【文献】
田口 誠 他,低遅延デジタルラジオマイクの開発,映像情報メディア学会誌,2013年10月 1日,Vol.67, No.10,pp.873-877
【文献】
田口 誠 他,特定ラジオマイク用低遅延デジタル伝送方式の検討,電子情報通信学会技術研究報告,2012年11月14日,pp.39-42,BCT2012-101
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記送信パラメータ設定部は、前記外符号の符号化率をRoとしたとき、Ro×Ri×M×Ndの値が一定となるように、前記Ro,前記No,前記Ri,前記M,及び前記Ndを設定することを特徴とする、請求項2又は3に記載のワイヤレスマイク用OFDM送信装置。
前記送信パラメータ設定部は、前記Roが一定、且つ、前記Noが一定となるように、前記Ro及び前記Noを設定することを特徴とする、請求項2〜4のいずれか一項に記載のワイヤレスマイク用OFDM送信装置。
前記送信パラメータ設定部は、前記Noが128<No≦255となるように、前記Noを設定することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のワイヤレスマイク用OFDM送信装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明による実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
本発明によるワイヤレスマイク用OFDM送信装置及び受信装置では、マルチパスによるフェージングを防止するために、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)変調方式を採用する。そこで、音声の伝送にOFDM変調方式を適用する場合の構成を検討する。
図6は、音声の伝送にOFDM変調方式を適用する場合のワイヤレスマイク用OFDM送信装置の構成を示すブロック図である。ワイヤレスマイク用OFDM送信装置1は、マイク11と、A/D変換部12と、インターリーブ・誤り訂正部13と、OFDM変調部14と、D/A変換部15と、送信周波数変換部16と、送信アンテナ17と、送信パラメータ設定部18と、水晶発振器19(19−1〜19−n)と、クロック供給部20とを備える。インターリーブ・誤り訂正部13は、外符号符号化部131と、インターリーブ部132と、内符号符号化部133とを備え、OFDM変調部14は、S/P変換部141と、キャリア変調部142と、IFFT部143と、GI付加部144と、送信レート調整バッファメモリ145とを備える。
【0022】
A/D変換部12は、マイク11から入力されるアナログの音声信号をデジタル信号に変換し、外符号符号化部131に出力する。
【0023】
外符号符号化部131は、データを所定のブロック長のブロックに区切り、ブロックごとにパリティビットを付加してRS(リード・ソロモン)符号又はBCH符号などのブロック符号によるブロック符号化を行って外符号を生成し、インターリーブ部132に出力する。ブロック符号化により、情報長Koのデータから符号長Noの符号が生成される場合、この符号を(No,Ko)符号と表し、Ro=Ko/Noを符号化率という。符号長Noは、外符号化後のブロック長を意味する。なお、後述する内符号の符号化率と区別するために、外符号の符号化率Roを外符号化率と称する。
【0024】
インターリーブ部132は、誤り訂正の効率を上げるために、外符号符号化部131から入力される外符号の順序を並び替え、内符号符号化部133に出力する。
【0025】
内符号符号化部133は、インターリーブ部132から入力される外符号を内符号化(例えば、畳み込み符号化)して内符号を生成し、S/P変換部141に出力する。一般に、内符号化により、情報長Kiのデータから符号長Niの符号が生成される場合、Ri=Ki/Niを符号化率という。なお、前述した外符号化率と区別するために、内符号の符号化率Riを内符号化率と称する。
【0026】
S/P変換部141は、内符号符号化部133から入力される内符号を、内部に備えるメモリなどの記憶領域に一時的に記憶し、所定のデータ数に達した時点でパラレルデータに変換してキャリア変調部142に出力する。例えば、サブキャリア数がNdで、各サブキャリアの変調方式の変調多値数がMの場合には、Mビットずつ、Nd本の信号に変換する。
【0027】
キャリア変調部142は、S/P変換部141からパラレル入力される信号に対し、サブキャリアごとに所定の変調方式(変調多値数M)に応じてIQ平面へのマッピングを行い、IFFT部143に出力する。
