特許第5729564号(P5729564)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5729564スルホニルウレア化合物の結晶形およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5729564
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】スルホニルウレア化合物の結晶形およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 413/14 20060101AFI20150514BHJP
【FI】
   C07D413/14
【請求項の数】7
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2011-539338(P2011-539338)
(86)(22)【出願日】2010年10月25日
(86)【国際出願番号】JP2010068845
(87)【国際公開番号】WO2011055649
(87)【国際公開日】20110512
【審査請求日】2013年7月24日
(31)【優先権主張番号】特願2009-252981(P2009-252981)
(32)【優先日】2009年11月4日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2010-190267(P2010-190267)
(32)【優先日】2010年8月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104385
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100163360
【弁理士】
【氏名又は名称】伴 知篤
(72)【発明者】
【氏名】楠岡 義之
(72)【発明者】
【氏名】中屋 潔彦
(72)【発明者】
【氏名】北谷戸 尚
【審査官】 砂原 一公
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2005/103044(WO,A1)
【文献】 北村光孝 外,結晶多形現象と晶析工学,日本結晶成長学会誌,1986年,Vol.13, No.1,p.100
【文献】 山本英二 外,●特集●やわらかな分離 結晶多形と分離操作,分離技術,1995年,Vol.25, No.5,p.9(381)-14(386),38(410)
【文献】 新実験化学講座1 基本操作I,丸善株式会社,1978年 3月20日,第3刷,p.318-319
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 401/00−421/14
A01N 1/00−65/02
A01P 1/00−23/00
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
CiNii
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】
で表されるスルホニルウレア化合物が取りうる結晶形のうち、Cu−Kα線による粉末X線回折において2θ=7.12°、8.16°、8.88°、9.60°、12.48°、13.24°、16.88°、17.80°、18.56°、19.32°、20.2°、21.04°、22.56°、23.28°、24.24°、24.68°、27.52°及び31.28°にピークを有する結晶形Aのスルホニルウレア化合物。
【請求項2】
請求項1に記載の結晶形Aのスルホニルウレア化合物および分散媒を含有する懸濁状組成物。
【請求項3】
更に界面活性剤を含み、分散媒が水である請求項2に記載の懸濁状組成物。
【請求項4】
結晶形Aである結晶の含有率が10乃至100重量%である式(1)で表されるスルホニルウレア化合物を用いる請求項2に記載の懸濁状組成物。
【請求項5】
結晶形Aである結晶の含有率が10乃至100重量%である式(1)で表されるスルホニルウレア化合物を用いる請求項3に記載の懸濁状組成物。
【請求項6】
結晶形Aである結晶の含有率が50乃至100重量%である式(1)で表されるスルホ
ニルウレア化合物を用いる請求項2に記載の懸濁状組成物。
【請求項7】
結晶形Aである結晶の含有率が50乃至100重量%である式(1)で表されるスルホニルウレア化合物を用いる請求項3に記載の懸濁状組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除草剤として有用な除草活性を有する化合物である下記式(1)で表されるスルホニルウレア化合物が取り得る結晶形、それらの製造方法および該結晶形を含有する懸濁状組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
下記式(1)で表されるスルホニルウレア化合物が知られている(たとえば、特許文献1)。しかし、その結晶形とその製造方法については知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2005/103044号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、下記式(1)で表されるスルホニルウレア化合物の新規な結晶とその製造法を提供することにある。本発明のもう一つの目的は、その結晶を含有する保存安定性の向上した懸濁状組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、このような状況に鑑み、鋭意検討した結果、下記式(1)で表されるスルホニルウレア化合物が2種類の結晶多形と4種の擬似結晶多形を有することを解明し、それらの製造方法を見出した。すなわち、本発明は、
[1]式(1):
【化1】
【0006】
で表されるスルホニルウレア化合物が取り得る結晶形のうち、Cu−Kα線による粉末X線回折において2θ=7.12°、8.16°、8.88°、9.60°、12.48°、13.24°、16.88°、17.80°、18.56°、19.32°、20.2°、21.04°、22.56°、23.28°、24.24°、24.68°、27.52°、31.28°に特徴的なピークを有する結晶形Aのスルホニルウレア化合物。
【0007】
[2]式(1)で表されるスルホニルウレア化合物が取り得る結晶形のうち、Cu−Kα線による粉末X線回折において2θ=7.72°、8.20°、9.80°、10.24°、14.64°、15.36°、16.44°、20.12°、21.08°、21.52°、23.32°、24.32°、28.88°及び31.28°にピークを有する結晶形Bのスルホニルウレア化合物。
【0008】
[3]式(1)で表されるスルホニルウレア化合物が取り得る結晶形のうち、Cu−Kα線による粉末X線回折において2θ=6.24°、9.24°、11.56°、12.44°、13.16°、14.16°、14.80°、15.92°、16.52°、17.72°、18.56°、18.96°、19.88°、21.36°、22.12°、23.28°、24.40°、24.92°、25.84°、27.40°、28.00°、28.48°、31.24°及び31.88°にピークを有する結晶形Cのスルホニルウレア化合物。
【0009】
[4]式(1)で表されるスルホニルウレア化合物が取り得る結晶形のうち、粉末X線回折においてCu−Kα線による粉末X線回折において2θ=14.43°、11.52°、12.28°、14.04°、14.64°、16.12°、17.52°、18.8°、19.84°、21.16°、23.00°、24.72°、25.64°、26.08°、27.24°、27.84°、28.32°、31.04°、31.76°にピークを有する結晶形Dのスルホニルウレア化合物。
【0010】
