(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1には、通信ネットワークの構成例が、概要図により示されている。通信処理、情報処理、及び情報蓄積を担うためのリソース(例えば、制御サーバ装置、広域無線システム・アクセスポイント)を収容した可搬型のユニット(以下、「リソースユニット」という)は、情報通信ノードとして、被災地等に配置される。
【0014】
通信ネットワークは、複数のネットワーク通信ノード(例えば、アクセスポイント装置)を含むメッシュ/マルチホップネットワークと、リソースユニットとが相互接続されることにより構築される。リソースユニットは、2種類(WAN(Wide Area Network)側、及び、LAN(Local Area Network)側)のインタフェースを有する。
WAN側のインタフェースは、有線、無線WAN、及び無線MAN(Metropolitan Area Network)のインタフェースを有し、インターネットへの接続を実現する。一方、LAN側のインタフェースは、無線LAN、及びFWA(Fixed Wireless Access)のインタフェースを有する。
【0015】
リソースユニットは、LAN側のインタフェースにより、ゲートウェイを経由して、メッシュ/マルチホップネットワークと接続する。リソースユニットは、例えば、2.4[GHz]/5[GHz]の無線LANにより、ゲートウェイと接続する。また、リソースユニットは、例えば、25GHzのFWA装置がゲートウェイに備えられることにより、25[GHz]FWAシステムによりゲートウェイと接続されてもよい。
リソースユニットは、メッシュ/マルチホップネットワークの構築に関する制御(例えば、ネットワーク通信ノードである複数のアクセスポイント装置から、ゲートウェイを選択する処理)を、自ユニットに備えられた制御サーバ装置により実行する。
【0016】
次に、通信ネットワークの構成例の詳細を説明する。
図2には、通信ネットワークの構成例が、ブロック図により示されている。通信ネットワークは、リソースユニット100と、広域無線システム端末200と、制御装置300と、複数のアクセスポイント装置400とを備える。
アクセスポイント装置400は、ネットワーク通信ノードであり、制御装置300による制御に基づいて、設定変更(例えば、メッシュ/マルチホップネットワーク構築のためにリピータとして機能するか否かを切り替えるためのWDS(Wireless Distribution System)機能の設定変更)を実行する。
【0017】
制御装置300は、通信部310と、アクセスポイント制御部320とを備える。
通信部310は、広域無線システム端末200を介して、リソースユニット100との通信を実行する。
アクセスポイント制御部320は、通信部310を介してリソースユニット100と連携し、アクセスポイント装置400の設定変更を実行する。
【0018】
リソースユニット100は、制御サーバ装置110と、広域無線システム・アクセスポイント120(基地局)とを備える。制御サーバ装置110は、占有トラヒック量を定める。また、制御サーバ装置110は、通信ネットワーク全体のトラヒック量に対して占有トラヒック量以上となるまで、アクセスポイント装置を、トラヒック量の多い順に、通信ネットワーク全体から抽出する。以下、このように抽出されたアクセスポイント装置を、「ベーシックノード」という。ここで、制御サーバ装置110は、ベーシックノードの集合のトラヒック量が、例えば、通信ネットワーク全体のトラヒック量の90[%]となるよう、占有トラヒック量を定めてもよい。また、占有トラヒック量は、閾値として予め定められていてもよい。
【0019】
制御サーバ装置110は、ベーシックノード間のルーティングパス上のアクセスポイント装置400を、ゲートウェイ候補と定める。また、制御サーバ装置110は、定めたゲートウェイ候補についてスループット上限値を算出し、スループット上限値が最大となるゲートウェイ候補を、ゲートウェイとして選択する。
これにより、制御サーバ装置110は、通信ネットワークのスループットの最大化を図りつつ、スループット上限値を算出する対象となるアクセスポイント装置の数を削減することにより、通信ネットワークを短時間で構築することができる。
【0020】
次に、制御サーバ装置の構成例を説明する。
制御サーバ装置110は、記憶部111と、制御部112と、ファイル記憶部113と、データベース部114と、コマンド発行部115と、通信部116とを備える。通信部116は、広域無線システム・アクセスポイント120、及び、広域無線システム端末200を介して、制御装置300と通信する。
【0021】
