(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の分割の分割数が、前記第1の分割がされた金属窓ごとに決められ、前記金属窓の周縁部分に向かうにつれて多く分割されていることを特徴とする請求項1に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
前記第1の分割及び前記第2の分割がされた前記金属窓のサイズが、前記高周波アンテナに供給される高周波電力の波長の四分の一よりも小さくされていることを特徴とする請求項2に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
前記高周波アンテナが、前記第1の分割がされた金属窓各々に対応して設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
前記高周波アンテナの平面形状が渦巻き状あるいは環状であって、前記第1の分割が、前記渦巻き状あるいは環状の高周波アンテナの中心から前記金属窓の周縁部分へ放射状に延びる線に沿ってされる分割であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
前記金属窓の平面形状の外形が矩形状であって、前記金属窓の周縁部分へ放射状に延びる線が、前記金属窓の平面形状の外形の対角線であることを特徴とする請求項5に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
前記第1の区分がされた領域が、さらに前記周方向と交差する方向に沿って前記金属窓に設けられたスリットによって区分けされる第2の区分がされていることを特徴とする請求項7に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
前記第2の区分の区分け数が、前記第1の区分がされた金属窓ごとに決められ、前記金属窓の周縁部分の領域に向かうにつれて多くされていることを特徴とする請求項8に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
前記高周波アンテナが、前記第1の区分がされた領域各々に対応して設けられていることを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか一項に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
前記第1の区分及び前記第2の区分がされた領域のサイズが、前記高周波アンテナに供給される高周波電力の波長の四分の一よりも小さくされていることを特徴とする請求項8から請求項10のいずれか一項に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
前記高周波アンテナの平面形状が渦巻き状あるいは環状であって、前記周方向と交差する方向に沿った前記金属窓の分割が、前記渦巻き状あるいは環状の高周波アンテナの中心から前記金属窓の周縁部分へ放射状に延びる線に沿った分割であることを特徴とする請求項7から請求項12のいずれか一項に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
前記金属窓の平面形状が矩形状であって、前記金属窓の周縁部分へ放射状に延びる線が、前記金属窓の対角線であることを特徴とする請求項13に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照してこの発明の実施の形態について説明する。
【0017】
(第1の実施形態)
図1はこの発明の第1の実施形態に係る誘導結合プラズマ処理装置を概略的に示す断面図である。
図1に示す誘導結合プラズマ処理装置は、例えば、FPD用ガラス基板上に薄膜トランジスタを形成する際のメタル膜、ITO膜、酸化膜等のエッチングや、レジスト膜のアッシング処理等のプラズマ処理に用いることができる。ここで、FPDとしては、液晶ディスプレイ(LCD)、エレクトロルミネセンス(Electro Luminescence;EL)ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル(PDP)等が例示される。また、FPD用ガラス基板に限らず、太陽電池パネル用ガラス基板に対する上記同様のプラズマ処理にも用いることができる。
