【文献】
CHAN,S. et al,Synthesis, Characterization and Photovoltaic Properties of Novel Semiconducting Polymers with Thiophene-Phenylene-Thiophene (TPT) as Coplanar Units,Macromolecules(Washington, DC, United States),2008年,Vol.41, No.15,p.5519-5526
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光学的、電気光学的、電子的、エレクトロルミネセントまたはフォトルミネセント部品または装置における、電荷輸送、半導体、導電性、光導電性または発光材料としての、請求項1〜6、9および11のいずれか一項に記載のポリマー、請求項13に記載のポリマーブレンドまたは請求項14に記載の配合物の使用。
有機電界効果トランジスタ(OFET:organic field effect transistor)、薄膜トランジスタ(TFT:thin film transistor)、集積回路(IC:integrated circuit)、論理回路、キャパシタ、無線識別(RFID:radio frequency identification)タグ、装置または部品、有機発光ダイオード(OLED:organic light emitting diode)、有機発光トランジスタ(OLET:organic light emitting transistor)、フラットパネルディスプレイ、ディスプレイのバックライト、有機光起電(OPV:organic photovoltaic)装置、ソーラーセル、レーザーダイオード、光導電体、光検出器、電子写真装置、電子写真記録装置、有機記憶装置、センサー装置、ポリマー発光ダイオード(PLED:polymer light emitting diode)における電荷注入層、電荷輸送層または中間層、ショットキーダイオード、平坦化層、帯電防止フィルム、ポリマー電解質膜(PEM:polymer electrolyte membrane)、導電性基板、導電性パターン、電池における電極材料、配向層、バイオセンサー、バイオチップ、セキュリティーマーク、セキュリティー装置、および、DNA配列を検出および区別するための部品または装置から成る群より選択されることを特徴とする請求項16に記載の部品または装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<発明の概要>
本発明は、式Iの1個以上の同一または異なる繰り返し単位を含む共役ポリマーに関する。
【0013】
【化2】
式中、
A
1およびA
2の一方は単結合であり、他方はSiR
1R
2であり、
A
3およびA
4の一方は単結合であり、他方はSiR
3R
4であり、
U
1およびU
2の一方は−CH=または=CH−であり、他方は−X−であり、
U
3およびU
4の一方は−CH=または=CH−であり、他方は−X−であり、
Xは、それぞれの出現において独立に、−S−および−Se−より選択され、
R
1〜4は、それぞれ互いに独立に、H、ハロゲン、−CN、−NC、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)NR
0R
00、−C(=O)X
0、−C(=O)R
0、−NH
2、−NR
0R
00、−SH、−SR
0、−SO
3H、−SO
2R
0、−OH、−NO
2、−CF
3、−SF
5、P−Sp−、置換されていてもよいシリル、または、1〜40個のC原子のカルビルまたはヒドロカルビル(該基は置換されていてもよく、1個以上のヘテロ原子を含んでいてもよい)より選択される同一または異なる基であり、
Pは重合性基であり、
Spは、スペーサー基または単結合であり、
X
0はハロゲンであり、
R
0およびR
00は、それぞれ互いに独立に、H、または1個以上のヘテロ原子を含んでいてもよく置換されていてもよいカルビルまたはヒドロカルビル基であり、
Ar
1およびAr
2は、それぞれ互いに独立に、置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリール基、−CY
1=CY
2−または−C≡C−であり、
Y
1およびY
2は、それぞれ互いに独立に、H、F、ClまたはCNであり、
m1およびm2は、それぞれ互いに独立に、0または1、2、3または4である。
【0014】
本発明は、更に、本発明による1種類以上のポリマーまたはポリマーブレンドと、1種類以上の溶媒(好ましくは、有機溶媒より選択される。)とを含む配合物に関する。
【0015】
本発明は、更に、本発明による1種類以上のポリマーと、1種類以上のポリマー(好ましくは、半導体性、電荷輸送、ホール/電子輸送、ホール/電子ブロック、導電性、光導電性または発光特性を有するポリマーより選択される。)とを含むポリマーブレンドに関する。
【0016】
本発明は、更に、光学的、電気光学的、電子的、エレクトロルミネセントまたはフォトルミネセント部品または装置における、電荷輸送、半導体、導電性、光導電性または発光材料としての、本発明によるポリマー、ポリマーブレンドおよび配合物の使用に関する。
【0017】
本発明は、更に、本発明による配合物の1種類以上のポリマー、ポリマーブレンドを含む電荷輸送、半導体、導電性、光導電性または発光材料または成分に関する。
【0018】
本発明は、更に、本発明による1種類以上のポリマー、ポリマーブレンド、配合物、成分または材料を含む光学的、電気光学的または電子的部品または装置に関する。
【0019】
光学的、電気光学的、電子的、エレクトロルミネセントおよびフォトルミネセント部品または装置としては、限定することなく、有機電界効果トランジスタ(OFET:organic field effect transistor)、薄膜トランジスタ(TFT:thin film transistor)、集積回路(IC:integrated circuit)、論理回路、キャパシタ、無線識別(RFID:radio frequency identification)タグ、装置または部品、有機発光ダイオード(OLED:organic light emitting diode)、有機発光トランジスタ(OLET:organic light emitting transistor)、フラットパネルディスプレイ、ディスプレイのバックライト、有機光起電(OPV:organic photovoltaic)装置、ソーラーセル、レーザーダイオード、光導電体、光検出器、電子写真装置、電子写真記録装置、有機記憶装置、センサー装置、ポリマー発光ダイオード(PLED:polymer light emitting diode)における電荷注入層、電荷輸送層または中間層、ショットキーダイオード、平坦化層、帯電防止フィルム、ポリマー電解質膜(PEM:polymer electrolyte membrane)、導電性基板、導電性パターン、電池における電極材料、配向層、バイオセンサー、バイオチップ、セキュリティーマーク、セキュリティー装置、および、DNA配列を検出および区別するための部品または装置が挙げられる。
【0020】
特に好ましい部品および装置は、バルクへテロ接合OPV装置である。
【0021】
<発明の詳細な記載>
本発明によるポリマーは合成が容易であり、低いバンドギャップ、高い電荷キャリア移動度、有機溶媒中での高い溶解性、装置生産プロセスのための良好な加工性、高い酸化安定性、および、電子装置における長い寿命などの幾つかの有利な特性を示す。加えて、それらは、以下の有利な特性を示す。
【0022】
i)ベンゾ[1”,2”:4,5;4”,5”:4’,5’]ビス(シロロ[3,2−b:3’,2’−b’]チオフェン)単位は固体状態において同一平面構造を示し、その結果として、ホモポリマーであるポリ[ベンゾ[1”,2”:4,5;4”,5”:4’,5’]ビス(シロロ[3,2−b:3’,2’−b’]チオフェン)]の個々のポリマー鎖も、固体状態において、電荷輸送に有益な高度に同一平面構造をとっている。X線結晶学的解析によって[K.Mouri、A.Wakamiya、H.Yamada、T.KajiwaraおよびS.Yamaguchi、Org.Lett.、2007年、9巻、93頁参照]、構造的に同様のシロロ構造、即ち、ベンゾ[1”,2”:4,5;4”,5”:4’,5’]ビス(シロロ[3,2−b:3’,2’−b’]ベンゾチオフェン)誘導体は同一平面構造を示すことが報告された。
【0023】
ii)ベンゾ[1”,2”:4,5;4”,5”:4’,5’]ビス(シロロ[3,2−b:3’,2’−b’]チオフェン)単位中に2個のシリコン架橋原子を含むことで、ポリマーが低置のLUMOエネルギーレベルを有する結果となり、そのため低いバンドギャップが生じ、それは、HOMOのエネルギーレベルを一切変化させることなく、装置におけるV
OCの損失を伴わずにBHJ装置における改良された集光性およびより高い効率のために望ましい。
【0024】
iii)ベンゾ[1”,2”:4,5;4”,5”:4’,5’]ビス(シロロ[3,2−b:3’,2’−b’]チオフェン)核を更に改変するか、または、適当な電子供与性または電子が不足するコモノマー(1種類または多種類)と共重合することにより、HOMOのエネルギーレベルを追加して精密に調整することで、バンドギャップを更に改変できる。これにより、低いバンドギャップのポリマー(該ポリマーは、改良された集光性のため、BHJ光起電セルにおいて有利である。)が可能となり、より高いBHJセル効率への手段が与えられる。
【0025】
iv)シリル基において、より長いアルキル鎖、分岐状のアルキル鎖またはポリアルコキシエーテル、または、複数の可溶化基を含有するコモノマーを追加することにより、ポリマーに追加の溶解性を導入することができる。
【0026】
共役ポリマーは、好ましくは、式Iaより選択される。
【0027】
【化3】
式中、U
1〜4、A
1〜4、Ar
1、2、m1およびm2は式Iの意味を有し、nは1より大きい整数である。
【0029】
【化4】
式中、U
1〜4、A
1〜4、Ar
1、2、m1、m2およびnは式Iaの意味を有し、および
R
5およびR
6は、それぞれ互いに独立に、R
1の意味の1つを有するか、または、H、ハロゲン、−CH
2Cl、−CHO、−CH=CH
2、−SiR’R”R”’、−SnR’R”R”’、−BR’R”、−B(OR’)(OR”)、−B(OH)
2またはP−Spを表し、ただし、PおよびSpは上で定義される通りであり、R’、R”およびR”’は、それぞれ互いに独立に、上で与えられるR
