(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0013】
[第1の実施の形態に係る配線基板の構造]
まず、第1の実施の形態に係る配線基板の構造について説明する。
図1は、第1の実施の形態に係る配線基板を例示する平面図である。
図2は、
図1のA−A線に沿う断面図である。
図3は、
図1のB−B線に沿う断面図である。
【0014】
図1〜
図3を参照するに、配線基板10は、基板本体11と、絶縁膜12と、GND電極13(第1電極)と、電源電極14(第2電極)と、信号電極15とを有する。配線基板10の形状は任意として構わないが、本実施の形態では平面形状が正方形の板状である場合を例に以下の説明を行う。又、正方形の上面の一辺の方向をX方向、正方形の上面においてX方向に垂直な方向をY方向、厚さ方向をZ方向とする。
【0015】
配線基板10において、基板本体11は、GND電極13等を形成する基体となる部分であり、貫通孔11x、11y、及び11zが形成されている。基板本体11の大きさは、例えば、縦2〜3cm(Y方向)、横2〜3cm(X方向)、厚さ(Z方向)200〜300μm程度とすることができる。基板本体11の材料としては、シリコン、ガラス、セラミック等の無機材料を用いることができる。
【0016】
配線基板10は、半導体チップを搭載することにより半導体パッケージとなり得る。その際、半導体チップはシリコン基板を有するものが多いため、熱膨張係数を整合させる観点からすると、基板本体11の材料としてシリコンやシリコンに熱膨張係数が近い硼珪酸ガラスを用いると好適である。硼珪酸ガラスは、硼酸(B
2O
3)と珪酸(SiO
2)を主成分として含むガラスであり、熱膨張係数は3ppm/℃程度である。
【0017】
基板本体11の熱膨張係数を半導体チップの熱膨張係数と整合させる理由は、高温環境下や低温環境下で動作する場合も含め、配線基板10と半導体チップとの接合部に生じる熱応力を低減するためである。以下、基板本体11がシリコンである場合を例にして説明する。
【0018】
貫通孔11x、11y、及び11zは、それぞれ基板本体11の一方の面11aから他方の面11bに貫通する孔である。貫通孔11xは、GND電極13を形成するために設けられた孔であり、基板本体11の厚さ方向(Z方向)に形成されている。
【0019】
より詳しくは、基板本体11の一の側面(YZ平面に平行な側面)と略平行な複数の平板状の貫通孔(
図1〜
図3の例では5個)がX方向に並設されている(後述する櫛歯部に相当する)。X方向に並設された複数の平板状の貫通孔を連結するように基板本体11の他の側面(XZ平面に平行な側面)と略平行に1つの平板状の貫通孔が設けられている。それらが連通して全体としては櫛型の平面形状をなしている。貫通孔11xの幅は、例えば、数10〜数100μm程度とすることができる。
【0020】
貫通孔11yは、電源電極14を形成するために設けられた孔であり、基板本体11の厚さ方向(Z方向)に形成されている。より詳しくは、基板本体11の一の側面(YZ平面に平行な側面)と略平行な複数の平板状の貫通孔(
図1〜
図3の例では4個)がX方向に並設されている(後述する櫛歯部に相当する)。X方向に並設された複数の平板状の貫通孔を連結するように基板本体11の他の側面(XZ平面に平行な側面)と略平行に1つの平板状の貫通孔が設けられている。それらが連通して全体としては櫛型の平面形状をなしている。貫通孔11yの幅は、例えば、数10〜数100μm程度とすることができる。
【0021】
平面形状が櫛形の貫通孔11xと、平面形状が櫛形の貫通孔11yとは、基板本体11及び絶縁膜12を介して、互いに間挿し合うように配置されている。隣接する貫通孔11xと貫通孔11yの間隔は、例えば、数10〜数100μm程度とすることができる。
【0022】
貫通孔11zは、信号電極15を形成するために設けられた孔であり、基板本体11の厚さ方向(Z方向)に設けられている。貫通孔11zの平面形状は、例えば、円形等とすることができる。貫通孔11zの平面形状が円形である場合の径は、例えば50〜100μm程度とすることができる。貫通孔11zは、貫通孔11xと貫通孔11yとに挟持される位置に配置されている。但し、貫通孔11zの平面形状は、例えば、矩形等としてもよい。