制御部112は、通信部116、広域無線システム・アクセスポイント120、及び広域無線システム端末200を介して制御装置300と連携し、アクセスポイント装置400が収集した情報の取得、及び、アクセスポイント装置の設定変更などを実行する。ここで、アクセスポイント装置400が収集した情報とは、例えば、アクセスポイント装置400自身の情報、アクセスポイント装置400に隣接する他のアクセスポイント装置を示す情報、アクセスポイント装置400が接続している他のアクセスポイント装置を示す情報などである。
【0022】
アクセスポイント装置400自身の情報には、例えば、MACアドレス(Media Access Control address)、SSID(Service Set Identifier)、使用チャネル、送信電力、送信速度、及び、トラヒック量(フレーム数)がある。トラヒック量とは、例えば、アクセスポイント装置全体、無線インタフェース(例えば、2.4GHz/5GHz)毎、リピータ機能(WDS)で接続したアクセスポイント装置毎、若しくは、配下に接続している無線端末毎の、送/受信フレーム数又はエラーフレーム数である。また、トラヒック量として、アクセスポイント装置全体の接続無線端末数、又は、無線インタフェース毎の接続無線端末数が用いられてもよい。
【0023】
また、アクセスポイント装置400に隣接する又は接続している他のアクセスポイント装置を示す情報には、例えば、MACアドレス、SSID、使用チャネル、無線方式、当該アクセスポイント装置からの受信信号強度(Received Signal Strength Indication : RSSI)などがある。
また、アクセスポイント装置400の設定結果を示す情報には、ネットワーク設定情報(IPアドレス、ネットマスク等)設定、暗号化・認証化情報設定、リピータ機能(WDS)ON又はOFF設定、リピータ機能により接続又は接続解除するアクセスポイント装置400のMACアドレスの登録又は削除処理、送信出力設定などがある。
【0024】
記憶部111は、制御部112が実行する制御ソフトウェア(アルゴリズム群)を予め記憶する。ここで、制御ソフトウェアとは、例えば、制御部112が有するアクセスポイント装置の制御に必要な処理を関数化したライブラリを利用して、アクセスポイント装置400の設定変更などを遠隔制御する。
ファイル記憶部113は、アクセスポイント装置400の設定に関するファイルデータを記憶する。
データベース部114は、アクセスポイント装置400から取得した情報、及び、アクセスポイント装置400の設定結果を示す情報を記憶する。
【0025】
コマンド発行部115は、制御部112による制御に基づいて、アクセスポイント装置400に対するコマンドを、通信部116、広域無線システム・アクセスポイント120、及び広域無線システム端末200を介して、制御装置300に送信する。以下、ファイル記憶部113、データベース部114、コマンド発行部115、広域無線システム・アクセスポイント120、広域無線システム端末200、及び、アクセスポイント制御部320をまとめて、「制御プラットフォーム」という。
【0026】
制御部112は、アクセスポイント装置400が収集した情報の取得の指示を、制御プラットフォームに出力する。また、制御部112は、アクセスポイント装置400の設定変更の指示を、制御プラットフォームに出力する。
ここで、コマンド発行部115は、それらの指示を、通信ネットワークに合わせた信号フォーマットに変換し、通信部116、広域無線システム・アクセスポイント120、広域無線システム端末200、及び通信部310を介して、アクセスポイント制御部320に送信する。
【0027】
また、アクセスポイント制御部320は、信号フォーマットに変換された指示を解釈し、制御装置300に接続しているアクセスポイント装置400の制御コマンドに変換して、そのアクセスポイント装置400に指示を転送する。アクセスポイント装置400は、その指示に基づく制御(例えば、リピータとして機能するか否かを切り替えるための設定変更)を実行し、実行結果を示す応答信号を、アクセスポイント制御部320に送信する。
【0028】
また、アクセスポイント制御部320は、アクセスポイント装置400から受信した応答信号を、通信ネットワークに合わせた信号フォーマットに変換し、通信部310、広域無線システム端末200、及び広域無線システム・アクセスポイント120を介して、制御サーバ装置110の通信部116に、変換した応答信号を転送する。通信部116は、受信した応答信号が示す情報及び設定結果を、データベース部114に記憶させる。
【0029】
次に、ネットワーク構築処理及びネットワーク最適化処理の例を説明する。
制御部112は、通信ネットワークを構築するためのネットワーク構築処理を実行する。また、制御部112は、構築された通信ネットワークを最適化するためのネットワーク最適化処理を、所定のタイミングで実行する。
