【実施例】
【0088】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[樹脂ワニスの調製]
【0089】
下記手順及び表1〜表3の配合量に従って、樹脂ワニスを調製した。
【0090】
(調製例1)
温度計、還流冷却器、減圧濃縮装置及び撹拌装置を備えた1リットル容量のセパラブルフラスコに、トルエンと、(A)成分としてスチレン−ブタジエン共重合体の水素添加物(タフテックH1051、スチレン含有比率:42%、Mn:66,000、旭化成ケミカルズ製)を投入し、フラスコ内の温度を80℃に設定して撹拌溶解した。次いで、(B)成分としてビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC−3000H、日本化薬製)及びクレゾールノボラック樹脂(KA1165、DIC製)を配合して溶解確認後、フラスコを室温まで冷却した。その後、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ、四国化成製)を添加後、メチルエチルケトンを配合・攪拌して固形分濃度約35質量%の樹脂ワニスを調製した。
【0091】
(調製例2)
調製例1において、(A)成分のタフテックH1051の1/2量を、数平均分子量が6万以下のスチレン−ブタジエン共重合体の水素添加物(タフテックH1031、スチレン含有比率:30%、Mn:47,000、旭化成ケミカルズ製)に置き換えた以外は調製例1と同様にして樹脂ワニスを調製した。
【0092】
(調製例3)
調製例2において、(A)成分のタフテックH1051の一部を、マレイン酸変性スチレン−ブタジエン共重合体の水素添加物(タフテックM1913、スチレン含有比率:30%、Mn:55,000、旭化成ケミカルズ製)に置き換えて表1に示す配合量で配合したこと以外は調製例2と同様にして樹脂ワニスを調製した。
【0093】
(調製例4)
温度計、還流冷却器、減圧濃縮装置及び撹拌装置を備えた1リットル容のセパラブルフラスコにトルエン、(B)成分として、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン(BADCY、ロンザ製)、p−(α−クミル)フェノール(東京化成工業製)を投入し、溶解確認後に液温を110℃に保った後で反応促進剤としてナフテン酸マンガン(和光純薬工業製)を配合し、約3時間加熱反応させてシアネートプレポリマー溶液を得た。次いで反応液を冷却し、内温が80℃になったら、(A)成分としてスチレン−ブタジエン共重合体の水素添加物(タフテックH1051、スチレン含有比率:42%、Mn:66,000、旭化成ケミカルズ製)、トルエン及びメチルエチルケトンを攪拌しながら配合して溶解を確認後にフラスコを室温まで冷却した後、硬化促進剤としてナフテン酸亜鉛(和光純薬工業製)を配合して固形分濃度約35質量%の樹脂ワニスを調製した。
【0094】
(調製例5)
温度計、還流冷却器、減圧濃縮装置及び撹拌装置を備えた1リットル容量のセパラブルフラスコにトルエンとポリフェニレンエーテル(S202A、旭化成ケミカルズ製、Mn:16000)を投入し、フラスコ内の温度を90℃に設定して撹拌溶解した。次いで、(B)成分として、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン(BADCY、ロンザ製)とp−(α−クミル)フェノール(東京化成工業製)を投入し、溶解確認後に液温を110℃に保った後で反応促進剤としてナフテン酸マンガン(和光純薬工業製)を配合し、約3時間加熱反応させてポリフェニレンエーテル変性シアネートプレポリマー溶液を合成した。次いで反応液を冷却し、内温が80℃になったら、(B)成分としてビフェニル型エポキシ樹脂(YX−4000、JER製)、(A)成分として、タフテックH1051及びH1031、トルエン及びメチルエチルケトンを攪拌しながら配合して溶解を確認した後、室温まで冷却した後に、硬化促進剤としてナフテン酸亜鉛(和光純薬工業製)及び2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)を配合して固形分濃度約35質量%の樹脂ワニスを調製した。
【0095】
(調製例6)