[5]式(1)で表されるスルホニルウレア化合物が取り得る結晶形のうち、Cu−Kα線による粉末X線回折において2θ=7.64°、8.12°、8.84°、9.80°、10.16°、12.44°、13.96°、14.52°、15.24°、16.36°、16.84°、17.72°、18.24°、18.76°、19.32°、20.00°、21.00°、21.44°、22.48°、23.24°、24.2°、25.04°、25.56°、27.84°、28.8°、31.2°、33.12°、34.12°にピークを有する結晶形Eのスルホニルウレア化合物。
【0011】
[6]式(1)で表されるスルホニルウレア化合物が取り得る結晶形のうち、Cu−Kα線による粉末X線回折において2θ=7.00°、7.48°、8.16°、8.84°、9.56°、11.44°、12.00°、12.48°、13.04°、13.52°、14.04°、15.08°、15.68°、16.36°、16.88°、17.88°、18.36°、19.88°、20.36°、21.2°、22.00°、22.80、23.48°、24.20°、25.28°、26.56°、27.84°、29.32°、29.80°、30.48°、32.12°、34.12°にピークを有する結晶形Fのスルホニルウレア化合物。
【0012】
[7] 式(1)で表されるスルホニルウレア化合物をオルトキシレンとヘプタンの混合溶媒に溶解し、冷却、溶媒の蒸発又は貧溶媒の添加によって過飽和度を上昇させて結晶を析出させることによる、前記[1]に記載の結晶形Aを主成分とする結晶の製造方法。
【0013】
[8] [3]に記載の結晶形Cのスルホニルウレア化合物を加熱条件下で揮発成分を除くことによる、前記[2]に記載の結晶形Bを主成分とする結晶の製造方法。
【0014】
[9] 式(1)で表されるスルホニルウレア化合物をクロロベンゼンに溶解し、冷却、溶媒の蒸発又は貧溶媒の添加によって過飽和度を上昇させて結晶を析出させることによる、前記[3]に記載の結晶形Cを主成分とする結晶の製造方法。
【0015】
[10] 式(1)で表されるスルホニルウレア化合物をブロモベンゼンに溶解し、冷却、溶媒の蒸発又は貧溶媒の添加によって過飽和度を上昇させて結晶を析出させることによる、前記[4]に記載の結晶形Dを主成分とする結晶の製造方法。
【0016】
[11] 式(1)で表されるスルホニルウレア化合物をトルエンに溶解し、冷却、溶媒の蒸発又は貧溶媒の添加によって過飽和度を上昇させて結晶を析出させることによる、前記[5]に記載の結晶形Eを主成分とする結晶の製造方法。
【0017】
[12] 式(1)で表されるスルホニルウレア化合物を1,2−ジクロロエタンに溶解し、冷却又は溶媒の蒸発によって過飽和度を上昇させて結晶を析出させることによる、前記[6]に記載の結晶形Fを主成分とする結晶の製造方法。
【0018】
[13] [3]に記載の結晶形Cのスルホニルウレア化合物を加熱し、揮発成分を除くことによる前記[1]に記載の結晶形Aを主成分とする結晶の製造方法。
【0019】
[14] [4]に記載の結晶形Dのスルホニルウレア化合物を加熱し、揮発成分を除くことによる前記[1]に記載の結晶形Aを主成分とする結晶の製造方法。
【0020】
[15] [5]に記載の結晶形Eのスルホニルウレア化合物を加熱し、揮発成分を除くことによる前記[1]に記載の結晶形Aを主成分とする結晶の製造方法。
【0021】
[16] [6]に記載の結晶形Fのスルホニルウレア化合物を加熱し、揮発成分を除くことによる前記[1]に記載の結晶形Aを主成分とする結晶の製造方法。
【0022】
[17] [1]に記載の結晶形Aのスルホニルウレア化合物および分散媒を含有する懸濁状組成物。
【0023】
[18] 更に界面活性剤を含み、分散媒が水である前記[17]に記載の懸濁状組成物。
【0024】
[19] 結晶形Aである結晶の含有率が10乃至100重量%である式(1)で表されるスルホニルウレア化合物を用いる前記[17]に記載の懸濁状組成物。
【0025】
[20] 結晶形Aである結晶の含有率が10乃至100重量%である式(1)で表されるスルホニルウレア化合物を用いる前記[18]に記載の懸濁状組成物。
[21] 結晶形Aである結晶の含有率が50乃至100重量%である式(1)で表されるスルホニルウレア化合物を用いる前記[17]に記載の懸濁状組成物。
[22] 結晶形Aである結晶の含有率が50乃至100重量%である式(1)で表されるスルホニルウレア化合物を用いる前記[18]に記載の懸濁状組成物。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、式(1)で表されるスルホニルウレア化合物の種々の結晶形を再現性よく得ることができる。また、式(1)で表されるスルホニルウレア化合物の結晶形Aを含有する懸濁状組成物は、式(1)で表されるスルホニルウレア化合物の経時的な分解が抑制され、保存安定性が良好である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】結晶形Aの粉末X線回折チャート
図2】結晶形Aの13C CP/TOSS NMRチャート
図3】結晶形Bの粉末X線回折チャート
図4】結晶形Bの13C CP/TOSS NMRチャート
図5】結晶形Cの粉末X線回折チャート
図6】結晶形Cの13C CP/TOSS NMRチャート
図7】結晶形Dの粉末X線回折チャート
図8】結晶形Dの13C CP/TOSS NMRチャート
図9】結晶形Eの粉末X線回折チャート
図10】結晶形Eの13C CP/TOSS NMRチャート
図11】結晶形Fの粉末X線回折チャート
図12】結晶形Fの13C CP/TOSS NMRチャート
図13】結晶形Cの吸熱ピークチャート1
図14】結晶形Cの吸熱ピークチャート2
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明において、結晶形の識別には粉末X線回折測定、示差熱分析、13C CP/TOSS NMR、ラマン分光測定などが有効であるが、これらに限られるものではない。
式(1)で表されるスルホニルウレア化合物は、例えば、反応式1に示される方法により製造される。
〔反応式1〕
【0029】
【化2】
【0030】
すなわち、スルホニルカーバメート化合物(2)とアミノピリミジン化合物(3)を有機溶媒中で加熱し、発生するメタノールを系中から除くことによってスルホニルウレア化合物(1)を製造することができる。
【0031】
結晶形Aのスルホニルウレア化合物は融点が187乃至188℃であり、示差熱分析において融点よりも低温域での吸熱ピークと試量重量の減少は見られない。粉末X線回折においては2θ=7.12°、8.16°、8.88°、9.60°、12.48°、13.24°、16.88°、17.80°、18.56°、19.32°、20.2°、21.04°、22.56°、23.28°、24.24°、24.68°、27.52°、31.28°に特徴的なピークを有する。13C CP/TOSS NMRにおいては17.55ppm、18.95ppm、40.44ppm、41.23ppm、53.87ppm、54.72ppm、55.81ppm、66.06ppm、68.18ppm、69.41ppm、73.04ppm、86.39ppm、90.14ppm、113.51ppm、114.64ppm、136.99ppm、138.31ppm、149.31ppm、150.66ppm、155.21ppm、156.32ppm、169.48ppm、170.31ppm、172.10ppm、173.05ppmに特徴的なピークを有する。加熱や摩擦による変化は見られない。
【0032】
