【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、造粒時の流動不良および造粒不良を発生せず、化合物(A)またはその塩の含量が高く、服用しやすいサイズの錠剤を提供できる。すなわち、本発明の錠剤は、服用しやすいサイズであるため、患者の服用コンプライアンスの高い医薬品として有用であり、また、化合物(A)またはその塩を患者に高用量投与する場合において特に有用である。
また、本発明によれば、化合物(A)と流動化剤とを組み合わせること、好ましくは化合物(A)と流動化剤および結合剤とを組み合わせることにより、長期間にわたる保存安定性および溶出性などが優れた錠剤を提供できる。
さらに、本発明の錠剤が、添加剤として結晶セルロースおよび結晶セルロース以外の結合剤を含む場合、適度な錠剤硬度を有し、製造工程での錠剤表面の削れや錠剤の割れの発生、および打錠障害(特にキャッピング)を防止し、より優れた製造性を有する。
[発明の詳細な説明]
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。
化合物(A)の塩としては、薬理学的に許容し得る塩、例えば、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。
無機酸との塩の好適な例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。
有機酸との塩の好適な例としては、安息香酸、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。
塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、アルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられ、酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、アスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。
【0012】
化合物(A)の塩の好適な例としては、トリフルオロ酢酸、コハク酸、塩酸などとの塩が挙げられる。なかでも、化合物(A)のコハク酸塩が好ましく、化合物(A)の一コハク酸塩がより好ましい。
【0013】
化合物(A)は、溶媒和物(例えば、水和物)であっても、無溶媒和物(例えば、非水和物)であってもよい。
化合物(A)は、同位元素(例、
3H,
14C,
35S,
125I)で標識されていてもよい。
さらに、
1Hを
2H(D)に変換した重水素変換体も化合物(A)に含まれる。
【0014】
なお、化合物(A)またはその塩の代謝物としてN−脱メチル化された下式で表される化合物があり、該代謝物はDPP−IV阻害活性を有する。
【0015】
【化2】
【0016】
本発明の錠剤において、化合物(A)(フリー体)は、本発明の錠剤1錠中、35〜50重量%の含量となる量が用いられ、好ましくは40重量%超から50重量%以下、より好ましくは40重量%超から45重量%以下の含量となる量が用いられる。
【0017】
本発明の錠剤中に含まれる流動化剤は、本発明の錠剤の製造工程(特に造粒工程)において、化合物(A)またはその塩を含む混合物の凝集を抑制し、該混合物の流動性を向上させ、ブロッキングを防止する添加剤であればよい。但し、結晶セルロースを除く。
本発明で用いられる流動化剤としては、例えば、軽質無水ケイ酸[例、アエロジル50、アエロジル130、アエロジル150、アエロジル200、アエロジル380(商品名);日本アエロジル(株)]、含水二酸化ケイ素(例、サイリシア350(商品名);富士シリシア化学(株))などが挙げられ、好ましくは、軽質無水ケイ酸であり、より好ましくはアエロジル200である。
流動化剤は、本発明の錠剤1錠中、好ましくは0.1〜1重量%、より好ましくは0.1〜0.6重量%の含量となる量が用いられる。
また、流動化剤に対する化合物(A)(フリー体)の重量比(化合物(A):流動化剤)は、好ましくは1:0.001〜1:0.1、より好ましくは1:0.001〜1:0.05、さらに好ましくは1:0.005〜1:0.02である。
【0018】
本発明の錠剤中に含まれる結合剤は、乾式または湿式による造粒や直接打錠の際に粒子間に結合性をもたせる添加剤であればよい。但し、軽質無水ケイ酸および含水二酸化ケイ素を除く。
本発明で用いられる結合剤としては、例えば、結晶セルロース[例、結晶セルロース{例、セオラスKG−802(グレード:KG−802)(商品名);セオラスPH−302(グレード:PH−302)(商品名);旭化成ケミカルズ(株)}、結晶セルロース(粒)、結晶セルロース(微粒子)]、ヒドロキシプロピルセルロース[例、グレード:L、SL、SSL(商品名);日本曹達(株)]、ヒドロキシプロピルメチルセルロース[例、ヒプロメロース2910、TC−5(グレード:MW、E、EW、R、RW)(商品名);信越化学(株)]、ポビドン(ポリビニルピロリドン)、コポリビドンなどが挙げられ、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドンが好ましく、結晶セルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースがより好ましい。
本発明の錠剤1錠中に含有される結合剤の量は、好ましくは13〜60重量%、より好ましくは30〜40重量%である。
【0019】
本発明の錠剤は、適度な錠剤硬度を有し、製造工程での錠剤表面の削れや錠剤の割れの発生、および打錠障害(特にキャッピング)を防止するためには、2種類以上の結合剤を含有することが好ましい。本明細書中、「打錠障害」とは、例えば、スティッキング(杵に粉末が付着する現象)、バインディング(臼と錠剤の摩擦が大きくなる現象)、キャッピング(錠剤が帽子状に剥離する現象)、ラミネーティング(錠剤が層状に剥離する現象)などの、打錠時に生じる好ましくない現象を意味する。
【0020】
本発明の錠剤が2種以上の結合剤を含有する場合、該結合剤の組合せは結晶セルロースおよび結晶セルロース以外の結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン)が好ましく、結晶セルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースがより好ましい。
また、それぞれの結合剤の含量は、本発明の錠剤1錠中、好ましくは、結晶セルロースを10〜50重量%、かつ、結晶セルロース以外の結合剤(好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロース)を3〜10重量%であり、より好ましくは、結晶セルロースを20〜40重量%、かつ、結晶セルロース以外の結合剤(好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロース)を3〜8重量%である。
【0021】
ここで、上記結晶セルロースは、医薬品添加物として使用される物であれば特に限定されず、例えば、150μm以下が95%以上(100M篩において、pass(篩を通過)が95%以上)の粒度を有し、嵩密度が0.13〜0.23g/cm
3である結晶セルロース[例、セオラスKG−802(グレード:KG−802)(商品名);旭化成ケミカルズ(株)]、150μm以下が60〜80%(100M篩において、pass(篩を通過)が60〜80%)の粒度を有し、嵩密度が0.35〜0.46g/cm
3である結晶セルロース[例、セオラスPH−302(グレード:PH−302)(商品名);旭化成ケミカルズ(株)]、結晶セルロース(粒)、結晶セルロース(微粒子)などの中から、1種類を単独で用いてもよいし、あるいは2種以上を混合して用いてもよく、150μm以下が95%以上(100M篩において、pass(篩を通過)が95%以上)の粒度を有し、嵩密度が0.13〜0.23g/cm
3である結晶セルロース(KG−802)および150μm以下が60〜80%(100M篩において、pass(篩を通過)が60〜80%)の粒度を有し、嵩密度が0.35〜0.46g/cm
