【実施例】
【0145】
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0146】
本発明の有機半導体用組成物における電子供与性成分として含有される重合体(A)であるジチエノゲルモール重合体の製造工程を合成例1〜5に示す。また別のジチエノゲルモール重合体及びその製造工程について、それぞれ合成例6〜17に示す。
【0147】
(合成例1)
反応工程1で得られるジアルキルジハロゲノゲルマニウムを下記化学式(20)に示す。
【化23】
窒素雰囲気下、250mL三口フラスコに四塩化ゲルマニウム(14.4g、67mmol)とジエチルエーテル(80mL)とを加え、氷塩浴で0℃まで冷却した。そこへ、2−エチルヘキシルブロマイド(25.8g、134mmol)及びマグネシウム(3.28g、134mmol)から調製した2.68Mの2−エチルヘキシルマグネシウムブロマイドをゆっくりと滴下した。滴下終了後、その混合液を24時間室温下で攪拌した後に、真空下で溶媒を留去することで粘性のある固体を得た。得られた固体をヘキサン(300mL×3)で抽出し、抽出液を硫酸マグネシウムにて乾燥した後に、減圧下で溶媒を留去することで油状の物質を得た。得られた油状物質を減圧蒸留することにより無色透明な油状物質としてジクロロビス(2−エチルヘキシル)ゲルマニウム(化合物20)を得た。その収量及び収率は、11.4g,71%であった。
【0148】
得られた化合物(単量体)の分子構造について、
1H−NMR(核磁気共鳴)測定を行い、構造を同定した。測定条件の詳細を以下に示す。
<測定条件>
装置:超伝導核磁気共鳴装置 GSX−270(日本電子社製)
溶媒:重クロロホルム
温度:25℃
また、得られた化合物の分子量について、ガスクロマトグラフを備えた質量分析計(GC−MS)にて測定を行った。測定条件の詳細を以下に示す。
<測定条件>
装置:GCMS−QP2010Plus(島津製作所社製)
測定モード:EI
インターフェイス温度:250℃
カラム流量:1.50mL/min
カラム:Rtx−5MS(RESTEK社製)
【0149】
得られた化合物の質量分析及び核磁気共鳴(NMR)の測定結果を以下に示す。この分析結果は、前記化学式(20)の化学構造を支持する。
質量分析 GC−MS:m/z=370(M
+)
1H−NMRスペクトル:(CDCl
3)δ=1.43(quint、2H)、1.39−1.25(m、8H)、0.92(d、4H)、0.90(t、6H)、0.88(t、6H)
13C−NMRスペクトル:(CDCl
3)δ=36.17、34.80、34.50、28.48、27.72、22.87、14.08、10.48
【0150】
(合成例2)
反応工程2で得られる第一中間体を下記化学式(21)に示す。
【化24】
窒素雰囲気下、100mL三口フラスコに5,5’−ビス(トリメチルシリル)−3,3’−ブロモ−2,2’−ビチオフェン(5.25g、11.2mmol)とテトラヒドロフラン(40mL)とを加え、−78℃に冷却した。そこへ、1.66Mブチルリチウムヘキサン溶液(14.8mL、24.6mmol)を5分以上かけて−78℃でゆっくりと滴下し、混合液を−78℃で1時間攪拌した。その後、混合液にジクロロビス(2−エチルヘキシル)ゲルマニウム(20)(4.44g、11.2mmol)を加え、室温下で5時間攪拌した。攪拌終了後、反応溶液を水(200mL)に注ぎ、エーテル(100mL×3)で抽出した。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥した後に減圧下で溶媒を留去した。得られた粗生成物を、ヘキサンを展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで、黄色の油状物質として1,1’−ビス(2−エチルヘキシル)−3,6’−ビス(トリメチルシリル)ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ゲルモール(化合物21)を得た。その収量及び収率は、4.77g、70%であった。
【0151】
得られた化合物を合成例1と同様の方法及び条件により、質量分析及びNMRの測定を行った。その測定結果を以下に示す。
質量分析 GC−MS:m/z=608(M
+)
1H−NMRスペクトル:(CDCl
3)δ=7.12(s、2H)、1.47(quint、2H)、1.31−1.04(m、16H)、0.91(t、6H)、0.84(t、6H)、0.79(m、4H)、0.32(s、18H)
13C−NMRスペクトル:(CDCl
3)δ=154.70、145.86、140.57、136.77、36.94、35.44、28.90、28.76、23.02、20.54、14.16、10.89、0.1
Anal. Calcd for C
30H
54GeS
2Si
2:C、59.29;H、8.96.Found:C、59.0;H、9.03
この分析結果は、前記化学式(21)の化学構造を支持する。
【0152】
(合成例3)
反応工程3で得られる第二中間体を下記化学式(22)に示す。
【化25】
窒素雰囲気下、50mL三口フラスコに1,1’−ビス(2−エチルヘキシル)−3,6’−ビス(トリメチルシリル)ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ゲルモール(化合物21)(3.8g、6.25mmol)とテトラヒドロフラン(20mL)とを加えた後に、室温でN−ブロモスクシンイミド(2.45g、13.75mmol)を加えた。室温下で4時間攪拌した後に、反応溶液を水(50mL)に注ぎ、ジエチルエーテル(50mL×3)で抽出した。減圧下で溶媒を留去することで、得られた粗生成物を用いてヘキサンを展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより黄色の油状物質として3,6’−ジブロモ−1,1’−ビス(2−エチルヘキシル)ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ゲルモール(化合物22)を得た。その収量及び収率は、3.73g、96%であった。
【0153】
得られた化合物を合成例1と同様の方法及び条件により、質量分析及びNMRの測定を行った。その測定結果を以下に示す。
質量分析 GC−MS:m/z=622(M
+)
1H−NMRスペクトル:(CDCl
3)δ=6.97(s、2H)、1.45(quint、2H)、1.31−1.04(m、16H)、0.91(t、6H)、0.84(t、6H)、0.79(m、4H)
13C−NMRスペクトル:(CDCl
3)δ=146.16、143.10、132.26、111.01、36.89、35.41、28.87、28.71、22.97、20.77、14.10、10.84
この分析結果は、前記化学式(22)の化学構造を支持する。
【0154】
(合成例4)
反応工程4で得られる第三中間体を下記化学式(23)に示す。
【化26】
窒素雰囲気下、100mL三口フラスコに3,6’−ジブロモ−1,1’−ビス(2−エチルヘキシル)ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ゲルモール(化合物22)(0.3g、0.48mmol)とテトラヒドロフラン(40mL)とを加え、−78℃に冷却し、1.66Mのn−ブチルリチウム(0.64mL、1.06mmol)を5分以上かけてゆっくりと滴下した。反応溶液を−78℃で15分攪拌した後に、塩化トリメチルスズ(0.197mL、1.06mmol)を加え、室温まで昇温して2時間攪拌した。攪拌終了後、反応溶液を水(100mL)に注ぎ、ジエチルエーテル(50mL×3)で抽出した。硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下で溶媒を留去することにより透明緑色油状化合物として1,1’−ビス(2−エチルヘキシル)−3,6’−ビス(トリメチルスタニル)ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ゲルモール(化合物23)を得た。その収量及び収率は、0.36g、96%であって。これ以上の精製作業は行わずに続く反応を行った。