結晶形Bのスルホニルウレア化合物は融点が176乃至177℃であり、−15℃以下で製造した結晶形Cのスルホニルウレア化合物を乾燥することで純粋な結晶形Bのスルホニルウレア化合物が得られる。示差熱分析において、融点よりも低温域での吸熱ピークと試量重量の減少は見られない。粉末X線回折において2θ=7.72°、8.20°、9.80°、10.24°、14.64°、15.36°、16.44°、20.12°、21.08°、21.52°、23.32°、24.32°、28.88°、31.28°に特徴的なピークを有する。13C CP/TOSS NMR測定においては16.16ppm、17.17ppm、42.53ppm、43.05ppm、54.14ppm、55.77ppm、68.59ppm、72.19ppm、85.98ppm、115.15ppm、115.74ppm、137.49ppm、139.51ppm、148.95ppm、150.12ppm、156.00ppm、170.66ppm、173.04ppmに特徴的なピークを有する。加熱による変化はないが、溶媒中に懸濁して攪拌することで転移し、結晶形Aへと変化する。
【0033】
結晶形Cのスルホニルウレア化合物は結晶内にクロロベンゼン分子を含むクロロベンゼン和物であり、クロロベンゼン溶媒又はクロロベンゼンを含む溶媒中での攪拌又は晶析操作によって得られることがある。粉末X線回折においては2θ=6.24°、9.24°、11.56°、12.44°、13.16°、14.16°、14.80°、15.92°、16.52°、17.72°、18.56°、18.96°、19.88°、21.36°、22.12°、23.28°、24.40°、24.92°、25.84°、27.40°、28.00°、28.48°、31.24°、31.88°、34.32°に特徴的なピークを有する。13C CP/TOSS NMRにおいては16.20ppm、42.58ppm、53.31ppm、55.15ppm、68.85ppm、70.13ppm、71.90ppm、86.44ppm、115.19ppm、127.61ppm、130.63ppm、134.65ppm、139.15ppm、148.31ppm、150.17ppm、154.57ppm、169.22ppm、171.73ppmに特徴的なピークを有する。加熱又は摩擦によりクロロベンゼン分子が脱離し、結晶形A又はBへと転位する。示差熱分析においてはクロロベンゼン分子の脱離を示す吸熱ピークと試料重量の減少が確認されるが、結晶形Cのスルホニルウレア化合物には図13に示される、吸熱ピークの温度が約104乃至110℃に存在するパターンおよび図14に示される、吸熱ピークが約85℃に存在するパターンの2種類が存在する。前者はクロロベンゼン溶媒中で30℃以上で晶析した場合に再現性よく製造され、加熱・減圧条件下でクロロベンゼン分子を脱離させることで結晶形Aへ転位する。後者はクロロベンゼン溶媒中で−15℃以下で晶析した場合に再現性よく得られ、加熱・減圧条件下でクロロベンゼン分子を脱離させることで結晶形Bへと転位する。この時、クロロベンゼン溶液の冷却による晶析でも望む結晶形Cを得られる場合があるが、加熱したクロロベンゼン溶液を冷却したクロロベンゼン溶媒中に滴下する滴下晶析法の方が再現性よく後者の結晶形Cのスルホニルウレア化合物を得ることができる。クロロベンゼン溶媒中、−10乃至20℃で晶析した場合は2種類の結晶形Cの混合物となる。この混合物は加熱・減圧条件下でのクロロベンゼン分子の脱離により結晶形Aと結晶形Bの混合物へ変化する。
【0034】
結晶形Dのスルホニルウレア化合物は結晶内にブロモベンゼン分子を含むブロモベンゼン和物であり、ブロモベンゼン溶媒又はブロモベンゼンを含む溶媒中での攪拌又は晶析操作によって得られることがある。粉末X線回折においては2θ=14.43°、11.52°、12.28°、14.04°、14.64°、16.12°、17.52°、18.8°、19.84°、21.16°、23.00°、24.72°、25.64°、26.08°、27.24°、27.84°、28.32°、31.04°、31.76°に特徴的なピークを有する。13C CP/TOSS NMRにおいては16.55ppm、42.77ppm、53.43ppm、55.48ppm、69.20ppm、72.09ppm、86.55ppm、115.19ppm、123.25ppm、127.78ppm、131.21ppm、139.22ppm、148.49ppm、150.30ppm、154.70ppm、169.32ppm、171.86ppmに特徴的なピークを有する。加熱によりブロモベンゼン分子が脱離して結晶形Aへ転位する。示差熱分析においては、ブロモベンゼン分子の脱離を示す吸熱ピークと試料重量の減少が約94℃に確認される。
【0035】
結晶形Eのスルホニルウレア化合物は結晶内にトルエン分子を含むトルエン和物であり、トルエン溶媒又はトルエンを含む溶媒中での攪拌又は晶析操作によって得られることがある。粉末X線回折においては2θ=7.64°、8.12°、8.84°、9.80°、10.16°、12.44°、13.96°、14.52°、15.24°、16.36°、16.84°、17.72°、18.24°、18.76°、19.32°、20.00°、21.00°、21.44°、22.48°、23.24°、24.2°、25.04°、25.56°、27.84°、28.8°、31.2°、33.12°、34.12°に特徴的なピークを有する。13C CP/TOSS NMRにおいては16.03ppm、16.80ppm、22.28ppm、42.82ppm、53.67ppm、55.23ppm、68.94ppm、72.08ppm、85.89ppm、86.83ppm、115.65ppm、126.16ppm、128.93ppm、137.54ppm、139.31ppm、148.61ppm、150.15ppm、154.59ppm、155.83ppm、169.33ppm、170.48ppm、171.80ppm、172.86ppmに特徴的なピークを有する。加熱又は摩擦によりトルエン分子が脱離して結晶形Aへ転位する。示差熱分析においてはトルエン分子の脱離を示す吸熱ピークと試料重量の減少が約71℃に確認される。
【0036】
結晶形Fのスルホニルウレア化合物は結晶内に1,2−ジクロロエタン分子を含む1,2−ジクロロエタン和物であり、1,2−ジクロロエタン溶媒又は1,2−ジクロロエタンを含む溶媒中での攪拌又は晶析操作によって得られることがある。粉末X線回折においては2θ=7.00°、7.48°、8.16°、8.84°、9.56°、11.44°、12.00°、12.48°、13.04°、13.52°、14.04°、15.08°、15.68°、16.36°、16.88°、17.88°、18.36°、19.88°、20.36°、21.2°、22.00°、22.80、23.48°、24.20°、25.28°、26.56°、27.84°、29.32°、29.80°、30.48°、32.12°、34.12°に特徴的なピークを有する。13C CP/TOSS NMRにおいては15.89ppm、16.81ppm、42.49ppm、55.25ppm、56.00ppm、56.70ppm、69.34ppm、72.43ppm、86.67ppm、113.65ppm、138.01ppm、148.66ppm、149.48ppm、150.54ppm、156.41ppm、169.93ppm、172.97ppmに特徴的なピークを有する。加熱又は摩擦により1,2−ジクロロエタン分子が脱離して結晶形Aへ転位する。示差熱分析においてはEDC分子の脱離を示す吸熱ピークと試料重量の減少が約94℃に確認される。
【0037】
