(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば150dpi以上の高精細なドットパターンをインクジェット法により形成した場合、当該ドットパターンにスジが目視されるようになる場合がある。これは、1つの反射ドットを形成するインクの裾部分が硬化する前に広がって、隣り合う反射ドットの外縁同士の距離が縮まったり、接触したりすることが原因と考えられる。このようなドットパターンを有する導光板は、外観品位が低いだけでなく、均一性の高い面状の光を出射することができないという問題がある。
【0006】
本願発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、ドットパターンをインクジェット法により形成する場合において、外観品位が高く、均一性の高い面状の光を出射することが可能な導光板の製造方法および製造装置、導光板、これを備えた面光源装置および透過型画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る導光板の製造方法は、インクを滴下する印刷部に対して相対的に移動される樹脂シートの表面にドットパターンを印刷する印刷工程と、印刷工程の後、
反射ドットを形成する形成部に対して相対的に移動されてくる樹脂シートの表面に印刷されたドットパターンを形成するインクに対し、硬化処理を施して反射ドットを形成する形成工程と、ドットパターンを構成する1つのドットを形成するために必要なインクの総量の液滴直径と、インクが硬化処理される際のドットの直径とに基づいて、樹脂シートの相対的な移動の速度およびインクを滴下する位置と硬化処理を施す位置との距離の少なくとも一方を調整する調整工程と、を有している。
【0008】
本発明に係る導光板の製造装置は、インクを滴下する印刷部に対して相対的に移動される樹脂シートの表面にドットパターンを印刷する印刷部と、印刷部によって印刷された後、相対的に移動されてくる樹脂シートに印刷されたドットパターンを形成するインクに対し、硬化処理を施して反射ドットを形成する形成部と、ドットパターンを構成する1つのドットを形成するために必要なインクの総量の液滴直径と、インクが硬化処理される際のドットの直径とに基づいて、樹脂シートの相対的な移動の速度およびインクを滴下する位置と硬化処理を施す位置との距離の少なくとも一方を制御する制御部と、を備えている。
【0009】
この発明によれば、上記液滴直径およびドットの直径に基づいて、搬送手段の搬送速度およびノズルと照射部との距離の少なくとも一方を調整することにより、樹脂シートの表面にインクが滴下されてから硬化するまでの時間をコントロールすることができる。これにより、形成される反射ドットの直径を厳密に管理し、隣接する反射ドットの外縁間の距離を調整することができるので、ドットパターンにおけるスジの発生を抑制することが可能となる。この結果、ドットパターンをインクジェット法により形成する場合において、外観品位が高く、均一性の高い面状の光を出射することが可能な導光板を製造することが可能となる。
【0010】
また、本発明に係る導光板の製造方法においては、調整工程は、1つのドットを形成するために必要なインクの総量の液滴直径をD1、ドットの直径をD2、隣接するドットの中心間距離をLとしたとき、D2/D1<7.6、かつ、D2<Lとなるように、相対的な移動の速度および距離の少なくとも一方を調整していてもよい。
【0011】
また、本発明に係る導光板の製造装置は、制御部は、液滴直径をD1、ドットの直径をD2、隣接するドットの中心間距離をLとしたとき、D2/D1<7.6、かつ、D2<Lとなるように、
相対的な移動の速度および距離の少なくとも一方を調整してもよい。
【0012】
この発明によれば、反射ドットの外縁同士の距離をスジの発生が抑制できるような距離に調整することができ、より確実に、外観品位が高く、均一性の高い面状の光を出射することが可能な導光板を製造することが可能となる。
【0013】
また、本発明に係る導光板の製造方法では、インクが紫外線硬化インクであり、硬化処理が紫外線照射であってもよい。
【0014】