【0018】
プラズマ処理装置は、導電性材料、例えば、内壁面が陽極酸化処理(アルマイト処理)されたアルミニウムからなる角筒形状の気密な本体容器1を有する。本体容器1は、接地線2により接地されている。本体容器1は、本体容器1と絶縁されて形成された金属窓3により上下にアンテナ室4および処理室5に区画されている。金属窓3は、本例では処理室5の天井壁を構成する。金属窓3は、例えば、非磁性体で導電性の金属で構成される。非磁性体で導電性の金属の例は、アルミニウム、又はアルミニウムを含む合金である。
【0019】
アンテナ室4の側壁4aと処理室5の側壁5aとの間には、本体容器1の内側に突出する支持棚6及び支持梁7が設けられている。支持棚6及び支持梁7は導電性材料、望ましくは金属で構成される。金属の例としてはアルミニウムである。支持梁7は、本例では処理ガス供給用のシャワー筐体を兼ねる。支持梁7がシャワー筐体を兼ねる場合には、支持梁7の内部に、被処理基板Gの被処理面に対して平行に伸びるガス流路8が形成される。ガス流路8には、処理室5内に処理ガスを噴出する複数のガス吐出孔8aが形成される。ガス流路8には、処理ガス供給機構9からガス供給管10を介して処理ガスが供給され、ガス吐出孔8aから処理室5の内部に、処理ガスが吐出される。なお、処理ガスは、支持梁7から供給されるばかりでなく、金属窓3をシャワーヘッドとして構成すれば、金属窓3から供給することもできる。
【0020】
金属窓3の上のアンテナ室4内には、金属窓3に面するように高周波アンテナ11が配置されている。高周波アンテナ11は絶縁部材からなるスペーサ12により金属窓3から離間して配置されている。プラズマ処理の間、高周波アンテナ11には誘導電界形成用の高周波電力が、第一の高周波電源13から整合器14及び給電部材15を介して供給される。高周波電力の周波数は、例えば、13.56MHzである。高周波電力が高周波アンテナ11に供給されることで、後述の金属窓に誘起されるループ電流を介して、処理室5内のプラズマ生成領域に誘導電界が形成される。この誘導電界により複数のガス吐出孔8aから供給された処理ガスが、処理室5内のプラズマ生成領域においてプラズマ化される。
【0021】
処理室5内の下方には、金属窓3を介して高周波アンテナ11と対向する載置台16が、本体容器1から絶縁部材17によって絶縁された状態で配置されている。載置台16は、導電性材料、例えば、アルミニウムで構成され、その表面は陽極酸化処理されている。載置台16には、被処理基板G、例えば、LCDガラス基板が載置される。載置台16には静電チャック(図示せず)が設けられている。被処理基板Gは、静電チャックによって載置台16に吸着保持される。載置台16には、第二の高周波電源18が整合器19及び給電線20を介して接続されている。本例では、プラズマ処理の間、載置台16にバイアス用の高周波電力を、第二の高周波電源18から整合器19及び給電線20を介して供給する。バイアス用の高周波電力の周波数は、例えば、3.2MHzである。バイアス用の高周波電力を載置台16に印加することで、処理室5内に生成されたプラズマ中のイオンは、効果的に被処理基板Gに引き込まれる。また、特に図示しないが、載置台16内には、被処理基板Gの温度を制御するためセラミックヒータ等の加熱手段や、冷媒流路等からなる温度制御機構、及び温度センサーなどが設けられる。
【0022】
なお、本実施形態においては基板を支持する最適な手段として載置台を記載したが、これに限られるものではなく、例えば、バイアス用高周波電力の供給や温度調節機構が不要であれば、下部若しくは側部から突出したピン若しくは棒状部材で支持してもよく、あるいは搬送機構のピックなどで支持していてもよい。
【0023】
処理室5の側壁5aには、処理室5の内部へ被処理基板Gを搬入出する搬入出口21が設けられている。搬入出口21はゲートバルブ22によって開閉される。
【0024】
処理室5の底壁5bには、処理室5の内部を排気する排気口23が設けられている。排気口23には真空ポンプ等を含む排気装置24が接続される。排気装置24により、処理室5の内部が排気され、プラズマ処理の間、処理室5の内部の圧力が所定の真空雰囲気(例えば、1.33Pa)に設定、維持される。
【0025】
