【実施例】
【0077】
以下、実施例及び比較例を参照して本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。実施例及び比較例において、諸物性の測定は、下記の通り行った。
【0078】
(厚みの測定)
フィルム等の厚みの測定は、接触式膜厚計でTD方向に10点測定し、その平均値を算出した。
【0079】
(金属アルコキシド層の厚み測定)
金属アルコキシド層を有する複合層等の試料を、集束イオンビーム加工観察装置FB−2100(日立製作所製)のマイクロサンプリング装置にて加工し、観察用切片を作製した。作製した切片を透過電子顕微鏡H−7500(日立製作所製)で観察し、ランダムに20点測定し、測定値の平均から金属アルコキシド層の厚さを求めた。
【0080】
(表面粗さ)
JIS B 0601:2001の規定に従って、カラー3Dレーザー顕微鏡(キーエンス社製、製品名「VK−9500」)を用いて測定し、表面粗さRaを算出した。
【0081】
(ヘイズ)
濁度計(日本電色社製、製品名「NDM 2000」)を用いて測定した。
【0082】
(接着力の測定)
ガスバリア積層体を、幅10mmの寸法に切り出し、粘着剤でガラスに固定し、引張り角度90°、剥離速度20mm/minの条件で、島津製作所製 オートグラフィーで測定した。測定は、測定対象の製造が完了した直後と、その後測定対象を高温高湿の環境に暴露した後に実施した。
(剥離面の観察)
剥離試験後の剥離面の断面をFE-TEMで観察して、剥離界面の特定を行った。
【0083】
(透湿度)
JIS K7129Bに基づいて、「PERMATRAN W3/33」(モコン社製)を用いて、40℃、90%RHの条件で測定を行った。測定は、測定対象の製造が完了した直後と、その後測定対象を高温高湿の環境に暴露した後に実施した。
【0084】
(高温高湿環境への暴露)
高温高湿の環境への暴露は、「EHS−211MD」(エスペック社製)を用い、80℃、90%RHで1時間保持し、続いて120℃、30%RHで1時間保持することにより行った。
【0085】
(レターデーションの測定)
王子計測機器(株)製 KOBRA−21ADHにより、TD方向に10点測定した。
【0086】
<実施例1>
図8に概略的に示す層構成を有するガスバリア積層体1を作製した。
【0087】
(1−1.原反フィルム1の作製)
ノルボルネン重合体1(日本ゼオン社製、商品名「ZEONOR1600」、Tg163℃、屈折率1.525)のペレットを、空気を流通させた熱風乾燥器を用いて70℃で2時間乾燥したのち、65mmφのスクリューを備えた樹脂溶融混練機を有するTダイ式フィルム溶融押出し成形機に供給し、溶融樹脂温度240℃、Tダイの幅500mmの条件で、押出成形して、厚さ100μmの原反フィルム1を得た。Tダイは、鏡面に研磨したものを用いた。
【0088】
(1−2.延伸フィルム1の作製)
得られた原反フィルム1を、縦延伸装置を用い延伸温度172℃でフィルムの流れ方向(MD方向)に2.0倍延伸し、次いで、テンター法を用いた横延伸機に供給し、172℃の温度でフィルムの幅方向(TD方向)に2.0倍に延伸し、巻き取って、延伸フィルム1を得た。
【0089】
(1−3.無機バリア層の形成)
得られた延伸フィルム1の表面に、フィルム巻き取り式マグネトロンスパッタ装置を用いて、Siターゲットを用いて、アルゴン流量150sccm、酸素流量10sccm、出力4.0kW、真空度0.3Pa、巻きとり速度0.5m/min、張力30Nの条件で、厚さ100nmのSiOx層を無機バリア層として成膜し、(SiOx層)−(延伸フィルム)の層構成を有する積層体P1を得た。積層体P1のSiOx層側の面及び延伸フィルム側の面の表面粗さRaを測定すると、それぞれ0.65nm及び0.70nmであった。得られた積層体P1を200mm×200mmのサイズで2枚切り出し、それぞれを積層体P1−A、積層体P1−Bとした。
【0090】
(1−4.複合層A1の作製)
積層体P1−AのSiOx層側の表面に、リモート式の常圧プラズマ装置を用いて窒素流量200L/min、ドライエアー流量200mL/min、出力1.5kW、1.0m/min、処理幅300mmの条件で、表面処理を実施した。
表面処理をした積層体P1−Aを密閉容器に入れて、表面処理をしたSiOx層側の表面をγ−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−903:信越シリコーン社製)の蒸気で10分間暴露処理して、金属アルコキシド層を形成し、(金属アルコキシド層)−(SiOx層)−(延伸フィルム)の層構成を有する複合層A1(
図8の複合層A-IIに相当)を得た。
【0091】
(1−5.複合層B1の作製)
