【実施例】
【0052】
[合成例1]多孔質シリカの存在下で、γ−CDと二塩化テレフタロイルとを縮合させたポリマーの末端をメチル基で処理したポリマー(以下、「多孔質シリカ含有テレフタル酸−γ−CD−メチル高分子」あるいは「MBMCD-B20高分子」と称する。)の合成
滴下ロート、風船付き三方コック、および活栓の付いた300mLの3つ口フラスコに、乾燥γ−CD(2.0 g, 1.76mmol、含水量1%以下、純正化学工業)と特級ピリジン(100ml、和光純薬工業)と多孔質シリカ(0.1g、粒径2.0〜2.5μm、鈴木油脂工業)とを入れて室温で0.5時間攪拌した。フラスコを氷浴につけた後、特級テトラヒドロフラン(40mL、和光純薬工業)に溶解した二塩化テレフタロイル(3.6g, 17.6
mmol、東京化成工業)を1時間かけて滴下した。滴下後、反応器を氷浴から外し、湯浴(100℃)につけて3時間攪拌した。反応終了後、湯浴を外し、1級メタノール(1.13g、35.2mmol 、純正化学工業)を加え、2時間攪拌した。結晶を吸引濾過した後、得られた結晶を1級メタノール(50mL×3、純正化学工業)、1級アセトン(50ml×3、純正化学工業)の順で洗浄し、得られた固体を120℃で終夜真空乾燥した。5.62gの多孔質シリカ含有テレフタル酸-γ-CD-メチル高分子(以下、MBMCD-B20高分子と略す)が得られた。
【0053】
[合成例2]無孔質シリカの存在下で、γ−CDと二塩化テレフタロイルとを縮合させたポリマーの末端をメチル基で処理したポリマー(以下、「無孔質シリカ含有テレフタル酸−γ−CD−メチル高分子」あるいは「NBMCD-C10高分子」と称する。)の合成
滴下ロート、風船付き三方コック、および活栓の付いた300mLの3つ口フラスコに、乾燥γ−CD(2.0 g, 1.76mmol、含水量1%以下、純正化学工業)と特級ピリジン(100ml、和光純薬工業)と多孔質シリカ(0.2g、粒径3.0〜5.0μm、鈴木油脂工業)とを入れて室温で0.5時間攪拌した。フラスコを氷浴につけた後、特級テトラヒドロフラン(40mL、和光純薬工業)に溶解した二塩化テレフタロイル(3.6g, 17.6
mmol、東京化成工業)を1時間かけて滴下した。滴下後、反応器を氷浴から外し、湯浴(100℃)につけて3時間攪拌した。反応終了後、湯浴を外し、1級メタノール(1.13g、35.2mmol 、純正化学工業)を加え、2時間攪拌した。結晶を吸引濾過した後、得られた結晶を1級メタノール(50mL×3、純正化学工業)、1級アセトン(50ml×3、純正化学工業)の順で洗浄し、得られた固体を120℃で終夜真空乾燥した。5.37gの無孔質シリカ含有テレフタル酸-γ-CD-メチル高分子(以下、NBMCD-C10高分子と略す)が得られた。
【0054】
[合成例3]合成例2よりも少量の無孔質シリカの存在下で、γ−CDと二塩化テレフタロイルとを縮合させたポリマーの末端をメチル基で処理したポリマー(以下、「無孔質シリカ含有テレフタル酸−γ−CD−メチル高分子」あるいは「NBMCD-C20高分子」と称する。)の合成
滴下ロート、風船付き三方コック、および活栓の付いた300mLの3つ口フラスコに、乾燥γ−CD(2.0 g, 1.76mmol、含水量1%以下、純正化学工業)と特級ピリジン(100ml、和光純薬工業)と無孔質シリカ(0.1g、粒径3.0〜5.0μm、鈴木油脂工業)とを入れて室温で0.5時間攪拌した。フラスコを氷浴につけた後、特級テトラヒドロフラン(40mL、和光純薬工業)に溶解した二塩化テレフタロイル(3.6g, 17.6
mmol、東京化成工業)を1時間かけて滴下した。滴下後、反応器を氷浴から外し、湯浴(100℃)につけて3時間攪拌した。反応終了後、湯浴を外し、1級メタノール(1.13g、35.2mmol 、純正化学工業)を加え、2時間攪拌した。結晶を吸引濾過した後、得られた結晶を1級メタノール(50mL×3、純正化学工業)、1級アセトン(50ml×3、純正化学工業)の順で洗浄し、得られた固体を120℃で終夜真空乾燥した。5.89gの無孔質シリカ含有テレフタル酸-γ-CD-メチル高分子(以下、NBMCD-C20高分子と略す)が得られた。
