【実施例】
【0048】
以下に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
【0049】
本明細書において規定する測定は、以下の方法により測定、評価した。
【0050】
[接着剤の保持力]
ポリエチレンフィルム(長さ150mm、幅25mm)に、50μmの厚みとなるように接着剤を均一に塗布して、試験片とした。ステンレス鋼板(長さ125mm、幅50mm)の一端に、試験片の長さ25mm×幅25mmの面積が接するように、貼り付け、貼り付いていない部分は、接着面を内側にして折り重ねた。試験片の上から、2kgのゴムローラーを用いて、5mm/秒の速度で1往復し圧着した。
【0051】
20分後、ステンレス鋼板の一端を止め、ステンレス鋼板及び試験片が垂直に垂れ下がるようにし、折り重ねられた試験片の部分の端に、1kgのおもりを取り付けた。
【0052】
試験片がステンレス鋼板から剥がれて落下するまでの時間を測定した。測定を3枚の試験片について行い、その平均値を、接着剤の保持力とした。なお、1440分間(24時間)を超えた場合は、「1440分間以上」と評価した。
【0053】
[吸水シート構成体の乾燥状態の厚み]
得られた吸水シート構成体をそのまま、サンプルとした(10cm×30cm)。なお、得られた吸水シート構成体が10cm×30cmの形状になっていない場合は、10cm×30cmの短冊状で、長手方向が不織布の縦方向(機械方向)となるように切断したものを、サンプルとして使用した。
【0054】
厚み測定器(株式会社尾崎製作所製、型番:J−B)を用いて、長手方向に左端、中央、右端の3箇所(左から3cmを左端、15cmを中央、27cmを右端)を測定した。幅方向は中央部を測定した。厚みの測定値は各箇所で3回測定して平均した。さらに、左端、中央、右端の値を平均して、吸水シート構成体全体の厚みとした。
【0055】
[吸水シート構成体の膨張厚み比及び膨張エンボス深さ]
吸水シート構成体を、5cm×5cmに切断したものをサンプルとして使用した。
得られたサンプルについて、レーザ変位センサ(株式会社キーエンス製、型番:LBシリーズ)を用いて、エンボスが施されていない平面の厚みを測定した。厚みの測定は、測定箇所を変えて5回行い、その平均値を生理食塩水吸収前の厚みT1(mm)とした(例えば、
図1参照)。
【0056】
前記サンプルに、10mLの生理食塩水(0.9質量%塩化ナトリウム水溶液、以下同様)を均一に投入し、吸収させた。なお、吸収させた生理食塩水は、サンプル(吸水シート構成)1m
2あたり4L(4L/m
2)に該当する。
【0057】
生理食塩水の投入から10分間経過後の生理食塩水吸収後のサンプルについて、上記T1と同様の測定方法により、生理食塩水吸収後の厚みT2(mm)を測定した(例えば、
図2参照)。
【0058】
また、レーザ変位センサ(株式会社キーエンス製、型番:LBシリーズ)を用いて、エンボスが施されている箇所の厚みを測定した。エンボス深さの測定は測定箇所を変えて5回行い、その平均値を生理食塩水吸収後のエンボス厚みt2(mm)とした(例えば、
図2参照)。
【0059】
前記T1、T2、t2を測定した後、下記式により、吸水シート構成体の膨張厚み比及び膨張エンボス深さを、それぞれ算出した。
(A)膨張厚み比=T2/T1
(B)膨張エンボス深さ=(T2−t2)/T2
【0060】
[吸水シート構成体の浸透速度、幅方向の液漏れ、及び逆戻り量]
吸水シート構成体を10cm×30cmの短冊状で、長手方向が親水性不織布の縦方向(機械方向)となるように切断したものを、サンプルとして使用した。
【0061】
10L容の容器に、塩化ナトリウム60g、塩化カルシウム二水和物1.8g、塩化マグネシウム六水和物3.6g及び適量の蒸留水を入れ、完全に溶解させた。次に、1質量%ポリ(オキシエチレン)イソオクチルフェニルエーテル水溶液15gを添加し、さらに蒸留水を添加して、水溶液全体の質量を6000gに調整した後、少量の青色1号で着色して、試験液を調製した。
【0062】
サンプル(吸水シート構成体)の上部に、サンプルと同じ大きさ(10cm×30cm)、目付量22g/m
