特許第5731485号(P5731485)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5731485
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】ポリマー突起を有する静電チャック
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20150521BHJP
   H02N 13/00 20060101ALI20150521BHJP
【FI】
   H01L21/68 R
   H02N13/00 D
【請求項の数】17
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-511001(P2012-511001)
(86)(22)【出願日】2010年5月13日
(65)【公表番号】特表2012-527125(P2012-527125A)
(43)【公表日】2012年11月1日
(86)【国際出願番号】US2010034667
(87)【国際公開番号】WO2010132640
(87)【国際公開日】20101118
【審査請求日】2013年5月10日
(31)【優先権主張番号】61/216,305
(32)【優先日】2009年5月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クツク,リチヤード・エイ
(72)【発明者】
【氏名】リチヤード,ネイト
(72)【発明者】
【氏名】ドンネル,ステイーブン
(72)【発明者】
【氏名】ボーズ,マーク
(72)【発明者】
【氏名】リウ,イエン
【審査官】 松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−214494(JP,A)
【文献】 特開平02−027748(JP,A)
【文献】 特開2007−194320(JP,A)
【文献】 特開2002−299425(JP,A)
【文献】 特開2002−141404(JP,A)
【文献】 特開2003−060020(JP,A)
【文献】 特開平02−304946(JP,A)
【文献】 特開2008−091353(JP,A)
【文献】 特開平10−321711(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/67 − 21/687
H02N 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電チャックにおいて、
基板を前記静電チャックに静電的にクランプする目的で電荷を形成するために電極内の電圧によって活性化される表面層を備えており、前記表面層は、複数のポリマー突起と、前記複数のポリマー突起が接着する電荷制御層と、を含んでおり、前記電荷制御層は、ポリマー電荷制御層であり、約10オーム/□から約1011オーム/□の間の表面抵抗率を有し、前記複数のポリマー突起は、前記基板の静電クランプの間、前記基板を前記複数のポリマー突起上で支持するために前記複数のポリマー突起を取り囲む前記電荷制御層の一部より上方の高さまで伸張している、静電チャック。
【請求項2】
前記複数のポリマー突起を構成するポリマーは、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、またはポリイミドを備えている、請求項1に記載の静電チャック。
【請求項3】
前記電荷制御層は、ポリエーテルイミド(PEI)でできている、請求項2に記載の静電チャック。
【請求項4】
前記電荷制御層は、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、またはポリイミドでできている、請求項に記載の静電チャック。
【請求項5】
前記電荷制御層の下にある接着剤層を更に備えている、請求項1に記載の静電チャック。
【請求項6】
前記接着剤層は、ポリエーテルイミド(PEI)を備えている、請求項に記載の静電チャック。
【請求項7】
前記静電チャックの誘電体層上に形成された接着被覆層を更に備え、該接着被覆層は、接着剤層の上方にある1つ以上のポリマー層の誘電体層への接着を促進し、接着剤層の上方にある1つ以上のポリマー層は、電荷制御層を備える、請求項1に記載の静電チャック。
【請求項8】
前記接着被覆層は、ケイ素を含有する窒化物、ケイ素を含有する酸化物、ケイ素を含有する炭化物、非化学量論的ケイ素を含有する窒化物、非化学量論的ケイ素を含有する酸化物、非化学量論的ケイ素を含有する炭化物、炭素及び炭素の窒化化合物の少なくとも1つを備えている、請求項に記載の静電チャック。
【請求項9】
前記接着被覆層は、SiO、窒化ケイ素、酸化ケイ素、炭化ケイ素及びダイヤモンド様炭素の少なくとも1つを備えている、請求項に記載の静電チャック。
【請求項10】
前記接着被覆層は、前記静電チャックの縁の少なくとも一部の周囲を取り囲む金属還元層を備えるように伸張している、請求項に記載の静電チャック。
【請求項11】
