(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記易開封手段が、前記耳部の長手方向と直交する方向に形成された複数の切線、細孔、及びノッチから選択される1種又は2種以上である、請求項1に記載の筒状密封包装体。
前記易開封手段が、前記耳部の長手方向と直交する方向に形成された複数の切線、細孔、及びノッチから選択される1種又は2種以上である、請求項3〜5のいずれか1項に記載の筒状密封包装体の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来提案されている筒状密封包装体の耳部には、易開封手段としてチューブ両端の結束部にまで多数の微細な孔やノッチが形成されている。そのため、柔軟性食品を充填した筒状密封包装体の製造工程中に加わる力(圧力や衝撃力等)により、その結束部付近の湾曲部にある耳部ではフィルムが裂けやすく、柔軟性食品が外に飛び出す不具合が生じるおそれがあった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、製造工程中に筒状密封包装体の結束部付近の湾曲部にある耳部が裂けて、製造歩留まりが低下するのを防ぐことができるとともに、耳部で裂けにくい構造形態を有する筒状密封包装体及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、上記筒状密封包装体及びその製造方法で用いる包装用フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、易開封手段を有する筒状密封包装体とその製造方法について鋭意研究する過程で、耳部のうち筒状の本体部(以下、筒状本体部という。)の長手方向の両端部にある結束部付近の湾曲部以外の耳部のみに易開封手段を設けることにより、製造工程中にその湾曲部に力が加わった場合でも、フィルムが裂けるのを防止できることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
上記課題を解決するための本発明に係る筒状密封包装体は、フィルムの長手方向に直交する左右両側の縁部が重ね合わされ且つシールされた耳部を有する筒状本体部と、 該筒状本体部内に充填されている内容物と、前記筒状本体部の長手方向の両端部が結束されて前記内容物を密封する結束部と、を有し、前記耳部のうち前記筒状本体部の長手方向の両端部の湾曲部以外の耳部
をなす直線部には、易開封手段が
前記長手方向に等間隔のピッチで、前記直線部における前記長手方向の全長にわたり設けられていることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、筒状本体部の耳部のうち筒状本体部の長手方向の両端部の湾曲部以外の耳部に易開封手段が設けられているので、その湾曲部には易開封手段が設けられていないことになるため、易開封手段が設けられていない湾曲部に力が加わった場合であっても、湾曲部の耳部は裂けにくく、内容物が外に飛び出すことがない。その結果、こうした構造形態を有する筒状密封包装体を製造する場合の歩留まりが高まり、製造コストの低下を実現することができる。
【0012】
本発明に係る筒状密封包装体において、前記易開封手段が、前記耳部の長手方向と直交する方向に形成された複数の切線、細孔、及びノッチから選択される1種又は2種以上であることが好ましい。
【0013】
この発明によれば、易開封手段が、耳部の長手方向に直交する方向に形成された複数の切線、細孔、及びノッチから選択される1種又は2種以上であるので、耳部を容易に裂いて筒状密封包装体を容易且つ迅速に開封することができる。
【0014】
上記課題を解決するための本発明の第1形態に係る筒状密封包装体の製造方法は、帯状フィルムの長手方向に直交する左右両側の縁部に、易開封手段形成部及び易開封手段非形成部を設ける工程と、前記縁部を重ね合わせる工程と、重ね合わせた前記縁部をシールして耳部を形成した筒状本体部を得る工程と、前記筒状本体部内に内容物を充填する工程と、前記筒状本体部の長手方向の一端部での結束を前記易開封手段非形成部で行う工程と、前記筒状本体部の長手方向の他の一端部での結束を前記易開封手段非形成部で行って前記内容物を前記筒状本体部内に密封する工程と、を有
