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特許5725513光通信システム、管理サーバ、光通信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5725513
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】光通信システム、管理サーバ、光通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04J 3/00 20060101AFI20150507BHJP
【FI】
   H04J3/00 B
   H04J3/00 Q
   H04J3/00 H
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-41492(P2012-41492)
(22)【出願日】2012年2月28日
(65)【公開番号】特開2013-179428(P2013-179428A)
(43)【公開日】2013年9月9日
【審査請求日】2014年3月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】中川 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】平松 淳
(72)【発明者】
【氏名】高橋 達郎
【審査官】 阿部 弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−153851(JP,A)
【文献】 特開2010−081218(JP,A)
【文献】 特開平07−212347(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04J 3
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
TDM方式の光通信システムであって、
光タイムスロットを送受信する光送受信装置と、
光タイムスロットのスイッチングを行う光交換装置と、
ホストコンピュータ間の通信要求を受けた場合に、該通信に光タイムスロットを割り付ける管理サーバと、を有し、
前記光送受信装置は、スケジュールテーブルを備え、該スケジュールテーブルにしたがって、光タイムスロットを送受信し、
前記光交換装置は、スケジュールテーブルを備え、該スケジュールテーブルにしたがって、光タイムスロットのスイッチングを行い、
前記管理サーバは、
記ホストコンピュータ間の通信に複数の光タイムスロットを割り付ける場合、該複数の光タイムスロットを連続して割り付け、
前記ホストコンピュータ間の通信に光タイムスロットを割り付けた場合、該割り付け結果に基づき、前記光送受信装置および前記光交換装置の前記スケジュールテーブルを更新し、
前記ホストコンピュータ間の通信に光タイムスロットを割り付ける際には、前記ホストコンピュータ間の通信経路に配置された前記光交換装置のいずれかを基準点とし、該基準点以外の前記光交換装置の前記スケジュールテーブルについては、前記基準点からの伝搬遅延量に基づき該スケジュールテーブルの先頭位置をシフトさせ、先頭位置から空いている光タイムスロットを割り付け、
前記ホストコンピュータ間の通信に複数の光タイムスロットが連続して割り付けられた場合、送信元のホストコンピュータに接続された前記光送受信装置は、該複数の光タイムスロットの先頭にのみガードタイムを付与し、該複数の光タイムスロットを送信する、光通信システム。
【請求項2】
前記管理サーバは、前記光タイムスロットのタイムスロット長を、前記ガードタイムのガードタイム長以下に設定する、請求項1に記載の光通信システム。
【請求項3】
前記管理サーバは、
前記タイムスロット長と前記ガードタイム長とを同じ長さに設定し、
前記ホストコンピュータ間の通信に光タイムスロットを割り付ける場合、該通信に要求される帯域を提供し得る光タイムスロットのタイムスロット数を計算し、計算したタイムスロット数分の光タイムスロットと、前記ガードタイム分の1個の光タイムスロットと、を該通信に割り付ける、請求項2に記載の光通信システム。
【請求項4】
TDM方式の光通信システムに設けられる管理サーバであって、
ホストコンピュータ間の通信要求を受けた場合に、該通信に光タイムスロットを割り付けるタイムスロット割付部を有し、
前記タイムスロット割付部は、前記ホストコンピュータ間の通信に複数の光タイムスロットを割り付ける場合、該複数の光タイムスロットを連続して割り付け、
