(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態の一例を、図面を参照にして説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
図1に示されるように、このプラズマ処理装置1は、円筒形状の処理容器2を備えている。処理容器2の上部は開口し、底部は塞がれている。処理容器2は、例えばアルミニウムからなり、電気的に接地されている。処理容器2の内壁面は、例えばアルミナなどの保護膜で被覆されている。
【0013】
処理容器2内の底部には、基板として例えば半導体ウェハ(以下ウェハという)Wを載置するための載置台としてのサセプタ3が設けられている。サセプタ3は例えばアルミニウムからなり、サセプタ3の内部には、外部電源4からの電力の供給によって発熱するヒータ5が設けられている。ヒータ5によって、サセプタ3上のウェハWを所定温度に加熱することが可能である。
【0014】
処理容器2の底部には、真空ポンプなどの排気装置10よって処理容器2内の雰囲気を排気するための排気管11が接続されている。
【0015】
処理容器2の上部には、気密性を確保するためのOリングなどのシール材15を介して、例えば石英などの誘電材料からなる誘電体窓16が設けられている。
図2に示されるように、誘電体窓16は略円盤形状である。誘電体窓16の材料として、石英に代えて、他の誘電体材料、たとえばAl
2O
3、AlN等のセラミックスを使用してもよい。
【0016】
誘電体窓16の上方には、平面状のスロット板、例えば円板状のラジアルラインスロット板20が設けられている。ラジアルラインスロット板20は、導電性を有する材質、たとえばAg、Au等でメッキやコーティングされた銅の薄い円板からなる。ラジアルラインスロット板20には、複数のスロット21が、同心円状に複数列に配置されている。
【0017】
ラジアルラインスロット板20の上面には、マイクロ波の波長を短縮するための誘電体板25が配置されている。誘電体板25は、例えばAl
2O
3などの誘電材料からなる。誘電体板25の材料として、Al
2O
3に代えて、他の誘電体材料、たとえば石英、AlN等のセラミックスを使用してもよい。誘電体板25は導電性のカバー26によって覆われている。カバー26には円環状の熱媒流路27が設けられ、この熱媒流路27を流れる熱媒によって、カバー26と誘電体窓16を所定温度に維持するようになっている。
【0018】
カバー26の中央には同軸導波管30が接続されている。同軸導波管30は、内部導体31と外部導体32とによって構成されている。内側導体31は、誘電体板25の中央を貫通して上述のラジアルラインスロット板20の上部中央に接続されている。ラジアルラインスロット板20に形成された複数のスロット21は、いずれも内側導体31を中心とする複数の円周上に配置されている。
【0019】
同軸導波管30には、マイクロ波供給装置35が矩形導波管36およびモード変換器37を介して接続されている。マイクロ波供給装置35で発生させた、たとえば2.45GHzのマイクロ波が、矩形導波管36、モード変換器37、同軸導波管30、誘電体板25、ラジアルラインスロット板20を介して、誘電体窓16に放射される。そして、その際のマイクロ波によって誘電体窓16の下面に電界が形成され、処理容器2内にプラズマが生成される。
【0020】
ラジアルラインスロット板20に接続される内側導体31の下端40は円錐台形状に形成されている。このように内側導体31の下端40が円錐台形状に形成されていることにより、同軸導波管30から誘電体板25およびラジアルラインスロット板20に対してマイクロ波が効率よく伝播される。
【0021】
ガス供給源50から供給された処理ガスが、スプリッター51で振り分けられて、二つの供給路52、53を経て、処理容器2内に導入される。処理ガスには、例えば窒素、Ar、酸素等のプラズマ生成用のガス、例えばCF系ガスやCFH系ガス等のソースガスなどが用いられる。
【0022】
処理容器2内には、天井面と内側面に処理ガスの導入部55、56が設けられている。天井面の導入部55は、処理容器2の天井面の中央に配置されている。天井面の導入部55には、同軸導波管30の内部導体31を貫通する一方の供給路52が接続されている。