し、前記易開封手段形成部を設ける工程では、前記易開封手段形成部の長手方向に等間隔のピッチで、前記易開封手段形成部における前記長手方向の全長にわたり、易開封手段を形成することを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、予め帯状フィルムの長手方向に直交する左右両側の縁部に易開封手段形成部及び易開封手段非形成部を設ける工程を有し、さらに、その縁部を重ね合わせ且つシールしてなる筒状本体部の長手方向での結束を、易開封手段非形成部で行う。こうした結束工程によって、筒状本体部の耳部のうち、該筒状本体部の長手方向の両端部の湾曲部以外の耳部には易開封手段が設けられているので、湾曲部には易開封手段が設けられていない。そのため、易開封手段が設けられていない湾曲部に力が加わった場合であっても、湾曲部の耳部は裂けにくく、内容物が外に飛び出すことがない。その結果、こうした構造形態を有する筒状密封包装体を製造する場合の歩留まりが高まり、製造コストの低下を実現することができる。さらに、筒状密封包装体を搬送中に振動や衝撃により湾曲部に力が加わった場合であっても、湾曲部の耳部は裂けにくく、内容物が外に飛び出すことを防止することができる。
【0016】
上記課題を解決するための本発明の第2形態に係る筒状密封包装体の製造方法は、帯状フィルムの長手方向に直交する左右両側の縁部を重ね合わせる工程と、重ね合わせた前記縁部をシールして耳部を形成した筒状本体部を得る工程と、前記耳部に易開封手段形成部及び易開封手段非形成部を設ける工程と、前記筒状本体部内に内容物を充填する工程と、前記筒状本体部の長手方向の一端部での結束を前記易開封手段非形成部で行う工程と、前記筒状本体部の長手方向の他の一端部での結束を前記易開封手段非形成部で行って前記内容物を前記筒状本体部内に密封する工程と、を有
し、前記易開封手段形成部を設ける工程では、前記易開封手段形成部の長手方向に等間隔のピッチで、前記易開封手段形成部における前記長手方向の全長にわたり、易開封手段を形成することを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、帯状フィルムの長手方向に直交する左右両側の縁部を重ね合わせ且つシールしてなる筒状本体部の長手方向での結束を、易開封手段非形成部で行う。こうした結束工程によって、筒状本体部の耳部のうち、該筒状フィルムの長手方向の両端部の湾曲部以外の耳部には易開封手段が設けられているので、湾曲部には易開封手段が設けられていない。そのため、易開封手段が設けられていない湾曲部に力が加わった場合であっても、湾曲部の耳部は裂けにくく、内容物が外に飛び出すことがない。その結果、こうした構造形態を有する筒状密封包装体を製造する場合の歩留まりが高まり、製造コストの低下を実現することができる。さらに、筒状密封包装体を搬送中に振動や衝撃により湾曲部に力が加わった場合であっても、湾曲部の耳部は裂けにくく、内容物が外に飛び出すことを防止することができる。
【0018】
本発明の第2形態に係る筒状密封包装体の製造方法において、前記筒状本体部を得る工程と、前記易開封手段形成部及び前記易開封手段非形成部を設ける工程とを同時に行うことが好ましい。
【0019】
この発明によれば、筒状本体部を得る工程と、易開封手段形成部及び易開封手段非形成部を設ける工程とを同時に行うので、耳部の易開封手段形成部に設けた易開封手段の位置をより正確に行うことができる。
【0020】
本発明の第1及び第2形態に係る筒状密封包装体の製造方法において、前記易開封手段が、前記耳部の長手方向に直交する方向に形成された複数の切線、細孔、及びノッチから選択される1種又は2種以上であることが好ましい。
【0021】
この発明によれば、易開封手段が、耳部の長手方向に直交する方向に形成された複数の切線、細孔、及びノッチから選択される1種又は2種以上であるので、耳部を容易に裂いて筒状本体部を容易且つ迅速に開封することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る筒状密封包装体によれば、湾曲部には易開封手段が設けられていないことになるため、易開封手段が設けられていない湾曲部に力が加わった場合であっても、湾曲部の耳部は裂けにくく、内容物が外に飛び出すことがない。その結果、こうした構造形態を有する筒状密封包装体を製造する場合の歩留まりが高まり、製造コストの低下を実現することができる。
【0025】