3である結晶セルロース(PH−302)が好ましい。
また、上記ヒドロキシプロピルセルロースは、医薬品添加物として使用される物であれば特に限定されないが、2%水溶液の20℃における粘度が6.0〜10.0mPa・sであるヒドロキシプロピルセルロース、2%水溶液の20℃における粘度が3.0〜5.9mPa・sであるヒドロキシプロピルセルロース、2%水溶液の20℃における粘度が2.0〜2.9mPa・sであるヒドロキシプロピルセルロース等が好ましく、2%水溶液の20℃における粘度が6.0〜10.0mPa・sであるヒドロキシプロピルセルロース(好ましくは、微粉末)がより好ましい。
また、2%水溶液の20℃における粘度が6.0〜10.0mPa・sであるヒドロキシプロピルセルロースの微粉末は、好ましくは、150μm以下が95%以上(100M篩において、pass(篩を通過):95%以上)、より好ましくは150μm以下が97%以上(100M篩において、pass(篩を通過):97%以上)の粒度を有する。粒度は、例えば、標準篩で篩分けした際に篩上に残った顆粒重量を測定して得られる値を示す。
【0022】
本発明の錠剤は、さらに製剤分野において慣用の添加剤を含有していてもよい。該添加剤としては、例えば、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、pH調整剤、界面活性剤、安定化剤、酸味料、香料、コーティング基剤、コーティング添加剤などが挙げられる。これら添加剤は、特に述べない限り、製剤分野において慣用の量が用いられる。
【0023】
賦形剤の好適な例としては、マンニトール;コーンスターチ、馬鈴薯デンプン、コムギデンプン、コメデンプン、部分アルファー化デンプン、アルファー化デンプン、有孔デンプンなどのデンプン類;無水リン酸カルシウム;沈降炭酸カルシウム;ケイ酸カルシウムなどが挙げられる。
【0024】
崩壊剤の好適な例としては、コーンスターチ、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム(例、アクジゾル)、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC)、ヒドロキシプロピルスターチなどが挙げられる。
本発明の錠剤における崩壊剤としては、クロスカルメロースナトリウムが好ましい。
本発明の錠剤1錠中に含有される崩壊剤の量は、好ましくは1〜10重量%、より好ましくは2〜5重量%である。
【0025】
滑沢剤の好適な例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、蔗糖脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウムなどが挙げられる。
本発明の錠剤における滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウムが好ましい。
本発明の錠剤1錠中に含有される滑沢剤の量は、好ましくは0.3〜2重量%、より好ましくは0.5〜1.7重量%である。
【0026】
着色剤の好適な例としては、食用黄色5号、食用赤色2号、食用青色2号などの食用色素、食用レーキ色素、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄などが挙げられる。
【0027】
pH調整剤の好適な例としては、クエン酸またはその塩、リン酸またはその塩、炭酸またはその塩、酒石酸またはその塩、フマル酸またはその塩、酢酸またはその塩、アミノ酸またはその塩などが挙げられる。
【0028】
界面活性剤の好適な例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコールなどが挙げられる。
【0029】
安定化剤の好適な例としては、コハク酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、酢酸、および酸性アミノ酸(例、グルタミン酸、アスパラギン酸)、これらの酸の無機塩(例、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩)、これらの酸の無機塩基(例、アンモニウム)または有機塩基(例えば、メグルミン)、塩基性アミノ酸(例、アルギニン、リジン、オルニチン))との塩、これらの水和物、溶媒和物などが挙げられる。
【0030】
酸味料の好適な例としては、アスコルビン酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸などが挙げられる。
【0031】
香料の好適な例としては、メントール、ハッカ油、レモン油、バニリンなどが挙げられる。
【0032】
コーティング基剤の好適な例としては、糖衣基剤、水溶性フィルムコーティング基剤、腸溶性フィルムコーティング基剤、徐放性フィルムコーティング基剤などが挙げられる。
【0033】
糖衣基剤としては、例えば、白糖が挙げられ、タルク、沈降炭酸カルシウム、ゼラチン、アラビアゴム、プルラン、カルナバロウなどから選ばれる1種または2種以上を併用してもよい。
【0034】
水溶性フィルムコーティング基剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース[例、グレード:L、SL、SL−T、SSL(商品名);日本曹達(株)]、ヒドロキシプロピルメチルセルロース[例、ヒプロメロース2910、TC−5(グレード:MW、E、EW、R、RW)(商品名);信越化学(株)]、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース系高分子;ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーE〔オイドラギットE(商品名)〕、ポリビニルピロリドンなどの合成高分子;プルランなどの多糖類などが挙げられる。
【0035】
腸溶性フィルムコーティング基剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース フタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース アセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロースなどのセルロース系高分子;メタアクリル酸コポリマーL〔オイドラギットL(商品名)〕、メタアクリル酸コポリマーLD〔オイドラギットL−30D55(商品名)〕、メタアクリル酸コポリマーS〔オイドラギットS(商品名)〕などのアクリル酸系高分子;セラックなどの天然物などが挙げられる。
【0036】
徐放性フィルムコーティング基剤としては、例えば、エチルセルロースなどのセルロース系高分子;アミノアルキルメタアクリレートコポリマーRS〔オイドラギットRS(商品名)〕、アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル共重合体懸濁液〔オイドラギットNE(商品名)〕などのアクリル酸系高分子などが挙げられる。
【0037】
コーティング添加剤の好適な例としては、酸化チタンなどの遮光剤;タルクなどの流動化剤;三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄などの着色剤;ポリエチレングリコール(例、マクロゴール6000)、クエン酸トリエチル、ヒマシ油、ポリソルベート類などの可塑剤;クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸などの有機酸;などが挙げられる。
上記添加剤は、2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。
【0038】
本発明の錠剤は、好ましくは、
(1)化合物(A)またはその塩、流動化剤、結晶セルロースおよび結晶セルロース以外の結合剤を含有し、かつ化合物(A)の含量が35〜50重量%である錠剤;
