(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の搬送機構が、前記基板及び前記マスクを支持して水平方向に搬送するように構成された複数のローラを有するとともに、前記第2の搬送機構が、前記第1の搬送機構の複数のローラの間に設けられ、前記基板及び前記マスクを支持して鉛直方向に搬送するように構成された複数のピン状の基板昇降部材を有する請求項1又は2のいずれか1項記載の蒸着装置。
複数の基板を搬入又は搬出可能な真空槽と、前記真空槽内に設けられ、搬入された基板とマスクを合体させ、かつ、蒸着が終了した基板とマスクとを分離して当該基板を当該真空槽の外へ搬出する基板搬入搬出領域と、前記真空槽内に設けられ、合体された当該基板上に当該マスクを介して蒸着を行う蒸着領域と、前記真空槽内に設けられ、合体された当該基板及び当該マスクを待機させる待機領域と、合体された当該基板及び当該マスクを、前記基板搬入搬出領域及び前記待機領域の間に位置する蒸着開始位置と、前記蒸着領域との間において搬送する第1の搬送機構と、合体された複数の当該基板及び当該マスクを、前記基板搬入搬出領域と前記蒸着開始位置との間、並びに、当該蒸着開始位置と前記待機領域との間においてそれぞれ搬送する複数の第2の搬送機構を備え、前記基板搬入搬出領域が、前記第1の搬送機構の上方に設けられ、前記待機領域が、前記第1の搬送機構の下方に設けられ、前記基板搬入搬出領域に、搬入された基板とマスクとをアライメントするアライメント領域が設けられた蒸着装置を用いた蒸着方法であって、
前記真空槽の基板搬入搬出領域において、前記真空槽内に搬入された第1の基板を第1のマスクに合体させる工程と、
合体された当該第1の基板及び当該第1のマスクを前記第1の搬送機構によって前記蒸着領域に搬送し、当該第1のマスクを介して当該第1の基板に対して蒸着を行う工程と、
前記基板搬入搬出領域において、前記真空槽内に搬入された第2の基板と第2のマスクを合体させた後、前記待機領域に配置する工程と、
蒸着が終了した前記第1の基板及び前記第1のマスクを前記第1の搬送機構によって前記基板搬入搬出領域に搬送し、当該第1のマスクから当該第1の基板を分離して当該真空槽の外へ搬出する工程と、
前記第2の基板及び前記第2のマスクを前記第1の搬送機構によって前記蒸着領域に搬送して当該第2の基板及び当該第2のマスク上に蒸着を行う工程と、
蒸着が終了した前記第2の基板及び前記第2のマスクを前記第1の搬送機構によって前記基板搬入搬出領域に搬送し、当該第2のマスクから当該第2の基板を分離して当該真空槽の外へ搬出する工程とを有し、
前記各工程を連続的に繰り返す蒸着方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような従来の技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、蒸着の際の待ち時間による蒸発材料の無駄を減少することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた本発明は、複数の基板を搬入又は搬出可能な真空槽と、前記真空槽内に設けられ、搬入された基板とマスクを合体させ、かつ、蒸着が終了した基板とマスクとを分離して当該基板を当該真空槽の外へ搬出する基板搬入搬出領域と、前記真空槽内に設けられ、合体された当該基板上に当該マスクを介して蒸着を行う蒸着領域と、前記真空槽内に設けられ、合体された当該基板及び当該マスクを待機させる待機領域と、合体された当該基板及び当該マスクを、前記基板搬入搬出領域及び前記待機領域の間に位置する蒸着開始位置と、前記蒸着領域との間において搬送する第1の搬送機構と、合体された複数の当該基板及び当該マスクを、前記基板搬入搬出領域と前記蒸着開始位置との間、並びに、当該蒸着開始位置と前記待機領域との間においてそれぞれ搬送する複数の第2の搬送機構
とを備え、
