(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の切欠部が設けられることにより分離する前記基板支持部における前記回転板の回転方向上流側の端部が鋭角形状を有することを特徴とする、請求項4に記載の液処理装置。
前記液体を供給するステップが、前記基板の上面に接触して当該上面を洗浄する洗浄部材を、前記基板支持部により支持される前記基板の前記上面に接触させるステップを含む、請求項9から11のいずれか一項に記載の液処理装置の制御方法。
前記基板支持部により支持される前記基板と前記回転板との間の空間に不活性ガスを供給するステップを更に含む、請求項9から12のいずれか一項に記載の液処理装置の制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の限定的でない例示の実施形態について説明する。添付の全図面中、同一又は対応する部材又は部品については、同一又は対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面は、部材もしくは部品間の相対比を示すことを目的とせず、したがって、具体的な寸法は、以下の限定的でない実施形態に照らし、当業者により決定されるべきである。
【0012】
始めに、
図1を参照しながら、本発明の実施形態による液処理装置を含む基板処理装置について説明する。
図1は、本発明の実施形態による基板処理装置を示す概略上面図である。図示のとおり、基板処理装置100は、複数のウエハWを収容する複数の(図示の例では4つの)ウエハキャリアCが載置されるキャリアステーションS1と、キャリアステーションS1と後述の液処理ステーションS3との間でウエハWを受け渡す搬入出ステーションS2と、本発明の実施形態による液処理装置1が配置される液処理ステーションS3とを備える。
【0013】
搬入出ステーションS2には、ウエハキャリアCからウエハWを搬出してステージ13に載置し、また、ステージ13のウエハWを取り上げてウエハキャリアCへ搬入する搬送機構11を有している。搬送機構11は、ウエハWを保持する保持アーム部11aを有している。搬送機構11は、ウエハキャリアCの配列方向(図中のX方向)に延びるガイド12に沿って移動することができる。また、搬送機構11は、X方向に垂直な方向(図中のY方向)及び上下方向に保持アーム部11aを移動させることができ、水平面内で保持アーム部11aを回転させることができる。
【0014】
液処理ステーションS3は、Y方向に延びる搬送室16と、搬送室16内における搬入出ステーションS2側に配置される反転機構16aと、搬送室16の両側に配置される複数の液処理装置1とを有している。また、搬送室16には、搬送機構14が設けられ、搬送機構14は、ウエハWを保持する保持アーム部14aを有している。搬送機構14は、搬送室16に設けられY方向に延びるガイド15に沿って移動することができる。また、搬送機構14は、保持アーム部14aをX方向に移動することができ、水平面内で回転させることができる。搬送機構14は、搬入出ステーションS2の受け渡しステージ13と、反転機構16aと、各基板処理ユニット1との間でウエハWを搬送する。反転機構16aは、搬送機構14により搬入されたウエハWを上下反転する。ウエハWは、キャリアステーションS1のウエハキャリアC内においては回路形成面が上向き(フェースアップ)になるように収容されており、回路形成面が上向きのままで搬送機構11からステージ13を介して搬送機構14により搬送される。しかし、反転機構16aにより、ウエハWは上下反転され、回路形成面が下向き(フェースダウン)となる。この後、ウエハWは、回路形成面が下向きのまま搬送機構14によって反転機構16aから取り出され、搬送機構14により液処理装置1へ搬送される。
【0015】
また、基板処理装置100には、各種の部品及び部材を制御する制御部17が設けられ、制御部17の制御の下、基板処理装置100及び液処理装置1が動作し、例えば後述の液処理装置の制御方法が実施される。
【0016】
以上の構成を有する基板処理装置100においては、キャリアステーションS1に載置されるウエハキャリアCから搬送機構11によってウエハWが取り出され、搬送機構11によりステージ13に載置される。ステージ13上のウエハWは、液処理ステーションS3内の搬送機構14により、反転機構16aに搬入され、ここで上下反転されて、再び搬送機構14により液処理装置1に搬入される。液処理装置1においては、ウエハWの上面(回路形成面と反対側の面)が所定の洗浄液で洗浄され、例えば純水により洗浄液が洗い流され、ウエハWの上面が乾燥される。ウエハWの上面が乾燥された後、ウエハWは、搬入時と逆の経路(手順)によりウエハキャリアCへ戻される。また、一のウエハWが洗浄される間に、他のウエハWが他の液処理装置1へ順次搬送され、洗浄される。