誘導結合プラズマ処理装置は、コンピュータを含む制御部25により制御される。制御部25には、ユーザインターフェース26及び記憶部27が接続されている。ユーザインターフェース26には、工程管理者が、誘導結合プラズマ処理装置を管理するためのコマンド入力操作等を行うキーボードや、誘導結合プラズマ処理装置の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等が含まれている。記憶部27には、誘導プラズマ処理装置で実行される各種処理を制御部25の制御にて実現する制御プログラムや、処理条件に応じて誘導結合プラズマ処理装置の各部に処理を実行させるプログラム(プロセスレシピ)が格納される。プロセスレシピは、ハードディスクや半導体メモリに記憶されていてもよいし、CD−ROM、DVD等の可搬性の記憶媒体に収容された状態で記憶部27にセットするようになっていてもよい。さらに、プロセスレシピは、例えば、専用回線を介して別の装置から適宜伝送させるようにしてもよい。プラズマ処理は、ユーザインターフェース26からの指示等にて任意のプロセスレシピを記憶部27から呼び出し、プロセスレシピに従った処理を制御部25に実行させることで、制御部25の制御のもと行われる。
【0026】
次に、
図1に示す誘導結合プラズマ処理装置におけるプラズマ生成原理について説明する。
【0027】
図2は、プラズマ生成原理を説明するための図である。
【0028】
図2に示すように、
図1に示す誘導結合プラズマ処理装置においては、高周波アンテナ11に電流I
RFが流れると、金属窓3の上面(高周波アンテナ11側表面)に渦電流I
LOOPが発生する。金属窓3は、支持棚6、支持梁7及び本体容器1から絶縁されている。このため、金属窓3の上面に流れた渦電流I
LOOPは、支持棚6、支持梁7又は本体容器1に流れること無く、金属窓3の側面に流れる。さらに、金属窓3の側面に流れた渦電流I
LOOPは、金属窓3の下面(処理室5側表面)に流れ、さらに、金属窓3の側面を介して、再度金属窓3の上面に戻る。このようにして、金属窓3の上面(高周波アンテナ11側表面)から下面(処理室5側表面)にループする渦電流I
LOOPが生成される。ループする渦電流I
LOOPのうち、金属窓3の下面を流れた電流が処理室5内のプラズマ生成領域に誘導電界Eを形成する。処理室5内に誘導電界Eが形成されることで、処理室5の内部のガスが励起され、処理室5内のプラズマ生成領域にプラズマが生成される。
【0029】
(第1の実施形態:金属窓3の第1の例)
図3は、この発明の第1の実施形態に係る誘導結合プラズマ処理装置が備える金属窓の第1例を示す平面図である。
【0030】
図3に示すように、第1例に係る金属窓3の平面形状は矩形状である。矩形状の金属窓3は、3a1〜3a4、3b1〜3b4に八分割されている。これら金属窓3a1〜3a4、3b1〜3b4はそれぞれ、支持棚6及び支持梁7上に、絶縁体28を介して載置され、互いに電気的に絶縁されている。絶縁体28は電気的絶縁体であり、その材料例は、例えば、セラミックやポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。本例における金属窓3の分割の仕方及び高周波アンテナの配置の仕方は次の通りである。
【0031】
まず、
図4Aに示すように、金属窓3は、金属窓3の周方向θに沿って、本例では2つに分割され、それぞれ内側金属窓3a、外側金属窓3bを構成する。金属窓3の分割数は、必要に応じ3以上であってもよい。
【0032】
なお、本願において「周方向θ」とは、金属窓3の外形の矩形に対し非回転の相似の矩形を描く閉じた線に沿った回転方向を意味するものとする。
【0033】
さらに、
図4Bに示すように、周方向θに沿って2つに分割された内側金属窓3a及び外側金属窓3bが、周方向θと交差する方向r1、r2に沿ってさらに分割される。周方向θと交差する方向r1、r2は、本例では矩形状の金属窓3の対角線である。これにより内側金属窓3aは、さらに内側金属窓3a1〜3a4に四分割され、同じく金属窓3bは、さらに外側金属窓3b1〜3b4に四分割される。
【0034】
また、高周波アンテナ11は、本例では環状の内側高周波アンテナ11aと、環状の外側高周波アンテナ11bとを備えている。本例では、