前記基板搬入搬出領域が、前記第1の搬送機構の上方に設けられ、前記待機領域が、前記第1の搬送機構の下方に設けられ、前記基板搬入搬出領域に、搬入された基板とマスクとをアライメントするアライメント領域が設けられ、前記蒸着領域において当該基板に対して蒸着をしている間に、新たな基板を前記基板搬入搬出領域に搬入して前記マスクと前記新たな基板をアライメントして合体し、当該合体された基板及びマスクを前記基板搬入搬出領域から前記待機領域に移動するように構成されている蒸着装置である
。
本発明では、前記待機領域に、前記基板を冷却する冷却手段が設けられている場合にも効果的である。
本発明では、前記第1の搬送機構が、前記基板及び前記マスクを支持して水平方向に搬送するように構成された複数のローラを有するとともに、前記第2の搬送機構が、前記第1の搬送機構の複数のローラの間に設けられ、前記基板及び前記マスクを支持して鉛直方向に搬送するように構成された複数のピン状の基板昇降部材を有する場合にも効果的である。
本発明では、前記第1の搬送機構のローラが、前記真空槽の両側の内側壁部において水平方向に伸縮自在に設けられている場合にも効果的である。
本発明では、前記第2の搬送機構の基板昇降部材が、水平方向に延びる支持部を有し、当該支持部が水平方向に所定の角度回転するように構成されている場合にも効果的である。
一方、本発明は、上述したいずれかの蒸着装置を用いた蒸着方法であって、前記真空槽の基板搬入搬出領域において、前記真空槽内に搬入された第1の基板を第1のマスクに合体させる工程と、合体された当該第1の基板及び当該第1のマスクを前記第1の搬送機構によって前記蒸着領域に搬送し、当該第1のマスクを介して当該第1の基板に対して蒸着を行う工程と、前記基板搬入搬出領域において、前記真空槽内に搬入された第2の基板と第2のマスクを合体させた後、前記待機領域に配置する工程と、蒸着が終了した前記第1の基板及び前記第1のマスクを前記第1の搬送機構によって前記基板搬入搬出領域に搬送し、当該第1のマスクから当該第1の基板を分離して当該真空槽の外へ搬出する工程と、前記第2の基板及び前記第2のマスクを前記第1の搬送機構によって前記蒸着領域に搬送して当該第2の基板及び当該第2のマスク上に蒸着を行う工程と
、蒸着が終了した前記第2の基板及び前記第2のマスクを前記第1の搬送機構によって前記基板搬入搬出領域に搬送し、当該第2のマスクから当該第2の基板を分離して当該真空槽の外へ搬出する工程とを有し、前記各工程を連続的に繰り返す蒸着方法である。
本発明の場合、真空槽内に、基板搬入搬出領域と、待機領域と、蒸着領域とが設けられ、合体された基板及びマスクを、基板搬入搬出領域及び待機領域の間の蒸着開始位置と、蒸着領域との間において第1の搬送機構によって搬送する一方で、合体された複数の基板及びマスクを、基板搬入搬出領域と蒸着開始位置との間、並びに、蒸着開始位置と待機領域との間において複数の第2の搬送機構によって搬送し、さらに、待機領域が第1の搬送機構に対して例えば上下方向に重ならない位置に設けられていることから、合体された複数の基板及びマスクのうち所定の基板及びマスクを、所定の第2の搬送機構によって待機領域まで搬送して待機させている間に、他の基板及びマスクに対しては、他の第2の搬送機構によって蒸着開始位置まで搬送し、第1の搬送機構によって蒸着領域に搬送して蒸着を行うことができる。そして、蒸着が終了した基板を真空槽の外へ搬出するとともに、待機領域に待機させておいた他の基板及びマスクを蒸着開始位置に配置することができる。
このように、本発明では、複数の基板に対して同時に搬送及び蒸着を行うことができるので、従来技術に比べ、基板搬送の待ち時間を最小限にして蒸発材料の無駄を減らすことができる。
また、本発明では、真空槽内において、基板及びマスクの順序を入れ替えることができるので、成膜の待ち時間を最小限にして蒸発材料の無駄を減らすことができる。
本発明において、待機領域に、マスクを冷却する冷却手段が設けられている場合には、マスクの温度の上昇を抑えることができるので、マスクの膨張を防止してより精密なマスク蒸着を行うことができる。
本発明において、基板搬入搬出領域に、搬入された基板とマスクとをアライメントするアライメント領域が設けられている場合には、基板とマスクとのアライメントを行いつつ蒸着を行うことができるので、プロセス全体のタクトタイムを短縮することができ、これにより蒸発材料の無駄を一層減らすことができる。