【0030】
図3は、入力されたゲートウェイに対して、ゲートウェイ毎にネットワークトポロジを定める手順の例を説明するための図である。ここで、丸印は、ノード(アクセスポイント装置、又は、ゲートウェイとしてのアクセスポイント装置)を示す。また、
図3における点線は、通信可能範囲を表す。また、括弧内の数値は、そのノードのトラヒック量(例えば、送信フレーム数)を示す。
図3の上段に示す例では、ゲートウェイとしてのアクセスポイント装置1を示す情報が入力されたことで、アクセスポイント装置2及び4が、ゲートウェイ1と直接に接続することが可能であることから、制御部112は、ゲートウェイ1のリンク先として、アクセスポイント装置2及び4を選択する(
図3の中段を参照)。
【0031】
また、制御部112は、ゲートウェイへのホップ数をメトリックとし、ホップ数が最少となるよう、最小全域木(Minimum Spanning Tree:MST)アルゴリズムにより、アクセスポイント装置3のリンク先とするアクセスポイント装置を選択する。ここで、アクセスポイント装置2及び4のどちらを中継しても、ホップ数が同一であることから、制御部112は、アクセスポイント装置3のリンク先として、アクセスポイント装置2又は4のいずれを選択してもよい。
また、
図3の中段に示す例では、制御部112は、アクセスポイント装置3のリンク先となる他のアクセスポイント装置を選択する際、トラヒック量をメトリックとし、トラヒック量が相対的に少ないアクセスポイント装置2を選択する(
図3の下段を参照)。
【0032】
また、制御部112は、メッシュネットワークにおける中継ネットワークが利用するチャネル(CH)を、所定の決定アルゴリズムに基づいて、ネットワークトポロジ毎に定める。ここで、決定アルゴリズムとは、例えば、アクセスポイント装置間のリンク用チャネルのうち、ゲートウェイにおける受信信号強度が最も小さいチャネルを選択するアルゴリズムである。
【0033】
制御部112は、定めたネットワークトポロジに基づいてメッシュネットワークを形成するために、リピータ機能(WDS)設定、ネットワーク設定、セキュリティ設定、アクセスポイント装置間のリンクのチャネル設定などを、ネットワーク構築処理として、制御プラットフォームを介して実行する。これにより、制御部112は、暫定的なメッシュネットワークを構築し、その運用を開始することができる。
以上が、ネットワーク構築処理の説明である。
また、制御部112は、ネットワーク最適化処理として、下記の手順1〜3を実行することにより、最適なゲートウェイとなるアクセスポイント装置400を、ネットワークトポロジ毎に選択する。
【0034】
<手順1>
制御部112は、占有トラヒック量を定める。また、制御部112は、通信ネットワーク全体のトラヒック量に対して占有トラヒック量以上となるまで、アクセスポイント装置(ベーシックノード)を、トラヒック量が上位である順に、通信ネットワーク全体から抽出する。以下では、N(Nは、1以上の整数)個のベーシックノードが抽出されたものとして説明を続ける。
【0035】
ここで、アクセスポイント装置は、アクセスポイント装置間で形成する中継リンクと、無線端末装置間で形成するアクセスリンクとを有する。トラヒック量とは、アクセスリンクのトラヒック量であり、アクセスポイント装置400と、当該アクセスポイント装置400の配下の無線端末装置との間に発生するトラヒックの量である。
【0036】
<手順2>
制御部112は、抽出されたN個のアクセスポイント装置400(ベーシックノード)間のルーティングパス上のアクセスポイント装置400を、ゲートウェイ候補と定める。ここで、ベーシックノード同士が隣接しているために、ベーシックノード間のルーティングパス上にゲートウェイ候補が存在しない場合、制御部112は、ベーシックノードのいずれかを、ゲートウェイ候補とする。
【0037】
制御部112は、ゲートウェイ候補をゲートウェイと仮定し、仮定したゲートウェイへのルーティングパスを考慮し、通信ネットワークのスループット上限値G
maxを、式(1)により算出する。
G
max=T
max/BCD …(1)
ここで、T
maxは、MACレイヤにおけるスループット理論値であり、式(2)により算出される。
T
max=MSDUサイズ/(Delay per MSDU) …(2)
ここで、MSDUは、MAC・サービス・データ・ユニット(MAC Service Data Unit)である。
【0038】
図4は、MAC・サービス・データ・ユニット単位の遅延(Delay per MSDU)を説明するための図である。
図4では、Tは、データ単位の遅延量を示す。式(2)に示された、Delay per MSDUは、T
RTSと、3T
SIFSと、T
CTSと、T
DATAと、T
ACKと、T
DIFSと、T