積層体P1−Bの延伸フィルム側の表面に、リモート式の常圧プラズマ装置を用いて窒素流量200L/min、ドライエアー流量200mL/min、出力1.5kW、1.0m/min、処理幅300mmの条件で、表面処理を実施した。
表面処理をした積層体P1−Bを密閉容器に入れて、表面処理をした延伸フィルム側の表面をγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−403:信越シリコーン社製)の蒸気で10分間暴露処理して、金属アルコキシド層を形成し、(SiOx層)−(延伸フィルム)−(金属アルコキシド層)の層構成を有する複合層B1(
図8の複合層B-IIに相当)を得た。
【0092】
(1−6.ガスバリア積層体1の作製)
複合層A1及び複合層B1の、金属アルコキシド層側の表面同士を対向させてこれらを重ねて、真空ラミネート装置を用いて、0.9MPa、130℃、360secの条件で圧着し、(SiOx層)−(延伸フィルム)−(金属アルコキシド層)−(金属アルコキシド層)−(SiOx層)−(延伸フィルム)の層構成を有するガスバリア積層体1を得た。
【0093】
(1−7.評価)
ガスバリア積層体1の金属アルコキシド層2層の合計の膜厚は、0.05μmであった。ガスバリア積層体1のヘイズは0.20%であった。ガスバリア積層体1の複合層A1とB1と間の接着力及びガスバリア積層体1の透湿度を測定すると、それぞれ4.50N/cm及び0.20×10
−2g/m
2/dayであった。剥離界面は、金属アルコキシド層と積層体P1−Bの界面であった。高温高湿環境に暴露した後の接着力及び透湿度を測定すると、それぞれ4.40N/cm及び0.21×10
−2g/m
2/dayであった。剥離界面は、金属アルコキシド層と積層体P1−Bの界面であった。
【0094】
<実施例2>
図9に概略的に示す層構成を有するガスバリア積層体2を作製した。
【0095】
(2−1.複合層A2の作製)
表面処理及び金属アルコキシド層の形成を、積層体P1−AのSiOx層側ではなく延伸フィルム側の表面に対して行った他は、実施例1の工程(1−4)と同様にして表面処理及び金属アルコキシド形成を行い、(金属アルコキシド層)−(延伸フィルム)−(SiOx層)の層構成を有する複合層A2(
図9の複合層A-IIIに相当)を得た。
【0096】
(2−2.ガスバリア積層体2の作製)
複合層A1に代えて、上記(2−1)で得た複合層A2を用いた他は、実施例1の工程(1−6)と同様にして複合層A2及びB1を圧着し、(SiOx層)−(延伸フィルム)−(金属アルコキシド層)−(金属アルコキシド層)−(延伸フィルム)−(SiOx層)の層構成を有するガスバリア積層体2を得た。
【0097】
(2−3.評価)
ガスバリア積層体2の金属アルコキシド層2層の合計の膜厚は、0.05μmであった。ガスバリア積層体2のヘイズは0.21%であった。ガスバリア積層体2の複合層A2とB1との間の接着力及びガスバリア積層体2の透湿度を測定すると、それぞれ3.10N/cm及び0.20×10
−2g/m
2/dayであった。剥離界面は、金属アルコキシド層と積層体P1−Bの界面であった。高温高湿環境に暴露した後の接着力及び透湿度を測定すると、それぞれ3.00N/cm及び0.22×10
−2g/m
2/dayであった。剥離界面は、金属アルコキシド層と積層体P1−Bの界面であった。
【0098】
<実施例3>
図6に概略的に示す層構成を有するガスバリア積層体3を作製した。
【0099】
(3−1.複合層A3及び複合層B3の作製)
金属アルコキシド層の形成を行わなかった他は、実施例1の工程(1−4)と同様にして積層体P1−Aの表面処理を行い、(SiOx層)−(延伸フィルム)の層構成を有し、SiOx層側の表面がプラズマ処理された複合層A3(
図6の複合層A-Iに相当)を得た。
一方、金属アルコキシド層の形成を行わなかった他は、実施例1の工程(1−5)と同様にして積層体P1−Bの表面処理を行い、(SiOx層)−(延伸フィルム)の層構成を有し、延伸フィルム側の表面がプラズマ処理された複合層B3(
図6の複合層B-Iに相当)を得た。
【0100】
(3−2.ガスバリア積層体3の作製)
複合層A3及び複合層B3の、プラズマ処理された表面同士を対向させてこれらを重ねて、真空ラミネート装置を用いて、0.9MPa、130℃、360secの条件で圧着し、(SiOx層)−(延伸フィルム)−(SiOx層)−(延伸フィルム)の層構成を有するガスバリア積層体3を得た。
【0101】
(3−3.評価)
ガスバリア積層体3のヘイズは0.20%であった。ガスバリア積層体3の複合層A3とB3との間の接着力及びガスバリア積層体3の透湿度を測定すると、それぞれ2.20N/cm及び0.20×10
−2g/m