本発明に係る導光板は、上記導光板の製造方法によって得ることができる。この導光板は、外観品位が高く、均一性の高い面状の光を出射することが可能である。
【0015】
本発明に係る面光源装置は、上記の導光板と、この導光板の端面に光を供給する光源と、備える構成とすることができる。また、本発明に係る透過型画像表示装置は、上記面光源装置と、面光源装置の導光板と対向配置された透過型画像表示部と、備えた構成とすることができる。
【0016】
この面光源装置および透過型画像表示装置によれば、スジの発生が抑制された外観品位が高い導光板を備えているので、均一性の高い面状の光を出射することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ドットパターンをインクジェット法により印刷する場合において、外観品位が高く、均一性の高い面状の光を出射することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、同一または相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0020】
(透過型画像表示装置)
透過型画像表示装置1は、透過型画像表示部10と、
図1において透過型画像表示部10の背面側に配置された面光源装置20とを備えている。以下の説明では、
図1に示すように、面光源装置20と透過型画像表示部10の配列方向をZ方向(板厚方向)と称し、Z方向に直交する2方向であって互いに直交する2方向をX方向およびY方向と称す。
【0021】
透過型画像表示部10としては、例えば液晶セル11の両面に直線偏光板12,12が配置された液晶表示パネルが挙げられる。この場合、透過型画像表示装置1は液晶表示装置(又は液晶テレビ)である。液晶セル11,偏光板12,12は、従来の液晶表示装置等の透過型画像表示装置1に内蔵されているものを用いることができる。液晶セル11としてはTFT型、STN型等の公知の液晶セルが例示される。
【0022】
(面光源装置)
図2は、本発明に係る面光源装置の一実施形態の構成を模式的に示す背面図である。面光源装置20は、
図1および
図2に示すように、導光板30と、導光板30の側面(端面)33と対向して配置されたLED光源22とを備えたエッジライト型面光源装置である。なお、導光板30の正面側において、導光板30と透過型画像表示部10との間に、各種フィルム41が配置されている構成でもよい。各種フィルム41としては、拡散フィルム、プリズムフィルム、輝度向上フィルムなどが挙げられる。
【0023】
(光源)
LED光源22は、面光源装置20の点状光源として機能するものであり、
図2に示すように、導光板30のY軸方向に延在する側面33,33と対向して配置されている。複数のLED光源22は、側面33の長手方向(Y軸方向)に沿って、離散的に配置されている。LED光源22の配置間隔は、通常5mm〜20mmである。点状光源は、導光板30の4辺と対向するように配置、X軸方向に対向する2辺、Y軸方向に対向する2辺に配置、1辺のみに配置されている構成でもよい。また、点状光源は、LED光源に限らずその他の点状光源でもよい。さらに、光源は、点状光源に限定されず、線状光源(CCFL:冷陰極管)が配置されている構成でもよい。
【0024】
LED光源22は、白色LEDでもよく、一つの箇所に複数のLEDを配置して一つの光源単位を構成してもよい。例えば、一つの光源単位として、赤色、緑色、青色の異なる三色のLEDが、近接され並べられて配置されていてもよい。そして、複数のLEDを有する光源単位が、上述した配置方向に従い離散的に配置される。このような場合には、異なるLED同士は可能な限り近づけられて配置されていることが好ましい。
【0025】
LED光源22としては、様々な出光分布を有するものが使用可能であるが、LED光源の法線方向(X軸方向)の光度が最大であり、光度分布の半値幅が40度以上80以下である出光分布を有するものが、好適である。また、LED光源のタイプとしては、具体的に、ランバーシアン型、砲弾型、サイドエミッション型などが挙げられる。
【0026】
(導光板)
導光板30は、
