエハWの近傍側からウエハWに対して外方側に開口させるのが好ましい。
【0048】
なお、排気流路61には図示しない吸引装置が介設されており、吸引装置により排気を工場側へ排出するようになっている。
【0049】
また、制御部90aは、レジストノズル44を移動する第1のノズル移動機構46と、シンナーノズル45を移動する第2のノズル移動機構47の駆動を制御する。
【0050】
制御部90aは制御コンピュータ90に内蔵されており、制御コンピュータ90は、制御部90aの他に、レジスト塗布処理装置40が行う後述の動作における各処理工程を実行するためのプログラムを格納する制御プログラム格納部90bと、読取部90cを内蔵している。また、制御コンピュータ90は、制御部90aに接続された入力部90eと、処理工程を作成するための処理工程画面を表示する表示部90dと、読取部90cに挿着されると共に、制御コンピュータ90に制御プログラムを実行させるソフトウエアが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体が備えられており、制御プログラムに基づいて上記各部に制御信号を出力するように構成されている。この場合、第1の調整弁Vaの開度調整は、制御部90aの制御プログラム格納部90bに格納されたプロセスレシピ(例えば、ウエハWの回転数、回転時間、レジスト液の供給量、ダウンフローの風量等)のプログラムにて任意に設定可能になっている。
【0051】
また、制御プログラムは、ハードディスク、コンパクトディスク、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、メモリカードなどの記憶媒体90fに格納され、これら記憶媒体90fから制御コンピュータ90にインストールされて使用される。
【0052】
次に、上記のように構成されるレジスト塗布処理装置の動作態様について説明する。主搬送手段A2によりレジスト塗布処理装置40にウエハWは搬送されると、ウエハWは昇降機構43により上方に移動されたスピンチャック41によって略水平に吸着保持される。
【0053】
スピンチャック41に吸着保持されたウエハWは、昇降機構43により処理カップ50内に移動し収容され、ウエハWの表面中央部にシンナーノズル45から所定量の溶剤が供給(吐出)される。次いで、スピンチャック41は回転機構42により回転され、ウエハW上に供給された溶剤はウエハW上で拡散される。
【0054】
溶剤の拡散中にレジストノズル44からレジスト液が供給(吐出)され、溶剤の膜を介してレジスト液が拡散し、ウエハWにレジスト膜が形成される(処理工程)。この処理工程中、ウエハWから周囲に飛散する余分なレジスト液は処理カップ50によって回収され、一部はミストとなって処理カップ50内に発生する。
【0055】
一方、処理工程中は、制御部90aからの信号に基づいて第1の調整弁Vaが開き、第2の調整弁Vbが閉じて、ミストトラップ64で分離された気体が循環流路63を流れて供給口56から処理カップ50内に流入する(排気循環工程)。これにより、処理カップ50内に流入する気体のエゼクタ作用によって処理カップ50の開放部50aとウエハWの周縁部との隙間Sを流れる気体すなわち処理カップ50内におけるウエハWの周囲雰囲気を排気口54側へ誘導する。この際、この処理工程中の循環流路63を流れる気体の循環流量は、処理性能上一定に保つ必要がある。そのため、制御部90aからのプロセスレシピに基づく制御信号により第1の調整弁Vaの開度調整を行って循環流量を制御している。
【0056】
また、処理工程の停止後、第1の調整弁Vaを閉じ、第2の調整弁Vbを開いてミストトラップ64によって分離されたミストを含む排気を工場側へ排出する(排出工程)。
【0057】
以上の一連の工程は、制御コンピュータ90のメモリ内に格納されている制御プログラムを制御コンピュータ90が読み出し、その読み出した命令に基づいて既述の各機構を動作するための制御信号を出力することにより実行される。これは制御コンピュータ90に制御プログラムを実行させるソフトウエアが記憶された読み取り可能な記憶媒体90fを読取部90cに挿着させて行う。
【0058】