2のポリエチレン製エアスルー型多孔質液体透過性シートを載せた。また、サンプルの下に、サンプルと同じ大きさ及び目付量のポリエチレン製液体不透過性シートを置き、簡易的な吸収性物品を作製した。この吸収性物品の中心付近に、内径3cmの円筒型シリンダーを置き、50mLの試験液をそのシリンダー内に一度に投入するとともに、ストップウォッチを用いて、試験液がシリンダー内から完全に消失するまでの時間を測定し、1回目の浸透速度(秒)とした。次いで30分後及び60分後にも、1回目と同じ位置に前記円筒型シリンダーを置いて同様の操作を行い、2回目及び3回目の浸透速度(秒)を測定した。1回目〜3回目の秒数の合計を合計浸透速度とした。
【0063】
また、前記1〜3回の各浸透速度の測定終了後、吸水シート構成体の幅方向の液漏れの有無について、目視にて確認した。1回でも幅方向の液漏れが発生すれば、液漏れ有りと評価した。
【0064】
さらに、1回目の試験液投入開始から120分後にシリンダーを取り除き、吸収性物品上の試験液投入位置付近に、あらかじめ質量(Wa(g)、約70g)を測定しておいた10cm四方の濾紙(約80枚)を置き、その上に底面が10cm×10cmの5kgの重りを載せた。5分間の荷重後、濾紙の質量(Wb(g))を測定し、増加した質量を液体逆戻り量(g)とした。
液体逆戻り量(g)=Wb−Wa
【0065】
[傾斜における漏れ試験]
傾斜における漏れ試験は、
図8に示す装置を用いて行った。
概略としては、市販の実験設備用の架台51を用いて、アクリル板52を傾斜させて固定した後、板上に載置した吸収性物品53に鉛直上方から滴下ロート54で前記の試験液を投入し、漏れ量を天秤55で計量する機構である。以下に詳細な仕様を示す。
【0066】
アクリル板52は傾斜面方向の長さが45cmで、架台51によって水平に対して成す角45±2°になるよう固定した。アクリル板52は幅100cm、厚さ1cmで、複数の吸収性物品53を並行して測定することも可能であった。アクリル板52の表面は滑らかなので、板に試験液が滞留したり吸収されたりすることはなかった。
【0067】
架台51を用いて、滴下ロート54を傾斜アクリル板52の鉛直上方に固定した。滴下ロート54は、容量100mL、先端部の内径が約4mmであり、8mL/秒で試験液が投入されるようにコックの絞りを調整した。
【0068】
アクリル板52の下部には、トレイ56を載置した天秤55が設置されており、漏れとして流れ落ちる試験液をすべて受けとめ、その質量を0.1gの精度まで記録した。
【0069】
このような装置を用いた傾斜における漏れ試験は、以下の手順で行った。幅10cm×長さ30cmの短冊状で、長手方向が親水性不織布の縦方向(機械方向)となるように切断した吸水シート構成体の質量を測定した。次いで、同サイズのエアスルー型ポリエチレン製液体透過性不織布(目付量22g/m
2)を前記吸水シート構成体の上方から付し、さらに、同サイズ及び同目付量のポリエチレン製液体不透過性シートを下方から付して作成した簡易的な吸収性物品53を、アクリル板52上に貼り付けた(漏れを作為的に止めないために、吸収性物品53の下端はアクリル板52上には貼り付けなかった)。
【0070】
吸収性物品53の上端から2cm下方向の箇所に目印をつけ、滴下ロート54の投入口を、目印から鉛直上方距離8±2mmになるように固定した。
【0071】
天秤55を起動させ、表示をゼロに補正した後、滴下ロート54に前記試験液80mLを一度に投入した。試験液が吸収性物品53に吸収されずに傾斜したアクリル板52を流れ、トレイ56に入った液量を測定し、1回目の漏れ量(g)とした。この1回目の漏れ量(g)の数値をLW1とした。
【0072】
1回目の投入開始から10分間隔にて、同様に2回目、3回目の試験液を投入して、2回目、3回目の漏れ量(g)を測定し、その数値をそれぞれLW2、LW3とした。
【0073】
次いで、以下の式に従って漏れ指数を算出した。指数が小さいほど、吸水シート構成体の傾斜における漏れ量、特に初期の漏れ量が少なく、優れた吸水シート構成体と判断される。
漏れ指数:L=LW1×10+LW2×5+LW3