0の意味の1つを有し、また、R’およびR”は、それらが接続されているヘテロ原子と共に環を形成していてもよい。
【0030】
以下のサブ式から成る群より選択される1種類以上の同一または異なる繰り返し単位を含むポリマーが特に好ましい。
【0036】
【化10】
式中、R
1〜4は式Iにおいて定義される通りであり、Arは上および下で与えられるAr
1の意味の1つを有する。
【0037】
式I1〜I16の繰り返し単位が特に好ましい。
【0038】
本発明のポリマーは、好ましくは、サブ式I1〜I32から成る群より選択される1種類以上の同一または異なるモノマー単位を含み、非常に好ましくは、これらより成る。
【0040】
【化11】
式中、nは式Iaにおいて定義される通りであり、「MU」は、サブ式I1〜I32から成る群より、最も好ましくは、サブ式I1〜I16から成る群より選択されるモノマー繰り返し単位である。
【0042】
【化12】
式中、R
5、R
6およびnは式Ibにおいて定義される通りであり、「MU」は、サブ式I1〜I32から成る群より、最も好ましくは、サブ式I1〜I16から成る群より選択されるモノマー繰り返し単位である。
【0043】
Arが1,3−ベンゾチアジアゾール−4,7−ジイルまたは2,1,3−ベンゾセレナジアゾール−4,7−ジイルである上述の式のポリマーが更に好ましい。
【0045】
【化13】
式中、nは式Iaにおいて定義される通りであり、Rは上で与えられる通りのR
1の意味の1つを有し、好ましくは、C
1〜C
20−アルキル、C
1〜C
20−アルコキシ、C
2〜C
20−アルケニル、C
2〜C
20−アルキニル、C
1〜C
20−チオアルキル、C
1〜C
20−シリル、C
1〜C
20−エステル、C
1〜C
20−アミノおよびC
1〜C
20−フルオロアルキルから成る群より選択され、それらの全ては直鎖状または分岐状である。
【0046】
本発明のもう一つの態様は、式IIのモノマーに関する。
【0047】
【化14】
式中、U
1〜4、A
1〜4、Ar
1、2、m1およびm2は式Iの意味を有し、および
R
7およびR
8は、それぞれ互いに独立に、ハロゲン、−CH
2Cl、−CHO、−CH=CH
2、−SiR’R”R”’、−SnR’R”R”’、−BR’R”、−B(OR’)(OR”)、−B(OH)
2、脱離基またはP−Spを表し、ただし、PおよびSpは上で定義される通りであり、R’、R”およびR”’は、それぞれ互いに独立に、上で与えられるR
0の意味の1つを有するか、または、ハロゲンを表し、また、R’およびR”は、それらが接続されているヘテロ原子と共に環を形成していてもよい。
【0048】
式II1から選択されるモノマーが特に好ましい。
【0049】
【化15】
式中、R
7およびR
8は式IIにおいて定義される通りであり、「MU」は、サブ式I1〜I32から成る群より、最も好ましくは、サブ式I1〜I16から成る群より選択されるモノマー単位である。
【0050】
以下の式Iの単位、式IaおよびIbのポリマー、式IIのモノマー、および、上および下で示される通りのそれらの好ましいサブ式が特に好ましい。
【0051】
−A
1が単結合の場合、U
1はXであり、および/または、A
2が単結合の場合、U
2はXであり、および/または、A
3が単結合の場合、U
3はXであり、および/または、A
4が単結合の場合、U
4はXである。
【0053】
−R
1〜4は、それぞれ互いに独立に、好ましくは、直鎖状または分岐状のC
1〜C
20−アルキル、C
1〜C
20−アルコキシ、C
2〜C
20−アルケニル、C
2〜C
20−アルキニル、C
1〜C
20−チオアルキル、C
1〜C
20−シリル、C
1〜C
20−エステル、C
1〜C
20−アミノおよびC
1〜C
20−フルオロアルキルより選択される。
【0056】
−m1およびm2は1または2である。
【0057】
−m2は0であり、m1は1または2である。
【0058】
−Ar
1およびAr
2は、それぞれ互いに独立に、好ましくは、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4,7−ジイル、2,1,3−ベンゾセレナジアゾール−4,7−ジイル、4,7−ビス(2−チエニル)−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−5,5’−ジイル、4,7−ビス(2−セレノフェニル)−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−5,5’−ジイル、2,3−ジシアノ−1,4−フェニレン、2,5−ジシアノ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−フェニレン、3,4−ジフルオロチオフェン−2,5−ジイル、チエノ[3,4−b]ピラジン−2,5−ジイル、キノキサリン−5,8−ジイル、セレノフェン−2,5−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、チエノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイル、チエノ[2,3−b]チオフェン−2,5−ジイル、セレノフェノ[3,2−b]セレノフェン−2,5−ジイル、セレノフェノ[2,3−b]セレノフェン−2,5−ジイル、セレノフェノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイル、セレノフェノ[2,3−b]チオフェン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、p−p’−ビフェニル、ナフタレン−2,6−ジイル、ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン−2,6−ジイル、2,2−ジチオフェン、2,2−ジセレノフェン、チアゾールおよびオキサゾールから成る群より選択されるアリールまたはヘテロアリールであり、該基の全ては無置換であるか、好ましくは、上で定義される通りのR
1で一置換または多置換されており、特に好ましくは、mは1または2である。
【0059】
−nは、少なくとも4、好ましくは少なくとも10、非常に好ましくは少なくとも50であり、5000まで、好ましくは1000までである。
【0060】
−Mwは、少なくとも5,000、好ましくは少なくとも10,000、非常に好ましくは少なくとも20,000であり、300,000まで、好ましくは200,000までである。
【0061】
−R
5およびR
6は、H、ハロゲン、−CH
2Cl、−CHO、−CH=CH
2、−SiR’R”R”’、−SnR’R”R”’、−BR’R”、−B(OR’)(OR”)、−B(OH)
2、P−Sp、C
1〜C
20−アルキル、C
1〜C
20−アルコキシ、C
2〜C
20−アルケニル、C
1〜C
20−フルオロアルキル、および、置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリールより選択される。
【0062】
−R
7およびR
8は、好ましくは、それぞれ互いに独立に、Cl、Br、I、O−トシラート、O−トリフラート、O−メシラート、O−ノナフラート、−SiMe
2F、−SiMeF
2、−O−SO
2Z、−B(OZ
1)
2、−CZ
2=C(Z
2)
2、−C≡CHおよび−Sn(Z
3)
3から成る群より選択され、ただし、ZおよびZ
1〜3はアルキルおよびアリールから成る群より選択され、それぞれ置換されていてもよく、また、2個の基Z
1は環式基を形成していてもよい。
【0063】
−少なくとも1個、好ましくは、1個または2個のR
1〜4は、P−Sp−を表す。
【0064】
本発明のポリマーとしては、ホモポリマー、および、統計的またはランダムコポリマー、交互コポリマーおよびブロックコポリマー、ならびに、それらの組み合わせなどのコポリマーが挙げられる。
【0065】
本発明によるポリマーにおいて、繰り返し単位の総数nは、好ましくは4以上、非常に好ましくは10以上、最も好ましくは50以上であり、好ましくは1000まで、非常に好ましくは2,000まで、最も好ましくは5,000までであり、nの前述の下限および上限の任意の組み合わせを含む。
【0066】
一般に、用語「ポリマー」は高い相対分子量の分子を意味し、その構造は低い相対分子量の分子より実際または概念上で誘導される単位の複数の繰返しを本質的に含む(PAC、1996、68、2291)。一般に、用語「オリゴマー」は中程度の相対分子量の分子を意味し、その構造は、より低い相対分子量の分子より実際または概念上で誘導される少数の複数の単位を本質的に含む(PAC、1996、68、2291)。本発明による好ましい観点から、ポリマーは、1個より多い、好ましくは5個以上の繰り返し単位を有する化合物を意味し、オリゴマーは、1個より多く、および10個未満、好ましくは5個未満の繰り返し単位の化合物を意味する。
【0067】
用語「繰り返し単位」は構造上の繰返し単位(CRU:constitutional repeating unit)を意味し、規則的な巨大分子、規則的なオリゴマー分子、規則的なブロックまたは規則的な鎖を構成する繰り返しの最小の構造上の単位である(PAC、1996、68、2291)。
【0068】
用語「脱離基」は、特定の反応に関与する分子の残基または主要部だと考えられるものの中の原子より分離してしまう原子または基(荷電または非荷電)を意味する(PAC、1994、66、1134も参照)。
【0069】
用語「共役」は、sp
2−混成(またはsp−混成でもよい)のC原子を主に含有する化合物を意味し、ヘテロ原子で置き換えられていてもよい。最も単純な場合で、これは、例えば、C−C単結合と二重結合(または三重結合)とが交互に存在する化合物であるが、1,3−フェニレンなどの単位の化合物も含む。この文意において、「主に」は、共役の中断に至る場合もある自然に(自発的に)生じる欠陥を有する化合物を依然として共役化合物と見なすことを意味する。
【0070】
他に明言しない限り、分子量は、ポリスチレン標準に対してゲル透過クロマトグラフィー(GPC:gel permeation chromatography)により決定される数平均分子量Mnまたは重量平均分子量Mwとして与えられる。重合度(n)は重合の数平均重合度を意味し、n=Mn/Muとして与えられ、式中、Muは単一の繰り返し単位の分子量である。
【0071】
