【実施例1】
【0015】
本発明に係わる発明を実施するための形態について図を用いて説明する。
【0016】
まず、
図1は本発明の一実施例である四重極型質量分析装置の構成を示す図である。
【0017】
この四重極型質量分析装置の本体部は、試料イオン化装置1によってイオン化された試料を導入する導入用の細孔を中央に有する試料導入部電極2と、第一細孔を中央に有する第一細孔部用部材3と、第二細孔を中央に有する第二細孔部用部材4と、サーマライズ部5と、分析部7と、検出部8と、検出部8に設けた検出器10を有する。
【0018】
また、四重極型質量分析装置は、本体部内の空気を抜く粗引きのポンプ20、高真空ポンプ19、圧力計17、分析試料供給部(LC)11を有する。
【0019】
さらに、質量分析装置は、制御演算装置17、電源制御部16、高周波電源部12、高電圧電源部13、検出部電源部14、信号アンプ15、分析結果表示装置18を有し、イオン群(ビーム)26が本体部内を通過する。22はセルフクリーニング装置用高周波配線22である。セルフクリーニング装置(放電生成手段)は、主に
試料導入
部電極2、第一細孔部用部材3、第二細孔部用部材4、セルフクリーニング装置用高周波配線22、制御演算装置17、電源制御部16、高周波電源部12、高電圧電源部13で構成される。
【0020】
セルフクリーニング装置(放電生成手段)には、質量分析装置に備わる既存の制御演算装置17、電源制御部16、高周波電源部12、高電圧電源部13を利用し、セルフクリーニング装置用高周波配線22を設けることにより、構成が簡単で安価にすることができる。
【0021】
セルフクリーニング装置用高周波配線22に加える電圧や周波数は、サーマライズ部5や分析部7に加えるものと同じにすることが可能である。周波数は数百MHz〜数G
Hzである。そして、セルフクリーニングと分析測定は同時に行わないので、高周波電源部12、高電圧電源部13の電気容量は増加しないので、既存の制御演算装置17、電源制御部16、高周波電源部12、高電圧電源部13を利用することができる。
【0022】
試料導入
部電極2と第一細孔部用部材3が対向するように設け
られた空間を試料導入抑制室とする。この試料導入抑制室は、ほぼ大気圧相当圧である。第一細孔部用部材3と第二細孔部用部材4が対向するように設けられて空間を差動排気室(インターファイスチャンバ)とする。第二細孔部用部材4と第三細孔を中央に有する第三細孔用部材6が対向するように設けられた空間をサーマライズ室とする。サーマライズ室の下流の下流側が分析部を備える分析室になる。差動排気室は、200Pa程度の圧力である。試料導入抑制室、差動排気室の圧力は、分析測定時もクリーニング時も同程度である。サーマライズ室、分析室の圧力は、差動排気室と同等か200Pa以下である。
【0023】
試料導入
部電極2に設けた細孔、第一細孔部用部材3に設けた第一細孔、第二細孔部用部材4に設けた第二細孔の孔径は、0.1mm〜2mmである。これらの細孔を試料のイオンが流れて分析測定が行われる。
【0024】
分析試料供給部(LC)11によって供給された分析対象の試料は、試料イオン化装置1に導入される。9
は分析試料吐出部を示す。試料イオン化装置1によってイオン化された試料は、質量分析装置の試料導入部付近へ送り込まれ、制御演算装置17によって制御される電源制御部16、電源制御部16によって制御される高電圧電源部13によって電圧が印加される(図示せず)試料導入部電極2の細孔、第一細孔部用部材3の第一細孔、第二細孔部用部材4の第二細孔によって質量分析装置へ導入される。電圧が印加されることにより、加速、または減速されたイオンは、後段のレンズ系に進行する。
【0025】
質量分析装置に導入されたイオン群(ビーム)26は、制御演算装置17によって制御される電源制御部16、電源制御部16によって制御される高周波電源部12、高電圧電源部13によって電圧が印加されるサーマライズ部5、及び、分析部7、また、制御演算装置17によって制御される電源制御部16、電源制御部16によって制御される高電圧電源部13によって電圧が印加されるところの第三細孔を中央に有する第三細孔用部材6によって、収束、発散され、イオン群(ビーム)26の不要な領域が除去される。
