(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光学部材の製造方法であって、請求項1又は2の打ち抜き加工用アクリルフィルムの片面又は両面に微細な凹凸形状を付与し、打ち抜き加工によって光学部材を作製することを特徴とする、光学部材の製造方法。
前記光偏向素子からの出射光で測定される色座標のx値及びy値の前記導光体の端面からの導光距離に対する変化率が0.00065/cm以下である請求項5に記載の面光源装置。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、薄型、軽量及び省電力であることから携帯用機器の表示部に多く用いられている。液晶表示装置は自発光型ではないために照明手段を必要とすることから、一般の液晶表示装置で用いられる照明装置には、バックライトと呼ばれる面光源装置が使用されている。
【0003】
従来、バックライトの発光素子(光源)には冷陰極放電管が用いられているが、近年、発光ダイオード(LED)も発光素子として用いられている。
【0004】
薄型のバックライトとして、側面に発光素子を備えるサイドライト型バックライトがある。サイドライト型バックライトには板状の導光板が備えられている。この導光板は透明性の高い樹脂で形成されており、発光素子から導光板に入射した光は導光板中を伝播する。また、この導光板には溝、突起又は印刷物等の反射・散乱部材が設けられおり、この反射・散乱部材により導光板中を伝わる光は液晶表示装置側に向けて出射する。
【0005】
LEDは、冷陰極放電管と比較すると薄型化が容易であり、近年では500μm以下の厚みのLEDも入手できるようになってきている。それに伴い、導光板もLEDに合わせた厚みまで薄型化が進んできている。
【0006】
発光素子としてLEDを用いる場合、LEDは点状光源であるため、従来の冷陰極管とは異なり平面状の側面に均一に光を入射させるのが困難である。
【0007】
そこで、例えば、特許文献1では、一定のピッチで連続して形成されたV字型若しくは三角形状等のプリズム形状又は連続した円弧状、波形状等の微細な凹凸形状を付与した導光板の側面に入射光を入射させ、これら微細な凹凸形状で入射光を広げて導光板の光放射面の輝度が均一化された導光板が提案されている。
【0008】
微細な凹凸形状を付与する方法としては、樹脂をフィルム状又はシート状に成形した後に、切削加工又は打ち抜き加工する方法、金型に溶融した樹脂を充填する射出成形法が知られている。しかしながら、射出成形法では薄いフィルム状に樹脂を均一に充填することが難しいこと及び切削加工法は多量の製品加工には向かないことから、簡便で安価に微細な凹凸形状を付与できる打ち抜き加工法による形状付与へのニーズが高まっている。
【0009】
また、これら微細な凹凸形状を付与する目的以外でも、フィルムを打ち抜き加工によって所定サイズに連続的に又は複数同時に打ち抜いて使用することが多くなってきている。
【0010】
更に、光学フィルムに用いられるフィルムとしては、透明なポリカーボネートフィルムやアクリルフィルムが知られている。これらのフィルムの中で、全光線透過率、ヘーズ、黄色度といった透明性に関する特性の点で、アクリルフィルムが特に優れていることから、光学フィルム用途でアクリルフィルムの打ち抜き加工の要望が多くなってきている。
【0011】
しかしながら、従来のアクリルフィルムは脆いために、アクリルフィルムを所定サイズに連続的に又は複数同時に打ち抜くような製造法や、打ち抜き加工によって微細な凹凸形状を付与するような製造法には適しておらず、その改善が望まれていた。
【0012】
アクリルフィルムの強度を改善する方法としては、例えば、特許文献2には、メタクリル樹脂中にゴム粒子を分散させた特定厚みのフィルムを使用した面光源装置用導光板が提案されている。
【0013】
しかしながら、特許文献2で得られるフィルムを用いて打ち抜き加工しようとすると、打ち抜き加工で得られたフィルムの端面に白化が生じる場合があり、改善が望まれていた。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<ジ(メタ)アクリレート(A)単位>
本発明において、ジ(メタ)アクリレート(A)単位は一般式(1)で示される単量体単位で、重合体(C)の構成単位の1つである。
【0025】
ジ(メタ)アクリレート(A)単位は、柔軟性に富んだ長鎖分子構造による架橋構造によって、本発明の打ち抜き加工用アクリルフィルムの打ち抜き加工性を向上させる目的で重合体(C)中に導入される。
【0026】
本発明において、一般式(1)中の(X)はC
2H
4O、C
3H
6O及びC
4H
8Oから選ばれる少なくとも1種の繰返し単位を示す。(X)を上記の繰返し単位とすることにより本発明の打ち抜き加工用アクリルフィルムの透明性及び柔軟性を付与することができる。
【0027】
本発明においては、本発明の打ち抜き加工用アクリルフィルムを光学部材として使用する場合は、(X)として疎水性の最も高いC
4H
8Oを繰返し単位とするのが好ましい。
【0028】
(X)
nの分子量は500以上で、500〜10,000が好ましく、600〜2,000がより好ましい。(X)
nの分子量を500以上とすることにより本発明の打ち抜き加工用アクリルフィルムの打ち抜き加工性を良好とすることができる。また、本発明の打ち抜き加工用アクリルフィルムの透明性の点で(X)
nの分子量は10,000以下であることが好ましい。(X)
