(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に使用する化合物(A)は下記の一般式(1)で表すことができる:
【化2】
(式中、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは1〜3の数を表す。)
【0011】
一般式(1)で表わされる化合物において、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基である。炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、分岐プロピル基、ブチル基、分岐ブチル基が挙げられる。これらの中でも、安価で入手しやすいことから、Rは水素原子またはメチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
【0012】
一般式(1)のnは1〜3の数を表す。nの数に応じて、それぞれいくつかの異性体が得られ、例えばRが水素原子でnが1の場合、一般式(1)で表わされる化合物は1−スチレン化フェノール、2−スチレン化フェノール及び3−スチレン化フェノールのいずれかの化合物となる。同様に、nが2の場合、一般式(1)で表わされる化合物は1,2−ジスチレン化フェノール、1,3−ジスチレン化フェノール、1,4−ジスチレン化フェノール、1,5−ジスチレン化フェノール、2,3−ジスチレン化フェノール、2,4−ジスチレン化フェノール及び2,5−ジスチレン化フェノールのいずれかになる。更に、nが3の場合、一般式(1)で表わされる化合物は1,2,3−トリスチレン化フェノール、1,2,4−トリスチレン化フェノール、1,2,5−トリスチレン化フェノール、1,3,4−トリスチレン化フェノール、1,3,5−トリスチレン化フェノール及び2,3,4−トリスチレン化フェノールのいずれかになる。
【0013】
一般式(1)で表わされる化合物(A)は単独でも2種以上の混合物でもよいが、酸化防止性の相乗効果が高く、基油への溶解性が高くなることから、nが2の化合物あるいはnが2の化合物を主成分として含むことが好ましく、経済性の観点から、ジスチレン化フェノールあるいはジスチレン化フェノールを主成分として含むことがより好ましい。
【0014】
本発明の酸化防止剤組成物に使用されるアミン系酸化防止剤(B)は、公知のアミン系酸化防止剤であればいずれの酸化防止剤でもよく、例えば、1−ナフチルアミン、フェニル−1−ナフチルアミン、p−オクチルフェニル−1−ナフチルアミン、p−ノニルフェニル−1−ナフチルアミン、p−ドデシルフェニル−1−ナフチルアミン、フェニル−2−ナフチルアミン等のナフチルアミン系酸化防止剤;N,N’−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジイソブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、ジオクチル−p−フェニレンジアミン、フェニルヘキシル−p−フェニレンジアミン、フェニルオクチル−p−フェニレンジアミン等のフェニレンジアミン系酸化防止剤;ジピリジルアミン、ジフェニルアミン、p,p’−ジ−n−ブチルジフェニルアミン、p,p’−ジ−t−ブチルジフェニルアミン、p,p’−ジ−t−ペンチルジフェニルアミン、p,p’−ジオクチルジフェニルアミン、p,p’−ジノニルジフェニルアミン、p,p’−ジデシルジフェニルアミン、p,p’−ジドデシルジフェニルアミン、p,p’−ジスチリルジフェニルアミン、p,p’−ジメトキシジフェニルアミン、4,4’−ビス(4−α,α−ジメチルベンゾイル)ジフェニルアミン、p−イソプロポキシジフェニルアミン、ジピリジルアミン等のジフェニルアミン系酸化防止剤;フェノチアジン、N−メチルフェノチアジン、N−エチルフェノチアジン、3,7−ジオクチルフェノチアジン、フェノチアジンカルボン酸エステル、フェノセレナジン等のフェノチアジン系酸化防止剤が挙げられる。これらの中でも酸化防止性能が良好なことから、下記の一般式(2)又は一般式(3)で表される化合物が好ましい:
【0015】
【化3】
(式中、R
1及びR
2はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基を表す。)
【0016】
【化4】
(式中、R
3及びR
4はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基を表す。)
【0017】
上記一般式(2)及び一般式(3)で表わされる化合物において、R
1〜R