溶媒としては、前記式(1)で表される化合物を溶解させることができ、溶液中で安定に存在できる溶媒であれば特に制限は無い。例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル類、ベンゼン、キシレン、トルエン、オルトキシレン等の芳香族炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、石油エーテル類の脂肪族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N,N’−ジメチルイミダゾリノンなどのアミド類又はジメチルスルホキシドなどが挙げられる。またこれらの溶媒は単独で用いても、これらのうちの2種類以上を混合して用いても良い。特に結晶形Aのスルホニルウレア化合物の製造にはオルトキシレン又はオルトキシレンとヘプタンの混合溶媒が好ましく、結晶形Cのスルホニルウレア化合物の製造にはクロロベンゼンが好ましく、結晶形Dのスルホニルウレア化合物の製造にはブロモベンゼンが好ましく、結晶形Eのスルホニルウレア化合物の製造にはトルエンが好ましく、結晶形Fのスルホニルウレア化合物の製造には1,2−ジクロロエタンが好ましい。
【0038】
加熱温度は20℃以上が好ましく、50℃以上が更に好ましい。
晶析濾過時の温度は50℃以下が好ましく、特に高純度の結晶形Bを望む場合には−15℃以下が更に好ましい。
晶析方法としてはサンプルを溶媒に加熱溶解し、冷却することで結晶を析出させる冷却晶析や、サンプルの溶液を冷却した溶媒又は貧溶媒に滴下する滴下晶析などを行うことができる。各結晶形の製造はどの方法でも可能であるが、結晶形Cのうち結晶形Bへ転位する方を製造する場合には、後者の方法が結晶析出温度のコントロールが容易であり、好ましい。
結晶を析出させる際に、少量の結晶を加えることで析出のタイミングを計ることが可能である。その際に加える結晶の結晶形はどれでもよいが、望む結晶形と同じ結晶形のものを加えることが望ましい。
【0039】
加熱は不活性ガスの雰囲気下で行うことが好ましい。
不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、キセノン及びヘリウム等が挙げられる。
【0040】
次に、本発明の式(1)で表されるスルホニルウレア化合物の結晶形Aのスルホニルウレア化合物を含有する懸濁状組成物(以下、本発明組成物と称する。)について詳しく説明する。
本発明組成物は、その分散媒として水または結晶形Aが溶解し難い有機液体を用いることができる。該有機液体としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールおよびイソプロパノール等のアルコール類、ブチルセロソルブ等のエーテル、シクロヘキサノン等のケトン、γ−ブチロラクトン等のエステル、N−メチルピロリドンおよびN−オクチルピロリドン等の酸アミド、キシレン、アルキルベンゼン、フェニルキシリルエタンおよびアルキルナフタレン等の芳香族炭化水素、マシン油、ノルマルパラフィン、イソパラフィンおよびナフテン等の脂肪族炭化水素、ケロシン等の芳香族炭化水素と脂肪族炭化水素の混合物、大豆油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油、綿実油およびヒマシ油等の油脂が挙げられる。
【0041】
結晶形Aのスルホニルウレア化合物の含有量は、本発明組成物100重量部に対して、通常0.1乃至50重量部、より好ましくは1乃至30重量部である。
本発明組成物は、式(1)で表されるスルホニルウレア化合物の経時的な分解が抑制される。本発明組成物において、式(1)で表されるスルホニルウレア化合物の経時的な分解を十分に抑制するためには、該化合物中の結晶形Aの含有率が10乃至100重量%であることが好ましく、より好ましくは30乃至100重量%であり、更に好ましくは50乃至100重量%である。
【0042】
本発明組成物は、式(1)で表されるスルホニルウレア化合物以外に、更にもう1種以上の公知の農薬、例えば除草剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、抗ウイルス剤、植物成長調節剤、殺菌剤、共力剤、誘引剤および忌避剤などを含有することもでき、この場合には一層優れた防除効果を示すことがある。公知の農薬として、特に好ましいものは、除草剤である。具体的にその一般名を例示すれば以下の通りである。
【0043】
除草剤:ピラゾスルフロンエチル(pyrazosulfuron ethyl)、ハロスルフロンメチル(halosulfuron methyl)、ベンスルフロンメチル(bensulfuron methyl)、イマゾスルフロン(imazosulfuron)、アジムスルフロン(azimsulfuron)、シノスルフロン(cinosulfuron)、シクロスルファムロン(cyclosulfamuron)、エトキシスルフロン(ethoxysulfuron)、キノクラミン(quinoclamin)、メタゾスルフロン(metazosulfron)、ピラクロニル(pyraclonil)、アミノシクロピラクロール(Aminocyclopyrachlor)、テフリルトリオン(tefuryltrione)、メソトリオン(mesotrione)、ピリミスルファン(pyrimisulfan)、ペノキススラム(penoxsulam)、アミノピラリド(aminopyralid)、ベンカルバゾン(bencarbazone)、オルソスルファムロン(orthosulfamrun)、フルセトスルフロン(flucetosulfuron)、モノスルフロン(monosulfuron)、モノスルフロンメチル(monosulfuron−methyl)、ピノキサデン(pinoxaden)、プロポキシカルバゾンナトリウム塩(propoxycarbazone−sodium)、ピラスルホトール(pyrasulfotole)、ピロキサスルホン(pyroxasulfone)、ピロキシスラム(pyroxsulam)、テンボトリオン(tembotrione)、チエンカルバゾンメチル(thiencarbazone−methyl)、トプラメゾン(topramezon)、メタミトロン(metamitron)、エスプロカルブ(esprocarb)、ベンチオカーブ(benthiocarb)、モリネート(molinate)、ジメピペレート(dimepiperate)、ピリブチカルブ(pyributicarb)、メフェナセット(mefenacet)、ブタクロール(butachlor)、プレチラクロール(pretilachlor)、テニルクロール(thenylchlor)、ブロモブチド(bromobutide)エトベンザニド(etobenzanid)、ダイムロン(dymron)、クミルロン(cumyluron)、ベンタゾン(bentazone)、ピリフタリド(pyriftalid)、ビスピリバック(bispyribac)、ベンタゾンの塩、2,4−D、2,4−Dの塩、2,4−Dのエステル、MCP、MCPの塩、MCPのエステル、MCPB、MCPBの塩、MCPBのエステル、フェノチオール(MCPA−thioethyl)、クロメプロップ(clomeprop)、ナプロアニリド(naproanilide)、オキサジアゾン(oxadiazon)、ピラゾレート(pyrazolate)、ピラゾキシフェン(pyrazoxyfen)、ベンゾフェナップ(benzofenap)、オキサジアルギル(oxadiargyl)、ジメタメトリン(dimethametryn)、シメトリン(simetryn)、ピペロホス(piperophos)、アニロホス(anilofos)、ブタミホス(butamifos)、ベンスリド(bensulide)、ジチオピル(dithiopyr)、ピリミノバックメチル(pyriminobac methyl)、CNP、クロメトキシニル(chlormethoxynil)、シハロホップブチル(cyhalofop