【0155】
得られた化合物を合成例1と同様の方法及び条件により、NMRの測定を行った。その測定結果を以下に示す。
1H−NMRスペクトル(CDCl
3)δ=7.07(s、2H)、1.45(quint、2H)、1.31−1.04(m、16H)、0.91(t、6H)、0.84(t、6H)、0.79(m、4H)、0.37(s、18H)
13C−NMRスペクトル(CDCl
3)δ=157.61、145.11、137.75、137.13、36.95、35.43、28.90、28.75、23.02、20.65、14.17、10.87、8.18
この分析結果は、前記化学式(23)の化学構造を支持する。
【0156】
(合成例5)
反応工程5で得られるジチエノゲルモール重合体を下記化学式(1−1)に示す。
【化27】
25mL三口フラスコに、4,7−ジブロモベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール(87.1mg,0.296mmol)、1,1’−ビス(2−エチルヘキシル)−3,6’−ビス(トリメチルスタニル)ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ゲルモール(化合物23)(0.234g、0.296mmol)、クロロベンゼン(7mL)を加え、10分間かけてアルゴン置換を行った。置換終了後、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(6.1mg、0.00592mmol)、トリ(o−トリル)ホスフィン(14.4mg、0.0474mol)、酸化銅(I)(25mg、0.296mmol)を加え、150℃で72時間還流した。反応終了後、反応溶液を室温まで冷却し、メタノール(100mL)を加え、析出した固体を濾取した。その後、ソックスレー抽出機を用いてメタノール(100mL)、ヘキサン(100mL)の順に洗浄を行い、不溶成分をクロロホルム(100mL)により抽出した。得られた溶液から減圧下で溶媒を留去することで得られた固体を24時間真空下で乾燥することにより黒色固体としてポリ{(1,1’−ビス(2−エチルヘキシル)ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ゲルモール)−3,6−ジイル−アルト−(2,1,3−ベンゾチアジアゾール)−4,7−ジイル}(化合物1−1)を得た。その収量及び収率は、80mg、40%であった。
【0157】
得られた化合物であるジチエノゲルモール重合体(1−1)の分子量を、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いて測定を行い、ポリスチレン換算分子量として算出した。測定条件の詳細を以下に示す。
<分析条件>
装置:高速液体クロマトグラフィー SSC−7000(センシュー科学社製)
カラム:HT−G及びGPC HT−806M(昭和電工社製)を2本連結(カラム温度:135℃)
移動相:o−ジクロロベンゼン
オートサンプラー温度:135℃
流速:1.0mL/min(ポンプ温度:40℃)
検出器:RI(検出器温度:135℃)
標品:ポリスチレンスタンダードキット(VARIAN社製)
【0158】
SECで測定したジチエノゲルモール重合体(1−1)の数平均分子量(Mn)は8,000であり、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)で求められる分子量分布(PDI)は、1.38であった。
【0159】
得られたジチエノゲルモール重合体(1−1)を合成例1と同様の方法及び条件により、NMRの測定を行った。その測定結果を以下に示す。
1H−NMRスペクトル(CDCl
3)δ=8.19(br、s、2H)、7.80(br、s、2H)、2.10(br、s、2H)、1.25−1.08(m、20H)、0.89−0.75(m、12H)
この分析結果は、前記化学式(1−1)の化学構造を支持する。
【0160】
また、ジチエノゲルモール重合体(1−1)の分解温度について、熱重量測定を用いて、以下の測定条件により測定した。分解温度は、昇温過程において重量が5%減少した際の温度とした。分解温度は、430℃であった。
<測定条件>
装置:Thermo Plus TG8120(TAインスツルメンツ社製)
測定温度範囲:20〜500℃
昇温速度:10℃/min
測定雰囲気:N
2(流速:10mL/min)
【0161】
(合成例6)
合成例5で得られた重合体(化合物1−1)をSECにて分取し、数平均分子量(Mn)は21,000、分子量分布(PDI)は1.57であるジチエノゲルモール重合体(化合物1−1の高分子量体)を得た。
【0162】
(合成例7)
反応工程5で得られる別のジチエノゲルモール重合体を下記化学式(1−2)に示す。
【化28】
25mL三口フラスコに、5,5’−ジブロモ−2,2’−ビチオフェン(0.154g、0.476mmol)、1,1’−ビス(2−エチルヘキシル)−3,6’−ビス(トリメチルスタニル)ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ゲルモール(化合物23)(0.376g、0.476mmol)、クロロベンゼン(10mL)を加え、10分間かけてアルゴン置換を行った。置換終了後、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(9.8mg、0.00952mol)、トリ(o−トリル)ホスフィン(23.2mg、0.0762mol)、酸化銅(I)(37.8mg、0.476mmol)を加え、150℃で72時間還流した。反応終了後、反応溶液を室温まで冷却し、メタノール(100mL)を加え、析出した固体を濾取した。その後、ソックスレー抽出機を用いてメタノール(100mL)、ヘキサン(100mL)の順に洗浄を行い、不溶成分をクロロホルム(100mL)により抽出した。得られた溶液から減圧下で溶媒を留去することで得られた固体を24時間真空下で乾燥することにより黒色固体としてポリ{(1,1’−ビス(2−エチルヘキシル)ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ゲルモール)−3,6−ジイル−アルト−2,2’−ビチオフェン−5,5’−ジイレン}(化合物1−2)を得た。その収量及び収率は、200mg、70%であった。
【0163】
得られた化合物であるジチエノゲルモール重合体(1−2)の分子量を、SECを用いて測定した。測定したMnは22,000であり、PDIは2.90であった。
【0164】
(合成例8)
反応工程5で得られる別のジチエノゲルモール重合体を下記化学式(1−3)に示す。
【化29】
【0165】
25mL三口フラスコに、4,7−ビス(5−ブロモ−2−チエニル)−2,1,3−ベンゾチアジアゾール(160mg、0.353mmol)と、4,4’−ビス(2−エチルヘキシル)−2,6−トリメチルスタニルジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ゲルモール(279mg、0.353mmol)と、脱水クロロベンゼン(7mL)とを加えた後に、フラスコ内に10分間アルゴンガスを流しアルゴン置換を行った。置換終了後、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(8.0mg、2mol%)、トリ(o−トリル)ホスフィン(18.7mg、16mol%)、酸化銅(29.6mg、0.353mmol)を加え、150℃で72時間攪拌を行った。反応終了後、室温まで冷却しメタノール(100mL)に加え析出した固体をろ取した。粗ポリマーを円筒ろ紙に入れ、ソックスレー抽出機を用いてメタノール(200mL)、ヘキサン(200mL)で洗浄した後に、メタノール、ヘキサン不溶分をクロロホルム(200mL)で抽出した。抽出液を濃縮した後にメタノールに注ぎ析出した固体をろ取し、減圧下室温で24時間乾燥することで、黒色の固体としてポリ{(4,4’−ビス(2−エチルヘキシル)ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ゲルモール)−2,6−ジイル−アルト−(4,7−ビス(チエニル)−2,1,3−ベンゾチアジアゾール)−5,5’−ジイル}(化合物1−3)を得た。その収量及び収率は、100mg、50%であった。また、Mnは28,000であり、PDIは3.28であった。