2/dayであった。剥離界面は、積層体P1−Aと積層体P1−Bの界面であった。高温高湿環境に暴露した後の接着力及び透湿度を測定すると、それぞれ0.60N/cm及び0.80×10
−2g/m
2/dayであった。剥離界面は、積層体P1−Aと積層体P1−Bの界面であった。
【0102】
<実施例4>
図6に概略的に示す層構成を有するガスバリア積層体4を作製した。ガスバリア積層体4は、表面処理の態様が異なる他は、実施例3のガスバリア積層体3と同様の構成を有している。
【0103】
(4−1.複合層A4及び複合層B4の作製)
実施例1の工程(1−3)で得られた積層体P1−AのSiOx層側の表面に、コロナ処理(0.15kW、電極間2mm、処理速度1.0m/min、処理幅300mm)を行ない、(SiOx層)−(延伸フィルム)の層構成を有し、SiOx層側の表面がコロナ処理された複合層A4(
図6の複合層A-Iに相当)を得た。
一方、実施例1の工程(1−3)で得られた積層体P1−Bの延伸フィルム側の表面に、コロナ処理(0.15kW、電極間2mm、処理速度1.0m/min、処理幅300mm)を行ない、(SiOx層)−(延伸フィルム)の層構成を有し、延伸フィルム側の表面がコロナ処理された複合層B4(
図6の複合層B-Iに相当)を得た。
【0104】
(4−2.ガスバリア積層体4の作製)
複合層A4及び複合層B4の、コロナ処理された表面同士を対向させてこれらを重ねて、真空ラミネート装置を用いて、0.9MPa、130℃、360secの条件で圧着し、(SiOx層)−(延伸フィルム)−(SiOx層)−(延伸フィルム)の層構成を有するガスバリア積層体4を得た。
【0105】
(4−3.評価)
ガスバリア積層体4のヘイズは0.20%であった。ガスバリア積層体4の複合層A4とB4との間の接着力及びガスバリア積層体4の透湿度を測定すると、それぞれ2.00N/cm及び0.20×10
−2g/m
2/dayであった。剥離界面は、積層体P1−Aと積層体P1−Bの界面であった。
高温高湿環境に暴露した後の接着力及び透湿度を測定すると、それぞれ0.55N/cm及び1.00×10
−2g/m
2/dayであった。剥離界面は、積層体P1−Aと積層体P1−Bの界面であった。
【0106】
<実施例5>
図8に概略的に示す層構成を有するガスバリア積層体5を作製した。ガスバリア積層体5は、積層体を構成する層の表面粗さが異なる他は、実施例1のガスバリア積層体1と同様の構成を有している。
【0107】
(5−1.原反フィルム5の作製)
実施例1の工程(1−1)で得られた原反フィルム1をさらに、165℃に加熱した金属製の鏡面ロール(表面に、厚さ100μmのハードクロムめっきを施したもの)と、180℃に加熱したセラミック製のロール(表面粗さRa 6.0nm)を用いて、線圧100kN/mにて狭圧して、厚さ95μmの原反フィルム5を得た。
【0108】
(5−2.無機バリア層の形成)
延伸フィルム1に代えて上記(5−1)で得られた原反フィルム5を用いた他は、実施例1の工程(1−3)と同様にして無機バリア層の形成を行い、(SiOx層)−(延伸フィルム)の層構成を有する積層体P5を得た。積層体P5のSiOx層側の面及び延伸フィルム側の面の表面粗さRaを測定すると、それぞれ5.5nm及び5.9nmであった。得られた積層体P5を200mm×200mmのサイズで2枚切り出し、それぞれを積層体P5−A、積層体P5−Bとした。
【0109】
(5−3.複合層A5及び複合層B5の作製)
積層体P1−A及びP1−Bに代えて、上記(5−2)で得たP5−A及びP5−Bを用いた他は、実施例1の工程(1−4)及び(1−5)と同様にして表面処理及び金属アルコキシド形成を行い、(金属アルコキシド層)−(SiOx層)−(延伸フィルム)の層構成を有する複合層A5(
図8の複合層A-IIに相当)、及び(SiOx層)−(延伸フィルム)−(金属アルコキシド層)の層構成を有する複合層B5(
図8の複合層B-IIに相当)を得た。
【0110】
(5−4.ガスバリア積層体5の作製)
複合層A1及びB1に代えて、上記(5−3)で得た複合層A5及びB5を用いた他は、実施例1の工程(1−6)と同様にして複合層A5及びB5を圧着し、(SiOx層)−(延伸フィルム)−(金属アルコキシド層)−(金属アルコキシド層)−(SiOx層)−(延伸フィルム)の層構成を有するガスバリア積層体5を得た。
【0111】
(5−5.評価)
ガスバリア積層体5の金属アルコキシド層2層の合計の膜厚は、0.05μmであった。ガスバリア積層体5のヘイズは0.35%であった。ガスバリア積層体5の複合層A5とB5との間の接着力及びガスバリア積層体5の透湿度を測定すると、それぞれ1.50N/cm及び0.22×10
−2g/m
2/dayであった。剥離界面は、金属アルコキシド層と積層体P5−Bの界面であった。高温高湿環境に暴露した後の接着力及び透湿度を測定すると、それぞれ1.20N/cm及び0.23×10