【0023】
絶縁膜12は、基板本体11の一方の面11a及び他方の面11b、並びに貫通孔11x、11y、及び11zの内側面に形成されている。絶縁膜12は、基板本体11と、GND電極13、電源電極14、及び信号電極15との間をそれぞれ絶縁するための膜である。絶縁膜12の材料としては、例えば、二酸化珪素(SiO
2)や窒化珪素(SiN)、ポリイミド(PI)等を用いることができる。絶縁膜12の厚さは、例えば1〜2μm程度とすることができる。
【0024】
なお、本実施の形態では、基板本体11がシリコン(半導体材料)であるから絶縁膜12を設けているが、基板本体11がガラスやセラミック等の絶縁性材料である場合には、絶縁膜12を設けなくても構わない。
【0025】
GND電極13は、内側面が絶縁膜12に被覆された貫通孔11xを充填するように形成されている。GND電極13は、主面を基板本体11の厚さ方向に向けて基板本体11を厚さ方向に貫通する複数の平板状の櫛歯部を連結した、平面形状が櫛形の電極である。平板状の各櫛歯部は、所謂GNDプレーンである。なお、主面とは、平板状の部材において、最も広いプレーン状の面を指す。GND電極13は、半導体チップ等のGND(グランド)と電気的に接続される。
【0026】
GND電極13の基板本体11の一方の面11a側に露出している面は、基板本体11の一方の面11aを被覆する絶縁膜12の表面と略面一とされている。GND電極13の基板本体11の他方の面11b側に露出している面は、基板本体11の他方の面11bを被覆する絶縁膜12の表面と略面一とされている。
【0027】
GND電極13の材料としては、例えば銅(Cu)を主成分として含む金属材料等を用いることができる。GND電極13の幅は、貫通孔11xの幅に対応して、例えば、数10〜数100μm程度とすることができる。
【0028】
電源電極14は、内側面が絶縁膜12に被覆された貫通孔11yを充填するように形成されている。電源電極14は、主面を基板本体11の厚さ方向に向けて基板本体11を厚さ方向に貫通する複数の平板状の櫛歯部を連結した、平面形状が櫛形の電極である。平板状の各櫛歯部は、所謂電源プレーンである。電源電極14は、半導体チップ等の電源と電気的に接続される。
【0029】
電源電極14の基板本体11の一方の面11a側に露出している面は、基板本体11の一方の面11aを被覆する絶縁膜12の表面と略面一とされている。電源電極14の基板本体11の他方の面11b側に露出している面は、基板本体11の他方の面11bを被覆する絶縁膜12の表面と略面一とされている。
【0030】
電源電極14の材料としては、例えば銅(Cu)を主成分として含む金属材料等を用いることができる。電源電極14の幅は、貫通孔11yの幅に対応して、例えば、数10〜数100μm程度とすることができる。
【0031】
平面形状が櫛形のGND電極13と、平面形状が櫛形の電源電極14とは、基板本体11及び絶縁膜12を介して、互いに間挿し合うように配置されている。隣接するGND電極13と電源電極14の間隔は、例えば、数10〜数100μm程度とすることができる。
【0032】
信号電極15は、内側面が絶縁膜12に被覆された貫通孔11zを充填するように形成されている。信号電極15は、半導体チップ等の信号電極と電気的に接続される。信号電極15の基板本体11の一方の面11a側に露出している面は、基板本体11の一方の面11aを被覆する絶縁膜12の表面と略面一とされている。信号電極15の基板本体11の他方の面11b側に露出している面は、基板本体11の他方の面11bを被覆する絶縁膜12の表面と略面一とされている。
【0033】
信号電極15の材料としては、例えば銅(Cu)を主成分として含む金属材料等を用いることができる。信号電極15の平面形状は、貫通孔11zの平面形状に対応して例えば円形とすることができる。信号電極15の平面形状が円形である場合の径は、例えば50〜100μm程度とすることができる。
【0034】
信号電極15は、例えば、