前記静電チャックの誘電体層を前記静電チャックの絶縁層に接合するセラミック対セラミックの接合層を更に備えており、前記セラミック対セラミック接合層は、ポリマーを備えている、請求項1に記載の静電チャック。
【請求項12】
前記セラミック対セラミック接合層に含まれるポリマーは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及び変性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の少なくとも1つを備え、または前記セラミック対セラミック接合層に含まれるポリマーは、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)及びポリエーテルエーテルケトン(PEEK)の少なくとも1つを備えている、請求項11に記載の静電チャック。
【請求項13】
前記変性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、ペルフルオロアルコキシ(PFA)及びフッ素化エチレンプロピレン(FEP)の少なくとも1つを備えている、請求項12に記載の静電チャック。
【請求項14】
ポリマーを備えるガスシールリングを更に備えている、請求項1に記載の静電チャック。
【請求項15】
前記ガスシールリングは、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド及びポリエーテルエーテルケトン(PEEK)の少なくとも1つを備えている、請求項14に記載の静電チャック。
【請求項16】
前記複数のポリマー突起を構成する前記ポリマーは、ポリエーテルイミド(PEI)を備えており、前記電荷制御層は、ポリエーテルイミド(PEI)でできており、前記静電チャックは、ケイ素を含有する窒化物、ケイ素を含有する酸化物、ケイ素を含有する炭化物、非化学量論的ケイ素を含有する窒化物、非化学量論的ケイ素を含有する酸化物、非化学量論的ケイ素を含有する炭化物、炭素及び炭素の窒化化合物の少なくとも1つを備える、接着被覆層を備えている、請求項1に記載の静電チャック。
【請求項17】
前記静電チャックの誘電体層を前記静電チャックの絶縁層に接合するセラミック対セラミックの接合層を更に備えており、前記セラミック対セラミックの接合層は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及び変性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の少なくとも1つを備えている、請求項16に記載の静電チャック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー突起を有する静電チャックに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2009年5月15日出願の米国仮特許出願第61/216,305号の恩恵を請求する。上記出願の教示全体を参考文献としてここに援用する。
【0003】
静電チャックは、製造工程の間、基板を保持及び支持し、更に、基板を機械的にクランプすること無く基板から熱を除去する。静電チャックを使用する間、半導体ウェーハ等の基板の裏側は、静電力によって静電チャックの面に保持される。基板は、電極を被覆する材料の表面層によって静電チャックの面にある1つ又はそれ以上の電極から隔てられている。クーロン力型では、表面層は、電気的に絶縁性を有するが、ジョンソン・ラーベック力型では、表面層は、弱導電性になっている。静電チャックの表面層は、平坦になっていて、基板の裏側を被覆電極から更に隔てる1つ又はそれ以上の突起、突出又は他の表面特徴を有している場合がある。処理中に基板へ伝わる熱は、突起との接触熱伝導によって及び/又は冷却ガスとのガス熱伝導によって、基板から静電チャックへと移動することができる。接触熱伝導は、一般的には、基板から熱を除去することにおいてガス熱伝導よりも効率が良い。しかしながら、基盤と突起との間の接触量を制御することが困難な場合がある。
【0004】
超小型電子機器の生産では、半導体の様なメモリ素子幾何学は、次第にますます小型化してきており、ウェーハ、フラットスクリーンディスプレイ、レチクル及び他の処理基板のサイズは、次第にますます大型化してきているため、許容される粒子による汚れの処理仕様は、より厳しくなってきている。ウェーハがチャックのクランプ表面と物理的に接触する又は取り付けられるという理由から、静電チャックへの粒子の影響は、特に高い関心事である。静電チャックの取り付け面が、取り付け表面と基板との間に何らかの粒子が入り込む可能性があるものであれば、基板は、入り込んだ粒子によって変形される恐れがある。例えば、ウェーハの裏側を平坦な基準面に当てて静電的にクランプする場合、入り込んだ粒子は、ウェーハの表側が変形する可能性があり、結果的に、平坦面に置かれないことになる。米国特許第6,835,415号の研究によれば、フラット静電チャック上の10ミクロン粒子は、レチクル(即ち、テスト用ウェーハ)の表面を半径方向距離で2.54センチメートル(1インチ)以上変位させる可能性がある。粒子によって誘発される変位の実際の高さ及び直径は、粒子サイズ、粒子硬度、クランプ力及びレチクル厚さ等の数々のパラメータによって決まる。
