【実施例】
【0045】
次に、本発明の実施例及び比較例について説明する。なお、本実施例は理解を容易にするための例であり、下記の例に制限されるものではない。すなわち、本発明は、本明細書に記載する技術思想の範囲内で、下記に示す実施例以外の態様あるいは変形を全て包含するものである。
【0046】
(実施例1)
ベース箔として、70μm厚の電解銅箔(A)を用いた。この電解銅箔を、
図1に示すめっき装置を使用し、上記めっき条件を使用して0.7μmのニッケルめっき(B)を施した。次に、このニッケルめっき層(B)上に、連続して0.2μmの中間電気銅めっき層(C)を形成した。
さらに、
図2に示す装置(ドラム型電極)を用いて、10μmの電気銅めっき層を形成した。これにより、銅/ニッケル/薄銅/厚銅からなる複合銅箔を製造した。
【0047】
薄銅/厚銅からなる銅層の厚みの測定は以下のように行った。薄銅/厚銅からなる銅層の反対面(ベース箔側)をFR−4樹脂へプレスし、マスキングする。そのサンプルをアルカリエッチングにて薄銅/厚銅からなる銅層が溶けるまで溶解させ、溶解前後の重量変化から単位面積当たりの銅の重量厚みを測定する。更に、銅の比重8.93g/(m
2・μm)で割り返せば厚み(μm)を算出することができる。
【0048】
精度良く厚みを求めるためには、20cm
2以上の面積に対して測定することが望ましい。測定は10カ所の板厚を求め、平均値を算出し、ばらつきは、(最大値―平均値)/平均値×100か(平均値―最小値)/平均値×100のいずれか大きい方とした。評価は、5%未満を「○」、5%以上10%未満を「△」、10%以上を「×」とした。
【0049】
密着性については、極薄銅箔側に150℃以上で基材に積層し、剥離強度を測定した。剥離が可能で剥離強度が0.5kg/cm未満で剥離した場合には「×」とした。剥離しない或いは剥離強度が0.5kg/cm以上の場合には、「○」とした。
以上の結果、板厚制度は5%未満と良好であり、また、剥離強度が0.5kg/cm以上で密着性は良好であった。この結果を、同様に表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
(実施例2)
ベース箔として、12μm厚の圧延銅箔(A)を用いた。この圧延銅箔を、
図1に示すめっき装置を使用し、上記めっき条件を使用して0.6μmのニッケルめっき(B)を施した。次に、このニッケルめっき層(B)上に、連続して0.1μmの中間電気銅めっき層(C)を形成した。
さらに、
図2に示す装置(ドラム型電極)を用いて、5μmの電気銅めっき層を形成した。これにより、銅/ニッケル/薄銅/厚銅からなる複合銅箔を製造した。他の試験条件は、実施例1と同様である。
【0052】
以上の結果、板厚制度は5%未満と良好であり、また、剥離強度が0.5kg/cm以上で密着性は良好であった。この結果を、同様に表1に示す。
【0053】
(実施例3)
ベース箔として、18μm厚の圧延銅箔(A)を用いた。この圧延銅箔を、
図1に示すめっき装置を使用し、上記めっき条件を使用して1μmのニッケルめっき(B)を施した。次に、このニッケルめっき層(B)上に、連続して2μmの中間電気銅めっき層(C)を形成した。
さらに、
図2に示す装置(ドラム型電極)を用いて、10μmの電気銅めっき層を形成した。これにより、銅/ニッケル/薄銅/厚銅からなる複合銅箔を製造した。他の試験条件は、実施例1と同様である。
【0054】
以上の結果、板厚制度は5%未満と良好であり、また、剥離強度が0.5kg/cm以上で密着性は良好であった。この結果を、同様に表1に示す。
【0055】
(実施例4)
ベース箔として、35μm厚の圧延銅箔(A)を用いた。この圧延銅箔を、
図1に示すめっき装置を使用し、上記めっき条件を使用して3μmのニッケルめっき(B)を施した。次に、このニッケルめっき層(B)上に、連続して4μmの中間電気銅めっき層(C)を形成した。
さらに、上記浸漬条件を用いてクロメート処理をした後、
図2に示す装置(ドラム型電極)を用いて、20μmの電気銅めっき層を形成した。なお、銅めっき層(C)と電気めっき層(D)の間のCr量は、15μg/dm
2であった。これにより、銅/ニッケル/薄銅/防錆層/厚銅からなる複合銅箔を製造した。他の試験条件は、実施例1と同様である。
【0056】
以上の結果、板厚制度は5%未満と良好であり、また、剥離強度が0.5kg/cm以上で密着性は良好であった。この結果を、同様に表1に示す。
【0057】
(実施例5)
ベース箔として、18μm厚の圧延銅箔(A)を用いた。この圧延銅箔を、
