特許第5728431号(P5728431)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社堀場製作所の特許一覧

<>
  • 特許5728431-試験システム 図000002
  • 特許5728431-試験システム 図000003
  • 特許5728431-試験システム 図000004
  • 特許5728431-試験システム 図000005
  • 特許5728431-試験システム 図000006
  • 特許5728431-試験システム 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5728431
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】試験システム
(51)【国際特許分類】
   G01M 17/007 20060101AFI20150514BHJP
【FI】
   G01M17/00 Z
   G01M17/00 A
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-118185(P2012-118185)
(22)【出願日】2012年5月24日
(65)【公開番号】特開2013-245976(P2013-245976A)
(43)【公開日】2013年12月9日
【審査請求日】2014年1月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000155023
【氏名又は名称】株式会社堀場製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100113468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(72)【発明者】
【氏名】浦谷 勝己
(72)【発明者】
【氏名】渡部 功司
(72)【発明者】
【氏名】三十木 努
【審査官】 谷垣 圭二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−093326(JP,A)
【文献】 特開2003−211799(JP,A)
【文献】 特開2005−037162(JP,A)
【文献】 特開2010−249757(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/027037(WO,A1)
【文献】 特開2000−090057(JP,A)
【文献】 特開2004−318762(JP,A)
【文献】 特開平08−063223(JP,A)
【文献】 特開2012−038044(JP,A)
【文献】 河邨浩,自動車開発とHORIBAの排ガス計測技術の歩み,Readout,日本,2009年 1月31日,No.34,44-49
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 17/00−10
G01M 15/10
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両、船舶、飛行機等の移動体又は該移動体に用いられる機器を対象物として、該対象物の試験をするためのものであって、
前記試験に用いられる1又は複数の試験用デバイスと、前記試験用デバイスと通信可能に接続されて該試験用デバイスを管理するデバイス管理装置とを具備し、
前記デバイス管理装置は、
前記試験用デバイスが属するデバイス階層の下層に複数のグループが属するグループ階層、さらにその下に複数の動作ユニットが属するユニット階層が形成されたツリー構造の階層構造データを格納してなり、共通の目的のために動作する1以上の動作ユニットの集合が前記グループとして規定されている記憶部と、
前記試験用デバイスから出力される情報を取得して該情報をディスプレイ上で消去可能、切り替え可能又は移動可能に表示する表示部とを有し、
前記表示部が、前記グループの動作状況に応じて形態が変化する動作状況アイコンを、前記試験用デバイス毎に、前記試験用デバイスに含まれる前記グループそれぞれに対応させて、前記情報の表示の如何にかかわらず優先して、表示するようにしていることを特徴とする試験システム。
【請求項2】
前記デバイス管理装置が、前記試験用デバイスを接続又は切断するための断接操作がなされたことを検知する断接操作検知部をさらに具備し、前記断接操作検知部が切断操作を検知した試験用デバイスについては、動作状況アイコンは表示されないことを特徴とする請求項1記載の試験システム。
【請求項3】
前記試験用デバイスが、内燃機関の排ガスを測定するために用いられる測定用デバイスである請求項1又は2いずれか記載の試験システム。
【請求項4】