図2に示すように、長方形を成し、平面視形状のサイズは目的とする透過型画像表示部10の画面サイズに適合するように選択される。導光板30の平面視形状は、長方形に限らず、正方形としてもよいが、以下では、特に断らない限り、長方形として説明する。
【0027】
導光板30は、光を透過させる透光性樹脂から形成され板状を成している。透光性樹脂の屈折率は通常、1.49〜1.59である。導光板30に使用される透光性樹脂としては、メタクリル樹脂が主として用いられる。透光性樹脂としては、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、環状オレフィン樹脂、MS樹脂(アクリルとスチレンの共重合体)等を用いることができる。なお、導光板30は、シート状でもよく、フィルム状でもよい。導光板30の厚みTは、1.0mm以上4.5mm以下であることが好ましい。さらに、導光板30には、光拡散剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、光重合安定剤などの添加剤が添加されていてもよい。
【0028】
導光板30は、Z軸方向(厚み方向)に対向する一対の主面である表面31および背面32、X軸方向に対向する一対の側面33,33、およびY軸方向に対向する一対の側面34,34を備えている。表面31および背面32は、側面33,34と交差する方向に形成されている。
【0029】
Z軸方向に対向する一対の主面のうち一方の表面31は、面状の光を出射可能な出射面として機能する。出射面としての表面31は、透過型画像表示部10側に配置され、他方の主面(背面32)は、透過型画像表示部10とは反対側に配置される。また、背面32と対面する位置には、導光板30内の光を表面31である出射面側へ反射させる反射シート42が配置されている。透光性樹脂シート35の反射ドット51が形成される表面(背面32)とは反対側の表面31は、本実施形態のように平坦面であってもよいが、凹凸形状を有していてもよい。
【0030】
凹凸形状を付与する場合、Z軸方向の外側へ凸である複数の凸状部を形成し、その凸状部が、X軸方向(一方向)に延在し、Y軸方向に複数並列して配置する方法が例示される。凸状部の形状としては、プリズム形状、半円形状、半楕円形状等が例示され、1つの凸状部(形状単位)の中で連続的に変化する形状であることが好ましい。なお、凸状部の延在する方向は、光源からの光が導光板側面に入射する方向と平行であることが好ましい。
【0031】
(反射加工)
また、
図2および
図3に示すように、導光板30の背面32には、光を乱反射させる反射加工として所定のドットパターン50に配置される反射ドット51が形成されている。本実施形態の導光板30では、当該ドットパターン50がインクジェット法により印刷されている。ドットパターン50の印刷には、光を拡散させる拡散粒子を有するインクが使用されている。ドットパターン50を構成する各反射ドット51は、格子状に配置されていてもよい。配置格子としては、正方格子、三角格子、立方格子、六方格子、篭目格子等が例示される。また、各反射ドット51は、
図6(b)に示すように、ランダムに配置されていてもよい。また、ドットパターン50を構成する各反射ドット51の径は、
図2に示すように、光源側から離間するにつれて大きくなるように形成されていてもよいし、
図6(a)に示すように、同一径に形成されていてもよい。
【0032】
(導光板の製造装置)
次に、上記面光源装置20および透過型画像表示装置1に含まれている導光板30の製造方法および製造装置について説明する。
図3は、導光板の製造装置の一実施形態を示す斜視図である。
図3に示す導光板の製造装置100は、搬送手段60と、インクジェットヘッド(印刷部)70と、UVランプ(形成部)80と、検査装置85と、制御部90(
図4参照)とを備えている。インクジェットヘッド70、UVランプ80および検査装置85は、透光性樹脂シート(樹脂シート)35の移動方向Aにおいて上流側からこの順に配置される。
【0033】
搬送手段60は、方向Aに沿って連続的又は間欠的に原板となる透光性樹脂シート35を搬送する。本実施形態における搬送手段60では、テーブルシャトルを例示したが、搬送手段はこれに限られるものではなく、例えばベルトコンベア、コロ、又はエア浮上移送であってもよい。