温度計、還流冷却器、減圧濃縮装置及び撹拌装置を備えた1リットル容量のセパラブルフラスコに、トルエンと、(A)成分としてスチレン−ブタジエン共重合体の水素添加物(タフテックH1051、スチレン含有比率:42%、Mn:66,000、旭化成ケミカルズ製)を投入し、フラスコ内の温度を80℃に設定して撹拌溶解した。次いで、(B)成分としてビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン(BMI−5100、大和化成製)を配合して溶解確認後、フラスコを室温まで冷却した。その後、硬化促進剤として1,1′−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(パーブチルP、日本油脂製)を添加後、メチルエチルケトンを配合・攪拌して固形分濃度約35質量%の樹脂ワニスを調製した。
【0096】
(調製例7)
調製例6において、(B)成分をBMI−5100の代わりに、化学変性されていないポリブタジエン樹脂(B−3000、日本曹達製、1,2−ビニル構造:90%)を表1に示す配合量で配合した以外は調製例6と同様にして樹脂ワニスを調製した。
【0097】
(調製例8)
温度計、還流冷却器、減圧濃縮装置及び撹拌装置を備えた1リットル容量のセパラブルフラスコに、トルエンと、(A)成分としてスチレン−ブタジエン共重合体の水素添加物(タフテックH1053、スチレン含有比率:29%、Mn:68,000、旭化成ケミカルズ製)と数平均分子量が6万以下のスチレン−ブタジエン共重合体の水素添加物(タフテックH1031、スチレン含有比率:30%、Mn:47,000、旭化成ケミカルズ製)を投入し、フラスコ内の温度を80℃に設定して撹拌溶解した。次いで、(B)成分としてビスマレイミド(BMI−5100)とポリブタジエン樹脂(B−3000)、日本曹達製、1,2−ビニル構造:90%)配合して溶解確認後、フラスコを室温まで冷却した。その後、硬化促進剤として1,1′−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(パーブチルP、日本油脂製)を添加後、メチルエチルケトンを配合・攪拌して固形分濃度約35質量%の樹脂ワニスを調製した。
【0098】
(調製例9)
温度計、還流冷却器、減圧濃縮装置及び撹拌装置を備えた1リットル容量のセパラブルフラスコに、トルエン、ポリフェニレンエーテル(S202A、旭化成ケミカルズ製、Mn:16000)を投入し、フラスコ内の温度を90℃に設定して撹拌溶解した。次いで、成分(B)として、化学変性されていないポリブタジエン樹脂(B−3000)及びN−フェニルマレイミド(イミレックス−P、日本触媒製)を投入し、撹拌を続け、これらが溶解したことを確認した。その後、液温を110℃に上昇させ、その温度を保ったまま、反応開始剤として、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(パーヘキサTMH、日本油脂製)0.5質量部を配合し、撹拌しながら約1時間予備反応させて、ポリフェニレンエーテル変性ブタジエンプレポリマー溶液を得た。このポリフェニレンエーテル変性ブタジエンプレポリマー溶液中のN−フェニルマレイミドの転化率をゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したところ、転化率33%であった。
次いで、フラスコ内の液温を80℃に設定後、撹拌しながら溶液の固形分濃度が約45質量%となるように濃縮した。次に、溶液を室温まで冷却した後、成分(A)としてタフテックH1051を配合し、溶解を確認後、硬化促進剤としてパーブチルPを添加後、トルエン及びメチルエチルケトンを配合・攪拌して固形分濃度約35質量%の樹脂ワニスを調製した。
【0099】
(調製例10)
調製例9において、(A)成分のタフテックH1051の1/2量を、数平均分子量が6万以下のスチレン−ブタジエン共重合体の水素添加物(タフテックH1141、スチレン含有比率:30%、Mn:41,000、旭化成ケミカルズ製)に置き換えた以外は調製例9と同様にして樹脂ワニスを調製した。
【0100】
(調製例11)
調製例10において、(A)成分のタフテックH1051の代わりに、マレイン酸変性スチレン−ブタジエン共重合体の水素添加物(タフテックM1913)に置き換えた以外は調製例10と同様にして樹脂ワニスを調製した。
【0101】
(調製例12)