前記測定用デバイスが、内燃機関の排気経路に設けられて該排気経路を流れる排気ガスを測定するものである請求項3記載の試験システム。
【請求項5】
車両、船舶、飛行機等の移動体又は該移動体に用いられる機器の試験をするための1又は複数の試験用デバイスと通信可能に接続されたものであって、
前記試験用デバイスが属するデバイス階層の下層に複数のグループが属するグループ階層、さらにその下に複数の動作ユニットが属するユニット階層が形成されたツリー構造の階層構造データを格納してなり、共通の目的のために動作する1以上の動作ユニットの集合が前記グループとして規定されている記憶部と、
前記試験用デバイスから出力される情報を取得して該情報をディスプレイ上で消去可能、切り替え可能又は移動可能に表示する表示部とを有し、
前記表示部が、前記グループの動作状況に応じて形態が変化する動作状況アイコンを、前記試験用デバイス毎に、前記試験用デバイスに含まれる前記グループそれぞれに対応させて、前記情報の表示の如何にかかわらず優先して、表示するようにしていることを特徴とするデバイス管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両、船舶、飛行機等の移動体又はその移動体において用いられる機器を試験するための試験システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば自動車の試験システムとして、特許文献1に示すように、1台の測定管理装置に複数台の測定装置(測定用デバイス)を接続して、この測定管理装置に一括して測定用デバイスを管理させるようにしたものが知られている。また、特許文献2に示すように、この測定管理装置の上位に試験自動管理装置を設け、この試験自動管理装置によって試験スケジュールを決められるようにしたものもある。
【0003】
ところで、測定用デバイスの動作状況は、それぞれの測定用デバイスから出力される測定データや校正情報等を表示するディスプレイの画面で確認することができる。この場合、測定用デバイス毎にそれらの情報等が対応するウィンドウそれぞれに表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許3524754号公報
【特許文献2】特開2005−49353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、測定用デバイスが多数になると、一部の測定用デバイスの動作状況を示すウィンドウが隠れたり、一つ一つのウィンドウが小さくなったりして、各測定用デバイスの動作状況を一見して把握することが難しくなる。また、例えばそれらのウィンドウの一つを例えば最大表示した場合は、他のウィンドウは最大化したウィンドウに隠されるので、前記他のウィンドウに対応する測定用デバイスの前記情報等、したがって動作状況は同時に確認することが困難になる。
このような問題点は、測定用デバイスを含む試験用デバイスに共通する。
【0006】
本発明は、係る課題に鑑みてなされたものであって、デバイス管理装置のディスプレイのいかなる表示状態においても、必ず全ての試験用デバイスの動作状況を簡易的に表示できるようにした、使い勝手が改善された試験システムを提供することをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明に係る試験システムは、車両、船舶、飛行機等の移動体又は該移動体に用いられる機器を対象物として、該対象物の試験をするためのものであって、前記試験に用いられる1又は複数の試験用デバイスと、前記試験用デバイスと通信可能に接続されて該試験用デバイスを管理するデバイス管理装置とを具備し、前記デバイス管理装置は、前記試験用デバイスを、共通の目的のために動作する複数の動作ユニットからなる試験用グループの集合として記憶する記憶部と、前記試験用デバイスから出力される情報を取得して該情報をディスプレイ上で消去可能、切り替え可能又は移動可能に表示する表示部を有し、前記表示部が、前記試験用グループの動作状況に応じて形態が変化する動作状況アイコンを、前記試験用デバイス毎に、前記情報の表示の如何にかかわらず、優先して表示するようにしていることを特徴とする。
【0008】
このようなものであれば、表示部は、試験用デバイスから出力される種々の情報を、表示している場合、表示していない場合、ディスプレイ内で移動している場合、のいずれにあっても、動作状況アイコンを表示する。従って、試験用デバイスからの情報が、表示されていない場合、あるいは他の表示内容が該情報に重なり合うことで認識が困難である場合等であっても、動作状況アイコンを確認するだけで、試験用デバイスがどのような動作状況にあるのかを確認することが可能になる。
【0009】
本発明において、「形態が変化する」とは、表示部に表示している動作状況アイコンの、形、大きさ、色、図柄又は絵柄、文字、点灯状態(明るさ、点滅)等を、単独で、あるいは組み合わせて変更させることで、動作状況アイコンが視覚上変化することを包含するものである。