【0034】
インクジェットヘッド70は、支持部71に支持されており、透光性樹脂シート35の表面(背面32)における反射ドット51が形成される領域の幅方向(Aに対して垂直な方向)全体にわたって、透光性樹脂シート35の表面に対向する下面72(
図4参照)に配置された複数のノズル73(
図4には、1つしか図示していないが奥行き方向に複数配置されている)を有している。インクジェットヘッド70は、搬送手段60により搬送される透光性樹脂シート35の表面にインクを滴下して所望のドットパターン50を印刷する(印刷工程)。インクジェットヘッド70は、上述したように、複数のノズル73を有しているので、透光性樹脂シート35の幅方向全体にわたり同時に印刷することができる。
【0035】
インクジェットヘッド70による印刷は、透光性樹脂シート35を一定の速度で連続的に移動させながら行うことができる。また、透光性樹脂シート35を停止させた状態で印刷することと、透光性樹脂シート35を次の印刷位置まで移動させてから停止することとを繰り返して印刷することもできる。このようにして印刷された透光性樹脂シート35は、搬送方向下流側に搬送されていく。
【0036】
インクジェットヘッド70のノズル73は、導管77を介してインク供給ユニット76と連結されている。インク供給ユニット76は、例えば、インクが収容されたインクタンク(図示せず)と、インクを送り出すためのポンプ(図示せず)とを有している。複数の導管77が単一のインクタンクに連結されていてもよいし、複数のインクタンクにそれぞれ連結されていてもよい。
【0037】
インクジェットヘッド70から滴下されるインクは、硬化処理によって反射ドットを形成することができるインクであればよく、例えば、紫外線硬化インク、水性インク又は溶剤インクが用いられる。これらの中でも、環境対策の容易さなどの観点から、紫外線硬化インクおよび水性インクが好ましい。ここでは、インクとして紫外線硬化インクを用いた場合について説明する。
【0038】
UVランプ80は、支持部81に支持されており、搬送手段60により上流側から搬送されてくるドットパターン50が印刷された透光性樹脂シート35に対して照射領域82において紫外線を照射(硬化処理)する。透光性樹脂シート35上のインクは、UVランプ80により紫外線が照射されることによって硬化する。これにより、硬化したインクからなる反射ドット51が形成される(形成工程)。
【0039】
検査装置85は、支持部86に支持されている。検査装置85は、形成された反射ドット51の状態を検査する。導光板30は、以上のような工程を経て形成される。また、導光板30は、必要により所望のサイズに裁断される。本実施形態のように、インクジェットヘッドの下流側に設けられた検査装置により導光板が連続的に検査される必要は必ずしもなく、別途準備された検査装置によりオフラインで導光板を検査することもできる。
【0040】
図4は、制御部90の制御内容を説明するための説明図である。インクジェットヘッド70のノズル73からは、透光性樹脂シート35の表面にインク75が滴下される。このとき1つのドットを形成するために必要なインク75の総量の直径を液滴直径D1(以下、単に「液滴径D1」と示す)と定義する。なお、1つの反射ドット51を形成するインク75をノズル73から滴下する際に、必要なインクの総量を複数回に分けて滴下する場合がある。例えば、24pLのインク液量が必要なドットに対し、6pLのインク液量を4回滴下するような場合である。この場合には、それぞれの滴下量の合計、すなわち、1つのインクを形成するために必要なインクの総量を一度に滴下したときに形成される液滴の直径を液滴直径D1とする。上記の例では、6pLの液量のインクを4回滴下した場合の合計滴下量、すなわち24pLの液量のインクによって形成される液滴の直径が液滴直径D1となる。
【0041】
インクジェットヘッド70のノズル73から透光性樹脂シート35の表面にインク75が滴下されると、インク75aは、搬送方向Aに向かって移動させられる。このとき、インク75aは、時間の経過と共にその形状が変化する。すなわち、透光性樹脂シート35の表面に着弾したインク75aは、