【0026】
その後、分析部7によって質量分離されたイオン群(ビーム)26は、制御演算装置17によって制御される電源制御部16、電源制御部16によって制御される検出部電源部14によって印加される検出部8の検出器10に導かれる。検出器10に導かれたイオン群(ビーム)26は、信号アンプ15により増幅され、制御演算装置17により、演算処理され、特定した分析結果として、分析結果表示装置18に表示される。
【0027】
本実施例では、試料イオン化装置1によってイオン化される試料のイオン化が不充分であった場合、試料導入部電極2、第一細孔用部材3、第二細孔用部材4近傍に滞留し、熱などのエネルギーにより、酸化物ないし炭化物などの生成物として堆積する。
【0028】
堆積した生成物は質量分析装置の試料導入部にあたる細孔の狭窄、部品表面への堆積物が帯電することなどにより、質量分析装置の性能劣化の原因となり問題を発生させるものであるが、
図1、
図2に説明するような、既存で構成される制御演算装置17によって制御される電源制御部16、電源制御部16によって制御される高周波電源部12、高周波電源部12から供給される電位を、セルフクリーニング装置用高周波配線22によって、効率よく配置された試料導入部電極2、第一細孔用部材3、第二細孔用部材4に供給するセルフクリーニング装置を構成する。
【0029】
セルフクリーニングは、定常状態で、且つ、メンテナンスを必要とする、性能劣化が発生した状態を改善するために行う。高周波のエネルギーによって分解された堆積物は、原子、分子レベルでクリーニング時に排出される排気として排出され、主にイオン化を促す部位を排気するファンや粗引きのポンプ20より排出される。
【0030】
終点検出の為には、高周波のエネルギーによって分解された堆積物が、原子、分子レベルで質量分析装置に取り込まれ、質量分析装置の機能によって、クリーニング中の雰囲気を検出し、クリーニングの効果確認の為の終点検知が可能となり、セルフクリーニングによって、質量分析装置の安定した装置性能を提供する。
【0031】
または、質量分析装置とは別に構成される、制御演算装置17によって制御される電源制御部16、電源制御部16によって制御される高周波電源部12、高周波電源部12から供給される電位を効率よく配置された試料導入部電極2、第一細孔用部材3、第二細孔用部材4に供給するセルフクリーニング装置を構成する。セルフクリーニングは、定常状態で、且つ、メンテナンスを必要とする性能劣化が発生した状態を改善するために行う。
【0032】
高周波のエネルギーによって分解された堆積物は、原子、分子レベルでクリーニング時に排出される排気として排出され、主にイオン化を促す部位を排気するファンや粗引きのポンプ20より排出される。終点検出の為には、高周波のエネルギーによって分解された堆積物が、原子、分子レベルで質量分析装置に取り込まれ、質量分析装置の機能によって、クリーニング中の雰囲気を検出し、クリーニングの効果確認の為の終点検知が可能となり、セルフクリーニングによって、質量分析装置の安定した装置性能を提供する。
【0033】
図2では、質量分析装置に配置される試料導入部電極(カウンタプレート、or カーテンプレート:電極)2、第一細孔用部材(AP1:電極)3、第二細孔用部材(AP2:電極)4を例にとり、対向配置される電極に陰、陽で一対となるように高周波電源を接続した例を示す。(a)では、第一細孔用部材(AP1:電極)3に陽電位を接続し、質量分析装置に配置される試料導入部電極(カウンタプレート、またはカーテンプレート:電極)2、第二細孔用部材(AP2:電極)4に陰電位を接続した例を示す。
【0034】
また、(b)では、質量分析装置に配置される試料導入部電極(カウンタプレート、またはカーテンプレート:電極)2、第二細孔用部材(AP2:電極)4に陽電位を接続し、第一細孔用部材(AP1:電極)3に陰電位を接続した例を示す。また、(c)では、質量分析装置に配置される試料導入部電極(カウンタプレート、またはカーテンプレート:電極)2に陽電極を接続し、第一細孔用部材(AP1:電極)3、第二細孔用部材(AP2:電極)4に陰電極を接続した例を示す。
