特許第5721720号(P5721720)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5721720メチレンジスルホネート化合物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5721720
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】メチレンジスルホネート化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 327/00 20060101AFI20150430BHJP
   C07C 309/05 20060101ALN20150430BHJP
【FI】
   C07D327/00
   !C07C309/05
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-530595(P2012-530595)
(86)(22)【出願日】2011年7月27日
(86)【国際出願番号】JP2011067072
(87)【国際公開番号】WO2012026266
(87)【国際公開日】20120301
【審査請求日】2014年6月11日
(31)【優先権主張番号】特願2010-187903(P2010-187903)
(32)【優先日】2010年8月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000195661
【氏名又は名称】住友精化株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂東 誠二
(72)【発明者】
【氏名】藤原 健志
(72)【発明者】
【氏名】白石 浩之
(72)【発明者】
【氏名】檜山 武寛
【審査官】 三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/125736(WO,A1)
【文献】 特開2006−188449(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/032463(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D327/00−347/00
C07C 1/00−409/44
C07B 31/00− 61/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1):
【化1】
(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、または水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を示す。nは1〜4の整数を示し、nが2〜4の整数を示すとき、n個のRおよびn個のRは、それぞれ互いに同一でもよく、異なっていてもよい。Xはアルカリ金属を示す。)で表されるアルカンジスルホン酸アルカリ金属塩、及び下記式(2):
【化2】
(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、または水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を示す。nは1〜4の整数を示し、nが2〜4の整数を示すとき、n個のRおよびn個のRは、それぞれ互いに同一でもよく、異なっていてもよい。Yはアルカリ土類金属を示す。)で表されるアルカンジスルホン酸アルカリ土類金属塩からなる群から選ばれた少なくとも一種のアルカンジスルホン酸塩と、ホルムアルデヒド化合物とを、酸及び脱水剤の存在下において反応させることを特徴とする、式(3):
【化3】
(式中、RおよびRは、それぞれ式(1)および(2)におけるRおよびRと同じ基を示し、nは、式(1)および(2)におけるnと同じ整数を示す。)で表されるメチレンジスルホネート化合物の製造方法。
【請求項2】
ホルムアルデド化合物が、パラホルムアルデヒド、無水ホルムアルデヒドおよびトリオキサンからなる群から選ばれた少なくとも一種である請求項1に記載のメチレンジスルホネート化合物の製造方法。
【請求項3】
脱水剤が、五酸化リンである請求項1または2に記載のメチレンジスルホネート化合物の製造方法。
【請求項4】
酸が、硫酸または発煙硫酸である請求項1〜3のいずれかに記載のメチレンジスルホネート化合物の製造方法。
【請求項5】
アルカンジスルホン酸塩が、式(1)において、Xがナトリウムまたはカリウムであるアルカンジスルホン酸アルカリ金属塩である請求項1〜4のいずれかに記載のメチレンジスルホネート化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メチレンジスルホネート化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メチレンジスルホネート化合物は、白血病動物治療薬等の医薬品として有用な化合物である。
【0003】
メチレンジスルホネート化合物の製造方法としては、種々の方法が知られている。例えば、特許文献1には、下記反応式に従って、スルホニルクロリドと炭酸銀とを反応させて得られるスルホン酸銀をジヨードメタンと反応させる方法が開示されている。下記反応式中、Rは、水素原子又はメチル基である。
【0004】
【化1】
【0005】
しかしながら、この製造方法は、使用する炭酸銀やジヨードメタンが高価であり、反応速度が遅いという欠点がある。
【0006】