−2g/m
2/dayであった。剥離界面は、金属アルコキシド層と積層体P5−Bの界面であった。
【0112】
<実施例6>
図6に概略的に示す層構成を有するガスバリア積層体6を作製した。ガスバリア積層体6は、積層体を構成する層の表面粗さが異なる他は、実施例3のガスバリア積層体3と同様の構成を有している。
【0113】
(6−1.複合層A6及び複合層B6の作製)
積層体P1−Aに代えて実施例5の工程(5−2)で得た積層体P5−Aを用い、且つ金属アルコキシド層の形成を行わなかった他は、実施例1の工程(1−4)と同様にして積層体P5−Aの表面処理を行い、(SiOx層)−(延伸フィルム)の層構成を有し、SiOx層側の表面がプラズマ処理された複合層A6(
図6の複合層A-Iに相当)を得た。
一方、積層体P1−Bに代えて実施例5の工程(5−2)で得た積層体P5−Bを用い、且つ金属アルコキシド層の形成を行わなかった他は、実施例1の工程(1−5)と同様にして積層体P5−Bの表面処理を行い、(SiOx層)−(延伸フィルム)の層構成を有し、延伸フィルム側の表面がプラズマ処理された複合層B6(
図6の複合層B-Iに相当)を得た。
【0114】
(6−2.ガスバリア積層体6の作製)
複合層A6及び複合層B6の、プラズマ処理された表面同士を対向させてこれらを重ねて、真空ラミネート装置を用いて、0.9MPa、130℃、360secの条件で圧着し、(SiOx層)−(延伸フィルム)−(SiOx層)−(延伸フィルム)の層構成を有するガスバリア積層体6を得た。
【0115】
(6−3.評価)
ガスバリア積層体6のヘイズは0.35%であった。ガスバリア積層体6の複合層A6とB6との間の接着力及びガスバリア積層体6の透湿度を測定すると、それぞれ1.40N/cm及び0.21×10
−2g/m
2/dayであった。剥離界面は、積層体P5−Aと積層体P5−Bの界面であった。高温高湿環境に暴露した後の接着力及び透湿度を測定すると、それぞれ0.53N/cm及び1.00×10
−2g/m
2/dayであった。剥離界面は、積層体P5−Aと積層体P5−Bの界面であった。
【0116】
<実施例7>
図8に概略的に示す層構成を有するガスバリア積層体7を作製した。ガスバリア積層体7は、金属アルコキシド層の形成の条件が異なる他は、実施例1のガスバリア積層体1と同様の構成を有している。
【0117】
(7−1.複合層A7及びB7の作製)
金属アルコキシド層の形成に際しての暴露処理時間を2分間とした他は、実施例1の工程(1−4)及び(1−5)と同様にして表面処理及び金属アルコキシド形成を行い、複合層A7(
図8の複合層A-IIに相当)及び複合層B7(
図8の複合層B-IIに相当)を得た。
【0118】
(7−2.ガスバリア積層体7の作製)
複合層A1及びB1に代えて、上記(7−1)で得た複合層A7及びB7を用いた他は、実施例1の工程(1−6)と同様にして複合層A7及びB7を圧着し、(SiOx層)−(延伸フィルム)−(金属アルコキシド層)−(金属アルコキシド層)−(SiOx層)−(延伸フィルム)の層構成を有するガスバリア積層体7を得た。
【0119】
(7−3.評価)
ガスバリア積層体7の金属アルコキシド2層の合計の厚さは、0.005μmであった。ガスバリア積層体7のヘイズは0.20%であった。ガスバリア積層体7の複合層A7とB7との間の接着力及びガスバリア積層体7の透湿度を測定すると、それぞれ2.20N/cm及び0.22×10
−2g/m
2/dayであった。剥離界面は、金属アルコキシド層と積層体P1−Bの界面であった。高温高湿環境に暴露した後の接着力及び透湿度を測定すると、それぞれ0.52N/cm及び0.50×10
−2g/m
2/dayであった。剥離界面は、金属アルコキシド層と積層体P1−Bの界面であった。
【0120】
<実施例8>
図9に概略的に示す層構成を有するガスバリア積層体8を作製した。ガスバリア積層体8は、金属アルコキシド層の形成方法が異なる他は、実施例2のガスバリア積層体2と同様の構成を有している。
【0121】
(8−1.複合層A8の作製)
実施例1の工程(1−3)で得た積層体P1−Aの延伸フィルム側の表面に、リモート式の常圧プラズマ装置を用いて窒素流量200L/min、ドライエアー流量200mL/min、出力1.5kW、1.0m/min、処理幅300mmの条件で、表面処理を実施した。
表面処理を施した当該表面に、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−903:信越シリコーン社製)1.0重量部、エタノール79.2重量部、及び純水19.8重量部からなる混合溶液をバーコーター#6で塗布し、85℃で30分間アニール処理し、金属アルコキシ層を形成し、(金属アルコキシド層)−(延伸フィルム)−(SiOx層)の層構成を有する複合層A8(
