【文献】
河邨浩,自動車開発とHORIBAの排ガス計測技術の歩み,Readout,日本,2009年 1月31日,No.34,44-49
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記デバイス状態情報が、試験用デバイスに設けられたローカル蓄積部に蓄積されており、前記デバイス状態情報取得部は、前記ローカル蓄積部にアクセスして当該試験用デバイスのデバイス状態情報を取得することを特徴とする請求項1記載の試験システム。
前記デバイス状態情報の値の時系列変化を認識可能に画面に表示するとともに、該デバイス状態情報の値が所定の閾値を超えたときにその旨を報知する管理本体部をさらに備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の試験システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、測定用デバイスは、使用を続けることにより性能低下を招き測定精度の信頼性が担保できなくなるなどといったことがあるので、定期的に検査をしたり、校正やメンテナンスをしたりする必要がある。このような検査等の項目や時期は、試験のレギュレーションで定められている場合もある。
【0006】
しかしながら、測定用デバイスに対して常に同じデバイス管理装置が接続されているようなリジッドなシステムであればともかく、測定用デバイスを別の試験室に移動させて別のデバイス管理装置に接続することができるような柔軟なシステムにする場合、別の管理装置に接続したときに当該測定用デバイスの過去の検査履歴や校正履歴等に係るデバイス状態情報を継承できず、それがリセットされてしまって、適切な検査時期やメンテナンス時期等を失する恐れがある。
かかる問題は、測定用デバイスに限らず、種々の試験用デバイスに共通する。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであって、どの試験用デバイスをどのデバイス管理装置に接続しても、デバイス管理装置で各試験用デバイスの検査やメンテナンス等を適切にかつ確実に管理できるようにし、より柔軟な運用が可能な試験システムを提供することをその主たる所期課題としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明に係る試験システムは、車両、船舶、飛行機等の移動体又は該移動体に用いられる機器を対象物として、該対象物の試験をするためのものであって、前記試験に用いられる1又は複数の試験用デバイスと、前記試験用デバイスと通信可能に接続されて該試験用デバイスを管理するデバイス管理装置とを具備し、前記デバイス管理装置は、
前記試験用デバイスを、共通の目的のために動作する複数の試験用ユニットからなるグループの集合として記憶する記憶部と、
前記試験用デバイスを接続又は切断するための断接操作がされたことを検知する操作検知部と、前記操作検知部が接続操作を検出したことを契機として、対応する試験用デバイス
に含まれる前記複数の試験用ユニットの現在又は過去の状態を示すデバイス状態情報を取得するデバイス状態情報取得部とを備えていることを特徴とする。
【0009】
このようなものであれば、どの試験用デバイスをどのデバイス管理装置に接続しても、そのときに、接続された試験用デバイスの現在又は過去のデバイス状態情報(例えば、過去の検査時期や項目、あるいは現在の性能状態など)がデバイス管理装置に認識されるので、該デバイス管理装置において接続された各試験用デバイスの次の検査時期やメンテナンス時期、項目などをオペレータに自動的に報知するといった管理が確実にできるようになる。また、その結果、試験用デバイスとデバイス管理装置とを相手方を選ぶことなく容易に接続できるので、試験用デバイスを容易に取り替えることができるなど、試験システムのより柔軟な運用が可能になる。
なお、「接続操作」とは、コンソール上での接続操作のみならず、例えば通信ケーブルを接続する操作も含まれる。
【0010】
本発明をより容易に実現できるより具体的なシステム構築例としては、前記デバイス状態情報が、試験用デバイスに設けられたローカル蓄積部に蓄積されており、前記デバイス状態情報取得部は、前記ローカル蓄積部にアクセスして当該試験用デバイスのデバイス状態情報を取得することを特徴とするものを挙げることができる。
【0011】
その他に、例えば、接続され得る各試験用デバイスのデバイス状態情報を共有して記憶する記憶装置を設けておき、試験用デバイスが接続操作されたときに、デバイス管理装置が前記記憶装置にアクセスして該当する試験用デバイスのデバイス状態情報を取得するといった態様も考えられる。なお、この場合は、ネットワークの構築や、ネットワーク外で試験用デバイスが使用されたときなどの対処方を考慮しておく必要がある。