(1A)化合物(A)またはその塩、軽質無水ケイ酸、結晶セルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースを含有し、かつ化合物(A)の含量が45重量%超から50重量%以下である錠剤;
(1B)化合物(A)またはその塩、流動化剤、結晶セルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースを含有し、かつ化合物(A)の含量が45重量%超から50重量%以下であり、かつ、流動化剤の含量が0.1〜1重量%(好ましくは0.1〜0.6重量%)である錠剤;
(1C)化合物(A)またはその塩、軽質無水ケイ酸、結晶セルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースを含有し、かつ化合物(A)の含量が45重量%超から50重量%以下であり、かつ、軽質無水ケイ酸の含量が0.1〜1重量%(好ましくは0.1〜0.6重量%)である錠剤;
(2)化合物(A)またはその塩、流動化剤、結晶セルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースを含有し、かつ化合物(A)の含量が35〜50重量%、結晶セルロースの含量が10〜50重量%、かつ、ヒドロキシプロピルセルロースの含量が3〜10重量%である錠剤;
(2A)化合物(A)またはその塩、軽質無水ケイ酸、結晶セルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースを含有し、かつ化合物(A)の含量が45重量%超から50重量%以下、結晶セルロースの含量が10〜50重量%、かつ、ヒドロキシプロピルセルロースの含量が3〜10重量%である錠剤;
(2B)化合物(A)またはその塩、流動化剤、結晶セルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースを含有し、かつ化合物(A)の含量が45重量%超から50重量%以下であり、流動化剤の含量が0.1〜1重量%(好ましくは0.1〜0.6重量%)であり、結晶セルロースの含量が10〜50重量%、かつ、ヒドロキシプロピルセルロースの含量が3〜10重量%である錠剤;
(2C)化合物(A)またはその塩、軽質無水ケイ酸、結晶セルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースを含有し、かつ化合物(A)の含量が45重量%超から50重量%以下であり、軽質無水ケイ酸の含量が0.1〜1重量%(好ましくは0.1〜0.6重量%)であり、結晶セルロースの含量が10〜50重量%、かつ、ヒドロキシプロピルセルロースの含量が3〜10重量%である錠剤;
(3)化合物(A)またはその塩、流動化剤、結晶セルロース、結晶セルロース以外の結合剤、崩壊剤および滑沢剤を含有し、かつ化合物(A)の含量が35〜50重量%である錠剤;
(3A)化合物(A)またはその塩、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムを含有し、かつ化合物(A)の含量が45重量%超から50重量%以下である錠剤;
(3B)化合物(A)またはその塩、流動化剤、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、崩壊剤および滑沢剤を含有し、かつ化合物(A)の含量が45重量%超から50重量%以下であり、流動化剤の含量が0.1〜1重量%(好ましくは0.1〜0.6重量%)であり、結晶セルロースの含量が10〜50重量%、かつ、ヒドロキシプロピルセルロースの含量が3〜10重量%である錠剤;
(3C)化合物(A)またはその塩、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、崩壊剤および滑沢剤を含有し、かつ化合物(A)の含量が45重量%超から50重量%以下であり、軽質無水ケイ酸の含量が0.1〜1重量%(好ましくは0.1〜0.6重量%)であり、結晶セルロースの含量が10〜50重量%、かつ、ヒドロキシプロピルセルロースの含量が3〜10重量%である錠剤;
(3D)化合物(A)またはその塩、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、崩壊剤および滑沢剤を含有し、かつ化合物(A)の含量が45重量%超から50重量%以下であり、軽質無水ケイ酸の含量が0.1〜1重量%(好ましくは0.1〜0.6重量%)であり、結晶セルロースの含量が10〜50重量%、ヒドロキシプロピルセルロースの含量が3〜10重量%であり、かつ、崩壊剤の含量が1〜10重量%である錠剤;
(3E)化合物(A)またはその塩、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、崩壊剤および滑沢剤を含有し、かつ化合物(A)の含量が45重量%超から50重量%以下であり、軽質無水ケイ酸の含量が0.1〜1重量%(好ましくは0.1〜0.6重量%)であり、結晶セルロースの含量が10〜50重量%、ヒドロキシプロピルセルロースの含量が3〜10重量%であり、崩壊剤の含量が1〜10重量%であり、かつ、潤沢剤の含量が0.3〜2重量%である錠剤;
等である。
【0039】
本発明の錠剤は舌下錠、口腔内崩壊錠等を含み、錠剤の形状は、丸形、キャプレット形、オブロング形等のいずれであってもよい。
【0040】
本発明の錠剤は、必要によりさらなる添加剤と共に、製剤技術分野において慣用の方法にしたがって製剤化することによって製造することができる。
ここで、さらなる添加剤としては、前記した添加剤と同様のものが挙げられる。
上記さらなる添加剤は、2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。
【0041】
本発明の錠剤は、服用性、製剤強度などの改善を目的として、フィルムコーティングされていてもよい。
【0042】
フィルムコーティングする前の錠剤の硬度は、フィルムコーティング工程での錠剤表面の削れや錠剤の割れの発生を防止する観点から、2.1〜5N/mm
2が好ましく、2.3〜4N/mm
2がより好ましい。N/mm
2とは錠剤の単位破断面積当たりの硬度を示す。例えば、錠剤の硬度が150Nで、破断面積が60mm
2である場合、その錠剤の硬度は2.5N/mm
2である。
【0043】
フィルムコーティングに用いられる、コーティング基剤およびコーティング添加剤の好適な例としては、前記添加剤に用いられるのと同様のものが挙げられる。
【0044】
本発明の錠剤がフィルムコーティングされる場合、フィルムコーティング層は、該錠剤100重量部に対して、通常、1〜10重量部、好ましくは2〜6重量部の割合で形成される。
【0045】
本発明の錠剤は、造粒、混合、打錠(圧縮成形)、コーティングなどの操作を適宜組み合わせることにより製造される。
【0046】
造粒工程は、例えば、撹拌造粒機、流動造粒機、乾式造粒機などの造粒機を用いて行われる。
【0047】
混合工程は、例えば、V型混合機、タンブラー混合機などの混合機を用いて行われる。
【0048】
打錠(圧縮成形)工程は、例えば、単発錠剤機、ロータリー式打錠機などを用いて、通常0.3〜35kN/cm
2の圧力で打錠することにより行われる。
【0049】
また、コーティングは、例えば、フィルムコーティング装置を用いて行われる。ここで、コーティング基剤としては、例えば、糖衣基剤、水溶性フィルムコーティング基剤、腸溶性フィルムコーティング基剤、徐放性フィルムコーティング基剤などが用いられる。
糖衣基剤、水溶性フィルムコーティング基剤、腸溶性フィルムコーティング基剤、徐放性フィルムコーティング基剤、コーティング添加剤としては、各々、前記した添加剤と同様のものが挙げられる。
上記したコーティング基剤は、その2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。また、コーティングの際に、コーティング添加剤を用いてもよい。
【0050】
好適な具体例として、本発明の錠剤は以下の製造工程にしたがって製造することができる。以下の製造工程における各原料は、最終的に得られる錠剤中の含量が前述の量となるように使用される。