図1の領域Eに示すように、所定の間隔を隔てて対向配置されたGND電極13と電源電極14との間に配置されている。信号電極15が平板状のGND電極13と平板状の電源電極14とに挟持されるため、所謂ストリップライン構造の伝送線路を実現でき、インピーダンスマッチングをとることが可能となる(例えば、50Ωのインピーダンスを実現できる)。
【0035】
このように、第1の実施の形態に係る配線基板10は、主面を基板本体11の厚さ方向に向けて基板本体11を厚さ方向に貫通する平板状の櫛歯部を連結した平面形状が櫛形のGND電極13と、主面を基板本体11の厚さ方向に向けて基板本体11を厚さ方向に貫通する平板状の櫛歯部を連結した平面形状が櫛形の電源電極14とを有する。そして、GND電極13と電源電極14とは、それぞれの櫛歯部が互いに間挿し合うように配置されている。更に、GND電極13と電源電極14とに挟持される位置に、基板本体11の厚さ方向に形成された信号電極15が配置されている。なお、GND電極13と電源電極14の配置は、反対であっても構わない。又、GND電極13と電源電極14のそれぞれの櫛歯部の個数は適宜決定することができる。
【0036】
[第1の実施の形態に係る配線基板の製造方法]
次に、第1の実施の形態に係る配線基板の製造方法について説明する。
図4〜
図7は、第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図である。
【0037】
まず、
図4に示す工程では、基板本体11を準備し、基板本体11の一方の面11aから他方の面11bに貫通する貫通孔11x、11y、及び11zを形成する。基板本体11は、例えば6インチ(約150mm)、8インチ(約200mm)、12インチ(約300mm)等のシリコンウェハ等である。シリコンウェハの厚さは、例えば0.625mm(6インチの場合)、0.725mm(8インチの場合)、0.775mm(12インチの場合)等であるが、バックサイドグラインダー等で適宜薄型化することができる(例えば、厚さが200〜300μm程度となるように薄型化することができる)。なお、Cは、最終的に基板本体11等を切断する位置(以降、切断位置Cとする)を示している。
【0038】
貫通孔11x及び11yは、
図1に示したように、それぞれ平面形状が櫛形になるように形成し、互いに間挿し合うように配置する。又、貫通孔11zは、所定の間隔を隔てて対向配置された貫通孔11xと貫通孔11yとの間に配置する。
【0039】
貫通孔11x、11y、及び11zは、例えば、基板本体11の一方の面11aに貫通孔11x、11y、及び11zを形成する位置を開口するレジスト層を形成し、レジスト層をマスクとして基板本体11をエッチングすることにより形成できる。エッチングとしては、例えばSF
6(六フッ化硫黄)を用いた反応性イオンエッチング(DRIE:Deep Reactive Ion Etching)等の異方性エッチング法を用いると好適である。
【0040】
貫通孔11x及び11yの幅は、例えば、それぞれ数10〜数100μm程度とすることができる。貫通孔11zの平面形状は、例えば、円形等とすることができる。貫通孔11zの平面形状が円形である場合の径は、例えば50〜100μm程度とすることができる。但し、貫通孔11zの平面形状は、例えば、矩形等としてもよい。
【0041】
次に、
図5に示す工程では、基板本体11の一方の面11a及び他方の面11b、並びに貫通孔11x、11y、及び11zのそれぞれの内側面に絶縁膜12を形成する。絶縁膜12としては、例えば熱酸化膜(SiO
2)を用いることができる。絶縁膜12は、基板本体11の表面近傍の温度を例えば1000℃以上とするウェット熱酸化法により熱酸化することで形成できる。絶縁膜12の厚さは、例えば1〜2μm程度とすることができる。なお、絶縁膜12として、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等により、例えば二酸化珪素(SiO
2)や窒化珪素(SiN)、ポリイミド(PI)等の膜を形成しても構わない。
【0042】
次に、
