【実施例1】
【0016】
本発明をSEMを用いた検査装置に適用した例を説明する。本実施例による検査装置の構成の例を
図1に示す。この検査装置は、走作型電子顕微鏡で半導体ウェハを撮像して得た画像を画像処理回路で処理して欠陥の判定を行うものである。
【0017】
検査装置は、走作型電子顕微鏡(SEM)100と、A/D変換器110、画像処理手段111、ユーザインターフェース部112、記憶手段113、全体制御部114を備えて構成される。
【0018】
走作型電子顕微鏡(SEM)100は、筐体101の内部に平面内で移動可能なテーブル102と、電子線105を発射する電子線源104、電子線源104から発射された電子線105を偏向させる偏向器106、電子線105のフォーカス位置を調整する電子レンズ107、電子レンズ107でフォーカス位置を調整された電子線105が走査して照射された半導体ウェハ103から発生する二次電子108を偏向器106による偏向の信号と同期させて検出する検出器109を備えている。検出器109で検出された二次電子は、電気信号に変換された後、更にA/D変換器110によりデジタル画像信号に変換され、画像処理手段111に入力されて画像処理される。
【0019】
上記した構成を備えたSEM式の半導体ウェハ検査装置を用いて試料である半導体ウェハ103を撮像する際は,電子線源104から発射された電子ビーム105を偏向器107でX方向に一定の周期で繰り返し偏向させデンシレンズ107で収束させて、ステージ102によりY方向に一定の速度で移動している半導体ウェハ103の表面に焦点を合わせて、ステージ102によるY方向への移動と同期させて走査する。このようにして電子ビーム105が照射され走査された半導体ウェハ103から発生した二次電子(反射電子も含む)子108を検出器109で検出しA/D変換器110でデジタル信号に変換して検査画像を得、画像処理手段111でこの検査画像を記憶しておいたGP画像と比較して差異を抽出する画像処理を行い、欠陥を検出する。
【0020】
上記した装置を用いて半導体ウェハ103上に形成されたメモリセルを検査画像とし、GP画像と比較して欠陥を検出するGP検査を行う方法の手順の例を
図2に示す。
【0021】
まず、最初のウェハであるかを判断し(S201)、YESの場合にはユーザインタフェース部112から検査対象ウェハの回路パターンのうちでメモリセルを含む領域を指定する(S202)。次に、検査対象ウェハについて、指定された領域をSEM100を用いて撮像してSEM画像を取得して位置情報とともに記憶手段113に記憶する(S203)。次に、S203で取得されて記憶手段113に記憶されたSEM画像を用いて画像処理手段111においてGP画像を作成する(S205)。次に、GP検査おいて欠陥を識別する識別基準を設定する(S204)。次に、検査対象ウェハについて、指定された領域と同一形状のパターンを含む領域をSEM100を用いて順次撮像して複数のSEM画像を取得して位置情報とともに記憶手段113に記憶する(S208)。次に画像処理手段111においてGP画像と記憶手段113に記憶されている複数の画像を欠陥識別基準を用いたGP検査により順次比較検査して欠陥候補を検出し(S206)、この検出した欠陥候補から欠陥を抽出する(S207)。次に、その結果を出力する(S209)。
【0022】
S208でSEM画像の取得が終わったウェハは、画像処理手段111と記憶手段113とでS208からS209までのステップの処理を実行している間にSEM式検査装置から搬出され、次の検査対象ウェハが搬入される。この搬入された検査対象ウェハはS201で最初のウェハではないと判断されてS208のSEM画像取得のステップが直ちに実行され、最初のウェハのときにS202で設定された領域の情報を用いてSEM画像が取得されて記憶手段113に記憶される。さらに、S206のGP検査のステップに進み、最初のウェハを用いて作成されたGP画像を用いてGP検査が実行され、その後S207からS209までが順次実行される。
【0023】