本発明において、第1の搬送機構が、基板及びマスクを支持して水平方向に搬送するように構成された複数のローラを有するとともに、第2の搬送機構が、第1の搬送機構の複数のローラの間に設けられ、基板及びマスクを支持して鉛直方向に搬送するように構成された複数のピン状の基板昇降部材を有する場合、第1の搬送機構のローラが、真空槽の両側の内側壁部において水平方向に伸縮自在に設けられている場合、又は第2の搬送機構の基板昇降部材が、水平方向に延びる支持部を有し、当該支持部が水平方向に所定の角度回転するように構成されている場合には、ロボットのような複雑な基板搬送機構を用いることなく、合体された基板及びマスクを、第1の搬送機構から第2の搬送機構へ受け渡し、又は第2の搬送機構から第1の搬送機構へ受け渡す動作を円滑に行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、例えば有機EL素子を製造する装置において、蒸着の際の待ち時間による蒸発材料の無駄を減少することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
図1(a)は、本発明に係る蒸着装置の実施の形態を模式的に示す説明図、
図1(b)は、同蒸着装置の内部の構成を示す概略図である。
図2(a)〜(c)は、本実施の形態の基板搬送機構及び基板昇降機構の構成を示すもので、
図2(a)は正面図、
図2(b)は側面図、
図2(c)は平面図である。
【0011】
以下、本実施の形態の上下関係については
図1(a)(b)及び
図2(a)〜(c)に示す構成に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0012】
図1(a)(b)に示すように、本実施の形態の蒸着装置1は、図示しない真空排気系に接続された真空槽2を有している。
この真空槽2は、アライメント室2Aと、アライメント室2Aの側部に配設された蒸着室2Bとを有し、アライメント室2Aの上部分に設けられたゲートバルブ3を介して例えば真空搬送ユニット4に接続されている。そして、このゲートバルブ3を介して基板10を搬入及び搬出するように構成されている。
【0013】
なお、本発明は、基板10として、例えばガラス基板等の種々の基板に適用することができる。
真空槽2のアライメント室2Aの上面部分には、アライメント機構5が設けられている。
【0014】
本実施の形態のアライメント機構5は、真空槽2内のアライメント室2Aの上側部分の基板搬入搬出領域6において、基板10とマスク機構(マスク)11のアライメント、基板10とマスク機構11の合体、基板10とマスク機構11の分離を行うもので、アライメント室2A内において動作する機構部分を有し(図示せず)、
図1(a)(b)中において一点鎖線で示すアライメント領域6aにおいて上記各動作を行うように構成されている。
【0015】
本実施の形態のマスク機構11は、枠状のパレットにマスクが組み付けられて構成されているものであり(詳細は図示せず)、マグネット12によって基板10をマスク機構11に固定するように構成されている。
なお、アライメント機構5の具体的な構成については後述する。
【0016】
また、本実施の形態においては、マグネット12によって基板10をマスク機構11に固定した組立体を2組同時に成膜に供するが、本明細書においては、そのうちの一方を「第1のマスク付き基板51」、他方を「第2のマスク付き基板52」と称する。
アライメント室2A内のアライメント領域6aの下方には、基板搬送機構21が設けられている。
【0017】
基板搬送機構21は、後述するように、複数のローラによって基板10を水平方向に搬送するものであり、本実施の形態の場合は、真空槽2の例えば基板搬入側と反対側に設けられた蒸着室2Bの基板搬送方向下流側端部に向って延びるように配設されている。
ここで、蒸着室2B内には、基板10上に蒸着膜を形成するための蒸着領域7が設けられている。
【0018】
本実施の形態においては、アライメント室2Aと蒸着室2Bとは壁部2Cによって仕切られており、この壁部2Cに設けられた通過口2Dを介して第1及び第2のマスク付き基板51、52の受け渡しを行うように構成されている。