1)化合物(A)またはその塩、流動化剤(例、軽質無水ケイ酸)を、必要に応じて、その他の添加剤(例、結合剤、崩壊剤、滑沢剤)と共に適切な混合機により混合し、この混合物を用い、ローラーコンパクターにより造粒して得られた造粒物を解砕して整粒末を得る。
2)該整粒末に、結合剤(例、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース)を、必要に応じて、その他の添加剤(例、滑沢剤)を加え、混合して打錠用顆粒とする。
3)この顆粒を打錠機で打錠して裸錠を得る。
4)所望により得られた裸錠に、例えば、フィルムコーティング機中で、フィルムコーティング液を噴霧しフィルムコーティング錠を得る。
【0051】
別の好ましい態様において、本発明の錠剤は、
(1)以下の(a1)を含有し、かつ化合物(A)の含量が35〜50重量%(好ましくは、45重量%超から50重量%以下)である錠剤:
(a1) 化合物(A)またはその塩、および流動化剤(好ましくは、軽質無水ケイ酸)を含有する顆粒、
(2)以下の(a1)および(b1)を含有し、かつ化合物(A)の含量が35〜50重量%(好ましくは、45重量%超から50重量%以下)である錠剤:
(a1) 化合物(A)またはその塩、および流動化剤(好ましくは、軽質無水ケイ酸)を含有する顆粒;
(b1) 結合剤(好ましくは、結晶セルロースおよびヒドロキシプロピルセルロース)を含有する打錠助剤、
(3)以下の(a1)および(b2)を含有し、かつ化合物(A)の含量が35〜50重量%(好ましくは、45重量%超から50重量%以下)である錠剤:
(a1) 化合物(A)またはその塩、および流動化剤(好ましくは、軽質無水ケイ酸)を含有する顆粒;
(b2) 結晶セルロースおよび結晶セルロース以外の結合剤(好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロース)を含有する打錠助剤、
(4)以下の(a2)および(b3)を含有し、かつ化合物(A)の含量が35〜50重量%(好ましくは、45重量%超から50重量%以下)である錠剤:
(a2) 化合物(A)またはその塩、流動化剤(好ましくは、軽質無水ケイ酸)、および結合剤(好ましくは、結晶セルロース)を含有する顆粒;
(b3) 結晶セルロース、結晶セルロース以外の結合剤(好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロース)、および滑沢剤(好ましくは、ステアリン酸マグネシウム)を含有する打錠助剤、
(5)以下の(a3)および(b3)を含有し、かつ化合物(A)の含量が35〜50重量%(好ましくは、45重量%超から50重量%以下)である錠剤:
(a3) 化合物(A)またはその塩、流動化剤(好ましくは、軽質無水ケイ酸)、結合剤(好ましくは、結晶セルロース)、崩壊剤(好ましくは、クロスカルメロースナトリウム)および滑沢剤(好ましくは、ステアリン酸マグネシウム)を含有する顆粒;
(b3) 結晶セルロース、結晶セルロース以外の結合剤(好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロース)、および滑沢剤(好ましくは、ステアリン酸マグネシウム)を含有する打錠助剤、
等である。
【0052】
当該態様において、本発明の錠剤は、顆粒を、好ましくは75〜100重量%、より好ましくは75〜95重量%、さらに好ましくは80〜90重量%含む。
【0053】
ここで、「顆粒」とは、粉状、塊状、溶液あるいは溶融液状などの原料を、湿式造粒法、乾式造粒法、加熱造粒法(好ましくは、乾式造粒法)等により造粒することによって得られる、ほぼ均一な形状と大きさを持つ粒を意味する。
当該態様における顆粒は、通常、1000μm以上が20%以下、150μm以下が65%以下(16M篩において、on(篩上に残留):20%以下;100M篩において、pass(篩を通過):65%以下)、好ましくは1000μm以上が5%以下、150μm以下が40%以下(16M篩において、on:5%以下;100M篩において、pass:40%以下)の粒度を有する。ここで、粒度は、例えば、標準篩で篩分けした際に篩上に残った顆粒重量を測定して得られる値を示す。
なお、該顆粒は、本発明の錠剤を得るための製剤化の過程(例、打錠工程)で、その形状や大きさが変化していてもよい。
【0054】
顆粒は、製剤分野において慣用の添加剤を含む。該添加剤としては、例えば、前述の添加剤などが挙げられる。これらの添加剤は、特に述べない限り、製剤分野において慣用の量が用いられる。また、顆粒は、これらの添加剤の2種以上を、適宜の割合で含んでもよい。
該顆粒は、好ましくは、
(a1) 化合物(A)またはその塩、および流動化剤(好ましくは、軽質無水ケイ酸)を含有する顆粒、
(a2) 化合物(A)またはその塩、流動化剤(好ましくは、軽質無水ケイ酸)、および結合剤(好ましくは、結晶セルロース)を含有する顆粒、
(a3) 化合物(A)またはその塩、流動化剤(好ましくは、軽質無水ケイ酸)、結合剤(好ましくは、結晶セルロース)、崩壊剤(好ましくは、クロスカルメロースナトリウム)および滑沢剤(好ましくは、ステアリン酸マグネシウム)を含有する顆粒、
等である。
【0055】
当該態様において、本発明の錠剤中の顆粒に含まれる化合物(A)の量は40〜60重量%であり、好ましくは45〜60重量%、より好ましくは50〜55重量%である。
該顆粒に含まれる流動化剤の量は、好ましくは0.1〜1.2重量%、より好ましくは0.1〜0.8重量%である。
該顆粒に含まれる結合剤の量は、好ましくは20〜50重量%、より好ましくは20〜30重量%である。
該顆粒に含まれる崩壊剤の量は、好ましくは1〜10重量%、より好ましくは2〜5重量%である。
該顆粒に含まれる滑沢剤の量は、好ましくは0.1〜2重量%、より好ましくは0.1〜1重量%である。
【0056】
また、「打錠助剤」とは、錠剤の製造において、打錠工程の前に、化合物(A)またはその塩を含有する顆粒と混合される成分のことを意味する。該成分は、後述する添加剤の1または2種以上を含んでいてもよい。
該打錠助剤は、製剤分野において慣用の添加剤を含む。該添加剤としては、例えば、前述の添加剤などが挙げられる。これらの添加剤は、特に述べない限り、製剤分野において慣用の量が用いられる。また、打錠助剤は、これらの添加剤の2種以上を、適宜の割合で含んでもよい。
【0057】
当該態様における打錠助剤は、好ましくは、
(b1) 結合剤(好ましくは、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース)を含有する打錠助剤、
(b2) 結晶セルロースおよび結晶セルロース以外の結合剤(好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロース)を含有する打錠助剤、
(b3) 結晶セルロース、結晶セルロース以外の結合剤(好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロース)、および滑沢剤(好ましくは、ステアリン酸マグネシウム)を含有する打錠助剤、
等である。
【0058】
当該態様において、本発明の錠剤中の打錠助剤に含まれる結合剤の量は、好ましくは85〜95重量%、より好ましくは90〜95重量%である。
該打錠助剤が2種以上の結合剤を含有する場合、該結合剤の組合せは結晶セルロースおよび結晶セルロース以外の結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン)が好ましく、結晶セルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースがより好ましい。また、該打錠助剤に含まれる結合剤の量は、それぞれ、好ましくは、結晶セルロースが50〜70重量%であり、かつ、結晶セルロース以外の結合剤(好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロース)が20〜40重量%であり、より好ましくは、結晶セルロースが55〜65重量%であり、かつ、結晶セルロース以外の結合剤(好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロース)が25〜35重量%である。