図2において、2枚目以降のウェハについてはS202〜S205のステップをスキップする処理フローを説明したが、S201の判定ステップを削除して、2枚目以降のウェハについてもそれぞれのウェハのSEM画像を用いて、それぞれのウェハごとにS205でGP画像を作成しても良い。
【0024】
S202、S208のSEM画像を取得するステップにおいてウェハから取得したSEM画像には、電子光学系の回路に発生する回路ノイズ等によって、ノイズ(以降、単にノイズと記す)が生じる。検査画像と参照画像とではノイズの発生状態が異なるため、検査・参照画像の比較の際に、ノイズの差異を虚報として検出してしまう。虚報を抑えるためには欠陥検出感度を下げることを余儀なくされ,実欠陥見逃しが発生してしまう場合がある。虚報を抑制し実欠陥見逃しを防ぐためには画像に生じるノイズを低減することが必要である。半導体のプロセスノードの微細化に伴い,より微小な欠陥を検出することが要求され、画像に生じるノイズの低減の必要性が高まる方向にある。
【0025】
本発明では、画像に生じるノイズを低減するため、複数のメモリセルの画像を用いて、平均を算出して平均画像を作成し、これをGP画像として用いることでGP画像に生じるノイズを低減しても良い。
【0026】
次に、GP画像の平均化の概念の例を
図3に示す。ここで説明を簡単化するため1次元波形を用いて説明する。GP波形(1)301、GP波形(2)302、GP波形(3)303、GP波形(4)304は本来同一形状となるように形成された個々のメモリセルの画像信号であり基本的に同一である。各波形は画素サイズ毎にサンプリングしてデジタル画像化されるが、各波形の位相は互いにずれがあるため、波形間のサンプリング位置にはずれがある。そこでGP画像の平均化の際には、位相のずれを考慮して一つのGP波形に合成する。例えば、各参照画像の左端に、サンプリング点(1)311、サンプリング点(2)1312、サンプリング点(3)313、サンプリング点(4)314があり、一つのGP波形1305に合成する際には、位相のずれを考慮して合成位置(1)321、合成位置(2)322、合成位置(3)323、合成位置(4)324に位置づけて平均画像を合成するのが望ましい。
【0027】
上記では、メモリセル画像からGP画像を作成したが、検査対象を半導体ウェハのロジック部とする場合は、繰り返し性が無い回路パターン画像からGP画像を作成しても良い。また、繰り返し性が無い回路パターンでも、検査対象ウェハの各ダイの同一箇所には同一の回路パターンが存在するため、それらを用いて、平均を算出して平均画像を作成し、これをGP画像として用いることでGP画像に生じるノイズを低減しても良い。
【0028】
上記に説明した実施例においては、取得した複数のSEM画像から平均画像を作成してGP画像としていたが、取得した複数のSEM画像から一つの画像を抽出し、この抽出した画像をGP画像としても良い。例えば、取得した複数の画像についてパターンエッジ信号の急峻さ(edge sharpness:エッジシャープネス)やパターン幅を評価し、理想パターン(設計パターン)に最も近い画像を選択して、GP画像とすることができる。
【0029】
[変形例1]
上記実施例では、メモリセル領域を撮像して得られたSEM画像をGP画像としているが、検出したい欠陥はメモリセル領域の特定の回路パターン部のみに発生する場合がある。この場合、検査画像とGP画像とをそのまま比較すると検出したくないノイズを欠陥候補として検出する可能性がある。例えば、
図4に示すような穴401が並んでいる回路パターン402で、検出したい欠陥403はSEM画像上では穴の内側部分の明るさの違いであり、穴と穴との間の部分の明るさの違いは検出したくないノイズ404である場合が考えられる。そのまま比較するとノイズを欠陥候補として検出する可能性がある。
【0030】
そこで、本で変形例1は、教示画像に対して検査箇所を指定して、検査箇所のみ検査しても良い。これによってノイズを欠陥候補として検出することを抑制する。
【0031】