図6に示す工程では、基板本体11の他方の面11bを被覆する絶縁膜12の表面に、接着層91を介して金属層92を配設する。そして、内側面が絶縁膜12に被覆された貫通孔11x、11y、及び11z内に露出する接着層91をアッシング法等により除去し、開口部91xを形成する。
【0043】
これにより、内側面が絶縁膜12に被覆された貫通孔11x、11y、及び11z内に金属層92の表面が露出する。金属層92は、電解めっき法により、GND電極13、電源電極14、及び信号電極15を形成する際の給電層となる部材である。金属層92としては、例えば銅(Cu)板や銅(Cu)箔等を用いることができる。以下、金属層92が銅(Cu)板である場合を例にして説明する。
【0044】
次に、
図7に示す工程では、金属層92を給電層とする電解めっき法により、金属層92側から貫通孔11x、11y、及び11z内にめっき膜を析出成長させる。内側面が絶縁膜12に被覆された貫通孔11xを充填するGND電極13、内側面が絶縁膜12に被覆された貫通孔11yを充填する電源電極14、及び内側面が絶縁膜12に被覆された貫通孔11zを充填する信号電極15を形成する。GND電極13、電源電極14、及び信号電極15のそれぞれの材料としては、例えば銅(Cu)を主成分として含む金属材料等を用いることができる。
【0045】
GND電極13の幅は、貫通孔11xの幅に対応して、例えば、数10〜数100μm程度とすることができる。電源電極14の幅は、貫通孔11yの幅に対応して、例えば、数10〜数100μm程度とすることができる。信号電極15の平面形状は、貫通孔11zの平面形状に対応して例えば円形とすることができる。信号電極15の平面形状が円形である場合の径は、例えば50〜100μm程度とすることができる。
【0046】
必要に応じ、基板本体11の一方の面11a側をCMP(Chemical Mechanical Polishing)法等により研磨して平坦化してもよい。これにより、GND電極13、電源電極14、及び信号電極15のそれぞれの基板本体11の一方の面11a側に露出している面を、基板本体11の一方の面11aを被覆する絶縁膜12の表面と略面一とすることができる。
【0047】
次に、
図7に示す工程の後(図示せず)、接着層91及び金属層92を除去し、更に、基板本体11の他方の面11b側から突出するGND電極13、電源電極14、及び信号電極15をCMP(Chemical Mechanical Polishing)法等により研磨する。これにより、GND電極13、電源電極14、及び信号電極15のそれぞれの基板本体11の他方の面11b側に露出している面を、基板本体11の他方の面11bを被覆する絶縁膜12の表面と略面一とすることができる。その後、ダイシング等により、切断位置Cで切断し個片化することにより、
図1〜
図3に示す配線基板10が完成する。
【0048】
なお、銅(Cu)板である金属層92は、例えば塩化第二鉄水溶液や塩化第二銅水溶液、過硫酸アンモニウム水溶液等を用いたウェットエッチングにより除去できる。接着層91は、アッシング法等により除去できる。
【0049】
このように、第1の実施の形態に係る配線基板10は、主面を基板本体11の厚さ方向に向けて基板本体11を厚さ方向に貫通する平板状の櫛歯部を連結した平面形状が櫛形のGND電極13と、主面を基板本体11の厚さ方向に向けて基板本体11を厚さ方向に貫通する平板状の櫛歯部を連結した平面形状が櫛形の電源電極14とが、それぞれの櫛歯部が互いに間挿し合うように配置されている。更に、GND電極13と電源電極14とに挟持される位置に、基板本体11を厚さ方向に貫通する信号電極15が配置されている。
【0050】
GND電極13及び電源電極14をそれぞれ基板本体11の厚さ方向に貫通して設けた平板状とすることにより、導体面積を広く(大きく)確保することができるため、GND電極13及び電源電極14のそれぞれの抵抗値を低くできる。又、GND電極13と電源電極14とを近接して対向配置することにより、容量性を高く、誘導性を低くできる。更に、これらにより、配線基板10内の電源インピーダンスを低減できる。
【0051】