【0166】
得られた化合物のNMR測定結果を以下に示す。
1H−NMRスペクトル(CDCl
3,400MHz)δ=8.30−6.32(br,8H)、1.53−1.43(br,4H)、1.41−1.05(m,20H)、0.93−0.72(m、10H)
この分析結果は、前記化学式(1−3)の化学構造を支持する。
【0167】
(合成例9)
反応工程5で得られる別のジチエノゲルモール重合体を下記化学式(1−4)に示す。
【化30】
【0168】
100mL三口フラスコに、4,7−ジブロモベンゾ[c][1,2,5]セレナジアゾール(81.5mg、0.239mmol)と、1,1’−ビス(2−エチルヘキシル)−3,6−トリメチルスタニルジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ゲルモール(188.6mg、0.239mmol)と、脱水トルエン(15mL)とを加えた後に、フラスコ内に10分間アルゴンガスを流しアルゴン置換を行った。置換終了後、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(24.7mg、10mol%)とトリ(o−トリル)ホスフィン(29.1mg、40mol%)とを加え、72時間還流を行った。反応終了後、室温まで冷却しメタノール(100mL)に加え析出した固体をろ取した。粗ポリマーを円筒ろ紙に入れ、ソックスレー抽出機を用いてアセトン(200mL)、ヘキサン(200mL)で洗浄した後に、クロロホルム(200mL)で抽出した。抽出液を濃縮した後にメタノールに注ぎ析出した固体をろ取し、減圧下室温で24時間乾燥することで、暗紫色の固体としてポリ{(1,1’‐ビス(2−エチルヘキシル)ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ゲルモール)−3,6−ジイル−アルト−(2,1,3−ベンゾセレナジアゾール)−4,7−ジイル}(化合物1−4)を得た。その収量及び収率は、130mg、70%であった。また、Mnは27,000であり、PDIは5.60であった。
【0169】
得られた化合物のNMR測定結果を以下に示す。
1H−NMRスペクトル(CDCl
3,400MHz)δ=8.10(br,s,2H)、7.81(br,s,2H),2.03(br,s,2H),1.39−1.16(m,20H),0.89−0.78(m,12H)
この分析結果は、前記化学式(1−4)の化学構造を支持する。
(合成例10)
反応工程5で得られる別のジチエノゲルモール重合体を下記化学式(1−5)に示す。
【化31】
【0170】
25mL三口フラスコに、2,5−ビス(5−ブロモ−4−ヘキシルチオフェン−2−イル)−チアゾロ[5,4−d]チアゾール(200mg、0.316mmol)と、4,4’−ビス(2−エチルヘキシル)−2,6−トリメチルスタニルジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ゲルモール(250mg、0.316mmol)と、脱水クロロベンゼン(10mL)とを加えた後に、フラスコ内に10分間アルゴンガスを流しアルゴン置換を行った。置換終了後、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(7.0mg、2mol%)、トリ(o−トリル)ホスフィン(16.5mg、16mol%)、酸化銅(27mg、0.316mmol)を加え、150℃で72時間攪拌を行った。反応終了後、室温まで冷却しメタノール(100mL)に加え析出した固体をろ取した。粗ポリマーを円筒ろ紙に入れ、ソックスレー抽出機を用いてメタノール(200mL)、ヘキサン(200mL)で洗浄した後に、メタノール、ヘキサン不溶分をクロロホルム(200mL)で抽出した。抽出液を濃縮した後にメタノールに注ぎ析出した固体をろ取し、減圧下室温で24時間乾燥することで、暗緑色の固体としてポリ{(4,4’‐ビス(2−エチルヘキシル)ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ゲルモール)−2,6−ジイル‐アルト−(2,5−ビス(4−ヘキシルチオフェン−2−イル)チアゾロ[5,4−d]チアゾール)−5,5‘−ジイル}(化合物1−5)を得た。その収量及び収率は、230mg、75%であった。また、Mnは21,000であり、PDIは2.12であった。
【0171】
得られた化合物のNMR測定結果を以下に示す。
1H−NMRスペクトル(CDCl
3,400MHz)δ=7.41(br,2H)、7.20(br,2H)、2.80(br,4H)、1.72(br,6H)、1.50−1.06(m,30H)、1.05−0.66(m、20H)
この分析結果は、前記化学式(1−5)の化学構造を支持する。
【0172】
(合成例11)
反応工程5で得られる別のジチエノゲルモール重合体を下記化学式(1−6)に示す。
【化32】
【0173】
100mL三口フラスコに、3,6−ビス(5−ブロモ−4−ヘキシルチオフェン−2−イル)−1,2,4,5−テトラジン(162mg、0.284mmol)と、1,1’−ビス(2−エチルヘキシル)−3,6−トリメチルスタニルジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ゲルモール(227mg、0.284mmol)と、脱水トルエン(17mL)とを加えた後に、フラスコ内に10分間アルゴンガスを流しアルゴン置換を行った。置換終了後、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(28.0mg、10mol%)とトリ(o−トリル)ホスフィン(33.0mg、40mol%)とを加え、72時間還流を行った。反応終了後、室温まで冷却しメタノール(100mL)に加え析出した固体をろ取した。粗ポリマーを円筒ろ紙に入れ、ソックスレー抽出機を用いてアセトン(200mL)、ヘキサン(200mL)で洗浄した後に、クロロホルム(200mL)で抽出し、不溶物をo−ジクロロベンゼン(200mL)で抽出した。抽出液を濃縮した後にメタノールに注ぎ析出した固体をろ取し、減圧下室温で24時間乾燥することで、暗紫色の固体としてポリ{(4,4’‐ビス(2−エチルヘキシル)ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ゲルモール)−2,6−ジイル‐アルト−(2,5−ビス(4−ヘキシルチオフェン−2−イル)−1,2,4,5−テトラジン)−5,5‘−ジイル}(化合物1−6)を得た。その収量及び収率は、180mg、60%であった。また、Mnは27,000であり、PDIは23.5であった。
【0174】
得られた化合物のNMR測定結果を以下に示す。
1H−NMRスペクトル(CDCl
3,400MHz)δ=8.10(s,2H)、7.32(s,2H)、2.90(t,4H)、2.04(br,s,4H)、1.78(m、4H)、1.46(m、4H)、1.42−1.21(m,24H),0.92(t,6H)、0.84(t、6H)
この分析結果は、前記化学式(1−6)の化学構造を支持する。
【0175】
(合成例12)
反応工程5で得られる別のジチエノゲルモール重合体を下記化学式(1−7)に示す。
【化33】
【0176】