BOとが加算された遅延量である。例えば、802.11a規格において、伝送レートが54[Mbps]であり、MSDUサイズが1500[Byte]である場合、T
maxは、26.8[Mbps]となる。
【0039】
また、式(1)に示された、ボトルネック・コリジョン・ドメイン(Bottleneck Collision Domain:BCD)は、仮定したゲートウェイへのルーティングパス下において、通信ネットワークの全てのリンクにおけるコリジョン・ドメイン(Collision Domain:CD)のうち、最も多くのトラヒック処理が必要であるコリジョン・ドメインである。
【0040】
図5は、ボトルネック・コリジョン・ドメインを説明するための図である。
図5では、連鎖モデル(Chain model)を構成するノード1〜7、及びゲートウェイ(GW)のそれぞれのアクセスリンクで同量のトラヒック(G)が発生するものとして、ボトルネック・コリジョン・ドメインを説明する。また、各ノードの通信範囲は、隣接するノード(以下、「隣接ノード」という)までとする。また、干渉範囲は、次の隣接ノードまでとする。
【0041】
ゲートウェイがノード7に接続されている場合、リンク5−6のコリジョン・ドメインは、リンク5−6での通信による干渉により通信が許可されないリンクの集合である。具体的には、
図5の点線により示された範囲、すなわち、「リンク:7‐GW,6‐7,5‐6,4‐5,3‐4」である。
【0042】
全てのリンクのトラヒックを処理できなければならないこと、すなわち、アクセスリンクの全てのトラヒックを中継できなければならないことから、リンク5−6のコリジョン・ドメインのトラフィックは、25G(=7G+6G+5G+4G+3G)である。同様に、リンク4−5のコリジョン・ドメインのトラフィックは、20Gである。したがって、
図5に示す連鎖モデルでは、ボトルネック・コリジョン・ドメインは、トラフィックが最も多い、リンク5−6のコリジョン・ドメインである。
なお、式(1)は、シングルチャネルにおけるスループット上限値の算出式である。マルチチャネル(Multi‐radio Multi‐channel)おけるスループット上限値の算出式は、式(3)により示される(非特許文献2を参照)。
【0044】
<手順3>
制御部112は、算出したスループット上限値を、ゲートウェイ候補毎に比較する。また、制御部112は、スループット上限値が最大となるゲートウェイ候補を、ゲートウェイとして選択する。ここで、MACレイヤにおけるスループット理論値T
maxが、全ノードで同一である場合、制御部112は、ボトルネック・コリジョン・ドメインが最小となるゲートウェイ候補を、ゲートウェイとして選択する。
以上の手順1〜3により、制御部112は、スループット上限値が最大となるアクセスポイント装置400を、複数のアクセスポイント装置400から、ゲートウェイとして選択する。
【0045】
制御部112は、ゲートウェイとして選択したアクセスポイント装置400について、メッシュネットワークにおける中継ネットワークが利用するチャネル(CH)を、上記の決定アルゴリズムに基づいて定める。制御部112がゲートウェイとして選択したアクセスポイント装置400には、25[GHz]のFWA装置が備えられ、所定の調整がなされる。
【0046】
また、制御部112は、定めたネットワークトポロジに基づいてメッシュネットワークを形成するために、リピータ機能(WDS)設定、ネットワーク設定、セキュリティ設定、アクセスポイント装置間のリンクのチャネル設定などを、ネットワーク構築処理として、制御プラットフォームを介して実行する。これにより、制御部112は、最適なメッシュネットワークを構築し、その運用を再開することができる。
以上が、ネットワーク最適化処理の説明である。
【0047】
以上をまとめると、制御部112は、暫定的に定めたゲートウェイに基づいて、暫定的なメッシュネットワークを構築する。また、制御部112は、最適なゲートウェイを選択するために必要な情報として、各アクセスポイント装置400のトラヒック量を取得し、上記の手順1〜3により、トラヒック量に基づいてゲートウェイを選択することで、最適なメッシュネットワークを構築する。
【0048】
ここで、制御部112は、リソースユニット100との通信品質が最も良い(受信信号強度が最も強い)アクセスポイント装置400を、ゲートウェイに選択してもよい。また、制御部112は、トラヒック量の変動に対応するため、所定周期でゲートウェイを選択してもよいし、ネットワーク構成が変化した場合にゲートウェイを選択してもよい。
【0049】
次に、コリジョン・ドメインの算出回数の削減例を説明する。
図6には、メッシュネットワークの構成例が示されている。