【0005】
基板処理の間重要なのは、基板の温度を管理すること、基板の最大温度上昇を制限すること、基板表面全体の温度の均一性を維持すること、又はこれらを任意に組み合わせて行うことが可能であること、である。不十分及び/又は不均一な熱移動が原因で基板表面全体に過度な温度のばらつきがある場合、基板に歪みが生じる可能性があり、プロセス化学に影響を及ぼす可能性がある。静電チャックと直接接触する領域が大きくなれば、接触熱伝導によって移動される熱も増える。直接接触する領域のサイズは、基板及び静電チャックの接触表面の粗さ、平面度及び硬度、更に接触表面の間に加えられる圧力にも依存する。接触表面の特性は、基板ごとに異なり、且つ接触表面の特性は、経時的に変化する可能性があるという理由から、静電チャックと基板との間の接触熱伝導性を正確に制御することは困難である。
【0006】
基板の温度及び裏側の上にある粒子の数を制御することは、超小型電子素子、レチクルマスク及び他の当該構造物に与える損傷を減らす又は無くすために、並びに製造歩留まり損失を減らす又は最小化するためには重要である。静電チャック突起の研磨特性、粗面な突起に因る大きな接触領域及び静電チャックの製造中のラップ仕上げ、艶出し仕上げの効果の全ては、静電チャックと共に使用する時に基板の裏側に粒子が増えることに寄与し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の或る実施形態によれば、静電チャックが提供されている。静電チャックは、基板を静電チャックに静電的にクランプする目的で電荷を形成するために電極内の電圧によって活性化される表面層を備えている。表面層は、複数のポリマー突起と、複数のポリマー突起が接着する電荷制御層と、を含んでいる。複数のポリマー突起は、基板の静電クランプの間、基板を複数のポリマー突起上で支持するために複数のポリマー突起を取り囲む電荷制御層の一部より上方の高さまで伸張している。
【0008】
別の関連実施形態では、複数のポリマー突起が作られるポリマーは、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を備えていてもよい。電荷制御層は、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等のポリマーでできていてもよい。接着材層は、電荷制御層の下にあり、ポリエーテルイミド(PEI)を備えていてもよい。静電チャックは、接着被覆層を備えていてもよい。接着被覆層は、ケイ素を含有する窒化物類、酸化物類、炭化物類及びこれらの非化学量論的変型類、例えば、限定するわけではないが、SiO、窒化ケイ素、酸化ケイ素又は炭化ケイ素等の少なくとも1つを備えていてもよい。接着被覆層は、更に、炭素又は炭素の窒化化合物を備えていてもよく、ダイヤモンド様炭素を備えていてもよい。接着被覆層は、静電チャックの縁の少なくとも一部の周囲を取り囲む金属還元層を備えるように伸張してもよい。静電チャックは、静電チャックの誘電体層を静電チャックの絶縁層に接合するセラミック対セラミックの接合層を備えていてもよく、は、セラミック対セラミックの接合層は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及び変性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の少なくとも1つ、及び/又はペルフルオロアルコキシ(PFA)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)及びポリエーテルエーテルケトン(PEEK)の少なくとも1つ、等のポリマーを備えている。変性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、ペルフルオロアルコキシ(PFA)及びフッ素化エチレンプロピレン(FEP)の少なくとも1つを備えていてもよい。複数のポリマー突起は、対になった隣接するポリマー突起の間での中心間距離で測定すると、表面層全体に亘って実質的に等間隔に配置されてもよい。ポリマー突起は、三角形パターンに配置されてもよい。ポリマー突起は、約6mmと約8mmの間の中心間距離を備えていてもよく、約3ミクロンと約12ミクロンの間の高さを備えていてもよく、約900ミクロンの直径を備えていてもよい。電荷制御層は、平方当たり約10オームから平方当たり約1011オームの間の表面抵抗率を備えていてもよい。静電チャックは、更に、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等のポリマーを備えるガスシールリングを備えていてもよい。複数のポリマー突起は、約0.02μmと約0.05μmの間の表面粗さを備えていてもよい。
【0009】