【0017】
次に、
図2から
図4までを参照しながら、本発明の実施形態による液処理装置1について説明する。図示のとおり、液処理装置1は、ほぼ方形の筐体21と、筐体21内のほぼ中央部に設けられ、上面が開口する略円筒形状のカップ部22と、カップ部22の内側に配置され、ウエハWを保持するとともに回転することができるウエハ保持回転部23と、ウエハ保持回転部23に保持されるウエハWに対して液体を供給するとともにウエハWの上面に接してウエハWの上面を洗浄するブラシ24とを備える。
筐体21には、搬送機構14の保持アーム部14a(
図1)によりウエハWを筐体21に搬入出する搬送口21aが形成されている。搬送口21aには、図示しないシャッタが設けられ、搬入出時にはシャッタが開き、処理時にはシャッタは閉じ搬送口21aは閉じられている。
【0018】
カップ部22は、図示しない昇降機構により、筐体21内において
図2中に破線で示す上方位置と、実線で示す下方位置との間で上下動可能である。ウエハWの搬入出時には、カップ部22は下方位置に位置することにより、ウエハWの搬入出を干渉することがなく、ウエハWの処理時には、カップ部22は上方位置に位置することにより、ウエハWに対して供給される液体を受け、図示しないドレインから液体を排出する。
【0019】
図2を参照すると、ウエハ保持回転部23は、筐体21の下方に配置されるモータMに接続されて回転する回転シャフト23Sと、下面のほぼ中央部において回転シャフト23Sに取り付けられる回転プレート23Pとを有している。
【0020】
回転シャフト23Sには、その中央部を貫通する導管23Cが形成されている。導管23Cの下端からは、例えば窒素ガス供給源からの窒素(N
2)ガスを供給することができる。後述するように、ウエハ保持回転部23の回転プレート23Pと、ウエハ保持回転部23により保持されるウエハWとの間には空間が形成されており、導管23Cを通ったN
2ガスは、導管23Cの上端からこの空間へ流れ出て、外周に向かって流れる。ウエハ保持回転部23ひいてはウエハWが回転すると、回転プレート23PとウエハWとの間の空間がウエハW上方の空間よりも陰圧になる。そうすると、ウエハWの中心部が撓んで、ウエハWの上面の平坦性が悪化し、液処理の均一性もまた悪化するおそれがある。しかし、その空間にN
2ガスを供給しているため、ウエハWの中心部の撓みを抑制することが可能となる。また、回転プレート23PとウエハWとの間の空間からN
2ガスが吹き出すため、ウエハWの上面に供給される液体が下面に付着するのを低減する効果が得られる。
【0021】
ブラシ24は、水平面内で回動可能で上下動可能なアーム24Aにより支持されている。アーム24A内には、ウエハWに対して供給される液体が流れる導管24Cが形成されている。アーム24Aが回動し下降し、ブラシ24がウエハWの上面に接すると同時に(又は僅かに前に)、所定の液体供給源からの液体(例えば脱イオン水)が、導管24C内を流れて、ブラシ24の基端に設けられた開口24BからウエハWの上面に供給される。これにより、ブラシ24はウエハWの上面に接することにより、ウエハWの上面を洗浄するとともに、ブラシ24により除去されたパーティクルや残留物等を液体により洗い流すことができる。ブラシ24は、例えば多数のプラスチック製の糸を円柱状に束ねることにより構成される。プラスチック製の糸は、例えば、PP(polypropylene)、PVC(polyvinyl chloride)、ウレタン、ナイロンから作ることができる。
【0022】
図3を参照すると、回転プレート23Pは、カップ部22の内径よりも小さく、ウエハWの外径よりも大きい外径を有する円板の形状を有している。また、
図4(a)に示すように、回転プレート23Pは、外周縁に沿って配置される円環形状を有するウエハ支持部500と、ウエハ支持部500上に設けられ、ほぼ120°の角度間隔で互いに離間する3つガイドピン40と、ウエハWのエッジを押さえる把持部23Aとを有している。ガイドピン40は、回転プレート23Pの中心に向いた側面40I(