本発明に係る筒状密封包装体の製造方法によれば、湾曲部には易開封手段が設けられていないため、易開封手段が設けられていない湾曲部に力が加わった場合であっても、湾曲部の耳部は裂けにくく、内容物が外に飛び出すことがない。その結果、こうした構造形態を有する筒状密封包装体を製造する場合の歩留まりが高まり、製造コストの低下を実現することができる。さらに、筒状密封包装体を搬送中に振動や衝撃により湾曲部に力が加わった場合であっても、湾曲部の耳部は裂けにくく、内容物が外に飛び出すことを防止することができる。
【0026】
本発明に係る包装用フィルムによれば、筒状密封包装体を製造するためのフィルムとして利用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明に係る筒状密封包装体及びその製造方法について、図面を参照して詳しく説明する。なお、本発明は、その技術的特徴を有すれば種々の変形が可能であり、以下に具体的に示す実施形態に限定されるものではない。
【0029】
[筒状密封包装体]
図1は、本発明に係る筒状密封包装体100としての魚肉ソーセージの例である。本発明に係る筒状密封包装体100は、
図1に示すように、長手方向に直交する左右両側の縁部が重ね合わされ且つシールされた耳部1を長手方向に有する筒状本体部2と、筒状本体部2内に充填されている内容物3と、筒状本体部2の長手方向の両端部を結束して内容物3を密封している結束部4とを有している。そして、耳部1のうち筒状本体部2の長手方向の両端部の湾曲部6以外の耳部1には、易開封手段が設けられている。
【0030】
以下、各構成について詳しく説明する。
【0031】
(筒状本体部)
筒状本体部2は、フィルムの長手方向に直交する左右両側の縁部の表裏のいずれか同一面が接触し重ね合わされ且つシールされて形成されている。形成された筒状本体部2は、後述する結束工程前までは、上端部と下端部が開口した筒形状となっている。縁部を重ね合わせる方法としては、筒状本体部2の表裏のいずれか同一面を接触させて重ね合わせる合掌貼り法が用いられる。
【0032】
筒状本体部2を構成する樹脂は、熱収縮性を有する塩化ビニリデン系樹脂が好ましく用いられるがこれらに限定されない。樹脂としては、具体的には、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン−メチルメタクリレート共重合体、塩化ビニリデン−塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等を挙げることができる。樹脂には、必要に応じて添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、染料顔料等の着色剤、等を挙げることができる。
【0033】
筒状本体部2の厚さは、通常30μm〜50μmの範囲である。なお、「長手方向」とは、筒状本体部の縦長方向をいう。「直交」とは、長手方向に垂直する方向をいう。「左右両側」とは、フィルムの左側及び右側をいう。「縁部」とは、フィルムの左右両側の両端部をいう。「表裏のいずれか同一面が接触する」とは、表面又は裏面のいずれかの同一面を接触させることをいい、表面と裏面の異なる面を接触させることを含まない意味である。「重ね合わせ」とは、フィルムの左右両側の縁部を接触させることをいう。「シール」とは、重ね合わせた部分を貼り合わせることをいう。
【0034】
縁部を重ね合わせる方法としては、筒状本体部2の表裏のいずれか同一面を接触させて重ね合わせる合掌貼り法が用いられる。
【0035】
シールする部分は、筒状本体部2の左右両側の縁部を重ね合わせた部分である。この部分をシールすることによって、耳部1が形成される。シールする方法は、ヒートシールが好ましく適用されるが、それ以外の方法であってもよい。例えば、接着剤等が用いられる。ヒートシールとしては、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等を挙げることができる
【0036】
耳部1は、
図1に示すように、筒状本体部2の長手方向に直交する左右両側の縁部の表裏のいずれか同一面を接触させ重ね合わせてシールした部分である。
図1及び
図2に示すように、耳部1は、湾曲部6以外の直線部7に設けられた易開封手段形成部1Aと、湾曲部6に設けられた易開封手段非形成部1Bとで構成されている。なお、易開封手段形成部1Aには易開封手段が設けられており、易開封手段非形成部1Bには易開封手段が設けられていない。耳部1の幅は、通常2mm〜20mmである。