【0023】
処理容器2の内側面の導入部56は、サセプタ3に載置されたウェハWの上方を囲むように、処理容器2の内側面の周方向に分布して複数設けられている。処理容器2の内側面の導入部56には、処理容器2の側面を貫通する他方の供給路53が接続されている。そして、スプリッター51で振り分けられた処理ガスが、供給路52、53を経て、二つの導入部55、56から処理容器2内に導入される。
【0024】
図3に示すように、天井面の導入部55は、同軸導波管30の内部導体31の下面から隙間を空けて、円筒形状のインジェクターブロック60を配置した構成を有する。インジェクターブロック60は、例えばアルミニウムなどの導電性材料からなり、インジェクターブロック60は、電気的に接地されている。内部導体31の下端面には、インジェクターブロック60の上面から適当な間隔を空けて、支持ブロック59が取り付けられている。この支持ブロック59と内部導体31の下端面との間に、ラジアルラインスロット板20が支持されている。内部導体31と支持ブロック59の中心を貫通する供給路52の開口部52aは、支持ブロック59の下面の中央に位置している。支持ブロック59の下面とインジェクターブロック60の上面との間には、開口部52aを中心とする円筒形状のガス溜め部61が形成されている。
【0025】
誘電体窓16の中央には、インジェクターブロック60を保持するための保持部62が設けられている。保持部62の上半部は、インジェクターブロック60を収納可能な大きさの円筒形状の空間になっている。保持部62の下半部には、下方に行くほど径が狭くなる円錐形状のテーパー面63が設けられている。
【0026】
インジェクターブロック60の上面の中央には、内部導体31の下面中央の開口部52aからガス溜め部61に供給される処理ガスを受け入れる凹部65が設けられている。この凹部65は、供給路52の開口部52aと対向して配置される。
【0027】
図4、5に示すように、インジェクターブロック60には、ガス溜め部61と処理容器2の内部を連通させる複数のガス噴出孔66が形成されている。ガス噴出孔66は、内部導体31の下面中央(支持ブロック59の下面中央)の開口部52aと対向する位置には設けられておらず、複数のガス噴出孔66は、いずれも凹部65の周囲に配置されている。
【0028】
ガス噴出孔66は、いずれも凹部65を中心とする円周方向に長く、凹部65を中心とする半径方向に短い、扁平な断面形状を有している。電子の平均自由行程およびコンダクタンスを考慮して、ガス噴出孔66は、半径方向の幅tが例えば1mm以下(好ましくは0.3〜0.5mm程度)であり、円周方向の長さLが例えば数mm〜十数mm程度である。図示の例では、複数のガス噴出孔66は、凹部65を中心とする3列の円周上に沿って配置されている。
【0029】
インジェクターブロック60を保持している保持部62の下半部が円錐形状のテーパー面63になっていることにより、
図2に示すように、処理容器2の内部から上方を見た状態では、誘電体窓16で遮られて、ガス噴出孔66が直接見えない状態になっている。
【0030】
図6に示すように、インジェクターブロック60の下面には、ガスに対する保護膜67が設けられている。保護膜67は、例えば、イットリアなどからなる。インジェクターブロック60の下面に現れるガス噴出孔66の開口部の周縁66aは、テーパー形状になっている。このようにテーパー形状に形成されたガス噴出孔66の開口部の周縁66aにも、保護膜67が設けられている。
【0031】
次に、以上のように構成されたプラズマ処理装置1の作用について説明する。なお、プラズマ処理の一例として、Ar、酸素等のプラズマ生成ガスとCF系ガス、CFH系ガス等のソースガスを含む処理ガスを使用して、ウェハWの表面をエッチングする例を説明する。
【0032】
図1に示すように、このプラズマ処理装置1において、先ずウェハWが処理容器2内に搬入され、サセプタ3上に載置される。そして、排気管11から排気が行われて処理容器2内が減圧される。更に、ガス供給源50から処理容器2内にAr、酸素等のプラズマ生成ガスとCF系ガス、CFH系ガス等のソースガスを含む処理ガスが導入される。
【0033】
