(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
細長状の筐体からなる本体と、該本体の長手方向に沿って往復自在に移動する基部と、該基部の移動路に対応して前記本体の側面に形成された開口部と、該開口部と覆うように設けられたシール部材とを備える電動アクチュエータにおいて、
前記開口部の両脇において当該開口部を挟むように前記本体から該本体の外側に向けて突出し、且つ前記本体の長手方向に沿って延設された一対の電極を備え、
前記一対の電極の一方には正の電位が生じ、前記一対の電極の他方には負の電位が生じることを特徴とする電動アクチュエータ。
前記一対の電極と前記本体との間には絶縁部材が介在し、前記一対の電極は前記本体から電気的に絶縁されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電動アクチュエータ。
【背景技術】
【0002】
半導体用ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)等の基板に所定の処理を施す基板処理装置では、当該基板処理装置内でウエハを直線状に移動させる際、電動アクチュエータを用いる。
【0003】
図8は、基板処理装置で用いられる従来の電動アクチュエータの構成を概略的に説明するための図であり、
図8(A)は正面図であり、
図8(B)は底面図であり、
図8(C)は
図8(A)における線C−Cに関する断面図である。
【0004】
電動アクチュエータ80では、細長状の直方体からなる本体81の長手方向に沿って板状のスライダ82が図中の白抜き矢印で示すように往復自在に移動する。スライダ82は本体81内に配されたレール83と係合するガイド84にブラケット85を介して接続され、ベルト86によってガイド84がレール83に沿って駆動される際、ガイド84とともに移動する。スライダ82には複数のねじ穴87が設けられ、各ねじ穴87へ取り付けねじ(図示しない)を螺合させることにより、スライダ82へ、例えば、ウエハを載置するピック(図示しない)を取り付け、スライダ82を移動させることによってウエハを移動させる。
【0005】
電動アクチュエータ80の本体81の側面には、スライダ82やブラケット85の本体81の長手方向に沿う移動を可能にするために、長手方向に沿って開口部88が設けられているが、該開口部88はダストシールバンド89によって殆ど覆われている。ダストシールバンド89はガイド84がレール83に沿って駆動される際に擦れによって生じるパーティクルが本体81の外側へ流出するのを防止する(例えば、非特許文献1参照。)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した電動アクチュエータ82における開口部88で生じる隙間、具体的には本体81及びダストシールバンド89の隙間90は数十μmであるため、
図9に示すように、粒径が数十nmのパーティクルPが隙間90を通過して本体81の外側へ流出することがある。
【0008】
一方、近年、ウエハにおける加工の微細化が進み、例えば、ウエハ表面にエッチングによって形成されるトレンチの幅やホールの径を数十nmで形成する必要が生じてきているため、隙間90を通過した粒径が数十nmのパーティクルPがウエハの表面に付着すると、該ウエハから製造される半導体デバイスの欠陥の原因となることがある。したがって、隙間90を通過した粒径が数十nmのパーティクルPが電動アクチュエータ82を離れてウエハの表面に付着するのを防止する必要がある。
【0009】
本発明の目的は、パーティクルが本体から離れるのを防止することができる電動アクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1記載の電動アクチュエータは、細長状の筐体からなる本体と、該本体の長手方向に沿って往復自在に移動する基部と、該基部の移動路に対応して前記本体の側面に形成された開口部と、該開口部と覆うように設けられたシール部材とを備える電動アクチュエータにおいて、前記開口部の両脇において当該開口部を挟むように前記本体から該本体の外側に向けて突出し、且つ前記本体の長手方向に沿って延設された一対の電極を備え、前記一対の電極の一方には正の電位が生じ、前記一対の電極の他方には負の電位が生じることを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の電動アクチュエータは、請求項1記載の電動アクチュエータにおいて、前記本体の内部圧力が前記本体の外部圧力よりも高く維持されることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の電動アクチュエータは、請求項1又は2記載の電動