図1に示すめっき装置を使用し、上記めっき条件を使用して1μmのニッケルめっき(B)を施した。次に、このニッケルめっき層(B)上に、連続して2μmの中間電気銅めっき層(C)を形成した。
さらに、上記浸漬条件を用いてクロメート処理をした後、
図2に示す装置(ドラム型電極)を用いて、10μmの電気銅めっき層を形成した。なお、銅めっき層(C)と電気めっき層(D)の間のCr量は、45μg/dm
2であった。これにより、銅/ニッケル/薄銅/防錆層/厚銅からなる複合銅箔を製造した。他の試験条件は、実施例1と同様である。
【0058】
以上の結果、板厚制度は5%未満と良好であり、また、剥離強度が0.5kg/cm以上で密着性は良好であった。この結果を、同様に表1に示す。
【0059】
(実施例6)
ベース箔として、18μm厚の電解銅箔(A)を用いた。この圧延銅箔を、
図1に示すめっき装置を使用し、上記めっき条件を使用して1μmのニッケルめっき(B)を施した。次に、このニッケルめっき層(B)上に、連続して2μmの中間電気銅めっき層(C)を形成した。
さらに、
図2に示す装置(ドラム型電極)を用いて、10μmの電気銅めっき層(D)を形成した後、上記浸漬条件を用いてクロメート処理をした。なお、電気めっき層(D)上のCr量は、30μg/dm
2であった。これにより、銅/ニッケル/薄銅/厚銅/防錆層からなる複合銅箔を製造した。他の試験条件は、実施例1と同様である。
【0060】
以上の結果、板厚制度は5%未満と良好であり、また、剥離強度が0.5kg/cm以上で密着性は良好であった。この結果を、同様に表1に示す
【0061】
(比較例1)
ベース箔として、70μm厚の電解銅箔(A)を用いた。この電解銅箔を、
図1に示すめっき装置を使用し、上記めっき条件を使用して1μmのニッケルめっき(B)を施した。この(B)上に、
図2に示す装置(ドラム型電極)を用いて、10μmの電気銅めっき層を形成した。これにより、銅/ニッケル/厚銅からなる複合銅箔を製造した。他の試験条件は、実施例1と同様である。
【0062】
以上の結果、板厚制度は5%未満と良好であったが、剥離強度が0.5kg/cm未満で密着性は不十分であった。この結果を、同様に表1に示す
【0063】
(比較例2)
ベース箔として、70μm厚の圧延銅箔(A)を用いた。この圧延銅箔を、
図1に示すめっき装置を使用し、上記めっき条件を使用して3μmのニッケルめっき(B)を施した。次に、このニッケルめっき層(B)上に、連続して0.01μmの中間電気銅めっき層(C)を形成した。
さらに、この層(C)上に、
図2に示す装置(ドラム型電極)を用いて、10μmの電気銅めっき層を形成した。これにより、銅/ニッケル薄銅/薄銅/厚銅からなる複合銅箔を製造した。他の試験条件は、実施例1と同様である。
【0064】
以上の結果、板厚制度は5%未満と良好であり、また、剥離強度が0.5kg/cm未満で密着性が不十分であった。これは、中間電気銅めっき層(C)の厚さが不十分であったことが原因と考えられる。この結果を、同様に表1に示す。
【0065】
(比較例3)
ベース箔として、12μm厚の電解銅箔(A)を用いた。この電解銅箔を、
図1に示すめっき装置を使用し、上記めっき条件を使用して1μmのニッケルめっき(B)を施した。次に、このニッケルめっき層(B)上に、連続して20μmの電気銅めっき層(C)を形成した。10μmの電気銅めっき層を形成した。これにより、銅/ニッケル/厚銅からなる複合銅箔を製造した。他の試験条件は、実施例1と同様である。
【0066】
以上の結果、工程中、ニッケル層と銅層との間での剥離は全く認められなかったが、板厚制度は10%以上となった。これは、板厚精度の悪い
図1のめっき装置で厚めっきをおこなったことが原因と考えられる。この結果を、同様に表1に示す。
【0067】
(比較例4)
ベース箔として、12μm厚の圧延銅箔(A)を用いた。この圧延銅箔を、
図1に示すめっき装置を使用し、上記めっき条件を使用して0.7μmのニッケルめっき(B)を施した。次に、このニッケルめっき層(B)上に、連続して6μmの中間電気銅めっき層(C)を形成した。さらに、
図2に示す装置(ドラム型電極)を用いて、10μmの電気銅めっき層を形成した。これにより、銅/ニッケル/薄銅/厚銅からなる複合銅箔を製造した。他の試験条件は、実施例1と同様である
【0068】
以上の結果、剥離強度が0.5kg/cm以上で密着性は良好であったが、板厚精度は5%以上10%未満となった。これは、板厚精度の悪い薄銅層を厚くなった分板厚精度が悪くなったと考えられる。この結果を、同様に表1に示す。