調製例9において、(A)成分をタフテックH1051の代わりに、タフテックH1141に置き換え、更に(B)成分として、表1に示す配合量でBMI−5100を追加配合した以外は調製例9と同様にして樹脂ワニスを調製した。
【0102】
(調製例13)
調製例12において、(A)成分をタフテックH1051の代わりに、マレイン酸変性スチレン−ブタジエン共重合体の水素添加物(タフテックM1913)に置き換えた以外は調製例12と同様にして樹脂ワニスを調製した。
【0103】
(調製例14)
調製例12において、BMI−5100の代わりに、2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン(BMI−4000、大和化成製)に置き換えて表1に示す配合量で配合したこと以外は調製例12と同様にして樹脂ワニスを調製した。
【0104】
(調製例15)
調製例12において、(A)成分をタフテックH1141の1/2量を、マレイン酸変性スチレン−ブタジエン共重合体の水素添加物(タフテックM1913)に置き換えた以外は調製例12と同様にして樹脂ワニスを調製した。
【0105】
(調製例16)
調製例4において、(A)成分のタフテックH1051の一部を、タフテックH1031に置き換えて、希釈溶媒をトルエンのみにして、用いた材料を表1に示す配合量で配合したこと以外は調製例4と同様にして樹脂ワニスを調製した。
【0106】
(調製例17)
調製例4において、(A)成分のタフテックH1051の一部を、タフテックH1031及びM1913に置き換えて、希釈溶媒をトルエンのみにして、用いた材料を表1に示す配合量で配合したこと以外は調製例4と同様にして樹脂ワニスを調製した。
【0107】
(調製例18)
調製例6において、(A)成分のタフテックH1051の一部を、タフテックH1031及びM1913に置き換えて、用いた材料を表1に示す配合量で配合したこと以外は調製例6と同様にして樹脂ワニスを調製した。
【0108】
(調製例19)
調製例8において、(A)成分のタフテックH1053及びH1031の代わりに、タフテックH1051及びH1141に置き換えて、用いた材料を表1に示す配合量で配合したこと以外は調製例8と同様にして樹脂ワニスを調製した。
【0109】
(調製例20)
調製例6において、H1051の配合量と、BMI−5100及びパーブルPの合計量との比率を表1に示すように変更したこと以外は調製例6と同様にして樹脂ワニス(固形分濃度約35質量%)を調製した。
【0110】
(調製例21)
温度計、還流冷却器、減圧濃縮装置及び撹拌装置を備えた1リットル容のセパラブルフラスコに、トルエンと、(A)成分としてスチレン−ブタジエン共重合体の水素添加物(タフテックH1051、スチレン含有比率:42%、Mn:66,000、旭化成ケミカルズ社製)を投入し、フラスコ内の温度を80℃に設定して撹拌溶解した。次いで、(B)成分としてビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC−3000H、日本化薬製)及びクレゾールノボラック樹脂(KA1165、DIC製)を配合して溶解確認後、フラスコを室温まで冷却した。その後、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ、四国化成製)を添加後、メチルエチルケトンを配合・攪拌して固形分濃度約35質量%の樹脂ワニスを調製した。
【0111】
(調製例22)
調製例21において、(A)成分のタフテックH1051の1/2量を、数平均分子量が6万以下のスチレン−ブタジエン共重合体の水素添加物(タフテックH1041、スチレン含有比率:30%、Mn:58,000、旭化成ケミカルズ社製)に置き換えた以外は調製例21と同様にして樹脂ワニスを調製した。
【0112】
(調製例23)
調製例22において、(A)成分のタフテックH1051の一部を、マレイン酸変性スチレン−ブタジエン共重合体の水素添加物(タフテックM1913、スチレン含有比率:30%、Mn:55,000、旭化成ケミカルズ社製)に置き換えて表2に示す配合量で配合したこと以外は調製例22と同様にして樹脂ワニスを調製した。
【0113】
(調製例24)
調製例23において、(C)成分として、フェノール系酸化防止剤(アデカ社製アデカスタブAO−20)を表2に示す配合量で配合したこと以外は調製例23と同様にして樹脂ワニスを調製した。