アクチュエータにおいて、前記基部は前記本体の外側に向けて突出する突出部を有し、該突出部は少なくとも1つの屈曲箇所を有し、前記一対の電極は前記基部の前記突出部を挟み、且つ前記挟まれた突出部に沿って屈曲することを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の電動アクチュエータは、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電動アクチュエータにおいて、前記開口部は上方に向けて開口することを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の電動アクチュエータは、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電動アクチュエータにおいて、前記基部には基板を搬送する基板搬送装置が取り付けられることを特徴とする。
【0015】
請求項6記載の電動アクチュエータは、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電動アクチュエータにおいて、前記一対の電極と前記本体との間には絶縁部材が介在し、前記一対の電極は前記本体から電気的に絶縁されることを特徴とする。
【0016】
請求項7記載の電動アクチュエータは、前記シール部材はシールバンドであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、本体の側面に形成された開口部の両脇において当該開口部を挟むように本体から該本体の外側に向けて突出し、且つ本体の長手方向に沿って延設された一対の電極の一方には正の電位が生じ、一対の電極の他方には負の電位が生じるので、本体の内部から開口部及びシールバンドの隙間を介して本体の外側へ流出した帯電したパーティクルは静電気力によって当該帯電したパーティクルの電荷の極と反対の極の電位が生じる電極に吸着される。その結果、帯電したパーティクルが本体から離れるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る電動アクチュエータの構成を概略的に示す図であり、
図1(A)は正面図であり、
図1(B)は底面図であり、
図1(C)は
図1(A)における線C−Cに関する断面図である。
【
図2】所定の条件下におけるシミュレーションによって算出されたパーティクルに発生する各移動速度を示すグラフである。
【
図3】本体及びダストシールバンドの隙間を介して本体の外側へ流出したパーティクルが下部電極の側部や上部電極の側部へ静電気力によって吸着される様子を説明するための図である。
【
図4】
図1の電動アクチュエータの基板搬送室における配置の様子を説明するための図である。
【
図5】
図1の電動アクチュエータの変形例の構成を概略的に示す断面図であり、
図5(A)は第1の変形例であり、(B)は第2の変形例である。
【
図6】排気装置を備える従来の電動アクチュエータの構成を概略的に示す断面図である。
【
図7】本発明の第2の実施の形態に係る電動アクチュエータの構成を概略的に示す断面図である。
【
図8】従来の電動アクチュエータの構成を概略的に示す図であり、
図8(A)は正面図であり、
図8(B)は底面図であり、
図8(C)は
図8(A)における線C−Cに関する断面図である。
【
図9】従来の電動アクチュエータにおけるパーティクルの本体の外側への流出の様子を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0020】
まず、本発明の第1の実施の形態に係る電動アクチュエータについて説明する。
【0021】
図1は、本実施の形態に係る電動アクチュエータの構成を概略的に示す図であり、
図1(A)は正面図であり、
図1(B)は底面図であり、
図1(C)は
図1(A)における線C−Cに関する断面図である。
【0022】
電動アクチュエータ10は、細長状の直方体からなる本体11と、該本体11の側面に配されて図中の白抜きの矢印で示すように、本体11の長手方向に沿って往復自在に移動する略直方体状のスライダ12(基部)と、スライダ12の移動路に対応して本体11の側面に形成された矩形の開口部13と、該開口部13を覆うように本体11に設けられたダストシールバンド14とを備える。
【0023】
本体11は内部に当該本体11の長手方向に沿って延設された断面略H字状のレール15と、該レール15に係合する断面略コ字状のガイド16と、該ガイド16をベルト17を介してレール15に沿って駆動するモータ(図示しない)とを有する。ガイド16はレール15と対向する面に埋設されたベアリング(図示しない)を有し、該ベアリングによってレール15上を滑走する。
【0024】