【0055】
[比較合成例1]γ−CDと二塩化テレフタロイルとを縮合させたポリマーの末端をメチル基で処理したポリマー(以下、「テレフタル酸−γ−CD−メチル高分子」あるいは「TPGCDM高分子」と称する。)の合成
滴下ロート、風船付き三方コック、および活栓の付いた300mLの3つ口フラスコに、乾燥γ−CD(2.0 g, 1.76mmol、含水量1%以下、純正化学工業)と特級ピリジン(100ml、和光純薬工業)を入れて室温で0.5時間攪拌した。フラスコを氷浴につけた後、特級テトラヒドロフラン(40mL、和光純薬工業)に溶解した二塩化テレフタロイル(3.6g, 17.6
mmol、東京化成工業)を1時間かけて滴下した。滴下後、反応器を氷浴から外し、湯浴(100℃)につけて3時間攪拌した。反応終了後、湯浴を外し、1級メタノール(1.13g、35.2mmol 、純正化学工業)を加え、2時間攪拌した。結晶を吸引濾過した後、得られた結晶を1級メタノール(50mL×3、純正化学工業)、1級アセトン(50ml×3、純正化学工業)の順で洗浄し、得られた固体を120℃で終夜真空乾燥した。5.99gのテレフタル酸-γ-CD-メチル高分子(以下、TPGCDM高分子と略す)が得られた。
IR (KBr) 3448,1719,1277,1105,1018,732 cm
-1
【0056】
[実施例1]MBMCD-B20高分子による2,2‘,3,3’,5,5‘−ヘキサクロロビフェニル(以下、「2,2’3,3’5,5’−HECBP」と称する。)の選択固着
MBMCD-B20高分子(200mg)を充填したステンレスカラム(内径4.6mm×長さ10mm)を温度制御付オーブン内に取り付け、そのカラム内に2,2’,3,3’,5,5’-HECBP含有絶縁油(濃度:100ppm、総重量:400mg、絶縁油は谷口石油精製株式会社の高圧絶縁油)を窒素ガスで流し込み、130℃で注出したところ348.3mgの絶縁油が得られた。その絶縁油の2,2’,3,3’,5,5’-HECBP濃度を、QCMS-QP5050(SHIMADZU)を使用し、M/Z 360を用いてSIM(selective ion monitoring)法による内部標準法(内部標準物質:2,2’,4,4’,5,5’-ヘキサクロロビフェニル)で測定を行ったところ、2,2’,3,3’,5,5’-HECBPは含まれていなかった。結果を表1に記載する。
【0057】
[実施例2]NBMCD-C10高分子による2,2’3,3’5,5’−HECBPの選択固着
NBMCD-C10高分子(200mg)を充填したステンレスカラム(内径4.6mm×長さ10mm)を温度制御付オーブン内に取り付け、そのカラム内に2,2’,3,3’,5,5’-HECBP含有絶縁油(濃度:100ppm、総重量:400mg、絶縁油は谷口石油精製株式会社の高圧絶縁油)を窒素ガスで流し込み、130℃で注出したところ351.7mgの絶縁油が得られた。その絶縁油の2,2’,3,3’,5,5’-HECBP濃度を、QCMS-QP5050(SHIMADZU)を使用し、M/Z 360を用いてSIM(selective ion monitoring)法による内部標準法(内部標準物質:2,2’,4,4’,5,5’-ヘキサクロロビフェニル)で測定を行ったところ、2,2’,3,3’,5,5’-HECBPは含まれていなかった。結果を表1に記載する。
【0058】
[実施例3]NBMCD-C20高分子による2,2’3,3’5,5’−HECBPの選択固着
NBMCD-C20高分子(200mg)を充填したステンレスカラム(内径4.6mm×長さ10mm)を温度制御付オーブン内に取り付け、そのカラム内に2,2’,3,3’,5,5’-HECBP含有絶縁油(濃度:100ppm、総重量:400mg、絶縁油は谷口石油精製株式会社の高圧絶縁油)を窒素ガスで流し込み、130℃で注出したところ344.6mgの絶縁油が得られた。その絶縁油の2,2’,3,3’,5,5’-HECBP濃度を、QCMS-QP5050(SHIMADZU)を使用し、M/Z 360を用いてSIM(selective ion monitoring)法による内部標準法(内部標準物質:2,2’,4,4’,5,5’-ヘキサクロロビフェニル)で測定を行ったところ、2,2’,3,3’,5,5’-HECBPは含まれていなかった。結果を表1に記載する。