又、平板状のGND電極13と平板状の電源電極14とに挟持される位置に信号電極15を配置できるため、配線基板10内の配線密度を低下させることなく、配線基板10内の電源インピーダンスの低減等を実現できる。
【0052】
又、信号電極15が平板状のGND電極13と平板状の電源電極14とに挟持されるため、信号電極15に対する外部からのノイズをシールド(遮蔽)できる。又、信号電極15自体がノイズ源となることを防止できる。
【0053】
又、平板状のGND電極13と平板状の電源電極14との間に信号電極15を配置して所謂ストリップライン構造の伝送線路を実現できるため、インピーダンスマッチングをとることが可能となる(例えば、50Ωのインピーダンスを実現できる)。
【0054】
〈第1の実施の形態の変形例1〉
第1の実施の形態の変形例1では、第1の実施の形態のGND電極及び電源電極を囲むように、更にGND電極及び電源電極を設ける例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例1において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0055】
図8は、第1の実施の形態の変形例1に係る配線基板を例示する平面図である。
図9は、
図8のC−C線に沿う断面図である。
図10は、
図8のD−D線に沿う断面図である。
【0056】
図8〜
図10を参照するに、配線基板20は、貫通孔11v及び11w、並びにGND電極23(第3電極)及び電源電極24(第4電極)が追加された点が配線基板10(
図1〜
図3参照)と相違する。
【0057】
貫通孔11v及び11wは、それぞれ基板本体11の一方の面11aから他方の面11bに貫通する孔である。貫通孔11vは、GND電極23を形成するために設けられた孔であり、基板本体11の厚さ方向(Z方向)に形成されている。より詳しくは、貫通孔11vは、貫通孔11x、11y、及び11zを囲むように枠状に設けられており、一部が貫通孔11xと連通している。貫通孔11vの幅は、例えば、数10〜数100μm程度とすることができる。
【0058】
貫通孔11wは、電源電極24を形成するために設けられた孔であり、基板本体11の厚さ方向(Z方向)に形成されている。より詳しくは、貫通孔11wは、貫通孔11vを囲むように枠状に設けられている。貫通孔11wの幅は、例えば、数10〜数100μm程度とすることができる。貫通孔11v及び11wの内側面には、それぞれ絶縁膜12が形成されている。
【0059】
GND電極23は、内側面が絶縁膜12に被覆された貫通孔11vを充填するように形成されている。GND電極23は、GND電極13、電源電極14、及び信号電極15を囲むように枠状に設けられた電極であり、GND電極13と電気的に接続されている。GND電極23は、所謂GNDプレーンである。
【0060】
GND電極23の基板本体11の一方の面11a側に露出している面は、基板本体11の一方の面11aを被覆する絶縁膜12の表面と略面一とされている。GND電極23の基板本体11の他方の面11b側に露出している面は、基板本体11の他方の面11bを被覆する絶縁膜12の表面と略面一とされている。GND電極23の材料としては、例えば銅(Cu)を主成分として含む金属材料等を用いることができる。GND電極23の幅は、貫通孔11vの幅に対応して、例えば、数10〜数100μm程度とすることができる。
【0061】
電源電極24は、内側面が絶縁膜12に被覆された貫通孔11wを充填するように形成されている。電源電極24は、GND電極23を囲むように枠状に設けられた電極である。電源電極24は、所謂電源プレーンである。電源電極24は、例えば、基板本体11上に設けられた再配線層等により電源電極14と電気的に接続することができる。
【0062】
電源電極24の基板本体11の一方の面11a側に露出している面は、基板本体11の一方の面11aを被覆する絶縁膜12の表面と略面一とされている。電源電極24の基板本体11の他方の面11b側に露出している面は、基板本体11の他方の面11bを被覆する絶縁膜12の表面と略面一とされている。電源電極24の材料としては、例えば銅(Cu)を主成分として含む金属材料等を用いることができる。電源電極24の幅は、貫通孔11wの幅に対応して、例えば、数10〜数100μm程度とすることができる。