合成例9と同様の方法により、4,7−ジブロモベンゾ[c][1,2,5]セレナジアゾールの代わりに1,3−ジブロモ−5−オクチル−4H−チエノ[3,4−c]ピロール−4,6(5H)ジオン(373mg、0.881mmol)を用い、1,1’−ビス(2−エチルヘキシル)−3,6−トリメチルスタニルジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ゲルモール(695mg、0.881mmol)を用いて、重合反応を行った。得られた粗ポリマーを合成例9と同様の方法により精製することで、暗紫色の固体としてポリ5,5’{4,4’‐ビス(2−エチルヘキシル)ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ゲルモール}アルト−1,3{5−オクチル‐4H−チエノ[3,4−c]ピロール−(4,6−(5H)−ジオン(化合物1−7)を得た。その収量及び収率は、382mg、60%であった。また、Mnは27,000であり、PDIは2.55であった。
【0177】
1H−NMRスペクトル(CDCl
3,400MHz)δ=8.46(br,1H)、7.40(br,1H)、3.72(br,2H)、2.04(br,2H),1.8−0.7(br、47H)
この分析結果は、前記化学式(1−7)の化学構造を支持する。
【0178】
(合成例13)
反応工程5で得られる別のジチエノゲルモール重合体を下記化学式(1−8)に示す。
【化34】
【0179】
二口フラスコに1,1−ビス(2−エチルヘキシル)−3,6−ビス(トリメチルスタンニル)ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ゲルモール(0.296g、0.398mmol)を入れ、アルゴンガスで満たした。その後、4,7−ジブロモ[1,2,5]チアジアゾロ[3,4−c]ピリジン(0.1187g、0.402mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(7.4mg、8.08μmol)、トリ(o−トリル)ホスフィン(12.4mg、40.7μmol)、クロロベンゼン(10mL)を加えた。脱気した後、反応溶液を還流させた。反応終了後、室温まで戻し、析出した固体を濾別した。ろ液にN,N−ジエチルカルバミン酸ナトリウム3水和物3.1g水溶液30mLを加え、2時間、80℃で撹拌・加熱した。室温まで戻し、有機層を抽出・洗浄した後、1回目の再沈殿を行い、沈殿物をろ取した。その後、沈殿物をメタノール、ヘキサン、アセトン、酢酸エチルの順でソックスレー洗浄を行なった後、残った沈殿物をクロロホルムでソックスレー抽出して回収した。酢酸エチルで2回目の再沈殿を行い、精製することで、ポリ{(1,1’−ビス(2−エチルヘキシル)ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ゲルモール)−3,6−ジイル−アルト−(5−アザ−2,1,3−ベンゾチアジアゾール)−4,7−ジイル}(化合物1−8)を得た。その収量及び収率は、95.3mg、40%であった。また、Mnは22,000であり、PDIは2.10であった。
【0180】
1H−NMR(CDCl
3,500MHz):δ=8.8−8.6(m,2H),8.2(s,1H),2−1.1(m,22H),1.1−0.7(m,12H)
この分析結果は、前記化学式(1−8)の化学構造を支持する。
【0181】
(合成例14)
ブロック共重合体となる重合体ブロックを下記化学式(24)に示す。化学式中、HexEtはエチルヘキシル、mは繰り返し数を示す。
【化35】
【0182】
窒素雰囲気下、100mL三口フラスコに2,6−ジブロモ−4,4’−ビス(2−エチルヘキシル)−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン(1.50g,2.68mmol)、4,7−ビス(3,3,4,4−テトラメチル−2,5,1−ジオキサボロラン−1−イル)ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール(1.04g,2.68mmol)、トルエン(50mL)、2M炭酸カリウム水溶液(25mL,50mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh
3)
4;61.9mg,53.5μmol)、aliquat336(2mg,4.95μmol)を加えた後に80℃で2時間攪拌した。その後、フェニルブロマイド(210mg,1.34mmol)を加え、80℃で18時間攪拌した。反応終了後、反応溶液をメタノール(500mL)に注ぎ、析出した固体を濾取し、水(100mL)、メタノール(100mL)で洗浄し、得られた固体を減圧乾燥することで粗生成物を得た。粗生成物を、ソックスレー抽出機を用いてアセトン(200mL)、ヘキサン(200mL)で洗浄した後に、クロロホルム(200mL)で抽出した。得られた溶液をメタノール(2L)に注ぎ、析出した固体を濾取した後に減圧乾燥することで黒紫色の固体として重合体ブロック(24)を得た。その収量及び収率は、1.06g,42%であった。また、Mnは20,000であり、PDIは2.20であった。
【0183】
1H−NMR(270MHz):δ=8.10−7.96(m、2H)、7.81−7.61(m、2H)、2.35−2.13(m、4H)、1.59−1.32(m、18H)、1.18−0.81(m、12H)
この分析結果は、前記化学式(24)の化学構造を支持する。
【0184】
(合成例15)
重合体ブロックであるジチエノゲルモール重合体を下記化学式(25)に示す。
【化36】
【0185】
2,6−ジブロモ−4,4’−ビス(2−エチルヘキシル)−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェンの代わりに2,6−ジブロモ−4,4’−ビス(2−エチルヘキシル)−ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ゲルモール(1.66g,2.68mmol)を用いた以外は合成例14と同様にして、重合反応を行った。その後、フェニルブロマイドの代わりにフェニルボロン酸ピナコールエステル(273mg,1.34mmol)を加え、80℃で18時間攪拌した。反応終了後、合成例14と同様の方法により精製を行い、黒紫色の固体として重合体ブロック(25)を得た。その収量及び収率は、1.03g,38%であった。また、Mnは17,000であり、PDIは2.42であった。
【0186】
1H−NMR(270MHz):δ=8.20−7.95(m、2H)、7.90−7.12(m、2H)、2.34−2.10(m、4H)、1.59−1.33(m、18H)、1.19−0.81(m、12H)
この分析結果は、前記化学式(25)の化学構造を支持する。
【0187】
(合成例16)
前記重合体ブロック(24)と前記重合体ブロック(25)とのブロック共重合体であるジチエノゲルモール重合体を下記化学式(1−9)に示す。
【化37】
窒素雰囲気下、100mL三口フラスコに合成例14で得た重合体ブロック(24)0.80gと合成例15で得た重合体ブロック(25)0.80gを加え、トルエン(20mL)、2M炭酸カリウム水溶液(10mL,20mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(20.5mg,17.7μmol)、aliquat336(0.8mg,1.98μmol)を加えた後に80℃で24時間攪拌した。反応終了後、反応溶液をメタノール(200mL)に注ぎ、析出した固体を濾取し、水(20mL)、メタノール(20mL)で洗浄し、得られた固体を減圧乾燥することで粗生成物を得た。粗生成物を、ソックスレー抽出機を用いてアセトン(100mL)、ヘキサン(100mL)で洗浄した後に、クロロホルム(100mL)で抽出した。得られた溶液をメタノール(1L)に注ぎ、析出した固体を濾取した後に減圧乾燥することで黒紫色の固体としてブロック共重合体(1−9)を得た。その収量及び収率は、0.51g,収率33%であった。また、Mnは40,000であり、PDIは2.05であった。
