(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基準電流出力手段は、前記基準電圧生成手段を用いて前記所定の温度勾配として正の温度勾配を有する基準電流を出力する請求項1または請求項2に記載の基準電流出力装置。
前記第2のカレントミラー回路は、前記基準電流を、前記正の一定の温度勾配を有する電流のカレントミラー比に応じた電流として出力するPMOSトランジスタを有する請求項4に記載の基準電流出力装置。
前記変換出力手段は、並列に接続されたサイズの異なる複数のトランジスタを選択的に用いて前記調整用電流を出力する請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の基準電流出力装置。
前記複数のトランジスタのうちの前記調整用電流を出力するために用いられるトランジスタを特定する特定情報と該トランジスタを用いた際に前記変換出力手段から出力される前記調整用電流の大きさを示す調整用電流情報とを対応付けた対応付け情報を予め記憶した記憶手段と、
前記調整用電流情報を受け付ける受付手段と、を更に含み、
前記変換出力手段は、前記受付手段によって受け付けられた調整用電流情報に対応付けられたトランジスタを用いて前記調整用電流を出力する請求項9に記載の基準電流出力装置。
前記変換出力手段は、前記複数のトランジスタと前記重畳出力手段との間に挿入されると共に該複数のトランジスタの各々に各々直列に接続された通常時非導通状態の複数のスイッチング素子を更に備え、前記複数のスイッチング素子のうちの前記受付手段によって受け付けられた調整用電流情報に対応付けられたトランジスタに対応するスイッチング素子が導通状態にされることにより前記調整用電流を出力する請求項10に記載の基準電流出力装置。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、温度の変化に依存して変化することがない電流を生成して出力する絶対温度比例(proportional to absolute temperature;以下、「PTAT」と称する。)電流出力装置が開示されている。特許文献1に記載のPTAT電流出力装置は、バンドギャップ回路によって正の温度勾配を有する電流と負の温度勾配を有する電流とを打ち消すことにより温度の変化に依存して変化することがない電流が生成され、その電流をPチャネル型MOS(metal oxide semiconductor)電界効果トランジスタ(以下、「PMOSトランジスタ」という。)を利用して所定の温度勾配を有する基準電流として出力する機能を有している。なお、本明細書中において、「温度勾配」とは、絶対温度に対する電流値の割合のことをいう。
【0003】
ところで、特許文献1に記載のPTAT電流出力装置を利用して得られる基準電流の特性は、PTAT電流出力装置に搭載されているトランジスタのサイズのばらつきに大きく左右される。そこで、本発明者は、基準電流の特性を調整するために、PTAT電流出力装置について
図10に示すような回路構成の採用を検討した。
図10には、本発明者が検討した電流出力装置100の構成の一例が示されている。同図に示すように、電流出力装置100は、基準電圧生成回路102及び基準電流生成回路104を含んで構成されている。
【0004】
基準電圧生成回路102は、pnp型バイポーラトランジスタ(以下、単に「バイポーラトランジスタ」という。)106,108、PMOSトランジスタ110,112、抵抗器114、オペアンプ116、及び出力端子118を含んで構成されている。なお、バイポーラトランジスタ106のサイズとバイポーラトランジスタ108のサイズとの比(トランジスタ比)は、(バイポーラトランジスタ106のサイズ):(バイポーラトランジスタ108のサイズ)=1:N(1よりも大きい値)で表される。
【0005】
このように構成された基準電圧生成回路102では、抵抗器114に印加される電圧が有する正の温度勾配とバイポーラトランジスタ108に印加される電圧が有する負の温度勾配とが打ち消し合うことによって出力端子118から温度の変化に依存して変化することがない定電圧である基準電圧が出力される。
【0006】
基準電流生成回路104は、基準電圧生成回路102の一部、並列に接続されたサイズの異なるn(2以上の自然数)個のPMOSトランジスタ120A
1〜120A
n、PMOSトランジスタ120B
1〜120B
n、及び出力端子122を含んで構成されており、基準電圧生成回路102の一部及びPMOSトランジスタ120A
1〜120A