4はそれぞれ独立して、いずれも水素原子又は炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基を表す。炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、分岐プロピル基、ブチル基、分岐ブチル基、ヘキシル基、分岐ヘキシル基、ペンチル基、分岐ペンチル基、ヘプチル基、分岐ヘプチル基、オクチル基、分岐オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、分岐ノニル基、デシル基、分岐デシル基、ドデシル基、分岐ドデシル基、トリデシル基、分岐トリデシル基、テトラデシル基、分岐テトラデシル基、ペンタデシル基、分岐ペンタデシル基、ヘキサデシル基、分岐ペンタデセニル基、ヘプタデシル基、分岐ヘプタデシル基、オクタデシル基、分岐オクタデシル基等のアルキル基;ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、デセニル基、ドデセニル基、ぺンタデセニル基、オクタデセニル基等のアルケニル基が挙げられる。これらの中でも酸化防止性能が良好なことから、水素原子又はアルキル基が好ましく、水素原子又は直鎖のアルキル基がより好ましい。
【0018】
本発明の酸化防止剤組成物に使用されるフェノール系酸化防止剤(C)は、上記一般式(1)で表わされる化合物(A)を除く、公知のフェノール系酸化防止剤であればいずれの酸化防止剤でもよく、例えば、2,6−ジ−ターシャリブチルフェノール(以下、ターシャリブチルをt−ブチルと略記する。)、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)、2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸オクチル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸ステアリル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸オレイル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸ドデシル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸デシル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸オクチル、テトラキス{3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオニルオキシメチル}メタン、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸グリセリンモノエステル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸とグリセリンモノオレイルエーテルとのエステル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸ブチレングリコールジエステル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸チオジグリコールジエステル、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−(N,N’−ジメチルアミノメチルフェノール)、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)サルファイド、トリス{(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル―オキシエチル}イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、ビス{2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル}サルファイド、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6―ジメチルベンジル)イソシアヌレート、テトラフタロイル―ジ(2,6−ジメチル−4−t−ブチル−3−ヒドロキシベンジルサルファイド)、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビス(オクチルチオ)−1,3,5―トリアジン、2,2−チオ−{ジエチル−ビス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)}プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシナミド)、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス{3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド}グリコールエステル等が挙げられる。これらの中でも酸化防止性能が良好なことから、下記の一般式(4)で表される化合物が好ましい。
【0019】
【化5】
(式中、R
5及びR
6はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表し、R
7はエステル基を含有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表し、mは1〜4の数を表す。但し、R
5及びR
6のいずれか1つは炭素数1〜4のアルキル基でなければならない。)
【0020】
上記一般式(4)で表わされる化合物において、R
5及びR
6はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、分岐プロピル基、ブチル基、分岐ブチル基、ターシャリブチル基等が挙げられる。R