nの分子量を10,000以下とすることにより本発明の打ち抜き加工用アクリルフィルムを構成する重合体を得るための重合中での相分離構造の発現を抑制できる傾向にある。
【0029】
(X)
nのnは自然数である。例えば、(X)が分子量72のC
4H
8Oの繰り返し単位でnが9の場合、(X)
nの分子量は642と計算される。尚、ジ(メタ)アクリレート(A)は、重合度が異なるものの混合物であり、その分布は正規分布に従うため、上記の繰り返し単位数nは中央値を意味する。
【0030】
(X)
nの形態としては単独重合体又は共重合体のいずれでも良く、また、ランダム重合体、ブロック重合体又は交互共重合体のいずれでも良い。
【0031】
ジ(メタ)アクリレート(A)単位を構成するための原料であるジ(メタ)アクリレート(A)としては、例えば、ドデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の繰り返し単位数nが12以上のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;ノナプロピレングリコールルジ(メタ)アクリレート、デカプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ウンデカプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ドデカプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリデカプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の繰り返し単位数nが9以上のポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート;及びヘプタブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、オクタブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、デカブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ウンデカブチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の繰り返し単位数nが7以上のポリブチレングリコールジメタクリレートが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併用して使用することができる。
【0032】
上記のジ(メタ)アクリレート(A)の具体例としては、三菱レイヨン(株)製のアクリエステルPBOM、日油(株)製のブレンマーPDE−600、ブレンマーPDP−700、ブレンマーPDT−650、ブレンマー40PDC1700B及びブレンマーADE−600並びに新中村化学工業(株)製のNKエステルA−600、NKエステルA−1000、NKエステルAPG−700、NKエステル14G及びNKエステル23G(いずれも商品名)が工業的に入手可能であり、好適に使用できる。
【0033】
尚、本発明において、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」及び「メタクリレート」から選ばれる少なくとも1種をいう。
【0034】
<モノ(メタ)アクリレート(B)単位>
本発明で使用されるモノ(メタ)アクリレート(B)単位は重合体(C)の構成単位の1つである。
【0035】
モノ(メタ)アクリレート(B)単位は本発明の打ち抜き加工用アクリルフィルムの弾性率を高くするために重合体(C)中に導入される。
【0036】
モノ(メタ)アクリレート(B)単位を構成するための原料であるモノ(メタ)アクリレート(B)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族メタクリレート;及びイソボルニル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−メチル−2アダマンチル(メタ)アクレート、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート等の脂環式メタクリレートが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併用して使用することができる。これらの中で、透明性の点でメチルメタクリレートが好ましい。
【0037】
<重合体(C)>
本発明において、重合体(C)はジ(メタ)クリレート(A)単位及びモノ(メタ)アクリレート(B)単位を含む重合体であり、本発明の打ち抜き加工用アクリルフィルムの打ち抜き加工性を付与することができる。
【0038】
重合体(C)中のジ(メタ)クリレート(A)単位の組成比としては、本発明の打ち抜き加工用アクリルフィルムの打ち抜き加工性の点で、10〜90質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましく、35〜65質量%が特に好ましい。
【0039】
本発明においては、重合体(C)中には必要に応じてジ(メタ)クリレート(A)単位及びモノ(メタ)アクリレート(B)単位以外のその他の単量体単位を含むことができる。
【0040】
その他の単量体単位を構成するための原料であるその他の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル単量体等のモノビニル単量体;及びジ(メタ)クリレート(A)以外のエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリビニル単量体が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併用して使用することができる。