すなわち、上記制御プログラムは、実行時に、鉛直軸回りに回転するウエハWの表面にレジストノズル44からレジスト液を供給(吐出)してウエハ表面にレジスト膜を形成する処理工程と、第1の調整弁Vaを開度調整可能に開き、第2の調整弁Vbを閉じて、ミストトラップ64で分離された気体(排気)を循環流路63の供給口56から処理カップ50内に流入する排気循環工程と、第1の調整弁Vaを閉じ、第2の調整弁Vbを開いて排気流路61中の排気を排出する排出工程が実行されると共に、処理工程中に、排気循環工程を行って循環流路63の供給口56から処理カップ50内に流入する気流によって処理カップ50内におけるウエハWの周囲雰囲気を排気口54側へ誘導し、処理工程及び排気循環工程の停止後、排出工程が実行されるように、制御コンピュータ90がレジスト塗布処理装置を制御する。
【0059】
第1実施形態のレジスト塗布処理装置(方法)によれば、鉛直軸回りに回転するウエハWの表面にレジストノズル44からレジスト液を供給してウエハ表面にレジスト膜を形成する処理工程中に、排気流路61におけるミストトラップ64の一次側に介設された第1の調整弁Vaを開き、ミストトラップ64の二次側に介設された第2の調整弁Vbを閉じて、液処理によって発生したミストを除去した排気を処理カップ50内に循環させると共に、処理カップ50内に流入された気流によるエゼクタ作用により処理カップ50内におけるウエハWの周囲雰囲気を排気口54側へ誘導することができる。この際、プロセスレシピに基づいて第1の調整弁Vaの開度を調整することで、循環流路63を流れる気体の循環流量を一定に保つことができるので、処理性能の安定化が図れる。
【0060】
また、処理工程及び排気循環工程の停止後、第1の調整弁を閉じ、第2の調整弁を開いて排気流路中の排気を排出することで、排気流路61中に残留するミストを含む排気を工場側へ排出することができる。したがって、排気の有効利用を図ると共に、工場側へ排出する排気流量の削減及び工場側排気用力の削減を図ることができ、かつ、処理カップ50への供給風流の低減を図ることができる。
【0061】
<第2実施形態>
第2実施形態は、処理カップ50内に循環供給される気体(排気)による液処理に及ぼす悪影響を抑制するようにした場合である。ここで、上記悪影響の要因としては、循環供給される気体(排気)中に含まれる有機成分の存在が多くを占め、その他には循環供給される気体(排気)の温度と処理カップ50内の温度差及び湿度差が挙げられる。
【0062】
次に、第2実施形態に係るレジスト塗布処理装置について、
図6を参照して説明する。なお、第2実施形態において、液処理部及び処理カップは第1実施形態と同じであるので、同じ部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0063】
第2実施形態のレジスト塗布処理装置40Aは、排気流路61におけるミストトラップ64の二次側に介設される第2の調整弁Vbは開閉及び開度調整可能に形成されている。また、排気流路61から分岐する循環流路63には、分岐部に介設されるミストトラップ64から供給口側に向かって順に開閉可能な第3の調整弁Vcと、循環流路63を流れる気体(排気)中の有機濃度を測定する濃度センサ100と、循環流路63を流れる気体の温度又は湿度の少なくとも一方を調整する温湿度調整器200が介設されている。この温湿度調整器200によれば、循環流路63を流れる気体の温度及び又は湿度を一定に調整することができる。なお、循環流路63を流れる気体の温度のみ、又は湿度のみの調整が必要な場合、温湿度調整器200は、温度のみを調整する温度調整器を用いてもよく、あるいは、湿度のみを調整する湿度調整器を用いてもよい。また、温度,湿度の双方の調整が必要な場合でも、単機能の温度調整器と湿度調整器を用いるようにしてもよい。
【0064】
上記第2の調整弁Vbの開閉及び開度調整駆動、第3の調整弁Vcの開閉駆動及び温湿度調整器200の駆動は上記制御部90aによって行われる。また、制御部90aは、濃度センサ100からの検知信号を受信し、濃度センサ100で測定された有機濃度が、有害と判断される所定濃度(B/ppm)、許容濃度(A/ppm)を判別する。また、制御部90aによって処理カップ50の上方から処理カップ50内に流入するダウンフローの気体(空気80)の温度及び湿度と循環流路63を流れる気体(排気)の温度及び湿度が一定例えば23℃/45%RH)に調整されるようになっている。