本変形例1における処理の全体のフローは上記で説明した
図2に示した処理フローと同じであるが、S204の識別基準設定のステップの詳細な処理の内容が異なる。
【0032】
本変形例1による識別基準設定の概念を
図5に示す。ウェハを撮像して得られたSEM画像501上で、検査箇所を指定する。例えば、得られたSEM画像はユーザインターフェース部112のGUI画面1121上に表示する。次に、GUI画面1121上に表示されたSEM画像上で検査したい領域502を例えば矩形状にユーザが範囲指定する。検査箇所が表示されることで検査箇所の妥当性をユーザが確認することができる。SEM画像上に同じパターン形状のメモリセルが複数ある場合は、各メモリセル上に前述の検査箇所を矩形状に自動設定する。S206のGP検査のステップではこの検査箇所のみ検査を行う。
【0033】
[変形例2]
上記変形例1では、検出したい欠陥は検査箇所の明るさの違いであるとしたが、検査箇所が明るくなる(白くなる)場合は検出したい欠陥であるが、検査箇所が暗くなる(黒くなる)場合は検出したくないノイズの場合がある。そのまま比較するとノイズを欠陥候補として検出する可能性がある。
【0034】
そこで、本変形例2では、白くなる場合の欠陥検出閾値と黒くなる場合の欠陥検出閾値とを独立に指定しても良い。これによってノイズを欠陥候補として検出することを抑制する。
【0035】
本変形例2における処理の全体のフローは上記で説明した
図2に示した処理フローと同じであるが、S204の識別基準設定のステップの詳細な処理の内容が異なる。
【0036】
本変形例2による識別基準設定の概念を
図6に示す。例えば、指定された検査箇所601の白くなる場合の欠陥検出閾値(白閾値)と黒くなる場合の欠陥検出閾値(黒閾値)との調整ゲージ602をユーザインターフェース部112のGUI画面1121上に表示する。次に、それぞれのゲージを指定したい閾値603にユーザが動かす。GUI画面1121上にSEM画像に対応した白閾値と黒閾値との閾値マップ604を表示し、ユーザ指定に合わせて閾値マップが表示されることで閾値の妥当性をユーザが確認することができる。
【0037】
[変形例3]
上記では、メモリマットが同じパターン形状のメモリセルの連続で構成されているものとしていたが、メモリセルのパターンとは異なる不規則パターンがメモリマットの中に含まれている場合がある。そのまま比較すると不規則パターンを欠陥候補として検出する可能性がある。
【0038】
そこで、本変形例3では、不規則パターン箇所を指定して検査から除外しても良い。これによって不規則パターンを欠陥候補として検出することを抑制する。
【0039】
本実施例における処理の全体のフローは上記で説明した
図2に示した処理フローと同じであるが、S204の識別基準設定のステップの詳細な処理の内容が異なる。
【0040】
本実施例による識別基準設定の概念を
図67に示す。ウェハを撮像して得られたSEM画像上で、不規則パターン箇所を指定する。例えば、得られたSEM画像701はユーザインターフェース部112のGUI画面1121上に表示する。次に、GUI画面1121上に表示されたSEM画像上で不規則パターン箇所702を例えば矩形状にユーザが範囲指定する。不規則パターン箇所が表示されることで妥当性をユーザが確認することができる。SEM画像上に同じパターン形状の不規則パターンが複数ある場合は、各不規則パターン上に前述の矩形を自動設定する。S206のGP検査のステップではこの不規則パターン箇所を除外して検査を行う。
【0041】
[変形例4]
上記では、検出したい欠陥が発生する箇所がSEM画像上で明らかであるものとしていた。しかしながら、例えば、ダミーパターンのようにSEM画像上での見かけは実パターンと同様に見える形状でも、電気回路としては動作しないため、ダミーパターンで発生する欠陥候補は致命的でない場合がある。そのまま検査するとダミーパターンで欠陥を検出する可能性がある。
【0042】
そこで、本変形例4では、設計情報を参照して注目領域を指定し、注目領域のみ検査しても良い。これによってダミーパターンを欠陥候補として検出することを抑制する。