図9の複合層A-IIIに相当)を得た。
【0122】
(8−2.複合層B8の作製)
実施例1の工程(1−3)で得た積層体P1−Bの延伸フィルム側の表面に、リモート式の常圧プラズマ装置を用いて窒素流量200L/min、ドライエアー流量200mL/min、出力1.5kW、1.0m/min、処理幅300mmの条件で、表面処理を実施した。
表面処理を施した当該表面に、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−403:信越シリコーン社製)1.0重量部、エタノール79.2重量部、及び純水19.8重量部からなる混合溶液をバーコーター#6で塗布し、85℃で30分間アニール処理し、金属アルコキシ層を形成し、(SiOx層)−(延伸フィルム)−(金属アルコキシド層)の層構成を有する複合層B8(
図9の複合層B-IIに相当)を得た。
【0123】
(8−3.ガスバリア積層体8の作製)
複合層A1及びB1に代えて、上記(8−1)及び(8−2)で得た複合層A8及びB8を用いた他は、実施例1の工程(1−6)と同様にして複合層A8及びB8を圧着し、(SiOx層)−(延伸フィルム)−(金属アルコキシド層)−(金属アルコキシド層)−(延伸フィルム)−(SiOx層)の層構成を有するガスバリア積層体8を得た。
【0124】
(8−4.評価)
ガスバリア積層体8の金属アルコキシド2層の合計の厚さは、1.3μmであった。ガスバリア積層体8のヘイズは2.10%であった。ガスバリア積層体8の複合層A8とB8との間の接着力及びガスバリア積層体8の透湿度を測定すると、それぞれ3.50N/cm及び0.23×10
−2g/m
2/dayであった。剥離界面は、金属アルコキシド層と積層体P1−Bの界面であった。高温高湿環境に暴露した後の接着力及び透湿度を測定すると、それぞれ3.40N/cm及び0.24×10
−2g/m
2/dayであった。剥離界面は、金属アルコキシド層と積層体P1−Bの界面であった。
【0125】
<実施例9>
図8に概略的に示す層構成を有するガスバリア積層体9を作製した。ガスバリア積層体9は、金属アルコキシド層の形成方法が異なる他は、実施例5のガスバリア積層体5と同様の構成を有している。
【0126】
(9−1.複合層A9の作製)
実施例5の工程(5−2)で得た積層体P5−AのSiOx層側の表面に、リモート式の常圧プラズマ装置を用いて窒素流量200L/min、ドライエアー流量200mL/min、出力1.5kW、1.0m/min、処理幅300mmの条件で、表面処理を実施した。
表面処理を施した当該表面に、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−903:信越シリコーン社製)1.0重量部、エタノール79.2重量部、及び純水19.8重量部からなる混合溶液をバーコーター#6で塗布し、85℃で30分間アニール処理し、金属アルコキシ層を形成し、(金属アルコキシド層)−(SiOx層)−(延伸フィルム)の層構成を有する複合層A9(
図8の複合層A-IIに相当)を得た。
【0127】
(9−2.複合層B9の作製)
実施例5の工程(5−2)で得た積層体P5−Bの延伸フィルム側の表面に、リモート式の常圧プラズマ装置を用いて窒素流量200L/min、ドライエアー流量200mL/min、出力1.5kW、1.0m/min、処理幅300mmの条件で、表面処理を実施した。
表面処理を施した当該表面に、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−403:信越シリコーン社製)1.0重量部、エタノール79.2重量部、及び純水19.8重量部からなる混合溶液をバーコーター#6で塗布し、85℃で30分間アニール処理し、金属アルコキシ層を形成し、(SiOx層)−(延伸フィルム)−(金属アルコキシド層)の層構成を有する複合層B9(
図8の複合層B-IIに相当)を得た。
【0128】
(9−3.ガスバリア積層体9の作製)
複合層A1及びB1に代えて、上記(9−1)及び(9−2)で得た複合層A9及びB9を用いた他は、実施例1の工程(1−6)と同様にして複合層A9及びB9を圧着し、(SiOx層)−(延伸フィルム)−(金属アルコキシド層)−(金属アルコキシド層)−(SiOx層)−(延伸フィルム)の層構成を有するガスバリア積層体9を得た。
【0129】
(9−4.評価)
ガスバリア積層体9の金属アルコキシド2層の合計の厚さは、1.7μmであった。ガスバリア積層体9のヘイズは2.30%であった。ガスバリア積層体9の複合層A9とB9との間の接着力及びガスバリア積層体9の透湿度を測定すると、それぞれ1.50N/cm及び0.24×10
−2g/m