また、特許文献2には、下記反応式に従って、アルカンジスルホン酸等とメチレンジアセテート等とを反応させる方法が開示されている。下記式中、R’及びR”は、それぞれ、水素原子又はアルキル基である。
【0007】
【化2】
【0008】
しかしながら、この製造方法は、使用するメチレンジアセテート等は入手が必ずしも容易ではなく、高価であり、さらに原料であるアルカンジスルホン酸も高価であり、工業的製造に適した方法ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特表昭61−501089号公報
【特許文献2】特開2005−336155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記した従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、メチレンジスルホネート化合物を安価で容易に製造することが可能な、工業的に有利な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、アルカンジスルホン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の金属塩は、アルカンジスルホン酸と比較して安価な物質であり、これを原料として、酸と脱水剤の存在下に、ホルムアルデヒド化合物と反応させる方法によれば、目的とするメチレンジスルホネート化合物を安価且つ容易に製造することが可能となることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明は、下記のメチレンジスルホネート化合物の製造方法を提供するものである。
項1. 下記式(1):
【0013】
【化3】
【0014】
(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、または水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を示す。nは1〜4の整数を示し、nが2〜4の整数を示すとき、n個のRおよびn個のRは、それぞれ互いに同一でもよく、異なっていてもよい。Xはアルカリ金属を示す。)で表されるアルカンジスルホン酸アルカリ金属塩、及び下記式(2):
【0015】
【化4】
【0016】
(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、または水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を示す。nは1〜4の整数を示し、nが2〜4の整数を示すとき、n個のRおよびn個のRは、それぞれ互いに同一でもよく、異なっていてもよい。Yはアルカリ土類金属を示す。)で表されるアルカンジスルホン酸アルカリ土類金属塩からなる群から選ばれた少なくとも一種のアルカンジスルホン酸塩と、ホルムアルデヒド化合物とを、酸及び脱水剤の存在下において反応させることを特徴とする、式(3):
【0017】
【化5】
【0018】
(式中、RおよびRは、それぞれ式(1)および(2)におけるRおよびRと同じ基を示し、nは、式(1)および(2)におけるnと同じ整数を示す。)で表されるメチレンジスルホネート化合物の製造方法。
項2. ホルムアルデド化合物が、パラホルムアルデヒド、無水ホルムアルデヒドおよびトリオキサンからなる群から選ばれた少なくとも一種である請求項1に記載のメチレンジスルホネート化合物の製造方法。
項3. 脱水剤が、五酸化リンである上記項1または2に記載のメチレンジスルホネート化合物の製造方法。
項4. 酸が、硫酸または発煙硫酸である上記項1〜3のいずれかに記載のメチレンジスルホネート化合物の製造方法。
項5. アルカンジスルホン酸塩が、式(1)において、Xがナトリウムまたはカリウムであるアルカンジスルホン酸アルカリ金属塩である上記項1〜4のいずれかに記載のメチレンジスルホネート化合物の製造方法。
【0019】
以下、本発明のメチレンジスルホネート化合物の製造方法について詳細に説明する。
【0020】
(1)原料化合物
(i)アルカンジスルホン酸金属塩
本発明では、原料として、下記式(1):
【0021】
【化6】
【0022】
で表されるアルカンジスルホン酸アルカリ金属塩、及び下記式(2):
【0023】
【化7】
【0024】
で表されるアルカンジスルホン酸アルカリ土類金属塩からなる群から選ばれた少なくとも一種のアルカンジスルホン酸塩を用いる。
【0025】
式(1)及び式(2)のぞれぞれにおいて、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、または水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を示し、nは1〜4の整数を示す。また、Xは、アルカリ金属を示し、Yは、アルカリ土類金属を示す。
【0026】
およびRで示される、水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基において、ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等を例示できる。ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。これらの中でも、RおよびRとしては、水素原子、メチル基、エチル基またはn−プロピル基が好ましい。
【0027】
式(1)および式(2)において、nが2〜4の整数を示すとき、n個のRおよびn個のRは、それぞれ互いに同一でもよく、または異なっていてもよい。
【0028】