前記ホストコンピュータ間の通信に光タイムスロットを割り付けた場合、該割り付け結果に基づき、スケジュールテーブルにしたがって光タイムスロットを送受信する光送受信装置、および、スケジュールテーブルにしたがって光タイムスロットのスイッチングを行う光交換装置のスケジュールテーブルを更新し、
前記ホストコンピュータ間の通信に光タイムスロットを割り付ける際には、前記ホストコンピュータ間の通信経路に配置された前記光交換装置のいずれかを基準点とし、該基準点以外の前記光交換装置の前記スケジュールテーブルについては、前記基準点からの伝搬遅延量に基づき該スケジュールテーブルの先頭位置をシフトさせ、先頭位置から空いている光タイムスロットを割り付け、
前記ホストコンピュータ間の通信に複数の光タイムスロットを連続して割り付けた場合、該複数の光タイムスロットの先頭にのみ、送信元のホストコンピュータに接続された光送受信装置によってガードタイムが付与される、管理サーバ。
【請求項5】
前記タイムスロット割付部は、前記光タイムスロットのタイムスロット長を、前記ガードタイムのガードタイム長以下に設定する、請求項に記載の管理サーバ。
【請求項6】
光タイムスロットを送受信する光送受信装置と、光タイムスロットのスイッチングを行う光交換装置と、ホストコンピュータ間の通信要求を受けた場合に、該通信に光タイムスロットを割り付ける管理サーバと、を有してなるTDM方式の光通信システムによる光通信方法であって、
前記光送受信装置が、スケジュールテーブルを備え、該スケジュールテーブルにしたがって、光タイムスロットを送受信し、
前記光交換装置が、スケジュールテーブルを備え、該スケジュールテーブルにしたがって、光タイムスロットのスイッチングを行い、
前記管理サーバが、前記ホストコンピュータ間の通信に複数の光タイムスロットを割り付ける場合、該複数の光タイムスロットを連続して割り付け、
前記ホストコンピュータ間の通信に光タイムスロットを割り付けた場合、該割り付け結果に基づき、前記光送受信装置および前記光交換装置の前記スケジュールテーブルを更新し、
前記ホストコンピュータ間の通信に光タイムスロットを割り付ける際には、前記ホストコンピュータ間の通信経路に配置された前記光交換装置のいずれかを基準点とし、該基準点以外の前記光交換装置の前記スケジュールテーブルについては、前記基準点からの伝搬遅延量に基づき該スケジュールテーブルの先頭位置をシフトさせ、先頭位置から空いている光タイムスロットを割り付け、
前記ホストコンピュータ間の通信に複数の光タイムスロットが連続して割り付けられた場合、送信元のホストコンピュータに接続された前記光送受信装置が、該複数の光タイムスロットの先頭にのみガードタイムを付与し、該複数の光タイムスロットを送信する、光通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、TDM(Time Division Multiplexing:時分割多重)方式の光通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
光通信システムとして、TDM方式の光通信システムがある(特許文献1,2参照)。
【0003】
TDM方式の光通信システムにおいては、光送受信装置は、データを光タイムスロットで送受信し、光交換装置は、光タイムスロットの方路切替(スイッチング)を行う。
【0004】
また、光送受信装置および光交換装置の各ノードはタイマを備えており、各ノードのタイマは同期させる必要がある。
【0005】
そのため、TDM方式の光通信システムにおいては、スイッチング時間や同期誤差を吸収するために、光タイムスロットにガードタイム(無信号区間)を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平06−061937号公報
【特許文献2】特表平09−512151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、TDM方式の光通信システムにおいては、光タイムスロットには、スイッチング時間や同期誤差を吸収するために、ガードタイムが設けられている。
【0008】
しかしながら、例えば、光タイムスロット毎にガードタイムを設ける場合、ガードタイムの期間中はデータの転送ができないため、転送効率が低下してしまう。
【0009】
このように、従来のTDM方式の光通信システムにおいては、ガードタイムの割合によっては、転送効率が低下してしまうという課題がある。
【0010】
そこで、本発明の目的は、TDM方式の光通信システムにおいて、データの転送効率の向上を図ることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の光通信システムは、
TDM方式の光通信システムであって、