nによってカレントミラー回路を構成している。なお、以下、PMOSトランジスタ120A
1〜120A
nを区別して説明する必要がない場合には単に「PMOSトランジスタ120A」と称し、PMOSトランジスタ120B
1〜120B
nを区別して説明する必要がない場合には単に「PMOSトランジスタ120B」と称する。
【0007】
このように構成された基準電流生成回路104では、基準電圧生成回路102の正の温度勾配を有する電流i1(=i2)が、基準電流生成回路104によって基準電流i3として出力端子122から取り出される。この基準電流i3は、PMOSトランジスタ120A
1〜120A
nを選択的に用いることによりカレントミラー比に応じた電流として取り出すことができる。つまり、PTAT電流出力装
置100から出力される電流としての基準電流i3は、PMOSトランジスタ120B
1〜120B
nをスイッチングすることにより調整することができる。ここで、
図11は、縦軸を電流値、横軸を絶対温度として電流出力装置100によって生成される基準電流の調整前後の絶対温度特性を示したグラフであるが、同図によれば、上述のように基準電流i3をPMOSトランジスタ120Aによって調整することによって電流出力装置100から出力される電流を狙いの特性ポイントに合わせ込めることが見て取れる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の例について詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明に係る電流出力装置1に共通の構成を示している。
図2に示した電流出力装置1は、基準電圧生成回路102、基準電流生成回路12、変換出力回路14、及び重畳出力部16を含んで構成されている。
【0017】
基準電圧生成回路102は、温度の変化に依存して変化することがない基準電圧を生成する。
【0018】
基準電流生成回路12は、所定の温度勾配を有する基準電流を出力する。
【0019】
変換出力回路14は、基準電流生成回路102によって生成された基準電圧を電流に変換し、電流をカレントミラー回路を用いて調整用電流として出力する。
【0020】
重畳出力部16は、基準電流生成回路12から出力された基準電流に変換出力回路14から出力された調整用電流を重畳して出力する。
【0021】
以下、
図1に示した本発明にかかる電流出力回路1に共通の構成を基に、正の温度勾配を有する電流を出力する場合、及び負の温度勾配を有する電流を出力する場合における具体的一例をそれぞれ詳細に説明する。
【0023】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る電流出力装置1の要部構成を示すブロック図である。電流出力装置1は、基準電圧生成回路102、基準電流生成回路12、変換出力回路14、及び重畳出力部16を含んで構成されており、PTAT電流を出力する回路構成となっている。
【0024】
基準電圧生成回路102は、基準電流生成回路12と変換出力回路14とに各々接続されている。また、基準電流生成回路12と重畳出力部16とは、変換出力回路14に各々接続されている。
【0025】
基準電圧生成回路102は、例えば、バンドギャップ電圧を生成する回路であり、正の温度勾配を有する電流と負の温度勾配を有する電流とを打ち消すことにより温度の変化に依存して変化することがない基準電圧を生成するものである。基準電圧生成回路102には、基準電圧を生成するために用いられる正の一定の温度勾配を有する電流を基準電流生成回路12に供給する電流供給源102Cが設けられている。
【0026】
基準電流生成回路12は、電流供給源102Cから供給される正の一定の温度勾配を有する電流を正の温度勾配を有する基準電流に変換して出力するものである。
【0027】
変換出力回路14は、基準電流生成回路12によって生成された温度の変化に依存して変化することがない基準電圧を電流に変換し、変換して得た電流をカレントミラー回路(第2のカレントミラー回路)を用いて調整用電流として出力するものである。
【0028】
重畳出力部16は、基準電流生成回路12から出力された基準電流に変換出力回路14から出力された調整用電流を重畳し、重畳して得た重畳電流(PTAT電流)を出力するものである。
【0029】
次に
図3を参照しながら電流出力装置1の具体的な回路構成を説明する。なお、
図3は、本発明の第1の実施形態に係る電流出力装置1の構成の一例を示す構成図である。同図に示すように、電流出力装置1は、基準電圧生成回路102、基準電流生成回路12、変換出力回路14、重畳出力部16、制御部18、UIパネル20、温度センサ21、及び出力端子10Aを含んで構成されている。