式(1)において、Xで示されるアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。式(2)において、Yで示されるアルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム等が挙げられる。これらの中でも、式(1)において、Xがナトリウムまたはカリウムンであるアルカンジスルホン酸アルカリ金属塩が好ましい。
【0029】
式(1)または式(2)で表されるアルカンジスルホン酸塩の具体例としては、メタンジスルホン酸ナトリウム、1,1−エタンジスルホン酸ナトリウム、1,2−エタンジスルホン酸ナトリウム、1,3−プロパンジスルホン酸ナトリウム、2,2−プロパンジスルホン酸ナトリウム、1,4−ブタンジスルホン酸ナトリウム、メタンジスルホン酸カリウム、1,2−エタンジスルホン酸化カリウム、1,3−プロパンジスルホン酸カリウム、メタンジスルホン酸カルシウム、1,2−エタンジスルホン酸化カルシウム、メタンジスルホン酸マグネシウム、メタンジスルホン酸バリウム、1,2−エタンジスルホン酸バリウム、1,3−プロパンジスルホン酸バリウム、1,4−ブタンジスルホン酸バリウム等を挙げることができる。
【0030】
本発明では、アルカンジスルホン酸塩は、市販のものを使用してもよいし、非特許文献(Recueil des Travaux Chimiques des Pays−Bas,48,949−952(1929))を参考に、ジクロロメタンと亜硫酸アルカリ塩を水溶媒中、150〜160℃で反応させて合成したものを使用してもよい。
【0031】
(ii)ホルムアルデヒド化合物
本発明では、ホルムアルデヒド化合物として、例えば、パラホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドを加熱処理して得られる無水ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドを酸処理して得られるトリオキサン、メチラール等のホルムアルデヒドのアセタール化物等を用いることができる。これらの中でも、パラホルムアルデヒド、無水ホルムアルデヒドおよびトリオキサンが好適に用いられる。これらホルムアルデヒド化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
(2)メチレンジスルホネート化合物の製造方法
本発明では、上記した式(1):
【0033】
【化8】
【0034】
(式中、式中、R、R及びnは前記に同じである。)で表されるアルカンジスルホン酸アルカリ金属塩、及び式(2):
【0035】
【化9】
【0036】
(式中、式中、R、R及びnは前記に同じである。)で表されるアルカンジスルホン酸アルカリ土類金属塩からなる群から選ばれた少なくとも一種のアルカンジスルホン酸塩を原料として用い、酸及び脱水剤の存在下において、該アルカンジスルホン酸塩とホルムアルデヒド化合物とを反応させることによって、目的とする式(3):
【0037】
【化10】
【0038】
(式中、R、R及びnは前記に同じである。)で表されるメチレンジスルホネート化合物を得ることができる。
【0039】
この反応では、ホルムアルデヒド化合物の使用割合は、アルカンジスルホン酸塩の総量1モルに対して、総量として、0.2〜10モル程度であることが好ましく、0.3〜3モル程度であることがより好ましい。ホルムアルデヒド化合物の使用割合が少なすぎる場合には反応が完結しないおそれがあり、一方、使用割合が多すぎても使用量に見合う効果がなく経済的ではない。
【0040】
本発明の製造方法で用いる脱水剤については特に限定されるものではなく、例えば、五酸化リン、五塩化リン、オキシ塩化リン、塩化チオニル、塩化アセチル、無水酢酸等を用いることができる。これら脱水剤の中でも、反応性が高い観点から、五酸化リンが好適に用いられる。なお、これら脱水剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0041】
前記脱水剤の使用割合は、アルカンジスルホン酸塩の総量1モルに対して、総量として、0.6〜10モル程度であることが好ましく、0.8〜3モル程度であることがより好ましい。脱水剤の使用割合が少なすぎる場合には、反応が完結しないおそれがあり、一方、使用割合が多すぎても使用量に見合う効果がなく経済的ではない。
【0042】
本発明の製造方法で用いる酸としては特に限定されるものではなく、例えば、硫酸、発煙硫酸、塩化水素、硝酸、発煙硝酸、メタンスルホン酸、無水酢酸等を用いることができる。これら酸の中でも、反応性が高く価格の観点から、硫酸または発煙硫酸が好適に用いられる。なお、これらの酸は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0043】
酸の使用割合は、アルカンジスルホン酸塩の総量1モルに対して、総量として0.1〜10モル程度であることが好ましく、0.5〜5モル程度であることがより好ましい。酸の使用割合が少なすぎる場合には反応が完結しないおそれがあり、一方、使用割合が多すぎても使用量に見合う効果がなく経済的ではない。
【0044】
本発明では、必要に応じて、反応に不活性な溶媒を用いてもよい。反応に不活性な溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、デカン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ヘキサメチル燐酸トリアミド等のアミド系溶媒;酢酸エチル等の酢酸エステル系溶媒;アセトニトリル等のニトリル系溶媒;メチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド・スルホン系溶媒等が挙げられる。