該打錠助剤に含まれる滑沢剤の量は、好ましくは5〜15重量%、より好ましくは5〜10重量%である。
【0059】
当該態様において、本発明の錠剤は、通常、顆粒を、好ましくは75〜95重量%、さらに好ましくは80〜90重量%含み、そして打錠助剤を、好ましくは5〜25重量%、さらに好ましくは10〜20重量%含む。
【0060】
当該態様において、本発明の錠剤は、顆粒と打錠助剤とを混合し、ついで打錠することによって製造することができる。
好適な具体例として、錠剤は、以下の製造工程にしたがって製造することができる。以下の製造工程における各原料は、最終的に得られる錠剤中の含量が前述の量となるように使用される。
【0061】
1)顆粒は、例えば、化合物(A)またはその塩と流動化剤を、必要に応じて、その他の添加剤(例、結合剤、崩壊剤、滑沢剤)と共に、適切な混合機により混合し、この混合物を用い、ローラーコンパクターにより造粒して得られた造粒物を解砕して整粒末を得る。
【0062】
2)該整粒末に、打錠助剤(例、結合剤、滑沢剤)を加え、混合して打錠用顆粒とする。
3)この顆粒を打錠機で打錠して裸錠を得る。
4)所望により得られた裸錠に、例えば、フィルムコーティング機中で、フィルムコーティング液を噴霧しフィルムコーティング錠を得る。
【0063】
本発明の錠剤は、服用性、製剤強度などの改善を目的として、フィルムコーティングされていることが好ましい。また該錠剤を、カプセル(例、ゼラチンカプセル)に充填することによってカプセル剤としてもよい。
【0064】
本発明の錠剤には、識別性のためのマークまたは文字を刻印または印刷してあってもよく、分割用の割線を付してあってもよい。
【0065】
上記製造工程において、混合、打錠、コーティングなどの操作は、前述のような製剤技術分野において慣用の方法にしたがって行われる。
【0066】
本発明の錠剤は、低毒性で哺乳動物(例、マウス、ラット、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、サル、ヒト)に対して、経口的あるいは非経口的に安全に投与することができる。
【0067】
本発明の錠剤は、例えば、糖尿病[例、1型糖尿病、2型糖尿病、1.5型糖尿病(LADA(Latent Autoimmune Diabetes in Adults))、妊娠糖尿病、インスリン分泌不全型糖尿病、肥満型糖尿病、耐糖能不全(IGT(Impaired Glucose Tolerance))、IFG(Impaired Fasting Glucose)、IFG(Impaired Fasting Glycaemia)]、糖尿病性合併症[例、神経障害、腎症、網膜症、白内障、大血管障害、動脈硬化症、骨減少症、糖尿病性高浸透圧昏睡、感染症(例、呼吸器感染症、尿路感染症、消化器感染症、皮膚軟部組織感染症、下肢感染症)、糖尿病性壊疽、口腔乾燥症、聴覚の低下、脳血管障害、末梢血行障害]、肥満症、高脂血症(例、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDL血症、食後高脂血症)、動脈硬化症(例、アテローム性動脈硬化症)、高血圧、心筋梗塞、狭心症、脳血管障害(例、脳梗塞、脳卒中)、インスリン抵抗性症候群、シンドロームX、代謝不全症候群(Dysmetabolic syndrome)などの予防または治療に有用である。
また、本発明の錠剤は、上記した各種疾患の2次予防(例、心筋梗塞などの心血管イベントの2次予防)または進展抑制[例、耐糖能不全から糖尿病への進展抑制;糖尿病から糖尿病性合併症(好ましくは、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、動脈硬化症)への進展抑制]にも有用である。
【0068】
本発明の錠剤の投与量は、医薬活性成分として含まれる化合物(A)またはその塩の有効量であればよい。例えば、成人(体重60kg)1人あたり、1日を超える間隔(例えば、3日〜1週間に1回)で投与する場合、通常、1投与あたり、化合物(A)フリー体換算で1mg〜500mg、好ましくは、1mg〜400mg、より好ましくは、25〜250mg、さらに好ましくは、50mg〜200mgである。例えば、化合物(A)フリー体換算で1回投与量が50mgの場合、1錠当たり150mg以内の総重量の錠剤を提供することができる。
【0069】
本発明の錠剤は、高用量の化合物(A)またはその塩を含有し、かつ服用しやすいサイズであるため、化合物(A)またはその塩を高用量投与する場合に好適である。例えば、上記1日を超える間隔(好ましくは、1週間に1回)での投与に好適であり、3日に1回の投与剤形ないし2週間に1回の投与剤形(好ましくは、1週間に1回の投与剤形)として提供することができる。
【0070】
本発明の錠剤のサイズは、錠剤の形状(丸形、キャプレット形、オブロング形等)により異なるが、患者が服用しやすいサイズであればよい。例えば、錠剤の形状がオブロング形である場合、錠剤のサイズは、好ましくは長径が4mm以上9mm以下、より好ましくは5mm以上8mm以下である。錠剤の形状が丸形である場合、錠剤のサイズは、好ましくは直径が4mm以上9mm以下、より好ましくは5mm以上8mm以下である。
【0071】
本発明の錠剤の特に好ましい具体例としては、
「1錠あたり、化合物(A)(フリー体)として50mgを含有する錠剤」;
「1錠あたり、化合物(A)(フリー体)として100mgを含有する錠剤」;および
「1錠あたり、化合物(A)(フリー体)として200mgを含有する錠剤」;
が挙げられる。
【0072】
化合物(A)またはその塩は、1以上の別の種類の薬剤(以下、「併用薬剤」と略記することがある)と組み合わせて用いることができる。
【0073】
具体例として、化合物(A)またはその塩は、糖尿病治療剤、糖尿病性合併症治療剤、高脂血症治療剤、降圧剤、抗肥満剤、利尿剤、抗血栓剤などから選ばれる1以上の薬剤(併用薬剤)と組み合わせて用いることができる。
【0074】
ここで、糖尿病治療剤としては、インスリン製剤(例、ウシ、ブタの膵臓から抽出された動物インスリン製剤;大腸菌、イーストを用い遺伝子工学的に合成したヒトインスリン製剤;インスリン亜鉛;プロタミンインスリン亜鉛;インスリンのフラグメントまたは誘導体(例、INS-1)、経口インスリン製剤)、インスリン抵抗性改善剤(例、ピオグリタゾンまたはその塩(好ましくは、塩酸塩)、ロシグリタゾンまたはその塩(好ましくは、マレイン酸塩)、メタグリダセン(Metaglidasen)、AMG-131、バラグリタゾン(Balaglitazone)、MBX-2044、リボグリタゾン(Rivoglitazone)、アレグリタザール(Aleglitazar)、チグリタザール(Chiglitazar)、ロベグリタゾン(Lobeglitazone)、PLX-204、PN-2034、GFT-505、THR-0921、WO2007/013694、WO2007/018314、WO2008/093639またはWO2008/099794記載の化合物)、α−グルコシダーゼ阻害剤(例、ボグリボース、アカルボース、ミグリトール、エミグリテート)、ビグアナイド剤(例、メトホルミン、ブホルミンまたはそれらの塩(例、塩酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩))、インスリン分泌促進剤(例、スルホニルウレア剤(例、トルブタミド、グリベンクラミド、グリクラジド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリクロピラミド、グリメピリド、グリピザイド、グリブゾール)、レパグリニド、ナテグリニド、ミチグリニドまたはそのカルシウム塩水和物)、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤(例、アログリプチン(Alogliptin)またはその塩(好ましくは、安息香