【0074】
[吸水シート構成体の型崩れ]
前記の傾斜における漏れ試験実施後の吸水シート構成体の状態変化を、目にて確認して、以下の基準で評価した。
A:吸収層に変化なく、型崩れしていない。
B:一部、吸水性樹脂の移動等吸収層に変化があり、多少型崩れしている。
C:かなり型崩れをしている。
【0075】
[実施例1]
加熱温度を150℃に設定したホットメルト塗工機(株式会社ハリーズ製:マーシャル150)上に、親水性不織布として幅30cmのポリプロピレン製スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(以下、SMSと表記)不織布を親水化剤により親水化処理したもの(目付量:13g/m
2、厚さ:150μm、ポリプロピレン含有率:100%)を敷いた後、接着剤としてスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS−1;軟化点85℃、保持力1440分間以上)を目付量14g/m
2で当該不織布上に塗布した。
【0076】
次に、ローラー型散布機(株式会社ハシマ製:シンターエースM/C)の投入口に、吸水性樹脂としてポリアクリル酸部分ナトリウム中和物の架橋体(住友精化株式会社製:アクアキープSA55SX−II)を仕込んだ。一方、散布機下部のコンベアーに、前記接着剤を塗布した親水性不織布を敷いた。次いで、散布ローラーと下部コンベアーを稼動させることにより、前記ポリアクリル酸部分ナトリウム中和物の架橋体を目付量190g/m
2で前記接着剤を塗布した親水性不織布上に均一に積層し、積層体を得た。
【0077】
接着剤として前記SBS−1を目付量14g/m
2で前記と同様の方法で塗布した前記SMS親水性不織布で、得られた積層体の上部から挟みつけた後、加熱温度を100℃に設定したラミネート機(株式会社ハシマ製:直線式接着プレスHP−600LF)にて熱融着させることでこれらを一体化させ、吸水シート構成体の中間物を得た。
【0078】
前記と同様に、加熱温度を150℃に設定したホットメルト塗工機上に、得られた吸水シート構成体の中間物を敷き、接着剤として前記SBS−1を目付量10g/m
2で前記吸水シート構成体の中間物上に塗布した。
【0079】
次に、前記ローラー型散布機の投入口に、吸水性樹脂としてポリアクリル酸部分ナトリウム中和物の架橋体(住友精化株式会社製:アクアキープ10SH−PB)を仕込んだ。一方、散布機下部のコンベアーに、前記接着剤を塗布した吸水シート構成体の中間物を敷いた。次いで、散布ローラーと下部コンベアーを稼動させることにより、前記ポリアクリル酸部分ナトリウム中和物の架橋体を目付量50g/m
2で接着剤を塗布した吸水シート構成体の中間物上に均一に積層し、積層体を得た。
【0080】
接着剤として前記SBS−1を目付量10g/m
2で前記と同様の方法で塗布した前記SMS親水性不織布で、得られた積層体の上部から挟みつけた後、加熱温度を100℃に設定した前記ラミネート機にて熱融着させることでこれらを一体化させ、エンボスを施す前の吸水シート構成体を得た。
【0081】
得られたエンボスを施す前の吸水シート構成体を、10cm×30cmの短冊状で、長手方向が不織布の縦方向(機械方向)となるように切断した後、前記吸水シート構成体(片面)上に、加熱エンボスロールにて、エンボス面積率が7%、かつ
図7で表されるエンボス形状が形成されるようにエンボスを施し、吸水シート構成体を得た。
【0082】
得られた吸水シート構成体について、前記各種測定及び評価を行った。結果を表1、2に示す。
【0083】
[実施例2]
エンボス面積率を7%から13%に変更し、かつ
図6に示すエンボス形状を施した以外は、実施例1と同様の方法によって、吸水シート構成体を得た。
【0084】
得られた吸水シート構成体について、前記各種測定及び評価を行った。結果を表1、2に示す。
【0085】
[実施例3]
加熱温度を150℃に設定したホットメルト塗工機(株式会社ハリーズ製:マーシャル150)上に、親水性不織布として幅30cmのスパンレース親水性不織布(目付量:50g/m