【0043】
本変形例4における処理の全体のフローは上記で説明した
図2に示した処理フローと同じであるが、S204の識別基準設定のステップの詳細な処理の内容が異なる。
【0044】
本変形例4による識別基準設定の概念を
図8に示す。ウェハを撮像して得られたSEM画像上で、注目領域を指定する。例えば、得られたSEM画像はユーザインターフェース部112のGUI画面1121上に表示する。また、それに対応する設計情報802をSEM画像801に重ねて表示803する。次に、SEM画像上で注目領域804を例えば矩形状にユーザが範囲指定する。注目領域が表示されることで妥当性をユーザが確認することができる。S206のGP検査のステップではこの注目領域を対象として検査を行う。
【0045】
[変形例5]
また、欠陥か否かはわかってもSEM画像上で差異が生じる箇所が明確でない場合がある。この場合、検査箇所をあいまい指定することになり、そのまま検査するとノイズを欠陥候補としたり、実欠陥を見逃す可能性がある。
【0046】
そこで、本変形例5では、GP画像上で正常か否かをユーザ教示して検査箇所指定の用いても良い。これによって、ノイズを欠陥候補としたり、実欠陥を見逃すことを抑制する。
【0047】
本変形例5における処理の全体のフローは上記で説明した
図2に示した処理フローと同じであるが、S204の識別基準設定のステップの詳細な処理の内容が異なる。
【0048】
本変形例5による識別基準設定の概念を
図9に示す。例えば、得られたSEM画像はユーザインターフェース部112のGUI画面1121上に表示する。このGUI画面1121上に表示されたSEM画像901上で、正常かノイズか欠陥かをユーザが教示する。次にSEM画像901上で検査箇所を指定する。SEM画像901上に複数ある同じパターン形状のメモリセル902上に検査箇所903が矩形状に自動設定される。次に、欠陥があるメモリセルの検査箇所で欠陥部904が検査箇所内に入るように矩形をユーザが調整する。ノイズがあるメモリセルの検査箇所でノイズ部905が検査箇所内に入らないように矩形をユーザが調整906する。検査箇所が表示されることで検査箇所の妥当性をユーザが確認することができる。S206のGP検査のステップではこの検査箇所のみ検査を行う。
【0049】
また、正常907、欠陥908、ノイズ909の教示画像の検査箇所の画素値を用いて、一般的に知られている正準分析等の手法により、欠陥識別基準を自動設定しても良い。
【0050】
[変形例6]
上記では、検出したい欠陥は検査箇所の明るさの違いであるとしたが、検査箇所によっては検出したい欠陥の明るさレベルが異なる場合がある。そのまま比較すると検出したくない明るさレベルのノイズを欠陥候補として検出する可能性がある。
【0051】
そこで、本変形例6では、検査箇所によって欠陥検出閾値を変えても良い。これによってノイズを欠陥候補として検出することを抑制する。
【0052】
本変形例6における処理の全体のフローは上記で説明した
図2に示した処理フローと同じであるが、S204の識別基準設定のステップの詳細な処理の内容が異なる。
【0053】
本変形例6による識別基準設定の概念を
図10に示す。例えば、GUI画面1121上に閾値マップ1001を表示し、複数ある検査箇所1002のそれぞれをユーザがクリックし、欠陥検出閾値の調整ゲージ1003を指定したい閾値にユーザが動かす。これを検査箇所毎に繰り返すことによって、検査箇所により欠陥検出閾値を変えることができる。
また、上記では、不規則パターン箇所を検査から除外する実施例を示したが、
図10を用いて示した変形例6と同様に、不規則パターン箇所を別の検査箇所としてその欠陥検出閾値を、他の検査箇所の欠陥検出閾値と変えても良い。
【0054】