【0037】
(易開封手段)
易開封手段は、
図1及び
図2に示すように、耳部1の直線部7の易開封手段形成部1Aに設けられている。この易開封手段により耳部1を容易に引き裂くことができ、筒状本体部2を容易に開封することができる。
【0038】
直線部7は、
図1及び
図2に示すように、筒状密封包装体の湾曲部6を除いた部分であり、易開封手段形成部1Aが形成されている。一方、湾曲部6とは、
図1及び
図2に示すように、筒状本体部2の長手方向の両端部を結束させた場合に形成される筒状密封包装体の半球面の曲面部をいい、易開封手段非形成部1Bが形成されている。
【0039】
易開封手段は、
図5に示すように、多数の切線(ハーフカットを含む)5A、細孔5B、ノッチ(Vノッチ、Iノッチ)5C等のいずれであってもよい。
【0040】
図5(a)〜(f)は、易開封手段形成部1Aに設けられた易開封手段の例である。
図5(a)は、耳部1の幅方向Wの全てに切線5Aが設けられた一例である。この切線5Aは耳部1の幅方向Wの全てにミシン目状の断続した形態で設けられ、長手方向Lに等間隔のピッチで設けられている。
図5(b)は、耳部1の幅方向Wの一部に切線5Aが設けられた一例である。この切線5Aは、耳部1の幅方向Wの筒状本体部2側の所定幅W1には設けられておらず、それ以外の耳部1の幅方向Wにミシン目状の断続した形態で設けられ、長手方向Lに等間隔のピッチで設けられている。
図5(c)は、耳部1の幅方向Wの全てに切線5Aが設けられた他の一例である。この切線5Aは、耳部1の幅方向Wの全てにミシン目状の断続した形態で設けられるが、その切線5Aは、長手方向Lに等間隔のピッチで交互に異なる形態の切線5A,5A’で構成されている。
図5(d)は、耳部1の幅方向Wの全てに細孔5Bが設けられた一例である。この細孔5Bは、耳部1の幅方向Wの全てにミシン目状の断続した形態で設けられ、長手方向Lに等間隔のピッチで設けられている。
図5(e)は、耳部1の幅方向Wの一部に細孔5Bが設けられた一例である。この細孔5Bは、耳部1の幅方向Wの筒状本体部2側の所定幅W1には設けられておらず、それ以外の耳部1の幅方向Wにミシン目状の断続した形態で設けられ、長手方向Lに等間隔のピッチで設けられている。
図5(f)は、耳部1の幅方向Wの端部(本体部2側の反対側の端部のこと)にノッチ5Cが設けられた例である。このノッチ5Cは、長手方向Lに等間隔のピッチで設けられている。
【0041】
図5(a)〜
図5(f)において、切線5Aの長さは特に限定されないが、通常0.5mm〜2mm程度であり、細孔5Bの直径は特に限定されないが、通常1mm〜2mm程度であり、ノッチ5Cの切り込み深さW2は特に限定されないが、通常1mm〜3mm程度である。
【0042】
易開封手段の形成方法は、(ア)ダイヤモンドの粉末を付着させたローラーと受けローラーとの間に帯状フィルムの長手方向に直交する左右両側の縁部を通して細孔を多数設ける方法、(イ)切り込み用の小さな刃を円周上に設けた回転刃と受けローラーとの間、もしくは小さな刃を円周上に多数設けた加圧ローラーと位置決めローラーとの間に帯状フィルムの長手方向に直交する左右両側の縁部を通して細孔、切線又はノッチを設ける方法等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
(結束部)
結束部4は、
図1〜
図4に示すように、筒状本体部2の長手方向の両端部が結束されている部位である。この結束部4によって、筒状本体部2内に充填された内容物3を密封する。結束部4を形成するための手段は特に限定されるものではない。具体的には、筒状本体部2の長手方向の両端部に、筒状本体部2の周方向に金属カシメ具(金属性の結束部材)4を用いて結束する方法、筒状本体部2の両端部を合成樹脂のテープで束ねてヒートして結束する方法等が挙げられる。
【0044】
ここで用いる合成樹脂のテープとしては、帯状フィルムの材質と同様に、塩化ビニリデン系樹脂が好ましい。塩化ビニリデン系樹脂としては、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン−メチルメタクリレート共重合体、又は塩化ビニリデン−塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等を挙げることができる。なお、合成樹脂のテープを用いずに筒状本体部2を束ねた部分をヒートシールして結束してもよい。