上および下で使用する場合、用語「カルビル基」は、非炭素原子を一切有していない(例えば、−C≡C−など)か、または、N、O、S、P、Si、Se、As、TeまたはGeなどの少なくとも1個の非炭素原子と組み合わされていてもよい(例えば、カルボニルなど)かのいずれかで少なくとも1個の炭素原子を含む、任意の一価または多価の有機基部分構造を表す。用語「ヒドロカルビル基」は、1個以上のH原子を追加的に含有しており、例えば、N、O、S、P、Si、Se、As、TeまたはGeなどの1個以上のヘテロ原子を含有していてもよいカルビル基を表す。
【0072】
また、3個以上のC原子の鎖を含むカルビルまたはヒドロカルビル基は、スピロおよび/または縮合環を含み、直鎖状、分枝状および/または環状のいずれでも構わない。
【0073】
好ましいカルビルおよびヒドロカルビル基としては、アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシおよびアルコキシカルボニルオキシ(それぞれの該基は置換されていてもよく、1〜40個、好ましくは1〜25個、非常に好ましくは1〜18個のC原子を有する。)、更に、6〜40個、好ましくは6〜25個のC原子を有する置換されていてもよいアリールまたはアリールオキシ、更に、アルキルアリールオキシ、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、アリールカルボニルオキシおよびアリールオキシカルボニルオキシ(それぞれの該基は置換されていてもよく、6〜40個、好ましくは7〜40個のC原子を有する。)が挙げられる。
【0074】
カルビルまたはヒドロカルビル基は、飽和または不飽和の非環式基、または、飽和または不飽和の環式基でよい。不飽和非環式または環式基、特に、アリール、アルケニルおよびアルキニル基(特に、エチニル)が好ましい。C
1〜C
40カルビルまたはヒドロカルビル基が非環式の場合、該基は直鎖状または分枝状のいずれでも構わない。C
1〜C
40カルビルまたはヒドロカルビル基としては、例えば:C
1〜C
40アルキル基、C
2〜C
40アルケニル基、C
2〜C
40アルキニル基、C
3〜C
40アリル基、C
4〜C
40アルキルジエニル基、C
4〜C
40ポリエニル基、C
6〜C
18アリール基、C
2〜C
18ヘテロアリール基、C
6〜C
40アルキルアリール基、C
6〜C
40アリールアルキル基、C
4〜C
40シクロアルキル基、C
4〜C
40シクロアルケニル基などが挙げられる。前述の基の中で、C
1〜C
20アルキル基、C
2〜C
20アルケニル基、C
2〜C
20アルキニル基、C
3〜C
20アリル基、C
4〜C
20アルキルジエニル基、C
6〜C
12アリール基、C
2〜C
12ヘテロアリール基およびC
4〜C
20ポリエニル基がそれぞれ好ましい。また、炭素原子を有する基と、例えば、シリル基、好ましくはトリアルキルシリル基で置換されているアルキニル基、好ましくはエチニルなどのヘテロ原子を有する基との組み合せも挙げられる。
【0075】
更に好ましいカルビルおよびヒドロカルビル基としては、1〜40個、好ましくは1〜25個のC原子の直鎖状、分枝状または環状のアルキルが挙げられ、該基は無置換であるか、F、Cl、Br、IまたはCNによって単置換または多置換されており、ただし、1個以上の隣接していないCH
2基は、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないようにして、それぞれの場合で互いに独立に、−O−、−S−、−NH−、−NR
0−、−SiR
0R
00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−SO
2−、−CO−NR
0−、−NR
0−CO−、−NR
0−CO−NR
00−、−CY
1=CY
2−または−C≡C−によって置き換えられていてもよく、式中、Y
1およびY
2は、それぞれ互いに独立に、H、F、ClまたはCNであり、R
0およびR
00は、それぞれ互いに独立に、Hまたは置換されていてもよい1〜20個のC原子の脂肪族または芳香族炭化水素である。
【0076】
R
0およびR
00は、好ましくは、H、1〜12個のC原子の直鎖状または分岐状のアルキルまたは6〜12個のC原子のアリールより選択される。
【0077】
−CY
1=CY
2−は、好ましくは、−CH=CH−、−CF=CF−または−CH=C(CN)−である。
【0078】
ハロゲンは、F、Cl、BrまたはIである。
【0079】
好ましいアルキル基としては、限定することなく、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、2−メチルブチル、n−ペンチル、s−ペンチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、2−エチルヘキシル、n−ヘプチル、シクロヘプチル、n−オクチル、シクロオクチル、ドデカニル、テトラデシル、ヘキサデシル、トリフルオロメチル、ペルフルオロ−n−ブチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペルフルオロオクチル、ペルフルオロヘキシルなどが挙げられる。
【0080】
好ましいアルケニル基としては、限定することなく、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニルなどが挙げられる。
【0081】
好ましいアルキニル基としては、限定することなく、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、オクチニルなどが挙げられる。
【0082】
好ましいアルコキシ基としては、限定することなく、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、2−メチルブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシ、n−ヘプトキシ、n−オクトキシなどが挙げられる。
【0083】
好ましいアミノ基としては、限定することなく、ジメチルアミノ、メチルアミノ、メチルフェニルアミノ、フェニルアミノなどが挙げられる。
【0084】
アリール基は、単核、即ち、芳香環を1個のみ有するもの(例えば、フェニルまたはフェニレンなど)、または、多核、即ち、2個以上の芳香環を有するもの(該基は縮合していてもよく(例えば、ナフチルまたはナフチレンなど)、個々に共有結合で連結されていてもよく(例えばビフェニルなど)、および/または、縮合および個々に連結された芳香環の両者の組み合わせでもよい。)のいずれでも構わない。好ましくは、アリール基は、実質的に基全体にわたって実質的に共役している芳香族基である。
【0085】
アリールおよびヘテロアリールは、好ましくは、25個までのC原子の単環式、二環式または三環式の芳香族またはヘテロ芳香族基を表し、また、該基は縮合環を含んでいてもよく、置換されていてもよい。
【0086】
好ましいアリール基としては、限定することなく、ベンゼン、ビフェニレン、トリフェニレン、[1,1’:3’,1”]ターフェニル−2’−イルエン、ナフタレン、アントラセン、ビナフチレン、フェナントレン、ピレン、ジヒドロピレン、クリセン、ペリレン、テトラセン、ペンタセン、ベンズピレン、フルオレン、インデン、インデノフルオレン、スピロビフルオレンなどが挙げられる。
【0087】
好ましいヘテロアリール基としては、限定することなく、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、フラン、チオフェン、セレノフェン、オキサゾール、イソオキサゾール、1,2−チアゾール、1,3−チアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾールなどの5員環、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,3,5−テトラジンなどの6員環、および、カルバゾール、インドール、イソインドール、インドリジン、インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、プリン、ナフトイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリジイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、キノリン、イソキノリン、プテリジン、ベンゾ−5,6−キノリン、ベンゾ−6,7−キノリン、ベンゾ−7,8−キノリン、ベンゾイソキノリン、アクリジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾピリダジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、フェナジン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントリジン、フェナントロリン、チエノ[2,3b]チオフェン、チエノ[3,2b]チオフェン、ジチエノチオフェン、ジチエノピリジン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ベンゾチアジアゾチオフェンなどの縮合系、または、それらの組み合わせが挙げられる。ヘテロアリール基は、アルキル、アルコキシ、チオアルキル、フルオロ、フルオロアルキル、または、更なるアリールまたはヘテロアリール置換基で置換されていてもよい。
【0088】
好ましいアリールアルキル基としては、限定することなく、2−トリル、3−トリル、4−トリル、2,6−ジメチルフェニル、2,6−ジエチルフェニル、2,6−ジ−i−プロピルフェニル、2,6−ジ−t−ブチルフェニル、o−t−ブチルフェニル、m−t−ブチルフェニル、p−t−ブチルフェニル、4−フェノキシフェニル、4−フルオロフェニル、3−カルボメトキシフェニル、4−カルボメトキフェニルなどが挙げられる。
【0089】
好ましいアルキルアリール基としては、限定することなく、ベンジル、エチルフェニル、2−フェノキシエチル、プロピルフェニル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、または、ナフタリニルメチルが挙げられる。
【0090】
好ましいアリールオキシ基としては、限定することなく、フェノキシ、ナフトキシ、4−フェニルフェノキシ、4−メチルフェノキシ、ビフェニルオキシ、アントラセニルオキシ、フェナントレニルオキシなどが挙げられる。
【0091】
アリール、ヘテロアリール、カルビルおよびヒドロカルビル基は、好ましくは、シリル、スルホ、スルホニル、ホルミル、アミノ、イミノ、ニトリロ、メルカプト、シアノ、ニトロ、ハロゲン、C
1〜12アルキル、C
6〜12アリール、C