butyl)、ビフェノックス(bifenox)、カフェンストロール(cafenstrole)、ペントキサゾン(pentoxazone)、インダノファン(indanofan)、オキサジクロメホン(oxaziclomefone)、フェントラザミド(fentrazamide)、ブテナクロール(butenachlor)、ACN、ベンゾビシクロン(benzobicyclon)、ベンフレセート(benfuresate)、シンメチリン(cimmethylin)、シマジン(simazine)、ジクロベニル(dichlobenil)、ジウロン(diuron)、クロロIPC(chlorpropham)、アトラジン(atrazine)、アラクロール(alachlor)、イソウロン(isouron)、クロルフタリム(chlorphtalim)、シアナジン(cyanazin)、トリフルラリン(trifluralin)、ブタミホス(butamifos)、キンクロラック(quinclorac)、プロピザミド(propyzamide)、プロメトリン(prometryn)、ペンディメタリン(pendimethalin)、メトラクロール(metolachlor)、メトリブジン(metribuzin)、リニュロン(linuron)、レナシル(lenacil)、プロパニル(propanil)、MCPA、アイオキシニル(ioxynil octanoate)、アシュラム(asulam)、キザロホップエチル(quizalofop−ethyl)、プロパキザホップ(propaquizafop)、キザロホップテフリル(quizalofop−tefuryl)、セトキシジム(sethoxydim)、チフェンスルフロンメチル(thifensulfuron−methyl)、フェノキサプロップエチル(fenoxaprop−ethyl)、フェンメディファム(phenmedipham)、フルアジホップブチル(fluazifop−butyl)、ベンタゾン(bentazone)、SAP(bensulide)、TCTP(chlorthal−dimethyl,tetorachlorothiophene)、アミプロホスメチル(amiprophosmethyl)、アメトリン(ametryn)、イソキサベン(isoxaben)、オルベンカーブ(orbencarb)、カルブチレート(karbutilate)、ジチオピル(dithiopyr)、シデュロン(siduron)、チアザフルロン(thiazafluron)、ナプロパミド(napropamide)、プロジアミン(prodiamine)、ベスロジン(bethrodine)、メチルダイムロン(methyl dymron)、2,4−PA、MCPPA、フラザスルフロン(flazasulfuron)、メトスルフロンメチル(metsulfuron−methyl)、イマザキン(imazaquin)、イマザピル(imazapyr)、テトラピオン(flupropanate)、テブティウロン(tebuthiuron)、ブロマシル(bromacil)、ヘキサジノン(hexazinone)、グリホサートアンモニウム塩(glyphosate−ammonium)、グリホサートイソプロピルアミン塩(glyphosate−iso−propylammonium)、グリホサートトリメシウム塩(glyphosate−trimesium)、グリホサートナトリウム塩(glyphosate−sodium)、グリホサートカリウム塩(glyphosate−potassium)、ビアラホス(bialaphos)、グルホシネート(glufosinate−ammonium)、OK−701(試験名)、HOK−201(試験名)、TH−547(試験名)およびMCC等が挙げられる。
【0044】
本発明組成物では、必要に応じて界面活性剤を加えることも可能である。それらの界面活性剤としては、以下の(A)、(B)、(C)、(D)および(E)が挙げられる。
(A)ノニオン性界面活性剤:
(A−1)ポリエチレングリコール型界面活性剤:例えば、ポリオキシエチレンアルキル(例えば炭素原子数8乃至18)エーテル、アルキルナフトールのエチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレン(モノまたはジ)アルキル(例えば炭素原子数8乃至12)フェニルエーテル、ポリオキシエチレン(モノまたはジ)アルキル(例えば炭素原子数8乃至12)フェニルエーテルのホルマリン縮合物、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)フェニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)ベンジルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレン(モノ、ジまたはトリ)ベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)スチリルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレン(モノ、ジまたはトリ)スチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)スチリルフェニルエーテルのポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン(モノ、ジまたはトリ)スチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、アルキル(例えば炭素原子数8乃至18)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーエーテル、アルキル(例えば炭素原子数8乃至12)フェニルポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーエーテル、ポリオキシエチレンビスフェニルエーテル、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸(例えば炭素原子数8乃至18)モノエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸(例えば炭素原子数8乃至18)ジエステル、ポリオキシエチレンソルビタン(モノ、ジまたはトリ)脂肪酸(例えば炭素原子数8乃至18)エステル、グリセロール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、ヒマシ油エチレンオキサイド付加物、硬化ヒマシ油エチレンオキサイド付加物、アルキル(例えば炭素原子数8乃至18)アミンエチレンオキサイド付加物および脂肪酸(例えば炭素原子数8乃至18)アミドエチレンオキサイド付加物等。
【0045】
(A−2)多価アルコール型界面活性剤:例えば、グリセロール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸(例えば炭素原子数8乃至18)エステル、ソルビタン(モノ、ジまたはトリ)脂肪酸(例えば炭素原子数8乃至18)エステル、ショ糖脂肪酸エステル、多価アルコールアルキルエーテル、アルキルグリコシド、アルキルポリグリコシドおよび脂肪酸アルカノールアミド等。
【0046】
(A−3)アセチレン系界面活性剤:例えば、アセチレングリコール、アセチレンアルコール、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物およびアセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物等。
【0047】
(B)アニオン性界面活性剤:
(B−1)カルボン酸型界面活性剤:例えば、ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸、ポリマレイン酸、ポリ無水マレイン酸、マレイン酸または無水マレイン酸とオレフィン(例えばイソブチレンおよびジイソブチレン等)との共重合物、アクリル酸とイタコン酸の共重合物、メタアクリル酸とイタコン酸の共重合物、マレイン酸または無水マレイン酸とスチレンの共重合物、アクリル酸とメタアクリル酸の共重合物、アクリル酸とアクリル酸メチルエステルとの共重合物、アクリル酸と酢酸ビニルとの共重合物、アクリル酸とマレイン酸または無水マレイン酸の共重合物、ポリオキシエチレンアルキル(例えば炭素原子数8乃至18)エーテル酢酸、N−メチル−脂肪酸(例えば炭素原子数8乃至18)サルコシネート、樹脂酸および脂肪酸(例えば炭素原子数8乃至18)等のカルボン酸、並びにそれらカルボン酸の塩。