なお、通過口2Dの部分に仕切弁を設けることもできる。
【0019】
図1(b)に示すように、蒸着室2B内の壁部2Cの近傍の位置には、蒸発源9が固定され、この蒸発源9上を第1及び第2のマスク付き基板51、52が通過することにより、基板10上に蒸着膜を形成するようになっている。
【0020】
一方、本実施の形態の場合、アライメント室2Aの基板搬送機構21の下方には、基板搬送機構21と重ならない位置に待機領域8が設けられている。
ここで、待機領域8には、冷却プレート(冷却手段)80が設けられている。
この冷却プレート80は、マスク機構11のパレットと同等の大きさの板状の冷却部分を有し、この冷却部分の内部に例えば水を循環させることによって冷却を行うように構成されている。
【0021】
さらに、本実施の形態においては、待機領域8とアライメント領域6aとの間において、マスク機構11及び基板10を昇降させる基板昇降機構22が設けられている。
この基板昇降機構22は、詳細は後述するが、それぞれ独立して動作する第1及び第2の基板昇降機構22
1、22
2、を有し、第1及び第2のマスク付き基板51、52を支持して上下方向に移動させるように構成されている。
【0022】
図2(a)〜(c)に示すように、本実施の形態の基板搬送機構21は、複数のローラから構成されるもので、アライメント室2Aの両側の側壁部23、24にそれぞれ水平方向に並べられて設けられている。
ここで、基板搬送機構21の各ローラは、図示しない駆動手段によって時計回り方向又は反時計回り方向に回転するように構成されている。
【0023】
また、基板搬送機構21の各ローラは、アライメント室2Aの両側の側壁部23、24に対して所定のタイミングで伸縮するように構成されている。
一方、本実施の形態の基板昇降機構22は、例えば鉛直方向に延びる複数個(本例では6個)の基板昇降部材22A、22B、22C、22D、22E、22Fを有している。
【0024】
ここで、基板昇降部材22A、22B、22C、22D、22E、22Fは、アライメントされたマスク機構11の両縁部(
図2(c)中、上下の縁部)に対して外方の位置に配置されたピン状の本体部を有し、それぞれの本体部の上部に、マスク機構11の縁部を支持するための支持部22a、22b、22c、22d、22e、22fが設けられて構成されている。
【0025】
図2(c)に示すように、本例の場合、基板昇降機構22は、2組の、すなわち、第1及び第2の基板昇降機構22
1、22
2からなる。
第1の基板昇降機構22
1は、アライメント室2Aの一方の側壁部23側に設けられた2個の基板昇降部材22A,22Bと、アライメント室2Aの他方の側壁部24側に設けられた1個の基板昇降部材22Cとから構成されている。
【0026】
ここで、アライメント室2Aの一方の側壁部23側の2個の基板昇降部材22A,22Bは、マスク機構11の両角部の近傍に配置され、アライメント室2Aの他方の側壁部24側の1個の基板昇降部材22Cは、マスク機構11の縁部の中央部分に配置されている。
【0027】
一方、第2の基板昇降機構22
2は、アライメント室2Aの一方の側壁部23側に設けられた1個の基板昇降部材22Fと、アライメント室2Aの他方の側壁部24側に設けられた2個の基板昇降部材22D,22Eとから構成されている。
【0028】
ここで、アライメント室2Aの他方の側壁部24側の2個の基板昇降部材22D,22Eは、マスク機構11の両角部の近傍に配置され、アライメント室2Aの一方の側壁部23側の1個の基板昇降部材22Fは、マスク機構11の縁部の中央部分に配置されている。
そして、各基板昇降部材22A〜22Fは、基板搬送機構21のローラの間に位置するように配設されている。
【0029】
また、各基板昇降部材22A〜22Fの支持部22a〜22fは、例えばマスク機構11の縁部の線分11A、11Bに対して平行となる位置から垂直となる位置まで水平方向に90度回転するように構成されている(
図2(a)〜(c)では、基板昇降部材22A〜22Fの各支持部22a〜22fが、マスク機構11の縁部の線分11A、11Bに対して垂直となる位置の場合が示されている。)。