5及びR
6は同時に水素原子になることはなく、いずれか一方もしくは両方ともに炭素数1〜4のアルキル基でなければならないが、酸化防止性が良好なことから両方ともに炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、両方ともにターシャリブチル基がより好ましい。
【0021】
R
7はエステル基を含有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表し、また、mは1〜4の数を表す。mが1の場合のR
7としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、分岐プロピル基、ブチル基、分岐ブチル基、ヘキシル基、分岐ヘキシル基、ペンチル基、分岐ペンチル基、ヘプチル基、分岐ヘプチル基、オクチル基、分岐オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、分岐ノニル基、デシル基、分岐デシル基、ドデシル基、分岐ドデシル基、トリデシル基、分岐トリデシル基、テトラデシル基、分岐テトラデシル基、ペンタデシル基、分岐ペンタデシル基、ヘキサデシル基、分岐ペンタデセニル基、ヘプタデシル基、分岐ヘプタデシル基、オクタデシル基、分岐オクタデシル基、エイコシル基等のアルキル基;ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、デセニル基、ドデセニル基、ぺンタデセニル基、オクタデセニル基等のアルケニル基;フェニル基、トルイル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シンナミル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基等のアリール基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、メチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、メチルシクロペンテニル基、メチルシクロヘキセニル基、メチルシクロヘプテニル基等のシクロアルキル基が挙げられる。これらの中でも酸化防止性能が良好なことから、直鎖のアルキル基が好ましく、炭素数6〜20の直鎖のアルキル基がより好ましい。
【0022】
また、エステル基を含有する基としては、例えば、下記の一般式(5)が挙げられる:−R
8COOR
9 (5)
(式中、R
8は炭素数1〜6のアルキレン基を表し、R
9は炭素数1〜20の炭化水素基を表す。)
【0023】
R
8としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基等が挙げられる。これらの中でも、原料が容易に入手できることからエチレン基であることが好ましい。
【0024】
また、R
9は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、分岐プロピル基、ブチル基、分岐ブチル基、ヘキシル基、分岐ヘキシル基、ペンチル基、分岐ペンチル基、ヘプチル基、分岐ヘプチル基、オクチル基、分岐オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、分岐ノニル基、デシル基、分岐デシル基、ドデシル基、分岐ドデシル基、トリデシル基、分岐トリデシル基、テトラデシル基、分岐テトラデシル基、ペンタデシル基、分岐ペンタデシル基、ヘキサデシル基、分岐ペンタデセニル基、ヘプタデシル基、分岐ヘプタデシル基、オクタデシル基、分岐オクタデシル基、エイコシル基等のアルキル基;ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、デセニル基、ドデセニル基、ぺンタデセニル基、オクタデセニル基等のアルケニル基;フェニル基、トルイル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シンナミル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基等のアリール基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、メチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、メチルシクロペンテニル基、メチルシクロヘキセニル基、メチルシクロヘプテニル基等のシクロアルキル基が挙げられる。これらの中でも酸化防止性能が良好なことから、アルキル基が好ましく、直鎖のアルキル基がより好ましく、炭素数6〜18の直鎖のアルキル基が更に好ましい。
【0025】
mが2の場合のR
7としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基、テトラデシレン基、ヘキサデシレン基、オクタデシレン基等のアルキレン基が挙げられる。また、エステル基を含有する基としては、下記の一般式(6)が挙げられる:
【0026】
【化6】
(式中、R
10、R
11及びR