【0041】
本発明においては、重合体(C)中に、必要に応じて離型剤を配合することができる。
【0042】
離型剤の配合量としては、重合体(C)100質量部に対して0.005〜0.5質量部が好ましい。離型剤の配合量が0.005質量部以上で、得られた本発明の打ち抜き加工用アクリルフィルムをポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムやステンレス板等の鋳型から剥離する際の離型性を良好とすることができる傾向にある。また、離型剤の配合量が0.5質量部以下で、本発明の打ち抜き加工用アクリルフィルムの吸水性や表面状態を良好とすることができる傾向にある。
【0043】
離型剤としては、例えば、三井サイテック(株)製のジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(商品名:エアロゾル OT−100)及び城北化学工業(株)製のリン酸ジエチルエステルとリン酸モノエチルエステルの55:45の混合物(商品名:JP−502)が挙げられる。
【0044】
本発明においては、目的に応じて、滑剤、可塑剤、抗菌剤、防カビ剤、光安定剤、紫外線吸収剤、ブルーイング剤、染料、帯電防止剤、熱安定剤等の各種添加剤を添加することができる。
【0045】
重合体(C)を得る方法としては、例えば、塊状重合法、溶液重合法、乳化重合法及び懸濁重合法が挙げられる。
【0046】
重合体(C)の重合手段としては、熱重合法、活性エネルギー線重合法及びその併用のいずれの手段でもよい。
【0047】
重合体(C)を得るための単量体原料(以下、「単量体原料(c)」という)の重合に用いられる重合開始剤は熱重合又は活性エネルギー線重合で使用される熱重合開始剤又は光重合開始剤であれば特に限定されない。
【0048】
熱重合開始剤としては、例えば、過酸化ベインゾイル、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等の有機過酸化物系重合開始剤及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系重合開始剤が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併用して使用することができる。
【0049】
光重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、メチルフェニルグリオキシレート、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−フェニル−1,2−プロパン−ジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、2−メチル[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、ベンジル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2−クロロチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2−メチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド及びベンゾイルジメトキシフォスフィンオキサイドが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併用して使用することができる。
【0050】
単量体原料(c)中の上記の熱重合開始剤又は光重合開始剤の添加量としては、単量体原料(c)100質量部に対して0.005〜5質量部が好ましく、0.01〜1質量部がより好ましく、0.05〜0.5質量部が特に好ましい。熱重合開始剤又は光重合開始剤の配合量が5質量部以下で重合体(C)の着色を抑制できる傾向にある。また、熱重合開始剤又は光重合開始剤の配合量が0.005質量部以上で重合時間が長すぎない適正な重合時間となる傾向にある。
【0051】
本発明においては、単量体原料(c)としてジ(メタ)アクリレート(A)及びモノ(メタ)アクリレート(B)の混合物を一部重合させた、ジ(メタ)アクリレート(A)及びモノ(メタ)アクリレート(B)の混合物中にジ(メタ)アクリレート(A)及びモノ(メタ)アクリレート(B)の共重合体が溶解したシラップ状物(c’)を使用することができる。
【0052】
<打ち抜き加工用アクリルフィルム>
本発明の打ち抜き加工用アクリルフィルムは重合体(C)を含有し、打ち抜き加工性及び透明性に優れたフィルムである。
【0053】
本発明の打ち抜き加工用アクリルフィルムとしては、打ち抜き加工性の点で、JIS K6251に準拠してダンベル状1号型の試験片を用い、23℃で500mm/分で引張試験を行った際のフィルムの切断時の伸びは30%以上であることが好ましい。また、本発明の打ち抜き加工用アクリルフルムとしては、上記のフィルムの切断時の伸びは、高速での打ち抜き加工性の点で、40%以上であることがより好ましく、50%以上であることが特に好ましい。
【0054】
本発明の打ち抜き加工用アクリルフィルムは上記特性に優れていることから、打ち抜き加工で得られた成形物を光学部材として好適に使用することができる。
【0055】