【0030】
一方、本発明の場合、特に限定されることはないが、第1及び第2のマスク付き基板51、52の位置ずれを防止する観点からは、第1の基板昇降機構22
1の基板昇降部材22A〜22Cの支持部22a〜22cの重心位置と、第2の基板昇降機構22
2の基板昇降部材22D〜22Fの支持部22d〜22fの重心位置とが一致するように構成することが好ましい。
【0031】
次に、
図3(a)〜(c)乃至
図5(a)〜(c)並びに
図6(a)〜(c)乃至
図12(a)〜(c)を参照して本実施の形態の動作を説明する。なお、
図6(c)乃至
図12(c)の平面図については、本発明の理解を容易にするため、適宜基板10及びマグネット12の図示を省略する。
【0032】
また、上述した第1のマスク付き基板51は、第1のマスク機構(第1のマスク)11
1、第1の基板10
1、第1のマグネット12
1から構成され、第2のマスク付き基板52は、第2のマスク機構(第2のマスク)11
2、第1の基板10
2、第1のマグネット12
2から構成されているものとする。
【0033】
以下、アライメント領域6aにおいて第1のマスク付き基板51が作成され、蒸発源9において蒸発材料の蒸発を開始した後、真空槽2内で新しい基板10が搬入されるのを待っている場合を前提として本実施の形態の動作を説明する。
【0034】
まず、
図3(a)に示すように、第1の基板昇降機構22
1を下降させることにより、
図6(a)〜(c)に示すように、第1のマスク付き基板51を基板搬送機構21上に載置する。本明細書では、この位置を「蒸着開始位置21a」と称する。
【0035】
本実施の形態の場合、第1の基板昇降機構22
1の基板昇降部材22A〜22Cは、それぞれ基板搬送機構21のローラの間に位置するように配設されており、また各基板昇降部材22A〜22Cの支持部22a〜22cを、第1のマスク機構11
1の縁部の線分11A、11Bに対して垂直となる位置に配置しておくことにより、第1のマスク付き基板51は、第1の基板昇降機構22
1を下降させる際に、各基板昇降部材22A〜22Cの支持部22a〜22cから円滑に基板搬送機構21に受け渡される。
【0036】
一方、第2のマスク機構11
2を第2の基板昇降機構22
2によって支持してアライメント領域6a内に配置するとともに、第2のマグネット12
2を、アライメント領域6aの上部に配置し、第2の基板10
2の搬入を待つ。
【0037】
そして、基板搬送機構21のローラを動作させ、
図3(b)及び
図7(a)〜(c)に示すように、第1のマスク付き基板51を蒸着領域7に向って搬送して、第1の基板10
1に対して蒸着を開始する。
【0038】
なお、この時点で、第1の基板昇降機構22
1の基板昇降部材22A〜22Cの支持部22a〜22cを、第2のマスク機構11
2の縁部の線分11A、11Bに対して平行となる位置に配置しておく。
その後、
図3(c)及び
図8(a)〜(c)に示すように、第2の基板10
2をアライメント室2A内に搬入し、アライメント領域6aにおいてアライメントを行う。
【0039】
さらに、
図4(a)に示すように、第2の基板10
2を第2のマスク機構11
2に取り付けて第2のマスク付き基板52を作成した後、第2の基板昇降機構22
2を下降させて第2のマスク付き基板52をアライメント領域6aから蒸着開始位置21aを通過して待機領域8に移動し、各基板昇降部材22D〜22Fの支持部22d〜22fを冷却プレート80の上面より若干低い位置まで移動させることにより、第2のマスク付き基板52を第2の基板昇降機構22
2から冷却プレート80に受け渡す。
【0040】
これにより、第2のマスク付き基板52の第2のマスク機構11
2が冷却プレート80上に密着され、第2の基板10
2が冷却される。
この場合、
図9(a)〜(c)に示すように、第2の基板昇降機構22
2を下降させる際に、基板搬送機構21の各ローラを、アライメント室2Aの両側の側壁部23、24側にそれぞれ移動させて長さを縮めることにより、第2のマスク機構11
2の縁部(線分11A及び11Bの部分)が基板搬送機構21の各ローラと接触しないようにする。