【0030】
基準電圧生成回路102は、pnp型バイポーラトランジスタ(以下、単に「バイポーラトランジスタ」という。)106,108、PMOSトランジスタ110,112、抵抗器114、及びオペアンプ116を含んで構成されている。なお、バイポーラトランジスタ106のサイズとバイポーラトランジスタ108のサイズとの比(トランジスタ比)は、(バイポーラトランジスタ106のサイズ):(バイポーラトランジスタ108のサイズ)=1:N(1よりも大きい値)で表される。
【0031】
PMOSトランジスタ110,112のソース端子は、電流出力装置10を駆動させるための駆動用の直流電圧が印加された電圧線vddに接続されている。また、PMOSトランジスタ110のドレイン端子は、バイポーラトランジスタ106のエミッタ端子及びオペアンプ116の非反転入力端子に接続されている。また、PMOSトランジスタ1122のドレイン端子は、抵抗器114の一端、及びオペアンプ116の反転入力端子に接続されている。また、抵抗器114の他端はバイポーラトランジスタ108のエミッタ端子に接続されている。また、オペアンプ116の出力端子は、PMOSトランジスタ110,112の各ゲート端子に接続されている。また、バイポーラトランジスタ106のコレクタ端子は接地されており、このコレクタ端子にバイポーラトランジスタ106のベース端子が接続されている。更に、バイポーラトランジスタ108のコレクタ端子は接地されており、このコレクタ端子にバイポーラトランジスタ108のベース端子が接続されている。
【0032】
基準電流生成回路12は、基準電圧生成回路102の一部及びPMOSトランジスタ24を含み、基準電圧生成回路102の一部及びPMOSトランジスタ24によってカレントミラー回路が構成されている。つまり、このカレントミラー回路は、PMOSトランジスタ24のソース端子が電圧線vddに接続され、PMOSトランジスタ24のゲート端子が電流供給源102Cとしてのオペアンプ116の出力端子に接続され、PMOSトランジスタ24のドレイン端子が重畳出力部16を介して出力端子10Aに接続されることによって構成されている。従って、PMOSトランジスタ24は、電流i1(=i2)に相当する電流をカレントミラー比に応じた電流(基準電流i3’)にして出力することができる。
【0033】
変換出力回路14は、電圧電流変換部26及び調整用電流出力部28を含んで構成されている。電圧電流変換部26は、基準電圧生成回路102から出力された基準電圧を電流に変換して出力するものであり、オペアンプ30及び直列回路32を含んで構成されている。直列回路32は、PMOSトランジスタ32A及び抵抗器32Bを含んで構成されている。PMOSトランジスタ32Aのソース端子は電圧線vddに接続されている。抵抗器32Bの一端は、PMOSトランジスタ32Aのドレイン端子及びオペアンプ30の非反転端子に接続されている。抵抗器32Bの他端は接地されている。
【0034】
オペアンプ30の非反転端子は、基準電圧生成回路102の配線(本発明の第1の実施形態では、PMOSトランジスタ112と抵抗器114及びオペアンプ116の反転入力端子とを接続している配線)に接続されている。オペアンプ30の出力端子は、PMOSトランジスタ32Aのゲート端子に接続されている。
【0035】
調整用電流出力部28は、トランジスタ・ユニット34及び切替部36を含んで構成されている。トランジスタ・ユニット34は、基準電圧・電流出力回路12から出力された基準電流i3’を調整するための調整用電流i4を出力するものであり、並列に接続されたサイズの異なるPMOSトランジスタ34A
1〜34A
nを有している。PMOSトランジスタ34A
1〜34A
nの各々のソース端子は電圧線vddに接続されている。なお、本発明の第1の実施形態に係るPMOSトランジスタ34A
1〜34A
nは、各サイズがゲート長を固定してゲート幅を変えることによって決定され、PMOSトランジスタ34A
1からPMOSトランジスタ34A
nにかけて所定倍ずつ(例えば、2のべき乗数倍や3のべき乗数倍などの所定の等比数列に従って)大きくなるように設計されている。なお、所定の等比数列に従ってサイズを大きくすることによって、出力される調整用電流i4や重畳電流の電流値を推定し易くすることができる。
【0036】
また、トランジスタ・ユニット34は、電圧電流変換部26に接続されている。具体的には、PMOSトランジスタ34A
1〜34A