上記の光学部材としては、例えば、フレネルレンズ、偏光フィルム、偏光子保護フィルム、位相差フィルム、光拡散フィルム、視野角拡大フィルム、反射フィルム、反射防止フィルム、防眩フィルム、輝度向上フィルム、プリズムシート、マイクロレンズアレイ、タッチパネル用導電フィルム、道路標識等に用いられる反射材、太陽電池用フィルム、携帯電話前面保護フィルム、携帯電話コントラスト向上用フィルム、薄型の液晶ディスプレイ、フラットパネルディスプレイ、プラズマディスプレイ、携帯電話ディスプレイ、携帯電話キーパッド照明、パソコンキーボード照明及びその他看板等に用いられるサイドライト型導光板が挙げられる。
【0056】
また、本発明の打ち抜き加工用アクリルフィルムは上記特性に優れていることから、打ち抜き加工で得られた、フィルム側面(端面)に微細な凹凸形状が付与された成形物を導光板として好適に使用することができる。
【0057】
本発明の打ち抜き加工用アクリルフィルムを導光板として使用する場合は、その両面又は片面に、例えば、マット構造、ドット形状又はプリズム列配列構造等の微細な凹凸形状を形成して用いることができる。上記微細な凹凸形状は一種でもよいし、又は2種以上を組み合わせてもよい。
【0058】
本発明の打ち抜き加工用アクリルフィルムの透明性は、アクリルフィルムの端面(イ)から光を入射させ、この端面(イ)に対向する端面(ロ)から出射した光の端面輝度によって評価することができる。
【0059】
本発明の打ち抜き加工用アクリルフィルムの端面輝度を評価するための装置としては、例えば、
図2に示すような測定装置が挙げられる。光源5から出射された光は反射シート4で表面が被覆された本発明の打ち抜き加工用アクリルフィルム3の端面(イ)から光が入射され、フィルム中を透過して端面(ロ)から出射される。
【0060】
本発明の打ち抜き加工用アクリルフィルムの端面輝度を測定する際、端面(イ)から端面(ロ)までの距離としては、携帯電話等の小型のディスプレイに用いられる導光板の長さを想定した場合には5cm以上が好ましい。また、中型の携帯ゲーム機等のディスプレイに用いられることを想定した場合には10cm以上がより好ましく、ノートパソコン等のより大きなディスプレイに用いられることを想定した場合には20cm以上が特に好ましい。
【0061】
端面(イ)から端面(ロ)の距離が20cm以上であると、光の吸収、散乱、反射等によるわずかな透過損失の差が大きな輝度差として観察することができる傾向にある。
【0062】
端面(イ)から端面(ロ)の距離が長い場合でも高い端面輝度が得られるフィルムは透明性が高いため光学部材として好適であり、特に長光路で透明性が要求される導光板用途に好適である。
【0063】
導光板として使用する際の端面輝度としては、端面(イ)から端面(ロ)の距離が20cmの測定装置を使用した時の、本発明の打ち抜き加工用アクリルフィルムと同じ厚みと大きさであり単量体としてメチルメタクリレートのみを用いたPMMAフィルムの端面輝度を100%とした場合の本発明の打ち抜き加工用アクリルフィルムの相対輝度は50%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましい。
【0064】
本発明においては、本発明の打ち抜き加工用アクリルフィルムから得られる導光板としては薄型液晶表示装置用導光板が好適である。
【0065】
本発明の打ち抜き加工用アクリルフィルムを導光板用、特にLEDを使用した導光板用のフィルムとして使用する場合、輝度の均一性を高める目的でLEDからの光が入射するフィルム側面(入射面)に微細な凹凸形状を付与することが好ましい。
【0066】
フィルム側面に形成する微細な凹凸形状としては、例えば、一定のピッチで連続して形成されたV字型又は三角形状等のプリズム状、連続した円弧状又は波形状及びこれらを組み合わせた形状が挙げられる。
【0067】
フィルム側面に形成する微細な凹凸形状は、半径が0.2mm以下、好ましくは0.1mm以下、より好ましくは0.05mm以下の円弧状又は波形状の凹凸状態又はプリズム形状を有する形状が好ましい。微細な凹凸形状の具体例を
図1に示す。
図1は円弧又は波形の半径(1)がピッチ(2)の間隔で交互の向きで連続して繋がった凹凸形状を示すものである。
【0068】
本発明の打ち抜き加工用アクリルフィルムの厚さとしては500μm以下が好ましく、5μm〜500μmがより好ましく、25μm〜400μmが更に好ましく、30μm〜350μmが特に好ましい。本発明の打ち抜き加工用アクリルフィルムの厚さを500μm以下とすることにより光学部材、特に薄型の導光板用途に好適に使用することができる傾向にある。
【0069】
本発明の打ち抜き加工用アクリルフィルムの製造方法としては、例えば、単量体原料(c)を、PETフィルム等のプラスチックフィルム、ステンレス等の金属、ガラス等で形成された、ベルト又は型を対向させた鋳型内へ注入し、単量体原料(c)を熱又は活性エネルギー線等で重合することにより本発明の打ち抜き加工用アクリルフィルムを得る方法が挙げられる。
【0070】
上記方法において、単量体原料(c)を活性エネルギー線で硬化させる場合には、対向するベルト又は型の一方又は両方に透明なガラス又はプラスチックを使用することが好ましい。
【0071】
また、本発明の打ち抜き加工用アクリルフィルムの別の製造方法として、エンドレスベルト上に単量体原料(c)を供給し、その上にエンドレスベルトと同一方向及び同速度で移送されるフィルムを積層した後に活性エネルギー線を照射させて硬化することにより連続的に製造する方法が挙げられる。
【0072】