【0035】
また、(d)では、質量分析装置に配置される試料導入部電極(カウンタプレート、またはカーテンプレート:電極)2、第一細孔用部材(AP1:電極)3に陽電極を接続し、第二細孔用部材(AP2:電極)4に陰電極を接続した例を示す。
【0036】
電極の配置例を元に既存の高周波電源12、若しくは、新規に構成される高周波電源12からセルフクリーニング装置用高周波配線22を介し電位を供給し、グロー放電を発生させセルフクリーニング装置を構成する。
【0037】
また、クリーニングの効果を確認するために質量分析装置の機能を利用し、特定堆積物のクリーニング中のスペクトルを確認しながら、クリーニングを実施することを可能としたセルフクリーニング装置を構成した質量分析装置を提供する。
【0038】
クリーニングの効果を質量分析装置で確認するには、
図7の(a)ように特定スペクトルが、時間tで経時的に変化を見せるため、その変化を終点としクリーニングの終点検知を行う。
【0039】
クリーニングについて、クリーニングを模式的に示した
図8を引用してさらに説明する。
【0040】
イオンの
試料導入
部電極2、第一細孔が設けられた第一細孔部用部材3(電極)、第二細孔が設けられた第二細孔部用部材4(電極)に高周波電源部12の電圧が加えられる。イオンの
試料導入
部電極2と第二細孔部用部材4(電極)が陽極、第一細孔部用部材3(電極)が陰極になる。クリーニングは、粗引きのポンプ20、高真空ポンプ19による排気をしながらイオンの
試料導入
部電極2、第二細孔部用部材4(電極)、第一細孔部用部材3(電極)に高周波の電圧が加えられる。
【0041】
高周波の電圧が印加されることにより、
試料導入
部電極2、第一細孔部用部材3(電極)が対向している試料導入抑制室と、第一細孔部用部材3(電極)、第二細孔部用部材4(電極)が対向している差動排気室(インターファイスチャンバ)にグロー放電が発生する。グロー放電の放電領域は、
試料導入
部電極2の細孔、第一細孔、第二細孔、および試料導入抑制室、差動排気室のほぼ全域に及ぶ。
【0042】
試料導入
部電極2の細孔、第一細孔、第二細孔および試料導入抑制室、差動排気室の表面に付着して堆積した堆積物に放電エネルギーが作用して堆積物は細かく分解され、粗引きのポンプ20、高真空ポンプ19に吸引されて排気とともに試料導入抑制室、差動排気室、サーマライズ室の外部に排出される。
試料導入
部電極2の細孔、第一細孔、第二細孔を流通する空気は、試料導入抑制室、差動排気室、分析室内を図示のように回流し、細かく分解された堆積物は回流に乗って粗引きのポンプ20、高真空ポンプ19に吸引されて排気されるのである。このため、
試料導入
部電極2の細孔、第一細孔、第二細孔および試料導入抑制室、差動排気室の表面に付着して堆積した堆積物の掃除が良く行われ、質量分析装置の分析測定の性能を安定的に維持できる。
【0043】
なお、質量分析装置に備わる既存の粗引きのポンプ20、高真空ポンプ19を利用するので、質量分析装置の構成が複雑化せず、安価になる。
【実施例3】
【0049】
本実施例では、一般的な質量分析装置の試料イオン化装置1から試料導入部電極2、第一細孔用部材3、第二細孔用部材4近傍をセルフクリーニングする雰囲気を大気中、若しくは、セルフクリーニングする試料導入部電極2、第一細孔用部材3、第二細孔用部材4近傍をセルフクリーニング装置用真空容器23の真空雰囲気中に配置し、真空雰囲気中でセルフクリーニングすることを可能とする。且つ、クリーニング効果を高めるための補助ガス、若しくは、薬液の導入部24を配置し、セルフクリーニングすることを可能としたセルフクリーニング装置の例を説明する。
【0050】
図4は、実施例2におけるセルフクリーニング装置を示す構成図の例である。
【0051】
図4では、
図1から
図3の質量分析装置のうち、既に説明した図に示された同一符号を付された構成と同一の機能を有する部分については、一部説明を省略する。
【0052】
図4の(a)では、実施例2で構成されたセルフクリーニング装置を大気中で構成し、クリーニング効果を高めるための補助ガス、または、薬液などの導入部24を配置した場合を示す。
【0053】
また、