本発明による別の実施形態では、静電チャックを製造する方法が提供されている。方法は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、変性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)及びポリエーテルエーテルケトン(PEEK)の少なくとも1つを備える接合ポリマーを使用して静電チャックの誘電層を静電チャックの絶縁層に接合することと、静電チャックの誘電層を、ケイ素含有窒化物、ケイ素含有酸化物、ケイ素含有炭化物、非化学量論的ケイ素含有窒化物、非化学量論的ケイ素含有酸化物、非化学量論的ケイ素含有炭化物及び炭素の窒化化合物の少なくとも1つを備える接着被覆層で被覆することと、電荷制御層ポリマーを備える電荷制御層を静電チャックの表面に接合することであって、電荷制御層ポリマーは、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド及びポリエーテルエーテルケトン(PEEK)の少なくとも1つを備えている、電荷制御層を接合することと、フォトレジストを電荷制御層の上に堆積することと、電荷制御層に形成される複数のポリマー突起を取り囲む電荷制御層の部分を除去するために電荷制御層に反応性イオンエッチング処理を施すことと、フォトレジストを静電チャックから剥ぎ取ることで電荷制御層と同じ電荷制御層ポリマーでできている複数のポリマー突起を暴露することと、から成る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の或る実施形態による静電チャックの最上層の断面略図である。
図2】本発明の或る実施形態による静電チャックの別の層を示す断面略図である。
図3】本発明の或る実施形態による静電チャックの表面上の突起のパターン図である。
図4】本発明の或る実施形態による静電チャックの表面外観の略図である。
図5】本発明の或る実施形態による静電チャック上の突起の輪郭の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
これまでに述べたことは、以下の、添付図面で図示する本発明の例示的な実施形態についてのより詳しい説明を読めば明白となるであろう。添付図面においては、類似の参照文字は、様々な図面を通して同じ部分を指している。図面は、必ずしも縮尺が合っているわけではなく、寧ろ本発明の実施形態を図解することに重点が置かれている。
【0012】
これより本発明の例示的な実施形態について説明してゆく。
【0013】
本発明の或る実施形態によれば、基板を取り付けるための表面上に突起を含む静電チャックが提供されている。突起は、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等のポリマー物質でできている。更に、静電チャックは、電荷制御表面層を特徴としており、この層にポリマー突起が接着している。電荷制御表面層は、突起と同じポリマー物質、例えばポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)でできていてもよい。当該突起及び電荷制御表面層は、接触冷却を進めるために静電チャックが基板と接触することを促進することと、その上、更に望ましくない粒子が生成されることを減らすことと、に役立ち得る。
【0014】
図1は、本発明の或る実施形態による静電チャックの最上層の断面略図である。静電チャックは、例えば、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等でできている突起101を特徴としている。静電チャックのガスシールリング(図示せず)は、突起101と同じポリマー等のポリマーでできていてもよい。突起101は、電荷制御層102に接着しており、電荷制御層は、同様に、ポリマーでできていてもよい。電荷制御層102の目的は、表面電荷を抽出して取り除くために導電層を提供することである。電荷制御層102は、チャック電力が取り除かれた後ウェーハ又は他の基板が静電的にチャック表面に接着する時に発生する「ウェーハ貼り付き」の可能性を低減している。適正な範囲、例えば、約1×10オーム/平方から約1×1011オーム/平方までの表面抵抗率を有する電荷制御層102は、望ましくない静電力をもたらして最終的にウェーハ貼り付きにつながる可能性のある表面電荷保持を減らすことが分かってきた。弱導電性を有する表面層は、静電チャックと基板間の静電引力に干渉すること無く、電荷を接地へ(図示せず)抽出する。1つの実施形態では、突起101と電荷制御層102は共に、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の単一ポリマーでできている。接着材層103は、電荷制御層102の下にあってもよく、電荷制御層とは異なるポリマーを備えていてもよい。特に、電荷制御層がポリエーテルエーテルケトン(PEEK)でできている場合、接着材層103は、ポリエーテルイミド(PEI)を備えていてもよい。或いは、接着材層103は、存在してなくてもよい。接着材層103の下に(或いは電荷制御層102の真下に)、その上方にあるポリマー層が誘電層105に接着することを促進するように、静電チャックは、接着被覆104を含んでいる。接着被覆104は、その上方にあるポリマー層の下に埋設された状態になっており、ポリマーの審美的な欠陥を隠している。接着被覆104は、例えば、SiO、窒化ケイ素、酸化ケイ素又は炭化ケイ素等の、これらに限定するわけではないが、ケイ素を含有する窒化物類、酸化物類、炭化物類及びそれらの非化学量論的変型類を含んでいてもよい。接着被覆層は、更に、炭素又は炭素の窒化化合物を備えていてもよく、ダイヤモンド様炭素、及び/又は前述したものの何れかを組み合わせたものを備えていてもよい。接着被覆104の下にアルミナ誘電体等の誘電層105がある。