1〜12アルコキシ、ヒドロキシ、および/または、それらの組み合わせより選択される1個以上の置換基を含んでいてもよい。任意成分としての置換基は、同一の基、および/または、複数の(好ましくは2個の)上述の基における化学的に可能な全ての組み合わせを含むことができる(例えば、アミノおよびスルホニルで、互いに直接結合している場合、スルホアモイル基を表す)。
【0092】
好ましい置換基としては、限定することなく、F、Cl、Br、I、−CN、−NO
2、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)NR
0R
00、−C(=O)X
0、−C(=O)R
0、−NR
0R
00、置換されていてよいシリル、6〜40個、好ましくは6〜20個のC原子のアリール、2〜40個、好ましくは2〜20個のC原子のヘテロアリール、および、直鎖状または分岐状で、1〜20個、好ましくは1〜12個のC原子のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシ−カルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシが挙げられ、ただし、1個以上のH原子は、FまたはClで置き換えられていてもよく、式中、R
0およびR
00は、上で定義される通りであり、X
0は、ハロゲンである。
【0093】
特に好ましい置換基は、好ましい基R
1、2に対して下に定義される通りの、アルキル、アルコキシ、アルケニル、オキサアルキル、チオアルキル、フルオロアルキルおよびフルオロアルコキシ基より選択される。
【0094】
R
1〜4の1つがアルキルまたはアルコキシ基、即ち、末端のCH
2基が−O−で置き換えられている場合、これは直鎖状でも分岐状でも構わない。それは、好ましくは直鎖状で2〜8個の炭素原子を有しており、従って、好ましくは、例えば、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシ、ヘプトキシまたはオクトキシであり、更に、メチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ノノキシ、デコキシ、ウンデコキシ、ドデコキシ、トリデコキシまたはテトラデコキシである。n−ヘキシルおよびn−ドデシルが特に好ましい。
【0095】
R
1〜4の1つが、1個以上のCH
2基が−CH=CH−で置き換えられているアルキル基の場合、これは直鎖状でも分岐状でも構わない。それは、好ましくは直鎖状で2〜12個のC原子を有しており、従って、好ましくは、ビニル、プロパ−1−またはプロパ−2−エニル、ブタ−1−、2−またはブタ−3−エニル、ペンタ−1−、2−、3−またはペンタ−4−エニル、ヘキサ−1−、2−、3−、4−またはヘキサ−5−エニル、ヘプタ−1−、2−、3−、4−、5−またはヘプタ−6−エニル、オクタ−1−、2−、3−、4−、5−、6−またはオクタ−7−エニル、ノナ−1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−またはノナ−8−エニル、デカ−1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−またはデカ−9−エニル、ウンデカ−1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−、9−またはウンデカ−10−エニル、ドデカ−1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−、9−、10−またはウンデカ−11−エニルである。アルケニル基は、E−またはZ−立体配置のいずれのC=C−結合を含んでよく、または、それらの混合物でもよい。
【0096】
R
1〜4の1つがオキサアルキル、即ち、1個のCH
2基が−O−で置き換えられている場合、好ましくは、例えば、直鎖状の2−オキサプロピル(即ち、メトキシメチル)、2−(即ち、エトキシメチル)または3−オキサブチル(即ち、2−メトキシエチル)、2−、3−または4−オキサペンチル、2−、3−、4−または5−オキサヘキシル、2−、3−、4−、5−または6−オキサヘプチル、2−、3−、4−、5−、6−または7−オキサオクチル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−オキサノニル、または、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−または9−オキサデシルである。
【0097】
R
1〜4の1つがチオアルキル、即ち、1個のCH
2基が−S−で置き換えられている場合、好ましくは、直鎖状のチオメチル(−SCH
3)、1−チオエチル(−SCH
2CH
3)、1−チオプロピル(即ち、−SCH
2CH
2CH
3)、1−(チオブチル)、1−(チオペンチル)、1−(チオヘキシル)、1−(チオヘプチル)、1−(チオオクチル)、1−(チオノニル)、1−(チオデシル)、1−(チオウンデシル)、または、1−(チオドデシル)であり、ただし、好ましくは、sp
2混成のビニルの炭素原子に隣接するCH
2基が置き換えられている。
【0098】
R
1〜4の1つがフルオロアルキルまたはフルオロアルコキシの場合、それは、好ましくは、直鎖状の基(O)C
iF
2i+1(式中、iは1〜15の整数である。)、特に、CF
3、C
2F
5、C
3F
7、C
4F
9、C
5F
11、C
6F
13、C
7F
15またはC
8F
17、非常に好ましくは、C
6F
13、または、対応するフルオロアルコキシ基である。
【0099】
また、ポリマーは、ポリマーを形成するプロセスの最中は保護されていてもよい重合性または反応性基で置換されてもよい。このタイプの特に好ましいポリマーは、R
1がP−Spを表す式Iのものである。高い電荷キャリア移動度および高い熱的、機械的および化学的安定性の架橋されたポリマーフィルムを生成するために、半導体部品用の薄膜中にポリマーを加工する最中または加工後に、例えば、in situで重合することによって、基Pを介して架橋できるため、これらのポリマーは半導体または電荷輸送材として特に有用である。
【0100】
好ましくは、重合性または反応性基Pは、CH
2=CW
1−COO−、CH
2=CW
1−CO−、
【0101】
【化16】
CH
2=CW
2−(O)
k1−、CH
3−CH=CH−O−、(CH
2=CH)
2CH−OCO−、(CH
2=CH−CH
2)
2CH−OCO−、(CH
2=CH)
2CH−O−、(CH
2=CH−CH
2)
2N−、(CH
2=CH−CH
2)
2N−CO−、HO−CW
2W
3−、HS−CW
2W
3−、HW
2N−、HO−CW
2W
3−NH−、CH
2=CW
1−CO−NH−、CH
2=CH−(COO)
k1−Phe−(O)
k2−、CH
2=CH−(CO)
k1−Phe−(O)
k2−、Phe−CH=CH−、HOOC−、OCN−およびW
4W
5W
6Si−より選択され、ただし、W
1は、H、F、Cl、CN、CF
3、フェニルまたは1〜5個のC原子のアルキル、特に、H、ClまたはCH
3であり、W
2およびW
3は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜5個のC原子のアルキル、特に、H、メチル、エチルまたはn−プロピルであり、W
4、W
5およびW
6は、それぞれ互いに独立に、Cl、1〜5個のC原子のオキサアルキルまたはオキサカルボニルアルキルであり、W
7およびW
8は、それぞれ互いに独立に、H、Clまたは1〜5個のC原子のアルキルであり、Pheは1,4−フェニレン(該基は、上で定義される通りの1個以上の基Lで置換されていてもよい。)であり、k
1およびk
2は、それぞれ互いに独立に、0または1である。
【0102】
あるいは、Pは、これらの基の保護された誘導体(該基は、本発明によるプロセスのために記載される条件下において非反応性である。)である。適切な保護基、例えば、アセタール類またはケタール類などは通常の専門家に既知であり、文献、例えば、Green、「Protective Groups in Organic Synthesis」、John Wiley and Sons、New York(1981年)に記載されている。
【0103】
特に好ましい基Pは、CH
2=CH−COO−、CH
2=C(CH
3)−COO−、CH
2=CH−、CH
2=CH−O−、(CH
2=CH)
2CH−OCO−、(CH
2=CH)
2CH−O−、
【0104】
【化17】
または、それらの保護された誘導体である。
【0105】
基Pの重合は、通常の専門家に既知で、文献、例えば、D.J.Broer;G.Challa;G.N.Mol、Macromol.Chem,1991年、192巻、59頁に記載される方法に従って行うことができる。
【0106】
用語「スペーサー基」は先行技術において既知であり、適切なスペーサー基Spは通常の専門家に既知である(例えば、Pure Appl.Chem.75巻(5号)、888頁(2001年)参照)。スペーサー基Spは、好ましくは、P−Sp−がP−Sp’−X’−となる式Sp’−X’のもので、式中、
Sp’は、無置換であるか、または、F、Cl、Br、IまたはCNで一置換または多置換されている30個までのC原子のアルキレンであり、また、1個以上の隣接していないCH
2基は、それぞれの場合で互いに独立に、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないようにして、−O−、−S−、−NH−、−NR
0−、−SiR
0R
00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていることも可能であり、
X’は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR
0−、−NR
0−CO−、−NR
0−CO−NR
00−、−OCH
2−、−CH
2O−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CF
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−CF
2CF
2−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR
0−、−CY
1=CY
2−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−または単結合であり、
R
0およびR