処理容器2内への処理ガスの導入は、処理容器2の天井面と内側面に設けられた導入部55、56から同時に行われる。導入部55、56からの処理ガスの導入量の比は、ウェハWの表面全体に均一なエッチング処理がなされるように、スプリッター51で調整される。
【0034】
そして、マイクロ波供給装置35の作動により、誘電体窓16の下面に電界が発生し、処理ガスがプラズマ化されて、その際に発生した活性種によって、ウェハWの表面にエッチング処理がなされる。そして、所定時間エッチング処理が行われた後、マイクロ波供給装置35の作動と、処理容器2内への処理ガスの供給が停止され、ウェハWが処理容器2内から搬出されて、一連のプラズマエッチング処理が終了する。
【0035】
ところで、以上のようなプラズマ処理装置1においては、処理ガスがプラズマ化されることにより、特に処理容器2の天井面に設けられた導入部55において、インジェクターブロック60のガス噴出孔66に、炭素系の付着物が付着しやすい。そして、ガス噴出孔66が、この付着物によって詰まると、処理ガスを処理容器2へ円滑に導入できなくなる。また、処理容器2の内側面の導入部56と天井面の導入部55からの処理ガスの導入量のバランスが変動し、ウェハWの表面に対するエッチングの均一性が乱されてしまう。
【0036】
ここで、従来の処理ガスの導入部について、ガス噴出孔への炭素系の付着物の発生要因を検討した。
図7に示すように、従来の処理ガスの導入部100は、円筒形状のインジェクターブロック101の全体に、複数のガス噴出孔102を分布させて形成した構成が知られている。各ガス噴出孔102は、直径が0.5mm程度の円形断面形状である。インジェクターブロック101の上面は平面であり、凹部65に相当するものは存在しない。また、インジェクターブロック101の下面全体に均一に分布して複数のガス噴出孔102が開口しており、内部導体31の下面中央の開口部52aと対向する位置にも、ガス噴出孔102が設けられている。
【0037】
このような従来の処理ガスの導入部100は、各ガス噴出孔102の断面積が小さいため、供給路52からガス溜め部61に供給された処理ガスがガス噴出孔102を通過する際の抵抗が大きく、ガス溜め部61の内圧が高い状態となっていた。そして、ガス溜め部61の内部に処理ガスが高濃度で溜まっている状態で、処理容器2内の電子等がガス噴出孔102からガス溜め部61に向って進入し、ガス噴出孔102内部において処理ガスがプラズマ化されて、ガス噴出孔66に炭素系の付着物が付着すると推察された。
【0038】
また、従来の処理ガスの導入部100は、内部導体31の下面中央の開口部52aと対向する位置にあるガス噴出孔102には処理ガスが集中して流れ込み、内部導体31の下面中央(支持ブロック59の下面中央)の開口部52aから離れた位置にあるガス噴出孔102には、処理ガスの流れ込む量が少なくなっていた。このため、ガス噴出孔102の数を増やしても、ガス溜め部61の内圧を有効に下げることは困難であった。また、直径が0.5mm程度のガス噴出孔102を多数均等に設ける加工は困難である。
【0039】
これに対して、この実施の形態で示したプラズマ処理装置1にあっては、導入部55のインジェクターブロック60に設けられたガス噴出孔66が、扁平な断面形状を有しており、円周方向の長さLが従来のガス噴出孔102の直径(0.5mm程度)に比べて十分に長い。このため、本発明の実施の形態のプラズマ処理装置1によれば、ガス噴出孔66の断面積が従来に比べて相当に大きく、ガス溜め部61から処理容器2内へ処理ガスが抜け出しやすくなる。これにより、ガス溜め部61の内圧も低くなって、ガス溜め部61内の処理ガスの濃度も低くなる。ガス溜め部61にはガス噴出孔102は通じておらず、処理ガスが電子等によりプラズマ化されにくくなる。その結果、例え処理容器2内の電子等がガス噴出孔102からガス溜め部61に向って進入したとしても、ガス噴出孔102内部において処理ガスがプラズマ化される可能性が低くなり、ガス噴出孔66に炭素系の付着物が付着する問題が回避される。
【0040】