【0045】
こうした結束部4を設けることにより、筒状本体部2の両端部に湾曲部6が形成される。内容物3が充填された筒状本体部2は、結束部4によって、筒状密封包装体100を内容物3が漏れない程度の密封性をもって結束される。
【0046】
(内容物)
内容物3は、筒状本体部2に密封状態で充填されたものであり、ここでは、そうした食品としては、柔軟性を有する食品である。魚肉ソーセージや蒲鉾等の魚肉練製品、獣肉練製品、羊羹やういろう等の練菓子、チーズ等が挙げられるが、これらに特に限定されるものではない。
【0047】
以上、本発明に係る筒状密封包装体100によれば、筒状本体部2の耳部1のうち、湾曲部6以外の耳部1には易開封手段が設けられ、湾曲部6の耳部1には易開封手段が設けられていない。そのため、易開封手段の設けられていない湾曲部6に力が加わった場合であっても、湾曲部6の耳部1は裂けにくく、内容物3が外に飛び出すことがない。その結果、こうした構造形態を有する筒状密封包装体100を製造する場合の歩留まりが高まり、製造コストの低下を実現することができる。さらに、筒状密封包装体を搬送中に振動や衝撃により湾曲部6に力が加わった場合であっても、湾曲部6の耳部1は裂けにくく、内容物3が外に飛び出すことを防止することができる。
【0048】
[包装用フィルム]
本発明に係る包装用フィルムは、帯状フィルムの長手方向に直交する左右両側の縁部に、易開封手段形成部及び易開封手段非形成部が設けられ、柔軟性食品に用いられるフィルムである。
【0049】
柔軟性食品としては、魚肉ソーセージや蒲鉾等の魚肉練製品、獣肉練製品、羊羹やういろう等の練菓子、チーズ等が挙げられるが、これらに特に限定されるものではない。
【0050】
帯状フィルムを構成する樹脂及び必要に応じて加える添加剤は、上記した筒状本体部2を構成する樹脂及び添加剤と同様であるので、ここではその説明を省略する。また、帯状フィルムの厚さも、上記した筒状本体部2を構成するフィルムと同様である。
【0051】
また、易開封手段形成部及び易開封手段非形成部も、上記したものと同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0052】
[筒状密封包装体の製造方法]
<第1形態の製造方法>
本発明の第1形態に係る筒状密封包装体の製造方法は、
図6に示すように、帯状フィルム13の長手方向に直交する左右両側の縁部に、易開封手段形成部1A及び易開封手段非形成部1Bを設ける工程と、縁部を重ね合わせる工程と、重ね合わせた縁部をシールして耳部1を形成した筒状本体部14を得る工程と、筒状本体部14に内容物3を充填する工程と、筒状本体部14の長手方向の一端部での結束を易開封手段非形成部1Bで行う工程と、筒状本体部14の長手方向の他の一端部での結束を易開封手段非形成部1Bで行って内容物3を筒状本体部14内に密封する工程と、を有する。
【0053】
以下、
図8の製造工程図に基づき、
図6を参照しつつ各工程を説明する。なお、
図8の結束工程は充填工程の直前に行ってもよい。
【0054】
(易開封手段形成部及び易開封手段非形成部を設ける工程)
易開封手段形成部1A及び易開封手段非形成部1Bの形成工程は、帯状フィルム13の長手方向に直交する左右両側の縁部に、易開封手段形成部1A及び易開封手段非形成部1Bを設ける工程である。この易開封手段形成部1Aは耳部1に、易開封手段が形成された部分であり、易開封手段非形成部1Bは、耳部1に易開封手段が設けられていない部分である。
【0055】
易開封手段形成部1A及び易開封手段非形成部1Bを設ける手段は、種々の手段を適用できる。具体的には、
図6に示すように、巻ロール12として塩化ビニリデン樹脂フィルムロールを準備し、次いで、その巻ロール12から引き出した帯状フィルム13を易開封手段形成装置10に供給する。易開封手段形成装置10は、位置決めローラー16で帯状フィルム13を位置決めした後、帯状フィルム13を切線形成用の幅4mmの加工ローラー17と受けローラー18との間に通し、帯状フィルム13の左右縁部に切線を多数形成する。このとき、帯状フィルム13の長手方向に、例えば160mmの長さで切線を設けた部分(易開封手段形成部1A)を形成するとともに、70mmの長さで切線を設けない部分(易開封手段非形成部1B)を形成する。なお、この易開封手段非形成部1Bは、結束部剤で結束され、筒状密封包装体100の湾曲部6が形成されることになる。