00は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子のアルキルであり、および
Y
1およびY
2は、それぞれ互いに独立に、H、F、ClまたはCNである。
【0107】
X’は、好ましくは、−O−、−S−、−OCH
2−、−CH
2O−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CH
2CH
2−、−CF
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−CF
2CF
2−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR
0−、−CY
1=CY
2−、−C≡C−または単結合、特には、−O−、−S−、−C≡C−、−CY
1=CY
2−または単結合である。もう一つの好ましい実施形態において、X’は、−C≡C−または−CY
1=CY
2−などの共役系を形成できる基、または、単結合である。
【0108】
典型的な基Sp’は、例えば、−(CH
2)
p−、−(CH
2CH
2O)
q−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−S−CH
2CH
2−または−CH
2CH
2−NH−CH
2CH
2−または−(SiR
0R
00−O)
p−であり、ただし、pは2〜12の整数、qは1〜3の整数、およびR
0およびR
00は上で与えられる意味を有する。
【0109】
好ましい基Sp’は、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、オクタデシレン、エチレンオキシエチレン、メチレンオキシブチレン、エチレン−チオエチレン、エチレン−N−メチル−イミノエチレン、1−メチルアルキレン、エテニレン、プロペニレンおよびブテニレンである。
【0110】
本発明のポリマーは、当業者に既知で文献に記載される方法に従うか類似して合成することができる。他の調製方法は、例より分かる。例えば、山本カップリング、鈴木カップリング、スティルカップリング、薗頭カップリングまたはヘックカップリングなどのアリール−アリールカップリング反応によって適切にポリマーを調製することができる。鈴木カップリングおよび山本カップリングが、特に好ましい。
【0111】
ポリマーの繰り返し単位を形成するために重合されるモノマーは、当業者に既知の方法に従って調製できる。
【0112】
本発明のもう一つの態様は、重合反応において、式Iの単位を基礎とする1種類以上の同一または異なるモノマーをそれぞれ互いにカップリングすることによってポリマーを調製する方法である。
【0113】
本発明のもう一つの態様は、重合反応、好ましくは、アリール−アリールカップリング反応において、式I、好ましくは、式IIまたはII1から選択される単位を基礎とする1種類以上の同一または異なるモノマーを、それぞれ互いに、および/または、1種類以上のコモノマーとカップリングすることによってポリマーを調製する方法である。
【0114】
適切で好ましいコモノマーは、以下の式のものである。
【0115】
【化18】
式中、Ar
1、Ar
2、R
7およびR
8は、上で定義される通りである。
【0116】
重合のための好ましい方法は、例えば、国際特許出願公開第00/53656号パンフレットに記載される通りの鈴木重合、例えば、T.Yamamotoら、Progress in Polymer Science 1993年、17巻、1153〜1205頁または国際特許出願公開第2004/022626号パンフレットに記載される通りの山本重合、およびスティルカップリングなどのC−CカップリングまたはC−Nカップリングに至るものである。例えば、山本重合により直鎖状ポリマーを合成する場合、好ましくは、2個の反応性ハライド基R
7、8を有する上記の通りのモノマーを使用する。鈴木重合により直鎖状ポリマーを合成する場合、好ましくは、少なくとも一方の反応性基R
7、8がボロン酸またはボロン酸誘導体基である上記の通りのモノマーを使用する。
【0117】
ホモポリマーならびに統計的、交互およびブロックランダムコポリマーを調製するために、鈴木重合を使用できる。例えば、反応性基R
7およびR
8の一方がハロゲンで、他方の反応性基がボロン酸またはボロン酸誘導体基である式IIの上のモノマーより、統計的またはブロックコポリマーを調製できる。統計的、交互およびブロックコポリマーの合成は、例えば、国際特許出願公開第03/048225号パンフレットまたは国際特許出願公開第2005/014688号パンフレットに詳細に記載されている。
【0118】
上記の通りのハロゲンの代替として、好ましい脱離基は、R
7またはR
8の通り使用できる式−O−SO
2Zのものであり、式中、Zは、置換されていてもよいアルキルまたはアリールまたはそれらの組み合わせであり、好ましくは、1〜12個のC原子のフッ化アルキル、または、6〜12個のC原子のアリールまたはアルキルアリールである。そのような脱離基の特に好ましい例は、O−トシラート、O−メシラート、O−トリフラートおよびO−ノナフラートである。
【0119】
鈴木重合は、Pd(0)錯体またはPd(II)塩を用いる。好ましいPd(0)錯体は、Pd(Ph
3P)
4などの少なくとも1個のホスフィン配位子を持つものである。もう一つの好ましいホスフィン配位子は、トリス(オルト−トリル)ホスフィン、即ち、Pd(o−Tol)
4である。好ましいPd(II)塩としては、酢酸パラジウム、即ち、Pd(OAc)
2が挙げられる。鈴木重合は、塩基、例えば、炭酸ナトリウム、リン酸カリウムまたは炭酸テトラエチルアンモニウムなどの有機塩基の存在下において実行される。山本重合は、Ni(0)錯体、例えば、ビス(1,5−シクロオクタジエニル)ニッケル(0)を用いる。
【0120】
式IおよびIaのモノマー単位およびモノマーと、それらのホモポリマーと、式IIおよびIIaのコポリマーの特に適切で好ましい合成方法を、以下に示す合成スキームにおいて図解する。そこにおいて、Rは、式Iにおいて与えられるR
1の意味の1つを有する。
【0121】
ベンゾ[1”,2”:4,5;4”,5”:4’,5’]−ビス(シロロ[3,2−b:3’,2’−b’]チオフェン)7への好ましい経路を、スキーム1〜3において例示的に図解する。
【0122】
ベンゾ[1”,2”:4,5;4”,5”:4’,5’]−ビス(シロロ[3,2−b:3’,2’−b’]チオフェン)7への好ましい経路を、スキーム1〜2において例示的に図解する。
【0123】
【化19】
パラジウムを触媒とする根岸カップリングを経由して、3−ブロモ−2−チエニル亜鉛ブロミドを1,4−ジブロモ−2,5−ジヨードベンゼンとカップリングし、テトラブロミド1を生じる。極低温においてテトラブロミド1をリチウムジイソプロピルアミド、続いて、クロロトリメチルシランで処理し、TMSで保護されたテトラブロミド2を生じる。極低温において2をn−ブチルリチウム、続いて、ジアルキルジクロロシランで処理し、TMSで保護されたベンゾビス(シロロチオフェン)3を生じる。3をN−ブロモスクシンイミドで処理して、ベンゾビス(シロロチオフェン)ジブロミド4を生じる。
【0124】
【化20】
Shimizuら(Angew.Chem.Int.Ed.、2008年、47巻、9760頁)によって報告されたものに類似する方法に従い、ベンゾビス(シロロチオフェン)9を以下の通り調製できる:極低温において3−ブロモチオフェンをn−ブチルリチウム、続いて、ジアルキルジクロロシランで処理し、クロロシラン5を生じる。イミダゾール存在下において5を2,5−ジブロモヒドロキノンと反応させ、シリルエーテル6を生じる。極低温において6をt−ブチルリチウム、続いて、室温において塩化アンモニウム水で処理し、シリルフェノール7を生じる。塩基存在下においてシリルフェノール7をトリフルオロメタンスルホン酸無水物で処理し、ジトリフラート8を生じる。8を酢酸パラジウム(II)、トリシクロヘキシルホスフィンおよびジエチルアミンと反応して分子内カップリングに至り、ベンゾビス(シロロチオフェン)9を生じる。9をN−ブロモスクシンイミドで処理して、ベンゾビス(シロロチオフェン)ジブロミド4を生じる。
【0125】
ベンゾ[1”,2”:4,5;4”,5”:4’,5’]−ビス(シロロ[3,2−b:3’,2’−b’]チオフェン)の官能化を、スキーム3において例示的に図解する。
【0126】
【化21】
ベンゾ[1”,2”:4,5;4”,5”:4’,5’]−ビス(シロロ[3,2−b:3’,2’−b’]チオフェン)のホモ重合を、スキーム4において例示的に図解する。
【0127】
【化22】
ベンゾ[1”,2”:4,5;4”,5”:4’,5’]−ビス(シロロ[3,2−b:3’,2’−b’]チオフェン)の共重合を、スキーム5において例示的に図解する。
【0128】
【化23】
上および下に記載される通りのポリマーの新規な調製方法は、本発明のもう一つの態様である。
【0129】
本発明によるポリマーは、光学的、電気光学的、電子的、エレクトロルミネセントまたはフォトルミネセント部品または装置における、電荷輸送、半導体、導電性、光導電性または発光材料として有用である。
【0130】
特に好ましい装置は、OFET、TFT、IC、論理回路、キャパシタ、RFIDタグ、OLED、OLET、OPV、ソーラーセル、レーザーダイオード、光導電体、光検出器、電子写真装置、電子写真記録装置、有機記憶装置、センサー装置、電荷注入層、ショットキーダイオード、平坦化層、帯電防止フィルム、導電性基板、導電性パターンである。これらの装置において、本発明のポリマーは、典型的には、薄層またはフィルムとして適用される。
【0131】
有機半導体(OSC:organic semiconducting)材料がゲート誘電体とドレインおよびソース電極との間に薄膜として配置されているOFETは、一般的に既知で、例えば、米国特許第5,892,244号明細書、国際特許出願公開広報第00/79617号パンフレット、米国特許第5,998,804号明細書、および、背景技術の章において引用される文献に記載されている。本発明によるポリマーの可溶特性を使用する低コストの生産、よって、大面積の加工性などの利点のために、これらのFETの好ましい用途は、集積回路、TFTディスプレイおよびセキュリティー用途などである。
【0132】
また、本発明によるポリマーは、OLED装置において中間体層または電荷ブロック層として使用するために、例えば、電荷輸送、半導体性、導電性、光導電性および/または発光半導体特性を有する他のポリマーと共に、または、例えば、ホールブロックまたは電子ブロック特性を有するポリマーと共にポリマーブレンド中でも使用できる。よって、本発明のもう一つの態様は、本発明による1種類以上のポリマーと、1つ以上の上述の特性を有する1種類以上の更なるポリマーとを含むポリマーブレンドに関する。これらのブレンドは、先行技術において記載され当業者に既知である従来法によって調製できる。典型的には、ポリマーを互いに混合するか、または、適切な溶媒に溶解し、溶液を混合する。