【0010】
デバイス管理装置に接続されている試験用デバイスに対してのみ、動作状況アイコンを表示してその認識性を向上させるためには、前記デバイス管理装置が、前記デバイス管理装置が、前記試験用デバイスを接続又は切断するための断接操作がなされたことを検知する断接操作検知部をさらに具備し、前記断接操作検知部が切断操作を検知した試験用デバイスについては、動作状況アイコンは表示されないことが望ましい。
【0011】
以上の構成において、前記試験用デバイスとしては、内燃機関の排ガスを測定するために用いられる測定用デバイスであるものが挙げられる。具体的には、前記測定用デバイスは、内燃機関の排気経路に設けられて該排気経路を流れる排気ガスを測定するものが挙げられる。
【発明の効果】
【0012】
このように構成した本発明によれば、表示部が、試験用デバイスの動作状況に応じて形態が変化する動作状況アイコンを、情報の表示の如何にかかわらず、優先して表示するようにしているので、試験システムの操作中は試験用デバイスの動作状況を、何らの操作を行うことなく随時に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る車両性能試験システムの模式的構成図である。
図2】同実施形態の測定用デバイス及びデバイス管理装置の機能ブロック図である。
図3】同実施形態のプラグイン画面を示す画面構成図である。
図4】同実施形態の詳細情報画面を示す画面構成図である。
図5】同実施形態の動作状況アイコン領域を拡大して示す画面構成図である。
図6】同実施形態の操作ボタンの詳細を示す画面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本実施形態に係る車両性能試験システムの全体を模式的に示したものである。この車両性能試験システム1は、同図に示すように、シャシダイナモメータ2、自動運転装置3、複数の試験用デバイス(排ガス測定用デバイス)4、デバイス管理装置5等を備えているもので、前記シャシダイナモメータ2上で車両を擬似走行状態にし、その車両の燃費、排ガス成分等に係る性能を試験することができる。なお、この試験システム1は、エンジン単体の試験にも適用が可能である。
【0016】
各部を説明する。
【0017】
シャシダイナモメータ2は、自動運転装置3と連携することにより、車両VHを、実走行と同様な状態で疑似走行できるように構成してある。
【0018】
自動運転装置3は、車両VHの運転室に搭載されてアクセル、ブレーキ、クラッチ等を操作し、10モードやLAモードなど、車両VHを1又は複数の走行モードで自動走行させることができるようにしてある。
【0019】
排ガス測定用デバイス4(以下、単に測定用デバイス4とも言う。)としては、ここでは、例えば内燃機関の排気経路を流れる排ガス中のHC、NO、CO、CO等を測定するものや、CVSのように排ガス成分を測定するための前処理を行うようなものが用意されている。この測定用デバイス4は、単位機器であるガス分析ユニット7や、その他の動作ユニットを1以上集合させて構成したものであるが、物理的に一体であるとは限らない。例えば、複数の分離した構成全体を指して、1つの測定用デバイスと呼んだり、1つの筐体の中に複数の測定用デバイスが設けられている場合もある。なお、前記ガス分析ユニット7とは、例えば、THCを測定するためのFIDであるとか、NOxを測定するためのCLDであるとか、CO、COを測定するためのNDIR等のことである。
測定用デバイス4は、後述するデバイス管理装置5の記憶部57内あるいはそれらが共有するデータベース内において、管理上の単位としても設定されている。その記憶部57内のデータ構造を詳述しておけば、前記測定デバイス4が属するデバイス階層の下層にグループが属するグループ階層、さらにその下に分析ユニット等が属するユニット階層が形成されたツリー構造の階層構造データがこの記憶部57に格納されている。
グループとは、例えば共通の目的のために動作する1以上の分析ユニット7の集合として規定されたものである。共通の目的とは、例えば、吸排気経路LGの所定サンプリングポイントでの排ガスの成分分析とか、内燃機関EGの所定性能(例えばEGR率、排ガス流量等)の測定とかである。
なお、この実施形態では、グループを測定デバイスに昇格させたり、グループに属する分析ユニットを変更したりするといった、記憶部57に対する変更操作を可能に構成しており、グループやデバイスは、それを単位として独立して動作可能な物理構成となっていること(例えばポンプを具備して、独立してガスをサンプリングできるなど)を条件としている。