nの各ゲート端子が電圧電流変換部26のオペアンプ30の出力端子に接続され、電圧電流変換部26及びPMOSトランジスタ34A
1〜34A
nによってカレントミラー回路が構成される。そのため、PMOSトランジスタ34A
1〜34A
nの各々は、電圧電流変換部26の直流回路32に流れる電流i5をカレントミラー比に応じた電流である調整用電流i4にして出力する。なお、電流i5の電流値は、抵抗器32Bの抵抗値をRとし、オペアンプ30の反転入力端子に印加される電圧をV
BGとすると、V
BG/Rで表すことができる。
【0037】
また、オペアンプ30の出力は、基準電圧生成回路102によって生成された基準電圧に応じて決定される。そのため、PMOSトランジスタ34A
1〜34A
nの各々から出力される電流の特性は、基準電圧生成回路102によって生成された基準電圧の特性に依存する。従って、基準電圧生成回路102の構成部品の特性を変更(例えば、バイポーラトランジスタ106,108のトランジスタ比を変更)して基準電圧の特性を変えることにより、PMOSトランジスタ34A
1〜34A
nの各々から出力される電流の特性を変えることができる。
【0038】
切替部36は、PMOSトランジスタ34A
1〜34A
nの何れから出力される電流を調整用電流i4として用いるかを切り替えるためのものであり、PMOSトランジスタ36A
1〜36A
nを有している。なお、以下では、PMOSトランジスタ34A
1〜34A
nを区別して説明する必要がない場合には単に「PMOSトランジスタ34A」と称し、PMOSトランジスタ36A
1〜36A
nを区別して説明する必要がない場合には単に「PMOSトランジスタ36A」と称する。
【0039】
PMOSトランジスタ36A
1〜36A
nの各ソース端子はPMOSトランジスタ34A
1〜34A
nのうちの対応するPMOSトランジスタ34Aのドレイン端子に接続されている。つまり、PMOSトランジスタ36A
1のソース端子は、PMOSトランジスタ34A
1のドレイン端子に接続されており、PMOSトランジスタ36A
nのソース端子は、PMOSトランジスタ34
nのドレイン端子に接続されている。また、PMOSトランジスタ36A
1〜36A
nの各ドレイン端子は重畳出力部16に接続されている。
【0040】
従って、PMOSトランジスタ34A
1〜34A
nから出力される電流は、PMOSトランジスタ36A
1〜36A
nがスイッチングされる(ゲート端子に、絶対値がスレッシュホルド電圧の絶対値を超える電圧であるオン電圧が印加される)ことにより調整用電流i4として調整用電流出力部28から出力される。つまり、複数のPMOSトランジスタ36Aがスイッチングされると、これらのPMOSトランジスタ36Aに対応するPMOSトランジスタ34Aの各々から出力される電流を重畳して得た電流が調整用電流i4として調整用電流出力部28から出力され、単一のPMOSトランジスタ36Aがスイッチングされると、このPMOSトランジスタ36Aに対応するPMOSトランジスタ34Aから出力される電流が調整用電流i4として調整用電流出力部28から出力される。
【0041】
重畳出力部16は、調整用電流出力部28の調整用電流出力部28と基準電流生成回路12のPMOSトランジスタ24のドレイン端子とを接続した部分であり、電流出力装置1の出力端子10Aに接続されている。従って、出力端子10Aからは、PMOSトランジスタ24のドレイン端子から出力された基準電流i3’に調整用電流出力部28から出力された調整用電流i4を重畳して得た電流である重畳電流i6が出力される。なお、PMOSトランジスタ36A
1〜36A
nがスイッチングされない場合、出力端子10Aからは基準電流i3’が出力される。
【0042】
制御部18は、所定のプログラムの処理を実行することにより電流出力装置1全体を制御するCPU(中央処理装置)、電流出力装置1の作動を制御する制御プログラム及び後述する基準電流調整処理プログラムが予め記憶された記憶媒体であるROM(Read Only Memory)、各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられる記憶媒体であるRAM(Random Access Memory)、及びハードディスク装置などを含んで構成された汎用的なコンピュータである。なお、ROMには、PMOSトランジスタ34A
1〜34A
nのうちの調整用電流として出力するために用いられるPMOSトランジスタ34Aに対応するPMOSトランジスタ36A(PMOSトランジスタ34Aに直列に接続されたPMOSトランジスタ36A)を示すトランジスタ特定情報とこのトランジスタ特定情報により示されるPMOSトランジスタ36Aのスイッチングにより調整用電流出力部28から出力される調整用電流i4の大きさ(電流値)とを対応付けたテーブルが予め記憶されている。