【0045】
溶媒の使用量は、原料として用いるアルカンジスルホン酸塩100重量部に対して、通常、1000重量部以下とすればよい。
【0046】
本発明のメチレンジスルホネート化合物の製造方法は、上記した酸及び脱水剤の存在下において、アルカンジスルホン酸塩とホルムアルデヒド化合物とを反応させればよい。具体的な反応方法については特に限定されないが、例えば、反応容器中に、アルカンジスルホン酸塩、酸及び脱水剤を入れ、十分に撹拌した状態において、ホルムアルデヒド化合物を添加すればよい。
【0047】
反応温度は、通常、0〜200℃程度とすればよく、50〜150℃程度とすることが好ましい。反応時間は反応温度により異なるが、通常、0.1〜20時間とすればよい。
【0048】
上記した方法により、下記式(3):
【0049】
【化11】
【0050】
(式中、R、R及びnは前記に同じである。)で表されるメチレンジスルホネート化合物を得ることができる。
【0051】
式(3)で表されるメチレンジスルホネート化合物の具体例としては、例えば、メチレンメタンジスルホネート(R=R=H、n=1)、メチレン1,1−エタンジスルホネート(R=CH、R=H、n=1)、メチレン1,2−エタンジスルホネート(R=R=H、n=2)、メチレン1,1−プロパンジスルホネート(R=CHCH、R=H、n=1)、メチレン1,2−プロパンジスルホネート(R=CHおよびH、R=H、n=2)、メチレン1,3−プロパンジスルホネート(R=R=H、n=3)、メチレン2,2−プロパンジスルホネート(R=CH、R=CH、n=1)およびメチレン1,4−ブタンジスルホネート(R=R=H、n=4)等を挙げることができる。
【0052】
上記した方法で得られるメチレンジスルホネート化合物は、例えば、反応液から溶媒等を用いて抽出後、水洗等を経て晶析させる方法、反応液を濾過し、濾液を濃縮する方法および反応液から昇華精製させる方法等により単離することができる。
【発明の効果】
【0053】
本発明の製造方法によれば、入手が容易で安価な化合物を原料として、比較的簡単な製造工程によって、目的とするメチレンジスルホネート化合物を容易に製造することができる。このため、本発明の製造方法は、メチレンジスルホネート化合物の製造方法として工業的に有利な方法である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
【0055】
実施例1
攪拌機、冷却管、温度計および滴下ロートを備え付けた四つ口フラスコにメタンジスルホン酸ナトリウム塩11.0g(0.05モル)、濃硫酸5.0g(0.05モル)および五酸化リン7.2g(0.05モル)を仕込み、攪拌下、室温で92%パラホルムアルデヒド1.6g(0.05モル)を添加した。添加終了後、120℃まで昇温して1時間攪拌した。その後、室温まで冷却し、塩化メチレン200gを添加して1時間攪拌後、不溶物を濾別した。濾液を濃縮して、得られた結晶を40℃、10mmHgで6時間乾燥することにより、前記式(3)におけるRおよびRが共に水素原子であり、nが1であるメチレンメタンジスルホネートの淡褐色結晶3.8gを得た。得られたメチレンメタンジスルホネートの収率は、メタンジスルホン酸ナトリウム塩に対して40モル%であった。
【0056】
なお、この淡褐色結晶がメチレンメタンジスルホネートであることを下記の分析結果により確認した。
【0057】
H−NMR(400MHz、CDCN)δ(ppm):5.32(s,2H)、6.00(s,2H)
【0058】
実施例2
攪拌機、冷却管、温度計および滴下ロートを備え付けた四つ口フラスコに、メタンジスルホン酸カリウム塩12.6g(0.05モル)、濃硫酸2.5g(0.025モル)および五酸化リン7.2g(0.05モル)を仕込み、攪拌下、室温で92%パラホルムアルデヒド1.6g(0.05モル)を添加した。添加終了後、120℃まで昇温して1時間攪拌した。その後、室温まで冷却し、塩化メチレン200gを添加して1時間攪拌後、不溶物を濾別した。濾液を濃縮して、得られた結晶を40℃、10mmHgで6時間乾燥することにより、前記式(3)におけるRおよびRが共に水素原子であり、nが1であるメチレンメタンジスルホネートの淡褐色結晶4.8gを得た。得られたメチレンメタンジスルホネートの収率は、メタンジスルホン酸カリウム塩に対して51モル%であった。
【0059】
なお、この淡褐色結晶がメチレンメタンジスルホネートであることを実施例1と同様にH−NMRの分析結果により確認した。
【0060】
実施例3
攪拌機、冷却管、温度計および滴下ロートを備え付けた四つ口フラスコに、1,2−エタンジスルホン酸ナトリウム塩11.0g(0.05モル)、濃硫酸2.5g(0.025モル)および五酸化リン7.2g(0.05モル)を仕込み、攪拌下、室温で92%パラホルムアルデヒド1.6g(0.05モル)を添加した。添加終了後、120℃まで昇温して5時間攪拌した。その後、実施例1と同様に処理して得られた結晶を40℃、10mmHgで6時間乾燥することにより、前記一般式(3)におけるRおよびRが共に水素原子であり、nが2であるメチレン1,2−エタンジスルホネートの淡褐色結晶4.7gを得た。得られたメチレン1,2−エタンジスルホネートの収率は、1,2−エタンジスルホン酸ナトリウム塩に対して46モル%であった。
【0061】
なお、この淡褐色結晶がメチレン1,2−エタンジスルホネートであることを下記の分析結果により確認した。
【0062】
H−NMR(400MHz、CDCN)δ(ppm):3.80(s,4H)、5.61(s,2H)