この実施形態での複数種類の測定用デバイス4を例示しておくと、例えば、測定原理の異なる複数のガス分析ユニット7で構成される測定用グループG1〜G3及びEGR率測定装置G4を具備する第1測定用デバイス41、定容量サンプリング装置により構成される第2測定用デバイス42、EGR率測定装置を含む測定用グループGnで構成される第3測定用デバイス43等である。
【0020】
測定用デバイス4は、ローカルコンピュータを有し、当該測定用デバイス4の動作モード(測定モード、校正モード、パージモード等)や状態モード(スリープモード、スタンバイモード等)を制御するデバイス本体部4a、デバイス管理装置5からの指令信号を受信するとともに、動作状況情報をデバイス管理装置5に送信する通信部4b等を具備している。
【0021】
デバイス管理装置5は、例えば汎用のコンピュータに所定のプログラムをインストールして構成されたもので、物理的には、CPU、メモリ、ディスプレイ51、キーボードやマウスからなる入力受付部52、通信インタフェース等を備えている。そして、このデバイス管理装置5は、図2に示すように、管理本体部53、通信部54、入力受付部52、表示部55、断接操作検知部56、記憶部57等としての機能を発揮するように構成している。また、このデバイス管理装置5には、通信ポートが設けられていて、前記測定用デバイス4は、有線又は無線によって、デバイス管理装置5に相互通信可能に接続される。
【0022】
次に、デバイス管理装置5を中心とした動作を説明する。
【0023】
まず、オペレータは、各測定用デバイス41〜44に係る種々の作業(配管など)をしたうえで、デバイス管理装置5に各測定用デバイス41〜44を物理的に接続する。
【0024】
デバイス管理装置5のディスプレイ51には、表示部55の機能により、初期画面として、図3に示すような、画面(以下、プラグイン画面とも言う。)が表示される。このプラグイン画面8には、予め登録された測定用デバイス4を示すデバイス標識81が重ならないように複数配置されているとともに、その下方には動作状況アイコン領域10が配置されている。各デバイス標識81には、測定用デバイス4に接続するための接続ボタン82と、測定用デバイス4を切断するための切断ボタン83と、接続状態を示す接続状態表示領域84とが設けてある。
【0025】
接続ボタン82がクリックされると、断接操作検知部56がその操作を検出して、通信可能に接続されている状態を示す「Connected」なる文字列が該デバイス標識81中の接続状態表示領域84に表示される。なお、相互通信が確立されるまでは、接続状態表示領域84に、接続のための準備中である状態を示す「Initialization」なる文字列が表示される。
【0026】
同様にして、切断ボタン83がクリックされると、断接操作検知部56がその操作を検出して、接続が解除されている状態を示す「Stopped」なる文字列が接続状態表示領域84に表示される。
【0027】
なお、コネクタケーブルが抜けている状態で接続ボタン82がクリックされたり、接続状態中にコネクタケーブルが抜けたりすると、断接操作検知部56がこれを検知して、接続に失敗した状態を示す「Configuration Mismatch」なる文字列が接続状態表示領域84に表示される。
【0028】
また、接続状態では、新たに再接続ボタン(リスタートボタン)85が表示され、この再接続ボタン85がクリックされると、通信部54は接続プロトコルを再開して、再接続する。
【0029】
なお、測定用デバイス4がデバイス管理装置5に物理的に接続された時点で、それらが相互通信可能になるように構成してもよい。
【0030】
このようにして、必要な測定用デバイス4がデバイス管理装置5に通信可能に接続され、所定の操作を実施すると、表示部55がディスプレイ51に、種々の詳細情報表示画面9Aを表示する。詳細情報表示画面9Aは、測定用デバイス4の測定データや、動作モード(測定モード、校正モード、パージモード等)や状態モード(スリープモード、スタンバイモード等)における各種の情報を表示するものである。
【0031】
この詳細情報表示画面9Aでは、各測定用デバイス41〜44から出力された種々の情報に対応して校正データや測定データ等をグラフや数値等により表示するデバイスパネルウィンドウ9が表示部55により表示されるとともに、その下方の動作状況アイコン領域10内に、動作状況アイコン11が表示される。デバイスパネルウィンドウ9は、表示形態切り替えボタン12をクリックすることにより、各測定用デバイス41〜44から入力された測定結果を含む詳細情報を、グラフや数値等の形態で、前述した測定用グループごとに表示することができる。測定用グループ単位の表示切り替えは、図示しないプルダウンメニューにで表示される測定用グループの1つを選択することで実行される。