【0056】
(縁部の重ね合わせ工程)
重ね合わせ工程は、帯状フィルム13の左右両側の縁部を重ね合わせる工程である。重ね合わせる手段については、各種の方法を適用できる。一例としては、
図6に示すように、左右両側の縁部に易開封手段形成部1Aと易開封手段非形成部1Bが設けられた帯状フィルム13を円筒状のポッパー15に巻きつけるようにして筒状とし、帯状フィルム13の左右両側の縁部が同じ幅で重なるようにして重ね合わせる。このとき、左右両側の縁部は、通常2mm〜20mm程度重ね合わせる。重ね合わせる面は、表裏のいずれか同一面となる。
【0057】
(筒状本体部形成工程)
筒状本体部形成工程は、重ね合わせ工程で重ね合わせた縁部をシールして耳部1を形成して筒状本体部14を得る工程である。筒状本体部2の形成は、具体的には、
図6に示すように、左右両側の縁部を重ね合わせた部分をシールして、ホッパー15の周囲に巻かれた円筒状の整形筒に整形し、筒状本体部14を形成する。シールによって耳部1が連続して形成され、その耳部1はシール手段によって順次上方から下方にかけて連続して形成される。
【0058】
シール手段としては、
図6に示すように、重ね合わせた縁部をバー状のシール部材を2個組み合わせた融着装置11を用いたヒートシール、特に高周波シールまたは超音波シールを好ましく挙げることができる。
【0059】
(充填工程)
充填工程は、筒状本体部14内に内容物3を充填する工程である。充填手段は、種々の方法を適用できる。一例としては、内容物3として例えば魚肉練り肉を予め混練し、定量移送ポンプ(図示せず)によってホッパー15から筒状本体部14内に充填する。筒状本体部14の内容物3の充填率は、フィルムの収縮の程度を考慮し決定される。
【0060】
(一端部結束工程)
この結束工程は、筒状本体部14の長手方向の一端部での結束を易開封手段非形成部1Bで行う工程である。結束手段は、種々の方法を適用できる。一例としては、筒状本体部14の下側の易開封手段非形成部1Bを、結束部材としての金属カシメ具4で束ねて結束する。
【0061】
(密封工程)
密封工程は、筒状本体部14の長手方向の上側の一端部での結束を易開封手段非形成部1Bで行って内容物3を筒状本体部14内に密封する工程である。密封手段は、種々の方法を適用できる。一例としては、内容物3が充填された筒状本体部14の上側の易開封手段非形成部1Bを、結束部材としての金属カシメ具4で束ねて密封する。
【0062】
(その他の工程)
密封された筒状本体部14は、その後、切断され、必要に応じて加熱殺菌等されて筒状密封包装体が製造される。
【0063】
切断工程は、密封工程で結束した部分付近の筒状本体部を切断し、個別分離する工程である。切断手段は、種々を適用できる。一例としては、すでに下側の結束部材4の下で切断された筒状本体部14について、その上側の結束部材4の上を切断する。こうして一つの筒状密封包装体を製造する。製造した筒状密封包装体は、例えば全長200mm、易開封手段形成部1Aの長さ160mmの筒状密封包装体(魚肉ソーセージ)を製造した。
【0064】
加熱殺菌工程は、筒状密封包装体を加熱殺菌する工程であり、必要に応じて設けられる。加熱殺菌手段及び条件は、種々の方法を適用できる。一例としては、製造された筒状密封包装体(魚肉ソーセージ)を、例えば80℃で45分間、又は120℃で4分間加熱殺菌する。このとき、筒状密封包装体を構成する熱収縮性塩化ビニリデン樹脂フィルムは熱収縮させることもできる。
【0065】
<第2形態の製造方法>
本発明に係る第2形態の筒状密封包装体の製造方法は、
図7に示すように、帯状フィルム13の長手方向に直交する左右両側の縁部を重ね合わせる工程と、重ね合わせた縁部をシールして耳部1を形成した筒状本体部14を得る工程と、耳部1に易開封手段形成部1A及び易開封手段非形成部1Bを設ける工程と、筒状本体部14内に内容物3を充填する工程と、筒状本体部14の長手方向の一端部での結束を易開封手段非形成部1Bで行う工程と、筒状のフィルム14の長手方向の他の一端部での結束を易開封手段非形成部1Bで行って内容物を筒状本体部14内に密封する工程と、を有する。
【0066】
以下、