光タイムスロットを送受信する光送受信装置と、
光タイムスロットのスイッチングを行う光交換装置と、
ホストコンピュータ間の通信要求を受けた場合に、該通信に光タイムスロットを割り付ける管理サーバと、を有し、
前記管理サーバは、前記ホストコンピュータ間の通信に複数の光タイムスロットを割り付ける場合、該複数の光タイムスロットを連続して割り付け、
前記ホストコンピュータ間の通信に複数の光タイムスロットが連続して割り付けられた場合、送信元のホストコンピュータに接続された前記光送受信装置は、該複数の光タイムスロットの先頭にのみガードタイムを付与し、該複数の光タイムスロットを送信する。
【0012】
本発明の管理サーバは、
TDM方式の光通信システムに設けられる管理サーバであって、
ホストコンピュータ間の通信要求を受けた場合に、該通信に光タイムスロットを割り付けるタイムスロット割付部を有し、
前記タイムスロット割付部は、前記ホストコンピュータ間の通信に複数の光タイムスロットを割り付ける場合、該複数の光タイムスロットを連続して割り付け、
前記ホストコンピュータ間の通信に複数の光タイムスロットを連続して割り付けた場合、該複数の光タイムスロットの先頭にのみ、送信元のホストコンピュータに接続された光送受信装置によってガードタイムが付与される。
【0013】
本発明の光送受信装置は、
TDM方式の光通信システムに設けられる光送受信装置であって、
送信元のホストコンピュータに前記光送受信装置が接続され、該送信元のホストコンピュータによる通信に複数の光タイムスロットが連続して割り付けられた場合、該複数の光タイムスロットの先頭にのみガードタイムを付与し、該複数の光タイムスロットを送信する送受信部を有する。
【0014】
本発明の光通信方法は、
光タイムスロットを送受信する光送受信装置と、光タイムスロットのスイッチングを行う光交換装置と、ホストコンピュータ間の通信要求を受けた場合に、該通信に光タイムスロットを割り付ける管理サーバと、を有してなるTDM方式の光通信システムによる光通信方法であって、
前記管理サーバが、前記ホストコンピュータ間の通信に複数の光タイムスロットを割り付ける場合、該複数の光タイムスロットを連続して割り付け、
前記ホストコンピュータ間の通信に複数の光タイムスロットが連続して割り付けられた場合、送信元のホストコンピュータに接続された前記光送受信装置が、該複数の光タイムスロットの先頭にのみガードタイムを付与し、該複数の光タイムスロットを送信する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、管理サーバは、ホストコンピュータ間の通信に複数の光タイムスロットを割り付ける場合、複数の光タイムスロットを連続して割り付け、光送受信装置は、複数の光タイムスロットが連続して割り付けられた場合、複数の光タイムスロットの先頭にのみガードタイムを付与し、複数の光タイムスロットを送信する。
【0016】
これにより、ガードタイムの比率が下がるため、データの転送効率の向上を図ることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態の光通信システムの構成を示す図である。
図2図1に示した光送受信装置の構成を示すブロック図である。
図3図1に示した光交換装置の構成を示すブロック図である。
図4図1に示した管理サーバの構成を示すブロック図である。
図5】本発明におけるガードタイムの付与位置を説明する図である。
図6】本発明におけるタイムスロット長とガードタイム長との関係を説明する図である。
図7】本発明における伝搬遅延を考慮したタイムスロット割付方法を説明する図である。
図8A図7に示したスケジュールテーブルをシフトさせる際の、基準点となる光交換装置の選択方法の例を説明する図である。
図8B図7に示したスケジュールテーブルをシフトさせる際の、基準点となる光交換装置の選択方法の例を説明する図である。
図9図7に示したスケジュールテーブルのシフトによる効果を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0019】
図1に示すように、本実施形態の光通信システムは、光送受信装置10−1,10−2(以下、どの光送受信装置であるか区別しないときは、光送受信装置10と称す)と、光交換装置20−1〜20−3(以下、どの光交換装置であるか区別しないときは、光交換装置20と称す)と、管理サーバ30と、を有するTDM方式の光通信システムである。
【0020】