測定用グループGは、記憶部57に記憶されている階層構造データにより認識される。階層構造データは、測定用デバイス4を示すデバイスIDを上位階層として測定用グループGを示すグループID、分析ユニット7を示すユニットIDの順に下位階層に位置付けて構成される。そして、記憶部57において認識されている測定用デバイス4のデバイスID及び測定用グループのグループIDにより、管理本体部53がデバイスパネルウィンドウ9及び動作状況アイコン11を表示する。
【0032】
動作状況アイコン11は、測定用デバイス4の下位階層に含まれる測定用グループGに対して該測定デバイス4ごとに設定される。したがって、測定用デバイス4の下位階層に含まれる測定用グループGの数だけ、例えば第1測定用デバイス41については、測定用グループG1〜G4に対応する動作状況アイコン11が動作状況アイコン領域10に表示される。測定用グループGは、予め設定されているものあるが、オペレータにより追加設定したり、すでにある設定を変更、削除し得るものであってもよい。
【0033】
動作状況アイコン11は、各デバイスパネルウィンドウ9が表示されている場合はもちろん、入力受付部52が操作されて、デバイスパネルウィンドウ9が移動されている場合、デバイスパネルウィンドウ9が最小化されている場合、あるデバイスパネルウィンドウ9が最大化されて、その最大化されたデバイスパネルウィンドウ9により隠されている場合、さらにはデバイスパネルウィンドウ9が閉じられている(消去されている)場合であっても、ディスプレイ51の下部に継続して表示される。つまり、表示部55は、デバイスパネルウィンドウ9の表示状態の如何にかかわらず、動作状況アイコン11をデバイスパネルウィンドウ9の表示状態に優先して表示する。従って、各測定用デバイス41〜44がデバイス管理装置5に接続されている場合で、且つ全てのデバイスパネルウィンドウ9が閉じられている場合であっても、動作状況アイコン11は、動作状況アイコン領域10内に表示されているものである。
【0034】
この場合、プラグイン画面8で終了操作が行われた測定用デバイス4に対しては、動作状況アイコンは表示されない。つまり、デバイス管理装置5に物理的に接続されているものの、デバイス管理装置5と測定用デバイス4との間の通信が切断された測定用デバイス4に対しては、動作状況に関する情報がデバイス管理装置5に入力されないので、動作状況アイコンは表示されない。
【0035】
動作状況アイコン11は、測定用デバイス4の動作状況を測定用グループごとに表示するものである。この実施形態にあっては、スパンガスが流れている、ゼロガスが流れている、排ガスが流れている、排気ガスの流入を一時的に中断している等の動作状況を表示する。
【0036】
この実施形態では、動作状況アイコン11は、動作状況に対応してその図柄を変化させるものである。具体的には、図5に示すように、木の葉の図柄により動作の中断を示すポーズアイコン111、アルファベットのSによりスパンガスの導入中を示すスパンアイコン112、アルファベットのZによりゼロガスの導入中を示すゼロアイコン113、折れ線グラフの図柄により測定中を示すメジャーアイコン114等を設定している。
【0037】
なお、この実施形態にあっては、各測定用デバイス41〜44の操作は、デバイスパネルウィンドウ9内の下部に表示されるメニューバー13に設定される操作ボタン14をクリックすることで、その操作ボタン14の図柄の動作を、測定用デバイス4又は表示されている測定用グループごとに実行することができる。すなわち、図6に示すように、「Span」と表示される操作ボタン141をクリックすると、対応するデバイスパネルウィンドウ9に表示されている測定用デバイス4又は測定用グループに対してスパンガスを導入する。同様に、「Zero」の操作ボタン142の場合は、ゼロガスを導入する。「CAL」の操作ボタン143は、導入されたスパンガス及びゼロガスの測定結果に基づいて、キャリブレーションを実行する。「Purge」の操作ボタン144は、測定用デバイス4中のガスの掃討を実行する。「Measure」の操作ボタン145は、サンプリングしたガスの測定を実行する。「Stop」の操作ボタン146は、測定を停止する。
【0038】
このように、操作内容を示すアイコンにより操作ボタン141〜146を構成することにより、直感的な操作を実現することができる。
【0039】
次に、デバイス管理装置5の動作状況アイコン11の表示動作について説明する。まず、測定に必要な排ガスを導入できるように各測定用デバイス41〜44を準備するとともに、各測定用デバイス41〜44とデバイス管理装置5とを物理的に接続した後、各測定用デバイス41〜44及びデバイス管理装置5の電源を投入すると、表示部55がディスプレイ51にプラグイン画面8を表示する。このプラグイン画面8において、測定用デバイス41〜44ごとに開始操作を実行すると、開始操作を実行された測定用デバイス4に対して管理本体部53は通信部54を介して通信を行って、測定用デバイス4から動作状況アイコンの表示に必要な情報を取得する。この時点で、表示部55は、それぞれの測定用グループGに対応する動作状況アイコン11を、ディスプレイ51の画面の下部に設定された、測定用デバイス41〜44ごとの動作状況アイコン領域10内に表示する。