図4の(b)では、同様に実施例2で構成されたセルフクリーニング装置を真空容器内に構成し、クリーニング効果を高めるための補助ガス、または、薬液などの導入部24を配置した場合を示す。
【0054】
また、(c)では、実施例2で構成されたセルフクリーニング装置を大気中で構成し、クリーニング効果を高めるための複数の補助ガス、または、薬液などの導入部24を配置した場合を示す。
【0055】
また、(d)では、実施例2で構成されたセルフクリーニング装置を真空容器内に構成し、クリーニング効果を高めるための複数の補助ガス、または、薬液などの導入部24を配置した場合を示す。
【0056】
セルフクリーニング装置は、大気環境下に於いてグロー放電現象を発生させ、クリーニング効果を得る。また、より安定したグロー放電を得るため、真空雰囲気中でのグロー放電現象を安定供給し、安定したクリーニング効果を得る。
【0057】
セルフクリーニングによって分解された堆積物は、原子、分子レベルでクリーニング時に排出される排気として排出され、主にイオン化を促す部位を排気するファンや粗引きのポンプより排出される。終点検出の為には、高周波のエネルギーによって分解された堆積物が、原子、分子レベルで質量分析装置に取り込まれ、質量分析装置の機能によって、クリーニング中の雰囲気を検出し、クリーニングの効果確認の為の終点検知が可能となる。
【実施例4】
【0058】
本実施例では、一般的な質量分析装置の試料イオン化装置1から試料導入部電極2、第一細孔用部材3、第二細孔用部材4近傍をセルフクリーニングする雰囲気を大気中、若しくは、セルフクリーニングする試料導入部電極2、第一細孔用部材3、第二細孔用部材4近傍をセルフクリーニング装置用真空容器23の真空雰囲気中に配置し、真空雰囲気中でセルフクリーニングすることを可能とする。且つ、クリーニング効果を確認するための分光器、プラズマモニターなどの検出器25を配置し、セルフクリーニングすることを可能としたセルフクリーニング装置の例を説明する。
【0059】
図5は、実施例
4におけるセルフクリーニング装置を示す構成図の例である。
【0060】
図5では、
図1から
図4の質量分析装置のうち、既に説明した図に示された同一符号を付された構成と同一の機能を有する部分については、一部説明を省略する。
【0061】
本実施例では、クリーニングの効果を確認するために質量分析装置の機能を利用し、特定堆積物の
マススペクトルを確認しながら、クリーンングを実施すること可能であるが、よりクリーニング効果の終点検知の効果を高めたい場合、分光器、プラズマモニターなどのセルフクリーニング装置用終点検出器25、セルフクリーニング装置用終点検出器(分光器、プラズマモニター)用アン
プ電源部27を構成することにより、セルフクリーニングの終点検知の正確性を高めたセルフクリーニング装置を備えた質量分析装置を提供する。
【0062】
本実施例のセルフクリーニング装置用終点検出器(分光器、プラズマモニター)用アン
プ電源部27の上位部を質量分析装置の制御演算装置17、試料像表示装置(分析試料結果表示装置)18で共有する例として
図5に記載しているが、制御演算装置や表示部を個別に構成することも可能である。
【0063】
クリーニングの効果を質量分析装置で確認するには、
図7の(b)ように特定のラジカル発光量が、時間tで経時的に変化を見せるため、その変化を終点としクリーニングの終点検知を行う。
【0064】
セルフクリーニングによって分解された堆積物は、原子、分子レベルでクリーニング時に排出される排気として排出され、主にイオン化を促す部位を排気するファンや粗引きのポンプより排出される。
【実施例5】
【0065】
本実施例では、一般的な質量分析装置の試料イオン化装置1から試料導入部電極2、第一細孔用部材3、第二細孔用部材4近傍をセルフクリーニングする雰囲気を大気中、若しくは、セルフクリーニングする試料導入部電極2、第一細孔用部材3、第二細孔用部材4近傍をセルフクリーニング装置用真空容器23の真空雰囲気中に配置し、真空雰囲気中でセルフクリーニングすることを可能とする。且つ、クリーニング効果を確認するための圧力計21などを配置し、セルフクリーニングすることを可能としたセルフクリーニング装置の例を説明する。