【0015】
図2は、本発明の或る実施形態による静電チャックの別の層を示す断面略図である。突起201、電荷制御層202、接着材層203、接着被覆204及び誘電層205に加えて、静電チャックは、金属電極206を含んでいる。金属電極206は導電性エポキシ接合剤208によって、電極ピン207に接合されている。誘電層205は、セラミック対セラミック接合剤210でアルミナ絶縁層等の絶縁層209に接合されている。セラミック対セラミック接合剤210は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又は変性PTFE(PTFEに加えてPFA及び/又はEFPを含む)等のポリマーでできていてもよい。更に、セラミック対セラミック接合剤210は、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)及びポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等のポリマーでできていてもよい。絶縁体209の下には、熱伝導性接合剤211(この接合剤は、例えば、米国マサチューセッツ州ベッドフォードのTRA-CON社が販売するTRA−CON熱伝導性エポキシを使用してできていてもよい)と水冷台212がある。接着被覆204は、金属還元層213を形成するために静電チャックの縁(ガスシールリングの縁の下方を含む)まで下方に伸張してもよい。金属還元層は、静電チャックの縁上へのビーム衝突がアルミナ粒子を基板に衝突させることを防止している。
【0016】
本発明の或る実施形態によれば、突起201、電荷制御層202又は静電チャックの他の構成要素に使用されるポリエーテルイミド(PEI)は、約12ミクロンと約25ミクロンの間の厚さの無充填の非晶質ポリエーテルイミド(PEI)でできていてもよい。例えば、商標名ULTEM 1000で販売されており、Sabic Innovative Plastics Holdings BV社から販売されているPEIを使用してもよい。突起201及び/又は電荷制御層202、又は他の構成要素がポリエーテルエーテルケトン(PEEK)でできている場合、それらは、約12ミクロンと約25ミクロンの間の厚さの無充填PEEKから作られてもよい。例えば、商標名Victrex(登録商標)APTIV PEEK(商標)FILM、2000−006(無充填非晶質等級)を使用してもよく、これは、米国、ペンシルベニア州、ウエストコンショホッケンのVictrex U.S.A.社から販売されている。
【0017】
本発明の或る実施形態によるポリマー突起とポリマー電荷制御層を特徴とする静電チャックは、2009年5月15日出願の米国特許出願第12/454,336号、米国特許出願公開第2009/0284894号で公開された静電チャックの特徴を含んでいてもよい。同出願の教示全体を参考文献としてここに援用する。特に、等間隔に配置された突起、三角形パターン突起及び粒子の生成率が低いことに関する特徴を含んでいてもよく、他の特徴を含んでいてもよい。
【0018】
図3は、本発明の或る実施形態による、静電チャックの表面にある突起314のパターンの説明図であり、ここでは、突起パターンを利用して基板と突起314との間に生じる力を低減している。その様な力を均一に分配する突起パターン、例えば、三角形又は概ね六角形のパターン等を使用してもよい。本明細書で使用する時、「三角形」パターンは、突起の正三角形を規則的に繰り返すパターンであるので、突起が実質的に等間隔に配置されていることを意味するように意図されるものと理解されたい。(当該パターンは、概ね六角形の形状になっていて、正六角形の頂点を形成する6個の突起の配列の中心に中心突起を有しているようにも見える。)更に、突起の直径315を大きくすることによって又は突起314の中心間の間隔316を狭めることによって力を低減してもよい。図3の実施形態で示すように、突起は、等間隔の配列で配置されてもよく、各突起は、隣接する突起から中心間の間隔寸法316だけ実質的に等間隔に離れて配置されている。この様に間隔をとる配置のおかげで、基板の裏側のかなりの部分は、突起の最上部分と接触し、裏側の冷却用ヘリウム又は他のガスのための間隙が突起の間に残される。これに対して、この様な突起の配置になっていなければ、突起のごく一部、10%以下しか基板と接触し得ない。本発明の或る実施形態によれば、基板は、突起の最上面の面積の25%より大きい部分と接触し得る。
【0019】