【0048】
(B−2)硫酸エステル型界面活性剤:例えば、アルキル(例えば炭素原子数8乃至18)硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル(例えば炭素原子数8乃至18)エーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレン(モノまたはジ)アルキル(例えば炭素原子数8乃至12)フェニルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレン(モノまたはジ)アルキル(例えば炭素原子数8乃至12)フェニルエーテルのポリマーの硫酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)フェニルフェニルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)ベンジルフェニルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)スチリルフェニルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)スチリルフェニルエーテルのポリマーの硫酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーの硫酸エステル、硫酸化油、硫酸化脂肪酸エステル、硫酸化脂肪酸および硫酸化オレフィン等の硫酸エステル、並びにそれら硫酸エステルの塩。
【0049】
(B−3)スルホン酸型界面活性剤:例えば、パラフィン(例えば炭素原子数8乃至22)スルホン酸、アルキル(例えば炭素原子数8乃至12)ベンゼンスルホン酸、アルキル(例えば炭素原子数8乃至12)ベンゼンスルホン酸のホルマリン縮合物、クレゾールスルホン酸のホルマリン縮合物、α−オレフィン(例えば炭素原子数8乃至16)スルホン酸、ジアルキル(例えば炭素原子数8乃至12)スルホコハク酸、リグニンスルホン酸、ポリオキシエチレン(モノまたはジ)アルキル(例えば炭素原子数8乃至12)フェニルエーテルスルホン酸、ポリオキシエチレンアルキル(例えば炭素原子数8乃至18)エーテルスルホコハク酸ハーフエステル、ナフタレンスルホン酸、(モノまたはジ)アルキル(例えば炭素原子数1乃至6)ナフタレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、(モノまたはジ)アルキル(例えば炭素原子数1乃至6)ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、クレオソート油スルホン酸のホルマリン縮合物、アルキル(例えば炭素原子数8乃至12)ジフェニルエーテルジスルホン酸、イゲポンT(商品名)、ポリスチレンスルホン酸およびスチレンスルホン酸とメタアクリル酸の共重合物等のスルホン酸、並びにそれらスルホン酸の塩。
【0050】
(B−4)燐酸エステル型界面活性剤:例えば、アルキル(例えば炭素原子数8乃至12)燐酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル(例えば炭素原子数8乃至18)エーテル燐酸エステル、ポリオキシエチレン(モノまたはジ)アルキル(例えば炭素原子数8乃至12)フェニルエーテル燐酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)アルキル(例えば炭素原子数8乃至12)フェニルエーテルのポリマーの燐酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)フェニルフェニルエーテル燐酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)ベンジルフェニルエーテル燐酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)スチリルフェニルエーテル燐酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)スチリルフェニルエーテルのポリマーの燐酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーの燐酸エステル、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールイミンおよび縮合燐酸(例えばトリポリリン酸等)等の燐酸エステル、並びにそれら燐酸エステルの塩。
上記の(B−1)乃至(B−4)における塩の対イオンとしては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウムおよびカリウム等)、アルカリ土類金属(カルシウムおよびマグネシウム等)、アンモニウムおよび各種アミン(例えばアルキルアミン、シクロアルキルアミンおよびアルカノールアミン等)等が挙げられる。
【0051】
(C)カチオン性界面活性剤:
例えば、アルキルアミン、アルキル4級アンモニウム塩、アルキルアミンのエチレンオキサイド付加物およびアルキル4級アンモニウム塩のエチレンオキサイド付加物等。
【0052】
(D)両性界面活性剤:
(D−1)ベタイン型界面活性剤:例えば、アルキル(例えば炭素原子数8乃至18)ジメチルアミノ酢酸ベタイン、アシル(例えば炭素原子数8乃至18)アミノプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキル(例えば炭素原子数8乃至18)ヒドロキシスルホベタインおよび2−アルキル(例えば炭素原子数8乃至18)−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインが挙げられる。
(D−2)アミノ酸型界面活性剤:例えば、アルキル(例えば炭素原子数8乃至18)アミノプロピオン酸、アルキル(例えば炭素原子数8乃至18)アミノジプロピオン酸およびN−アシル(例えば炭素原子数8乃至18)−N’−カルボキシエチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミンが挙げられる。
(D−3)アミンオキシド型界面活性剤:例えば、アルキル(例えば炭素原子数8乃至18)ジメチルアミンオキシドおよびアシル(例えば炭素原子数8乃至18)アミノプロピルジメチルアミンオキシド等が挙げられる。
【0053】
(E)その他の界面活性剤:
(E−1)シリコン系界面活性剤:例えば、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体およびポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体等が挙げられる。
(E−2)フッ素系界面活性剤:例えば、パーフルオロアルケニルベンゼンスルホン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルケニルポリオキシエチレンエーテル、パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエーテルおよびパーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩等が挙げられる。
これらの界面活性剤は単独でまたは2種以上混合して使用することができ、混合する場合の比も自由に選択できる。本発明組成物中の該界面活性剤の含有量は適宜選択できるが、本発明組成物100重量部に対して0.1乃至20重量部の範囲が好ましい。
【0054】
本発明組成物には、更に各種補助剤を含有させることができる。使用できる補助剤としては、増粘剤、有機溶剤、凍結防止剤、消泡剤、防菌防黴剤および着色剤等があり、下記のものが挙げられる。