【0012】
試験用デバイスの状態の経時変化、あるいは変化の傾向をオペレータが認識できるようにして、試験用デバイスに対してより的確に対処できるようにするためには、前記デバイス状態情報の時系列変化を認識可能に画面に表示するとともに、該デバイス状態情報の値が所定の閾値を超えたときにその旨を報知する管理本体部をさらに備えているものが好ましい。
【0013】
具体的なデバイス状態情報としては、試験用デバイスがポンプである場合にそのポンプによる吸引圧力を示す情報であるポンプ圧情報、試験用デバイスが測定用デバイスである場合にその測定用デバイスの機能に係る情報である機能情報、試験用デバイスの蓄積稼働時間を示す蓄積稼働時間情報、または試験用デバイスの予め定められた検査時期を特定するための情報である検査時期特定情報を挙げることができる。
【0014】
具体的な実施態様としては、前記試験用デバイスが、前記対象物の状態量を測定する測定用デバイスであることが望ましく、より具体的には、前記測定用デバイスが、内燃機関の排気経路に設けられて該排気経路を流れる排ガスを測定するものを挙げることができる。
【発明の効果】
【0015】
このように構成した本発明によれば、どの試験用デバイスをどのデバイス管理装置に接続しても、そのときに、接続された試験用デバイスの現在又は過去のデバイス状態情報(例えば、過去の検査時期や項目、あるいは現在の性能状態など)がデバイス管理装置に認識されるので、該デバイス管理装置において、接続された各試験用デバイスの次の検査時期やメンテナンス時期、項目などをオペレータに自動的に報知するといった管理が確実にできるようになる。また、その結果、試験用デバイスとデバイス管理装置とを相手方を選ぶことなく簡単に接続できるので試験システムのより柔軟な運用が可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本実施形態に係る車両性能試験システム1の全体を模式的に示したものである。この車両性能試験システム1は、同図に示すように、シャシダイナモメータ2、自動運転装置3、試験自動管理装置6、複数の試験用デバイス(排ガス測定用デバイス)4、デバイス管理装置7等を備えているもので、前記シャシダイナモメータ2上で車両VHを擬似走行状態にし、その車両VHの燃費、排ガス成分等を測定して車両性能を試験することができる。なお、この試験システム1を用いてエンジン単体の試験をすることも可能である。
各部を説明する。
【0019】
シャシダイナモメータ2は、回転ドラム21と、この回転ドラム21に負荷を与えるモータやフライホイール(図示しない)と、それらを制御するダイナモ制御装置22を備えたものである。前記回転ドラム21やモータ、或いはフライホイールは、前記テスト室10に設置してあり、車両VHの駆動輪を回転ドラム21の頂上部直上に位置するテスト位置に設定することにより、実走行と同様な状態で走行できるように構成してある。ダイナモ制御装置22は、例えばテスト室10に隣接して設けた計測室に収容してある。なお、このテスト室10及び計測室(或いはさらにこれらに加えて前記ピット)がいわゆるセルやラボと称されるものである。
【0020】
自動運転装置3は、車両VHの運転室に搭載されてアクセル、ブレーキ、クラッチ等を駆動する運転ロボット(図示しない)と、その運転ロボットに接続されてこれを制御するロボット制御装置31とを備えたもので、このロボット制御装置31に種々の指令信号を与えることで、前記運転ロボットを制御させ、例えば規格化されている種々のレギュレーション(例えばCFR1065、10モードなど)にしたがった、車両VHあるいはエンジンの性能試験ができるようにしてある。このロボット制御装置31は、例えば前記計測室に収容してある。
【0021】
試験自動管理装置6は、詳細な説明は省くが、走行試験のスケジュールを設定するという基本機能を有したものである。走行試験のスケジュールを設定するとは、例えば、レギュレーションの設定や試験日の設定なども含まれるが、より細かく車速やエンジン回転数などの車両VHの挙動を設定したり、測定対象、測定タイミングなどを設定したりすることも含んでよい。この試験自動管理装置6には、通信ポートが設けられていて、前記測定用デバイス4やシャシダイナモメータ2、自動運転装置3等が、有線又は無線によってこの試験自動管理装置6に相互通信可能に接続される。
【0022】
しかして、かかるスケジュール設定がオペレータにより行われると、試験自動管理装置6は、そのスケジュールにしたがったコマンドをシャシダイナモメータ2、自動運転装置3、デバイス管理装置7等に送信し、スケジュール通りの試験が自動的に行われるようにそれらを制御する。