【0066】
図6は、実施例
5におけるセルフクリーニング装置を示す構成図の例である。
【0067】
図6では、
図1から
図5の質量分析装置のうち、既に説明した図に示された同一符号を付された構成と同一の機能を有する部分については、一部説明を省略する。
【0068】
また、クリーニングの効果を確認するために質量分析装置の機能を利用し、特定堆積物のスペクトルを確認しながら、クリーンングを実施することを可能としたセルフクリーニング装置を備えた質量分析装置を提供する。
【0069】
クリーニングの効果を質量分析装置で確認するには、
図7の(c)ように真空室内の圧力が、時間tで経時的にクリーニング特有の変化を見せるため、その変化を終点としクリーニングの終点検知を行う。クリーニングの終点検知をするクリーニングの終点を検知する手段は、分光器、プラズマモニターなどの光学装置、圧力計等を含む。
【0070】
この真空室内圧力変化Pは、圧力がゼロを真空としたときに、分子レベルで安定した堆積物として存在していたものが、放電エネルギーの付与により原子、分子レベルで分解され、不安定な状態として真空中に存在することにより、過渡的に真空でなくなり、堆積物がなくなると、圧力がゼロの真空に戻ることを示している。真空室内圧力変化Pの移り変わり時間は、数秒から数十秒である。
【0071】
セルフクリーニングによって分解された堆積物は、原子、分子レベルでクリーニング時に排出される排気として排出され、主にイオン化を促す部位を排気するファンや粗引きのポンプより排出される。
【0072】
また、グロー放電による堆積物の分解を促進させるために反応性の気体(エッチングガス)や洗浄液を導入しながらグロー放電をすることにより、堆積物の分解効果を高めることができる。
【0073】
上記実施例では、試料導入抑制室で対向する導入電極と第一細孔部用部材(電極)、差動排気室で対向する第一細孔部用部材(電極)と第二細孔部用部材(電極)、およびサーマライズ室で対向する第二細孔部用部材(電極)と第三細孔用部材(電極)の間で放電を発生させているが、この電極を対向させる放電生成手段(セルフクリーニング装置)以外の仕方(例えば、アーク放電)を用いることも可能である。また、電極のみでも放電は可能である。
【0074】
以上述べたように、本発明は、質量分析装置の試料導入部付近に生成、堆積した酸化物ないし、炭化物などの生成物を除去するようなメンテナンス時に、メンテナンス部品の取り外し、取り付け作業を必要とせず、真空の開放を行わず、熱源などのヒーターへの電源供給停止、電源の再供給などの作業も必要としないような状態で実施する高周波(RF)励起によるグロー放電のエネルギーによって、堆積した生成物を分解し、除去することでメンテナンスを行い、メンテナンス後の装置立上げ時間の低減し、メンテナンス後に、より安定した状態で装置を提供することを特徴とする。
【0075】
また、クリーニング効果の状況確認もクリーニング中の真空容器内雰囲気の質量分析を質量分析装置の機能を利用して行う。または、別に分光器、プラズマモニターなどによる特定波長の光量を検知する検知器などを配置し、特定波長の光量を検知するなど、特定な信号強度の経時変化から終点検出する方法、圧力の変化から終点検出する方法があり、各々四重極型質量分析計、分光器等、圧力計等で測定することにより、クリーニングの効果確認のための終点検知を行うことを特徴とする。圧力計での計測は、真空室であれば、差動排気室や分析室の圧力測定が可能である。圧力計により計測される圧力変動は真空室のべス圧からの変動である。
【0076】
上記本発明によれば、質量分析装置のメンテナンスは、装置部品の分解、組立及び、真空の開放、真空引きなどの作業を伴っていたため、一日単位で一定の時間を必要としていたが、装置が定常状態において実施可能な本セルフクリーニングにより、メンテナンス作業後の熱源や真空度が安定するまでの時間を必要としないため、メンテナンス時間が短縮できる。また、メンテナンス時に質量分析装置の装置環境を崩さないため、メンテナンス後に安定した環境の元、安定した性能を継続維持した装置を提供することにより、性能劣化などによる問題を軽減することが可能となる。