本発明の打ち抜き加工用アクリルフィルムを連続的に製造する場合、得られるフィルムは紙管やプラスチックコア等のロールに巻いた状態にして回収することができる。
【0073】
本発明の打ち抜き加工用アクリルフィルムは打ち抜き加工に適している。
【0074】
<光学部材の製造方法>
本発明において、光学部材の製造方法の一実施形態は、1)本発明の打ち抜き加工用アクリルフィルムの片面又は両面に微細な凹凸形状を付与する工程と、その後、2)打ち抜き加工によって光学部材を打ち抜く工程と、を含む製造方法である。
【0075】
本発明の打ち抜き加工用アクリルフィルムの片面又は両面に微細な凹凸形状を付与する工程としては、フィルムの製膜と同時に凹凸形状を付与する方法と、フィルムの製膜後に凹凸形状を付与する方法が挙げられる。
【0076】
フィルムの製膜と同時に凹凸形状を付与する方法としては、例えば、予め微細な凹凸形状が表面に付与されたPETフィルムやステンレスベルトの上で単量体原料(c)を重合することによりフィルムの表面に凹凸形状を付与する方法が挙げられる。
【0077】
フィルムの製膜後に凹凸形状を付与する方法としては、例えば、転写用型部材を用いて熱プレスすることによって形状を転写する熱インプリント方式、光硬化性樹脂組成物を散布して硬化させることで形状を付与するUVインクジェット印刷方式、CO
2レーザー等によって樹脂表面を加工して形状を付与するレーザー加工方式、又は光硬化性樹脂組成物を塗布して転写用型部材によって形状を転写する或は転写用型部材を用いてシルク印刷樹脂組成物を塗布して形状を転写する樹脂印刷方式等によりフィルムの表面に凹凸形状を付与する方法が挙げられる。
【0078】
微細な凹凸形状としては、本発明の打ち抜き加工用アクリルフィルムの片面又は両面に、例えば、マット構造、ドット形状又はプリズム配列構造等を形成したものが挙げられる。本発明の打ち抜き加工用アクリルフィルムの表面へのこれらの構造形成は単独構造でもよいし、2種以上の構造を併用してもよい。
【0079】
上記工程の微細な凹凸構造を付与する工程は、打ち抜き加工用アクリルフィルムを所定のサイズに切断又は打ち抜き加工した後にバッチ式で実施する方法と、又はロール状フィルムに連続的に実施する方法が挙げられるが、生産性の面ではロール状フィルムに対して連続的に実施する方がより好ましい。
【0080】
打ち抜き加工によって光学部材を打ち抜く工程は、例えば、打ち抜き刃を単独で又は2種以上を併用して金型を作製し、この金型を使用してプレス機等で所定の形に打ち抜く方法が挙げられる。
【0081】
打ち抜き加工に使用する刃としては、例えば、ビク抜き刃(トムソン刃)、シール刃(ゼンマイ刃)、彫刻刃及び腐食刃(エッチング刃)が挙げられる。これらの中で、微細な凹凸形状を付与する刃としては、数値制御による機械加工に適用できるように、寸法精度が高く、複雑な形状に作製できる彫刻刃が好ましい。また、打ち抜き加工時には所定の温度をかけて打ち抜いても良い。
【0082】
直線形状又は微細な凹凸形状を有する金型を使用して打ち抜き加工を行うことにより、加工面(側面)に金型形状と相補的な形状を付与することが出来る。本発明の打ち抜き加工用アクリルフィルムの加工面へのこれらの構造形成は単独構造でもよいし、2種以上の構造を併用してもよい。また、打ち抜いた後に、加工面に対して研磨を施しても良い。
【0083】
本発明の打ち抜き加工用アクリルフィルムを面光源装置の導光板用途、特にLEDを使用した導光板用途のフィルムとして使用する場合は、輝度の均一性を高める目的でフィルム側面のLEDの配列間隔に合わせた微細な凹凸形状を付与する方がより好ましい。
【0084】
<面光源装置>
上述のように、本発明の打ち抜加工用アクリルフィルムを用いて導光板を形成することができる。
【0085】
以下、本発明に係る導光体及び面光源装置の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。ただし、本発明の範囲はこれらの実施形態に制限されることはない。
【0086】
本実施形態においては、簡略化のため、幾つかの異なる図面において共通の指示符号によって同一の部材を示す。また、本実施形態の図面は、本発明の内容を説明するために用いられるものであり、各部の寸法の比率を正確に反映するものではない。
【0087】
また、参照の便宜上、図中にxyz直交座標系を設定する。すなわち、導光体における光の進行方向に導光体の上面又は下面の2つの辺に沿ってx軸及びy軸を設定し、出射面の法線方向にz軸を設定する。
【0088】
図3は、本実施形態の導光体10の概略を示す。図中には、一次光源となる発光ダイオード20も同時に示す。なお、光源としては
図1に示すような複数の発光ダイオードのほか、冷陰極管などの蛍光管も利用できるが、発光面の一辺が短い発光ダイオードが望ましい。
【0089】
導光体10は、一次光源からの光を入射させる入射面11と、光を導光体から出射する出射面12と、入射面11からの入射光又は出射面12からの反射光を反射する反射面13とを少なくとも有する。
【0090】
より詳細には、導光体10の出射面12および/または反射面13には、光を出射させる機能を有する1つまたは複数の凹または凸形状の光制御部14を有する。光制御部14の作製方法は熱インプリント方式、UVインクジェット印刷方式、レーザー加工方式、樹脂印刷方式等のような加工方法が利用できる。
【0091】