【0043】
UIパネル20は、例えばディスプレイ上に透過型のタッチパネルが重ねられたタッチパネルディスプレイ等から構成され、各種情報がディスプレイの表示面に表示されると共に、ユーザがタッチパネルに触れることにより所望の情報や指示が入力される。なお、UIパネル20は必要に応じて適宜設置されるものであるが、操作性の向上の観点から設置しておくことが好ましい。
【0044】
温度センサ21は、電流出力装置1の所定箇所(例えば、PMOSトランジスタ24の近傍)の絶対温度を検出するものである。
【0045】
制御部18は、出力端子10A、UIパネル20、温度センサ21、及び切替部36に接続されている。従って、制御部18は、出力端子10Aから出力される電流の大きさの把握と、温度センサ21によって検出された絶対温度の把握と、UIパネル20への各種情報の表示と、UIパネル20に対するユーザの操作指示内容の把握と、UIパネル20を介して入力されたユーザの操作指示に応じた切替部36の制御(PMOSトランジスタ36A
1〜36A
nのスイッチング動作の制御)と、を各々行うことができる。
【0046】
次に、電流出力装置1の作用を説明する。
【0047】
PMOSトランジスタ36A
1〜36A
nがスイッチングされていない状態(PMOSトランジスタ36A
1〜36A
nがオフ状態)で、電圧線vddに駆動用電圧が印加されると、これに応じてPMOSトランジスタ24のドレイン端子から一例として
図4に示すように基準電流i3’が出力される。
【0048】
ところで、電流出力装置1では、PMOSトランジスタ24やその他の素子の製造ばらつきなどが原因で基準電流i3’の電流値が一例として
図4に示すように、要求する電流値を下回ってしまう場合、基準電流i3’の電流値を温度勾配を変えずに所定の電流値に調整するための基準電流調整処理が実行可能となる。
【0049】
次に、
図5を参照して、基準電流調整処理が実行されているときの電流出力装置1の作用を説明する。なお、
図5は、UIパネル20を介して基準電流調整処理の実行の指示が入力された際に電流出力装置1の制御部18により実行される基準電流調整処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、このプログラムはROMの所定領域に予め記憶されている。
【0050】
同図のステップ100では、出力端子10Aから出力された基準電流i3’の電流値と温度センサ21によって検出された絶対温度とを検出するまで待機した後、ステップ102に移行し、上記ステップ100の処理を所定回数(一例として5回)実行したか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ100に戻る一方、肯定判定となった場合にはステップ104に移行する。
【0051】
ステップ104では、上記ステップ100の処理によって検出された結果を用いて、出力端子10Aから出力された基準電流i3’の電流値と温度センサ21によって検出された絶対温度との相関(現実の温度勾配)を示す現実相関情報(例えば現実の温度勾配を有するグラフ(一例として
図4に示すi3’のグラフ)を示す情報)を生成する。
【0052】
次のステップ106では、基準電流i3’に対して要求する絶対温度と電流値との理想の相関(理想の温度勾配)を示す理想相関情報(例えば理想の温度勾配を有するグラフ(一例として
図4に示すi6のグラフ)を示す情報)の入力待ちを行った後、ステップ108に移行し、上記ステップ104の処理によって生成された現実相関情報と上記ステップ106の処理によって入力された理想相関情報とを比較し、次のステップ110にて、上記ステップ108の処理によって比較した結果、現実相関情報と理想相関情報とが所定の誤差(例えば±0.1%)内で一致していないか否かを判定し、否定判定となった場合には本基準電流調整処理プログラムを終了する一方、肯定判定となった場合にはステップ112に移行し、現実相関情報と理想相関情報とを所定の誤差内で一致させるために必要な調整用電流i4を調整用電流出力部28から出力させるように調整用電流出力部28を制御した後、本基準電流調整処理プログラムを終了する。
【0053】