【0114】
(調製例25)
温度計、還流冷却器、減圧濃縮装置及び撹拌装置を備えた1リットル容のセパラブルフラスコにトルエン、(B)成分として、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン(BADCY、ロンザ製)、p−(α−クミル)フェノール(東京化成工業製)を投入し、溶解確認後に液温を110℃に保った後で反応促進剤としてナフテン酸マンガン(和光純薬工業製)を配合し、約3時間加熱反応させてフェノール変性シアネートプレポリマー溶液を得た。次いで反応液を冷却し、内温が80℃になったら、(A)成分としてスチレン−ブタジエン共重合体の水素添加物(タフテックH1051、スチレン含有比率:42%、Mn:66,000、旭化成ケミカルズ社製)、トルエン及びメチルエチルケトンを攪拌しながら配合して溶解を確認後にフラスコを室温まで冷却した後、硬化促進剤としてナフテン酸亜鉛(和光純薬工業製)を配合して固形分濃度約35質量%の樹脂ワニスを調製した。
【0115】
(調製例26)
調製例25において、(A)成分のタフテックH1051の一部を、数平均分子量が6万以下のスチレン−ブタジエン共重合体の水素添加物(タフテックH1043、スチレン含有比率:67%、Mn:47,000、旭化成ケミカルズ社製)とマレイン酸変性スチレン−ブタジエン共重合体の水素添加物(タフテックM1913、スチレン含有比率:30%、Mn:55,000、旭化成ケミカルズ社製)に置き換えて表2に示す配合量で配合したこと以外は調製例25と同様にして樹脂ワニスを調製した。
【0116】
(調製例27)
調製例25において、(C)成分として、フェノール系酸化防止剤(アデカ社製アデカスタブAO−80)を表2に示す配合量で配合したこと以外は調製例25と同様にして樹脂ワニスを調製した。
【0117】
(調製例28)
調製例26において、(C)成分として、フェノール系酸化防止剤(アデカ社製アデカスタブAO−330)を表2に示す配合量で配合したこと以外は調製例26と同様にして樹脂ワニスを調製した。
【0118】
(調製例29)
温度計、還流冷却器、減圧濃縮装置及び撹拌装置を備えた1リットル容のセパラブルフラスコに、トルエンと、(A)成分としてスチレン−ブタジエン共重合体の水素添加物(タフテックH1051、スチレン含有比率:42%、Mn:66,000、旭化成ケミカルズ社製)を投入し、フラスコ内の温度を80℃に設定して撹拌溶解した。次いで、(B)成分としてビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン(BMI−5100、大和化成製)を配合して溶解確認後、フラスコを室温まで冷却した。その後、硬化促進剤として1,1′−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(パーブチルP、日本油脂社製)を添加後、メチルエチルケトンを配合・攪拌して固形分濃度約35質量%の樹脂ワニスを調製した。
【0119】
(調製例30)
調製例29において、(A)成分のタフテックH1051の一部を、数平均分子量が6万以下のスチレン−ブタジエン共重合体の水素添加物(タフテックH1041、スチレン含有比率:30%、Mn:58,000、旭化成ケミカルズ社製)とマレイン酸変性スチレン−ブタジエン共重合体の水素添加物(タフテックM1913、スチレン含有比率:30%、Mn:55,000、旭化成ケミカルズ社製)に置き換えて表2に示す配合量で配合したこと以外は調製例29と同様にして樹脂ワニスを調製した。
【0120】
(調製例31)
調製例30において、(C)成分として、フェノール系酸化防止剤(アデカ社製アデカスタブAO−20)を表2に示す配合量で配合したこと以外は調製例30と同様にして樹脂ワニスを調製した。
【0121】
(調製例32)
調製例25において、(A)成分のタフテックH1051の一部を、タフテックH1043に置き換えて、希釈溶媒をトルエンのみにして、用いた材料を表2に示す配合量で配合したこと以外は調製例25と同様にして樹脂ワニスを調製した。
【0122】
(調製例33)
調製例29において、(A)成分のタフテックH1051の一部を、タフテックH1041及びM1913に置き換えて、用いた材料を表2に示す配合量で配合したこと以外は調製例29と同様にして樹脂ワニスを調製した。
【0123】
(比較調製例1)