ガイド16は断面略環状のブラケット18を介してスライダ12へ接続される。ブラケット18は開口部13においてダストシールバンド14を包むように配置され、ガイド16の断面形状は本体11の内部から本体11及びダストシールバンド14の隙間19を介して本体11の外側へ露出する。また、ブラケット18は本体11及びダストシールバンド14との非接触状態が維持される。これにより、ブラケット18が本体11の長手方向に沿って移動する際、開口部13にダストシールバンド14が存在するにもかかわらず、ブラケット18は本体11やダストシールバンド14と干渉することなく移動することができる。
【0025】
また、スライダ12は本体11側とは反対の面に形成された複数のねじ穴20を有する。スライダ12には取り付け対象部材、例えば、搬送アームの基部が取り付けねじを各ねじ穴20へ螺合させることによって取り付けられる。また、電動アクチュエータ10では、ガイド16がモータによって駆動されてレール15に沿って移動する際、ブラケット18及びスライダ12とともに移動する。したがって、電動アクチュエータ10はスライダ12に取り付けられた取り付け対象部材を本体11の長手方向に沿って移動させることができる。
【0026】
また、電動アクチュエータ10は、開口部13の両脇において本体11から本体11の外側に向けて突出する一対の電極21を有する。一対の電極21は断面がL字状をなす屈曲された板状の下部電極21aと、断面が下部電極21aの断面と鏡面対称となる屈曲された板状の上部電極21bとからなり、下部電極21a及び上部電極21bはともに本体11の長手方向に沿って延設される。また、下部電極21a及び上部電極21bは、各底部21aa,21baが本体11へ固着され、平板状の各側部21ab,21bbが開口部13を挟むように本体11から突出し且つ互いに並行となるように配置される。
【0027】
下部電極21a及び上部電極21bは間に直流電源22を介して電気的に接続されるため、互いに異なる極の電位が発生する。本実施の形態では、下部電極21aが直流電源22の陰極に接続され、上部電極21bが直流電源22の陽極に接続されるため、下部電極21aには負の電位が生じ、上部電極21bには正の電位が生ずる。
【0028】
電動アクチュエータ10では、ガイド16がレール15に沿って移動する際、ベアリングがレール15の面と擦れてパーティクルPが発生する。このようなパーティクルPは摩擦によって生じた静電気を帯電するため、通常、負又は正の電荷を有する。パーティクルPが小さくなると、パーティクルPの運動は重力による自由落下運動よりもブラウン運動が支配的になるため、パーティクルPは本体11の内部を自在に移動し、隙間19を介して本体11の外側へ流出することがある。
【0029】
しかしながら、流出したパーティクルPは負又は正の電荷を有するので、パーティクルPは下部電極21a又は上部電極21bの一方の電極から静電気力による引力を受け、一方で下部電極21a又は上部電極21bの他方から静電気力による斥力を受ける。
【0030】
本発明者は、下部電極21a及び上部電極21bの間の圧力を10Paとし、下部電極21a及び上部電極21bの間隔を30mmとし、下部電極21a及び上部電極21bの電位差を24Vとした場合における1価の電荷を有するパーティクルPに発生する重力による移動速度、ブラウン運動による移動速度、及び静電気力による移動速度をシミュレーションによって計算し、その結果を以下の
図2のグラフに示した。
【0031】
図2は、所定の条件下におけるシミュレーションによって算出されたパーティクルに発生する各移動速度を示すグラフである。
【0032】
図2のグラフにおいて縦軸は移動速度を表し、横軸はパーティクルPの粒径を表す。また、実線は重力による移動速度を示し、一点鎖線はブラウン運動による移動速度を示し、破線は静電気力による移動速度を示す。
【0033】
図2のグラフに示すように、パーティクルPの粒径が300nm以下となると、静電気力による移動速度が重力による移動速度やブラウン運動による移動速度を上回ることが確認された。すなわち、パーティクルPの粒径が小さくなると、パーティクルPの運動は自由落下運動やブラウン運動よりも静電気力による運動が支配的になることが確認された。
【0034】
したがって、所定の条件下、例えば、粒径が300nm以下のパーティクルPは、
図3に示すように、静電気力によって下部電極21aの側部21abや上部電極21bの側部21bbへ引き寄せられる。
【0035】
但し、流出した負又は正の電荷を有するパーティクルPが静電気力によっての側部21abや側部21bbへ引き寄せられたとしても、当該パーティクルPは本体11の外側へ向けた運動を持続するため、側部21abや側部21bbが短い(突出量が小さい)と、上記パーティクルPは下部電極21aの側部abや上部電極21bの側部21bbへ到達する前に、側部21ab及び側部21bbに挟まれた空間から流出する虞がある。