また、この実施の形態のプラズマ処理装置1は、内部導体31の下面中央(支持ブロック59の下面中央)の開口部52aと対向する位置にはガス噴出孔66が設けられておらず、複数のガス噴出孔66は、いずれも凹部65の周囲に配置されている。このため、内部導体31の中心を貫通する供給路52からガス溜め部61に供給された処理ガスは、ガス溜め部61の中央から周辺部に広がった後、各ガス噴出孔66に流れ込む。このため、複数のガス噴出孔66にほぼ等しい状態(圧力)で処理ガスが流れ込み、ガス溜め部61の内圧を有効に低くできる。この場合、インジェクターブロック60の上面の中央に凹部65が設けられているので、供給路52を流れてきた処理ガスの勢い(慣性)が凹部65に流れ込んだ際に著しく低下させられる。その結果、供給路52からガス溜め部61に供給された処理ガスは、ガス溜め部61の全体に均一に広がり、インジェクターブロック60に設けられている全部のガス噴出孔66から処理容器2内へ導入される。これにより、ガス溜め部61の内圧がより有効に低くなり、ガス溜め部61内の処理ガスの濃度が低くなって、ガス噴出孔66への炭素系の付着物の付着が更に回避される。
【0041】
また、この実施の形態のプラズマ処理装置1は、処理容器2の内部から上方を見た状態では、誘電体窓16で遮られることにより、複数のガス噴出孔66は処理容器2の内部からはいずれも直接見えない状態になっている。このため、処理容器2の内部で生成された電子等がガス噴出孔66に進入しにくく、ガス噴出孔66に炭素系の付着物が発生しにくい。
【0042】
また、インジェクターブロック60は、例えばアルミニウムなどの導電性材料からなり、インジェクターブロック60は、電気的に接地されている。このため、電子がガス噴出孔66に進入した場合でも、ガス噴出孔66の内壁面に接触することにより、電子は容易にトラップさせられる。この場合、ガス噴出孔66の幅tは例えば0.5mm程度と狭いため、電子がガス噴出孔66の内壁面に接触せずにガス溜め部61まで到達する可能性は極めて低い。
【0043】
また、インジェクターブロック60の下面に設けられたイットリアなどの保護膜67により、インジェクターブロック60の下面が保護される。この場合、テーパー形状に形成されたガス噴出孔66の開口部の周縁66aにも保護膜67が設けられているので、ガス噴出孔66の開口部がガスから保護される。なお、ガス噴出孔66の開口部がテーパー形状に形成されていることにより、開口部の周縁66aに保護膜67を容易に設けることができる。
【0044】
したがって、この実施の形態のプラズマ処理装置1によれば、処理容器2への処理ガスの導入が円滑に行われる。また、処理容器2の天井面の導入部55と内側面の導入部56からの処理ガスの導入量のバランスが良好に維持され、ウェハWの表面におけるエッチングの均一性が向上する。また、ガス噴出孔66の詰まりを解消する作業が低減され、メンテナンス性が向上する。
【0045】
以上、本発明の好ましい実施の形態の一例を説明したが、本発明はここに例示した形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に相到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0046】
例えば、インジェクターブロック60の上面やガス噴出孔66の内面にアルマイト処理を施すことにより、インジェクターブロック60の上面やガス噴出孔66の内面の耐久性を向上させることができる。この場合、インジェクターブロック60の上面に現れるガス噴出孔66の入口部の周縁を、テーパー形状にしても良い。インジェクターブロック60に形成される複数のガス噴出孔66の大きさは、同一でも良く、異なっていてもよい。また、複数のガス噴出孔66は、例えば渦巻状に配置されても良い。
【0047】
以上の実施の形態では、本発明をエッチング処理を行うプラズマ処理装置1に適用したが、本発明は、エッチング処理以外の基板処理、例えば成膜処理を行うプラズマ処理装置にも適用できる。また、本発明のプラズマ処理装置で処理される基板は、半導体ウェハ、有機EL基板、FPD(フラットパネルディスプレイ)用の基板等のいずれでもよい。
【実施例】
【0048】
インジェクターブロックに設けられるガス噴出孔の断面形状と、ガス溜め部の内圧の関係を考察した。
【0049】
(比較例1(従来例))