図4(b))によりウエハWの周縁を案内し、ウエハ支持部500により回転プレート23P上の適正な位置にウエハWを支持させる。また、ガイドピン40は、ガイドピン40の上面が、ウエハ支持部500により支持されるウエハWの上面より高い位置に位置するような高さを有している。ガイドピン40により案内されウエハ支持部500に支持されたウエハWは、把持部23Aにより把持される。これにより、ウエハWは、回転プレート23Pに対してずれることなく、回転プレート23Pにより回転することができる。
【0023】
次に、
図5から
図9までを参照しながら、本発明の他の実施形態による液処理装置1について説明する。本実施形態による液処理装置1においては、上述の実施形態におけるウエハ保持回転部23と異なるウエハ保持回転部23を有している。以下、本実施形態による液処理装置1を、先の実施形態による液処理装置1との相違点を中心に説明し、同じ構成の部分についての説明は省略する。
【0024】
本実施形態においては、ウエハ保持回転部23は、回転プレート23Pの下部周縁に取り付けられ、ウエハWのエッジを押さえることによりウエハWを把持する3つ(
図5では2つのみを図示)の把持機構23Gを有している。これら3つの把持機構23Gは、
図6に示すように、互いに例えば120°の角度間隔で配置している。
【0025】
再び
図5を参照すると、各把持機構23Gは、回動軸23Tにより回動可能なレバー部材23Lと、レバー部材23Lが矢印Yで示す方向に回動することによってウエハWのエッジに接触可能な把持部23Aとを有している。各レバー部材23Lの遠端部の下方には、レバー部材23Lの遠端部を上下動させるロッド部材43が設けられている。ロッド部材43はアーム42に取り付けられ、アーム42は昇降機構41(
図5)により上下動する。把持機構3Gの動作については後述する。
【0026】
また、本実施形態における回転プレート23Pは概ね円形の上面形状を有し、周囲に切欠部C1及びC2が形成されている。切欠部C1及びC2は、ほぼ60°の角度間隔で交互に配置されている。切欠部C1は、回転プレート23Pの下部に取り付けられる把持機構23Gの把持部23Aが回転プレート23Pの上方に突出するのを許容する。また、切欠部C2は、搬送機構14の保持アーム部14a(
図1)に設けられたウエハ保持爪(図示せず)に対応して設けられ、ウエハ保持爪が回転プレート23Pを上下に通り抜けるのを許容する。
【0027】
また、
図7を参照すると、回転プレート23Pの上面には、周縁に沿って延在する複数のウエハ支持部51が設けられている。このようなウエハ支持部51は、回転プレート23Pの切欠部C1及びC2に合わせて、先の実施形態におけるウエハ支持部500を切り欠くことにより形成され得る。図示を省略するが、ウエハ支持部51は、両端において、例えばネジなどで回転プレート23Pに取り付けられている。両端で固定されることにより、ウエハ支持部51の取付け精度を向上することができる。また、各ウエハ支持部51は、
図8に示すように、上面平坦部51Aと、回転プレート23Pの中央に向かって傾斜する傾斜面51Bとを有している。傾斜面51Bの外周縁(上面平坦部51Aと傾斜面51Bとの境界)は、ウエハWの直径よりも大きい第1の円の円周に沿って位置し、傾斜面51Bの内周縁は、第1の円と同心円で、ウエハWの直径よりも小さい第2の円の円周に沿って位置する。このため、ウエハWを回転プレート23Pに載置する場合、ウエハWは、そのエッジが傾斜面51Bに接することにより支持される(
図8参照)。このとき、ウエハWは、回転プレート23Pの上面から離間している。
【0028】
また、ウエハ支持部51の上面平坦部51Aにはガイドピン52が設けられている。ガイドピン52の側面52Iは、下端において、ウエハ支持部51の傾斜面51Bの外周縁に接している。また、ガイドピン52には、回転プレート23Pの中央に向かって傾斜する案内傾斜面52Bが形成されている。保持アーム部14a(
図1)からウエハ支持部51へウエハWが載置される際にウエハWのエッジが案内傾斜面52Bに接すると、ウエハWのエッジが案内傾斜面52Bを滑り落ちるように案内されて、ウエハWが移動することとなり、これによりウエハWが位置決めされてウエハ支持部51に支持される。
なお、ガイドピン52は、ガイドピン52の上面が、複数のウエハ支持部51により支持されるウエハWの上面よりも高い位置に位置するような高さを有している。
【0029】
また、
図7に示すようにウエハ支持部51に設けられたガイドピン52と、把持機構23Gの把持部23Aとには、ほぼ中央部において、回転プレート23の周縁と交差する方向に延びる溝部Gが形成されている。ウエハ支持部51Bに支持されるウエハWの上面に液体が供給される場合、その液体は、溝部Gを通してウエハWの外方へ排出され得る。このため、ガイドピン52や把持部23Aにより液体が滞留するのを低減でき、液体の滞留により生じ得るウォータマークの発生を低減することが可能となる。