【0023】
なお、
図1では、1つの試験自動管理装置6に1つのデバイス管理装置7が接続されているが、複数のデバイス管理装置7が接続されていても良い。試験自動管理装置6はデバイス管理装置7ごとに独立してスケジューリングできる。
【0024】
排ガス測定用デバイス4(以下、単に測定用デバイス4とも言う。)としては、ここでは、例えば内燃機関の排気経路を流れる排ガス中のHC、NO
X、CO、CO
2等を測定するものや、CVSのように排ガス成分を測定するための前処理を行うようなものが用意されている。この測定用デバイス4は、単位機器であるガス分析ユニット9や、その他の動作ユニットを1以上集合させて構成したものであるが、物理的に一体であるとは限らない。例えば、複数の分離した構成全体を指して、1つの測定用デバイスと呼んだり、1つの筐体の中に複数の測定用デバイスが設けられている場合もある。なお、前記ガス分析ユニット9とは、例えば、THCを測定するためのFIDであるとか、NOxを測定するためのCLDであるとか、CO、CO
2を測定するためのNDIR等のことである。
測定用デバイス4は、後述するデバイス管理装置5の記憶部76内あるいはそれらが共有するデータベース内において、管理上の単位としても設定されている。その記憶部76内のデータ構造を詳述しておけば、前記測定デバイス4が属するデバイス階層の下層にグループが属するグループ階層、さらにその下に分析ユニット等が属するユニット階層が形成されたツリー構造の階層構造データがこの記憶部76に格納されている。
グループとは、例えば共通の目的のために動作する1以上の分析ユニット7の集合として規定されたものである。共通の目的とは、例えば、吸排気経路LGの所定サンプリングポイントでの排ガスの成分分析とか、内燃機関EGの所定性能(例えばEGR率、排ガス流量等)の測定とかである。
なお、この実施形態では、グループを測定デバイスに昇格させたり、グループに属する分析ユニットを変更したりするといった、記憶部76に対する変更操作を可能に構成しており、グループやデバイスは、それを単位として独立して動作可能な物理構成となっていること(例えばポンプを具備して、独立してガスをサンプリングできるなど)を条件としている。
この実施形態での複数種類の測定用デバイス4を例示しておくと、例えば、測定原理の異なる複数のガス分析ユニット9で構成される測定用グループG1〜G3及びEGR率測定装置G4を具備する第1測定用デバイス401、定容量サンプリング装置により構成される第2測定用デバイス402、EGR率測定装置を含む測定用グループGnで構成される第3測定用デバイス403等である。
【0025】
測定用デバイス4は、ローカルコンピュータを有し、当該測定用デバイス4の動作モード(測定モード、校正モード、パージモード等)や状態モード(スリープモード、スタンバイモード等)を制御するデバイス本体部4a、デバイス管理装置5からの指令信号を受信するとともに、動作状況情報をデバイス管理装置5に送信する通信部4b等を具備している。
【0026】
各測定用デバイス4は、
図2に模式的に示すように、エンジンの吸排気経路LGから、吸入ガス又は排出ガスをサンプリングするためのサンプリング管LDに接続されている。なお、
図2中、符号LSは、校正用のスパンガスを導入するためのスパンガス導入管、符号LZは、校正用のゼロガスを導入するためのゼロガス導入管、符号Vは切替のためのバルブを示している。
【0027】
各測定用デバイス4は、前記サンプリング管LDを通ってサンプリングしたガスに係るHC、NO
X、CO、CO
2等の各成分量を測定するが、その測定値からエンジンや触媒など、車両VHを構成する機器の性能値、例えば燃費、EGR率などを算出することもできる。
そのために、各測定用デバイス4は、
図3に示すように、分析ユニット毎に設けられた測定のためのセンサ4aに加えて、ローカルコンピュータを有している。
【0028】
このローカルコンピュータは、物理的には、CPU、メモリ、A/Dコンバータ、通信インタフェースなどを備えたものであり、前記センサ4aからの出力値に補正や校正を施して前記各成分量を示す測定値を算出するとともに、その測定値から前記機器性能値を算出する演算部41と、該演算部41によって算出された測定値や機器性能値等を所定のプロトコルでデバイス管理装置7に送信する通信部42としての機能を発揮する。
【0029】