【0063】
このように、第1の実施の形態の変形例1に係る配線基板20は、GND電極13、電源電極14、及び信号電極15を囲むように基板本体11の厚さ方向に枠状のGND電極23が設けられ、更にGND電極23を囲むように基板本体11の厚さ方向に枠状の電源電極24が設けられている。
【0064】
これにより、第1の実施の形態の効果に加えて更に以下の効果を奏する。すなわち、信号電極15に対する外部からのノイズをシールド(遮蔽)する効果を一層向上できる。又、信号電極15自体がノイズ源となることを一層防止できる。
【0065】
〈第1の実施の形態の変形例2〉
第1の実施の形態の変形例2では、X方向に並設された複数の平板状の貫通孔を連結する部分を設けない例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例2において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0066】
図11は、第1の実施の形態の変形例2に係る配線基板を例示する平面図である。
図11を参照するに、配線基板30は、貫通孔11x及び11yが貫通孔11r及び11sに、GND電極13及び電源電極14がGND電極33及び電源電極34にそれぞれ置換された点が配線基板10(
図1〜
図3参照)と相違する。なお、配線基板30のXZ平面に平行な断面の構造は配線基板10の場合と同様である(
図2参照)。
【0067】
貫通孔11r及び11sは、それぞれ基板本体11の一方の面11aから他方の面11bに貫通する孔である。貫通孔11rは、GND電極33を形成するために設けられた孔であり、基板本体11の厚さ方向(Z方向)に平板状に形成されている。より詳しくは、基板本体11の一の側面(YZ平面に平行な側面)と略平行な複数の平板状の貫通孔11r(
図11の例では5個)がX方向に並設されている。貫通孔11rの幅は、例えば、数10〜数100μm程度とすることができる。
【0068】
貫通孔11sは、電源電極34を形成するために設けられた孔であり、基板本体11の厚さ方向(Z方向)に平板状に形成されている。より詳しくは、基板本体11の一の側面(YZ平面に平行な側面)と略平行な複数の平板状の貫通孔11s(
図11の例では4個)がX方向に並設されている。貫通孔11sの幅は、例えば、数10〜数100μm程度とすることができる。
【0069】
貫通孔11rと貫通孔11sとは、交互に配置されている。但し、隣接して配置される貫通孔11rと貫通孔11sとの間には、絶縁膜12及び基板本体11が介在している。
【0070】
GND電極33は、内側面が絶縁膜12に被覆された貫通孔11rを充填するように形成されている。GND電極33は、主面を基板本体11の厚さ方向に向けて基板本体11を厚さ方向に貫通する平板状の電極である。GND電極33は、所謂GNDプレーンである。GND電極33の基板本体11の一方の面11a側に露出している面は、基板本体11の一方の面11aを被覆する絶縁膜12の表面と略面一とされている。GND電極33の基板本体11の他方の面11b側に露出している面は、基板本体11の他方の面11bを被覆する絶縁膜12の表面と略面一とされている。
【0071】
GND電極33の材料としては、例えば銅(Cu)を主成分として含む金属材料等を用いることができる。GND電極33の幅は、貫通孔11rの幅に対応して、例えば、数10〜数100μm程度とすることができる。
【0072】
電源電極34は、内側面が絶縁膜12に被覆された貫通孔11sを充填するように形成されている。電源電極34は、主面を基板本体11の厚さ方向に向けて基板本体11を厚さ方向に貫通する平板状の電極である。電源電極34は、所謂電源プレーンである。電源電極34の基板本体11の一方の面11a側に露出している面は、基板本体11の一方の面11aを被覆する絶縁膜12の表面と略面一とされている。電源電極34の基板本体11の他方の面11b側に露出している面は、基板本体11の他方の面11bを被覆する絶縁膜12の表面と略面一とされている。