【0030】
次に、
図9を参照しながら把持機構23Gの機能について説明する。
図9は、
図7におけるI−I線に沿った一部断面図である。また、
図9(a)は、例えば、回転プレート23Pの上にウエハWを配置した直後のウエハWと把持機構23Gとを示している。図示のとおり、
図7(a)中に破線で示すウエハ支持部51の傾斜面51BによりウエハWのエッジが支持されている。このとき、昇降機構41(
図5)により、アーム42は上方に移動しており、ロッド部材43が把持機構23Gのレバー部材23Lの遠端を上方へ押し上げている。このため、レバー部材23Lの他端(回動軸23Tにより支持される端部)に設けられた把持部23Aは外方に傾いている。ここで、
図9(b)に示すようにアーム42が下方に移動すると、レバー部材23Lは、回転プレート23Pの下面に設けられた付勢部材23Bと自重とにより、回動軸23Tを中心に時計回りに回動する。これに伴って把持部23AがウエハWのエッジに押しつけられる。3つの把持機構23Gの把持部23Aがエッジを押しつけることにより、ウエハWが把持される。この状態で、モータM(
図5)が回転すると、回転プレート23Pと、これに取り付けられた把持機構23Gとが回転し、回転プレート23P上でウエハ支持部51Bにより支持され、把持機構23Gに把持されるウエハWが回転する。
【0031】
次に、本発明の実施形態による液処理装置1の動作(液処理装置の制御方法)について、これまで参照した図面を適宜参照しながら説明する。なお、以下では、
図5から
図9までを参照しながら説明した液処理装置1を例にとり説明する。また、上述のとおり、ウエハWは、液処理ステーションS3の反転機構16aにより上下反転され、ウエハWの回路形成面が下を向いた状態で、液処理装置1へ搬入される。以下の説明では、ウエハWの上面というときには、ウエハWの回路形成面と反対側の面を意味する。
まず、カップ部22が降下して
図5に実線で示す下方位置に位置し、また、昇降機構41によりアーム42及びロッド部材43が上方へ移動して、把持機構23のレバー部材23Lを押し上げる。これにより、把持部23Aが外方に開き、ウエハWが載置されるスペースが確保される。
【0032】
次いで、筐体21の搬送口21aが開き、搬送機構14の搬送アーム部14aによってウエハWが搬送口21aから筐体21内に搬入され、ウエハ保持回転部23の上方で停止する。次いで、搬送アーム部14aが下降し、搬送アーム部14aからウエハ保持回転部23にウエハWが受け渡される。このとき、ウエハWは、ガイドピン52により案内されて、回転プレート23Pの周縁の上面に設けられたウエハ支持部51により支持される。具体的には、ウエハ支持部51の傾斜面51B(
図7、
図8)の全体に亘ってウエハWのエッジが接することにより、ウエハWが支持される。
【0033】
搬送アーム部14aが搬送口21aから外部へ退出した後、昇降機構41(
図5)によりアーム42及びロッド部材43が下方へ移動することにより、レバー部材23Lが回動し、その結果、把持部23AがウエハWのエッジを押さえる。ウエハ支持部51により支持された状態で、ウエハWが把持機構23Gにより把持される。カップ部22が、
図5に示す上方位置に位置すると、モータMによって回転シャフト23S及び回転プレート23Pの回転が開始される。これにより、ウエハ支持部51に支持され把持機構23により把持されるウエハWもまた回転する。ウエハWの回転速度は、例えば500回転毎分(rpm)から2000rpmであって良い。このとき、回転シャフト23S内に形成されている導管23Cから、ウエハWと回転プレート23Pとの間の空間に対して例えばN
2ガスが供給される。
【0034】
次に、ブラシ24のアーム24Aが回動し、ブラシ24が
図5に点線で示す位置に移動し、ウエハWの上面に向かって降下する。ブラシ24の先端がウエハWの上面に接すると同時に(又は僅かに前に)、ブラシ24の開口部24Bから例えばDIWが供給される。このDIWは、ウエハWの回転によりウエハWの上面をウエハWのエッジに向かって広がっていき、ウエハWのエッジから外方へ流れ出る。
この後、ブラシ24は、アーム24Aが回動することにより、ウエハWのエッジに向かって移動していく。ウエハWの回転とブラシ24の移動とにより、ウエハWの全面にブラシ24が接するとともに、ブラシ24により除去されたパーティクルや不純物がDIWにより洗い流される。