【0028】
IFFT部143は、キャリア変調部142から入力される信号に対して、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform:逆高速フーリエ変換)処理を施して有効シンボル信号を生成し、GI付加部144に出力する。
【0029】
GI付加部144は、IFFT部143から入力される有効シンボル信号の先頭に、有効シンボル信号の後半部分をコピーしたガードインターバルを挿入し、送信レート調整バッファメモリ145に出力する。ガードインターバルは、OFDM信号を受信する際にシンボル間干渉を低減させるために挿入されるものであり、マルチパス遅延波の遅延時間がガードインターバル長を超えないように設定される。
【0030】
送信レート調整バッファメモリ145は、後述するようにOFDMシンボルが間欠的に生成された場合に、OFDMシンボルを一時的に蓄えておくメモリである。
【0031】
D/A変換部15は、送信レート調整バッファメモリ145から入力されるデジタル信号をアナログ信号に変換する。送信周波数変換部16は、D/A変換部15から入力されるアナログ信号を、送信周波数に変調し、電力増幅して送信アンテナ17に出力し、送信アンテナ17を介して受信側に変調信号を送信する。
【0032】
送信パラメータ設定部18は、パラメータとして、外符号符号化部131に対して情報長Ko及び符号長Noを設定し、インターリーブ部132に対してインターリーブパラメータを設定し、内符号符号化部133に対して内符号化率Riを設定し、S/P変換部141に対して変調多値数M及びキャリア数Ndを設定し、キャリア変調部142に変調方式の種別及びキャリア数Ndを設定し、IFFT部143にFFTポイント数、変調多値数M、及びキャリア数Ndを設定し、GI付加部144にガードインターバル比を設定する。なお、変調方式の種別ごとに変調多値数Mが異なる場合には、キャリア変調部142に変調多値数Mを設定してもよいのは勿論である。
【0033】
クロック供給部20は、OFDM信号のサブキャリアのシンボルレートに応じて水晶発振器19を選択してクロックを生成し、インターリーブ・誤り訂正部13、及びOFDM変調部14にクロックを供給する。
【0034】
図7は、音声の伝送にOFDM変調方式を適用する場合のワイヤレスマイク用OFDM受信装置の構成を示すブロック図である。ワイヤレスマイク用OFDM受信装置2は、受信アンテナ21と、受信周波数変換部22と、A/D変換部23と、OFDM復調部24と、デインターリーブ・誤り訂正部25と、D/A変換部26と、スピーカ27と、受信パラメータ設定部28と、水晶発振器29(29−1〜29−n)と、クロック供給部30とを備える。OFDM復調部24はGI除去部241と、FFT部242と、キャリア復調部243と、P/S変換部244とを備え、デインターリーブ・誤り訂正部25は、内符号復号部251と、デインターリーブ部252と、外符号復号部253と、受信レート調整バッファメモリ254とを備える。
【0035】
受信周波数変換部22は、受信アンテナ21で受信した音声信号を電力増幅し、中間周波数のデータに周波数変換し、A/D変換部23に出力する。A/D変換部23は、受信周波数変換部22から入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換し、パラメータ情報を受信パラメータ設定部28に出力し、GI除去部241に出力する。
【0036】
GI除去部241は、A/D変換部23から入力されるにデジタル信号対して、ガードインターバルを除去して有効シンボルを抽出し、FFT部242に出力する。
【0037】
FFT部242は、GI除去部241から入力される有効シンボルに対して、FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)処理を施し、キャリア復調部243に出力する。
【0038】
キャリア復調部243は、FFT部242から入力される信号に対して、サブキャリアごとに復調を行い、P/S変換部244に出力する。
【0039】
P/S変換部244は、キャリア復調部243からパラレル入力される信号を、シリアル信号に変換する。
【0040】
内符号復号部251は、P/S変換部244から入力される内符号を内符号復号して外符号を生成し、デインターリーブ部252に出力する。なお、送信側で畳み込み符号化により内符号化されている場合には、内符号復号部251は、ビタビ復号を行って誤り訂正し、デインターリーブ部252に出力する。
【0041】