図4Cに示すように、内側高周波アンテナ11aは内側金属窓3a(即ち、内側金属窓3a1〜3a4の集合体)の上方に配置され、外側高周波アンテナ11bは外側金属窓3b(即ち、内側金属窓3b1〜3b4の集合体)の上方に配置される。
【0035】
このような金属窓3を備えた誘導結合プラズマ処理装置であると、以下のような利点を得ることができる。
【0036】
(1) 金属窓3を、金属窓3の周方向θに沿って2以上に分割する。この構成を備えることで、
図2に示したループする渦電流I
LOOPの拡散を抑制することができ、処理室5の内部に発生するプラズマ分布の制御性を、より良好とすることができる。しかも、ループする渦電流I
LOOPの拡散が抑制されるので、ループする渦電流I
LOOPを、より強く金属窓3の表面に発生させることができる。より強いループする渦電流I
LOOPが金属窓3に発生すれば、処理室5の内部に、より強い誘導電界Eを発生させることができる。
【0037】
(2) 周方向θに沿って2以上に分割された金属窓3を、さらに周方向θと交差する方向r1、r2に沿って分割する。この構成を備えることで、金属窓3の表面に、
図2に示したような金属窓3の上面〜側面〜下面〜側面〜上面を経由しながらループする渦電流I
LOOPを発生させることができる。よって、
図2を参照して説明したような原理で、処理室5の内部に誘導電界Eを発生させることができる。
【0038】
(3) 本例のように高周波アンテナ11を、内側高周波アンテナ11aと外側高周波アンテナ11bとに分けた場合、内側高周波アンテナ11aを内側金属窓3aの上方、外側高周波アンテナ11bを外側金属窓3bの上方に配置する。この構成を備えることで、内側高周波アンテナ11a下の内側金属窓3aに発生するループする渦電流I
LOOPと、外側高周波アンテナ11b下の外側金属窓3bに発生するループする渦電流I
LOOPとの干渉を抑制することができる。よって、処理室5の内部に発生する誘導電界Eの強度のばらつきを抑制でき、処理室5の内部のプラズマ分布の制御性が良くなる。
【0039】
上記利点を、比較例を参照しながら説明する。
【0040】
図5Aは金属窓3を周方向θに沿って分割しなかった場合の渦電流I
LOOPを示す図、
図5Bは金属窓3を周方向θに沿って分割した場合の渦電流I
LOOPを示す図である。
【0041】
図5Aに示すように、金属窓3を周方向θに沿って分割しない場合には、渦電流I
LOOPが拡散して互いに干渉し、処理室5の内部に発生する誘導電界Eの強度がばらついて不均一となったりする。
【0042】
これに対して、第1の実施形態のように、金属窓3を周方向θに沿って分割した場合には、
図5Bに示すように、渦電流I
LOOPが拡散しないので、処理室5の内部に発生する誘導電界Eの強度のばらつきが抑制される。これにより、処理室5の内部のプラズマ分布の制御性が良好となる。
【0043】
第1の実施形態に係る誘導結合プラズマ処理装置が備える金属窓3によれば、さらに、次のような利点も得ることができる。
【0044】
金属窓3の電位Vは、金属窓3のインダクタンスLと渦電流I
LOOPとにより高くなる(V=ωLI
LOOP)。金属窓3の電位が高くなると、
図6に示すように、金属窓3に向かう縦電界E
Vが処理室5の内部の金属窓3の近傍に発生する。縦電界E
Vが処理室5の内部に生じると、処理室5内イオンが金属窓3に衝突し、金属窓3を消耗させる。また、縦電界E
Vが発生するため、電子やイオンが金属窓に衝突して失活し、プラズマソースの発生効率も低下する、という事情がある。
【0045】
金属窓3が縦電界E
Vの影響を受ける事情は、金属窓3のサイズが大きい場合に生じやすい。さらに、
図7に示すように、金属窓3の処理室5側表面に、金属窓3の耐プラズマ性を向上させるために誘電体膜30を形成した場合も、同様に縦電界EVの影響を受けやすい。これは、誘電体膜30がキャパシタの誘電体となって、金属窓3と処理室5とが容量結合を起こすためである。誘電体膜30の例は、アルミニウム、又はアルミニウムを含む合金製の金属窓3の表面を陽極酸化した陽極酸化膜や、溶射セラミック膜を挙げることができる。
【0046】
また、誘電体膜30の代わりに、金属窓3の処理室5側表面に誘電体カバーを設けた場合にも、同様に縦電界E
Vの影響を受けやすい。誘電体カバーの例は、石英製のカバー、又はセラミック製のカバーである。セラミックの例は、アルミナセラミックである。
【0047】