【0036】
これに対応して側部21abや側部21bbを長くする(突出量を大きくする)のが好ましく、少なくとも側部21abや側部21bbの長さを開口部13の幅(
図3における上下方向に関する幅)よりも長くするのがよい。これにより、負又は正の電荷を有するパーティクルPが側部21abや側部21bbへ到達する前に側部21ab及び側部21bbに挟まれた空間から流出するのを防止することができる。
【0037】
下部電極21a及び上部電極21bを構成する部材は導電性部材であればよいが、搬送されるウエハから処理ガスに含まれていた腐食性ガスが揮発することがあるため、下部電極21a及び上部電極21bを構成する部材を樹脂系のコーティング等で覆うのが好ましい。
【0038】
また、パーティクルPを確実に静電気力によって側部21abや側部21bbへ吸着させるには下部電極21a及び上部電極21bの電位差を大きくするのが好ましい。但し、低圧環境下では、下部電極21a及び上部電極21bの電位差を大きくするとこれらの電極の間で異常放電が生じる虞がある。一方、パッシェンの法則によれば、例えば、窒素ガス(N
2ガス)が少量残留する低圧環境下では電位差が500Vを上回らない限り、異常放電が生じない。したがって、下部電極21a及び上部電極21bの電位差は500V以下が好ましく、パーティクルPに作用する静電気力をも考慮すると当該電位差を数十V近傍に維持するのが好ましい。
【0039】
さらに、下部電極21a及び本体11の間、並びに上部電極21b及び本体11の間には絶縁部材23が介在し、該絶縁部材23は下部電極21aや上部電極21bを本体11から絶縁する。これにより、本体11には電位が生じず、本体11がパーティクルPを静電吸着するのを防止することができる。絶縁部材23はシリコンゴムや金属酸化膜等からなり、塗布や溶射によって形成される。
【0040】
上述した電動アクチュエータ10によれば、本体11の側面に形成された開口部13の両脇において当該開口部13を挟むように本体11から該本体11の外側に向けて突出し、且つ本体11の長手方向に沿って延設された一対の電極21の上部電極21bには正の電位が生じ、下部電極21aには負の電位が生じるので、本体11の内部から隙間19を介して本体11の外側へ流出した負又は正の電荷を有するパーティクルPは静電気力によって当該パーティクルPの電荷の極と反対の極の電位が生じる電極(下部電極21a又は上部電極21b)に吸着される。その結果、負又は正の電荷を有するパーティクルPが本体11から離れるのを防止することができる。
【0041】
また、上述したように、電動アクチュエータ10からは負又は正の電荷を有するパーティクルPが飛散しにくいため、電動アクチュエータ10から飛散したパーティクルPが重力によって落下して当該電動アクチュエータ10よりも下方においてストック又は搬送されるウエハの表面へ付着することが殆どない。その結果、電動アクチュエータ10の配置の自由度を向上させることができる。
【0042】
例えば、基板搬送室において電動アクチュエータ10を上方に配置することができる。具体的には、
図4に示すように、基板搬送室としてのトランスファモジュール40において、スカラタイプの搬送アーム41(基板搬送装置)を移動させるための2つの電動アクチュエータ10をトランスファモジュール40内の上方に配置することができる。これにより、トランスファモジュール40内の下方に配置された他の搬送アームやウエハ用のバッファを飛び越えてウエハWを搬送することができ、もって、効率のよいウエハWの搬送を実現することができる。また、トランスファモジュール40内においてウエハWの搬送経路を増やす際に、多数の搬送アームをトランスファモジュール40内の下方のみに配置する必要がなくなるので、トランスファモジュール40の設置面積(フットプリント)が増加するのを防止することができる。
【0043】
上述した電動アクチュエータ10では、下部電極21aの側部21abや上部電極21bの側部21bbが単純な平板状であったが、側部21abや側部21bbの少なくとも1箇所を屈曲させてもよい。例えば、