なお、図1において、光送受信装置10および光交換装置20の各ノードは、ファイバからなるリンクを介して互いに接続されている。また、管理サーバ30と各ノードとは互いに接続されているが、その接続線は省略されている。また、光送受信装置10には、ホストコンピュータが接続されているが、ホストコンピュータは省略されている。また、各ノードの数や配置は一例であり、本発明はこれに限定されない。
【0021】
図2を参照すると、光送受信装置10は、タイマ11と、スケジュールテーブル12と、バッファ13と、送受信部14と、を有している。
【0022】
タイマ11は、光通信システムを構成する各ノードと同期をとるためのものである。
【0023】
スケジュールテーブル12は、自己の光送受信装置10が光タイムスロットを送受信するスケジュールが記述されたテーブルである。
【0024】
バッファ13は、自己の光送受信装置10が光タイムスロットで送信する送信データを格納する。なお、送信データは、ホストコンピュータにより入力される。また、自己の光送受信装置10が光タイムスロットで受信する受信データは、バッファ13に一旦格納してからホストコンピュータに出力しても良いし、バッファ13に格納せずにホストコンピュータに出力しても良い。
【0025】
送受信部14は、スケジュールテーブル12にしたがって、バッファ13に格納された送信データを光タイムスロットで送信すると共に、光交換装置20からデータを光タイムスロットで受信し、その受信データをバッファ13に格納する。なお、送受信部14は、光タイムスロットへのガードタイムの付与も行うものとする。
【0026】
図3を参照すると、光交換装置20は、タイマ21と、スケジュールテーブル22と、転送部23と、を有している。
【0027】
タイマ21は、光通信システムを構成する各ノードと同期をとるためのものである。
【0028】
スケジュールテーブル22は、自己の光交換装置20が光タイムスロットの方路切替(スイッチング)を行うスケジュールが記述されたテーブルである。
【0029】
転送部23は、スケジュールテーブル22にしたがって、光タイムスロットの方路切替(スイッチング)を行い、切替後の方路に向けて光タイムスロットを転送する。
【0030】
図4を参照すると、管理サーバ30は、タイマ31と、タイムスロット割付部32と、を有している。
【0031】
タイマ31は、光通信システムを構成する各ノードと同期をとるためのものである。
【0032】
タイムスロット割付部32は、光送受信装置10および光交換装置20の各ノードのスケジュールテーブル12,22を一括して管理する。
【0033】
具体的には、タイムスロット割付部32は、ホストコンピュータ間の通信要求を受けると、その通信に光タイムスロットを割り付け、その割り付け結果にしたがって、各ノードのスケジュールテーブル12,22を更新し、各ノードに配信する。
【0034】
なお、タイムスロット割付部32による光タイムスロットの割り付けは、通信要求を受けるたびに行っても良いし、一定数の通信要求を受けた段階で行っても良いし、一定期間に受けた通信要求に対して行っても良い。
【0035】
以下、本実施形態の光通信システムの特徴的な動作である、光タイムスロットの割付動作について説明する。
(1)ガードタイムの付与位置
まず、本発明におけるガードタイムの付与位置について、図5を参照して説明する。
【0036】
なお、図5において、光送受信装置10−1にはホストコンピュータSが接続され、光送受信装置10−2にはホストコンピュータA,B,Cが接続されており、データの送信元であるホストコンピュータSが、ホストコンピュータA,B,Cの各々との間の通信(それぞれ通信A,B,Cとする)をするための通信要求をしたとする。また、光タイムスロットのタイムスロット長がTsで、ガードタイムのガードタイム長がTgであるとする(以下、同じ)。
【0037】
この場合、管理サーバ30のタイムスロット割付部32は、まず、各通信A,B,Cに必要なタイムスロット数を計算する。ここでは、通信Aには1、通信Bには2、通信Cには3のタイムスロット数がそれぞれ必要であったとする。
【0038】
ここで、比較例のように、光タイムスロット毎に、離散的にガードタイムを設ける場合、データの転送効率e=(Ts−Tg)/Tsとなり、転送効率が低くなる。
【0039】
そこで、本発明においては、タイムスロット割付部32は、ある通信に複数の光タイムスロットを割り付ける場合、複数の光タイムスロットを連続して割り付ける。例えば、通信Bには2個の光タイムスロットを連続して割り付け、通信Cには3個の光タイムスロットを連続して割り付ける。そして、その割り付け結果を基に、光送受信装置10−1,10−2および光交換装置20−1のスケジュールテーブル12,22を更新する。
【0040】