【0041】
また、第1の基板昇降機構21
1の基板昇降部材22A〜22Cの支持部22a〜22cは、第2のマスク機構11
2の縁部の線分11A、11Bに対して平行となる位置に配置されているため、基板昇降部材22A〜22Cの支持部22a〜22cが第2のマスク機構11
2の縁部に接触することはない。
そして、この動作により、第2のマスク付き基板52の第2のマスク機構11
2が冷却プレート80上に密着し、第2の基板10
2が冷却される。
【0042】
一方、
図4(a)(b)及び
図10(a)〜(c)に示すように、第1のマスク付き基板51については、蒸着室2Bからアライメント室2Aに向って搬送し、第1の基板10
1表面への蒸着を続行する。
【0043】
なお、この時点で、第1の基板昇降機構21
1の基板昇降部材22A〜22Cの支持部22a〜22cを、第2のマスク機構11
2の縁部の線分11A、11Bに対して垂直となる位置に配置しておく。
【0044】
そして、
図4(c)に示すように、第1のマスク付き基板51への蒸着が終了した後、
図5(a)及び
図11(a)〜(c)に示すように、第1及び第2の基板昇降機構22
1、22
2を上昇させることにより、第1のマスク付き基板51をアライメント室2A内のアライメント領域6aに移動させるとともに、第2のマスク付き基板52を、基板搬送機構21の上方の位置まで移動させる。
【0045】
この場合、
図11(a)〜(c)に示すように、第2の基板昇降機構22
2を上昇させる際に、基板搬送機構21の各ローラを、アライメント室2Aの両側の側壁部23、24側にそれぞれ移動させて長さを縮めることにより、第2のマスク機構11
2の縁部(線分11A及び11Bの部分)が基板搬送機構21の各ローラと接触しないようにする。
【0046】
その後、
図5(b)に示すように、アライメント室2Aのアライメント領域6aにおいて、第1のマスク機構11
1と第1の基板10
1とを分離し、第1の基板10
1をアライメント室2Aから真空搬送ユニット4へ搬出する。
【0047】
この動作と並行して、
図12(a)〜(c)に示すように、基板搬送機構21の各ローラを伸ばした後、第2の基板昇降機構22
2を下降させることにより、第2のマスク付き基板52を基板搬送機構21上の蒸着開始位置21aに配置する。
【0048】
そして、基板搬送機構21のローラを動作させ、
図5(c)に示すように、第2のマスク付き基板52を蒸着領域7に向って搬送して、第2の基板10
2に対して蒸着を開始する。
【0049】
この動作と並行して、
図5(c)に示すように、新たな基板である第3の基板10
3をアライメント室2A内に搬入し、アライメント領域6aにおいてアライメントを行う。
【0050】
以下、上述した工程を、複数の基板10について連続して行う。
以上述べた本実施の形態にあっては、真空槽2内に、アライメント領域6aを有する基板搬入搬出領域6と、蒸着領域7と、待機領域8とが設けられ、第1及び第2のマスク付き基板51、52を、アライメント領域6aと待機領域8との間の蒸着開始位置21aと、蒸着領域7との間において第1の搬送機構によって搬送する一方で、第1及び第2のマスク付き基板51、52を、アライメント領域6aと蒸着開始位置21aとの間、並びに、蒸着開始位置21aと待機領域8との間において第1及び第2の基板昇降機構22
1、22
2によってそれぞれ搬送し、さらに、待機領域8が基板搬送機構21に対して例えば上下方向に重ならない位置に設けられていることから、第1及び第2のマスク付き基板51、52のうち例えば第2のマスク付き基板52を、第2の基板昇降機構22
2によって待機領域8まで搬送して待機させている間に、第1のマスク付き基板51に対しては、第1の基板昇降機構22
1によって蒸着開始位置21aまで搬送し、基板搬送機構21によって蒸着領域7に搬送して蒸着を行うことができる。そして、蒸着が終了した第1の基板10
1を真空槽2の外へ搬出するとともに、待機領域8に待機させておいた第2のマスク付き基板52を蒸着開始位置21aに配置することができる。
【0051】
このように、本実施の形態によれば、第1及び第2の基板10