2/dayであった。剥離界面は、金属アルコキシド層と積層体P5−Bの界面であった。高温高湿環境に暴露した後の接着力及び透湿度を測定すると、それぞれ1.50N/cm及び0.30×10
−2g/m
2/dayであった。剥離界面は、金属アルコキシド層と積層体P5−Bの界面であった。
【0130】
<実施例10>
図7に概略的に示す層構成を有するガスバリア積層体10を作製した。
【0131】
(10−1.ガスバリア積層体の作製)
実施例1の工程(1−3)で得た積層体P1−Aを、表面処理及び金属アルコキシド層の形成処理を行わずそのまま用いた。積層体P1−AのSiOx層側の表面と、実施例1の工程(1−5)で得た複合層B1の金属アルコキシド層側の表面とを対向させてこれらを重ねて、真空ラミネート装置を用いて、0.9MPa、130℃、360secの条件で圧着し、(SiOx層)−(延伸フィルム)−(金属アルコキシド層)−(SiOx層)−(延伸フィルム)の層構成を有するガスバリア積層体10を得た。
【0132】
(10−2.評価)
ガスバリア積層体10の金属アルコキシドの厚さは、0.03μmであった。ガスバリア積層体10のヘイズは0.20%であった。ガスバリア積層体10の積層体P1−AとB1との間の接着力及びガスバリア積層体10の透湿度を測定すると、それぞれ3.50N/cm及び0.20×10
−2g/m
2/dayであった。剥離界面は、P1−Aと金属アルコキシド層の界面であった。高温高湿環境に暴露した後の接着力及び透湿度を測定すると、それぞれ3.00N/cm及び0.24×10
−2g/m
2/dayであった。剥離界面は、P1−Aと金属アルコキシド層の界面であった。
【0133】
<実施例11>
図8に概略的に示す層構成を有するガスバリア積層体11を作製した。ガスバリア積層体11は、延伸フィルムに代えて、材料の異なる非延伸のフィルムを用いた他は、実施例1のガスバリア積層体1と同様の構成を有している。
【0134】
(11−1.ノルボルネン重合体2の合成)
窒素置換したガラス反応器に、(アリル)パラジウム(トリシクロヘキシルホスフィン)クロリド0.77重量部及びリチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート1.14重量部を入れ、続けてトルエン2重量部を加え触媒液を調製した。
次いで、窒素置換した攪拌機付きの耐圧ガラス反応器に、2−ノルボルネン(NB;分子量=94)1,650重量部、5−エチル−2−ノルボルネン(E0NB;分子量=122)915重量部、分子量調整剤としてスチレン1,300重量部及び重合溶媒としてトルエン7,200重量部を仕込み、上記の触媒液全量(3.91重量部)を添加して重合を開始した。45℃で4.5時間反応させた後、重合反応液を多量のメタノールに注いでポリマーを完全に析出させ、濾別洗浄後、50℃で18時間減圧乾燥して、ノルボルネン重合体2を2,462重量部得た。
ノルボルネン重合体2の数平均分子量は140,000、重量平均分子量は502,000であった。ノルボルネン重合体2中のNB単位/E0NB単位組成比は、61/39(モル/モル)であった。ノルボルネン重合体2のガラス転移温度は274℃であった。重合体の重量平均分子量及び数平均分子量は、テトラヒドロフラン又はクロロホルムを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算値として測定した。重合体の共重合比は、
1H−NMR測定により求めた。ガラス転移温度は、DMS6100(セイコーインスツルメント社製)を用いて動的粘弾性測定により求まる貯蔵弾性率E’の屈曲点の温度で算出した。
【0135】
(11−2.原反フィルム11の作製)
ノルボルネン重合体2の25重量部と、トルエン75重量部とを混合した溶液を用いて、溶剤キャスト法で原反フィルム11を作製した。原反フィルム11の厚さは60μmであった。
【0136】
(11−3.無機バリア層の形成)
延伸フィルム1に代えて上記(11−2)で得た原反フィルム11を用いた(即ち、延伸工程を経ずに用いた)以外は、実施例1の工程(1−3)と同様にして無機バリア層の形成を行い、(SiOx層)−(原反フィルム)の層構成を有する積層体P11を得た。積層体P11のSiOx層側の面及び原反フィルム側の面の表面粗さRaを測定すると、それぞれ3.50nm及び3.40nmであった。得られた積層体P11を200mm×200mmのサイズで2枚切り出し、それぞれを積層体P11−A、積層体P11−Bとした。
【0137】
(11−4.ガスバリア積層体11の作製)
積層体P1−A及び積層体P1−Bに代えて上記(11−3)で得た積層体P11−A及び積層体P11−Bを用いた他は、実施例1の工程(1−4)〜(1−6)と同様にして表面処理、金属アルコキシド層の形成及び圧着を行い、(金属アルコキシド層)−(SiOx層)−(原反フィルム)の層構成を有する複合層A11(