【0055】
増粘剤としては、特に制限はなく、有機、無機の天然物、合成品および半合成品を用いることができ、例えば、ザンサンガム(キサンタンガム)、ウェランガムおよびラムザンガム等のヘテロ多糖類、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウムおよびポリアクリルアミド等の水溶性高分子化合物、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ベントナイト、ラポナイトおよび合成スメクタイト等のスメクタイト系粘土鉱物等を例示することができる。これらの増粘剤は一種または二種以上混合してもよく、混合する場合の比も自由に選択できる。これらの増粘剤はそのまま添加してもよく、またあらかじめ水に分散させたものを添加しても良い。また、本発明組成物中の含有量も自由に選択することができる。
【0056】
有機溶剤としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールおよびイソプロパノール等のアルコール類、ブチルセロソルブ等のエーテル、シクロヘキサノン等のケトン、γ−ブチロラクトン等のエステル、N−メチルピロリドンおよびN−オクチルピロリドン等の酸アミド、キシレン、アルキルベンゼン、フェニルキシリルエタンおよびアルキルナフタレン等の芳香族炭化水素、マシン油、ノルマルパラフィン、イソパラフィンおよびナフテン等の脂肪族炭化水素、ケロシン等の芳香族炭化水素と脂肪族炭化水素の混合物、大豆油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油、綿実油およびヒマシ油等の油脂が挙げられる。
【0057】
凍結防止剤としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコールおよびプロピレングリコール、グリセリン等を用いることができる。好ましくはプロピレングリコール、グリセリンである。また、本発明組成物中の含有量も自由に選択することができる。
更にシリコーン系エマルジョン等の消泡剤、防菌防黴剤および着色剤等を配合してもよい。
【0058】
本発明組成物の製造方法は、特に限定されるものではないが、分散媒に前述の各成分を加え、攪拌機により混合して得られる。また、必要に応じて、農薬活性成分、界面活性剤およびその他補助剤は、それぞれ単独もしくは混合して乾式および湿式粉砕機により微粉砕してもよい。
乾式粉砕は、ハンマーミル、ピンミル、ジェットミル、ボールミルまたはロールミル等で行うことができる。湿式粉砕による微粉砕は、インラインミルまたはビーズミル等の湿式粉砕機により行うことができる。
【0059】
本発明組成物は、例えば原液または水で50乃至5000倍程度に希釈して、噴霧機などを用いて作物や樹木またはそれが生育する土壌に散布する方法、空中からヘリコプターなどを使用して、原液または水で2乃至100倍程度に希釈して散布する方法で施用することができる。
【実施例】
【0060】
以下に本発明化合物の結晶の製造例を実施例として具体的に述べることで、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
なお、各種測定条件は以下の通りである。
13C CP/TOSS NMR測定条件]
装置:500MHzFTNMR分光計(ブルカー社製 AVANCE III 500)
プローブ:4mm CP/MAS プローブ
測定方法:CP/TOSS法
観測核:13
観測周波数:125.8MHz
観測周波数範囲:38kHz
データポイント:2k
試料管回転数:8kHz
接触時間:3.5ms
待ち時間:20秒
積算回数:256回
[粉末X線回折測定条件]
装置:MXLabo(マックサイエンス(現ブルカー・エイエックスエス)製)
線源:Cu
波長:1.54056A
ゴニオメータ:縦型ゴニオメータ
管電圧:40.0kV
管電流:30mA
測定方法:連続法
データ範囲:3.0400乃至40.0000deg
スキャン軸:2θ/θ
サンプリング間隔:0.0400deg
スキャン速度:3.600deg/min.
発散スリット:1.00deg
散乱スリット:1.00deg
受光スリット:0.15mm
RSM:0.80mm
[示差熱分析測定条件]
装置:TG8120(リガク製)
昇温:20℃−(5℃/min)−300℃
雰囲気:Air
対照:Al
容器:Al製
サンプリング:1sec
【0061】
[製造例1]
3−クロロ−N−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイル)−1−メチル−4−(5−メチル−5,6−ジヒドロ−1,4,2−ジオキサジン−3−イル)−1H−ピラゾール−5−スルホンアミド(結晶形C)の製造(その1)
3−クロロ−N−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイル)−1−メチル−4−(5−メチル−5,6−ジヒドロ−1,4,2−ジオキサジン−3−イル)−1H−ピラゾール−5−スルホンアミド(結晶形A) 0.4gをクロロベンゼン9gに80℃で溶解した。この溶液を0℃まで冷却し、1時間攪拌した。析出した結晶をろ過し、ろ紙で結晶表面の液分を吸い取って0.32gの湿品を回収した。粉末X線回折の結果、得られた固体の結晶形はCであった。またTG−DTA測定の結果、クロロベンゼンの脱離を示す吸熱ピークは104℃に検出された。
【0062】
[製造例2]
3−クロロ−N−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイル)−1−メチル−4−(5−メチル−5,6−ジヒドロ−1,4,2−ジオキサジン−3−イル)−1H−ピラゾール−5−スルホンアミド(結晶形A)の製造(その2)
製造例1で製造した結晶形C0.3gを80℃、2mmHgで5時間加熱減圧乾燥し、0.21gの乾品を得た。粉末X線回折の結果、乾燥後の結晶形はAであった。
【0063】
[製造例3]
3−クロロ−N−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイル)−1−メチル−4−(5−メチル−5,6−ジヒドロ−1,4,2−ジオキサジン−3−イル)−1H−ピラゾール−5−スルホンアミド(結晶形C)の製造(その2)
3−クロロ−N−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイル)−1−メチル−4−(5−メチル−5,6−ジヒドロ−1,4,2−ジオキサジン−3−イル)−1H−ピラゾール−5−スルホンアミド(結晶形A)30gをクロロベンゼン225gに80℃で溶解した。この溶液を−20℃に冷却したクロロベンゼン80gに、−15℃を超えないように少しずつ滴下した。−20℃で30分攪拌した後、結晶をろ過し、ろ紙で結晶表面の液分を吸い取って28.2gの湿品を回収した。粉末X線回折の結果、得られた固体の結晶形は結晶形Cであった。またTG−DTA測定の結果、クロロベンゼンの脱離を示す吸熱ピークは86℃に検出された。
【0064】
[製造例4]
3−クロロ−N−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイル)−1−メチル−4−(5−メチル−5,6−ジヒドロ−1,4,2−ジオキサジン−3−イル)−1H−ピラゾール−5−スルホンアミド(結晶形B)の製造
実施例3で製造された結晶形C 28gを80℃、2mmHgで5時間加熱減圧乾燥し、22.5gの乾品を得た。粉末X線回折の結果、乾燥後の結晶形はBであった。
【0065】
[製造例5]
3−クロロ−N−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイル)−1−メチル−4−(5−メチル−5,6−ジヒドロ−1,4,2−ジオキサジン−3−イル)−1H−ピラゾール−5−スルホンアミド(結晶形D)の製造