ブラシ24が、ウエハWのエッジから外に移動した後、DIWの供給を停止するとともに、ウエハWの上面を乾燥させる。この後、ウエハWを搬入したときの手順と逆の手順により、ウエハWが筐体21の外へ搬出される。
【0035】
以上説明したとおり、本発明の実施形態による液処理装置1によれば、搬送アーム14a(
図1)からウエハ保持回転部23へ受け渡されるとき、ウエハWはガイドピン52により案内され、回転プレート23P上のウエハ支持部51の傾斜面51BにウエハWのエッジが接するように支持される。回転プレート23Pが回転し、ブラシ24が下降するとともにブラシ24の開口からウエハW上に液体が供給されると、液体はウエハWの上面を外方に広がるように流れる。このとき、ウエハWのエッジは、ウエハ支持部51の傾斜面51Bに接しているため、液体がウエハWの下面に付着することが抑制される。
【0036】
例えば
図10(a)に示すように、回転プレート23Pの周方向に沿ったウエハ支持部51'及びガイドピン52'の長さがほぼ等しい場合(ウエハ支持部51'がガイドピン52'の両側方向に延在していない場合)には、ウエハWの上面を流れる液体は、ガイドピン52の側面52Iに衝突して、ウエハWの下面に付着する(図中の矢印A'参照)。ウエハWの下面に液体が付着すると、液体中のパーティクルがウエハWの下面に残存するおそれがある。ウエハWの下面のパーティクルは、ウエハWが次に搬送される半導体製造装置のウエハ支持部を汚染したり、ウエハキャリア内で隣接する他のウエハの表面を汚染したりする原因となる場合がある。一方、ウエハWの上面においては、上面を流れる液体による液膜が存在するため、液体中のパーティクルは、ウエハWの上面には残存し難い。
【0037】
しかし、本発明の実施形態においては、ウエハ支持部51がガイドピン52よりも長く、ガイドピン52の側方においてもウエハWのエッジがウエハ支持部51の傾斜面51Bに接しているため、
図10(b)に示すように、液体がウエハWの下面へ付着することが抑制される。すなわち、本発明の実施形態によれば、上述の汚染を低減することが可能となる。
【0038】
なお、液処理装置1による効果として、
図5から
図9までを参照しながら説明した液処理装置1を例に説明したが、
図2から
図4までを参照しながら説明した液処理装置1においても、液体が、ウエハWの上面を流れ、ガイド部40に衝突してウエハWの裏面に付着するのが抑制されるため、同様の効果が得られる。
【0039】
また、
図5から
図9までを参照しながら説明した液処理装置1においては、傾斜面51BによりウエハWのエッジを広い範囲で支持しているため、ウエハWの反りを低減することができる。ウエハWの反りの低減を確認するために行った実験の結果を
図11に示す。
図11(a)は、比較のため、
図10(a)に示すウエハ支持部51'及びガイドピン52'を、約120°の角度間隔で3つ設けた場合における、ブラシ24によるウエハWの上面の洗浄後のパーティクルマップを示し、
図11(b)は、本発明の実施形態による液処理装置1(
図5から
図9)における、ブラシ24によるウエハWの上面の洗浄後のパーティクルマップを示す。
【0040】
図11(a)においては、概ね三つ葉形状の範囲においては、パーティクルが少ないものの、その範囲の外側においては、多数のパーティクルがあることが分かる。このような分布は、以下の理由により生じると考えられる。すなわち、短いウエハ支持部によりウエハWのエッジが支持される部分ではウエハWが殆ど撓まないため、ブラシ24が十分に押しつけられてパーティクルが低減される一方で、その部分の間の領域においてはウエハWが比較的大きく撓むため、回転するウエハWの上面に対するブラシ24の押圧力が全周で一定ではなくなり、パーティクルを十分に低減できない。
【0041】
一方、本発明の実施形態による液処理装置1においては、
図11(b)に示すように、ウエハWの上面全体において一様にパーティクルが少ない。これは、ウエハWのエッジが比較的広い範囲で傾斜面51Bに支持されるため、ウエハWの平坦性が良いことによるものと考えられる。
【0042】
なお、上述のパーティクルの低減効果は、
図2から
図4までを参照しながら説明した液処理装置1においても、ウエハWが周縁に沿った広い範囲で支持されるため、同様に得ることができる。
【0043】
以上、実施形態を参照しながら本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されることなく、添付の特許請求の範囲に照らし、種々に変形又は変更することができる。