1つの実施例では、静電チャックは、300mmの構造形状であり、アルミニウム台と、約3.048mm(0.120インチ)の厚さのアルミナ絶縁体209と、約0.1016mm(0.004インチ)の厚さのアルミナ誘電体205を含んでおり、静電チャックに取り付けられる基板を回転及び傾転させることができる回転プラテン設計を有している。静電チャックの直径は、例えば、300mm、200mm又は450mmであってもよい。突起314は、例えば、中心間の間隔寸法316が約6mmから約8mmになっている三角形パターンで構成されていてもよい。突起の直径315は、例えば、約900ミクロンであってもよい。突起の高さ314は、例えば、約3ミクロンから約12ミクロンで、約6ミクロン等であってもよい。突起314は、電荷制御層202と同じように(図2参照)、全体がポリマーでできていてもよい。
【0020】
図4は、本発明の或る実施形態による静電チャックの表面外観の略図である。静電チャックの表面は、ガス注入口417、接地ピン通路418、ガスシールリング419、自身のガスシールリング(図4のリフトピン通路420の外側の淡色構造)を含むリフトピン通路420及びチャックの中心にある421の小さいガス注入口(図4では見えない注入口)を含んでいる。接地ピン通路418は、自身のガスシールリング(図4の接地ピン通路419の外側のリング)を含んでいてもよい。詳細図(図4の注入口422)は、突起414を示している。ガスシールリング419(及びリフトピン通路420と接地ピン通路418のガスシールリング)は、幅が約2.54mm(0.1インチ)であってもよく、突起414の高さと等しい高さ、約3ミクロンから約12ミクロンで、約6ミクロン等を有していてもよいが、他の幅及び高さであってもよい。
【0021】
本発明の或る実施形態によれば、静電チャックは、最初に、セラミック対セラミック接合剤を使用してセラミックアッセンブリを準備する工程で作られてもよい。例えば、図2の実施形態に関連して先に説明した接合物質を使用して、誘電層205を絶縁層209に接合してもよい。次に、セラミックアッセンブリは、約1ミクロン又は2ミクロンの厚さまでの、図1の実施形態に関連して先に検討した物質の様な接着被覆204で被覆される。次に、電荷制御層202及び突起201を作り上げるポリマー物質を接着被覆204の表面に接合する。ポリマー物質の最上部は、その後、フォトレジスト(この後塗布される)のくっつきを助けるようにプラズマ処理されてもよい。次に、フォトレジストをポリマー物質の上に堆積し、露光及び現像させる。次に、反応性イオンエッチング処理を用いて、突起201の間に領域を作り出すために或る厚さのポリマー物質(約3ミクロンと約12ミクロンの間で、特に約6ミクロン等)を除去する。エッチング処理で取り除かれる量(突起の高さとなるように)は、静電チャックと共に使用される裏側ガス圧にとって最適なものにすることができる。突起の高さは、裏側の冷却で使用されるガスの平均自由行程とほぼ同じである又は実質的に等しいことが望ましい。エッチング処理の後、フォトレジストは、それから剥がされ、工程は静電チャックの最終アッセンブリへと進められる。
【0022】
図5は、本発明の或る実施形態による静電チャック上の突起の輪郭の略図である。幅及び高さをマイクロメータの単位で示している。突起は、高さが約6ミクロンであり、極めて平滑なウェーハ接触表面523を有している。例えば、突起は、約0.02μmから約0.05μmまでのウェーハ接触表面523上の表面粗さを有していてもよい。同じように、ガスシールリングも、同様に平滑な表面を有していてもよく、平滑な表面は、基板と共に良好なシール性をもたらす。下記の表1は、本発明の或る実施形態によるガス漏洩率実験の結果を示している。左の列は、加えられた裏側ガス圧を示し、右の列は、静電チャックの縁の下側からのガス漏洩の結果発生する裏側のガス流量を示しており、中央の列は、更に多くのガスが静電チャックの縁から出て漏洩する際に上昇すると予測されるチャンバ圧力を示している。(ここで示す)1sccm未満の裏側ガス流量率の結果は、望ましいと考えられる。
【表1】
【0023】
本発明の或る実施形態によれば、静電チャックのガスシールリングは、約8ミクロン未満又は約4ミクロン未満又は約2ミクロン未満又は約1ミクロン未満の表面粗さを備えていてもよい。
【0024】
本発明の或る実施形態によれば、静電チャックは、クーロン力型チャックである。誘電体は、アルミニウム、例えば、アルミナ又は窒化アルミニウムを含み得る。本発明による別の実施形態では、静電チャックは、ジョンソン・ラーベック力型である。或いは、静電チャックは、ジョンソン・ラーベック力型静電チャックではなくてもよく、ジョンソン・ラーベック(JR)力又は部分ハイブリッドジョンソン・ラーベック力がウェーハ又は基板に作用しないように、誘電体を選んでもよい。
【0025】
本明細書で言及したあらゆる特許、公開出願及び参考文献の教示全体を参考文献としてここに援用する
【0026】
本発明について、その例示的な実施形態を参照しながら具体的に示して説明してきたが、当業者には理解頂けるように、添付の特許請求の範囲に包含される本発明の範囲を逸脱すること無く、形態及び細部の様々な変更を行うことができる。
図1
図2
図3
図4
図5