【0188】
1H−NMR(270MHz):δ=8.12−7.94(m、4H)、7.81−7.61(m、4H)、2.35−2.10(m、8H)、1.62−1.29(m、36H)、1.21−0.84(m、24H)
この分析結果は、前記化学式(1−9)の化学構造を支持する。
【0189】
(合成例17)
【化38】
【0190】
窒素雰囲気下、100mL三口フラスコに、2,6−ジブロモ−4,4’−ビス(2−エチルヘキシル)−ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ゲルモール(0.83g,1.34mmol)、2,6−ジブロモ−4,4’−ビス(2−エチルヘキシル)−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン(0.75g,1.34mmol)及び4,7−ビス(3,3,4,4−テトラメチル−2,5,1−ジオキサボロラン−1−イル)ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール(1.08g,2.68mmol)を加え、さらにトルエン(50mL)と、2M炭酸カリウム水溶液(25mL,50mmol)と、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(62.0mg,54.0μmol)と、aliquat336(2mg,4.95μmol)とを加えた後に80℃で1時間攪拌した。反応終了後、反応溶液をメタノール(500mL)に注ぎ、析出した固体を濾取し、水とメタノールとで洗浄し、粗生成物を得た。粗生成物をソックスレー抽出機を用いてアセトンとヘキサンとで洗浄した後に、クロロホルム(200mL)で抽出し、メタノールで再沈殿することにより精製し、黒紫色の固体としてランダム共重合体(1−10)を得た。その収量及び収率は、1.20g,45%であった。得られた重合体のMnは66,000であり、PDIは、15.9であった。
【0191】
1H−NMRスペクトル(CDCl
3)δ=8.19(br、s、2H)、7.80(br、s、2H)、2.10(br、s、2H)、1.25−1.08(m、20H)、0.89−0.75(m、12H) この分析結果は、前記化学式(1−10)の化学構造を支持する。
【0192】
得られた重合体に含まれるゲルマニウム原子の含有量を、ジャーレルアッシュ社製のICP発光分析装置「IRIS−AP」を用いて測定し、ポリマー重量に占めるゲルマニウム重量からxとyで示される組成比を算出したところ、x:y=55.5:45.5であった。
【0193】
(比較合成例1)
合成例1で得られたジチエノゲルモール重合体(1−1)のゲルマニウム原子がケイ素原子で置換した構造を有するポリ{(1,1’−ビス(2−エチルヘキシル)ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]シロール)−3,6−ジイル−アルト−(2,1,3−ベンゾチアジアゾール)−4,7−ジイル}を下記化学式(26)に示す。
【化39】
化学式(26)で示されるジチエノシロール重合体は非特許文献4を参考にして合成した。この化合物(26)の分解温度を合成例5と同じ方法及び条件で測定したところ、400℃であった。
【0194】
ジチエノゲルモール重合体である化合物(1−1)と比較例である化合物(26)との分解温度の測定結果を表1に示す。
【表1】
表1に示されるように、ジチエノゲルモール重合体であるGe体は、比較化合物であるSi体に比べてその分解温度が高く、優れた熱安定性を有するものである。
【0195】
(実施例1)
合成例5で得られたジチエノゲルモール重合体(Mn=8,000、本発明における成分Aに相当)と[6,6]−フェニル C
71 ブチリックアシッドメチルエステル(PC
71BM)(E−110:フロンティアカーボン社製、本発明における成分Bに相当)を重量比1:3.6で秤量し、体積分率で2.5%のジヨードオクタン(DIO)(東京化成工業社製、本発明における成分D)を含むo−ジクロロベンゼン(DCBz)(関東化学社製、本発明における成分C)を添加して固形分濃度2.5重量%の溶液を調製し、80℃で5時間加熱攪拌して均一に溶解させた。溶解後の溶液を0.45μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製フィルターでろ過して本発明の有機半導体用組成物を得た。
【0196】
150nmのインジウム・スズ・オキサイド(ITO)が0.7mmのガラス上に製膜された基板(ジオマテック社製)を、セミコクリーン(フルウチ化学社製)、超純水、アセトン、イソプロパノールの順で10分間超音波洗浄し、乾燥した後、UV−O
3クリーナー(フィルジェン社製)を用いて20分間オゾンクリーニングした。大気下にて、ポリエチレンジオキシチオフェン:ポリスチレンスルホネート添加物(PEDOT:PSS)(CLEVIOS PH 500:H.C.スタルク社製)を洗浄済みのITO基板に滴下し、4000rpmで60秒間スピンコートした。製膜後の基板を140℃で10分間ベーキングした。このときのPEDOT:PSSの膜厚は40nmであった。PEDOT:PSSを製膜したITO基板を窒素雰囲気で満たされたグローブボックス内に導入し、前記により調整した本発明の有機半導体用組成物を、窒素雰囲気下にて1200rpmで120秒間スピンコートした。製膜後、1時間減圧乾燥して有機薄膜からなる活性層を得た。
【0197】
得られた有機薄膜である活性層の膜厚について、接触式段差計を用いて、下記測定条件により測定した。
<測定条件>
装置:接触式段差計 DEKTAK8(Veeco社製)
走査距離:500μm
触針圧:3mg
測定レンジ:50kÅ
また、この活性層の吸収スペクトルについて、分光光度計を用いて、下記測定条件により紫外−可視−近赤外領域の吸光度の測定をした。
<測定条件>
装置:紫外−可視−近赤外分光光度計 Solid Spec 3700(島津製作所社製)
測定波長域:300〜1000nm
スリット幅:5nm
【0198】
これらの測定により、有機半導体用組成物により形成された活性層の膜厚は107nmで、吸収スペクトル測定より得られた吸収端は850nmであった。
【0199】
次に、活性層を製膜した基板を大気に触れさせることなく抵抗加熱式真空蒸着装置(EO−5:エイコーエンジニアリング社製)に導入し、5.0×10
−5Paの減圧条件下にて0.5nmのフッ化リチウム(LiF)を真空蒸着した。次いで、80nmのアルミニウム(Al)を真空蒸着し、光電変換素子を作製した。作製した光電変換素子の受光面積は0.25cm
2であった。
【0200】
(光電変換特性評価)
作製した光電変換素子の分光感度について、分光感度測定装置を用いて、下記測定条件により測定した。測定時の特定波長における照射強度は、フォトダイオード(S1337−66BQ、浜松フォトニクス社製)を用いて校正した。測定時には、光電変換素子の受光面積と同じ面積の照射光マスクを着用し、余剰な光の入射を排除した。
<測定条件>
装置:分光感度測定装置 SM−250型(分光計器社製)
受光面積:0.25cm
2
ソースメーター:ケースレー2400(KEITHLEY社製)
また、作製した光電変換素子の光電変換効率について、ソーラーシミュレーター及びソースメーターを用いて、下記測定条件により測定した。測定時の照射強度は、フォトダイオード(BS−520、分光計器社製)を用い、太陽電池評価基準となるように調節した。測定時には、光電変換素子の受光面積と同じ面積の照射光マスクを着用し、余剰な光の入射を排除した。
<測定条件>
ソーラーシミュレーター:PEC−L11(ペクセルテクノロジー社製)
ソースメーター:KEITHLEY2400(KEITHLEY社製)
照射スペクトル:AM1.5
照射強度:100mW/cm
2
受光面積:0.25cm
2【0201】