上記ステップ112では、現実相関情報と理想相関情報とを所定の誤差内で一致させるために基準電流i3’に重畳すべき調整用電流i4(温度変化に特性が左右されない電流)を調整用電流出力部28から出力させるように、ROMに記憶されているテーブルを参照して、ソース端子及びドレイン端子間を導通状態にしなければならないPMOSトランジスタ36Aを特定し、特定したPMOSトランジスタ36Aのゲート端子にオン電圧を印加することにより調整用電流出力部28を制御する。これにより、重畳出力部16では、基準電流生成回路12のPMOSトランジスタ24から出力された基準電流i3’に調整用電流出力部28から出力された調整用電流i4が重畳され、重畳電流i6として出力端子10Aから出力される。
【0054】
従って、本発明の第1の実施形態に係る電流出力装置1によれば、例えば無線通信装置の使用を保証する温度範囲を−20℃〜80℃に設定した場合、−20℃〜80℃の温度範囲で同じ温度勾配を有する重畳電流i6を取り出すことが可能となる。
【0055】
以上詳細に説明したように、本発明の第1の実施形態に係る電流出力装置1では、基準電流生成回路12により基準電流i3’を出力し、変換出力回路14により、基準電圧生成回路102から出力された基準電圧を調整用電流i4に変換して出力し、重畳出力部16により、基準電流i3’に調整用電流i4を重畳して重畳電流i6を出力するので、基準電流i3’の大きさを温度勾配(本発明の第1の実施形態では、正の温度勾配)を維持したまま調整することができる。
【0056】
また、本発明の第1の実施形態に係る電流出力装置1では、変換出力回路14により、並列に接続されたサイズの異なるPMOSトランジスタ34A
1〜34A
nを選択的に用いて調整用電流i4を出力するので、重畳電流i6を容易かつ高精度に調整することができる。
【0057】
また、本発明の第1の実施形態に係る電流出力装置1では、PMOSトランジスタ34A
1〜34A
nのうちの調整用電流i4を出力するために用いられるPMOSトランジスタ34Aを特定する特定情報としてPMOSトランジスタ34Aに直列に接続されたPMOSトランジスタ36Aを示すトランジスタ特定情報とこのトランジスタ特定情報により示されるPMOSトランジスタ36Aのスイッチングにより調整用電流出力部28から出力される調整用電流i4の大きさとを対応付けた対応付け情報としてのテーブルを記憶手段としてのROMに予め記憶し、UIパネル20により、理想の調整用電流i4の大きさを示す調整用電流情報を含む理想相関情報を受け付け、変換出力回路14は、UIパネル20によって受け付けられた理想相関情報に含まれる調整用電流情報により示される理想の調整用電流i4の大きさに対応付けられたトランジスタ特定情報により示されるPMOSトランジスタ36Aをスイッチングすることにより、このPMOSトランジスタ36Aに対応するPMOSトランジスタ34Aから出力される電流を調整用電流i4として調整用電流出力部28から出力するので、調整用電流i4を容易かつ高精度に微調整することができる。
【0058】
更に、本発明の第1の実施形態に係る電流出力装置1では、トランジスタ・ユニット34と重畳出力部16との間に挿入されると共にPMOSトランジスタ34Aの各々に各々直列に接続された通常時非導通状態の複数のPMOSトランジスタ36AのうちのUIパネル20によって受け付けられた理想相関情報に含まれる調整用電流情報により示される理想の調整用電流i4の大きさに対応付けられたトランジスタ特定情報により示されるPMOSトランジスタ36Aをスイッチングすることにより調整用電流i4を調整用電流出力部28から出力するので、調整用電流i4をより一層容易かつ高精度に微調整することができる。
【0059】
なお、本発明の第1の実施形態では、PTAT電流出力回路10を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、正の温度勾配を有する基準電流i3’を出力する電流出力回路であれば如何なるものも適用可能である。
【0060】
また、本発明の第1の実施形態では、バンドギャップ電圧を生成する基準電圧生成回路102を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、基準電流生成回路12に正の温度勾配を有する電流を供給することができ、かつ変換出力回路14に基準電圧を供給することができる基準電圧生成回路であれば如何なるものも適用可能である。
【0062】
上記第1の実施形態では、正の温度勾配を有する電流を基準電流として取り出す場合の形態例を挙げて説明したが、本発明の第2の実施形態では、負の温度勾配を有する電流を基準電流として取り出す場合の形態例を挙げて説明する。なお、本発明の第2の実施形態では、上記第1の実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0063】