図9の製造工程図に基づき、
図7を参照しつつ各工程を説明する。なお、
図9の結束工程は充填工程の直前に行ってもよい。
【0067】
(縁部の重ね合わせ工程)
重ね合わせ工程は、帯状フィルム23の長手方向に直交する左右両側の縁部を重ね合わせる工程である。重ね合わせる手段は、上記の第1形態の場合と同様、種々の方法を適用できる。一例としては、
図7に示すように、巻ロール12から引き出された帯状フィルム23を円筒状のホッパー25に巻きつけるようにして筒状とし、帯状フィルム23の左右両側の縁部が同じ幅で重なるようにして重ね合わせる。このとき、左右両側の縁部は、上記第1形態と同様、通常2mm〜20mm程度重ね合わせる。重ね合わせる面は、表裏のいずれか同一面となる。
【0068】
(筒状本体部形成工程)
筒状本体部形成工程は、重ね合わせ工程で重ね合わせた縁部をシールして耳部1を形成して筒状本体部24を得る工程である。この筒状本体部24形成工程は、バー状のシール部材を2個組み合わせた融着装置21を用いてシールする。このときのヒートシール条件等は、上記した第1形態の製造方法と同様なので、ここではその説明を省略する。
【0069】
(易開封手段形成部及び易開封手段非形成部を設ける工程)
易開封手段形成部1A及び易開封手段非形成部1Bの形成工程は、上記筒状本体部24を形成したときにその筒状本体部24の長手方向に重複して設けられた耳部1に、易開封手段形成部1A及び易開封手段非形成部1Bを設ける工程である。この易開封手段形成部1Aは、耳部1に易開封手段が形成された部分であり、易開封手段非形成部1Bは、耳部1に易開封手段が設けられていない部分である。こうした易開封手段形成部1A及び易開封手段非形成部1Bを設ける手段は、具体的には、
図7に示すように、筒状本体部24が有する耳部1をヒートシールした後、筒状本体部24の耳部1を易開封手段形成装置20によって易開封手段形成部1Aを形成する。
【0070】
この易開封手段形成装置20は、例えば切線、細孔又はノッチ形成用の幅4mmの加工ローラー27と、受けローラー26との間に供給された耳部1を通し、その耳部1に切線、細孔又はノッチを多数形成する。このとき、耳部1の長手方向に160mm程度の長さで切線、細孔又はノッチを設けた部位(易開封手段形成部1A)を形成するとともに、70mm程度の長さで切線、細孔又はノッチを設けない部分(易開封手段非形成部1B)を形成する。加工ローラー27は、切線、細孔又はノッチを形成するための易開封部加工領域29と、切線、細孔又はノッチを形成しない易開封部非加工領域28とが、外周上に設けられたローラーである。この加工ローラー27は、1回転することにより、所定長さの易開封手段形成部1Aと、所定長さの易開封手段非形成部1Bとを耳部1に形成できる。この易開封手段非形成部1Bは、筒状本体部14の両端部を結束した場合に湾曲部が形成される。
【0071】
(その他の工程)
易開封手段が形成された筒状本体部24は、その後、内容物が充填され、上下が結束されて密封され、切断され、必要に応じて加熱殺菌等されて筒状密封包装体が製造される。このときの内容物充填工程、一端部結束工程、密封工程、切断工程、及び加熱殺菌工程は、第1形態の製造方法と同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0072】
<第3形態の製造方法>
本発明の第3形態に係る筒状密封包装体の製造方法は、
図10の製造工程図に示すように、第2形態の製造方法における筒状フィルム工程と、易開封手段形成工程とを同時に行ったものである。それ以外は、第2形態の製造方法と同様にして筒状密封包装体を製造した。なお、
図10に示す結束工程は充填工程の直前に行ってもよい。
【0073】
以上説明したように、本発明の第1形態〜第3形態に係る製造方法で製造し筒状密封包装体(魚肉ソーセージ)は、充填工程、密封工程、加熱殺菌工程等の製造工程において、易開封手段の設けられていない湾曲部に力が加わった場合であっても、湾曲部の耳部が裂けることがなく、魚肉練り肉等の内容物が外に飛び出すことがなかった。その結果、魚肉ソーセージ等の製品を製造する場合の歩留まりが高まり、製造コストを低減することができた。また、魚肉ソーセージ等の筒状密封包装体を搬送中に振動や衝撃等により湾曲部に力が加わっても、湾曲部の耳部が裂けやすい状態になることなく筒状密封包装体を流通させることができた。