図4に示すように、インク75b、インク75c、インク75dと、その直径が次第に大きくなる。照射領域82にまで搬送されてきたインク75dは、UVランプ80により紫外線が照射され、1つの反射ドット51が形成される。この紫外線照射される際のインク75dの直径を、ドットの直径D2(以下、「ドット径D2」と示す)と定義する。
【0042】
制御部90は、
図4に示すように、液滴径D1とドット径D2とに基づいて、搬送手段60における透光性樹脂シート35の搬送速度(相対的な移動の速度)Vを制御する(調整工程)。制御部90が、液滴径D1とドット径D2とに基づいて、搬送手段60における透光性樹脂シート35の搬送速度Vを制御することで、インクが透光性樹脂シート35の表面に着弾してからインクがUVランプ80によって照射されるまでの時間をコントロールすることができる。これにより、形成される反射ドットの直径を厳密に管理し、隣接する反射ドットの外縁間の距離を調整することができるので、ドットパターン50におけるスジの発生を抑制することが可能となる。この結果、ドットパターン50をインクジェット法により形成する場合において、外観品位が高く、均一性の高い面状の光を出射することが可能な導光板30を製造することが可能となる。
【0043】
制御部90は、例えば、上記方法により取得された液滴径D1およびドット径D2に基づいて、D2/D1<7.6、かつ、D2<Lの関係を満たすように、より好ましくは、D2/D1<4.0、かつ、D2<Lの関係を満たすように、搬送手段60における搬送速度Vを調整することが好ましい。ここで、Lは、
図4に示すように、ドット間のピッチを示している。例えば、ドットパターンの解像度が150dpiとすると、そのドット間ピッチL=169μmとなる。
【0044】
制御部90が、上記関係を満たすように搬送手段60における搬送速度Vを制御することで、例えば、解像度が150dpi以上、液滴直径D1が20μm〜50μmにおいて、隣接する反射ドット51の外縁間の距離を、ドットパターン50におけるスジの発生がより確実に抑制できるような範囲に調整することができる。
【0045】
上記調整は以下の処理工程を含むものとすることができる。例えば、インクのドット径D2は、要求される導光板30の仕様により決定される。次に、D2/D1が、所定の値(例えば、D2/D1=4.0)を満たすようなインクの液滴径D1を算出する。次に、インクの特性等に基づいて推測されるドット径の時間的変化に基づいて、液滴径D1からドット径D2に至るまでの時間Tを算出する。次に、この時間Tと、ノズル73とUVランプ80との距離とに基づいて、搬送手段60が透光性樹脂シート35を搬送する搬送速度Vを算出する。これにより、当該搬送速度Vで透光性樹脂シート35を移動させれば、インク75が透光性樹脂シート35に着弾してから紫外線が照射されるまでにかかる時間を時間Tに一致させることができる。
【0046】
なお、インクの液滴径D1は、1ドットを形成するインクの液滴量、インクの特性等に基づいて算出してもよいし、ノズル73からのインクが透光性樹脂シート35に着弾した際の液滴径を計測する計測手段から取得してもよい。また、ドット径D2は、インクの液滴量、インクの特性、およびインクが透光性樹脂シート35に着弾してから紫外線が照射されるまでの時間等に基づいて算出してもよいし、紫外線を照射する位置におけるドット径を計測する手段から取得してもよい。
【実施例】
【0047】
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0048】
(実施例1)
透光性樹脂シートとしてPMMA板(長さ370mm、幅320mm、厚さ4mm)を準備した。次に、上記製造装置100において、PMMA板に対して解像度150〔dpi〕のドットパターンを粘度が8.1〔mPa・S〕の紫外線硬化インクを用いて印刷した。このときの製造装置100における印刷条件は、
図5に示す図表のとおり、解像度が150〔dpi〕(ドット間ピッチL=169μm)、液量が6〔pL〕、液滴径D1が20〔μm〕、ノズル73とUVランプ80との距離が600〔mm〕である。