デインターリーブ部252は、内符号復号部251から入力される外符号に対してデータの順序を並び替え、受信レート調整バッファメモリ254に出力する。
【0042】
受信レート調整バッファメモリ254は、内符号復号部251から入力されるデータを、レート調整のために一時的に蓄えておくメモリである。
【0043】
外符号復号部253は、受信レート調整バッファメモリ254から入力される外符号を外符号復号してデジタルの音声信号を生成し、D/A変換部26に出力する。
【0044】
D/A変換部26は、外符号復号部253から入力されるデジタル信号をアナログ信号に変換し、スピーカ27に出力する。
【0045】
受信パラメータ設定部28は、ワイヤレスマイク用OFDM送信装置1に設定するパラメータと同じパラメータを、各ブロックに設定する。例えば、GI除去部241に対してガードインターバル比を設定し、FFT部242に対してFFTポイント数、変調多値数M、及びキャリア数Ndを設定し、キャリア復調部243に対して変調方式の種別(変調多値数M)及びキャリア数Ndを設定し、内符号復号部251に対して内符号化率Riを設定し、デインターリーブ部252に対してインターリーブパラメータを設定する。外符号復号部253に対して情報長Ko及び符号長Noを設定する。なお、パラメータはワイヤレスマイク用OFDM送信装置1から受信するようにしてもよい。
【0046】
クロック供給部30は、OFDM信号のサブキャリアのシンボルレート(パラメータの設定モード)に応じて水晶発振器29を選択してクロックを生成し、OFDM復調部24、及びデインターリーブ・誤り訂正部25にクロックを供給する。
【0047】
ここで、インターリーブ・誤り訂正部13及びOFDM変調部14による処理の遅延量を検討する。
図8は、ワイヤレスマイク用OFDM受信装置の遅延を説明するタイミングチャートである。
【0048】
外符号符号化部131による外符号の符号長をNoとすると、外符号符号化部131から出力される1ブロックあたりのデータ量aは、No(単位はビット)と等しい。また、内符号符号化部133による内符号化率をRi、キャリア変調部142における変調方式の変調多値数をM、OFDM信号のサブキャリア数をNdとすると、OFDM信号1シンボルあたりのデータ量bは、Ri×M×Nd(単位はビット)で表される。
【0049】
タイミングチャートAは、外符号符号化部131に入力されるデータのタイミングチャートである。タイミングチャートBは、外符号符号化部131、インターリーブ部132による処理のタイミングチャートである。外符号符号化部131、インターリーブ部132は、情報長(外符号化前の符号長)Koのデータがバッファに蓄積されると、ブロック単位で外符号化、インターリーブを行う。なお、インターリーブ・誤り訂正部13は、外符号符号化部131に入力されるデータの同期クロックのn倍のクロックで、すなわち入力データ取り込み時のn倍の速度で処理を行う。
【0050】
タイミングチャートCは、内符号符号化部133、OFDM変調部14による処理のタイミングチャートである。内符号符号化部133、OFDM変調部14は、インターリーブ部132から、OFDM信号1シンボルあたりのデータ量bビットがバッファに蓄積されると、内符号符号化処理、OFDM変調処理を施す。OFDM変調部14もインターリーブ・誤り訂正部13と同様に、入力データ取り込み時のn倍の速度で処理を行う。タイミングチャートDは、OFDM変調処理部16から出力される出力データのタイミングチャートである。
【0051】
図8(a)は、a=bの場合のタイミングチャートである。この場合、外符号符号化部131、インターリーブ部132からブロック単位で処理するごとに出力される符号長のaビットと、内符号符号化部133、OFDM変調部14にてシンボル単位で処理すべきデータ量のbビットが等しいため、内符号符号化部133、OFDM変調部14は、外符号符号化部131、インターリーブ部132から出力されるaビット(=bビット)のデータをバッファに蓄積後、直ちに内符号符号化処理、OFDM変調処理を実行することができる。
【0052】
図8(b)は、a<bの場合のタイミングチャートである。この場合、外符号符号化部131、インターリーブ部132によるブロック単位での符号化処理が終了しても、バッファに蓄積されたデータ量は、OFDM変調部14にてシンボル単位で処理すべきデータ量のbビットに達していない。そのため、OFDM変調部14は、bビットのデータがバッファに蓄積されるまでOFDM変調処理を実行することができず、a=bの場合と比べて、遅延が発生する。
【0053】