【0133】
本発明のもう一つの態様は、上および下で記載される通りの1種類以上のポリマーまたはポリマーブレンドと、1種類以上の有機溶媒とを含む配合物に関する。
【0134】
適切で好ましい有機溶媒の例としては、限定することなく、ジクロロメタン、トリクロロメタン、モノクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、テトラヒドロフラン、アニソール、モルホリン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、1,4−ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラリン、デカリン、インダン、安息香酸メチル、安息香酸エチル、メシチレンおよび/またはそれらの混合物が挙げられる。
【0135】
溶液中におけるポリマーの濃度は、好ましくは、0.1〜10重量%、より好ましくは、0.5〜5重量%である。また、例えば、国際特許出願公開第2005/055248号パンフレットに記載される通り、レオロジー特性を調整するために、1種類以上のバインダーを溶液は含んでもよい。
【0136】
適切に混合および経時後、溶液を次のカテゴリーの1つとして評価する:完全な溶液、可溶性および不溶性の境界上の溶液または不溶性。コントア線を、可溶性および不溶性を分ける溶解性パラメータ−水素結合の限界の輪郭を得るために描く。可溶性領域内に収まる「完全な」溶媒は、「Crowley、J.D.、Teague、G.S.JrおよびLowe、J.W.Jr.、Journal of Paint Technology、38巻、496号、296頁(1966年)」で刊行されているなどの文献値より選択できる。また、溶媒ブレンドも使用でき、「Solvents、W.H.Ellis、Federation of Societies for Coatings Technology、9〜10頁、1986年」中に記載される通り特定できる。ブレンド中に少なくとも1種類の真性溶媒を有するのが望ましいが、そのような手順によって、本発明のポリマーの両者を溶解する「非」溶媒のブレンドに至る場合もある。
【0137】
また、本発明によるポリマーは、上および下に記載される通りの装置におけるパターン化OSC層においても使用できる。最新のマイクロエレクトロニクスにおける用途のためには、一般に、コスト(単位面積当たり、より多くの装置)および電力消費を低減するために、小さな構造またはパターンを生成することが望ましい。本発明によるポリマーを含む薄膜のパターン化は、例えば、フォトリソグラフィー、電子ビームリソグラフィーまたはレーザーパターン化によって行うことができる。
【0138】
電子または電気光学的装置における薄膜として使用するためには、本発明のポリマー、ポリマーブレンドまたは配合物を任意の適切な方法によって堆積して構わない。装置を液体塗工する方が真空蒸着技術よりも好ましい。溶液堆積法が特に好ましい。本発明の配合物によって、多くの液体塗工技術の使用が可能となる。好ましい堆積技術としては、限定することなく、浸漬塗工、スピン塗工、インクジェット印刷、レタープレス印刷、スクリーン印刷、ドクターブレード塗工、ローラー印刷、逆ローラー印刷、オフセットリソグラフィー印刷、フレキソ印刷、ウェブ印刷、噴霧塗工、はけ塗り塗工またはパッド印刷が挙げられる。高解像度の層および装置を調製できるため、インクジェット印刷が特に好ましい。
【0139】
本発明の選択された配合物は、インクジェット印刷またはミクロディスペンシングによって既製の装置基板に塗布できる。有機半導体層を基板に塗布するには、好ましくは、限定することなく、Aprion社、Hitachi−Koki社、InkJet Technology社、On Target Technology社、Picojet社、Spectra社、Trident社、Xaar社によって供給されるものなどの工業的圧電印刷ヘッドを使用できる。加えて、Brother社、Epson社、Konica社、Seiko Instruments Toshiba TEC社によって製造されるものなどの半工業的ヘッド、または、Microdrop社およびMicrofab社によって生産されるものなどの単一ノズルミクロディスペンサーを使用してもよい。
【0140】
インクジェット印刷またはミクロディスペンシングによって塗布するためには、第一に、ポリマーは適切な溶媒に溶解しなければならない。溶媒は上述の要件を満足していなければならず、選択された印刷ヘッドに対して一切有害な効果を有していてはならない。加えて、溶媒は、印刷ヘッドの内側で溶媒が乾燥することによって生ずる操作上の問題を防ぐために、100℃を超える、好ましくは140℃を超える、より好ましくは150℃を超える沸点を有していなければならない。上述の溶媒は別とし、適切な溶媒としては、置換および無置換のキシレン誘導体、ジ−C
1〜2−アルキルホルムアミド、置換および無置換のアニソール類および他のフェノール−エーテル誘導体、置換されたピリジン類、ピラジン類、ピリミジン類、ピロリジノン類などの置換されたヘテロ環類、置換および無置換のN,N−ジ−C
1〜2−アルキルアニリン類および他のフッ素化または塩素化された芳香族類が挙げられる。
【0141】
インクジェット印刷によって本発明によるポリマーを堆積するために好ましい溶媒は、1個以上の置換基中の炭素原子の総数が少なくとも3個である1個以上の置換基によって置換されたベンゼン環を有するベンゼン誘導体を含む。例えば、ベンゼン誘導体はプロピル基または3個のメチル基で置換されていてもよく、いずれの場合も、全部で少なくとも3個の炭素原子が存在する。そのような溶媒によって、噴霧中のジェットの目詰まりおよび成分の分離を低減または防止し、ポリマーと共に溶媒を含むインクジェット流体の形成が可能となる。溶媒(1種類または多種類)としては、以下の例のリストより選択されるものが挙げられる:ドデシルベンゼン、1−メチル−4−tert−ブチルベンゼン、テルピネオールリモネン、イソジュレン、テルピノレン、シメン、ジエチルベンゼン。溶媒は、2種類以上の溶媒の組み合わせである溶媒混合物でもよく、それぞれの溶媒は、好ましくは100℃を超え、より好ましくは140℃を超える沸点を有している。また、そのような溶媒(1種類または多種類)は、堆積された層中の膜形成を促進し、層中の欠陥を減少させる。
【0142】
インクジェット流体(即ち、溶媒、バインダーおよび半導体化合物の混合物)は、好ましくは、20℃で、1〜100mPa・s、より好ましくは1〜50mPa・s、最も好ましくは1〜30mPa・sの粘度を有する。
【0143】
加えて、本発明によるポリマーまたは配合物は、例えば、表面活性化合物、潤滑剤、湿潤剤、分散助剤、疎水化剤、接着剤、流動性改良剤、消泡剤、脱気剤、反応性または非反応性のいずれでも構わない希釈剤、補助剤、着色剤、色素または顔料、増感剤、安定剤、ナノ粒子または禁止剤などの1種類以上の更なる成分を含んでよい。
【0144】
本発明によるOFET装置は、好ましくは、
−ソース電極と、
−ドレイン電極と、
−ゲート電極と、
−有機半導体(OSC:organic semiconducting)層と、
−1つ以上ゲート絶縁体層と、
−任意構成として基板と、
を含み、
ただし、OSC層は、本発明による1種類以上のポリマーを含む。
【0145】
ソースおよびドレイン電極が絶縁体層によってゲート電極より分離されており、ゲート電極および半導体層の両者が絶縁体層とコンタクトしており、ソース電極およびドレイン電極の両者が半導体層とコンタクトしていているのであれば、OFET装置におけるゲート、ソースおよびドレイン電極および絶縁体および半導体層は、任意の配列で配置できる。OFET装置は、トップゲート装置またはボトムゲート装置のいずれでも構わない。OFET装置の適切な構造および製造方法は当業者に既知であり、文献、例えば、国際特許出願公開第03/052841号パンフレットに記載されている。
【0146】
本発明によるOPV装置は、好ましくは、
−低仕事関数電極(例えば、アルミニウム)と、
−一方は透明である高仕事関数電極(例えば、ITO)と、
−ホール輸送および電子輸送材料から成る二重層;ただし、該二重層は、2つの別個の層として、または、ブレンドされた混合物としてのいずれで存在しても構わない、所謂バルクヘテロ接合(BHJ:bulk heterojunction)(例えば、Coakley、K.M.およびMcGehee、M.D.Chem.Mater.2004年、16巻、4533頁を参照)と、
−任意の構成要素として、ホールに対するオーミックコンタクトを与えるために高仕事関数電極の仕事関数を改変するための導電性ポリマー層(例えば、PEDOT:PSSなど)と、
−任意の構成要素として、電子に対するオーミックコンタクトを与えるための高仕事関数電極上の被覆(LiFなど)と
を含む。
【0147】
ブレンド中のホール輸送ポリマーは、本発明のポリマーの1種で存在する。電子輸送材料は、酸化亜鉛またはセレン化カドミウムなどの無機材料、または、フラーレン誘導体(例えば、PCBM、[(6,6)−フェニルC61−酪酸メチルエステル]、または、ポリマー、例えば、Coakley、K.M.およびMcGehee、M.D.Chem.Mater.2004年、16巻、4533頁を参照)などの有機材料でよい。ブレンドされた混合物については、ブレンドのモルホロジー、および結果として、OPV装置の性能を最適化するために、任意工程としてアニール工程が必要となることがある。
【0148】
セキュリティー用途において、本発明によるOFETおよび半導体材料を有する他の装置、トランジスタまたはダイオードなどは、貨幣、クレジットカードまたはIDカード、国の身分証明書類、免許証、または、切手、チケット、株券、小切手などの金銭的価値を有する任意の製品などの有価証券を証明し、偽造を防止するためのRFIDタグまたはセキュリティーマーキング用に使用できる。
【0149】