導光体と組み合わせて使用される一次光源としては、薄型の発光ダイオードが例示されるが、その発光部の厚み寸法はたとえば250〜500μm程度である。したがって、導光体の厚さは500μm以下であることが好ましい。これにより、上述のような小型発光ダイオードを使用して面光源装置の十分な薄型化を図る際にも、一次光源から発せられる光の殆ど全てを導光体内に導入して有効利用することができ、光利用の効率を高く維持することができる。また、導光体の厚さは5μm以上であることが好ましい。
【0092】
また、導光体の厚さを500μm以下とすることにより、適当な可撓性が得られ、導光体を製造する際に長尺の導光体を連続して供給することが可能になり、製造上の利点が得られる。
【0093】
本発明の面光源装置においては、光偏向素子が、導光体の表面に接して配置される。光偏向素子としては、下向きのプリズムシートと拡散シートの組合せ、または下記に示すような2種の上向きのプリズムシートと拡散シートの組合せが使用される。
【0094】
図4は、導光体を用いた面光源装置の一実施形態を示す模式的分解斜視図である。
【0095】
図4において、導光体10は、出射面12および反射面13(
図3参照)がxy面内に位置するように配置されており、xy面内の形状がx軸方向辺及びy軸方向辺を持つ矩形状である。導光体10の入射面11(
図3参照)に隣接して、一次光源としての複数のLED20がy軸方向に適宜のピッチで配置されている。導光体10の出射面12に対向するように、光偏向素子としての2枚のプリズムシート31と拡散シート32がそれぞれのプリズムの延びる方向が直行するように配置されている。一方、導光体10の反射面13に対向するように、反射体としての反射シート40が配置されている。
【0096】
LED20から発せられた光は、導光体10内へとその入射面11を介して導入され、出射面12および反射面13での内面全反射により導光体10内をxy軸面内の方向に導光される。出射面12および/または反射面13には1つまたは複数の凹または凸形状の光制御部14(
図1参照)を有しており、この凹または凸形状が光出射機能を発揮し、所要の出射率にて光が出射する。導光体10の光出射面からその法線方向(Z方向)に対してXZ面内分布において斜めに出射する光は、プリズムシート31の下面(入光面)に入射し屈折により、大略Z方向へと進行方向を偏向せしめられる。偏向された光は、プリズムシート31の上面(出光面として機能する)から出光する。尚、導光に際して、反射面13から出射する光は反射シート40により反射されて、導光体10内へと再導入される。
【0097】
面光源装置としては、光偏向素子からの出射光で測定される色座標のx値及びy値の導光体の端面からの導光距離に対する変化率が0.00065/cm以下が好ましい。より好ましくは0.00050/cm以下であり、さらに好ましくは0.0004/cm以下である。
【0099】
長さ180mm及び幅280mmの方形で裏面に直径53μm及び高さ10μmの凸の半球形状が形状付与さているアクリルフィルム、厚み450μmの白色チップタイプLED(商品名:NSSW045、日亜化学工業(株)製)63個を4.88mm間隔で横一列に設置した光源、反射シート、拡散シート及びプリズムシートを
図4に示すように設置する。LEDと接する端面が280mmである。次いで、出射面から1mの位置に輝度計(商品名:BM−7A、(株)トプコンテクノハウス製)を設置して、法線方向における色座標のx値及びy値を測定する。導光体の入射面から導光体中心部へ向けて、導光体の出射面に沿い且つ入射面と出射面との交線に直交する方向(X軸方向)の導光体の中心線に対応する線C上にて、輝度計を2mm間隔で移動させて各点のx値及びy値を測定し、最小二乗近似直線の傾きとして色座標変化率を算出する。
【0100】
また、本発明の一実施形態は以下のようにも把握される。
【0101】
本発明に係る面光源装置は、
1つ又は複数の光源の光を面状に変換して出射する面光源装置であって、
導光体と、該導光体の端面に隣接して配置する少なくとも1つの光源と、前記導光体の表面に接して配置する光偏向素子と、前記導光体の裏面に接して配置する反射体からなり、
前記導光体は、一般式(1)で表されるジ(メタ)アクリレート(A)単位と、モノ(メタ)アクリレート(B)単位と、を含む重合体(C)からなる。
【0102】
また、本発明に係る面光源装置用の導光体は、
一般式(1)で表されるジ(メタ)アクリレート(A)単位と、モノ(メタ)アクリレート(B)単位と、を含む重合体(C)からなる。
【0103】
以上のような本発明によれば、薄くても割れにくく、色特性に優れた導光体及びそれを用いた面光源装置を得ることができる。
【0104】
上述の特許文献2では、PMMA中にゴム成分を含有する微粒子を添加しているが、ゴム成分を含有する微粒子を添加した場合はPMMAと不均一構造を形成して内部散乱を発生し、面発光強度の低下をもたらす。また、ポリカーボネートの場合は多かれ少なかれ紫外領域に近い短波長領域に光の吸収が存在する。そのため、これらを用いる導光体では、導光過程で黄変と呼ばれる着色が現れることがある。これは、とくに面光源装置を液晶表示装置のバックライトとして使用する場合には、表示特性を低下させることになるので、好ましくない。そのため、上記のような問題点を解消して、薄くても割れにくく、着色の抑制が可能な透明性に優れた導光体を用いた面光源装置を提供することが求められていた。そこで、上述のような本発明の構成とすることにより、薄くても割れにくく、着色の抑制が可能な透明性に優れた導光体を用いた面光源装置を提供することができる。
【実施例】
【0105】