12は、それぞれ独立して炭素数1〜16のアルキレン基を表す。)
【0027】
R
10、R
11及びR
12としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基、テトラデシレン基、ヘキサデシレン基等が挙げられる。
【0028】
mが3の場合のR
7としては、例えば、下記の一般式(7)や一般式(8)が挙げられ、mが4の場合のR
7としては、例えば、下記の一般式(9)や一般式(10)が挙げられる。
【0029】
【化7】
(式中、R
13〜R
15はそれぞれ独立して炭素数1〜6のアルキレン基を表す。)
【0030】
【化8】
(式中、R
16〜R
18はそれぞれ独立して炭素数1〜6のアルキレン基を表す。)
【0031】
【化9】
(式中、R
19〜R
22はそれぞれ独立して炭素数1〜6のアルキレン基を表す。)
【0032】
【化10】
(式中、R
23は炭素数1〜6のアルキレン基を表す。)
【0033】
一般式(7)〜(10)の化合物におけるR
13〜R
23としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基等が挙げられる。これらの中でも、原料が容易に入手できることからエチレン基であることが好ましい。
【0034】
上記一般式(1)で表わされる化合物(A)に、アミン系酸化防止剤(B)及び/又はフェノール系酸化防止剤(C)を添加した組成物は、相乗効果により酸化防止性能が向上する。この相乗効果は、各成分の配合比によることなくいずれの配合比であってもよいが、より高い効果が期待できることから、化合物(A)と、アミン系酸化防止剤(B)及び/またはフェノール系酸化防止剤(C)との割合が、30/70〜99/1(質量比)であることが好ましく、50/50〜97/3であることがより好ましく、70/30〜95/5であることが更に好ましい。化合物(A)の添加量が多すぎると酸化防止性能の相乗効果が十分に発揮されない場合があり、化合物(A)の添加量が少なすぎると化合物(A)の分散性能が十分に発揮されない場合や、相乗効果が十分に発揮されない場合がある。
【0035】
本発明の潤滑油組成物は、基油と本発明の酸化防止剤組成物を必須の成分とする組成物である。基油としては、潤滑油の基油として使用できるものであればいずれの基油でも使用でき、例えば、ポリ−α−オレフィン、エチレン−α−オレフィン共重合体、ポリブテン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ポリアルキレングリコール、ポリフェニルエーテル、アルキル置換ジフェニルエーテル、ポリオールエステル、二塩基酸エステル、炭酸エステル、GTL(Gas to Liquids)等の合成油;パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油あるいはこれらを精製した精製鉱油類等を用いることができる。これらの基油はそれぞれ単独で用いてもよく、混合物で用いてもよい。これらの基油の中でも、潤滑油としての用途範囲が広いことと、基油の色調が無色透明に近いことから、粘度指数が100以上の基油を使用するのが好ましく、粘度指数が100以上のポリ−α−オレフィン、GTL、精製鉱油の使用がより好ましい。
【0036】
また、本発明の潤滑油組成物の中にはグリースも含まれる。グリースの必須成分である増稠剤としては、石鹸系又はコンプレックス石鹸系増稠剤、有機非石鹸系増稠剤、無機非石鹸系増稠剤及びこれらの混合物等が挙げられる。石鹸系増稠剤としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、ゾーマリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノレイン酸等の高級脂肪酸とアルミニウム、バリウム、カルシウム、リチウム、ナトリウム、カリウム等の塩基を反応させた石鹸や、上記脂肪酸と塩基に更に酢酸、安息香酸、セバシン酸、アゼライン酸、リン酸、ホウ酸等を反応させたコンプレックス石鹸増稠剤等が挙げられる。有機非石鹸系増稠剤としては、テレフタレメート系増稠剤、ウレア系増稠剤、ポリテトラフルオロエチレン、フルオロ化エチレン−プロピレン共重合体等のフッ素系等が挙げられる。ウレア系増稠剤としては、モノイソシアネートとモノアミンを反応させたモノウレア系化合物、ジイソシアネートとモノアミンを反応させたジウレア系化合物、ジイソシアネートとモノアミンとモノオールを反応させたウレアウレタン系化合物、ジイソシアネートとジアミンとモノイソシアネートを反応させたテトラウレア系化合物等が挙げられる。無機非石鹸系増稠剤としては、例えば、モンモリロナイト、ベントナイト、シリカエアロゲル、窒化ホウ素等が挙げられる。これらの増稠剤の配合量は特に限定されないが、グリース組成物全量に対して通常3〜40質量%、好ましくは5〜20質量%になるように配合すればよい。
【0037】
本発明の潤滑油組成物に添加する本発明の酸化防止剤組成物の配合量は特に限定されないが、潤滑油組成物全量に対して0.01〜10質量%が好ましく、0.05〜5質量%がより好ましく、0.1〜3質量%が更に好ましい。0.01質量%未満であると十分な酸化防止効果が得られない場合があり、10質量%を超えると添加量に見合った効果が得られない場合や、潤滑油組成物の製品安定性が悪くなる場合がある。