本発明によるGP検査を従来のセル比較検査やダイ比較検査と組み合わせて実行しても良い。セル比較はダイ上のメモリマットにおける繰り返しパターン同士で比較を行う。ダイ比較では一つのダイ画像をその前後のダイ画像と比較を行う。通常、セル比較に比べてダイ比較は欠陥検出感度が低いため、セル比較を行えない非繰り返しパターン部に対して行うのが一般的である。GP検査はダイ比較より欠陥検出感度が高いことが期待できる。そのため、従来のダイ比較が対象としている非繰り返し部の一部ないし全部をGP検査に置き換えるのが望ましい。さらに、複数のメモリセルの画像を平均してGP画像とした場合、セル比較より欠陥検出感度が高くなることも期待できる。そのため、従来のセル比較が対象としている繰り返し部の一部ないし全部をGP検査に置き換えることも望ましい。
【0055】
GP検査を行うためのGUIの例を以下に示す。メモリセルを含む領域を指定するステップS202では、
図11に示すGUI画面1101上のGP作成タブ1102をユーザがクリックすると、本画面が表示される。ウェハマップ1103にはウェハ上にダイ1104が格子状に配列されたチップレイアウト1105が表示される。GUI画面1101上で、メモリセルを含む領域の設定に使用するダイ1106をユーザがダブルクリックすると
図12に示すダイマップ1201に遷移する。ダイマップ1201上でメモリセルを含む領域をユーザがドラッグするとドラッグした領域が矩形領域1202として表示される。
【0056】
次に「画像取得」ボタン1203をユーザがクリックすると、全体制御部114でSEM100のテーブル102を制御してGUI画面上で指定された矩形領域1202に対応する試料103上の箇所がSEM100の撮像の視野に入るように位置決めされ、SEM100で試料103を撮像することにより矩形領域1202に対応する箇所の画像1204が取得され、位置情報とともに記憶される。
【0057】
次に取得画像1204が表示される。取得画像1204をユーザが確認しユーザが登録ボタン1205をクリックすると取得画像1204がGP画像として登録される。
【0058】
次に欠陥識別基準を設定する。ここで、取得画像1204上で検査箇所1209をユーザがドラッグして指定しても良い。検査箇所1209について、比較検査の欠陥検出閾値を調整ゲージ1206をユーザがドラッグして設定する。設定した閾値の閾値マップ1210をGUI画面上に表示する。
【0059】
次にGUI画面1101上の検査タブ1207をユーザがクリックすると、検査処理に遷移する。
図13で検査実行ボタン1301をユーザがクリックすると検査ウェハの画像1302が順次取得され、位置情報とともに記憶される。記憶された画像について比較検査で欠陥候補1303の検出、次いで欠陥抽出され、結果がウェハマップ1103上に出力される。
【実施例3】
【0067】
図15に、本実施例におけるSEMを用いた欠陥観察装置の構成の別の実施例を示す。
図15の欠陥観察装置は、実施例2で説明した
図14の欠陥観察装置の構成に、1対の反射電子検出器1521Lと1521Rを加えたものである。1対の反射電子検出器1521Lと1521Rは互いに異なる方向に設置されており、好ましくはビームの照射位置に対して点対称の関係で設置する(以下、これを左側反射電子検出器(反射電子検出器L),右側反射電子検出器(反射電子検出器R)と記す)。図では、反射電子検出器を1521Lと1521Rと2つ備えた例を示したが、これは数を減らすことも、あるいは増やすことも可能である。
【0068】
図15に示した欠陥観察装置は、電子線式顕微鏡1500と、A/D変換器1510、画像処理手段1511、ユーザインターフェース部1512、記憶手段1513、全体制御部1514を備えて構成される。
【0069】
電子線式顕微鏡1500は、筐体1501の内部に平面内で移動可能なテーブル1502と、電子線1505を発射する電子線源1504、電子線源1504から発射された電子線1505を偏向させる偏向器1506、電子線1505のフォーカス位置を調整する電子レンズ1507、電子レンズ1507でフォーカス位置を調整された電子線1505が走査して照射された半導体ウェハ1503から発生する二次電子1508を偏向器1506による偏向の信号と同期させて検出する検出器1509及び電子線1505が走査して照射された半導体ウェハ1503からの反射電子を検出する1対の反射電子検出器1521Lと1521Rとを備えている。検出器1509で検出された二次電子と、反射電子検出器1521L及び1521Rで検出された反射電子1522は、それぞれ電気信号に変換された後、更にA/D変換器1510によりデジタル画像信号に変換され、処理手段1511に入力されて画像処理される。