あるいは、本発明による材料は、有機発光装置またはダイオード(OLED:organic light emitting diode)において、例えば、ディスプレイ用途において、または、例えば、液晶ディスプレイのバックライトとして使用できる。一般的なOLEDは、多層構造を用いて実現される。発光層は、一般的に、1つ以上の電子輸送および/またはホール輸送層の間で挟支されている。電圧を印加することにより、電荷キャリアとしての電子およびホールは発光層の方向に移動し、そこで、それらの組み替えにより励起、よって発光層中に含まれるルモフォア単位(lumophor unit)のルミネセンスに至る。本発明の化合物、材料およびフィルムは、それらの電気的および/または光学的特性に対応して、1つ以上の電荷輸送層および/または発光層において用いることができる。更に、発光層内でのそれらの使用は、本発明による化合物、材料およびフィルムが、それら自体でエレクトロルミネセント特性を示すか、またはエレクトロルミネセント基または化合物を含む場合に、特に有利である。OLEDにおいて使用するための適切なモノマー、オリゴマーおよびポリマー化合物または材料の選択、特性解析ならびに加工は、一般的に、当業者に既知であり、例えば、Meerholz、Synthetic Materials、111〜112巻、2000年、31〜34頁、Alcala、J.Appl.Phys.、88巻、2000年、7124〜7128頁およびそこで引用されている文献を参照。
【0150】
他の使用によれば、本発明による材料、特に、フォトルミネセント特性を示すものは、例えば、欧州特許出願公開第0 889 350号公報またはC.Wederら、Science、279巻、1998年、835〜837頁に記載されるなどのディスプレイ装置の光源の材料として用いることができる。
【0151】
本発明の更なる態様は、本発明によるポリマーの酸化形態および還元形態の両者に関する。電子の損失または獲得の結果、高い導電性で高度に非局在化されたイオン性形態が形成される。このことは、一般的なドーパントへの暴露で生じさせることができる。適切なドーパントおよびドーピング方法は、例えば、欧州特許第0 528 662号明細書、米国特許第5,198,153号明細書または国際特許出願公開第96/21659号パンフレットより当業者に既知である。
【0152】
ドーピングプロセスは、典型的には、半導体材料を酸化剤または還元剤で酸化還元反応において処理することを意味し、適用されたドーパントに由来する対応する対イオンで、材料中に非局在化されたイオン性中心部を形成する。適切なドーピング方法は、例えば、大気圧または減圧下においてドーピング蒸気に暴露し、ドーパントを含有する溶液中で電気化学的にドーピングし、ドーパントを熱的に拡散されるべき半導体材料と接触させ、ドーパントを半導体材料中にイオン注入することを含む。
【0153】
電子をキャリアとして使用する場合、適切なドーパントは、例えば、ハロゲン(例えば、I
2、Cl
2、Br
2、ICl、ICl
3、IBrおよびIF)、ルイス酸(例えば、PF
5、AsF
5、SbF
5、BF
3、BCl
3、SbCl
5、BBr
3およびSO
3)、プロトン酸、有機酸またはアミノ酸(例えば、HF、HCl、HNO
3、H
2SO
4、HClO
4、FSO
3HおよびClSO
3H)、遷移金属化合物(例えば、FeCl
3、FeOCl、Fe(ClO
4)
3、Fe(4−CH
3C
6H
4SO
3)
3、TiCl
4、ZrCl
4、HfCl
4、NbF
5、NbCl
5、TaCl
5、MoF
5、MoCl
5、WF
5、WCl
6、UF
6およびLnCl
3(ただし、Lnは、ランタノイドである)、アニオン(例えば、Cl
−、Br
−、I
−、I
3−、HSO
4−、SO
42−、NO
3−、ClO
4−、BF
4−、PF
6−、AsF
6−、SbF
6−、FeCl
4−、Fe(CN)
63−および、アリール−SO
3−などの種々のスルホン酸のアニオン)である。ホールをキャリアとして使用する場合、ドーパントの例は、カチオン(例えば、H
+、Li
+、Na
+、K
+、Rb
+およびCs
+)、アルカリ金属(例えば、Li、Na、K、RbおよびCs)、アルカリ土類金属(例えば、Ca、SrおよびBa)、O
2、XeOF
4、(NO
2+)(SbF
6−)、(NO
2+)(SbCl
6−)、(NO
2+)(BF
4−)、AgClO
4、H
2IrCl
6、La(NO
3)
3・6H
2O、FSO
2OOSO
2F、Eu、アセチルコリン、R
4N
+(Rは、アルキル基である)、R
4P
+(Rは、アルキル基である)、R
6As
+(Rは、アルキル基である)およびR
3S
+(Rは、アルキル基である)である。
【0154】
本発明のポリマーの導電性形態は、OLED用途における電荷注入層およびITO平坦化層、フラットパネルディスプレイおよびタッチスクリーン用のフィルム、帯電防止フィルム、印刷された導電性基板、印刷回路基板およびコンデンサなどの電子的用途におけるパターンまたは区域を含む(ただし、限定されない。)用途において、有機「金属」として使用できる。
【0155】
もう一つの使用によれば、本発明による材料は、例えば、米国特許出願公開第2003/0021913号公報に記載される通り、単独または他の材料と共に、LCDまたはOLED装置における配向層において、または配向層として使用できる。本発明による電荷輸送化合物を使用することにより、配向層の導電性を増大させることができる。LCDにおいて使用する場合、この増大された導電性によって、スイッチ可能なLCDセルにおける不都合な残留dc効果を低減でき、画像の固着を抑制でき、または、例えば、強誘電性LCDにおいて、強誘電性LCの自発的な分極電荷のスイッチにより生じる残留電荷を低減できる。配向層上に設けられた発光材料を含むOLED装置において使用する場合、この増大された導電性によって、発光材料のエレクトロルミネセンスを増大できる。メソゲン特性または液晶特性を有する本発明による化合物または材料は、上記の通り配向した異方性フィルムを形成することができ、それは、配向層として、前記異方性フィルム上に設けられた液晶媒体における配向を誘発または増大するのに、特に有用である。また、本発明による材料は、米国特許出願公開第2003/0021913号公報に記載される通り、光配向層において、または光配向層として使用するための光異性化可能な化合物および/または発色団と組み合わせることもできる。
【0156】
もう一つの使用によれば、本発明による材料、特に、それらの水溶性誘導体(例えば、極性またはイオン性側鎖で)またはイオン的にドープされた形態は、DNA配列を検出および区別するための化学的センサーまたは材料として用いることができる。そのような使用は、例えば、L.Chen、D.W.McBranch、H.Wang、R.Helgeson、F.WudlおよびD.G.Whitten、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.1999年、96巻、12287頁;D.Wang、X.Gong、P.S.Heeger、F.Rininsland、G.C.BazanおよびA.J.Heeger、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.2002年、99巻、49頁;N.DiCesare、M.R.Pinot、K.S.SchanzeおよびJ.R.Lakowicz、Langmuir 2002年、18巻、7785頁;D.T.McQuade、A.E.Pullen、T.M.Swager、Chem.Rev.2000年、100巻、2537頁に記載されている。
【0157】
文脈が明らかに他を示さない限り、本明細書で用いられる場合、本明細書における用語の複数形は単数形を含むものと解釈されることとし、逆もまた同様である。
【0158】
本明細書の記載および請求項を通して、「含む(comprise)」および「含有する(contain)」という言葉および該言葉の活用形、例えば、「含む(comprising)」および「含む(comprises)」は、「限定せず挙げられる」を意味し、他の成分を排除することを意図としない(排除しない)。
【0159】
本発明の前述の実施形態は、本発明の範囲内にありながら変更できると理解されるであろう。他に明言しない限り、本明細書において開示されるそれぞれの特徴を、同一、同等または同様の目的に働く代替の特徴で置き換えても構わない。よって、他に明言しない限り、開示されるそれぞれの特徴は、包括的で一連の同等または同様な特徴の一例に過ぎない。
【0160】
本明細書において開示される特徴の全ては、その様な特徴および/または工程の少なくとも幾つかが互いに排他的である組み合せを除いて、任意の組み合わせで組み合わせて構わない。特に、本発明の好ましい特徴は本発明の全ての態様に適用可能であり、任意の組み合わせにおいて使用できる。同様に、本質的でない組み合わせで記載される特徴は、個別に(組み合わせずに)使用できる。
【0161】
ここで、本発明を、以下の例(本発明の範囲を単に解説するのみで限定しない。)を参考にして更に詳細に説明する。
【実施例】
【0162】
<例1>
<2,2’−(2,5−ジブロモベンゼン−1,4−ジイル)ビス(3−ブロモチオフェン)の調製>
【0163】
【化24】
オーブンで乾燥した2000cm
3のフラスコに、1,4−ジブロモ−2,5−ジヨードベンゼン(61.00g、125.1mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(2.195g、3.127mmol)およびテトラヒドロフラン(無水、300cm
3)を充填する。出発材料が溶解したら、カニューレを使用して、テトラヒドロフラン(500cm
3、250.2mmol)中の0.5Mの3−ブロモ−2−チエニル亜鉛ブロミドの溶液を移し、反応物を85℃に3時間加熱する。反応物を一晩冷却し、白色の沈殿を濾別する。この沈殿を水(750cm
3)およびメタノール(250cm
3)で洗浄して、25.77gの表題の生成物を得る。最初の濾液より、更なる生成物を回収する。真空中で濾液を約90cm
3まで減少させ、次いで、500cm
3のメタノールを加える。沈殿を濾別し、水(750cm
3)およびメタノール(250cm
3)で洗浄し、最後に熱プロパン−2−オール中で3回粉砕して、追加の12.72gの表題の生成物を得る(38.49g、収率:55%)。
【0164】
【表1】
<2,2’−(2,5−ジブロモベンゼン−1,4−ジイル)ビス(3−ブロモ−5−トリメチルシリル−チオフェン)の調製>
【0165】
【化25】
オーブンで乾燥した1000cm
3の三口フラスコに、2,2’−(2,5−ジブロモベンゼン−1,4−ジイル)ビス(3−ブロモチオフェン)(12.00g、21.51mmol)およびTHF(無水、430cm
3)を充填する。アセトン・ドライアイス浴を使用して反応物を−78℃まで冷却し、次いで、テトラヒドロフラン/ヘプタン/エチルベンゼン中のリチウムジイソプロピルアミドの2.0Mの溶液(22.0cm