【0040】
開始操作を実行した後のプラグイン画面8において所定の操作が実行されると、表示部55は、取得した各測定用デバイス41〜44の詳細情報をデバイスパネルウィンドウ9に表示するとともに、設定された前記測定用グループGに対応する動作状況アイコン11を、デバイスパネルウィンドウ9の下側に表示する。動作状況アイコン領域10は、その領域内に表示する動作状況アイコン11の数により長さが異なって表示される。
【0041】
このように、表示部55が各測定用デバイス41〜44のデバイスパネルウィンドウ9を表示している状態において、入力受付部52からの指令により、例えば第1測定用デバイス41のデバイスパネルウィンドウ9を最大化した場合、そのデバイスパネルウィンドウ9により他のデバイスパネルウィンドウ9が隠されるが、表示部55は、各動作状況アイコン領域10、したがって動作状況アイコン11を最大化したデバイスパネルウィンドウ9により隠されることなく、優先して表示する。
【0042】
これに対し、測定の開始後、プラグイン画面8に戻って、ある測定用デバイス4を接続解除する、つまり切断ボタン83をクリックすると、断接操作検知部76は切断操作が実行されたことを検知し、その検知結果に基づいて、表示部75は該測定用デバイス4に対応する動作状況アイコン領域10を消去して、動作状況アイコン11を表示しない。
【0043】
以上のようにそれぞれの動作状況アイコン11を表示している際に、取得している動作状況情報が変化した場合の動作について説明する。
【0044】
まず、デバイス管理装置5の管理本体部53は、前記測定用グループGごとに、測定用デバイス4の通信部4bから出力される動作状況情報が変化したか否かを判定する。管理本体部53が、前回の判定時と今回の動作状況情報が異なっている判定した場合、その判定結果により表示部55は、その動作状況の変化に応じて動作状況アイコン11の図柄を変更する。一方、前回の判定時と動作状況情報が異なっていないと判定した場合は、それまで表示していた図柄を継続して表示する。
【0045】
したがって、動作状況アイコン11が、デバイスパネルウィンドウ9等の他の表示内容に優先して表示されるので、ディスプレイ51全体の表示内容の如何にかかわらず測定用デバイス4の動作状況を、前記測定用グループGごとに確認することができる。
【0046】
また、デバイスパネルウィンドウ9において測定用デバイス4の種々の詳細情報を表示している一方で、同時に動作状況情報を動作状況アイコン11により簡易的に表示しているので、デバイスパネルウィンドウ9に表示されている中から探すことなく、直感的に動作状況を確認することができる。
【0047】
さらに、接続が解除された測定用デバイス4の動作状況アイコン11については表示しないので、動作中の測定用デバイス4の動作状況のみを迅速に把握することができる。
【0048】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0049】
ディスプレイ71を、タッチパネル形式のもので構成するものであってもよい。この場合は、上記実施形態におけるクリック操作に代えて、接続ボタン82や切断ボタン83等の操作ボタンに、指又は入力ペン等を重ねて画面に接触することで、クリックと同じ操作を実行できるものである。
【0050】
上記実施形態においては、車両に搭載された内燃機関についての測定を説明したが、車両の他の機器、例えば自動変速機等を対象物として、その性能試験をするものであってもよい。
【0051】
また、試験を行う対象物としては、車両と同様に内燃機関を搭載する船舶や飛行機等、あるいはそれらに搭載される内燃機関単体であってもよい。
【0052】
試験用デバイスには、排ガスの測定用デバイスに限られることなく、船舶や飛行機などの移動体又はその構成機器の試験に用いられる装置、例えば、ダイナモメータやロボットなどの自動運転装置も含まれる。デバイス管理装置には、直接的に試験用デバイスを管理するものの他、間接的に管理するもの、例えば前記実施形態での試験自動管理装置なども含むものである。
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0053】
1 ・・・車両性能試験システム
4 ・・・排ガス測定用デバイス
7 ・・・デバイス管理装置
53 ・・・管理本体部
55 ・・・表示部
56 ・・・断接操作検知部
11 ・・・動作状況アイコン
VH ・・・車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6