1、10
2に対して同時に搬送及び蒸着を行うことができるので、従来技術に比べ、基板搬送の待ち時間を最小限にして蒸発材料の無駄を減らすことができる。
【0052】
また、本実施の形態では、真空槽2内において、第1及び第2のマスク付き基板51、52の順序を入れ替えることができるので、成膜の待ち時間を最小限にして蒸発材料の無駄を減らすことができる。
【0053】
さらに、本実施の形態では、待機領域8に冷却プレート80が設けられており、マスク機構11の温度の上昇を抑えることができるので、マスクの膨張を防止してより精密なマスク蒸着を行うことができる。
【0054】
さらにまた、本実施の形態では、基板搬入搬出領域6にアライメント領域6aが設けられていることから、基板10とマスク機構11とのアライメントを行いつつ蒸着を行うことができるので、プロセス全体のタクトタイムを短縮することができ、これにより蒸発材料の無駄を一層減らすことができる。
【0055】
加えて、本実施の形態では、基板搬送機構21が、第1及び第2のマスク付き基板51、52を支持して水平方向に搬送するように構成された複数のローラを有するとともに、第1及び第2の基板昇降機構22
1、22
2が、基板搬送機構21の複数のローラの間に設けられ第1及び第2のマスク付き基板51、52を支持して鉛直方向に搬送するように構成された複数のピン状の基板昇降部材22A〜22Fを有するとともに、基板搬送機構21のローラが、真空槽2の両側の内側壁部23、24において水平方向に伸縮自在に設けられており、さらに、第1及び第2の基板昇降機構22
1、22
2の基板昇降部材22A〜22Fが、水平方向に延びる支持部22a〜22fを有し、これら支持部22a〜22fが水平方向に例えば90度回転するように構成されていることから、ロボットのような複雑な基板搬送機構を用いることなく、第1及び第2のマスク付き基板51、52を、基板搬送機構21から第1及び第2の基板昇降機構22
1、22
2へ受け渡し、又は第1及び第2の基板昇降機構22
1、22
2から基板搬送機構21へ受け渡す動作を円滑に行うことができる。
【0056】
なお、本発明は上述の実施の形態に限られることなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、上記実施の形態においては、第1及び第2の基板昇降機構22
1、22
2が、それぞれ3個の基板昇降部材22A〜22C並びに22D〜22Fを有するようにしたが、本発明はこれに限られず、それぞれ4個以上の基板昇降部材を設けることもできる。
【0057】
なお、この場合においても、それぞれの基板昇降部材の支持部の重心が一致するように構成することが好ましい。
また、上記実施の形態においては、基板搬入搬出領域6にアライメント領域6aを設けるようにしたが、本発明はこれに限られず、他の真空槽でアライメントした基板とマスク機構を真空槽2内に搬入して蒸着を行うことも可能である。
【0058】
さらに、上記実施の形態においては、基板搬入搬出領域6を基板搬送機構21の上方に設けるとともに、待機領域8を基板搬送機構21の下方に設けるようにしたが、基板搬入搬出領域6を基板搬送機構21の下方に設けるとともに、待機領域8を基板搬送機構21の上方に設けることも可能である。
【0059】
さらにまた、基板搬入搬出領域6及び待機領域8を基板搬送機構21の側方に設けることもできる。
ただし、設置面積を小さくする観点からは、例えば上記実施の形態のように、基板搬入搬出領域6及び待機領域8を基板搬送機構21の上下の位置に設けることが好ましい。
【0060】
加えて、待機領域8を二つ以上設けることも可能である。この場合には、各待機領域8に対応するように、個別の搬送機構を設けることが好ましい。
さらにまた、上記実施の形態においては、基板10を水平にした状態で水平方向及び鉛直方向に移動させる場合を例にとって説明したが、本発明はこれに限られず、基板を鉛直にした状態で鉛直方向及び水平方向に移動させる場合にも適用することができるものである。この場合には、鉛直方向に向けられた基板に対し、蒸発源から水平方向に蒸気を放出して蒸着を行うことになる。