図8(c)は、a>bの場合のタイミングチャートである。この場合、図示するように、OFDM変調部14はOFDMシンボルを間欠的に生成することになる。そのため、間欠的に生成したOFDMシンボルを送信レート調整バッファメモリ145に一旦蓄積し、連続したデータとして伝送する必要があるため、a=bの場合やa<bの場合と比べて、遅延が発生する。以上より、a=bの場合には、外符号符号化部131、インターリーブ部132に入力されるデータに対する、内符号符号化部133、OFDM変調部14から出力されるデータの遅延を少なくすることができる。よって、以下に説明する実施例では、a=bの関係を満たすようにパラメータを設定する。
【実施例1】
【0054】
次に、本発明による実施例1のワイヤレスマイク用OFDM送信装置及び受信装置について説明する。なお、
図6及び
図7に示したワイヤレスマイク用OFDM送信装置1及びワイヤレスマイク用OFDM受信装置2と同じ構成要素には同一の参照番号を付して説明を省略する。
図1は、実施例1のワイヤレスマイク用OFDM送信装置の構成を示すブロック図である。ワイヤレスマイク用OFDM送信装置1aは、
図6に示したワイヤレスマイク用OFDM送信装置1と比較して、送信レート調整バッファメモリ145を備えていない点、及び送信パラメータ設定部18の動作が相違する。
【0055】
送信パラメータ設定部18は、上述したように、a=b、すなわちNo=Ri×M×Ndとなるようにパラメータを制御し、設定する。No=Ri×M×Ndとすると、
図8に示したように、OFDM信号を連続して生成することができるため、送信レート調整バッファメモリ145は不要となる。
【0056】
外符号符号化部131は、RS符号、BCH符号、差集合巡回符号、あるいは、CRCを付けて誤り検出を行い、誤ったブロックに対してコンシールメントをかける方法等を用いることができる。特に、BCH符号を用いることで、遅延時間を少なくすることができる。例えば、RS(204,188)符号の場合、符号1ブロックに含まれるビット数は、204(バイト)×8(ビット/バイト)=1632ビットであり、符号化及び復号による遅延時間は1310μsとなる。これに対し、BCH(144,128)符号の場合、符号1ブロックに含まれるビット数が144ビットであり、符号化及び復号による遅延時間は115μsである。
【0057】
図2は、実施例1のワイヤレスマイク用OFDM受信装置の構成を示すブロック図である。ワイヤレスマイク用OFDM受信装置2aは、
図7に示したワイヤレスマイク用OFDM受信装置2と比較して、受信レート調整バッファメモリ254を備えていない点が相違する。
【0058】
外符号復号部253は、ワイヤレスマイク用OFDM送信装置1aの外符号符号化部131にてBCH符号等の外符号を用いて符号化された符号を復号する。
【0059】
受信パラメータ設定部28は、ワイヤレスマイク用OFDM送信装置1aと同じパラメータを各ブロックに設定する。パラメータは、No=Ri×M×Ndを満たしているため、ワイヤレスマイク用OFDM送信装置1aと同様に、受信レート調整バッファメモリ254が不要となる。
【0060】
また、外符号化率Ro=1とすることも可能であり、この場合には、外符号符号化部131は不要となり、内符号符号化部133は、デジタルの音声信号をブロック単位で入力し、ブロックごとに内符号化して内符号を生成する。この場合、パラメータは、内符号符号化部に入力されるブロック単位のデータのビット長をNoとして、No=Ri×M×Ndを満たすように設定される。受信側では、同様に外符号復号部253が不要となる。
【0061】
このように、実施例1のワイヤレスマイク用OFDM送信装置1a及びワイヤレスマイク用OFDM受信装置2aによれば、圧縮処理を行わないため、圧縮処理による遅延は発生せず、また、パラメータをNo=Ri×M×Ndとすることにより、送受信による音声信号の遅延を減少させることができるようになる。実施例1のワイヤレスマイク用OFDM送信装置1a及びワイヤレスマイク用OFDM受信装置2aによる遅延時間は、A/D変換部12の遅延時間が約400μs、D/A変換部26の遅延時間が約400μs、外符号符号化部131及び外符号復号部253の遅延時間が約115μs(BCH符号を用いた場合)、内符号符号化部133及び内符号復号部251の遅延時間が約270μsである。また、OFDM信号への変調及びOFDM信号の復調には3シンボル程度の遅延が発生する。よって、シンボル長を110μsとすると、合計の遅延時間は約1.5msとなる。したがって、
図9に示した従来のデジタル方式のワイヤレスマイクシステムの遅延時間3msに比べて、遅延時間の少ないシステムを実現することができるようになる。
【0062】