【0044】
例えば、上述の実施形態においては、液処理装置1にブラシ24が設けられ、ブラシ24によりウエハWの上面を洗浄する場合について説明したが、ブラシ24を用いた洗浄に限定されることはない。例えば、ブラシ24の代わりに、清浄気体用の導管と、脱イオン水(DIW)用の導管とが設けられ、清浄気体によりDIWのミストを噴出する二流体ノズルを液処理装置1に設け、これによりウエハWの上面を処理しても良い。勿論、液体だけを供給する液体供給ノズルを用いても構わない。
【0045】
さらに、ブラシ24や二流体ノズル等の代わりに、ウエハWの上面に対して液体を吐出する吐出部に超音波振動子が組み込まれた液体供給ノズルを用いても良い。この液体供給ノズルによれば、超音波振動子から発せられた例えば15〜400kHzのキロヘルツ帯、又は1.5MHzや3.0MHzのメガヘルツ帯の高周波により、液体中で微細な泡が発生し破裂したり、液体分子の振動が促進されたりするため、液処理効率や洗浄効率を向上させることができる。
【0046】
また、上述の実施形態において、ウエハWは、回転プレート23P上のウエハ支持部51によって、ウエハWにおける回路形成面が下向き(フェースダウン)になるように支持されていたが、本発明の実施形態による液処理装置1においては、回路形成面が上向き(フェースアップ)になるようにウエハWを保持し、例えば二流体ノズルを用いて回路形成面を処理しても良い。この場合であっても、ウエハWの下面への液体の付着を避けることができるため、下面におけるパーティクルを低減することが可能となる。
【0047】
上述の実施形態においては、回転プレート23Pに切欠部C2が設けられていたが、切欠部C2は、液処理装置1の筐体21内にウエハWを搬送する搬送アーム部14aのウエハ保持爪に対応して設けられるに過ぎず、不可欠ではない。例えば、回転プレート23Pを貫通して上下動する3つのリフトピンを用いて搬送アーム部14aとウエハ保持回転部23との間でウエハWを受け渡す場合には、搬送アーム部14aにウエハ保持爪は不要であり、したがって、切欠部C2を回転プレート23Pに形成する必要はない。
【0048】
また、ウエハ支持部51の形状は、図示のものに限定されることなく種々に変形可能である。
図12に示すように、例えば回転プレート23P上に配置されるウエハ支持部51は、回転プレート23Pの回転方向に沿った先頭側において、鋭角形状を有して良い。このようにすれば、回転プレート23Pの回転に伴ってウエハ支持部51により引き起こされる乱流を防止することができ、ウエハWの上面の液体を外方へ更に流すことができる。
【0049】
また、ウエハ支持部51と、把持機構23Gの把持部23Aとの間の間隔をできるだけ狭くすることが好ましい。このようにすれば、液体が、ウエハWの上面を流れて把持部23Aに衝突し、ウエハWの下面に付着するのを低減することができる。したがって、ウエハWの下面のエッジ近傍におけるパーティクルの発生をより効果的に低減することが可能となる。また、ウエハWの上面には液体による液膜が形成されているため、ウエハWの上面へパーティクルが残存することは殆ど無い。
【0050】
また、上述の実施形態においては、把持機構23Gの把持部23AがウエハWのエッジを押圧することによりウエハWが把持されたが、ウエハWを低速で(例えば、10rpmから50rpm程度で)回転しながら、ウエハWの上面にDIWを供給して上面を洗浄するなどの場合には、把持機構23Gにより把持は不要であり、したがって、液処理装置1に把持機構23Gを設けなくても良い。
【0051】
また、上述の実施形態においては、6個のウエハ支持部51が設けられていたが、これに限定されることなく、所望の数のウエハ支持部51を設けても良い。また、回転プレート23P上の隣り合う2つのウエハ支持部51の間において、回転プレート23Pの周縁(切欠部C2を含む)に沿った隆起部を設けても良い。この場合、隆起部は、ウエハ支持部51により支持されるウエハWと回転プレート23Pとの間の間隔よりも小さい高さを有していることが好ましい。これによれば、隆起部とウエハWとの間の間隔は、ウエハWと回転プレート23Pとの間の間隔よりも狭くなるため、ウエハWと回転プレート23Pとの間の空間を流れるN2ガスをより高速に吹き出させることが可能となる。したがって、2つのウエハ支持部51の間におけるウエハWの下面への液体の付着を低減することができる。
【0052】
また、上述の実施形態においては、半導体ウエハを液処理する場合を例に説明したが、FPD用のガラス基板を液処理する場合にも本発明を適用することができる。