【0049】
このような条件のもと、D2/D1の値が7.5、かつ、D2<Lとなるように、すなわち、ドット径D2が150〔μm〕となるように、搬送手段60における透光性樹脂シートの搬送速度Vを調整した。ドットパターンが印刷されてから反射ドットが形成されるまでの時間Tは6.0〔s〕、搬送速度Vは100〔mm/sec〕であった。
【0050】
なお、ノズルのインク滴下時間間隔は、搬送速度Vおよび解像度から決定される。すなわち、搬送速度Vを100〔mm/sec〕、解像度を150〔dpi〕(ドット間ピッチL=169μm)とすると、169〔μm〕/100〔mm/s〕=1.69×10
−3〔s〕となる。
【0051】
このような条件に基づいて反射ドットが形成された導光板について、目視により導光板の外観品位を評価した。この場合、導光板に異常は認められず、スジの発生は認められなかった。
【0052】
(実施例2)
透光性樹脂シートとして、実施例1と同じPMMA板(長さ370mm、幅320mm、厚さ4mm)を準備し、同じ製造装置100、同じ解像度、同じ粘度のインクの紫外線硬化インクを用いて印刷した。このときの製造装置100における印刷条件は、
図5に示す図表のとおり、液量が24〔pL〕、液滴径D1が32〔μm〕、ノズル73とUVランプ80との距離が600〔mm〕である。
【0053】
このような条件のもと、D2/D1の値が4.8、かつ、D2<Lとなるように、すなわち、ドット径D2が154〔μm〕となるように、搬送手段60における透光性樹脂シートの搬送速度Vを調整した。このとき、ドットパターンが印刷されてから反射ドットが形成されるまでの時間Tは3.0〔s〕、搬送速度Vは200〔mm/sec〕であった。
【0054】
なお、ノズルのインク滴下時間間隔も実施例1と同様に、搬送速度Vおよび解像度から決定され、0.845×10
−3〔s〕となる。
【0055】
このような条件に基づいて反射ドットが形成された導光板について、目視によりドットパターンの外観品位を評価した。この場合、ドットパターンに異常は認められず、スジの発生は認められなかった。
【0056】
(実施例3)
透光性樹脂シートとして、実施例1と同じPMMA板(長さ370mm、幅320mm、厚さ4mm)を準備した。次に、上記製造装置100において、PMMA板に対して解像度300〔dpi〕のドットパターンを粘度が8.1〔mPa・S〕の紫外線硬化インクを用いて印刷した。このときの製造装置100における条件は、
図5に示す図表のとおり、解像度が300〔dpi〕(ドット間ピッチL=85μm)、液量が6〔pL〕、液滴径D1が20〔μm〕、ノズル73とUVランプ80との距離が200〔mm〕である。
【0057】
このような条件のもと、D2/D1の値が3.9、かつ、D2<Lとなるように、すなわち、ドット径D2が78〔μm〕となるように、搬送手段60における透光性樹脂シートの搬送速度Vが調整された。ドットパターンが印刷されてから反射ドットが形成されるまでの時間Tは1.0〔s〕、搬送速度Vは200〔mm/sec〕であった。
【0058】
なお、ノズルのインク滴下時間間隔は、搬送速度Vおよび解像度から決定される。すなわち、搬送速度Vを200〔mm/sec〕、解像度を300〔dpi〕(ドット間ピッチL=85μm)とすると、85〔μm〕/200〔mm/s〕=0.425×10
−3〔s〕となる。
【0059】
このような条件に基づいて反射ドットが形成された導光板について、目視により導光板の外観品位を評価した。この場合も、導光板に異常は認められず、スジの発生は認められなかった。
【0060】
(実施例4)
透光性樹脂シートとして、実施例1と同じPMMA板(長さ370mm、幅320mm、厚さ4mm〕を準備し、同じ製造装置100、同じ解像度、同じ粘度のインクの紫外線硬化インクを用いて印刷した。このときの製造装置100における条件は、
図5に示す図表のとおり、液量が24〔pL〕、液滴径D1が32〔μm〕、ノズル73とUVランプ80との距離が200〔mm〕である。
【0061】