これを受けて、光送受信装置10の送受信部14は、更新されたスケジュールテーブル12にしたがって、光タイムスロットを送信する。このとき、送受信部14は、複数の光タイムスロットが連続している場合、その先頭にのみガードタイムを設ける。例えば、通信Bの場合、2個の光タイムスロットが連続するため、その先頭にのみガードタイムを設ける。また、通信Cの場合、3個の光タイムスロットが連続するため、その先頭にのみガードタイムを設ける。
【0041】
本発明の場合、ガードタイムの比率が下がるため、データの転送効率e=(6Ts−3Tg)/6Tsとなり、比較例と比較して、転送効率の向上を図ることができる。
(2)タイムスロット長とガードタイム長との関係
続いて、本発明におけるタイムスロット長Tsとガードタイム長Tgとの関係について、図6を参照して説明する。
【0042】
なお、図6において、あるホストコンピュータとホストコンピュータA,Bとの間の通信を、それぞれ通信A,Bとする。
【0043】
本発明においては、(1)で述べたように、複数の光タイムスロットが連続する場合、その先頭にのみガードタイムを設けることで、転送効率の向上を図ることができる。
【0044】
ところで、管理サーバ30のタイムスロット割付部32は、ホストコンピュータ間の通信要求を受けた場合、その通信に必要なタイムスロット数を計算するに際して、まず、その通信に要求される要求帯域を提供し得るように、タイムスロット数を計算する。
【0045】
そのため、比較例のように、Ts>Tgに設定する場合(図6では、Ts=4Tg)、例えば、通信Aには要求帯域を提供すべく1つの光タイムスロットを割り付けるが、要求帯域に比してタイムスロット長Tsが大きいため、通信Aには不要帯域も多く割り当てられることになり、この不要帯域によって、転送効率が低くなる。
【0046】
そこで、本発明においては、タイムスロット割付部32は、Tsを、Ts≦Tgとなる任意の長さに設定する。
【0047】
タイムスロット割付部32は、Ts=Tgに設定する場合、各通信に対しては、その通信に必要な要求帯域を提供し得るタイムスロット数を計算し、計算したタイムスロット数分の光タイムスロットと、ガードタイム分の1個の光タイムスロットと、を割り付ければ良い。例えば、通信Aの場合、要求帯域を提供し得るタイムスロット数は1個であるため、これにガードタイム分の1個の光タイムスロットを加えた2個の光タイムスロットを割り付ける。また、通信Bの場合、要求帯域を提供し得るタイムスロット数は2個であるため、これにガードタイム分の1個の光タイムスロットを加えた3個の光タイムスロットを割り付ける。これにより、比較例と比較して、不要帯域が減るため、転送効率の向上を図ることができる。また、上記のように割付計算を行うため、比較例と比較して、割付計算の簡易化を図ることができる。
【0048】
また、タイムスロット割付部32は、Ts<Tgと設定する場合(図6では、3Ts=Tg)、より柔軟な光タイムスロットの割り付けが可能となる。例えば、通信Aの場合、要求帯域を提供し得るタイムスロット数は6個であるため、これにガードタイム分の3個の光タイムスロットを加えた9個の光タイムスロットを割り付ける。また、通信Bの場合、要求帯域を提供し得るタイムスロット数は8個であるため、これにガードタイム分の3個のタイムスロットを加えた11個の光タイムスロットを割り付ける。Ts<Tgと設定する場合、Ts=Tgと設定する場合と比較して、不要帯域がさらに減るため、転送効率のさらなる向上を図ることができる。
(3)ファイバ伝搬遅延を考慮した光タイムスロットの割り付け
続いて、管理サーバ30における、本発明におけるファイバ伝搬遅延を考慮した光タイムスロットの割り付けについて、図7を参照して説明する。なお、図7において、フレームサイクルは、次にスケジュールテーブルを更新するまで、フレームサイクルを1単位にして処理を繰り返すことを意味している(以下の図9において同じ)。
【0049】
なお、図7において、通信要求のあったホストコンピュータ間の通信経路には、光交換装置20−1,20−2,20−3,20−4,20−5(それぞれ1,2,3,4,5として示す)が配置され、この順に光タイムスロットが転送されていくものとする。また、スケジュールテーブルは、光交換装置20間のリンクのスケジュールテーブルを表し、Link NのNはリンクIDを表し、D NはリンクIDがNのリンクの伝搬遅延量を表している。また、リンクのスケジュールテーブルは、そのリンクの上流側の光交換装置20にスケジュールテーブル22として備えられている。例えば、リンク1のスケジュールテーブルは、管理サーバ30が管理し、光交換装置20−1に配信する。
【0050】