図6では、一例として、26個のノードからメッシュネットワークが構成されるものとする。仮に、26個のノード全てについてスループット上限値を算出するとした場合、コリジョン・ドメインの算出は、26個のノード全てと、全てのリンク(25本のリンク)とについて、26×25=650回も実行される。
【0050】
一方、制御部112は、上記で説明したように、ベーシックノード(
図6では、一例として、ノード7,15,20)を抽出する。また、制御部112は、ベーシックノード間のルーティングパス上のアクセスポイント装置400(
図6では、8, 9, 14, 21, 22, 24, 25, 26)を、ゲートウェイ候補(Candidates)と定める。
制御部112は、定めたゲートウェイ候補についてスループット上限値を算出し、スループット上限値が最大となるゲートウェイ候補を、ゲートウェイとして選択する。この場合、コリジョン・ドメインの算出は、8個のゲートウェイ候補と、全てのリンク(25本のリンク)とについて、8×25=200回だけ実行される。
【0051】
このように、制御部112は、スループット上限値の算出において、スループット上限値を算出する対象となるノード数を削減し、コリジョン・ドメインの算出回数を大幅に削減する。これにより、制御部112は、通信ネットワークを短時間で構築することができる。
【0052】
次に、制御サーバ装置の動作手順の例を説明する。
図7は、メッシュネットワークを構築する動作手順の例を示すフローチャートである。
(ステップS1)制御部112は、アクセスポイント装置400が収集した情報(例えば、自アクセスポイント装置に隣接するアクセスポイント装置のMACアドレス、使用チャネル、及び、受信信号強度)の取得の指示を、制御プラットフォームに出力する。
(ステップS2)制御部112は、アクセスポイント装置400が収集した情報に基づいて、ホップ数をメトリックとして、ホップ数が最少となるネットワークトポロジを、最小全域木アルゴリズムにより、入力されたゲートウェイ毎に定める。
【0053】
(ステップS3)制御部112は、メッシュネットワークにおける中継ネットワークが利用するチャネル(CH)を、上記の決定アルゴリズムに基づいて、ネットワークトポロジ毎に定める。
(ステップS4)制御部112は、定めたネットワークトポロジに基づいて、メッシュネットワークを形成するための各種設定を、制御プラットフォームを介して、ネットワークトポロジ毎に実行する。制御部112は、ステップS3〜ステップS4を、ネットワークトポロジ毎に繰り返し実行する。
【0054】
図8は、メッシュネットワークを最適化する動作手順の例を示すフローチャートである。
(ステップSa1)制御部112は、アクセスポイント装置400が収集した情報(例えば、自アクセスポイント装置に隣接するアクセスポイント装置のMACアドレス、使用チャネル、受信信号強度、及び、トラヒック量)の取得の指示を、制御プラットフォームに出力する。
(ステップSa2)制御部112は、アクセスポイント装置400が収集した情報に基づいて、ホップ数をメトリックとして、ホップ数が最少となるネットワークトポロジを、最小全域木アルゴリズムにより、入力されたゲートウェイ毎に定める。制御部112は、アクセスポイント装置のリンク先となる他のアクセスポイント装置を選択する際、トラヒック量をメトリックとし、トラヒック量が少ない他のアクセスポイント装置を選択する。
【0055】
(ステップSa3)制御部112は、ネットワーク最適化処理として、算出したスループット上限値を、ゲートウェイ候補毎に比較する。また、制御部112は、スループット上限値が最大となるゲートウェイ候補を、ゲートウェイとして選択する。
【0056】
(ステップSa4)制御部112は、メッシュネットワークにおける中継ネットワークが利用するチャネル(CH)を、上記の決定アルゴリズムに基づいて、ネットワークトポロジ毎に定める。
(ステップSa5)制御部112は、定めたネットワークトポロジに基づいて、メッシュネットワークを形成するための各種設定を、制御プラットフォームを介して、ネットワークトポロジ毎に実行する。制御部112は、ステップSa3〜ステップSa5を、ネットワークトポロジ毎に繰り返し実行する。
【0057】
以上のように、制御サーバ装置110は、通信ネットワーク全体のトラヒック量に対して所定割合(占有トラヒック量)以上となるまで、アクセスポイント装置400を、トラヒック量が上位である順に抽出し、抽出したアクセスポイント装置400(ベーシックノード)間のルーティングパス上に存在するアクセスポイント装置400をゲートウェイ候補(例えば、
図6を参照)と定め、前記ゲートウェイ候補毎にスループット上限値G
maxを比較し、前記スループット上限値が最大となる前記ゲートウェイ候補を、ゲートウェイとして選択する制御部112を備える。
【0058】