なお、パラメータをNo=Ri×M×Ndとすることにより、レート調整バッファメモリを不要とすることができる。また、OFDM変調方式を採用し、ガードインターバルを付加することにより、マルチパスによるフェージングを防止することができるようになる。
【実施例2】
【0063】
次に、本発明による実施例2のワイヤレスマイク用OFDM送信装置及び受信装置について説明する。なお、
図1及び
図2に示した実施例1のワイヤレスマイク用OFDM送信装置1a及びワイヤレスマイク用OFDM受信装置2aと同じ構成要素には同一の参照番号を付して説明を省略する。
図3は、本発明による実施例2のワイヤレスマイク用OFDM送信装置の構成を示すブロック図である。ワイヤレスマイク用OFDM送信装置1bは、
図1に示した実施例1のワイヤレスマイク用OFDM送信装置1aと比較して、水晶発振器19が1つで済む点、及び送信パラメータ設定部18の動作が相違する。
【0064】
送信パラメータ設定部18は、実施例1と同様に、No=Ri×M×Ndとなるように各パラメータを制御し、且つ、サブキャリアのシンボルレートが等しくなるようにパラメータを制御する。サブキャリアのシンボルレートScは、外符号化率Ro、内符号化率Ri、変調多値数M、及びキャリア数Ndを用いて、Sc=入力情報レートI×(1/Ro)×(1/Ri)×(1/M)×(1/Nd)と表される。よって、サブキャリアのシンボルレートScをパラメータの設定モードによらず等しくするには、Ro×Ri×M×Ndを一定とすればよい。したがって、送信パラメータ設定部18は、No=Ri×M×Nd、且つ、Ro×Ri×M×Ndが一定となるように、外符号化率Ro、内符号化率Ri、変調多値数M、及びキャリア数Ndを制御する。このようにパラメータを設定することでパラメータの設定モードによらずサブキャリアのシンボルレートScが一定となるので、ガードインターバル比が変わらない限りは、水晶発振器19が1つで済むようになる。
【0065】
さらに、送信パラメータ設定部18は、Roが一定、且つ、Ri×M×Nd(=No)が一定となるようにパラメータを制御してもよい。外符号符号率Ro及び外符号の符号長Noが一定の場合、情報長Koも一定となるため、外符号符号化部131の回路を共通化でき、回路規模や回路コストを低減することができる。
【0066】
図4は、本発明による実施例2のワイヤレスマイク用OFDM受信装置を示すブロック図である。実施例2のワイヤレスマイク用OFDM受信装置2bは、
図2に示した実施例1のワイヤレスマイク用OFDM受信装置2aと比較して、水晶発振器29が1つで済む点、及び受信パラメータ設定部28の動作のみが相違する。
【0067】
受信パラメータ設定部28は、ワイヤレスマイク用OFDM送信装置1bと同じパラメータを各ブロックに設定する。パラメータは、No=Ri×M×Nd、且つ、Ro×Ri×M×Ndが一定であるため、ワイヤレスマイク用OFDM送信装置1aと同様に、ガードインターバル比が変わらない限りは、水晶発振器29が1つで済むようになる。
【0068】
また、送信パラメータ設定部18が、外符号化率Roが一定、且つ、符号長Noが一定となるように設定する場合には、外符号復号部253の回路を共通化でき、回路規模や回路コストを低減することができる。
【0069】
図5は、No=Ri×M×Nd(条件1)、外符号化率Roが一定(条件2)、及び符号長Noが一定(条件3)の条件を満たすパラメータの一例を示す図である。本実施例では、量子化ビット長は24ビットであり、サンプリング周波数は48KHzである。よって、入力情報レートIは、I=24×48=1152kbpsとなる。また、本発明によるワイヤレスマイク用OFDM送信装置及び受信装置は送受信間の遅延量を少なくするために圧縮伸張処理を行わないため、情報圧縮率は1である。条件2を満たすべく、Ro=128/144=8/9としている。外符号化後のレートIoは、Io=I×1/Ro=1152×9/8=1296kbpsとなる。内符号化率Ri及び変調多値数Mはモードにより異なる。
【0070】
モード1の場合について説明すると、内符号化率Ri=1/3であり、変調多値数M=2である。よってOFDM信号全体のシンボルレートSは、S=Io×(1/Ri)×(1/M)=1296×3/2=1944kHzとなる。
【0071】
次に、条件3を満たすため、符号長Noについて検討する。外符号符号化部131は、1ブロックで伝送するビット数だけ情報ビットが入力されるのを待って処理を開始することになる。そのため、1ブロックで伝送する情報ビット数は少ないほど遅延時間を減らすことができる。しかし、伝送するビット数はある程度大きくないと符号化効率が悪くなる、すなわち、符号長Noをある程度大きくしないと外符号化率Roが小さくなる。したがって、遅延時間と符号化率との兼ね合いで、好適な値を符号長Noに設定する必要がある。