第1の実施形態に係る誘導結合プラズマ処理装置が備える金属窓3は、上記金属窓3が縦電界E
Vの影響を受ける、という事情についても改善することができる。
【0048】
これは、第1の実施形態では、金属窓3を、金属窓3の周方向θと交差する方向に沿って分割するとともに、さらに、金属窓3の周方向θに沿って2以上に分割することにより、分割された金属窓3の一つ一つのサイズを、より小さくすることができるためである。
【0049】
これは、第1の実施形態では、金属窓3を、金属窓3の周方向θと交差する方向に沿って分割するばかりでなく、さらに、金属窓3の周方向θに沿って2以上に分割するためである。つまり、金属窓3を、金属窓3の周方向θと交差する方向に沿って分割する場合に比較して、さらに、金属窓3の周方向θに沿って2以上に分割するので、分割された金属窓3の一つ一つのサイズを、より小さくすることができる。
【0050】
したがって、第1の実施形態に係る誘導結合プラズマ処理装置が備える金属窓3によれば、処理室5の内部に発生する縦電界E
Vの影響を受けにくくなり、金属窓3の消耗や、プラズマソースの発生効率の低下を抑制できる、という利点についても得ることができる。
【0051】
また、分割された金属窓3の平面サイズの最も長いところは、高周波アンテナ11に供給される高周波電力の周波数の波長λの四分の一よりも小さくされることが良い。これにより、処理室5の内部に定在波が発生することを抑制できる。
【0052】
例えば、高周波電力の周波数fが13.56MHzの場合、波長λは約22.1mである(λ=300/f[MHz])。λ/4の値は約5.5mである。よって、例えば、高周波アンテナ11に供給される高周波電力の周波数fが13.56MHzの場合は、分割された金属窓3の平面サイズの最も長いところは、5.5m未満とすることが良い。
【0053】
次に、金属窓3の他例のいくつかを説明する。
【0054】
(第1の実施形態:金属窓3の第2例)
図8Aは金属窓3の第2例を示す平面図、
図8Bは
図8Aから高周波アンテナ11を省略した平面図である。
【0055】
図8A及び
図8Bに示すように、第2例は、金属窓3の周縁部分に向かうにつれて、金属窓3の周方向θと交差する方向に沿って分割される分割数を多くした例である。本例では、内側金属窓3aを、金属窓3の対角線に沿って内側金属窓3a1〜3a4に四分割する。外側金属窓3bについては、金属窓3の対角線に沿って四分割したうえで、さらに十字形に分割する。例えば、金属窓3の4つの辺に、時計回りに第1の辺〜第4の辺としたとき、第1の辺の中心o1と第1の辺に対向する第3の辺の中心o3とを結ぶ線、第2の辺の中心o2と第2の辺に対向する第4の辺の中心o4とを結ぶ線により構成される十字に沿って、外側金属窓3bを、さらに分割する。このようにして、第2例に係る外側金属窓3bは、外側金属窓3b1〜3b8に八分割されている。
【0056】
このような第2例によれば、金属窓3の周縁部分に向かうにつれて、金属窓3の周方向θと交差する方向に沿って分割される分割数を多くするので、特に、外側金属窓3bをより小さく分割できる、という利点を得ることができる。
【0057】
(第1の実施形態:金属窓3の第3例)
図9Aは金属窓3の第3例を示す平面図、
図9B及び
図9Cは
図9Aから高周波アンテナを省略した平面図である。
【0058】
第1、第2例に係る金属窓3では、高周波アンテナ11a、11bの平面形状が環状であって、周方向θに沿って2以上に分割された金属窓3a、3bが、環状の高周波アンテナ11a、11bの中心から金属窓3の周縁部分へ放射状に延びる線に沿って分割される例を示した。しかし、金属窓3は、例えば、環状の高周波アンテナ11a、11bの中心から金属窓3の周縁部分へ放射状に延びる線に沿って分割されることに限るものではない。
【0059】
図9A〜
図9Cに示すように、第3例においては、外側金属窓3bを、第1の辺の中心o1と第1の辺に時計回りに隣接する第2の辺の中心o2とを結ぶ線、第2の辺の中心o2と第2の辺に時計回りに隣接する第3の辺の中心o3とを結ぶ線、第3の辺の中心o3と第3の辺に時計回りに隣接する第4の辺の中心o4とを結ぶ線、第4の辺の中心o4と第4の辺に時計回りに隣接する第1の辺の中心o1とを結ぶ線に沿って、さらに分割する。これらの線は、