作製した光電変換素子の分光感度を測定したところ、850nm以下の波長域において光電変換していることが明らかとなった。また、作製した光電変換素子の光電変換効率を測定したところ、短絡電流密度=4.68mA/cm
2、開放電圧=0.61V、曲線因子=0.43、光電変換効率=1.21%(平均1.0%)であった。
【0202】
(実施例2)
本発明における成分Aを合成例6のジチエノゲルモール重合体(Mn=21,000)に、固形分濃度を2.0重量%に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法にて有機半導体用組成物を調製し、PEDOT:PSSを40nm製膜したITO基板に900rpmで120秒間スピンコートした。実施例1と同様の測定条件により得られた有機薄膜である活性層の膜厚及び吸収スペクトルを測定した結果、有機半導体用組成物により形成された活性層の膜厚は92nmで、吸収スペクトル測定より得られた吸収端は850nmであった。
【0203】
製膜した活性層に実施例1と同様の方法でLiF及びAlを蒸着して光電変換素子を作製した。作製した光電変換素子の受光面積は0.25cm
2であった。実施例1と同様の測定条件により、作製した光電変換素子の分光感度を測定したところ、850nm以下の波長域において光電変換していることが明らかとなった。同じく、作製した光電変換素子の光電変換効率を測定したところ、短絡電流密度=13.59mA/cm
2、開放電圧=0.52V、曲線因子=0.54、光電変換効率=3.78%(平均3.7%)であった。
【0204】
(実施例3)
本発明における成分Aを合成例7のジチエノゲルモール重合体(Mn=22,000)に、固形分濃度を2.4重量%に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法にて有機半導体用組成物を調製し、PEDOT:PSSを40nm製膜したITO基板に1200rpmで120秒間スピンコートした。実施例1と同様の測定条件により得られた有機薄膜である活性層の膜厚及び吸収スペクトルを測定した結果、有機半導体用組成物により形成された活性層の膜厚は100nmで、吸収スペクトル測定より得られた吸収端は700nmであった。
【0205】
製膜した活性層に実施例1と同様の方法でLiF及びAlを蒸着して光電変換素子を作製した。作製した光電変換素子の受光面積は0.25cm
2であった。実施例1と同様の測定条件により、作製した光電変換素子の分光感度を測定したところ、700nm以下の波長域において光電変換していることが明らかとなった。同じく、作製した光電変換素子の光電変換効率を測定したところ、短絡電流密度=5.21mA/cm
2、開放電圧=0.54V、曲線因子=0.62、光電変換効率=1.74%(平均1.6%)であった。
【0206】
(実施例4)
本発明における可溶解溶媒を体積分率で5.0%のDIO(本発明における成分D)を含むDCBzに変更したこと以外は、実施例2と同様の方法にて有機半導体用組成物を調製し、PEDOT:PSSを40nm製膜したITO基板に800rpmで120秒間スピンコートした。実施例1と同様の測定条件により得られた有機薄膜である活性層の膜厚及び吸収スペクトルを測定した結果、有機半導体用組成物により形成された活性層の膜厚は89nmで、吸収スペクトル測定より得られた吸収端は850nmであった。
【0207】
製膜した活性層に実施例1と同様の方法でLiF及びAlを蒸着して光電変換素子を作製した。作製した光電変換素子の受光面積は0.25cm
2であった。実施例1と同様の測定条件により、作製した光電変換素子の分光感度を測定したところ、850nm以下の波長域において光電変換していることが明らかとなった。同じく、作製した光電変換素子の光電変換効率を測定したところ、短絡電流密度=13.09mA/cm
2、開放電圧=0.52V、曲線因子=0.52、光電変換効率=3.55%(平均3.5%)であった。
【0208】
(実施例5)
本発明における電子受容性有機半導体である成分Bを[6,6]−フェニル
C
61 ブチリックアシッドメチルエステル(PC
61BM)(E−100H:フロンティアカーボン社製)に変更したこと以外は、実施例2と同様の方法にて有機半導体用組成物を調製し、PEDOT:PSSを40nm製膜したITO基板に900rpmで120秒間スピンコートした。実施例1と同様の測定条件により得られた有機薄膜である活性層の膜厚及び吸収スペクトルを測定した結果、有機半導体用組成物により形成された活性層の膜厚は76nmで、吸収スペクトル測定より得られた吸収端は850nmであった。
【0209】
製膜した活性層に実施例2と同様の方法でLiF及びAlを蒸着して光電変換素子を作製した。作製した光電変換素子の受光面積は0.25cm
2であった。実施例1と同様の測定条件により、作製した光電変換素子の分光感度を測定したところ、850nm以下の波長域において光電変換していることが明らかとなった。同じく、作製した光電変換素子の光電変換効率を測定したところ、短絡電流密度=8.21mA/cm
2、開放電圧=0.52V、曲線因子=0.55、光電変換効率=2.35%(平均2.2%)であった。
【0210】
(実施例6)
本発明における溶解性添加物(成分D)をオクタンジチオール(ODT)に変更したこと以外は、実施例2と同様の方法にて本発明の有機半導体用組成物を調製し、PEDOT:PSSを40nm製膜したITO基板に900rpmで120秒間スピンコートした。実施例1と同様の測定条件により得られた有機薄膜である活性層の膜厚及び吸収スペクトルを測定した結果、有機半導体用組成物により形成された活性層の膜厚は83nmで、吸収スペクトル測定より得られた吸収端は850nmであった。
【0211】
製膜した活性層に実施例2と同様の方法でLiF及びAlを蒸着して光電変換素子を作製した。作製した光電変換素子の受光面積は0.25cm
2であった。実施例1と同様の測定条件により、作製した光電変換素子の分光感度を測定したところ、850nm以下の波長域において光電変換していることが明らかとなった。同じく、作製した光電変換素子の光電変換効率を測定したところ、短絡電流密度=10.93mA/cm
2、開放電圧=0.55V、曲線因子=0.52、光電変換効率=3.13%(平均3.0%)であった。
【0212】
(実施例7)
ジチエノゲルモール重合体とPC
71BMとの重量比を1:3、固形分濃度を2.8重量%に変更したこと以外は、実施例2と同様の方法にて本発明の有機半導体用組成物を調製し、PEDOT:PSSを40nm製膜したITO基板に900rpmで120秒間スピンコートした。実施例1と同様の測定条件により得られた有機薄膜である活性層の膜厚及び吸収スペクトルを測定した結果、有機半導体用組成物により形成された活性層の膜厚は85nmで、吸収スペクトル測定より得られた吸収端は850nmであった。
【0213】
製膜した活性層に実施例2と同様の方法でLiF及びAlを蒸着して光電変換素子を作製した。作製した光電変換素子の受光面積は0.25cm
2であった。実施例1と同様の測定条件により、作製した光電変換素子の分光感度を測定したところ、850nm以下の波長域において光電変換していることが明らかとなった。同じく、作製した光電変換素子の光電変換効率を測定したところ、短絡電流密度=12.10mA/cm
2、開放電圧=0.53V、曲線因子=0.52、光電変換効率=3.33%(平均3.1%)であった。
【0214】
(実施例8)
本発明における成分Aを合成例8のジチエノゲルモール重合体(Mn=28,000)に、固形分濃度を3.0重量%に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法にて有機半導体用組成物を調製し、PEDOT:PSSを40nm製膜したITO基板に1200rpmで120秒間スピンコートした。実施例1と同様の測定条件により得られた有機薄膜である活性層の膜厚及び吸収スペクトルを測定した結果、有機半導体用組成物により形成された活性層の膜厚は86nmで、吸収スペクトル測定より得られた吸収端は800nmであった。