2、厚さ:400μm、レーヨン含有率:70%、ポリエチレンテレフタレート含有率:30%)を敷いた後、接着剤としてスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS−1;軟化点85℃、保持力1440分間以上)を目付量20g/m
2で当該不織布上に塗布した。
【0086】
次に、ローラー型散布機(株式会社ハシマ製:シンターエースM/C)の投入口に、吸水性樹脂としてポリアクリル酸部分ナトリウム中和物の架橋体(住友精化株式会社製:アクアキープSA55SX−II)を仕込んだ。一方、散布機下部のコンベアーに、前記接着剤を塗布した親水性不織布を敷いた。次いで、散布ローラーと下部コンベアーを稼動させることにより、前記ポリアクリル酸部分ナトリウム中和物の架橋体を目付量270g/m
2で前記接着剤を塗布した親水性不織布上に均一に積層し、積層体を得た。
【0087】
接着剤として前記SBS−1を目付量20g/m
2で前記と同様の方法で塗布した前記スパンレース親水性不織布で、得られた積層体の上部から挟みつけた後、加熱温度を100℃に設定したラミネート機(株式会社ハシマ製:直線式接着プレスHP−600LF)にて熱融着させることでこれらを一体化させ、吸水シート構成体の中間物A−1を得た。
【0088】
前記と同様に、加熱温度を150℃に設定した前記ホットメルト塗工機上に、親水性不織布として幅30cmのスパンレース親水性不織布(目付量:50g/m
2、厚さ:400μm、レーヨン含有率:70%、ポリエチレンテレフタレート含有率:30%)を敷いた後、接着剤としてSBS−1を目付量6g/m
2で当該不織布上に塗布した。
【0089】
次に、前記ローラー型散布機の投入口に、吸水性樹脂としてポリアクリル酸部分ナトリウム中和物の架橋体(住友精化株式会社製:アクアキープ10SH−PB)を仕込んだ。一方、散布機下部のコンベアーに、前記接着剤を塗布した親水性不織布を敷いた。次いで、散布ローラーと下部コンベアーを稼動させることにより、前記ポリアクリル酸部分ナトリウム中和物の架橋体を目付量70g/m
2で前記接着剤を塗布した親水性不織布上に均一に積層し、積層体を得た。
【0090】
接着剤として前記SBS−1を目付量6g/m
2で前記と同様の方法で塗布した前記スパンレース親水性不織布で、得られた積層体の上部から挟みつけた後、加熱温度を100℃に設定した前記ラミネート機にて熱融着させることでこれらを一体化させ、吸水シート構成体の中間物B−1を得た。
【0091】
得られた吸水シート構成体の中間物B−1上に、前記SBS−1を目付量4g/m
2で前記と同様の方法で塗布した後、その上部から得られた吸水シート構成体の中間物A−1を重ねた。次いで、加熱温度を40℃に設定した前記ラミネート機にて熱融着させることで前記吸水シート構成体の中間物A−1及びB−1を一体化させ、エンボスを施す前の吸水シート構成体を得た。
【0092】
得られたエンボスを施す前の吸水シート構成体を、10cm×30cmの短冊状で、長手方向が不織布の縦方向(機械方向)となるように切断した後、前記吸水シート構成体(片面)上に、加熱エンボスロールにて、エンボス面積率が7%、かつ
図7で表されるエンボス形状が形成されるようにエンボスを施し、吸水シート構成体を得た。
【0093】
得られた吸水シート構成体について、前記各種測定及び評価を行った。結果を表1、2に示す。
【0094】
[実施例4]
実施例3において得られたエンボスを施す前の吸水シート構成体の中間物A−1を、10cm×30cmの短冊状で、長手方向が不織布の縦方向(機械方向)となるように切断した後、前記吸水シート構成体の中間物A−1(片面)上に、加熱エンボスロールにて、エンボス面積率が7%、かつ
図7で表されるエンボス形状が形成されるようにエンボスを施し、吸水シート構成体の中間物A−1eを得た。
【0095】
実施例3において得られた吸水シート構成体の中間物B−1を、10cm×30cmの短冊状で、長手方向が不織布の縦方向(機械方向)となるように切断した後、吸水シート構成体の中間物B−1上に、前記SBS−1を目付量4g/m