【0070】
上記した構成を備えた欠陥観察装置において、予め記憶手段1513に記憶された半導体ウェハ1503上の検査領域の位置情報に基づいて全体制御部1514はテーブル1502を駆動して半導体ウェハ1503上の検査領域が電子線式顕微鏡1500の検出器1509による観察視野の中に入るように設定する。次に、全体制御部1514は電子線式顕微鏡1500を制御してこの観察視野の内部で位置合わせパターン画像を取得し、予め登録した位置合わせパターン登録画像と比較して検査領域の位置を算出する。次にこの算出した検査領域の位置を電子線式顕微鏡1500で撮像して検査領域の2次電子画像と反射電子画像を取得し、予め登録したGPと比較して欠陥を抽出する。最後に、この抽出した欠陥の画像上の特徴量を抽出して予め設定されたルールに基づいて欠陥を分類する。抽出した欠陥の画像や欠陥を分類した結果は、ユーザインターフェース部1512の画面15121に表示される。
【0071】
この場合、GP画像は2次電子画像と反射電子画像とのそれぞれに対応して設けるのが望ましい。また、上記で説明した閾値マップも2次電子画像と反射電子画像とのそれぞれに対応して設けるのが望ましい。
【0072】
上記した装置を用いて半導体ウェハ上に形成されたメモリセルを検査画像とし、GP画像と比較して欠陥を検出するGP検査を行う方法の手順の例は
図2と同様である。また
図3〜10などを用いて説明した内容についてもSEMを用いた検査装置と同様に適用することができる。
【0073】
GP検査を行うためのGUIは実施例1で説明したものと同じであり、
図11に示したGUI画面1101上の「GP作成」タブ1102をユーザがクリックすると、本画面が表示される。ウェハマップ1103にはウェハ上にダイ1104が格子状に配列されたチップレイアウト1105が表示される。GUI画面1101上で、メモリセルを含む領域の設定に使用するダイ1106をユーザがダブルクリックすると
図16に示すダイマップ1201に遷移する。ダイマップ1201上でメモリセルを含む領域をユーザがドラッグするとドラッグした領域が矩形領域1202として表示される。
【0074】
次に「画像取得」ボタン1603をユーザがクリックすると、全体制御部1514でSEM1500のテーブル1502を制御してGUI画面上で指定された矩形領域1202に対応する試料1503上の箇所がSEM1500の撮像の視野に入るように位置決めされ、SEM1500で試料1503を撮像することにより矩形領域1202に対応する箇所の画像1604が取得され、位置情報とともに記憶される。
【0075】
次に
図16のように取得画像1604、取得画像L1604L、取得画像R1604Rが表示される。取得画像1604、取得画像L1604L、取得画像R1604Rをユーザが確認しユーザが登録ボタン1605をクリックすると取得画像1604、取得画像L1604L、取得画像R1604RがGP画像として登録される。
【0076】
次に欠陥識別基準を設定する。ここで、取得画像1604上で検査箇所1609をユーザがドラッグして指定しても良い。取得画像L1604L、取得画像R1604R上には検査箇所1609に対応する検査箇所L1609L、検査箇所R1609Rが表示される。検査箇所1609、検査箇所L1609L、検査箇所R1609Rについて、比較検査の欠陥検出閾値を調整ゲージ1606、調整ゲージL1606L、調整ゲージR1606Rをそれぞれユーザがドラッグして設定する。設定した閾値の閾値マップ1610、閾値マップL1610L、閾値マップR1610RをGUI画面上に表示する。