3−クロロ−N−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイル)−1−メチル−4−(5−メチル−5,6−ジヒドロ−1,4,2−ジオキサジン−3−イル)−1H−ピラゾール−5−スルホンアミド(結晶形A) 0.5gをブロモベンゼン8gに80℃で溶解した。この溶液を0℃に冷却したブロモベンゼン7gに、3℃を超えないように少しずつ滴下した。0℃で30分攪拌した後、結晶をろ過し、ろ紙で結晶表面の液分を吸い取って0.55gの湿品を回収した。粉末X線回折の結果、得られた固体の結晶形はDであった。
【0066】
[製造例6]
3−クロロ−N−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイル)−1−メチル−4−(5−メチル−5,6−ジヒドロ−1,4,2−ジオキサジン−3−イル)−1H−ピラゾール−5−スルホンアミド(結晶形E)の製造
3−クロロ−N−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイル)−1−メチル−4−(5−メチル−5,6−ジヒドロ−1,4,2−ジオキサジン−3−イル)−1H−ピラゾール−5−スルホンアミド(結晶形A) 0.5gをトルエン8gに80℃で溶解した。この溶液を0℃に冷却、30分攪拌した後、結晶をろ過し、ろ紙で結晶表面の液分を吸い取り、0.43gの湿品を回収した。粉末X線回折の結果、得られた固体の結晶形はEであった。
【0067】
[製造例7]
3−クロロ−N−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイル)−1−メチル−4−(5−メチル−5,6−ジヒドロ−1,4,2−ジオキサジン−3−イル)−1H−ピラゾール−5−スルホンアミド(結晶形A)の製造(その3)
製造例6で製造された結晶形E 28gを80℃、2mmHgで5時間加熱減圧乾燥し、22.5gの乾品を得た。粉末X線回折の結果、乾燥後の結晶形はAであった。
【0068】
[製造例8]
3−クロロ−N−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイル)−1−メチル−4−(5−メチル−5,6−ジヒドロ−1,4,2−ジオキサジン−3−イル)−1H−ピラゾール−5−スルホンアミド(結晶形F)の製造
3−クロロ−N−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイル)−1−メチル−4−(5−メチル−5,6−ジヒドロ−1,4,2−ジオキサジン−3−イル)−1H−ピラゾール−5−スルホンアミド(結晶形A) 1gを1,2−ジクロロエタン 6gに80℃で溶解した。この溶液を0℃に冷却、30分攪拌した後、結晶をろ過し、ろ紙で結晶表面の液分を吸い取って0.73gの湿品を回収した。粉末X線回折の結果、得られた固体の結晶形はFであった。
【0069】
[製造例9]
3−クロロ−N−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイル)−1−メチル−4−(5−メチル−5,6−ジヒドロ−1,4,2−ジオキサジン−3−イル)−1H−ピラゾール−5−スルホンアミド(結晶形A)の製造(その4)
製造例8で得られた結晶形F0.5gを80℃、2mmHgで5時間加熱減圧乾燥し、0.41gの乾品を得た。粉末X線回折の結果、乾燥後の結晶形はAであった。
【0070】
[製造例10]
3−クロロ−N−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイル)−1−メチル−4−(5−メチル−5,6−ジヒドロ−1,4,2−ジオキサジン−3−イル)−1H−ピラゾール−5−スルホンアミド(結晶形A)の製造(その5)
製造例4で得られた結晶形B 1gをオルトキシレン5gに懸濁し、80℃で5時間攪拌した。溶液を冷却し、0℃で30分攪拌した後にろ過し、1gの結晶を得た。粉末X線回折の結果、得られた結晶は結晶形Aであった。
【0071】
[製造例11]
3−クロロ−N−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイル)−1−メチル−4−(5−メチル−5,6−ジヒドロ−1,4,2−ジオキサジン−3−イル)−1H−ピラゾール−5−スルホンアミド(結晶形A)の製造
国際公開第2005/104033号パンフレット記載の方法で製造したメチル 3−クロロ−1−メチル−4−(5−メチル−5,6−ジヒドロ−1,4,2−ジオキサジン−3−イル)−1H−ピラゾール−5−イルスルホニルカーバメート 150g(0.425mol)および2−アミノ−4,6−ジメトキシピリミジン 69.27g(0.447mol)をDean−stark管を取り付けた反応器に仕込み、これにo−キシレン 675gおよびヘプタン 225g加えた。反応液を45kPaに減圧し、90℃で12時間加熱後、30℃まで冷却した。結晶をろ過し、オルトキシレン 150gでかけ洗いした後に50℃で減圧乾燥し、表題の化合物 191.76g(純度97.0%、収率91.9%)を得た。得られた結晶を粉末X線回折にて測定し、結晶形はAであることを確認した。
次に、本発明組成物の製造例と試験例を具体的に述べる。
【0072】
[製造例12]
以下で「部」とあるのは、全て質量部を意味する。
1.粉砕スラリーの調整
水14.24部にスープラジルMNS/90(商品名、ローディア社製、メチルナフタレンスルホン酸ナトリウム ホルマリン縮合物)0.1部、サーフィノール104PG50(商品名、エアプロダクツ社製、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールの50%プロピレングリコール液)0.1部、無水クエン酸0.25部、プロピレングリコール7.0部、及び、式(1)で表されるスルホニルウレア化合物の結晶形A 2.3部を分散させ0.8−1.2mmφガラスビーズを用いてサンドグラインダー(アイメックス(株)製で湿式粉砕し、粉砕スラリー24部を得た。
2.分散媒の調製
水98.5部にキサンタンガム(ケルザンASX)1部、プロクセルGXL 0.5部を分散させ分散媒100部を得た。
3.水性懸濁農薬組成物の調製
上記粉砕スラリー24部と分散媒40部及び水36部を混合して均一な水性懸濁状農薬組成物100部を得た。
【0073】
[製造例13]
結晶形A 2.3部を結晶形A 1.15部と結晶形B 1.15部に代えた以外は、製造例12と同様にして水性懸濁状農薬組成物を製造した。
【0074】
[製造例14]
結晶形A 2.3部を結晶形B 2.3部に代えた以外は、製造例12と同様にして水性懸濁状農薬組成物を製造した。
【0075】
[試験例]
製造例12ないし14で得られた水性懸濁状農薬組成物を30ml容のバイアル瓶にいれ、54℃の恒温槽で14日間保存した。保存前後の組成物中の式(1)で表されるスルホニルウレア化合物量(以下、単に化合物量と称する。)をHPLCにて測定し、下式により分解率を算出した。結果を表1に示す。
分解率(%)=[(保存前の化合物量−保存後の化合物量)/
(保存前の化合物量)]×100
【0076】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明によれば、3−クロロ−N−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイル)−1−メチル−4−(5−メチル−5,6−ジヒドロ−1,4,2−ジオキサジン−3−イル)−1H−ピラゾール−5−スルホンアミドの種々の結晶を製造することが可能となる。また、特定の結晶を含む懸濁状組成物は、保存安定性が良好であり、雑草の防除に使用できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14