【0073】
電源電極34の材料としては、例えば銅(Cu)を主成分として含む金属材料等を用いることができる。電源電極34の幅は、貫通孔11sの幅に対応して、例えば、数10〜数100μm程度とすることができる。
【0074】
信号電極15は、所定の間隔を隔てて対向配置されたGND電極33と電源電極34との間に配置されている。なお、各GND電極33は、例えば、基板本体11上に設けられた再配線層等により相互に電気的に接続することができる。又、各電源電極34は、例えば、基板本体11上に設けられた再配線層等により相互に電気的に接続することができる。
【0075】
このように、第1の実施の形態の変形例2に係る配線基板30は、主面を基板本体11の厚さ方向に向けて基板本体11を厚さ方向に貫通する複数の平板状のGND電極33と、主面を基板本体11の厚さ方向に向けて基板本体11を厚さ方向に貫通する複数の平板状の電源電極34とが交互に配置されている。更に、GND電極33と電源電極34とに挟持される位置に、信号電極15が配置されている。このような構造でも第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0076】
〈第1の実施の形態の変形例3〉
第1の実施の形態の変形例3では、基板本体の両面に、それぞれ絶縁層及び配線層を積層形成する例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例3において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0077】
図12は、第1の実施の形態の変形例3に係る配線基板を例示する断面図である。
図12を参照するに、配線基板40は、配線基板10の基板本体11の両面に、それぞれ絶縁層及び配線層が積層形成された構造である。配線基板10に代えて、配線基板20や配線基板30を用いてもよい。
【0078】
配線基板40において、絶縁層41は、絶縁膜12を介して、基板本体11の一方の面11aに形成されている。絶縁層41の材料としては、例えばエポキシ系やポリイミド系等の絶縁性樹脂を用いることができる。絶縁層41の厚さは、例えば15〜25μm程度とすることができる。
【0079】
配線層42(所謂再配線層)は、絶縁層41上に形成されている。配線層42は、絶縁層41を貫通し信号電極15の一方の端面を露出するビアホール41x内に充填されたビア配線、及び絶縁層41上に形成された配線パターンを含んで構成されている。配線パターンは、所定の平面形状にパターニングされている。ビアホール41xは、絶縁層43側に開口されていると共に、信号電極15の一方の端面によって底面が形成された凹部を形成している。又、この凹部内にビア配線が形成されている。
【0080】
配線層42は、ビアホール41x内に露出した信号電極15と電気的に接続されている。配線層42の材料としては、例えば銅(Cu)を主成分として含む金属材料等を用いることができる。配線層42を構成する配線パターンの厚さは、例えば10〜20μm程度とすることができる。なお、配線層42は、GND電極13や電源電極14と電気的に接続されてもよい。
【0081】
絶縁層43は、絶縁層41上に、配線層42を覆うように形成されている。絶縁層43は、所謂ソルダーレジスト層である。絶縁層43は開口部43xを有し、開口部43x内には配線層42の一部が露出している。絶縁層43の材料としては、例えば、エポキシ系やアクリル系等の感光性樹脂組成物を用いることができる。絶縁層43の厚さは、例えば15〜25μm程度とすることができる。
【0082】
開口部43x内に露出する配線層42は、半導体チップ(図示せず)と電気的に接続される電極パッドとして機能する。以降、開口部43x内に露出する配線層42を電極パッド42と称する場合がある。
【0083】
必要に応じ、電極パッド42上に、例えば無電解めっき法等により金属層等を形成してもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。
【0084】