図8の複合層A-IIに相当)、及び(SiOx層)−(原反フィルム)−(金属アルコキシド層)の層構成を有する複合層B11(
図8の複合層B-IIに相当)を得、さらに(SiOx層)−(原反フィルム)−(金属アルコキシド層)−(金属アルコキシド層)−(SiOx層)−(原反フィルム)の層構成を有するガスバリア積層体11を得た。
【0138】
(11−5.評価)
ガスバリア積層体11の金属アルコキシド層2層の合計の膜厚は、0.05μmであった。ガスバリア積層体11のヘイズは0.20%であった。ガスバリア積層体11の複合層A11とB11と間の接着力及びガスバリア積層体11の透湿度を測定すると、それぞれ4.50N/cm及び0.20×10
−2g/m
2/dayであった。剥離界面は、金属アルコキシド層と積層体P11−Bの界面であった。高温高湿環境に暴露した後の接着力及び透湿度を測定すると、それぞれ4.30N/cm及び0.20×10
−2g/m
2/dayであった。剥離界面は、金属アルコキシド層と積層体P11−Bの界面であった。
【0139】
<実施例12>
図8に概略的に示す層構成を有するガスバリア積層体12を作製した。ガスバリア積層体12は、複合層Aを構成する層の材料が異なる他は、実施例1のガスバリア積層体1と同様の構成を有している。
【0140】
(12−1.無機バリア層の形成)
ポリエチレンナフタレートフィルム(商品名「テオネックスQ65FA」、帝人デュポン社製)を、原反フィルム12として用いた。延伸フィルム1に代えてこの原反フィルム12を用いた(即ち、延伸工程を経ずに用いた)以外は、実施例1の工程(1−3)と同様にしてSiOx層の形成を行い、(SiOx層)−(原反フィルム)の層構成を有する積層体P12を得た。積層体P12のSiOx層側の面及び原反フィルム側の面の表面粗さRaを測定すると、それぞれ2.0nm及び2.5nmであった。得られた積層体P12を200mm×200mmのサイズで切り出し、積層体P12−Aとした。
【0141】
(12−2.複合層A12の作製)
積層体P1−Aに代えて上記(12−1)で得た積層体P12−Aを用いた他は、実施例1の工程(1−4)と同様にして表面処理及び金属アルコキシド形成を行い、(金属アルコキシド層)−(SiOx層)−(原反フィルム)の層構成を有する複合層A12(
図8の複合層A-IIに相当)を得た。
【0142】
(12−3.ガスバリア積層体12の作製)
複合層A1に代えて上記(12−2)で得た複合層A12を用いた他は、実施例1の工程(1−6)と同様にして複合層A12及びB1を圧着し、(SiOx層)−(延伸フィルム)−(金属アルコキシド層)−(金属アルコキシド層)−(SiOx層)−(延伸フィルム)の層構成を有するガスバリア積層体12を得た。
【0143】
(12−3.評価)
ガスバリア積層体12の金属アルコキシド層2層の合計の膜厚は、0.05μmであった。ガスバリア積層体12のヘイズは0.25%であった。ガスバリア積層体12の複合層A12とB12と間の接着力及びガスバリア積層体12の透湿度を測定すると、それぞれ4.30N/cm及び0.30×10
−2g/m
2/dayであった。剥離界面は、P12-Aと金属アルコキシド層の界面であった。高温高湿環境に暴露した後の接着力及び透湿度を測定すると、それぞれ4.20N/cm及び0.65×10
−2g/m
2/dayであった。剥離界面は、P12-Aと金属アルコキシド層の界面であった。
【0144】
<実施例13>
ガスバリア積層体及び偏光子を有する円偏光板を作製した。
【0145】
(13−1.1/2波長板積層体P13−Aの作製)
実施例1の工程(1−1)で得られた原反フィルム1を、縦延伸装置を用い延伸温度172℃でフィルムの流れ方向(MD方向)に1.3倍延伸し、1/2波長板を作製した。
延伸フィルム1に代えてこの1/2波長板を用いた他は、実施例1の工程(1−3)と同様にして無機バリア層の形成を行い、(SiOx層)−(1/2波長板)の層構成を有する積層体を得、これを200mm×200mmのサイズで切り出し、積層体P13−Aを得た。切り出しに際しては、1/2波長板の遅相軸と、他の層の遅相軸及び偏光軸との角度が後述する所定の状態となるよう、遅相軸と辺との関係を合わせて切り出しを行った。
得られた積層体P13−Aの波長550nmのレタデーション値(Re(550))は265nmであり、波長450nmのレタデーション値(Re(450))との比(Re(450))/(Re(550))は1.051であった。積層体P13−AのSiOx層側の面及び1/2波長板側の面の表面粗さRaを測定すると、それぞれ0.65nm及び0.78nmであった。
【0146】
(13−2.1/4波長板積層体P13−Bの作製)