【0065】
次に、第2実施形態のレジスト塗布処理装置40Aの動作態様について、
図7に示すフローチャートを参照して説明する。なお、処理工程は第1実施形態と同じであるので、ここでは説明は省略する。
【0066】
第2実施形態において、処理工程中は、制御部90aからの信号に基づいて第1の調整弁Va及び第3の調整弁Vcを開き、第2の調整弁Vbを閉じて、ミストトラップ64で分離された気体が循環流路63を流れて供給口56から処理カップ50内に流入する(排気循環工程)。これにより、処理カップ50内に流入する気体のエゼクタ作用によって処理カップ50の開放部50aとウエハWの周縁部との隙間Sを流れる気体すなわち処理カップ50内におけるウエハWの周囲雰囲気を排気口54側へ誘導する。この際、この処理工程中の循環流路63を流れる気体の循環流量は、処理性能上一定に保つ必要があるため、制御部90aからのプロセスレシピに基づく制御信号により第1の調整弁Vaの開度調整を行って循環流量を制御している。
【0067】
また、処理工程の停止後、第1の調整弁Va及び第3の調整弁Vcを閉じ、第2の調整弁Vbを開いてミストトラップ64によって分離されたミストを含む排気を工場側へ排出する(排出工程)。
【0068】
上記のようにして1回目の塗布プロセス処理が完了する(ステップS−1)。その後、処理カップ50内からウエハWを搬出する(ステップS−2)。
【0069】
処理カップ50内からウエハWを搬出した後、有機濃度センサ100によって循環流路63内の気体(排気)の有機濃度を測定する(ステップS−3)。測定された有機濃度(X/ppm)が有害と判断される所定濃度(B/ppm)以上か否かが判断され(ステップS−4)、循環流路63中の気体(排気)に含まれる有機濃度が所定濃度(B/ppm)以上の場合は、第1の調整弁Va及び第2の調整弁Vbを開き、第3の調整弁Vcを閉じて排気を工場側へ排出する(有機成分置換動作(1):ステップS−4a)。
【0070】
有機濃度が所定濃度(B/ppm)と許容濃度(A/ppm)の範囲内か否かが判断され(ステップS−5)、有機濃度が所定濃度(B/ppm)より低く許容濃度(A/ppm)より高い場合は、第1の調整弁Va及び第2の調整弁Vbを開き、第3の調整弁Vcを閉じて排気流路中の排気を排出し(有機成分置換動作(2):ステップS−5a)、その後、第1の調整弁Vaを閉じて排気流路61中の残留気体を排出する(有機成分置換動作(3):ステップS−5b)。そして、有機濃度が許容濃度(A/ppm)以下になった場合は、処理カップ50内にウエハWを搬入して(ステップS−6)、塗布プロセス処理を開始する(ステップS−7)。この塗布プロセス処理中は、第1の調整弁Va及び第3の調整弁Vcを閉じ、第2の調整弁Vbの開度を絞った後閉じて、上記と同様に排気流路61を流れる排気からミストを分離した気体(排気)を循環流路63の供給口56から処理カップ50内に流入して処理カップ50内におけるウエハWの周囲雰囲気を排気口54側へ誘導する(塗布プロセス処理動作:ステップS−7a)。上記のようにして2回目の塗布プロセス処理が完了する(ステップS−8)。
【0071】
以上の一連の工程は、制御コンピュータ90のメモリ内に格納されている制御プログラムを制御コンピュータ90が読み出し、その読み出した命令に基づいて既述の各機構を動作するための制御信号を出力することにより実行される。これは制御コンピュータ90に制御プログラムを実行させるソフトウエアが記憶された読み取り可能な記憶媒体90fを読取部90cに挿着させて行う。
【0072】
すなわち、上記制御プログラムは、実行時に、鉛直軸回りに回転するウエハWの表面にレジストノズル44からレジスト液を供給(吐出)してウエハ表面にレジスト膜を形成する処理工程と、第1の調整弁Vaを開度調整可能に開くと共に、第3の調整弁Vcを開き、第2の調整弁Vbを閉じて、ミストトラップ64で分離された気体(排気)を循環流路63の供給口56から処理カップ50内に流入する排気循環工程と、第1の調整弁Va及び第2の調整弁Vbを開き、第3の調整弁Vcを閉じて、排気流路61中の排気を排出する排出工程と、濃度センサ100によって循環流路63中の気体(排気)に含まれる有機濃度を測定する有機濃度測定工程が実行されると共に、処理工程後に濃度測定工程を行って、循環流路中の気体(排気)に含まれる有機濃度が有害と判断される所定濃度(B/ppm)以上の場合は、第1の調整弁Va及び第2の調整弁Vbを開き、第3の調整弁Vcを閉じて排気を工場側へ排出し、有機濃度が所定濃度(B/ppm)より低く許容濃度(A/ppm)より高い場合は、第1の調整弁Va及び第2の調整弁Vbを開き、第3の調整弁Vcを閉じて排気流路中の排気を排出した後、第1の調整弁Vaを閉じて排気流路61中の残留気体を排出する排出工程が実行されるように、制御コンピュータ90がレジスト塗布処理装置を制御する。