【0059】
[比較実施例1]TPGCDM高分子による2,2’3,3’5,5’−HECBPの選択固着
TPGCDM高分子(200mg)を充填したステンレスカラム(内径4.6mm×長さ10mm)を温度制御付オーブン内に取り付け、そのカラム内に2,2’,3,3’,5,5’-HECBP含有絶縁油(濃度:100ppm、総重量:400mg、絶縁油は谷口石油精製株式会社の高圧絶縁油)を窒素ガスで流し込み、130℃で注出したところ361.1mgの絶縁油が得られた。その絶縁油の2,2’,3,3’,5,5’-HECBP濃度を、QCMS-QP5050(SHIMADZU)を使用し、M/Z 360を用いてSIM(selective ion monitoring)法による内部標準法(内部標準物質:2,2’,4,4’,5,5’-ヘキサクロロビフェニル)で測定を行ったところ、2,2’,3,3’,5,5’-HECBPが30.44ppm含まれていた。結果を表1に記載する。
【0060】
[比較実施例2]多孔質シリカによる2,2’3,3’5,5’−HECBPの選択固着
多孔質シリカ(200mg、粒径2.0〜2.5μm、以下、「M−B」と称する。)を充填したステンレスカラム(内径4.6mm×長さ10mm)を温度制御付オーブン内に取り付け、そのカラム内に2,2’,3,3’,5,5’-HECBP含有絶縁油(濃度:100ppm、総重量:400mg、絶縁油は谷口石油精製株式会社の高圧絶縁油)を窒素ガスで流し込み、130℃で注出したところ397.7mgの絶縁油が得られた。その絶縁油の2,2’,3,3’,5,5’-HECBP濃度を、QCMS-QP5050(SHIMADZU)を使用し、M/Z 360を用いてSIM(selective ion monitoring)法による内部標準法(内部標準物質:2,2’,4,4’,5,5’-ヘキサクロロビフェニル)で測定を行ったところ、2,2’,3,3’,5,5’-HECBPが95.19ppm含まれていた。結果を表1に記載する。
【0061】
[比較実施例3]無孔質シリカによる2,2’3,3’5,5’−HECBPの選択固着
無孔質シリカ(200mg、粒径3.0〜5.0μm、以下、「N−C」と称する。)を充填したステンレスカラム(内径4.6mm×長さ10mm)を温度制御付オーブン内に取り付け、そのカラム内に2,2’,3,3’,5,5’-HECBP含有絶縁油(濃度:100ppm、総重量:400mg、絶縁油は谷口石油精製株式会社の高圧絶縁油)を窒素ガスで流し込み、130℃で注出したところ389.8mgの絶縁油が得られた。その絶縁油の2,2’,3,3’,5,5’-HECBP濃度を、QCMS-QP5050(SHIMADZU)を使用し、M/Z 360を用いてSIM(selective ion monitoring)法による内部標準法(内部標準物質:2,2’,4,4’,5,5’-ヘキサクロロビフェニル)で測定を行ったところ、2,2’,3,3’,5,5’-HECBPが95.58ppm含まれていた。結果を表1に記載する。
【0062】
上記実施例および比較実施例の結果を表1にまとめる。
【0063】
【表1】
【0064】
なお、今回実施例にて用いた高分子の合成法の相違点を、以下の表2にまとめて記載する。
【0065】
【表2】
【0066】
[産業上の利用可能性]
本発明により、環境に安易に放出できないダイオキシン類、ポリクロロビフェニル類などの有毒物質たるハロゲン化芳香族化合物を含みうる絶縁油、熱媒体、潤滑油、可塑剤、塗料及びインキ等に代表される有機媒体を保管せざるを得ない産業、及びこれら化合物を含みうる紙、木材、焼却灰、岩石、土壌等に代表される固体物質を保管せざるを得ない産業において、これら化合物の安全で効率的な吸着・分離処理により、分解処理の大幅な負担軽減と、かかる媒体の保管スペースの節約を同時に実現することができる。