温度計、還流冷却器、撹拌装置を備えた1リットルのセパラブルフラスコに、トルエン、ポリフェニレンエーテル樹脂(S202A、旭化成ケミカルズ製、Mn:16000)を投入し、フラスコ内の温度を90℃に設定して撹拌溶解した。次いで、トリアリルイソシアヌレート(TAIC、日本化成製)を配合し、溶解又は均一分散したことを確認後、室温まで冷却した。次いで、撹拌しながら室温まで冷却後、硬化促進剤として1,1′−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(パーブチルP、日本油脂製)を添加した後、メチルエチルケトンを配合して、比較調製例1の樹脂ワニス(固形分濃度約35質量%)を調製した。
【0124】
(比較調製例2)
調製例1において、タフテックH1051の代わりに、ポリフェニレンエーテル樹脂(S202A)を用いたこと以外は、調製例1と同様にして比較調製例2の樹脂ワニス(固形分濃度約35質量%)を調製した。
【0125】
(比較調製例3)
比較調製例1において、トリアリルイソシアヌレートの代わりに、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン(BMI−5100、大和化成工業製)を表3に示す配合量で配合したこと以外は、比較調製例1と同様にして比較調製例2の樹脂ワニス(固形分濃度約35質量%)を調製した。
【0126】
(比較調製例4)
比較調製例1において、トリアリルイソシアヌレートの代わりに、ポリブタジエン樹脂(B−3000、日本曹達製、1,2−ビニル構造:90%)を表3に示す配合量で配合したこと以外は、比較調製例1と同様にして比較調製例1の樹脂ワニス(固形分濃度約35質量%)を調製した。
【0127】
(比較調製例5)
温度計、還流冷却器、撹拌装置を備えた1リットルのセパラブルフラスコに、トルエン、ポリフェニレンエーテル樹脂(S202A、旭化成ケミカルズ製、Mn:16000)を投入し、フラスコ内の温度を90℃に設定して撹拌溶解した。次いで、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン(BADCY、ロンザ製)、p−tert−オクチルフェノール(和光純薬工業製)を投入、溶解後、ナフテン酸マンガン(和光純薬工業製)を配合して約3時間加熱反応させた。次いで、トルエン及びメチルエチルケトンを攪拌しながら配合した後、フラスコを室温まで冷却した後、硬化促進剤としてナフテン酸亜鉛(和光純薬工業製)を配合して樹脂ワニス(固形分濃度=35質量%)を製造した。
【0128】
(比較調製例6)
調製例6において、H1051の配合量と、BMI−5100及びパーブチルPの合計量との比率を表3に示すように変更したこと以外は調製例6と同様にして樹脂ワニス(固形分濃度約35質量%)を調製した。
【0129】
(比較調製例7)
調製例6において、H1051の代わりに、スチレン−ブタジエン共重合体のブタジエン部分の不飽和二重結合基を水素添加していない不飽和型熱可塑性エラストマ(タフプレン125、旭化成ケミカルズ製)に変更したこと以外は実施例6と同様にして樹脂ワニス(固形分濃度約35質量%)を調製した。
【0130】
(比較調製例8)
温度計、還流冷却器、撹拌装置を備えた1リットルのセパラブルフラスコに、トルエン、ポリフェニレンエーテル樹脂(S202A、旭化成ケミカルズ社製、Mn:16000)を投入し、フラスコ内の温度を90℃に設定して撹拌溶解した。次いで、トリアリルイソシアヌレート(TAIC、日本化成社製)を配合し、溶解又は均一分散したことを確認後、室温まで冷却した。次いで、撹拌しながら室温まで冷却後、硬化促進剤として1,1′−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(パーブチルP、日本油脂社製)を添加した後、メチルエチルケトンを配合して樹脂ワニス(固形分濃度約35質量%)を調製した。
【0131】
(比較調製例9)
調製例21において、タフテックH1051の代わりに、ポリフェニレンエーテル樹脂(S202A)を用いたこと以外は、調製例21と同様にして樹脂ワニス(固形分濃度約35質量%)を調製した。
【0132】
(比較調製例10)
調製例25において、H1051の代わりにM1913を用いて表3に示す配合量で配合したこと以外は、調製例25と同様にして樹脂ワニス(固形分濃度約35質量%)を調製した。