図8(a)に示すように、比較例1は、厚さ8mmの円板形状のインジェクターブロック101に、直径0.5mmの円形断面形状のガス噴出孔102が19個設けられている。処理ガスの供給路の開口部と対向する位置となる、インジェクターブロック101の中央にもガス噴出孔102が設けられている。インジェクターブロック101の上面は平面であり、凹部はない。
【0050】
(比較例2)
図8(b)に示すように、比較例2は、厚さ8mmの円板形状のインジェクターブロック101に、直径0.5mmの円形断面形状のガス噴出孔102が324個設けられている。処理ガスの供給路の開口部と対向する位置となる、インジェクターブロック101の中央にはガス噴出孔102が設けられていない。また、インジェクターブロック101の上面の中央には、凹部65が設けられている。
【0051】
(比較例3)
図8(c)に示すように、比較例3は、厚さ4mmの円板形状のインジェクターブロック101に、直径0.5mmの円形断面形状のガス噴出孔102が324個設けられている。処理ガスの供給路の開口部と対向する位置となる、インジェクターブロック101の中央にはガス噴出孔102が設けられていない。また、インジェクターブロック101の上面の中央には、凹部65が設けられている。
【0052】
(比較例4)
図8(d)に示すように、比較例4は、厚さ8mmの円板形状のインジェクターブロック101に、直径0.5mmの円形断面形状のガス噴出孔102が48個設けられている。処理ガスの供給路の開口部と対向する位置となる、インジェクターブロック101の中央にはガス噴出孔102が設けられていない。また、インジェクターブロック101の上面の中央には、凹部65が設けられている。
【0053】
(実施例1)
図8(e)に示すように、実施例1は、厚さ8mmの円板形状のインジェクターブロック60に、扁平な断面形状を有するガス噴出孔66が24個設けられている。ガス噴出孔66のインジェクターブロック60の半径方向の幅tは0.5mm、円周方向の長さLは数mm〜十数mmである。処理ガスの供給路の開口部と対向する位置となる、インジェクターブロック60の中央にはガス噴出孔66が設けられていない。また、インジェクターブロック60の上面の中央には、凹部65が設けられている。
【0054】
(実施例2)
図8(f)に示すように、実施例2は、厚さ8mmの円板形状のインジェクターブロック60に、扁平な断面形状を有するガス噴出孔66が12個設けられている。ガス噴出孔66のインジェクターブロック60の半径方向の幅tは0.5mm、円周方向の長さLは数mm〜十数mmである。処理ガスの供給路の開口部と対向する位置となる、インジェクターブロック60の中央にはガス噴出孔66が設けられていない。また、インジェクターブロック60の上面の中央には、凹部65が設けられている。
【0055】
(比較例5)
図8(g)に示すように、比較例5は、厚さ8mmの円板形状のインジェクターブロック101の中央に、直径2.5mmの円形断面形状のガス噴出孔102が1個だけ設けられている。このガス噴出孔102は、処理ガスの供給路の開口部と対向する位置にある。インジェクターブロック101の上面は平面であり、凹部はない。
【0056】
これら比較例1〜5と実施例1、2のインジェクターブロックについて、ガス溜め部の内圧と処理容器の内圧の差を測定した。測定は、Arガスを100mtorr、100sccmで流して行った。比較例1〜5と実施例1,2のガス溜め部の内圧と処理容器の内圧の測定結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
表1の結果から、実施例1、2のインジェクターブロックは、比較例1〜5のインジェクターブロックに比べて、ガス溜め部の内圧と処理容器の内圧の差が小さい。
【0059】
次に、比較例1と実施例1のインジェクターブロックについて、流量を変化させて、ガス溜め部の内圧の変化を測定した。Arガス(100mtorr)の流量を50〜1000sccmに変化させた。その結果を
図9、10に示す。
図9に示すように、供給側となるスプリッターでは、比較例1の圧力Aと実施例1の圧力Bは、ほぼ比例して上昇した。これに対して、
図10に示すように、実施例1では、ガス溜め部の内圧Dは、流量の増加に関わらずほぼ一定となった。一方、比較例1では、ガス溜め部の内圧Cは、流量の増加に比例して上昇した。