酸塩)、ヴィルダグリプチン(Vildagliptin)、シタグリプチン(Sitagliptin)、サクサグリプチン(Saxagliptin)、BI1356、GRC8200、MP-513、PF-00734200、PHX1149、SK-0403、ALS2-0426、TA-6666、TS-021、KRP-104)、β3アゴニスト(例、N-5984)、GPR40アゴニスト(例、WO2004/041266、WO2004/106276、WO2005/063729、WO2005/063725、WO2005/087710、WO2005/095338、WO2007/013689またはWO2008/001931記載の化合物)、GLP-1受容体アゴニスト(例、GLP-1、GLP-1MR剤、リラグルチド(Liraglutide)、エキセナチド(Exenatide)、AVE-0010、BIM-51077、Aib(8,35)hGLP-1(7,37)NH2、CJC-1131、Albiglutide)、アミリンアゴニスト(例、プラムリンチド)、ホスホチロシンホスファターゼ阻害剤(例、バナジン酸ナトリウム)、糖新生阻害剤(例、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、グルコース-6-ホスファターゼ阻害剤、グルカゴン拮抗剤、FBPase阻害薬)、SGLT2(sodium-glucose cotransporter 2)阻害剤(例、Depagliflozin、AVE2268、TS-033、YM543、TA-7284、Remogliflozin、ASP1941)、SGLT1阻害薬、11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ阻害薬(例、BVT-3498、INCB-13739)、アジポネクチンまたはその作動薬、IKK阻害薬(例、AS-2868)、レプチン抵抗性改善薬、ソマトスタチン受容体作動薬、グルコキナーゼ活性化薬(例、Piragliatin、AZD1656、AZD6370、TTP-355、WO2006/112549、WO2007/028135、WO2008/047821、WO2008/050821、WO2008/136428またはWO2008/156757記載の化合物)、GIP(Glucose-dependent insulinotropic peptide)、GPR119アゴニスト(例、PSN821)、FGF21、FGFアナログ等が挙げられる。
【0075】
糖尿病合併症治療剤としては、アルドース還元酵素阻害剤(例、トルレスタット、エパルレスタット、ゾポルレスタット、フィダレスタット、CT-112、ラニレスタット(AS-3201)、リドレスタット)、神経栄養因子およびその増加薬(例、NGF、NT-3、BDNF、WO01/14372記載のニューロトロフィン産生・分泌促進剤(例、4-(4-クロロフェニル)-2-(2-メチル-1-イミダゾリル)-5-[3-(2-メチルフェノキシ)プロピル]オキサゾール)、WO2004/039365記載の化合物)、PKC阻害剤(例、ルボキシスタウリン メシレート(ruboxistaurin mesylate))、AGE阻害剤(例、ALT946、N-フェナシルチアゾリウム ブロマイド(ALT766)、EXO-226、ピリドリン(Pyridorin)、ピリドキサミン)、GABA受容体作動薬(例、ギャバペンチン、プレギャバリン)、セロトニン・ノルアドレナリン再取込み阻害薬(例、デュロキセチン)、ナトリウムチャンネル阻害薬(例、ラコサミド)、活性酸素消去薬(例、チオクト酸)、脳血管拡張剤(例、チアプリド、メキシレチン)、ソマトスタチン受容体作動薬(例、BIM23190)、アポトーシスシグナルレギュレーティングキナーゼ−1(ASK-1)阻害薬等が挙げられる。
【0076】
高脂血症治療剤としては、HMG-CoA還元酵素阻害剤(例、プラバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン、ピタバスタチンまたはそれらの塩(例、ナトリウム塩、カルシウム塩))、スクアレン合成酵素阻害剤(例、WO97/10224号記載の化合物、例えば、N-[[(3R,5S)-1-(3-アセトキシ-2,2-ジメチルプロピル)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンゾオキサゼピン-3-イル]アセチル]ピペリジン-4-酢酸)、フィブラート系化合物(例、ベザフィブラート、クロフィブラート、シムフィブラート、クリノフィブラート)、陰イオン交換樹脂(例、コレスチラミン)、プロブコール、ニコチン酸系薬剤(例、ニコモール(nicomol)、ニセリトロール(niceritrol)、ナイアスパン(niaspan))、イコサペント酸エチル、植物ステロール(例、ソイステロール(soysterol)、ガンマオリザノール(γ-oryzanol))、コレステロール吸収阻害剤 (例、ゼチア)、CETP阻害剤(例、ダルセトラピブ(dalcetrapib)、アナセトラピブ(anacetrapib))、ω-3脂肪酸製剤(例、ω-3-acid ethyl esters 90)等が挙げられる。
【0077】
降圧剤としては、例えば、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(例、カプトプリル、エナラプリル、デラプリルなど)、アンジオテンシンII拮抗剤(例、カンデサルタン シレキセチル、カンデサルタン、ロサルタン、ロサルタン カリウム、エプロサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、イルベサルタン、タソサルタン、オルメサルタン、オルメサルタン メドキソミル、アジルサルタン、アジルサルタン メドキソミルなど)、カルシウム拮抗剤(例、マニジピン、ニフェジピン、アムロジピン、エホニジピン、ニカルジピン、アムロジピン、シニルジピンなど)、βブロッカー(例、メトプロロール、アテノロール、プロプラノロール、カルベジロール、ピンドロールなど)、クロニジン等が挙げられる。
【0078】
抗肥満剤としては、モノアミン取り込み阻害薬(例、フェンテルミン、シブトラミン、マジンドール、フロキセチン、テソフェンシン)、セロトニン2C受容体作動薬(例、ロルカセリン)、セロトニン6受容体拮抗薬、ヒスタミンH3受容体、GABA調節薬(例、トピラメイト)、ニューロペプチドY拮抗薬(例、ベルネペリット)、カンナビノイド受容体拮抗薬(例、リモナバン、タラナバン)、グレリン拮抗薬、グレリン受容体拮抗薬、グレリンアシル化酵素阻害薬、オピオイド受容体拮抗薬(例、GSK-1521498)、オレキシン受容体拮抗薬、メラノコルチン4受容体作動薬、11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ阻害薬(例、AZD-4017)、膵リパーゼ阻害薬(例、オルリスタット、セティリスタット(cetilistat))、β3アゴニスト(例、N-5984)、ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ1(DGAT1)阻害薬、アセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)阻害薬、ステアリン酸CoA脱飽和酵素阻害、ミクロソームトリグリセリド転送蛋白阻害薬(例、R-256918)、Na-グルコース共輸送担体阻害薬(例、JNJ-28431754、レモグリフロジン)、NFκB阻害(例、HE-3286)、PPARアゴニスト(例、GFT-505、DRF-11605)、ホスホチロシンホスファターゼ阻害剤(例、バナジン酸ナトリウム、トロダスケミン(Trodusquemin))、GPR119作動薬(例、PSN-821)、グルコキナーゼ活性化薬(例、AZD-1656)、レプチン、レプチン誘導体(例、メトレレプチン)、CNTF(毛様体神経栄養因子)、BDNF(脳由来神経栄養因子)、コレシストキニンアゴニスト、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)製剤(例、ウシ、ブタの膵臓から抽出された動物GLP-1製剤;大腸菌、イーストを用い遺伝子工学的に合成したヒトGLP-1製剤;GLP-1のフラグメントまたは誘導体(例、エクセナチド、リラグルチド))、アミリン製剤(例、プラムリンタイド、AC-2307)、ニューロペプチドYアゴニスト(例、PYY3-36、PYY3-36の誘導体、オビネプタイド、TM-30339、TM-30335)、オキシントモジュリン製剤:FGF21製剤(例、ウシ、ブタの膵臓から抽出された動物FGF21製剤;大腸菌、イーストを用い遺伝子工学的に合成したヒトFGF21製剤;FGF21のフラグメントまたは誘導体)、摂食抑制薬(例、P-57)等が挙げられる。