【0038】
更に、本発明の潤滑油組成物は、公知の潤滑油添加剤の添加を拒むものではなく、使用目的に応じて、摩擦調整剤、摩耗防止剤、極圧剤、油性向上剤、清浄剤、分散剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、防錆剤、腐食防止剤、消泡剤などを本発明の効果を損なわない範囲で添加してもよい。
【0039】
摩擦調整剤としては、例えば、硫化オキシモリブデンジチオカルバメート、硫化オキシモリブデンジチオフォスフェート等の有機モリブデン化合物が挙げられる。これら摩擦低減剤の好ましい配合量は、潤滑油組成物全量に対してモリブデン含量で30〜2000質量ppm、より好ましくは50〜1000質量ppmである。ただし、リン原子を含有している硫化オキシモリブデンジチオフォスフェートより、硫化オキシモリブデンジチオカルバメートの使用が好ましく、炭素数8〜13のアルキル基を持つ硫化オキシモリブデンジチオカルバメートの使用がより好ましい。
【0040】
摩耗防止剤としては、例えば、下記の一般式(11)で表される化合物が挙げられる:
【化11】
[式中、Aは下記の一般式(12)〜(14)のいずれかを表し、R
29〜R
36はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、nは1〜10の数を表す。]
【0042】
R
29〜R
36はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、炭素数1〜3のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基が挙げられる。これらの中でも摩耗防止性能が良好なことから、水素原子及びメチル基が好ましい。これら摩耗防止剤の好ましい配合量は、潤滑油組成物全量に対して0.01〜5質量%、より好ましくは0.1〜3質量%である。
【0043】
極圧剤としては、例えば、硫化油脂、オレフィンポリスルフィド、ジベンジルスルフィド等の硫黄系添加剤;モノオクチルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、トリフェニルフォスファイト、トリブチルフォスファイト、チオリン酸エステル、ジチオリン酸亜鉛等のリン系化合物;チオリン酸金属塩、チオカルバミン酸金属塩、酸性リン酸エステル金属塩等の有機金属化合物などが挙げられる。これら極圧剤の好ましい配合量は、潤滑油組成物全量に対して0.01〜2質量%、より好ましくは0.05〜1質量%である。
【0044】
油性向上剤としては、例えば、オレイルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール類;オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸類;オレイルグリセリンエステル、ステアリルグリセリンエステル、ラウリルグリセリンエステル等のエステル類;ラウリルアミド、オレイルアミド、ステアリルアミド等のアミド類;ラウリルアミン、オレイルアミン、ステアリルアミン等のアミン類;ラウリルグリセリンエーテル、オレイルグリセリンエーテル等のエーテル類が挙げられる。これら油性向上剤の好ましい配合量は、潤滑油組成物全量に対して0.1〜5質量%、より好ましくは0.2〜3質量%である。
【0045】
清浄剤としては、例えば、カルシウム、マグネシウム、バリウムなどのスルフォネート、フェネート、サリシレート、フォスフェート及びこれらの過塩基性塩が挙げられる。これらの中でも過塩基性塩が好ましく、過塩基性塩の中でもTBN(トータルベーシックナンバー)が30〜500mgKOH/gのものがより好ましい。更に、リン及び硫黄原子のないサリシレート系の清浄剤が好ましい。これらの清浄剤の好ましい配合量は、潤滑油組成物全量に対して0.5〜10質量%、より好ましくは1〜8質量%である。
【0046】
分散剤としては、例えば、重量平均分子量約500〜3000のアルキル基またはアルケニル基が付加されたコハク酸イミド、コハク酸エステル、ベンジルアミン又はこれらのホウ素変性物等が挙げられる。これらの分散剤の好ましい配合量は、潤滑油組成物全量に対して0.5〜10質量%、より好ましくは1〜8質量%である。
【0047】
粘度指数向上剤としては、例えば、ポリ(C1〜18)アルキルメタクリレート、(C1〜18)アルキルアクリレート/(C1〜18)アルキルメタクリレート共重合体、ジエチルアミノエチルメタクリレート/(C1〜18)アルキルメタクリレート共重合体、エチレン/(C1〜18)アルキルメタクリレート共重合体、ポリイソブチレン、ポリアルキルスチレン、エチレン/プロピレン共重合体、スチレン/マレイン酸エステル共重合体、スチレン/イソプレン水素化共重合体等が挙げられる。あるいは、分散性能を付与した分散型もしくは多機能型粘度指数向上剤を用いてもよい。重量平均分子量は10,000〜1,500,000、好ましくは30,000〜1,000,000程度である。これらの粘度指数向上剤の好ましい配合量は、潤滑油組成物全量に対して0.1〜20質量%。より好ましくは0.3〜15質量%である。