2で前記と同様の方法で塗布した後、その上部から得られた吸水シート構成体の中間物A−1eのエンボスが施されていない面を重ねた。次いで、加熱温度を40℃に設定した前記ラミネート機にて熱融着させることで前記吸水シート構成体の中間物A−1e及びB−1を一体化させ、吸水シート構成体を得た。
【0096】
[実施例5]
加熱温度を150℃に設定したホットメルト塗工機(株式会社ハリーズ製:マーシャル150)上に、親水性不織布として幅30cmのスパンレース親水性不織布(目付量:50g/m
2、厚さ:400μm、レーヨン含有率:70%、ポリエチレンテレフタレート含有率:30%)を敷いた後、接着剤としてスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS−1;軟化点85℃、保持力1440分間以上)を目付量30g/m
2で当該不織布上に塗布した。
【0097】
次に、ローラー型散布機(株式会社ハシマ製:シンターエースM/C)の投入口に、吸水性樹脂としてポリアクリル酸部分ナトリウム中和物の架橋体(住友精化株式会社製:アクアキープSA55SX−II)を仕込んだ。一方、散布機下部のコンベアーに、前記接着剤を塗布した親水性不織布を敷いた。次いで、散布ローラーと下部コンベアーを稼動させることにより、前記ポリアクリル酸部分ナトリウム中和物の架橋体を目付量400g/m
2で前記接着剤を塗布した親水性不織布上に均一に積層し、積層体を得た。
【0098】
接着剤として前記SBS−1を目付量30g/m
2で前記と同様の方法で塗布した前記スパンレース親水性不織布で、得られた積層体の上部から挟みつけた後、加熱温度を100℃に設定したラミネート機(株式会社ハシマ製:直線式接着プレスHP−600LF)にて熱融着させることでこれらを一体化させ、エンボスを施す前の吸水シート構成体を得た。
【0099】
得られたエンボスを施す前の吸水シート構成体を、10cm×30cmの短冊状で、長手方向が不織布の縦方向(機械方向)となるように切断した後、前記吸水シート構成体(片面)上に、加熱エンボスロールにて、エンボス面積率が7%、かつ
図7で表されるエンボス形状が形成されるようにエンボスを施し、吸水シート構成体を得た。
【0100】
得られた吸水シート構成体について、前記各種測定及び評価を行った。結果を表1、2に示す。
【0101】
[比較例1]
積層シート構成体にエンボスを施さない以外は、実施例1と同様の方法によって、吸水シート構成体を得た。
【0102】
得られた吸水シート構成体について、前記各種測定及び評価を行った。結果を表1、2に示す。
【0103】
[比較例2]
接着剤を、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS−1;軟化点85℃、保持力1440分間以上)から、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SBS−2;軟化点82℃、保持力850分間)に変更した以外は、実施例1と同様の方法によって、吸水シート構成体を得た。
【0104】
得られた吸水シート構成体について、前記各種測定及び評価を行った。結果を表1、2に示す。
【0105】
[比較例3]
エンボス面積率を7%から35%に変更し、かつ
図6に示すエンボス形状を施した以外は、実施例1と同様の方法によって、吸水シート構成体を得た。
【0106】
得られた吸水シート構成体について、前記各種測定及び評価を行った。結果を表1、2に示す。
【0107】
[比較例4]
加熱温度を150℃に設定したホットメルト塗工機(株式会社ハリーズ製:マーシャル150)上に、親水性不織布として幅30cmのスパンレース親水性不織布(目付量:50g/m
2、厚さ:400μm、レーヨン含有率:70%、ポリエチレンテレフタレート含有率:30%)を敷いた後、接着剤としてスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS−1;軟化点85℃、保持力1440分間以上)を目付量16g/m
2で当該不織布上に塗布した。
【0108】