また、このローカルコンピュータは、デバイス管理装置7からの指令信号を受信してバルブVや温調機構4b、ポンプ4cなどをコントロールし、当該排ガス測定用デバイス4の動作モード(測定モード、校正モード、パージモード等)や状態モード(スリープモード、スタンバイモード等)を制御する制御部43や、センサ4aの校正を行う校正部44、あるいは、該測定用デバイス4の過去から現在に亘るデバイス状態情報等を逐次取得して蓄積する、メモリの所定領域に設けたローカル蓄積部45等をさらに具備している。
【0030】
デバイス状態情報とは、測定用デバイス4やその分析ユニット、あるいはさらに細部の機器や関連機器の状態を示す情報のことであり、例えば、内蔵するポンプ4cによる吸引圧力を示すポンプ圧情報、センサ4aの機能(例えば感度)に係る情報である機能情報、各部の蓄積稼働時間を示す蓄積稼働時間情報、当該測定用デバイス4の予め定められた検査時期を特定するための情報である検査時期特定情報等のことである。このデバイス状態情報には、当該測定用デバイス4に施された校正(0点補正、スパン補正、変換式補正)や、クォリティチェック(分析ユニットの各部の機能検査、配管漏れ検査、ポンプ性能チェック等)などの結果から取得されるものもある。
【0031】
デバイス管理装置7は、例えば汎用のコンピュータに所定のプログラムをインストールして構成されたもので、物理的には、CPU、メモリ、ディスプレイ、入力手段(キーボードやマウス等)、通信インタフェース等を備えている。そして、前記メモリに記憶させたプログラムに従ってCPU及びその周辺機器が協働することにより、このデバイス管理装置7は、
図3に示すように、操作検知部71、表示部72、管理本体部73、通信部74、デバイス情報取得部75、記憶部76等としての機能を発揮する。このデバイス管理装置7には、通信ポートが設けられていて、前記測定用デバイス4は、有線又は無線によって、デバイス管理装置7に相互通信可能に接続される。
次に、デバイス管理装置7の各部の説明を兼ねて、その動作を説明する。
【0032】
まず、オペレータは、測定用デバイス4に係る種々の作業(配管など)をしたうえで、デバイス管理装置7に測定用デバイス4をコネクタケーブルで物理的に接続する。
【0033】
デバイス管理装置7のディスプレイ7aには、前記表示部72の機能により、初期画面として、
図4に示すような、画面(以下、プラグイン画面とも言う。)8Aが表示される。このプラグイン画面8Aには、予め登録された測定用デバイス4を示すデバイス標識81が重ならないように複数配置されている。各デバイス標識81は矩形状をなすもので、該当する測定用デバイス4を表す模式図の他に、この測定用デバイス4に接続するための接続ボタン82と、この測定用デバイス4の接続を切断するための切断ボタン83と、接続状態を示す接続状態表示領域84とが設けてある。
【0034】
このプラグイン画面8A上で、オペレータが、例えば接続ボタン82をクリックすると、前記操作検知部71が、その操作を接続操作として検出する。これを契機として、前記通信部74が、該当する測定用デバイス4の通信部42との交信を始め、所定の接続プロトコルが正常に終了し、相互通信可能な接続状態(以下、単に接続状態とも言う)が確立されると、通信可能に接続されている状態を示すConnectedなる表示を、該デバイス標識中の接続状態表示領域84に表示する。なお、相互通信が確立されるまでは、接続のための準備中である状態を示すInitializationなる表示が接続状態表示領域84に表示される。
【0035】
一方、この接続状態から切断ボタン83をクリックすると、前記操作検知部71がその操作を切断操作として検出する。そして、前記通信部74が、該当する測定用デバイス4の通信部42との交信を遮断し、接続が解除されている状態を示すStoppedなる表示を接続状態表示領域84に表示する。
【0036】
なお、コネクタケーブルが抜けている状態で接続ボタン82をクリックしたり、接続状態中にコネクタケーブルが抜けたりすると、前記操作検知部71がこれを検知して、接続に失敗した状態を示すConfiguration Mismatchなる表示を接続状態表示領域84が表示される。
【0037】
また、接続状態では、新たに再接続ボタン(リスタートボタン)85が表示され、この再接続ボタン85がクリックされると、通信部74は前記接続プロトコルを再度開始して、再接続する。
【0038】
ところで、この実施形態では、前記接続プロトコルにおいて、各測定用デバイス4のデバイス状態情報をデバイス管理装置7に吸い上げる工程が自動的に行われる。
【0039】
詳述すれば、接続ボタン82又は再接続ボタン85がクリックされると、その操作を前記操作検知部71が検出し、それをもって前記デバイス情報取得部75が、対応する測定用デバイス4のローカル蓄積部45に通信部42,74を介してアクセスし、該ローカル蓄積部45に蓄積されている当該測定用デバイス4の過去から現在に至る前記デバイス状態情報を自動的に取得する。