図6は、本発明の第2の実施形態に係る電流出力装置50の要部構成を示すブロック図である。同図に示すように、電流出力装置50は、上記第1の実施形態に係る電流出力装置1に比べ、基準電流生成回路12に代えて基準電流生成回路52を適用した点、重畳出力部16と基準電流生成回路52とを接続した点、重畳出力部16に、基準電流生成回路12に代えて基準電流生成回路52を接続した点が異なっている。但し、電流出力装置50は、あくまでも好適な一例であり、電流出力装置50を構成している回路素子を他の回路素子に置き換えたり、それに伴って接続形態を変更したりすることによって同様の効果を得られる電流出力装置であってもよいことは言うまでもない。なお、同図では、制御部18、UIパネル20、及び温度センサ21の図示を省略している。
【0064】
基準電流生成回路52は、負の温度勾配を有する基準電流を生成して出力するものである。より詳しくは、基準電流生成回路52は、PMOSトランジスタ32Aのゲート端子に印加される電圧をカレントミラー回路(第3のカレントミラー回路)により取り出し、その電圧を用いて負の温度勾配を有する電圧を生成し、生成した電圧を電流に変換してからその電流をカレントミラー回路(第4のカレントミラー回路)により取り出すものである。
【0065】
次に
図7を参照しながら電流出力装置50の具体的な回路構成を説明する。なお、
図7は、本発明の第2の実施形態に係る電流出力装置50の構成の一例を示す構成図である。同図に示すように、基準電流生成回路52は、負電圧生成回路52A、電圧電流変換回路52B、及び出力部52Cを含んで構成されている。
【0066】
負電圧生成回路52Aは、負の一定の温度勾配を有する電圧を生成して出力するものであり、PMOSトランジスタ54及びバイポーラトランジスタ56を含んで構成されている。
【0067】
バイポーラトランジスタ56のコレクタ端子は接地されており、このコレクタ端子にバイポーラトランジスタ56のベース端子が接続されている。
【0068】
PMOSトランジスタ54のゲート端子はオペアンプ30の出力端子に接続されている。また、PMOSトランジスタ54のソース端子は電圧線vddに、PMOSトランジスタ54のドレイン端子はバイポーラトランジスタ56のエミッタ端子に各々接続されている。これにより、電圧電流変換部26及びPMOSトランジスタ54によってカレントミラー回路(第3のカレントミラー回路)が構成される。そのため、PMOSトランジスタ54は、電圧電流変換部26の直流回路32に流れる電流i5をカレントミラー比に応じた電流にして出力し、この電流とバイポーラトランジスタ56による負の温度勾配を有する電流とが打ち消し合うことによってPMOSトランジスタ54とバイポーラトランジスタ56との接続点66に負の一定の温度勾配(例えば、−2mv/℃)を有する電圧V
beが生成される。
【0069】
電圧電流変換回路52Bは、負電圧生成回路52Aから出力された電圧V
beを電流に変換して出力するものであり、オペアンプ58及び直列回路59を含んで構成されている。直列回路59は、PMOSトランジスタ60及び抵抗器62を含んで構成されている。PMOSトランジスタ60のソース端子は電圧線vddに接続されている。抵抗器62の一端は、PMOSトランジスタ60のドレイン端子及びオペアンプ58の非反転端子に接続されている。抵抗器62の他端は接地されている。オペアンプ58の非反転端子は、負電圧生成回路52Aの接続点66に接続されている。オペアンプ58の出力端子は、PMOSトランジスタ60のゲート端子に接続されている。なお、電流i6の電流値は、抵抗器62の抵抗値をR’とすると、V
be/R’で表すことができる。
【0070】
出力部52Cは、PMOSトランジスタ64を備えている。PMOSトランジスタ64のソース端子は電圧線vddに、PMOSトランジスタ64のドレイン端子は重畳出力部16に接続されている。つまり、基準電流生成回路52では、電圧電流変換回路52B及び出力部52CのPMOSトランジスタ64によってカレントミラー回路(第4のカレントミラー回路)が構成されている。従って、PMOSトランジスタ64は、電圧電流変換回路52Bによって電圧V
beが変換されて得られた負の温度勾配を有する電流をカレントミラー比に応じた電流(負の温度勾配を有する基準電流i3’)にして出力することができる。
【0071】