図7(a)および(b)は、比較例として、ファイバ伝搬遅延を考慮しない光タイムスロットの探索の一例を表している。ここでは、各リンクのスケジュールテーブルの先頭には、同一のフレーム位相にかかる光タイムスロットの割り付け情報が割り当てられており、そして、光タイムスロットの割り付けの際には、スケジュールテーブルの先頭から、空いているスロットを探索し、割り付ける。同図(a)では、その結果として、光交換装置20−1から20−3への通信には、2個の光タイムスロットが割り付けられ、光交換装置20−3から20−4への通信には、3個の光タイムスロットが割り付けられ、光交換装置20−4から20−5への通信には、2個の光タイムスロットが割り付けられている。
【0051】
しかし、実際のリンクには、ファイバの伝搬遅延が生じており、光タイムスロットの割り付けを行う場合は、ファイバの伝搬遅延を考慮する必要があるが、図7(a)は、ファイバの伝搬遅延は何ら考慮されていない。
【0052】
それを示したのが図7(b)である。ここでは、先頭の光交換装置20−2から順次、ファイバの伝搬遅延を考慮して、スケジュールテーブルをシフトして表現している。光タイムスロットが未割り付けの領域としては、連続して2個の光タイムスロット分しか確保することができない。
【0053】
そこで、本発明においては、管理サーバ30のタイムスロット割付部32は、光交換装置20−1,20−2,20−3,20−4,20−5のいずれかを基準点とし、基準点以外の光交換装置20のスケジュールテーブルについては、基準点からの伝搬遅延量に基づいて、スケジュールテーブルの先頭位置をシフトさせる。そして、先頭から空いているタイムスロットを探索して割り付ける。
【0054】
その例を示したのが、図7(c)であり、ここでは、光交換装置20−1を基準点としている。なお、リンク1,2のスケジュールテーブルは比較例と同様にシフトすれば良いため説明を省略し、以下では、リンク3,4のスケジュールテーブルについて説明する。
【0055】
例えば、リンク3は、3個の光タイムスロットを割り付ける必要があり、基準点である光交換装置20−1からの伝搬遅延量は5である。そのため、タイムスロット割付部32は、リンク3には、伝搬遅延量を考慮して、スケジュールテーブルの先頭位置をS6までシフトさせ、先頭から空いている光タイムスロットS6〜S8を割り付ける。
【0056】
また、リンク4は、2個の光タイムスロットを割り付ける必要があり、基準点である光交換装置20−1からの伝搬遅延量は7である。そのため、タイムスロット割付部32は、リンク4には、伝搬遅延量を考慮して、スケジュールテーブルの先頭位置をS8までシフトさせ、先頭から空いている光タイムスロットS8,S9を割り付け。
【0057】
これにより、比較例と比較して、光タイムスロットが未割り付けの領域として、連続して6個の光タイムスロット分の大きな領域を確保することができる。
【0058】
なお、基準点とする光交換装置20は、例えば、図8Aの例では、トラヒックが最も集中する光交換装置20−1を選択しても良いし、また、図8Bの例では、ノード次数が最も高い光交換装置20−1を選択しても良い。なお、図8Aおよび図8Bにおいては、光交換装置20の配下の光送受信装置10やホストコンピュータは省略している。
【0059】
ここで、光タイムスロットが未割り付けの領域として、大きな領域を確保することができることの効果について、図9を参照して説明する。
【0060】
なお、図9において、通信要求のあったホストコンピュータ間の通信経路には、光交換装置20−1,20−2,20−3,20−4(それぞれ1,2,3,4として示す)が配置され、この順に光タイムスロットが転送されていくものとする。
【0061】
比較例のように、基準点を設けずに、ファイバの伝搬遅延を考慮して、スケジュールテーブルをシフトさせた場合、光交換装置20−1,20−4間の通信に光タイムスロット分を割り付ける余地がない。
【0062】
これに対して、本発明のように、光交換装置20−1を基準点とし、基準点からの伝搬遅延量に基づいて、スケジュールテーブルの先頭位置をシフトさせる場合、光交換装置20−3,20−4間のリンクのスケジュールテーブルについては、図9のように、先頭位置をシフトさせる。すなわち、本発明は、光タイムスロットの探索を開始する際のフレーム位相がシフトすることになる。これにより、光交換装置20−1,20−4間の通信にも光タイムスロットを割り付けることが可能になる。
【符号の説明】
【0063】
10 光送受信装置
11 タイマ
12 スケジュールテーブル
13 バッファ
14 送受信部
20 光交換装置
21 タイマ
22 スケジュールテーブル
23 転送部
30 管理サーバ
31 タイマ
32 タイムスロット割付部
図2
図3
図4
図6
図7
図9
図1
図5
図8A
図8B