【0040】
そして、接続後もデバイス情報取得部75は、測定用デバイス4のローカル蓄積部45に逐次アクセスして、デバイス状態情報を追加取得していく。
なお、管理本体部73は、測定用デバイス4に動作モード等の指令を出したり、測定用デバイス4から測定値や機能性能値を取得するといった種々の管理動作を営む。
このようにして取得された前記デバイス状態情報は、管理本体部73で管理されるが、画面に時系列で表示させることができる。
【0041】
図5に、その表示画面(以下、デバイス状態履歴画面とも言う)の一例を示す。この画面8Bでは、オペレータが選択したガス分析ユニットの感度とドリフトとの経時変化が横軸を時間にしたグラフ86、87とリスト88とで表示される。分析ユニットの感度とは、所定の濃度のスパンガスをセンシングさせたときのセンサ4aの一次出力値のことであり、この値が小さくなるということは、センサ感度が低下していることを示す。ドリフトとは、ゼロガス(濃度ゼロのガス)をセンシングしたときのセンサ4aの一次出力値のことであり、この値が大きくなると言うことは、センサ4aのオフセットが大きくなっていることを示す。これら感度とドリフト量については、測定用デバイス4を校正するときに測定することから、そのときに該測定用デバイス4のローカル蓄積部45に都度追加記録される。
【0042】
しかして、このデバイス管理装置7の管理本体部73は、前記デバイス状態情報が所定の閾値を超えた(上回るか下回るかした)場合に、メンテナンスや交換が必要である旨の報知をする。この閾値は、ドリフト量及び感度に関し、最終アラームを発するための第1閾値と、その前段階であることを報知するための第2閾値とが設けられている。報知の一例として、ここでは第1閾値を超えた場合には、同じ画面8B上において、リストの該当欄を赤色など、別の表示態様に変化させる。第2閾値についても同じで、ここでは、第1閾値を超えた場合と区別できるように例えばオレンジ色に変化させている。
【0043】
そしてオペレータは、この報知アラームにしたがって、分析ユニットの再調整を行うことができる。
また、他のデバイス状態履歴画面の表示例を
図6に示す。ここでは、分析ユニットのCLDに設けられたバキュームポンプ圧の時系列変化を、リスト89とグラフ810で表示している。ここでは、閾値を超えた場合の報知動作として、
図5のようなリストでの表示に加え、第1閾値と第2閾値とがグラフ810上に線分として表示してある。
【0044】
以上のように構成した本実施形態によれば、測定用デバイス4が自身のデバイス状態情報を蓄積しており、接続時にデバイス管理装置7にそのデバイス状態情報が自動的に吸い上げられるので、デバイス管理装置7が替わっても、デバイス状態情報が漏れることなく継承されて、レギュレーションの遵守や測定用デバイス4のメンテナンスを確実に行うことなどができるようになる。
【0045】
したがって、該デバイス管理装置7において、接続された各測定用デバイス4の次の検査時期やメンテナンス時期、項目などをオペレータに自動的に報知するといった管理が確実にできるようになる。
【0046】
特にこの実施形態では、デバイス管理装置7側でのオペレータによる断接操作によって複数の測定用デバイス4の接続状態を自在にコントロールできるし、しかも接続可能な各測定用デバイス4が標準化された形式、つまりデバイス標識81として予め複数のデバイス管理装置7に共通に登録することができるので、ある測定用デバイス4を、別のセルの別のデバイス管理装置7に物理的に接続して同様に接続操作をするだけで、簡単に認識させることができる。
【0047】
また、このように、測定用デバイス4とデバイス管理装置7とを相手方を選ぶことなく簡単に接続できるので試験システムのより柔軟な運用が可能になる。
【0048】
さらに、デバイス状態情報の経時変化や傾向を画面に表示しながら、その同一画面上において、デバイス状態情報の値が閾値を超えたときに報知するので、変化傾向を表示することなく単に警告を発するのと比べ、オペレータは、その報知乃至警告の原因をより的確に判断できる。例えば、傾向から外れて突発的に値が上下した場合に出力される警告の場合、オペレータは、測定ミスや校正ミスなどによるものと判断することができ、無駄なメンテナンス等を減らすことができる。
【0049】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。画面の表示態様は種々変更可能である。また、例えば、エンジン単体での試験にも適用できるし、飛行機や船舶、あるいはその機器などの試験にも用いることができる。