【0133】
(比較調製例11)
比較調製例23において、フェノール変性シアネートエステルプレポリマーの代わりに2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン(BADCY、ロンザ製)を用いて表3に示す配合量で配合したこと以外は、比較調製例23と同様にして樹脂ワニス(固形分濃度約35質量%)を調製した。
【0134】
(比較調製例12)
温度計、還流冷却器、撹拌装置を備えた1リットルのセパラブルフラスコに、トルエン、ポリフェニレンエーテル樹脂(S202A、旭化成ケミカルズ社製、Mn:16000)を投入し、フラスコ内の温度を90℃に設定して撹拌溶解した。次いで、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン(BADCY、ロンザ製)、p−tert−オクチルフェノール(和光純薬工業株式会社製)を投入、溶解後、ナフテン酸マンガン(和光純薬工業製)を配合して約3時間加熱反応させた。次いで、トルエン及びメチルエチルケトンを攪拌しながら配合した後、フラスコを室温まで冷却した後、硬化促進剤としてナフテン酸亜鉛(和光純薬工業製)を配合して樹脂ワニス(固形分濃度=35質量%)を製造した。
【0135】
(比較調製例13)
比較調製例12において、エポキシ変性ポリブタジエン系エラストマ(ダイセル化学工業社製、PB―3600)を表3に示す配合量で追加配合したこと以外は、比較調製例12と同様にして樹脂ワニス(固形分濃度約35質量%)を調製した。
【0136】
(比較調製例14)
調製例29において、H1051の配合量と、BMI−5100及びパーブチルPの合計量との比率を表3に示すように変更したこと以外は調製例29と同様にして樹脂ワニス(固形分濃度約35質量%)を調製した。
【0137】
(比較調製例15)
調製例29において、H1051の配合量と、BMI−5100及びパーブチルPの合計量との比率を表3に示すように変更したこと以外は調製例29と同様にして樹脂ワニス(固形分濃度約35質量%)を調製した。
【0138】
(比較調製例16)
調製例29において、H1051の代わりに、スチレン−ブタジエン共重合体のブタジエン部分の不飽和二重結合基を水素添加していない不飽和型熱可塑性エラストマ(タフプレン125、旭化成ケミカルズ社製)に変更したこと以外は調製例29と同様にして樹脂ワニス(固形分濃度約35質量%)を調製した。
【0139】
調製例1〜33及び比較調製例1〜16の樹脂ワニスの調製に用いた各原材料の使用量を表1〜表3にまとめて示す。
【0140】
【表1】
【0141】
【表2】
【0142】
【表3】
【0143】
[半硬化(Bステージ)樹脂フィルムの作製]
調製例1〜33及び比較調製例1〜16で得られた樹脂ワニスを、コンマコータを用いて、支持基材として厚さ38μmのPETフィルム(G2−38、帝人製)上に塗工し(乾燥温度:130℃)、膜厚50μmのPETフィルム付き樹脂フィルムを作製した。なお、調製例1〜33の樹脂ワニスを用いて作製した半硬化樹脂フィルムが実施例1〜33、比較調製例1〜16の樹脂ワニスを用いて作製した半硬化樹脂フィルムが比較例1〜16にそれぞれ相当する。
【0144】
[半硬化樹脂フィルムの評価]
実施例1〜33及び比較例1〜16の半硬化樹脂フィルムの外観及び取り扱い性を評価した。評価結果を表4〜6に示す。外観は目視により評価し、樹脂フィルムの表面に多少なりともムラ、スジ等があり、表面平滑性に欠けるものを×、ムラ、スジ等がなく、均一なものを○とした。また取り扱い性は、25℃において表面に多少なりともべたつき(タック)があるもの又はカッターナイフで切断しても樹脂割れや粉落ちがあるものを×、それ以外を○とした。
【0145】
回路パターンが形成させたガラス布基材エポキシ樹脂銅張積層板を内層回路基板とし、その両面に、PETフィルムを剥離した上記半硬化樹脂フィルムを1枚載せ、その上に厚さ12μmの電解銅箔(YGP−12、日本電解製)を配置し、その上に鏡板を載せ、200℃/3.0MPa/70分のプレス条件で加熱加圧成形して、4層配線板を作製した。この4層配線板の最外層の銅箔をエッチングし、回路埋め込み性(多層化成形性)を評価した。評価結果を表4〜6に示す。多層化成形性は目視により評価し、ボイド、カスレが多少なりともあるものを×、回路に均一に樹脂が充填されており均一なものを○とした。