【0048】
流動点降下剤としては、例えば、ポリアルキルメタクリレート、ポリアルキルアクリレート、ポリアルキルスチレン、ポリビニルアセテート等が挙げられ、重量平均分子量は1000〜100,000、好ましくは3,000〜80,000程度である。これらの流動点降下剤の好ましい配合量は、潤滑油組成物全量に対して0.005〜3質量%、より好ましくは0.01〜2質量%である。
【0049】
防錆剤としては、例えば、亜硝酸ナトリウム、酸化パラフィンワックスカルシウム塩、酸化パラフィンワックスマグネシウム塩、牛脂脂肪酸アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアミン塩、アルケニルコハク酸又はアルケニルコハク酸ハーフエステル(アルケニル基の分子量は100〜300程度)、ソルビタンモノエステル、ノニルフェノールエトキシレート、ラノリン脂肪酸カルシウム塩等が挙げられる。これらの防錆剤の好ましい配合量は、潤滑油組成物全量に対して0.01〜3質量%、より好ましくは0.02〜2質量%である。
【0050】
腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール ベンゾイミダゾール ベンゾチアゾール テトラアルキルチウラムジサルファイド等が挙げられる。これら腐食防止剤の好ましい配合量は、潤滑油組成物全量に対して0.01〜3質量%、より好ましくは0.02〜2質量%である。
【0051】
消泡剤としては、例えば、ポリジメチルシリコーン、トリフルオロプロピルメチルシリコーン、コロイダルシリカ、ポリアルキルアクリレート、ポリアルキルメタクリレート、アルコールエトキシ/プロポキシレート、脂肪酸エトキシ/プロポキシレート、ソルビタン部分脂肪酸エステル等が挙げられる。これらの消泡剤の好ましい配合量は、潤滑油組成物全量に対して0.001〜0.1質量%、より好ましくは0.001〜0.01質量%である。
【実施例】
【0052】
以下、本発明を実施例により、具体的に説明する。
<サンプル>
(A−1):2,4−ジスチレン化フェノール90質量%、2−モノスチレン化フェノー ル5質量%、2,4,6−トリスチレン化フェノール5質量%の混合物
(A−2):2−モノスチレン化フェノール
(A−3):2,4,6−トリスチレン化フェノール
【0053】
(B−1):ジオクチルアミン
【化13】
C
8H
17はいずれも分岐のアルキル基
【0054】
(B−2):N−フェニル−オクチルナフタレン−1−アミン
【化14】
C
8H
17は分岐のアルキル基
【0055】
(C−1):3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸分 岐オクチル
(C−2):3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ―t−ブチルフェニル)プロピオン酸直 鎖オクタデシル
【0056】
(D−1):1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリ2−エチルヘキシルエステル
(D−2):ノニルフェノール
【0057】
<試料の作成>
上記のサンプルを表1の配合に従って配合し、得られた試験サンプルを酸化防止性試験及び安定性試験に使用した。なお、サンプルの(D−1)及び(D−2)は、化合物(A)と比較するための溶剤である。また、試験サンプル1〜11はいずれも常温で透明液体であった。
【0058】
【表1】
【0059】
<酸化防止試験>
JIS K−2514の方法に準拠して行った。具体的には、圧力計を備えた容量100mlの耐圧ボンベの中に、試料50g、水5g、及び触媒として直径1.6mmの銅線3mをコンパクトに丸めたものを入れ、密封した後ボンベ内の圧力が620kPaになるまで酸素を圧入する。このボンベを150℃の恒温槽内で、30℃の角度を保持したまま毎分100回転で回転させる。最初、ボンベ内の圧力は温度がかかることで増加していくが、酸化劣化が始まると酸素を吸収してボンベ内の圧力は低下する。圧力を経時で測定し、圧力が最高になったときから175kPaに低下するまでの時間を求め、これを酸化劣化の誘導期間とした。誘導期間が長いほど酸化防止性能が良好な試料である。なお、試料は上記配合表に従って作成した試験サンプルを下記の基油に0.5質量%になるように添加したものを用いた。また、比較のために使用したサンプル単体の試験も行った。サンプル単体の試験も、サンプルを下記の基油1または2に0.5質量%になるように添加したものを試料として用いた。
【0060】
基油1:動粘度4.24mm
2/秒(100℃)、19.65mm
2/秒(40℃)、粘 度指数=126の鉱物油系基油
基油2:動粘度4.0mm
2/秒(100℃)、18.4mm
2/秒(40℃)、粘度指 数=119のポリαオレフィン
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】
表2及び表3の結果から、本発明の(A)成分と混合したアミン系酸化防止剤(B)及びフェノール系酸化防止剤(C)は、いずれも酸化防止性能が上昇しており、配合による相乗効果が確認できた。一方、(D−1)や(D−2)の他の溶剤では、相乗効果が得られていない。