【0079】
利尿剤としては、例えば、キサンチン誘導体(例、サリチル酸ナトリウムテオブロミン、サリチル酸カルシウムテオブロミンなど)、チアジド系製剤(例、エチアジド、シクロペンチアジド、トリクロルメチアジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンチルヒドロクロロチアジド、ペンフルチアジド、ポリ5チアジド、メチクロチアジドなど)、抗アルドステロン製剤(例、スピロノラクトン、トリアムテレンなど)、炭酸脱水酵素阻害剤(例、アセタゾラミドなど)、クロルベンゼンスルホンアミド系製剤(例、クロルタリドン、メフルシド、インダパミドなど)、アゾセミド、イソソルビド、エタクリン酸、ピレタニド、ブメタニド、フロセミドなどが挙げられる。
【0080】
抗血栓剤としては、例えば、ヘパリン(例、ヘパリンナトリウム、ヘパリンカルシウム、エノキサパリンナトリウム(enoxaparin sodium)、ダルテパリンナトリウム(dalteparin sodium))、ワルファリン(例、ワルファリンカリウム)、抗トロンビン薬(例、アルガトロバン(aragatroban)、ダビガトラン(dabigatran))、FXa阻害薬(例、リバロキサバン(rivaroxaban)、アピキサバン(apixaban)、エドキサバン(edoxaban)、YM150、WO02/06234、WO2004/048363、WO2005/030740、WO2005/058823またはWO2005/113504記載の化合物)、血栓溶解薬(例、ウロキナーゼ(urokinase)、チソキナーゼ(tisokinase)、アルテプラーゼ(alteplase)、ナテプラーゼ(nateplase)、モンテプラーゼ(monteplase)、パミテプラーゼ(pamiteplase))、血小板凝集抑制薬(例、塩酸チクロピジン(ticlopidine hydrochloride)、クロピドグレル、プラスグレル、E5555、SHC530348、シロスタゾール(cilostazol)、イコサペント酸エチル、ベラプロストナトリウム(beraprost sodium)、塩酸サルポグレラート(sarpogrelate hydrochloride))等が挙げられる。
【0081】
上記併用薬剤のなかでも、インスリン抵抗性改善剤(好ましくは、塩酸ピオグリタゾン)、インスリン製剤、α−グルコシダーゼ阻害剤(好ましくは、ボグリボース、アカルボース)、ビグアナイド剤(好ましくは、塩酸メトホルミン)、スルホニルウレア剤(好ましくは、グリメピリド)などが好ましい。
【0082】
本発明の錠剤と併用薬剤とを組み合わせて用いる場合、これらの投与時期は限定されず、投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。
また、投与対象に対して、本発明の錠剤と併用薬剤とを別々の錠剤として投与してもよいし、本発明の錠剤と併用薬剤とを含む単一の製剤として投与してもよい。
【0083】
併用薬剤の投与量は、各薬剤の臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、本発明の錠剤と併用薬剤の配合比は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状、組み合わせなどにより適宜選択することができる。例えば投与対象がヒトである場合、本発明の錠剤1重量部に対し、併用薬剤を0.01ないし100重量部用いればよい。
このように、併用薬剤を用いることにより、1)化合物(A)(もしくはその塩)または併用薬剤の作用の増強効果(薬剤作用の相乗効果)、2)化合物(A)(もしくはその塩)または併用薬剤の投与量の低減効果(単独投与時と比較した場合の薬剤投与量の低減効果)、3)化合物(A)(もしくはその塩)または併用薬剤の二次的な作用の低減効果などの優れた効果が得られる。
【0084】
以下に、実施例、参考例および試験例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
なお、以下の実施例および試験例において、製剤添加物としては、日本薬局方第15改正、日本薬局方外医薬品規格または医薬品添加物規格2003の収載品を用いた。
【0085】
実施例1
表1の処方に従い、化合物(A)のコハク酸塩(一コハク酸塩)、結晶セルロース(PH-302)、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウムおよび軽質無水ケイ酸を混合機(バーチカルグラニュレーター50L、(株)パウレック)で均一に混合後、ローラーコンパクター(アレキサンダー社)を用い、造粒した。得られた造粒物を整粒機(パワーミルP−3、昭和化工(株))を用いて整粒し、整粒末を得た。この整粒末に結晶セルロース(KG-802)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC-L100M;日本曹達(株))、ステアリン酸マグネシウムを加え、混合機(タンブラー60L、昭和化工(株))で混合し打錠用顆粒とした。この顆粒をロータリー打錠機(AQUARIOUS3-A、菊水製作所)で8×4.5mmの杵を用いて重量110mgに打錠し裸錠を得た。一方、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(TC−5RW;信越化学(株))水溶液に、酸化チタン、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄およびタルクを分散してフィルムコーティング液を調製した。上記裸錠に、フィルムコーティング機(ドリアコーターDRC500、(株)パウレック)中で前記したコーティング液を噴霧し、1錠当たり化合物(A)(フリー体)を50mg含有するフィルムコーティング錠を30,000錠得た。
【0086】
【表1】
【0087】
実施例2
表2の処方に従い、化合物(A)のコハク酸塩(一コハク酸塩)、結晶セルロース(PH-302)、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウムおよび軽質無水ケイ酸を混合機(バーチカルグラニュレーター50L、(株)パウレック)で均一に混合後、ローラーコンパクター(アレキサンダー社)を用い、造粒した。得られた造粒物を整粒機(パワーミルP−3、昭和化工(株))を用いて整粒し、整粒末を得た。この整粒末に結晶セルロース(KG-802)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC-L100M;日本曹達(株))、ステアリン酸マグネシウムを加え、混合機(タンブラー60L、昭和化工(株))で混合し打錠用顆粒とした。この顆粒をロータリー打錠機(AQUARIOUS3-A、菊水製作所)で11×6mmの杵を用いて重量220mgに打錠し裸錠を得た。一方、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(TC−5RW;信越化学(株))水溶液に、酸化チタン、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄およびタルクを分散してフィルムコーティング液を調製した。上記裸錠に、フィルムコーティング機(ドリアコーターDRC500、(株)パウレック)中で前記したコーティング液を噴霧し、1錠当たり化合物(A)(フリー体)を100mg含有するフィルムコーティング錠を15,000錠得た。