3、44.1mmol)を滴下によって加える。添加完了後、反応混合物を−78℃で1時間保ち、次いで、クロロトリメチルシラン(6.00cm
3、47.3mmol)を素早く加える。反応物を放置して一晩で23℃に達し、次いで、メタノール(100cm
3)および水(400cm
3)を加える。混合物をジエチルエーテル(3×300cm
3)で抽出する。合わされた有機相を希塩酸水(3×250cm
3)および水(300cm
3)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥して、次いで、溶媒を真空中で除去する。粗生成物をプロパン−2−オール中で再結晶し、表題の生成物を得る(11.12g、収率:74%)。
【0166】
【表2】
<2,7−ジブロモ−5,5,10,10−テトラオクチルベンゾ[1”,2”:4,5;4”,5”:4’,5’]−ビス(シロロ[3,2−b:3’,2’−b’]チオフェンの調製>
【0167】
【化26】
オーブンで乾燥した50cm
3のフラスコに、5,5,10,10−テトラオクチルベンゾ−2,7−ビストリメチルシリル−ベンゾ[1”,2”:4,5;4”,5”:4’,5’]−ビス(シロロ[3,2−b:3’,2’−b’]チオフェン(0.900g、1.01mmol)およびテトラヒドロフラン(無水、30cm
3)を充填する。固体が溶解したら、N−ブロモスクシンイミド(0.360g、2.02mmol)を、3回に分けて加える。HPLCによって反応をモニターし、反応が完結するまで、少量(10mg)のN−ブロモスクシンイミドを加える。水(75cm
3)で反応を急停止し、ジエチルエーテル(3×50cm
3)で抽出する。合わされた有機画分を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過して、真空中で蒸発させる。溶離液として石油エーテルを用いてシリカ上、次いで、溶離液として最初にテトラヒドロフラン/アセトニトリル(50:50、体積)、次いでテトラヒドロフラン/アセトニトリル(40:60、体積)、最後にテトラヒドロフラン/アセトニトリル(50:50、体積)を用いて逆相シリカ(C18)上の3回のカラムクロマトグラフィーによって粗生成物を精製する(295mg、収率:32%)。
【0168】
【表3】
<5,5,10,10−テトラオクチル−2,7−ビストリメチルシリル−ベンゾ[1”,2”:4,5;4”,5”:4’,5’]ビス(シロロ[3,2−b:3’,2’−b’]チオフェンの調製>
【0169】
【化27】
オーブンで乾燥した1000cm
3の三口フラスコに、2,2’−(2,5−ジブロモベンゼン−1,4−ジイル)ビス(3−ブロモ−5−トリメチルシリルチオフェン)(6.500g、9.255mmol)およびテトラヒドロフラン(無水、325cm
3)を充填する。アセトン・ドライアイス浴を使用して反応物を−78℃まで冷却し、ヘキサン中のn−ブチルリチウムの2.5M溶液(16.7cm
3、41.6mmol)を滴下により30分にわたって加える。GC−MSによって、リチウム−ハロゲン交換反応をモニターする。ヘキサン中のn−ブチルリチウムの2.5M溶液の追加量(0.57cm
3、1.43mmol)を加えてリチウム−ハロゲン交換反応を完全に完結させ、次いで、ジ−n−オクチルジクロロシラン(6.6cm
3、19.0mmol)をゆっくりと加える。冷浴をはずし、反応混合物を放置して23℃に達する。23℃で1時間後、水(100cm
3)で反応を急停止し、ジエチルエーテル(3×250cm
3)で抽出する。合わされた有機画分を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過して、真空中で蒸発させる。溶離液として石油エーテルを用いたカラムクロマトグラフィーによって粗生成物を精製する(1.024g、収率:9.8%、純度(HPLC):79%)。
【0170】
【表4】
<例2>
<5,5,10,10−テトラ−2’−エチルヘキシル−2,7−ビストリメチルシリル−ベンゾ[1”,2”:4,5;4”,5”:4’,5’]−ビス(シロロ[3,2−b:3’,2’−b’]チオフェンの調製>
【0171】
【化28】
オーブンで乾燥した1000cm
3の三口フラスコに、2,2’−(2,5−ジブロモベンゼン−1,4−ジイル)ビス(3−ブロモ−5−トリメチルシリルチオフェン)(11.00g、15.66mmol)およびテトラヒドロフラン(無水、550cm
3)を充填する。アセトン・ドライアイス浴を使用して反応物を−78℃まで冷却し、ヘキサン中のn−ブチルリチウムの2.5M溶液(28.2cm
3、70.5mmol)を滴下により30分にわたって加える。GC−MSによって、リチウム−ハロゲン交換反応をモニターする。ヘキサン中のn−ブチルリチウムの2.5M溶液の追加量(1.55cm
3、3.88mmol)を加えてリチウム−ハロゲン交換反応を完全に完結させ、次いで、ジ−2−エチルヘキシルジクロロシラン(10.45g、32.11mmol)をゆっくりと加える。冷浴をはずし、反応混合物を放置して23℃に達する。23℃で1時間後、水(200cm
3)で反応を急停止し、ジエチルエーテル(3×250cm
3)で抽出する。合わされた有機画分を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過して、真空中で蒸発させる。溶離液として石油エーテルを用いたカラムクロマトグラフィーによって粗生成物を精製する(1.020g、収率:6.8%、純度(HPLC):93%)。
【0172】
【表5】
<2,7−ジブロモ−5,5,10,10−テトラ−2’−エチルヘキシル−ベンゾ[1”,2”:4,5;4”,5”:4’,5’]−ビス(シロロ[3,2−b:3’,2’−b’]チオフェンの調製>
【0173】
【化29】
オーブンで乾燥した100cm
3のフラスコに、5,5,10,10−テトラ−2’−エチルヘキシル−ベンゾ−2,7−ビストリメチルシリル−ベンゾ[1”,2”:4,5;4”,5”:4’,5’]−ビス(シロロ[3,2−b:3’,2’−b’]チオフェン(0.920g、1.03mmol)およびテトラヒドロフラン(無水、50cm
3)を充填する。固体が溶解したら、N−ブロモスクシンイミド(0.367g、2.06mmol)を、3回に分けて加える。HPLCによって反応をモニターし、反応が完結するまで、少量(10mg)のN−ブロモスクシンイミドを加える。水(75cm
3)で反応を急停止し、ジエチルエーテル(3×50cm
3)で抽出する。合わされた有機画分を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過して、真空中で蒸発させる。溶離液として石油エーテルを用いてシリカ上、次いで、溶離液として最初にテトラヒドロフラン/アセトニトリル(45:55、体積)、最後にテトラヒドロフラン/アセトニトリル(40:60、体積)を用いて逆相シリカ(C18)上の2回のカラムクロマトグラフィーによって粗生成物を精製する(399mg、収率:43%)。
【0174】
【表6】
<例3>
<ポリ[2,7−(5,5,10,10−テトラオクチルベンゾ[1”,2”:4,5;4”,5”:4’,5’]−ビス(シロロ[3,2−b:3’,2’−b’]チオフェン))−alt−4,7−(2,1,3−ベンゾチアジアゾール)]の調製>
【0175】
【化30】
乾燥したフラスコ中において、2,7−ジブロモ−5,5,10,10−テトラオクチルベンゾ[1”,2”:4,5;4”,5”:4’,5’]−ビス(シロロ[3,2−b:3’,2’−b’]チオフェン(177.0mg、0.1955mmol)、4,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2,1,3−ベンゾチアジアゾール(75.9mg、0.1955mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(3.6mg、0.0039mmol)およびトリ(o−トリル)ホスフィン(4.8mg、0.0156mmol)を、脱気されたトルエン(5.0cm
3)および脱気された2M炭酸ナトリウム水(0.5cm
3)に溶解した。反応混合物を、100〜105℃において24時間激しく撹拌した。メタノール:水(10:1)中に沈殿し、濾過して、引き続き、アセトン、石油エーテルおよびクロロホルムでソックレー抽出を経て洗浄し、ポリマーを精製した。減圧下においてクロロホルム画分を、より小さい体積まで減らし、メタノール中に沈殿した。沈殿されたポリマーを濾過し、真空下において25℃で一晩乾燥し、表題の生成物を取得した(アセトン画分:110mg、収率64%;CHCl
3画分:10mg、収率6%)。GPC(PhCl、60℃、CHCl
3画分)M
w=8,600g/mol、M
n=4,600g/mol;λ
max(PhCl)=510nm。
【0176】
<例4>
<ポリ[2,7−(5,5,10,10−テトラ−2’−エチルヘキシルベンゾ[1”,2”:4,5;4”,5”:4’,5’]−ビス(シロロ[3,2−b:3’,2’−b’]チオフェン))−alt−4,7−(2,1,3−ベンゾチアジアゾール)]の調製>
【0177】
【化31】
乾燥したフラスコ中において、2,7−ジブロモ−5,5,10,10−テトラ−2’−エチルヘキシルベンゾ[1”,2”:4,5;4”,5”:4’,5’]−ビス(シロロ[3,2−b:3’,2’−b’]チオフェン(200.0mg、0.2210mmol)、4,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2,1,3−ベンゾチアジアゾール(85.8mg、0.2210mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(4.0mg、0.0044mmol)およびトリ(o−トリル)ホスフィン(5.4mg、0.0177mmol)を、脱気されたトルエン(5.0cm
3)および脱気された2M炭酸ナトリウム水(0.5cm
3)に溶解した。反応混合物を、100〜105℃において24時間激しく撹拌した。メタノール:水(10:1)中に沈殿し、濾過して、引き続き、アセトン、石油エーテルおよびクロロホルムでソックレー抽出を経て洗浄し、ポリマーを精製した。減圧下において、アセトンおよびクロロホルム画分を、より小さい体積まで減らし、メタノール中に沈殿した。沈殿されたポリマーを濾過し、真空下において25℃で一晩乾燥し、表題の生成物を取得した(アセトン画分:99mg、収率51%;CHCl
3画分:12mg、収率6%)。GPC(PhCl、60℃、CHCl
3画分)M
w=39,800g/mol、M
n=15,700g/mol;λ
max(PhCl)=515nm。