図9Cに示すように、周方向θと交差する方向r3〜r6に沿った線である。このように、第3例に係る外側金属窓3bは、周方向θと交差する方向r3〜r6
に沿って、外側金属窓3b1〜3b12に十二分割されている。
【0060】
このような第3例においても、上記第2例と同様の利点を得ることができる。
【0061】
(第1の実施形態:金属窓3の第4例)
図10Aは金属窓3の第4例を示す平面図、
図10Bは
図10Aから高周波アンテナを省略した平面図である。
【0062】
第1例〜第3例では、金属窓3を、周方向θに沿って2つに分割した。しかし、金属窓3は、周方向θに沿って2以上に分割することもできる。
【0063】
図10A〜
図10Bに示すように、第4例においては、金属窓3を、周方向θに沿って内側金属窓3a、中間金属窓3b、外側金属窓3cの3つに分割されている。
【0064】
また、高周波アンテナ11は、本例では環状の内側高周波アンテナ11aと、環状の中間高周波アンテナ11bと、環状の外側高周波アンテナ11cとを備えている。本例では、
図10Aに示すように、内側高周波アンテナ11aは内側金属窓3aの上方に、中間高周波アンテナ11bは中間金属窓3bの上方に、外側高周波アンテナ11cは外側金属窓3cの上方に配置される。
【0065】
このように周方向θに沿って3つに分割された内側金属窓3a、中間金属窓3b、外側金属窓3cは、さらに、例えば、金属窓3の対角線に沿ってまず四分割される。さらに、四分割された中間金属窓3bは、上記第2例と同様に二等分されるように分割され、合計八分割される。さらに、四分割された外側金属窓3cは、四分割された金属窓3cの各々がさらに三等分されるように分割され、合計十二分割される。
【0066】
このようにして、第4例に係る金属窓3は、四分割された内側金属窓3a1〜3a4、八分割された中間金属窓3b1〜3b8、十二分割された外側金属窓3c1〜3c12を備えることとなる。
【0067】
このような第4例においても、上記第1例〜第3例と同様の利点を得ることができる。
【0068】
また、金属窓3の周方向θに沿った分割数は、金属窓3の大きさ、高周波アンテナ11の数に応じて、4つ、5つ、6つ、…と、さらに増やしていくことが可能である。
【0069】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、金属窓3を、金属窓3の周方向と交差する方向に沿って分割し、この周方向と交差する方向に沿って分割された金属窓3を、さらに周方向に沿って2以上に分割した例を示した。
【0070】
これに対して、第2の実施形態は、金属窓3を、金属窓3の周方向と交差する方向に沿って分割し、この周方向と交差する方向に沿って分割された金属窓3を、この金属窓3に設けられたスリットによって周方向に沿って2以上の領域に区分けした例である。
【0071】
(第2の実施形態:金属窓3の第1例)
図11は、この発明の第2の実施形態に係る誘導結合プラズマ処理装置が備える金属窓3の一例を示す平面図、
図12A及び
図12Bは金属窓の分割及び区分けの仕方を説明するための平面図である。
【0072】
図11〜
図12Bに示すように、第1例に係る金属窓3の平面形状は矩形状である。矩形状の金属窓3d〜3gは、金属窓3の周方向θと交差する方向r1、r2に沿って分割されている。周方向θと交差する方向r1、r2は、本例では矩形状の金属窓3の対角線である。これにより金属窓3は、金属窓3d〜3gに四分割される(特に
図12A参照)。
【0073】
さらに、金属窓3d〜3gは、それぞれ金属窓3に設けられたスリット31によって周方向θに沿って2の領域に区分けされている。本例では、金属窓3d〜3gに、周方向θに沿って設けられ、金属窓3d〜3gを貫通するスリット31によって、内側領域3d1〜3g1と、外側領域3d2〜3d2とに区分けされている(特に
図12B参照)。
【0074】
また、高周波アンテナ11は、本例では環状の内側高周波アンテナ11aと、環状の外側高周波アンテナ11bとを備えている。本例では、内側高周波アンテナ11aは内側領域3d1〜3g1の上方に配置され、外側高周波アンテナ11bは外側領域3d2〜3g2の上方に配置される(特に
図11参照)。区分けする領域の数は必要に応じてスリット31の数を増やすことにより3以上としてもよい。
【0075】