【0088】
【表2】
【0089】
実施例3
表3の処方に従い、化合物(A)のコハク酸塩(一コハク酸塩)、結晶セルロース(PH-302)、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウムおよび軽質無水ケイ酸をポリ袋で均一に混合後、ローラーコンパクター(アレキサンダー社)を用い、造粒した。得られた造粒物を整粒機(パワーミルP−3、昭和化工(株))を用いて整粒し、整粒末を得た。この整粒末に結晶セルロース(KG-802)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC-L100M;日本曹達(株))、ステアリン酸マグネシウムを加え、ポリ袋で混合し打錠用顆粒とした。この顆粒をロータリー打錠機(アクエリアス19K、菊水製作所)で13×8mmの杵を用いて重量440mgに打錠し裸錠を得た。一方、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(TC−5RW;信越化学(株))水溶液に、酸化チタン、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄およびタルクを分散してフィルムコーティング液を調製した。上記裸錠に、フィルムコーティング機(ハイコーターミニ型、フロイント産業)中で前記したコーティング液を噴霧し、1錠当たり化合物(A)(フリー体)を200mg含有するフィルムコーティング錠を700錠得た。
【0090】
【表3】
【0091】
参考例1
流動層造粒乾燥機(FD−5S、(株)パウレック)中で、表4の処方に従い、化合物(A)のコハク酸塩(一コハク酸塩)、マンニトールおよびコーンスターチを均一に混合後、混合物をヒドロキシプロピルセルロース(HPC-L;日本曹達(株))を溶解した水溶液を噴霧して造粒し、ついで同機で乾燥した。得られた造粒物を整粒機(パワーミルP−3、昭和化工(株))を用いて整粒し、整粒末を得た。この整粒末にクロスカルメロースナトリウム、結晶セルロース(KG−802)およびステアリン酸マグネシウムを加え、混合機(タンブラー15L、昭和化工(株))で混合し打錠用顆粒とした。この顆粒をロータリー打錠機(コレクト12HUK、菊水製作所)で6.5mmφの杵を用いて重量121mgに打錠し裸錠を得た。一方、ヒプロメロース(TC−5R;信越化学(株))水溶液に、酸化チタン、黄色三二酸化鉄およびタルクを分散してフィルムコーティング液を調製した。上記裸錠に、フィルムコーティング機(ドリアコーターDRC500、(株)パウレック)中で前記したコーティング液を噴霧し、1錠当たり化合物(A)(フリー体)を25mg含有するフィルムコーティング錠を26,000錠得た。
【0092】
【表4】
【0093】
試験例1
(1)比較処方1Aの製造
化合物(A)のコハク酸塩(一コハク酸塩) 333g、結晶セルロース(PH−302)119g、クロスカルメロースナトリウム 15gおよびステアリン酸マグネシウム 1.65gをバーチカルグラニュレーター((株)パウレック)にて均一に混合した。次いで、ローラーコンパクター(アレクサンダーベルグ)を用いて造粒を実施したところ、粉体のブロッキングにより、流動不良が生じ、目的とする造粒物を得ることができなかった。
(2)比較処方1Bの製造
化合物(A)のコハク酸塩(一コハク酸塩) 200g、結晶セルロース(PH−302)252g、クロスカルメロースナトリウム 15gおよびステアリン酸マグネシウム 1.65gをバーチカルグラニュレーター((株)パウレック)にて、均一に混合した。次いで、ローラーコンパクター(アレクサンダーベルグ)を用いて造粒物 462gを得た。比較処方1Bの製造中、ブロッキングや流動不良は観察されなかった。
(3)処方1Aの製造
処方1Aは、化合物(A)のコハク酸塩(一コハク酸塩)333g、結晶セルロース(PH−302)117g、クロスカルメロースナトリウム 15g、ステアリン酸マグネシウム 1.65gおよび軽質無水ケイ酸 2.5gをバーチカルグラニュレーター((株)パウレック)にて、均一に混合した。次いで、得られた混合物450gをローラーコンパクター(アレクサンダーベルグ)を用いて造粒物440.0gを得た。処方1Aの製造中、ブロッキングや流動不良は観察されなかった。
【0094】
また、処方1A、比較処方1Aおよび比較処方1Bの造粒処理速度を表5に示す。比較処方1Aは、混合物が流動不良により造粒工程へ移行しなかったため、強制的に混合物をローラーコンパクター(アレクサンダーベルグ)へ押し込み造粒物を得た。
【0095】
表6の処方は、上記で得られた各造粒物を整粒し、整粒末374.72g、結晶セルロース 40g、ヒドロキシプロピルセルロース 20gおよびステアリン酸マグネシウム 5.28gを混合し、8×4.5mmの杵を用いて重量110mgに打錠する場合の裸錠1錠中に含まれる各成分の量を示す。
【0096】
【表5】
【0097】
【表6】
【0098】
表5から明らかなように、比較処方1Aは造粒処理速度が低下し、処方1Aおよび比較処方1Bは造粒処理速度が低下せず、適度な造粒処理速度を有していた。
【0099】
以上の結果から、造粒時のブロッキングや流動不良は化合物(A)の含量が高い混合物の造粒時に発生し、流動化剤を添加することで、このような不具合の発生を抑制できることが明らかとなった。すなわち、本発明の錠剤は、ブロッキングや流動不良の発生を抑制し、製造性に優れることが示された。
【0100】
試験例2
処方2Aは、表7の処方に従い、化合物(A)のコハク酸塩(一コハク酸塩)、結晶セルロース(PH−302)、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウムおよび軽質無水ケイ酸をバーチカルグラニュレーター((株)パウレック)にて、均一に混合した。次いで、ローラーコンパクター(アレクサンダーベルグ)用い造粒物を生成した。得られた造粒物を整粒機(パワーミルP−3、昭和化工(株))を用いて整粒し、整粒末を得た。この整粒末に結晶セルロース(KG-802)、ヒドロキシプロピルセルロースおよびステアリン酸マグネシウムを加え、ポリ袋で混合し打錠用顆粒とした。この顆粒をオートグラフ(AG-1、島津製作所)で11×6mmの杵を用いて重量220mgに打錠し裸錠を得た。また、処方2Bは、表7の処方に従い、ヒドロキシプロピルセルロースを添加しないこと以外は、上記処方2Aと同様の方法で220mgの裸錠を得た。得られた裸錠の処方を表7に示す。また、得られた裸錠の単位破断面積当たりの硬度を表8に示す。
【0101】
【表7】
【0102】
【表8】
【0103】
表8に示すように、2種類の結合剤(結晶セルロースおよびヒドロキシプロピルセルロース)を含有する処方2Aは適度な錠剤硬度(2.1N/mm
2以上)を有する。以上の結果から、本発明の錠剤は、結晶セルロースおよび結晶セルロース以外の結合剤を含有する場合、適度な錠剤硬度を有し、フィルムコーティング工程での錠剤表面の削れや錠剤の割れを防止し、製造性に優れることが示された。
【0104】
試験例3
実施例1および実施例2の錠剤を、ブリスター包装し、アルミ袋に入れ、40℃75%RHの条件下で6箇月保存し、残存する化合物(A)および化合物(A)由来の総類縁物質量をHPLCで測定することにより、安定性を評価した。結果を表9に示す。
【0105】
【表9】
【0106】
表9に示すように、本発明の錠剤は、化学安定性に優れることが示された。
【0107】
試験例4
実施例1および実施例2の錠剤について、0.01N 塩酸(37℃、900mL)を用いたパドル法(75rpm)により、化合物(A)の溶出性を評価した。結果を表10に示す。表中の値は、各々、錠剤6個の溶出率の平均値を示す。なお、保存条件は、試験例3と同様に、実施例1および実施例2の錠剤を、ブリスター包装し、アルミ袋に入れ、40℃75%RHの条件下で6箇月保存した。
【0108】
【表10】
【0109】
表10に示すように、本発明の錠剤は、保存の前後で、化合物(A)の溶出性に変化がなく安定であることが示された。