図5(A)に示すように、スライダ12に本体11の外側へ向けて突出し且つ2つの屈曲箇所を有する突出部12aを設け、下部電極21aの側部21ab及び上部電極21bの側部21bbによって当該突出部12aを間に挟み、且つ突出部12aに沿って屈曲するように側部21ab及び側部21bbを構成してもよい。これにより、開口部13から一対の電極21の開放端にかけて下部電極21aの側部21ab及びスライダ12の突出部12aの間、並びに上部電極21bの側部21bb及び突出部12aの間に屈曲路50a,50bが形成される。本体11の内部から隙間19を介して本体11の外側へ流出したパーティクルPは当該屈曲路50a,50bを通過するので、屈曲路50a,50bにおける屈曲箇所において突出部12aや各側部21ab,21bbに衝突する。その結果、パーティクルPは屈曲路50a,50b内に留まるので、パーティクルPが一対の電極21の開放端から流出するのを防止することができる。また、本変形例では、部材との衝突、すなわち、力学的手法によってパーティクルPを屈曲路50a,50b内に留めるため、パーティクルPが負又は正の電荷を有していなくてもパーティクルPが本体11から離れるのを防止することができる。
【0044】
また、上述した電動アクチュエータ10では、本体11の開口部13が側方に開口していたが、例えば、
図5(B)に示すように、開口部13を上方に向けて開口させてもよい。この場合、本体11の内部から隙間19を介して本体11の外側へ流出したパーティクルPには本体11の内部へ戻るように重力が作用する。その結果、パーティクルPが本体11から離れるのを確実に防止することができる。また、本変形例では、パーティクルPに重力を作用させて本体11の内部へ戻すため、パーティクルPが負又は正の電荷を有していなくても本体11の内部へ戻すことができる。
【0045】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る電動アクチュエータについて説明する。
【0046】
本実施の形態は、その構成、作用が上述した第1の実施の形態と基本的に同じであるので、重複した構成、作用については説明を省略し、以下に異なる構成、作用についての説明を行う。
【0047】
従来、電動アクチュエータを所定の圧力以上の環境下、例えば、大気圧環境下で使用する場合、パーティクルは気流に巻き込まれて移動するため、例えば、
図6に示すように、電動アクチュエータ60の本体61内部を減圧する排気装置62を設け、本体61の内部の圧力を本体61の外側の圧力よりも低く設定して本体61の外側から内部へ流れる気流Fを生じさせ、該気流Fによって本体61の内部から外側へパーティクルが流出するのを防止している。
【0048】
ところが、ウエハの処理に腐食性ガス、例えば、臭素ガスを含む処理ガスを用いた場合、基板搬送室において電動アクチュエータを利用してウエハを搬送するとき、該ウエハから腐食性ガスが揮発することがある。このとき、本体61の内部の圧力を本体61の外側の圧力よりも低くしていると、腐食性ガスが本体61の内部へ吸引され、本体61の内部に配置されているレール、ガイドやモータを腐食させることがある。
【0049】
本実施の形態に係る電動アクチュエータでは、これに対応して、本体の内部の圧力を本体の外側の圧力よりも高く設定する。
【0050】
図7は、本実施の形態に係る電動アクチュエータの構成を概略的に示す断面図である。
【0051】
図7において、電動アクチュエータ70は、本体11に接続された圧力制御装置71を備える。圧力制御装置71は本体11の内部へガス等を送り込み、本体11の内部の圧力を本体11の外側の圧力(外部圧力)よりも高く維持する。これにより、腐食性ガス等が本体11の内部へ吸引されることがなく、もって、本体11の内部に配置されているレール15、ガイド16やモータが腐食するのを防止することができる。
【0052】
一方、本体11の内部の圧力が本体11の外側の圧力よりも高く維持されると、本体11の内部から外側へ向けて流れる気流F’が生じる。この気流F’によって本体11の内部で生じたパーティクルPは隙間19を介して本体11の外側へ流出するが、流出した負又は正の電荷を有するパーティクルPは静電気力によって下部電極21aの側部21abや上部電極21bの側部21bbへ引き寄せられる。すなわち、上述した電動アクチュエータ70によれば、腐食性ガスを本体11の内部へ吸引するのを防止できるとともに、負又は正の電荷を有するパーティクルPが本体11から離れるのを防止することができる。
【0053】
電動アクチュエータ70において圧力制御装置71から本体11の内部へ送り込まれるガスは、腐食性ガスでなければよいが、例えば、不活性ガスからなるドライガスが好ましい。
【0054】
なお、電動アクチュエータ70においても、上述した
図5(A)や
図5(B)の第1の実施の形態の変形例と同様に、スライダ12に突出部12aを設け、且つ下部電極21aの側部21abや上部電極21bの側部21bbを突出部12aに沿って屈曲させて屈曲路50a,50bを形成してもよく、また、開口部13を上方に向けて開口させてもよい。
【0055】
以上、本発明について、上記各実施の形態を用いて説明したが、本発明は上記各実施の形態に限定されるものではない。