このようなスリット31によって区分けされた金属窓3d1〜3g1、3d2〜3g2においても、処理室5内への定在波発生を抑制する観点から、第1の実施形態と同様に、平面サイズの最も長いところは、高周波アンテナ11に供給される高周波電力の周波数の波長λの四分の一よりも小さくされることが良い。
【0076】
図13は、この発明の第2の実施形態に係る誘導結合プラズマ処理装置のアンテナ室4の部分を示す断面図である。
【0077】
図13に示すように、スリット31内に絶縁体32を設け、スリット31内を絶縁体32によって、例えば、埋め込むようにしても良い。
【0078】
また、第2の実施形態は、第1の実施形態に比較して、分割された金属窓3各々のサイズが大きくなりやすい。もしも、金属窓3サイズが大きく、金属窓3の変形が懸念される場合には、
図13に示すように、金属窓3を、例えば、ネジ33によるネジ止めにより、アンテナ室4の天壁4bから、この天壁4bと絶縁された状態で吊るすようにしても良い。本例では、天壁4bに、天壁4bを貫通する貫通孔34を形成し、この貫通孔34を塞ぐ絶縁体35を天壁4bの上部外側に設ける。そして、貫通孔34の径よりも小さいネジ33を、絶縁体35を介して貫通孔34に、天壁4bに接触しないように挿入し、ネジ33の先端部分を金属窓3にネジ止めする。このような方法にて、金属窓3を、天壁4bと絶縁された状態で天壁4bに吊るしている。
【0079】
このような金属窓3の周方向θに沿って設けられたスリット31を有した金属窓3を備えた誘導結合プラズマ処理装置においても、上記第1の実施形態と同様の利点を得ることができる。
【0080】
また、第2の実施形態によれば、周方向θと交差する方向に沿って分割された金属窓3d〜3gを、周方向にθに沿って2以上の領域に区分けする。このため、第1の実施形態に比較して、金属窓3の分割数を少なくすることができる、という利点を得ることができる。このため、第2の実施形態は、例えば、第1の実施形態に比較して、処理する被処理基板Gのサイズが、比較的小さい場合に有効である。
【0081】
(第2の実施形態:金属窓3の第2例)
図14Aは金属窓3の第2例を示す平面図、
図14Bは
図14Aから高周波アンテナ11を省略した平面図である。
【0082】
第2例は、上記第1の実施形態の金属窓3の第2例に対応した例である。
【0083】
図14A及び
図14Bに示すように、第2例においては、金属窓3の周方向θに沿って区分けされた2以上の領域が、周方向θと交差する方向に沿って金属窓3に設けられたスリット36によって、さらに区分けされている。
【0084】
さらに、本例では、周方向θと交差する方向に沿って区分けされる区分け数が、金属窓3の周縁部分の領域に向かうにつれて多くされる。本例では外側領域3d2〜3g2が、第1の辺の中心o1と第1の辺に対向する第3の辺の中心o3とを結ぶ線、第2の辺の中心o2と第の辺に対向する第4の辺の中心o4とを結ぶ線に沿って、金属窓3に設けられたスリット36によって、外側領域3d2〜3g2が、外側領域3d21、3d22、…、3g21、3g22に、さらに区分けされている。
【0085】
このように、金属窓3の周方向θに交差する方向に沿って設けられたスリット36を、さらに有した金属窓3を備えた誘導結合プラズマ処理装置においても、上記第1の実施形態と同様の利点を得ることができる。
【0086】
また、第2例によれば、金属窓3の周縁部分に向かうにつれて、金属窓3の周方向θと交差する方向に沿って区分けされる区分け数を多くするので、特に、サイズが大きなってしまう外側領域3d2〜3g2を、より小さく区分けできる、という利点を得ることができる。
【0087】
(第2の実施形態:金属窓3の第3例)
図15Aは金属窓3の第3例を示す平面図、
図15Bは
図15Aから高周波アンテナ11を省略した平面図である。
【0088】
第3例は、上記第1の実施形態の金属窓3の第3例に対応した例である。
【0089】
図15A及び
図15Bに示すように、第3例においては、外側領域3d2〜3g2が、第1の辺の中心o1と第2の辺の中心o2とを結ぶ線、第2の辺の中心o2と第3の辺の中心o3とを結ぶ線、第3の辺の中心o3と第4の辺の中心o4とを結ぶ線、第4の辺の中心o4と第1の辺の中心o1とを結ぶ線に沿って、金属窓3に設けられたスリット37によって、外側領域3d2〜3g2が、外側領域3d21〜3d23、…、3g21〜3g23に、さらに区分けされている。