以下、本発明を実施例により説明する。尚、アクリルフィルムの打ち抜き加工性、弾性率、切断時の伸び、全光線透過率、ヘーズ値、端面輝度及び色座標変化率の評価は以下の方法により実施した。また、以下において、「部」は「質量部」を示す。
【0106】
(1)打ち抜き加工性
図1に示すような、高さ23.6mm、半径(R)0.2mm及び円弧のピッチ0.8mm、並びに高さ23.6mm、半径(R)0.1mm及び円弧のピッチ0.4mmの微細な凹凸形状を有する2種類の彫刻刃を作製した。次いで、これらのいずれかの彫刻刃1辺と高さ23.6mmのトムソン刃3辺を有する、2種の方形の打ち抜き型を作製した。
【0107】
上記で得られた2種類の打ち抜き型の夫々の型の上にアクリルフィルムを置き、その上に厚み188μmのPETフィルム、厚み5mmのポリカーボネート板を順次重ねた。そして、電動駆動タイプのプレス機(商品名:PAC−SBP−07、(株)ダイテックス製)を用いて、プレス圧力5t及び速度10mm/秒でアクリルフィルムをそれぞれ打ち抜いた。
【0108】
打ち抜いて得られたアクリルフィルムの切片における彫刻刀の微細な凹凸形状の打ち抜き部の割れや欠けの有無について超深度顕微鏡(商品名:VK−8500、(株)キーエンス製)を使用して調べた。そして、下記基準にて打ち抜き加工性を評価した。
【0109】
○:割れや欠けは認められない。
【0110】
×:割れや欠けが認められる。
【0111】
また、打ち抜き面の白化の有無についても超深度顕微鏡(商品名:VK−8500、(株)キーエンス製)を使用して併せて下記基準で評価した。
【0112】
○:白化は認められない。
【0113】
×:白化が認められる。
【0114】
(2)弾性率
スーパーダンベルカッター(商品名:SDK−100D、(株)ダンベル製)を用いてダンベル状1号型のアクリルフィルムの試験片を5枚作製した。次に、これらの試験片を用いて、引張試験機(商品名:ストログラフT、(株)東洋精機製作所製)を使用して室温23℃及び引張速度500mm/分で引張試験を5回実施した。そして、応力歪み曲線の接線を弾性率として、それらの平均値を求めた。
【0115】
(3)切断時の伸び
JIS K6251に準拠して、スーパーダンベルカッター(商品名:SDK−100D、(株)ダンベル製)を用いてダンベル状1号型のアクリルフィルムの試験片を5枚作製した。次に、これらの試験片を用いて、引張試験機(商品名:ストログラフT、(株)東洋精機製作所製)を使用して室温23℃及び引張速度500mm/分で引張試験を5回実施した。そして、切断時の伸びを平均値として求めた。
【0116】
(4)全光線透過率
5cm角に切り出したアクリルフィルムをJIS K7361−1に準拠して、ヘイズメーター(商品名:NDH2000、日本電色工業(株)製)を用いて全光線透過率を測定した。
【0117】
(5)ヘーズ値
5cm角に切り出したアクリルフィルムをJIS K7105に準拠して、ヘイズメーター(商品名:NDH2000、日本電色工業(株)製)を用いてヘーズ値を測定した。
【0118】
(6)端面輝度
長さ200mm及び幅100mmの方形のアクリルフィルム、厚み450μmの白色チップタイプLED(商品名:NSCW335、日亜化学工業(株)製)20個を横1列に設置した光源及び膜厚50μmの反射シート(商品名:ルイルミラー、(株)麗光製)を
図2に示すように設置した状態でアクリルフィルムの端面輝度を測定した。
【0119】
アクリルフィルムの端面(イ)から端面(ロ)までの距離は200mmである。また、アクリルフィルムとしては端面(イ)と端面(ロ)の表面を回転式研磨機(商品名:AP−120、笠井商工(株)製)で#1200の研磨紙を用いて研磨したものを使用した。
【0120】
端面輝度の測定に際しては、端面(ロ)から1mの位置に輝度計(商品名:CS−100A、コニカミノルタセンシング(株)製)を設置して、端面(イ)から入射させた光が端面(ロ)から出射したときの端面輝度を測定した。
【0121】
また、単量体としてメチルメタクリレートのみを用いて得られるPMMAフィルムの端面輝度を100としたときの相対輝度を併せて求めた。
【0122】
(7)色座標変化率
長さ180mm及び幅280mmの方形で裏面に直径53μm及び高さ10μmの凸の半球形状が形状付与さているアクリルフィルム、厚み450μmの白色チップタイプLED(商品名:NSSW045、日亜化学工業(株)製)63個を4.88mm間隔で横一列に設置した光源、反射シート、拡散シート及びプリズムシートを
図4に示すように設置した状態でアクリルフィルムの色座標変化率を測定した。LEDと接する端面が280mmである。
【0123】
色座標変化率の測定に際しては、出射面から1mの位置に輝度計(商品名:BM−7A、(株)トプコンテクノハウス製)を設置して、法線方向における色座標のx値及びy値を測定した。尚、導光体の入射面から導光体中心部へ向けて、導光体の出射面に沿い且つ入射面と出射面との交線に直交する方向(X軸方向)の導光体の中心線に対応する線C上にて、輝度計を2mm間隔で移動させて各点のx値及びy値を測定し、最小二乗近似直線の傾きとして色座標変化率を算出した。
【0124】
[実施例1]
ジ(メタ)アクリレート(A)単位の原料としてポリブチレングリコールジメタクリレート(A−1)(商品名:アクリエステルPBOM、式(1)におけるR
1=CH
3、(X)n=(C
4H
8)