この構成により、制御部112は、抽出したアクセスポイント装置400(ベーシックノード)間のルーティングパス上に存在するアクセスポイント装置400をゲートウェイ候補と定め、ゲートウェイ候補毎にスループット上限値を比較し、スループット上限値が最大となるゲートウェイ候補を、ゲートウェイとして選択する。これにより、制御サーバ装置110、制御方法、及び制御プログラムは、通信ネットワークを短時間で構築することができる。
【0059】
すなわち、制御サーバ装置110は、メッシュネットワーク内のトラヒック量が所定閾値以上を占めるアクセスポイント装置の集合を、トラヒック量が多い順に、ベーシックノードとして抽出する。また、制御サーバ装置110は、ベーシックノード間のルーティングパス上に存在するノードを、ゲートウェイ候補と定め、ゲートウェイ候補について、スループット上限値を算出する。
また、制御部112は、通信品質に基づいて、前記ゲートウェイを選択する。
また、制御部112は、前記通信ネットワークの構成が変化した場合、又は、所定周期で、前記ゲートウェイを選択する。
【0060】
また、制御サーバ装置における制御方法であって、制御方法は、制御部112が、通信ネットワーク全体のトラヒック量に対して所定割合(占有トラヒック量)以上となるまで、アクセスポイント装置400を、トラヒック量が上位である順に抽出し、抽出したアクセスポイント装置400(ベーシックノード)間のルーティングパス上に存在するアクセスポイント装置400をゲートウェイ候補(例えば、
図6を参照)と定め、前記ゲートウェイ候補毎に、スループット上限値G
maxを比較し、前記スループット上限値が最大となる前記ゲートウェイ候補を、ゲートウェイとして選択するステップを含む。
【0061】
また、制御方法は、制御部112が、通信品質に基づいて、前記ゲートウェイを選択するステップを含む。
また、制御方法は、制御部112が、前記通信ネットワークの構成が変化した場合、又は、所定周期で、前記ゲートウェイを選択するステップを含む。
また、制御プログラムは、制御サーバ装置110として、コンピュータを機能させるための制御プログラムである。
【0062】
[第2実施形態]
第1実施形態では、制御サーバ装置110は、ネットワーク構築処理(
図7を参照)と、ネットワーク最適化処理(
図8を参照)とを実行していた。第2実施形態では、制御サーバ装置110が、ネットワーク構築処理を実行せず、ネットワーク最適化処理のみを所定周期で実行する点が、第1実施形態と相違する。以下では、第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0063】
図8のステップSa2において、制御部112は、アクセスポイント装置のリンク先となる他のアクセスポイント装置を選択する際、メッシュネットワークを構築する前の過去のトラヒック情報(例えば、トラヒック量、アクセスポイント装置に接続している無線端末の数)に基づいて、トラヒック量が少ない他のアクセスポイント装置を選択する。また、
図8のステップSa3において、制御部112は、スループット上限値が最大となるゲートウェイ候補を、ゲートウェイとして選択する。
【0064】
ここで、制御部112は、メッシュネットワークを構築する前の過去のトラヒック情報を、広域無線システム・アクセスポイント120及び広域無線システム端末200を介して収集してもよい。また、制御部112は、アクセスポイント装置に接続している無線端末の数とトラヒック量とが比例すると仮定して、アクセスポイント装置に接続している無線端末の数に基づいて、ゲートウェイを選択してもよい。また、制御部112は、トラヒック量の変動に対応するため、所定周期でゲートウェイを選択してもよいし、ネットワーク構成が変化した場合にゲートウェイを選択してもよい。
【0065】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、上記各ステップは、必ずしもシーケンシャルに全て実行する必要はなく、単独に実行してもよい。また、例えば、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
なお、以上に説明した制御サーバ装置を実現するためのプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、そのプログラムをコンピュータシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0066】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0067】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
【0068】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。