次に、ローラー型散布機(株式会社ハシマ製:シンターエースM/C)の投入口に、吸水性樹脂としてポリアクリル酸部分ナトリウム中和物の架橋体(住友精化株式会社製:アクアキープSA55SX−II)を仕込んだ。一方、散布機下部のコンベアーに、前記接着剤を塗布した親水性不織布を敷いた。次いで、散布ローラーと下部コンベアーを稼動させることにより、前記ポリアクリル酸部分ナトリウム中和物の架橋体を目付量220g/m
2で前記接着剤を塗布した親水性不織布上に均一に積層し、積層体を得た。
【0109】
接着剤として前記SBS−1を目付量16g/m
2で前記と同様の方法で塗布した前記スパンレース親水性不織布で、得られた積層体の上部から挟みつけた後、加熱温度を100℃に設定したラミネート機(株式会社ハシマ製:直線式接着プレスHP−600LF)にて熱融着させることでこれらを一体化させ、エンボスを施す前の吸水シート構成体の中間物A−2を得た。
【0110】
得られたエンボスを施す前の吸水シート構成体の中間物A−2を、10cm×30cmの短冊状で、長手方向が不織布の縦方向(機械方向)となるように切断した後、前記吸水シート構成体の中間物A−2(片面)上に、加熱エンボスロールにて、エンボス面積率が7%、かつ
図7で表されるエンボス形状が形成されるようにエンボスを施し、吸水シート構成体の中間物A−2eを得た。
【0111】
前記と同様に、加熱温度を150℃に設定した前記ホットメルト塗工機上に、親水性不織布として幅30cmのスパンレース親水性不織布(目付量:50g/m
2、厚さ:400μm、レーヨン含有率:70%、ポリエチレンテレフタレート含有率:30%)を敷いた後、接着剤としてスチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SBS−2;軟化点82℃、保持力850分間)を目付量9g/m
2で当該不織布上に塗布した。
【0112】
次に、前記ローラー型散布機の投入口に、吸水性樹脂としてポリアクリル酸部分ナトリウム中和物の架橋体(住友精化株式会社製:アクアキープ10SH−PB)を仕込んだ。一方、散布機下部のコンベアーに、前記接着剤を塗布した親水性不織布を敷いた。次いで、散布ローラーと下部コンベアーを稼動させることにより、前記ポリアクリル酸部分ナトリウム中和物の架橋体を目付量120g/m
2で前記接着剤を塗布した親水性不織布上に均一に積層し、積層体を得た。
【0113】
接着剤として前記SBS−2を目付量9g/m
2で前記と同様の方法で塗布した前記スパンレース親水性不織布で、得られた積層体の上部から挟みつけた後、加熱温度を100℃に設定した前記ラミネート機にて熱融着させることでこれらを一体化させ、吸水シート構成体の中間物B−2を得た。
【0114】
得られた吸水シート構成体の中間物B−2を、10cm×30cmの短冊状で、長手方向が不織布の縦方向(機械方向)となるように切断した後、吸水シート構成体の中間物B−2上に、前記SBS−1を目付量4g/m
2で前記と同様の方法で塗布した後、その上部から得られた吸水シート構成体の中間物A−2eのエンボスが施されていない面を重ねた。次いで、加熱温度を40℃に設定した前記ラミネート機にて熱融着させることで前記吸水シート構成体の中間物A−2e及びB−2を一体化させ、吸水シート構成体を得た。
【0115】
得られた吸水シート構成体について、前記各種測定及び評価を行った。結果を表1、2に示す。
【0116】
【表1】
【0117】
T1:生理食塩水吸収前の吸水シート構成体厚み(mm)
T2:生理食塩水吸収後の吸水シート構成体厚み(mm)
t2:生理食塩水吸収後の吸水シート構成体におけるエンボス厚み(mm)
【0118】
【表2】
【0119】
以上の結果より、実施例の吸水シート構成体は、液体の浸透速度が速く、幅方向の液漏れが少なく、液体吸収後に型崩れしない(形態保持性に優れている)ことがわかった。
【0120】
一方、比較例においては、エンボスが施されていないもの(比較例1)、吸水シート構成体が液体を吸収して膨潤した際にエンボス深さが浅くなるもの(比較例2及び4)、及び吸水シート構成体の膨潤厚み比が小さいもの(比較例3)のいずれもが、液体の浸透速度の向上、幅方向の液漏れの防止及び型崩れといった課題を同時に満たすことができず、吸水シート構成体として劣るものであった。