【0146】
[両面金属張硬化樹脂フィルムの作製]
上述の半硬化樹脂フィルムのPETフィルムを剥離し、これを2枚重ね、その両面に、厚さ18μmのロープロファイル銅箔(F3−WS、M面Rz:3μm、古河電気工業製)を粗化(M)面が接するように配置し、その上に鏡板を載せ、200℃/3.0MPa/70分のプレス条件で加熱加圧成形して、両面金属張硬化樹脂フィルム(厚さ:0.1mm)を作製した。
【0147】
[両面金属張硬化樹脂フィルムの特性評価]
上述の実施例1〜33及び比較例1〜16の金属張硬化樹脂フィルムについて、取り扱い性、誘電特性、銅箔引きはがし強さ、はんだ耐熱性、熱膨張係数、吸水率を評価した。その評価結果を表4〜6に示す。金属張硬化樹脂フィルムの特性評価方法は以下の通りである。
【0148】
[取り扱い性の評価]
取り扱い性は、硬化樹脂フィルムの外層銅箔をエッチングしたものを180度折り曲げることにより評価した。折り曲げた際、割れやクラックが多少なりとも発生したものを×、折り曲げを止めた際、変化のないものを○とした。
【0149】
[誘電特性(比誘電率、誘電正接)の測定]
誘電特性は、硬化樹脂フィルムの外層銅箔をエッチングしたものを空洞共振器摂動法により測定した。条件は、周波数:1GHz、測定温度:25℃とした。また、実施例21〜33及び比較例8〜16については、105℃の恒温層で1000時間放置した後のサンプルについても同様に測定した。なお、表中の加熱処理後は常態からの変動量を示した。
【0150】
[銅箔引きはがし強さの測定]
銅箔引きはがし強さは、銅張積層板試験規格JIS−C−6481に準拠して測定した。
【0151】
[はんだ耐熱性の評価]
はんだ耐熱性は、50mm角に切断した上述の硬化樹脂フィルムの片側の銅箔をエッチングし、その常態及びプレッシャークッカーテスト(PCT)装置(条件:121℃、2.2気圧)中に所定時間(1、3及び5時間)処理した後のものを、288℃の溶融はんだ上に20秒間フロートし、外観を目視で調べた。なお、表中の数字は、はんだフロート後の硬化樹脂フィルム3枚のうち、フィルム内部及びフィルムと銅箔間に膨れやミーズリングの発生が認められなかったものの枚数を意味する。
【0152】
[熱膨張係数の測定]
熱膨張係数は、両面の銅箔をエッチングし、5mm×30mmに切断したものを試験片とし、TMAを用いて引張方向(30〜100℃)で測定した。
【0153】
[吸水率の測定]
吸水率は、50mm角に切断した上述の硬化樹脂フィルムの両面の銅箔をエッチングし、その常態及びプレッシャークッカーテスト(PCT)装置(条件:121℃、2.2気圧)中に所定時間(5時間)処理した後のものの質量差から算出した。
【0154】
[絶縁信頼性の評価]
絶縁信頼性は、片面の銅箔をエッチングにより、L/S=100/100(μm)のくし型パターンを形成し、85℃/85%RHの恒温高湿下で100V印加/1000時間処理前後のライン間の絶縁抵抗を測定した。表5及び表6中の数字は評価した数n(n=5)のうち、抵抗値が1×10
13Ω以上を確保したものの数を意味する。
【0155】
【表4】
【0156】
【表5】
【0157】
【表6】
【0158】
表4〜6に示した結果から明らかなように、本発明の半硬化樹脂フィルム(実施例1〜33)によれば、比較例1〜16の樹脂フィルムと比較して、外観性(表面均一性)、取り扱い性(タック性、割れ・粉落ち等)に問題がなく、多層化成形性も良好であることが確認された。
また、本発明の半硬化樹脂フィルムを用いて作製した硬化樹脂フィルムは、いずれも比誘電率2.6以下、誘電正接0.009以下と優れていた。また、はんだ耐熱性や銅箔引きはがし強さ、熱膨張係数、吸水率に関しても実用特性を満足していた。さらに、(C)成分を配合した系は、絶縁信頼性が優れ、配合していない同様配合系と比較して、誘電特性の加熱ドリフト性が良好となった。
【0159】
一方、比較例1〜16では、外観性、取り扱い性に問題があったり、実施例と比較して誘電特性、はんだ耐熱性、銅箔引きはがし強さ、吸水率等が比較的劣る結果が示された。
例えば、比較例2〜5を、それぞれ実施例1、実施例6、実施例7、実施例4と対比することにより、半硬化樹脂フィルムの特性、硬化樹脂フィルムの取り扱い性、誘電特性、はんだ耐熱性、銅箔引きはがし強さ、吸水率等が比較的劣ることが確認された。