【0090】
このように金属窓3の周方向θに交差する方向は、金属窓3の中心から放射状に延びる方向に限られるものではない。
【0091】
このような第2の実施形態の第3例に係る金属窓3を備えた誘導結合プラズマ処理装置においても、上記第1の実施形態と同様の利点を得ることができる。
【0092】
(第2の実施形態:金属窓3の第4例)
図16Aは金属窓3の第4例を示す平面図、
図16Bは
図16Aから高周波アンテナ11を省略した平面図である。
【0093】
第4例は、上記第1の実施形態の金属窓3の第4例に対応した例である。
【0094】
第1例〜第3例では、金属窓3を、スリット31によって周方向θに沿って2つの領域に区分けした。しかし、金属窓3は、スリット31によって周方向θに沿って2以上の領域に区分けすることもできる。
【0095】
図16A及び
図16Bに示すように、第4例においては、金属窓3を、周方向θに沿って内側領域3d1〜3g1、中間領域3d2〜3g2、外側領域3d3〜3g3の3つの領域に区分けされている。
【0096】
また、内側高周波アンテナ11aは内側領域3d1〜3g1の上方に、中間高周波アンテナ11bは中間領域3d2〜3g2の上方に、外側高周波アンテナ11cは外側領域3d3〜3g3の上方に配置される。
【0097】
このように周方向θに沿って3つの領域に区分けされ、かつ周方向θに交差する方向に分割された金属窓3を、金属窓3に設けられたスリット36によって、さらに、周方向θに交差する方向に沿って2以上の領域に区分けする。
【0098】
本例では、中間領域3d2〜3g2を、θ方向と交差する方向に沿って、金属窓3に設けられたスリット36によって二等分されるように、中間領域3d21、3d22の二つの領域に区分けする。さらに、外側領域3d3〜3g3を、θ方向と交差する方向に沿って、金属窓3に設けられたスリット36によって三等分されるように、外側領域3d31〜3d33を三つの領域に区分けする。
【0099】
このような第4例においても、上記第1例〜第3例と同様の利点を得ることができる。
【0100】
また、金属窓3の周方向θに沿った区分け数は、金属窓3の大きさ、高周波アンテナ11の数に応じて、4つ、5つ、6つ、…と、さらに増やしていくことが可能である。
【0101】
このような第1の実施形態及び第2の実施形態に係る誘導結合プラズマ処理装置によれば、被処理基板の大型化に対応でき、かつ、処理室内におけるプラズマ分布の制御性を良好にすることが可能となる、という利点を得ることができる。
【0102】
なお、この発明は上記実施形態に限定されることなく種々変形可能である。
【0103】
例えば、高周波アンテナ11の構造は上記実施形態に開示した構造に限るものではない。例えば、
図17に示すような渦巻状の高周波アンテナ40も用いることができる。
【0104】
図17に示すように、渦巻状の高周波アンテナ40は、その中心部の周囲に、中心からほぼ同一半径位置で90°ずつ、ずれた位置に
図1に示した給電部材15に接続される4つの給電部41、42、43、44を有し、これら各給電部41、42、43、44から2本ずつのアンテナ線が外側に延びて構成される。各アンテナ線の終端にはコンデンサ45が接続され、各アンテナ線はコンデンサ45を介して接地される。
【0105】
このような渦巻状の高周波アンテナ40においては、アンテナ線が密に配置された箇所を持つ。本例では、アンテナ線が密に配置された箇所を、内側と外側とに二箇所有している。アンテナ線が密に配置された内側箇所46aは、上記第1、第2の実施形態の内側高周波アンテナ11aに対応する。また、アンテナ線が密に配置された外側箇所46bは、上記第1、第2の実施形態の内側高周波アンテナ11bに対応する。
【0106】
なお、高周波アンテナの構造は、環状、又は渦巻状に限らず、本体容器内に誘導電界を形成することができるならば、如何なる構造であっても採用することができる。
【0107】
さらにまた、上記実施形態では誘導結合プラズマ処理装置の一例としてアッシング装置を例示したが、アッシング装置に限らず、エッチングや、CVD成膜等の他方のプラズマ処理装置に適用することができる。
【0108】
さらにまた、被処理基板としてFPD基板を用いたが、この発明はこれに限らず半導体ウエハ等他の基板を処理する場合にも適用可能である。