実施例1の工程(1−1)で得られた原反フィルム1を、縦延伸装置を用い延伸温度172℃でフィルムの流れ方向(MD方向)に1.5倍延伸し、1/4波長板を作製した。
延伸フィルム1に代えてこの1/4波長板を用いた他は、実施例1の工程(1−3)と同様にして無機バリア層の形成を行い、(SiOx層)−(1/4波長板)の層構成を有する200mm×200mmの積層体を得、これを200mm×200mmのサイズで切り出し、積層体P13−Bを得た。切り出しに際しては、1/4波長板の遅相軸と、他の層の遅相軸及び偏光軸との角度が後述する所定の状態となるよう、遅相軸と辺との関係を合わせて切り出しを行った。
得られた積層体P13−Bの波長550nmのレタデーション値(Re(550))は132.5nmであり、波長450nmのレタデーション値(Re(450))との比(Re(450))/(Re(550))は1.051であった。積層体P13−BのSiOx層側の面及び1/4波長板側の面の表面粗さRaを測定すると、それぞれ0.69nm及び0.83nmであった。
【0147】
(13−3.複合層A13及び複合層B13の作製)
積層体P1−A及びP1−Bに代えて、上記(13−1)及び(13−2)で得たP13−A及びP13−Bを用いた他は、実施例1の工程(1−4)及び(1−5)と同様にして表面処理及び金属アルコキシド形成を行い、(金属アルコキシド層)−(SiOx層)−(1/2波長板)の層構成を有する複合層A13、及び(SiOx層)−(1/4波長板)−(金属アルコキシド層)の層構成を有する複合層B13を得た。
【0148】
(13−4.ガスバリア積層体13の作製)
複合層A1及びB1に代えて、上記(13−3)で得た複合層A13及びB13を用いた他は、実施例1の工程(1−6)と同様にして複合層A13及びB13を圧着し、(SiOx層)−(1/4波長板)−(金属アルコキシド層)−(金属アルコキシド層)−(SiOx層)−(1/2波長板)の層構成を有し、1/2波長板の遅相軸と1/4波長板の遅相軸との交差角が59°であるガスバリア積層体13を得た。
【0149】
(13−5.ガスバリア積層体13の評価)
ガスバリア積層体13の金属アルコキシド層2層の合計の膜厚は、0.05μmであった。ガスバリア積層体13のヘイズは0.25%であった。ガスバリア積層体13の複合層A13とB13との間の接着力及びガスバリア積層体13の透湿度を測定すると、それぞれ4.50N/cm及び0.20×10
−2g/m
2/dayであった。剥離界面は、P13-Bと金属アルコキシド層の界面であった。高温高湿環境に暴露した後の接着力及び透湿度を測定すると、それぞれ4.40N/cm及び0.30×10
−2g/m
2/dayであった。剥離界面は、P13-Bと金属アルコキシド層の界面であった。
【0150】
(13−6.円偏光板の作製)
得られたガスバリア積層体13の1/2波長板側の表面に、コロナ処理(0.15kW、電極間2mm、処理速度1.0m/min、処理幅300mm)を施した。
ポリエステル系ポリウレタン樹脂の酢酸エチル溶液(日本ポリウレタン社製WWA−608S)20重量部、ポリイソシアネートの酢酸エチル溶液(日本ポリウレタン社製HARDENER110)20重量部、酢酸ブチル0.4重量部、シクロヘキサン0.4重量部、及び酢酸エチル80重量部を混合し、塗布液を調製した。
ガスバリア積層体の、1/2波長板側のコロナ処理を施した面上に、上記塗布液を、バーコーターでウェット膜厚20μmで塗布し、85℃で30分間乾燥し、(SiOx層)−(1/4波長板)−(金属アルコキシド層)−(金属アルコキシド層)−(SiOx層)−(1/2波長板)−(樹脂層)の層構成を有する偏光層積層体13を得た。
得られた偏光層積層体13の樹脂層側の面と、片面にTACフィルムが積層されたよう素系偏光子の偏光子面とを、1/2波長板の遅層軸と偏光層の偏光軸との交差角が15°となり、且つ1/4波長板の遅相軸と偏光層の偏光軸が74°となるように重ね合わせて、70℃で熱圧着し、40℃で3日間エージングし、円偏光板を得た。
【0151】
(13−7.円偏光板の評価)
円偏光板を、裏面に反射板を有する反射型液晶表示素子上に、1/4波長板側が該液晶表示素子に対面するように設置し、液晶表示素子の表示を黒表示(前面を黒に表示する)にし、前記円偏光板を通して観た黒表示の鮮明度を評価した。黒表示の黒のトーンが画面全面に亘り均一で、且つ濃いトーンである良好な特性を有していることがわかった。
【0152】
実施例1〜13で得られた積層体は、いずれも、耐湿熱試験前後の接着力、水蒸気バリア性が良好であり、ヘイズも小さいため、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、液晶表示装置等に好適に使用できるものであった。