【0215】
製膜した活性層に実施例1と同様の方法でLiF及びAlを蒸着して光電変換素子を作製した。作製した光電変換素子の受光面積は0.25cm
2であった。実施例1と同様の測定条件により、作製した光電変換素子の分光感度を測定したところ、800nm以下の波長域において光電変換していることが明らかとなった。同じく、作製した光電変換素子の光電変換効率を測定したところ、短絡電流密度=13.46mA/cm
2、開放電圧=0.52V、曲線因子=0.55、光電変換効率=3.83%(平均3.6%)であった。
【0216】
(実施例9)
本発明における成分Aを合成例9のジチエノゲルモール重合体(Mn=27,000)に、固形分濃度を2.4重量%に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法にて有機半導体用組成物を調製し、PEDOT:PSSを40nm製膜したITO基板に1000rpmで120秒間スピンコートした。実施例1と同様の測定条件により得られた有機薄膜である活性層の膜厚及び吸収スペクトルを測定した結果、有機半導体用組成物により形成された活性層の膜厚は82nmで、吸収スペクトル測定より得られた吸収端は860nmであった。
【0217】
製膜した活性層に実施例1と同様の方法でLiF及びAlを蒸着して光電変換素子を作製した。作製した光電変換素子の受光面積は0.25cm
2であった。実施例1と同様の測定条件により、作製した光電変換素子の分光感度を測定したところ、860nm以下の波長域において光電変換していることが明らかとなった。同じく、作製した光電変換素子の光電変換効率を測定したところ、短絡電流密度=7.25mA/cm
2、開放電圧=0.55V、曲線因子=0.46、光電変換効率=1.83%(平均1.6%)であった。
【0218】
(実施例10)
本発明における成分Aを合成例10のジチエノゲルモール重合体(Mn=21,000)に、固形分濃度を2.0重量%に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法にて有機半導体用組成物を調製し、PEDOT:PSSを40nm製膜したITO基板に1000rpmで120秒間スピンコートした。実施例1と同様の測定条件により得られた有機薄膜である活性層の膜厚及び吸収スペクトルを測定した結果、有機半導体用組成物により形成された活性層の膜厚は98nmで、吸収スペクトル測定より得られた吸収端は700nmであった。
【0219】
製膜した活性層に実施例1と同様の方法でLiF及びAlを蒸着して光電変換素子を作製した。作製した光電変換素子の受光面積は0.25cm
2であった。実施例1と同様の測定条件により、作製した光電変換素子の分光感度を測定したところ、700nm以下の波長域において光電変換していることが明らかとなった。同じく、作製した光電変換素子の光電変換効率を測定したところ、短絡電流密度=8.41mA/cm
2、開放電圧=0.58V、曲線因子=0.65、光電変換効率=3.17%(平均3.0%)であった。
【0220】
(実施例11)
本発明における成分Aを合成例11のジチエノゲルモール重合体(Mn=27,000)に、固形分濃度を1.8重量%に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法にて有機半導体用組成物を調製し、PEDOT:PSSを40nm製膜したITO基板に1000rpmで120秒間スピンコートした。実施例1と同様の測定条件により得られた有機薄膜である活性層の膜厚及び吸収スペクトルを測定した結果、有機半導体用組成物により形成された活性層の膜厚は88nmで、吸収スペクトル測定より得られた吸収端は720nmであった。
【0221】
製膜した活性層に実施例1と同様の方法でLiF及びAlを蒸着して光電変換素子を作製した。作製した光電変換素子の受光面積は0.25cm
2であった。実施例1と同様の測定条件により、作製した光電変換素子の分光感度を測定したところ、720nm以下の波長域において光電変換していることが明らかとなった。同じく、作製した光電変換素子の光電変換効率を測定したところ、短絡電流密度=3.01mA/cm
2、開放電圧=0.52V、曲線因子=0.58、光電変換効率=0.91%(平均0.8%)であった。
【0222】
(実施例12)
本発明における成分Aを合成例12のジチエノゲルモール重合体(Mn=27,000)に、成分(A)と成分(B)との比を1:1.5に、成分(C)をCBzに、固形分濃度を3.6重量%に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法にて有機半導体用組成物を調製し、PEDOT:PSSを40nm製膜したITO基板に2000rpmで120秒間スピンコートした。実施例1と同様の測定条件により得られた有機薄膜である活性層の膜厚及び吸収スペクトルを測定した結果、有機半導体用組成物により形成された活性層の膜厚は105nmで、吸収スペクトル測定より得られた吸収端は750nmであった。
【0223】
製膜した活性層に実施例1と同様の方法でLiF及びAlを蒸着して光電変換素子を作製した。作製した光電変換素子の受光面積は0.25cm
2であった。実施例1と同様の測定条件により、作製した光電変換素子の分光感度を測定したところ、750nm以下の波長域において光電変換していることが明らかとなった。同じく、作製した光電変換素子の光電変換効率を測定したところ、短絡電流密度=8.03mA/cm
2、開放電圧=0.74V、曲線因子=0.57、光電変換効率=3.38%(平均3.2%)であった。
【0224】
(実施例13)
本発明における成分Aを合成例13のジチエノゲルモール重合体(Mn=22,000)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法にて有機半導体用組成物を調製し、PEDOT:PSSを40nm製膜したITO基板に1200rpmで120秒間スピンコートした。実施例1と同様の測定条件により得られた有機薄膜である活性層の膜厚及び吸収スペクトルを測定した結果、有機半導体用組成物により形成された活性層の膜厚は85nmで、吸収スペクトル測定より得られた吸収端は920nmであった。
【0225】
製膜した活性層に実施例1と同様の方法でLiF及びAlを蒸着して光電変換素子を作製した。作製した光電変換素子の受光面積は0.25cm
2であった。実施例1と同様の測定条件により、作製した光電変換素子の分光感度を測定したところ、920nm以下の波長域において光電変換していることが明らかとなった。同じく、作製した光電変換素子の光電変換効率を測定したところ、短絡電流密度=7.45mA/cm
2、開放電圧=0.54V、曲線因子=0.52、光電変換効率=2.11%(平均2.0%)であった。
【0226】
(実施例14)
本発明における成分Aを合成例16で得られたジチエノゲルモールブロック共重合体(Mn=40,000)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法にて有機半導体用組成物を調製し、PEDOT:PSSを40nm製膜したITO基板に1300rpmで120秒間スピンコートした。実施例1と同様の測定条件により得られた有機薄膜である活性層の膜厚及び吸収スペクトルを測定した結果、有機半導体用組成物により形成された活性層の膜厚は93nmで、吸収スペクトル測定より得られた吸収端は860nmであった。
【0227】
製膜した活性層に実施例1と同様の方法でLiF及びAlを蒸着して光電変換素子を作製した。作製した光電変換素子の受光面積は0.25cm
2であった。実施例1と同様の測定条件により、作製した光電変換素子の分光感度を測定したところ、860nm以下の波長域において光電変換していることが明らかとなった。同じく、作製した光電変換素子の光電変換効率を測定したところ、短絡電流密度=13.79mA/cm
2、開放電圧=0.60V、曲線因子=0.55、光電変換効率=4.55%(平均4.4%)であった。