このように構成された電流出力装置50によれば、重畳出力部16にて、基準電流生成回路52のPMOSトランジスタ64から出力された負の温度勾配を有する基準電流i3’に調整用電流出力部28から出力された調整用電流i4が重畳され、一例として
図8に示すように、重畳電流i6として出力端子10Aから出力されるので、基準電流i3’の大きさを温度勾配(本発明の第2の実施形態では、負の温度勾配)を維持したまま調整することができる。
【0072】
なお、上記第2の実施形態では、PMOSトランジスタ54を用いて負の温度勾配を有する電圧を生成する形態例を挙げて説明したが、PMOSトランジスタ54に代えて定電流源を適用してもよい。
図9は、上記第2の実施形態に係る電流出力装置50の変形例であるPTAT電流出力装置80の構成の一例を示す構成図である。同図に示すように、PTAT電流出力装置80は、上記第2の実施形態に係る電流出力装置50に比べ、PMOSトランジスタ54に代えて定電流源80を適用した点、及び接続点66に代えて定電流源80とバイポーラトランジスタ56との接続点84を適用した点のみが異なっている。従って、PTAT電流出力装置80でも、上記第2の実施形態に係る電流出力装置50と同様に接続点84に電圧V
beが生成されるため、基準電流i3’の大きさを負の温度勾配を維持したまま調整することができる、という効果が得られる。しかし、この効果をコストの増大かつ装置の大型化を抑制しつつ得たいのであれば、上記第2の実施形態に係る電流出力装置50の構成の方が好ましい。
【0073】
また、上記第2の実施形態では、バンドギャップ電圧を生成する基準電圧生成回路102を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、基準電流生成回路12に正の温度勾配を有する電流を供給することができ、かつ変換出力回路14に基準電圧を供給することができる基準電圧生成回路であれば如何なるものも適用可能である。
【0074】
また、上記第1の実施形態では、正の温度勾配を有する重畳電流i6を取り出す場合の形態例を挙げ、上記第2の実施形態では、負の温度勾配を有する重畳電流i6を取り出す場合の形態例を挙げて説明したが、これに限らず、本発明を適用することにより温度勾配が“0”の重畳電流i6を取り出すことができることは言うまでもない。
【0075】
また、上記各実施形態では、制御部18により調整用電流出力部28の切替部36を制御する場合の形態例を挙げて説明したが、制御部18を介さずに現実相関情報を理想相関情報に所定の誤差内で一致させるためにソース端子及びドレイン端子間を導通状態にすべきPMOSトランジスタ36Aのゲート端子にオン電圧を印加するようにしてもよい。
【0076】
また、上記各実施形態では、複数のPMOSトランジスタ34Aを含んで構成されたトランジスタ・ユニット34を適用した場合の形態例を挙げて説明したが、基準電圧・電流出力回路12によって出力される基準電流i3’の特性が予め把握できているのであれば、トランジスタ・ユニット34に代えて単一のPMOSトランジスタを適用してもよい。この場合、このPMOSトランジスタから出力される電流が調整用電流i4として用いられるため、この電流の特性も予め把握しておく必要がある。なお、このようにトランジスタ・ユニット34に代えて単一のPMOSトランジスタを適用することにより、制御部18、UIパネル20、温度センサ21、及び切替部36は不要となり、部品点数を削減することができる。
【0077】
また、上記各実施形態では、バイポーラトランジスタ106,108を有する基準電圧生成回路102を適用した場合の形態例を挙げて説明したが、これに限らず、例えば、バイポーラトランジスタに代えてダイオード接続されたトランジスタを適用してもよい。このように、基準電圧生成回路102と同様に基準電圧(定電圧)を生成することができるバンドギャップ基準電圧生成回路であれば如何なるものであってもよい。
【0078】
また、上記各実施形態では、PMOSトランジスタ34A
1〜34A
nのサイズを所定倍ずつ大きくなるように設計した形態例を挙げて説明したが、これに限らず、PMOSトランジスタ34A
1〜34A
nのサイズは、要求される電流値の微調整量に応じて決定すればよい。
【0079】
また、上記各実施形態では、制御部18としての機能を実現させるための形態として、ソフトウェア的な形態を例に挙げて説明したが、これに限らず、各種回路(一例として、ASIC(Application Specific Integrated Circuit))を接続して構成されるハードウェア的な形態やハードウェア的な形態とソフトウェア的な形態とを組み合わせた形態などが例示できる。