【0073】
第2実施形態のレジスト塗布処理装置(方法)によれば、鉛直軸回りに回転するウエハWの表面にレジストノズル44からレジスト液を供給してウエハ表面にレジスト膜を形成する処理工程中に、排気流路61におけるミストトラップ64の一次側に介設された第1の調整弁Va及び第3の調整弁Vcを開き、第2の調整弁Vbを閉じて、液処理によって発生したミストを除去した排気を処理カップ50内に循環させると共に、処理カップ50内に流入された気流によるエゼクタ作用により処理カップ50内におけるウエハWの周囲雰囲気を排気口54側へ誘導することができる。この際、プロセスレシピに基づいて第1の調整弁Vaの開度を調整することで、循環流路63を流れる気体の循環流量を一定に保つことができるので、処理性能の安定化が図れる。
【0074】
更に、処理工程後に濃度センサ100によって循環流路63中の気体(排気)に含まれる有機濃度を測定して、循環流路63中の気体(排気)に含まれる有機濃度が有害と判断される所定濃度(B/ppm)以上の場合は、第1及び第2の調整弁Va,Vbを開き、第3の調整弁Vcを閉じて排気し、有機濃度が所定濃度より低く許容濃度(A/ppm)より高い場合は、第1及び第2の調整弁Va,Vbを開き、第3の調整弁Vcを閉じて排気した後、第1の調整弁Vaを閉じて排気流路61中の残留気体を排出することができる。また、有機濃度が許容濃度(A/ppm)以下の場合は、第1及び第3の調整弁Va,Vcを開き、第2の調整弁Vbの開度を絞った後閉じて、処理工程を行い、上述のように、液処理によって発生したミストを除去した排気を処理カップ50内に循環させると共に、処理カップ50内に流入された気流によるエゼクタ作用により処理カップ50内におけるウエハWの周囲雰囲気を排気口54側へ誘導することができる。
【0075】
また、循環流路63に介設される温湿度調整器200を制御部90aによって制御して、処理カップ50の上方から処理カップ50内に流入する気体の温度及び又は湿度と循環流路63から処理カップ50内に流入する気体の温度及び又は湿度を一定に調整することにより、処理カップ50内の処理雰囲気を一定にすることができる。
【0076】
<その他の実施形態>
以上、いくつかの実施形態を参照しながらこの発明を説明したが、この発明は上記の実施形態に限定されることなく、添付の特許請求の範囲に含まれる事項の範囲で種々の変形が可能である。
【0077】
例えば、上記実施形態では、ミストトラップ64が排気流路61と循環流路63の分岐部に介設される場合について説明したが、ミストトラップ64は分岐部に設ける必要はなく、例えば排気流路63における分岐部を含む分岐部の一次側(流入側)又は循環流路63にミストトラップ64を介設してもよい。
【0078】
また、第1実施形態において、循環流路63に、この循環流路63を流れる気体の温度又は湿度の少なくとも一方を調整する温湿度調整器200を介設し、制御部90aで制御することにより、処理カップ50の上方から処理カップ50内に流入する気体の温度及び又は湿度と循環流路63から処理カップ50内に流入する気体の温度及び又は湿度を一定に調整することができ、処理カップ50内の処理雰囲気を一定にすることができる。
【0079】
また、上記実施形態では、この発明に係る液処理装置(方法)をレジスト塗布処理装置に適用した場合について説明したが、この発明は、レジスト塗布処理装置以外に処理カップ50内に収容されるウエハ等の基板の表面に処理液供給部から処理液を供給して処理液の液膜を形成し、基板保持部に保持された基板の周りを排気する排気機構を備える液処理装置にも適用できる。
【0080】
また、この発明は、シリコンウエハだけでなく、フラットパネルディスプレイ用のガラス基板に対しても適用することができる。