このような条件のもと、D2/D1の値が2.3、かつ、D2<Lとなるように、すなわち、ドット径D2が74〔μm〕となるように、搬送手段60における透光性樹脂シートの搬送速度Vが調整された。このとき、ドットパターンが印刷されてから反射ドットが形成されるまでの時間Tは0.5〔s〕、搬送速度Vは400〔mm/sec〕であった。
【0062】
なお、ノズルのインク滴下時間間隔は、搬送速度Vおよび解像度から決定される。すなわち、搬送速度Vを400〔mm/sec〕、解像度を300〔dpi〕(ドット間ピッチL=85μm)とすると、85〔μm〕/400〔mm/s〕=0.21×10
−3〔s〕となる。
【0063】
このような条件に基づいて反射ドットが形成された導光板について、目視により導光板の外観品位を評価した。この場合も、導光板に異常は認められず、スジの発生は認められなかった。
【0064】
以上、本発明に係る実施形態および実施例について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0065】
上記実施形態においては、制御部90は、液滴径D1とドット径D2とに基づいて、搬送手段60における透光性樹脂シート35の搬送速度Vを制御する例を挙げて説明したがこれに限定されるものではない。例えば、制御部90は、液滴径D1とドット径D2とに基づいて、ノズル73の位置(インクを滴下する位置)とUVランプ80(硬化処理を施す位置)との距離を制御してもよいし、透光性樹脂シート35の搬送速度Vと、ノズル73の位置(インクを滴下する位置)とUVランプ80(硬化処理を施す位置)との距離L1の両方を制御してもよい。なお、ノズル73―UVランプ80間の距離L1を制御するために、ノズル73およびUVランプ80の少なくとも一方に移動機構を設けるものとすることができる。この場合であっても、ドットパターン50をインクジェット法により形成する場合において、外観品位が高く、均一性の高い面状の光を出射することが可能な導光板30を製造することが可能となる。
【0066】
また、上記実施形態においては、インクジェットヘッド70、UVランプ80に対して透光性樹脂シート35を相対的に移動させる方法として搬送手段60を例示した。しかし、これに限定されるものではなく、インクジェットヘッド70およびUVランプ80が移動機構等により移動するように構成してもよい。
【0067】
また、上記実施形態および実施例においては、ドットパターン50を構成する各反射ドット51の径は、光源22から離間するにつれて大きくなるように形成されている例を挙げて説明したがこれに限定されるものではない。例えば、ドットパターンを構成するドットの径が全ての同一であってもよい。この場合であっても、制御部90が、液滴径D1とドット径D2とに基づいて上記条件を満たすように、透光性樹脂シート35の搬送速度V、および、ノズル73―UVランプ80間の距離L1の少なくとも一方を制御することにより、上記と同一の効果を得ることができる。
【0068】
また、上記実施形態においては、硬化処理としてUVランプ80により紫外線を照射する例を挙げて説明したがこれに限定されるものではない。例えば、インクとして水性インク又は溶剤インクを用いる場合には、硬化処理として乾燥装置による乾燥処理を採用し、反射ドットを形成してもよい。
【0069】
また、上記実施形態においては、インクとして紫外線に感度を有する光重合開始剤の含まれる紫外線硬化インクを例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。光硬化型インク組成物として含まれる光重合開始剤は、反射ドット51を形成するために照射される活性光線に応じて、例えば、200〜400nmの紫外線、遠紫外線、g線、h線、i線、電子線、X線、分子線又はイオンビーム等に感度を有するものを適宜選択して使用することができる。
【0070】
また、上記実施形態においては、
図2に示すように、ドットパターン50を構成する各反射ドット51が、格子状に配置され、その径が光源側から離間するにつれて大きくなるように形成されている例を挙げて説明したがこれに限定されるものではない。例えば、
図6(a)に示すように、同じ径の反射ドット51が格子状に配置されていてもよいし、
図6(b)に示すように、同じ径の反射ドット51がランダムに配置されていてもよい。