更に、電極パッド42上に、はんだボールやリードピン、銅ピラーバンプ等の外部接続端子を形成しても構わない。外部接続端子は、半導体チップ(図示せず)と電気的に接続するための端子となる。但し、電極パッド42自体を、外部接続端子としてもよい。電極パッド42の平面形状は例えば円形であり、その直径は例えば40〜120μm程度とすることができる。電極パッド42のピッチは、例えば100〜200μm程度とすることができる。
【0085】
同様に、基板本体11の他方の面11bには、絶縁膜12を介して、絶縁層45、配線層46、及び絶縁層47が順次積層形成されている。配線層46は、ビアホール45xを介して信号電極15と電気的に接続されている。配線層46は、GND電極13や電源電極14と電気的に接続されてもよい。なお、絶縁層45、配線層46、及び絶縁層47については、それぞれ絶縁層41、配線層42、及び絶縁層43の構造と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0086】
開口部47x内に露出する配線層46は、他の配線基板(ビルドアップ基板等)やマザーボード等の実装基板(図示せず)と電気的に接続される電極パッドとして機能する。以降、開口部47x内に露出する配線層46を電極パッド46と称する場合がある。
【0087】
必要に応じ、電極パッド46上に、金属層を形成してもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。
【0088】
更に、電極パッド46上に、はんだボールやリードピン等の外部接続端子を形成しても構わない。外部接続端子は、他の配線基板やマザーボード等の実装基板(図示せず)と電気的に接続するための端子となる。但し、電極パッド46自体を、外部接続端子としてもよい。
【0089】
電極パッド46の平面形状は例えば円形であり、その直径は例えば200〜1000μm程度とすることができる。つまり、他の配線基板やマザーボード等の実装基板(図示せず)と電気的に接続される電極パッド46の径は、半導体チップ(図示せず)と電気的に接続される電極パッド42の径よりも大きい。電極パッド46のピッチは、例えば500〜1200μm程度とすることができる。つまり、他の配線基板やマザーボード等の実装基板(図示せず)と電気的に接続される電極パッド46のピッチは、半導体チップ(図示せず)と電気的に接続される電極パッド42のピッチよりも広い。
【0090】
このように、基板本体の両面に、それぞれ絶縁層及び配線層を積層形成してもよい。
【0091】
〈半導体チップ搭載例〉
次に、配線基板40に半導体チップを搭載した半導体パッケージの例を示す。
図13は、第1の実施の形態の変形例3に係る配線基板に半導体チップを搭載した半導体パッケージを例示する断面図である。
図13を参照するに、半導体パッケージ50は、配線基板40の基板本体11の一方の面11a側に、2つの半導体チップ51、52が搭載された構造である。
【0092】
配線基板40の電極パッド42は、接合部54を介して、半導体チップ51、52と電気的に接続されている。半導体チップ51、52と配線基板40との間に、アンダーフィル樹脂を充填してもよい。配線基板40の電極パッド46には、接合部55が形成されている。接合部55は、他の配線基板やマザーボード等の実装基板(図示せず)と電気的に接続される部分である。接合部54及び55としては、例えば、はんだボール等を用いることができる。はんだボールの材料としては、例えばPbを含む合金、SnとCuの合金、SnとAgの合金、SnとAgとCuの合金等を用いることができる。
【0093】
このように、配線基板に半導体チップを搭載して半導体パッケージを実現できる。なお、配線基板に搭載する半導体チップは1つでもよいし、3つ以上でもよい。又、複数の半導体チップを搭載する場合は、同一機能の半導体チップのみを搭載してもよいし、異なる機能の半導体チップが混在してもよい。
【0094】
以上、好ましい実施の形態及びその変形例について詳説したが、上述した実施の形態及びその変形例に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態及びその変形例に種々の変形及び置換を加えることができる。