【0228】
(実施例15)
本発明における成分Aを合成例17で得られたジチエノゲルモールランダム共重合体(Mn=66,000)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法にて有機半導体用組成物を調製し、PEDOT:PSSを40nm製膜したITO基板に1000rpmで120秒間スピンコートした。実施例1と同様の測定条件により得られた有機薄膜である活性層の膜厚及び吸収スペクトルを測定した結果、有機半導体用組成物により形成された活性層の膜厚は86nmで、吸収スペクトル測定より得られた吸収端は850nmであった。
【0229】
製膜した活性層に実施例1と同様の方法でLiF及びAlを蒸着して光電変換素子を作製した。作製した光電変換素子の受光面積は0.25cm
2であった。実施例1と同様の測定条件により、作製した光電変換素子の分光感度を測定したところ、850nm以下の波長域において光電変換していることが明らかとなった。同じく、作製した光電変換素子の光電変換効率を測定したところ、短絡電流密度=13.11mA/cm
2、開放電圧=0.57V、曲線因子=0.55、光電変換効率=4.11%(平均3.9%)であった。
【0230】
(実施例16)
本発明における溶解性添加物(成分D)として1−クロロナフタレン(CN)を用い、成分Dの濃度を3.0%に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法にて有機半導体用組成物を調製し、PEDOT:PSSを40nm製膜したITO基板に900rpmで120秒間スピンコートした。実施例1と同様の測定条件により得られた有機薄膜である活性層の膜厚及び吸収スペクトルを測定した結果、有機半導体用組成物により形成された活性層の膜厚は79nmで、吸収スペクトル測定より得られた吸収端は850nmであった。
【0231】
製膜した活性層に実施例1と同様の方法でLiF及びAlを蒸着して光電変換素子を作製した。作製した光電変換素子の受光面積は0.25cm
2であった。実施例1と同様の測定条件により、作製した光電変換素子の分光感度を測定したところ、850nm以下の波長域において光電変換していることが明らかとなった。同じく、作製した光電変換素子の光電変換効率を測定したところ、短絡電流密度=11.86mA/cm
2、開放電圧=0.56V、曲線因子=0.55、光電変換効率=3.65%(平均3.5%)であった。
【0232】
(比較例1)
本発明における溶解性添加物(成分D)を含有しないこと以外は、実施例1と同様の方法にて比較組成物を調製し、PEDOT:PSSを40nm製膜したITO基板に1200rpmで120秒間スピンコートした。実施例1と同様の測定条件により得られた有機薄膜である活性層の膜厚及び吸収スペクトルを測定した結果、比較組成物により形成された活性層の膜厚は110nmで、吸収スペクトル測定より得られた吸収端は820nmであった。
【0233】
製膜した活性層に実施例1と同様の方法でLiF及びAlを蒸着して光電変換素子を作製した。作製した光電変換素子の受光面積は0.25cm
2であった。実施例1と同様の測定条件により、作製した光電変換素子の分光感度を測定したところ、820nm以下の波長域において光電変換していることが明らかとなった。同じく、作製した光電変換素子の光電変換効率を測定したところ、短絡電流密度=2.60mA/cm
2、開放電圧=0.48V、曲線因子=0.33、光電変換効率=0.41%(平均0.4%)であった。
【0234】
(比較例2)
本発明における溶解性添加物(成分D)を含有しないこと以外は、実施例2と同様の方法にて比較組成物を調製し、PEDOT:PSSを40nm製膜したITO基板に900rpmで120秒間スピンコートした。実施例1と同様の測定条件により得られた有機薄膜である活性層の膜厚及び吸収スペクトルを測定した結果、比較組成物により形成された活性層の膜厚は98nmで、吸収スペクトル測定より得られた吸収端は825nmであった。
【0235】
製膜した活性層に実施例2と同様の方法でLiF及びAlを蒸着して光電変換素子を作製した。作製した光電変換素子の受光面積は0.25cm
2であった。実施例1と同様の測定条件により、作製した光電変換素子の分光感度を測定したところ、825nm以下の波長域において光電変換していることが明らかとなった。同じく、作製した光電変換素子の光電変換効率を測定したところ、短絡電流密度=3.60mA/cm
2、開放電圧=0.52V、曲線因子=0.35、光電変換効率=0.66%(平均0.6%)であった。
【0236】
(比較例3)
本発明における溶解性添加物(成分D)をメタノール(試薬特級、和光純薬工業社製)以外は、実施例2と同様の方法にて比較組成物を調製し、PEDOT:PSSを40nm製膜したITO基板に900rpmで120秒間スピンコートした。実施例1と同様の測定条件により得られた有機薄膜である活性層の膜厚及び吸収スペクトルを測定した結果、比較組成物により形成された活性層の膜厚は84nmで、吸収スペクトル測定より得られた吸収端は800nmであった。
【0237】
製膜した活性層に実施例2と同様の方法でLiF及びAlを蒸着して光電変換素子を作製した。作製した光電変換素子の受光面積は0.25cm
2であった。実施例1と同様の測定条件により、作製した光電変換素子の分光感度を測定したところ、800nm以下の波長域において光電変換していることが明らかとなった。同じく、作製した光電変換素子の光電変換効率を測定したところ、短絡電流密度=2.15mA/cm
2、開放電圧=0.50V、曲線因子=0.34、光電変換効率=0.37%(平均0.3%)であった。
【0238】
(比較例4)
本発明における成分Aを市販のポリ(3−ヘキシルチオフェン)(Mn=20,000、Rieke社製)とし、成分Aと成分Bとの混合比を1:0.8に、固形分濃度を4.0重量%に変更した以外は、実施例1と同様の方法で比較組成物を調製し、PEDOT:PSSを40nm製膜したITO基板に1500rpmで120秒間スピンコートした。実施例1と同様の測定条件により得られた有機薄膜である活性層の膜厚及び吸収スペクトルを測定した結果、比較組成物により形成された活性層の膜厚は90nmで、吸収スペクトル測定より得られた吸収端は660nmであった。
【0239】
製膜した活性層に実施例1と同様の方法でLiF及びAlを蒸着して光電変換素子を作製した。作製した光電変換素子の受光面積は0.25cm
2であった。実施例1と同様の測定条件により、作製した光電変換素子の分光感度を測定したところ、660nm以下の波長域において光電変換していることが明らかとなった。同じく、作製した光電変換素子の光電変換効率を測定したところ、短絡電流密度=6.26mA/cm
2、開放電圧=0.40V、曲線因子=0.24、光電変換効率=0.60%(平均0.5%)であった。
【0240】
実施例1〜16及び比較例1〜4の作製条件を表1に結果を表2に纏めて示す。
【表2】
【0241】
【表3】
【0242】
表3から明らかなように、ジチエノゲルモール骨格を有する有機半導体高分子である重合体(A)、電子受容性有機半導体(B)、可溶解溶媒(C)、沸点が可溶解溶媒(C)より高く、重合体(A)に対して貧溶媒且つ電子受容性有機半導体(B)に対して良溶媒である溶解性添加物(D)を含む本発明の有機半導体組成物からなる活性層を有する実施例の光電変換素子は、光電変換波長帯が長く可視〜近赤外領域の光電変換が可能であり、優れた光電変換効率を示すことがわかった。一方、溶解性添加物(D)を含まない有機半導体用組成物を用いた比較例1及び2は、光電変換波長帯は本発明と同程度であるものの、光電変換効率に劣ることがわかった。また、溶解性添加物(D)として、沸点が可溶解溶媒(C)より低いものを用いた比較例3では、本発明の効果が得られないことがわかった。さらに、重合体(A)が本発明の範囲外であるポリ(3−ヘキシルチオフェン)を用いた比較例4は、光電変換波長帯が短く、光電変換効率に劣ることがわかった。