【0072】
RS符号やBCH符号では、符号を2のべき乗を基本に作るため、符号長とパリティサイズに制約がある。以下、BCH符号を例に説明する。2のm乗を2^mと表すと、ある定数mを決めると,符号長Noは、2^(m−1)<No≦2^m−1の範囲とする必要がある。例えばm=8とすると、128<No≦255となる。このとき、情報ビットに付加するパリティビットのサイズNpは、mの整数倍とする必要がある。Np=m×2=16とすると、BCH(144,128)符号は、1符号ブロック内で16ビットの誤り検出、及び8ビットの誤り訂正が可能となる。このときの外符号化率Roは、128/144≒0.89である。地上デジタル放送の外符号は、RS(204,188)符号であり、外符号化率Ro≒0.92である。システム全体のバランスを考えるとRoは0.9近辺が好適と考えられる。
【0073】
遅延時間を少なくするために符号長Noを72とすると、m=7となり、パリティビットのサイズNpは7の倍数となる。BCH(72,58)符号では、外符号化率Ro≒0.81と小さくなってしまう。一方、BCH(72,65)符号では、外符号化率Ro≒0.90となるがパリティビットを小さくしたために,訂正能力が下がり,外符号化率Roがほぼ等しいBCH(144,128)符号に比べて、1dB程度所要のC/Nが下がってしまう。
【0074】
また、移動受信することを考えると、移動のためドップラー効果によりサブキャリア間の干渉が発生する。移動受信にともなう最大ドップラー周波数をキャリア間間隔の5%以下に抑えれば、キャリア間干渉に対して耐性を持たせることができる。また、64QAMなどの多値変調を考慮すると、余裕をみて最大ドップラー周波数をキャリア間間隔の2%以下にするのが好適である。例えば、キャリア間間隔を6.6KHzとすると、6.6KHzの2%は132Hzである。これは、600MHzで時速236Kmに相当し、1200MHzでも時速118Kmに相当する。よって、キャリア間間隔を6.6KHz以上に設定することにより、移動受信も可能となる。
【0075】
符号長Noを256(m=9)とすると、モード1の場合は、キャリア数Ndは、Nd=No×(1/Ri)×(1/M)=256×3/2=384となる。よって、1サブキャリアあたりのシンボルレートScは、Sc=S/Nd=1944/384≒5.1kHzとなる。よって、m=9の場合には、キャリア間間隔は6.6KHz以上とならない。また、シンボル長TsはTs=1/Sc≒197.5μsと大きくなる。以上より、符号長Noは、128<No≦255とするのが好適である。本実施例では、外符号の符号長No=144(単位はビット)としている。
【0076】
さらに、条件1を満たすため、モード1の場合は、キャリア数Ndは、Nd=No×(1/Ri)×(1/M)=144×3/2=216となる。よって、サブキャリアのシンボルレートScは、Sc=S/Nd=1944/216=9kbpsとなる。このとき、シンボル長TsはTs=1/Sc≒111.1μsである。
【0077】
このように、実施例2のワイヤレスマイク用OFDM送信装置1b及びワイヤレスマイク用OFDM受信装置2bによれば、No=Ri×M×Nd、且つ、Ro×Ri×M×Ndが一定となるように、符号長No、外符号化率Ro、内符号化率Ri、変調多値数M、及びキャリア数Ndを制御することにより、送信レート変換部146及び受信レート変換部254を削減することができる。
【0078】
さらに、外符号率Roが一定、且つ、符号長Noが一定となるように、外符号化率Ro及び符号長Noを設定することにより、さらに外符号符号化部131及び外符号復号部253の回路規模を小さくすることができる。
【0079】
さらに、符号長Noが128<No≦255となるように、符号長Noを設定することにより、移動受信時のドップラー効果によるサブキャリア間の干渉を防止することができる。
【0080】
上述の実施形態は、代表的な例として説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換ができることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。例えば、ワイヤレスマイク用OFDM送信装置1a,1bが、インターリーブ部132を備えず、ワイヤレスマイク用OFDM受信装置2a,2bがデインターリーブ部252を備えない構成とすることも可能である。