9、三菱レイヨン(株)製)80部、モノ(メタ)アクリレート(B)単位の原料としてメチルメタクリレート(B−1)(商品名:アクリエステルM、三菱レイヨン(株)製)20部、熱重合開始剤としてt−ヘキシルパーオキシピバレート(商品名:パーヘキシルPV、日油(株)製)0.3部及び離型剤としてジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(商品名:エアロゾル OT−100、三井サイテック(株)製)0.05部を混合して単量体原料(c−1)を調整し、減圧下で脱気処理を行った。
【0125】
縦300mm及び横300mmのガラス板を、ポリ塩化ビニル製ガスケットを介して0.4mm間隔で相対させて鋳型を形成し、形成された鋳型内に単量体原料(c−1)を注入した。次いで、鋳型を80℃の水浴中で60分加熱し、次いで130℃の空気炉で30分加熱して重合を完了させた。その後、鋳型を室温まで冷却し、型枠を脱枠して、平均厚さ約400μmのアクリルフィルム(a)を得た。評価結果を表1に示す。
【0126】
【表1】
【0127】
[実施例2〜5、比較例1及び2]
ポリブチレングリコールジメタクリレート(A−1)及びメチルメタクリレート(B−1)の使用量を表1に示す量とする以外は実施例1と同様にしてアクリルフィルム(b)〜(g)を得た。評価結果を表1に示す。
【0128】
また、実施例4で得られたアクリルフィルム(d)については、A4サイズのアクリルフィルムを鏡面板と直径53μm及び高さ10μmの凹の半球形状が鏡面板に形状付与されている転写用型部材との間に挟みこみ、熱プレス機(商品名:NIC200型ラミネート成形機、日精樹脂工業(株)製)を用いて片面に微細な凸形状を付与した。得られたアクリルフィルムを長さ180mm及び幅280mmの方形に打ち抜き加工し、幅280mmの加工面を鏡面加工機(商品名:プラフィニッシャー、ASAHI TECHNO CO.LTD.製)を使用して回転数9000rpm及び送り速度2.5mm/secの条件により鏡面加工した。次いで、
図4に示すように厚み450μmの白色チップタイプLED(商品名:NSSW045、日亜化学工業(株)製)63個を4.88mm間隔で横一列に設置した光源、反射シート、微細な凸形状を裏面に付与したアクリルフィルム(d)、拡散シート及びプリズムシートを設置して面光源装置を作製した。LEDと接する端面が280mmである。評価結果を表2及び
図5に示す。
【0129】
【表2】
【0130】
[実施例6〜11]
ジ(メタ)アクリレート(A)として(A−1)の代わりにポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン ジメタクリレート(A−2)(商品名:ブレンマー40PDC−1700B、式(1)におけるR
1=CH
3、(X)n=(C
2H
4O)
7.5−(C
3H
6O)
18−(C
2H
4O)
7.5、日油(株)製)を使用し、(A−2)と(B−1)の使用量を表1に示す量とする以外は実施例1と同様にしてアクリルフィルム(h)〜(m)を得た。評価結果を表1に示す。実施例10で得られたアクリルフィルム(l)については、実施例4と同様に面光源装置を作製した。評価結果を表2及び
図6に示す。
【0131】
[比較例3]
ジ(メタ)アクリレート(A)単位の原料として(A−1)の代わりにトリエチレングリコールジメタクリレート(A−3)(商品名:アクリエステル3ED、三菱レイヨン(株)製)を使用し、(A−3)と(B−1)の使用量を表1に示す量とする以外は実施例1と同様にしてアクリルフィルム(h)を作製した。得られたアクリルフィルム(h)は非常に脆く、脱型困難であり、打ち抜き加工性を評価できなかった。
【0132】
[比較例4]
モノ(メタ)アクリレート(B)単位の原料としてポリメチルメタクリレート(D−1)(商品名:VH000、三菱レイヨン(株)製)のペレットを80℃で一昼夜乾燥し、この乾燥ペレットを300mm幅のTダイを取り付けた40mmφのノンベルトスクリュー型押出機(L/D=26)に供給して、平均厚さ約400μmのアクリルフィルムを得た。その際の条件は、シリンダー温度200〜240℃、Tダイ温度250℃、冷却ロール温度95℃であった。評価結果を表1に示す。また、実施例4と同様に面光源装置を作製した。評価結果を表2及び
図7に示す。
【0133】
[比較例5]
モノ(メタ)アクリレート(B)としてポリメチルメタクリレート(D−1)(商品名:VH000、三菱レイヨン(株)製)のペレット78部に、ゴム含有アクリル重合体(E−1)(商品名:メタブレンW377、三菱レイヨン(株)製)22部を加えた後、ヘンシェルミキサーを用いて混合した。次に、得られた混合物を230℃に加熱した脱気式押出機(商品名:PCM−30、池貝鉄工(株)製)に供給し、混練してペレットを得た。上記の方法で製造したペレットを使用する以外は、比較例4と同様にして、平均厚さ約400μmのアクリルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。また、実施例4と同様に面光源装置を作製した。評価結果を表2及び
図8に示す。
【0134】
実施例1〜11はいずれも打ち抜き加工性と透明性が良好であった。また、実施例4及び10は色座標変化率が小さかった。これに対し、比較例1はジ(メタ)アクリレート(A)単位を含んでいないため、また比較例2はモノ(メタ)アクリレート(B)単位を含んでいないため打ち抜き加工性が不良であった。比較例3はジ(メタ)アクリレート(A)単位の(X)nの分子量が不足しておりアクリルフィルムは非常に脆かった。比較例4はジ(メタ)アクリレート(A)単位を含んでいないため、打ち抜き加工性が不良であった。比較例5はジ(メタ)アクリレート(A)単位を含んでいないため、打ち抜き加工性が不良であった。さらに、色座標変化率が大きかった。