【実施例】
【0081】
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により制限されない。化合物の構造は、核磁気共鳴スペクトル、赤外吸収スペクトル、質量スペクトルで確認した。相転移温度の単位は℃であり、Cは結晶を、Iは等方性液体相を示す。以下に、物性値の測定法を示す。
【0082】
<重量平均分子量(Mw)および多分散度(Mw/Mn)>
島津製作所製の島津LC−9A型ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)、および昭和電工製のカラムShodex(登録商標) GF−7M HQ(展開溶媒はDMFあるいはTHF、標準物質は分子量既知のポリスチレン)を用いた。
【0083】
<液晶分子の配向>
以下に示す方法により確認した。
(1)目視による観察方法
クロスニコルに配置した2枚の偏光板の間に液晶配向膜上に異方性ポリマーを形成した基板を挟持して観察し、基板を水平面内で回転させ、明暗の状態を確認した。液晶配向膜上に異方性ポリマーを形成した基板を偏光顕微鏡観察し、配向欠陥の有無を確認した。
(2)偏光解析装置による測定
シンテック(株)製のOPTIPRO偏光解析装置を用い、液晶配向膜上に異方性ポリマーを形成した基板に波長が550nmの光を照射した。この光の入射角度をフィルム面に対して90°から減少させながらレタデーションを測定した。レタデーション(retardation;位相遅れ)はΔn×dで表される。記号Δnは光学異方性値であり、記号dは重合体フィルムの厚さである。
【0084】
<膜厚測定>
液晶配向膜上に異方性ポリマーを形成した基板から液晶配向膜と異方性ポリマーの2つの層を削りだして、その段差を微細形状測定装置(KLA TENCOR(株)製 アルファステップIQ)を用いて測定した。
【0085】
<光学異方性値(Δn)の評価>
ホモジニアス配向を誘起する液晶配向膜と、異方性ポリマーの2層からなる複合層について求めたレタデーションと膜厚値から、Δn=レタデーション/膜厚として算出した。
【0086】
<重合性液晶組成物の光重合条件>
窒素雰囲気下または大気中において、室温で500Wの超高圧水銀灯を用いて90mW/cm
2(365nm)の強度の光を30秒間照射した。
【0087】
[実施例1]
化合物(1−1−1)を以下のスキームで合成した。
【0088】
(第1段階)
3−エチルオキセタニルメタノール100gおよびピリジン100gをトルエン400mlに加え、窒素雰囲気下冷却しながら撹拌した。そこへ、p−トルエンスルホン酸クロライド(TsCl)197gを添加した。添加後、室温で16時間撹拌した。析出した沈殿物を濾別し、濾液を飽和重曹水および水で洗浄した。得られた有機層に水400mlを加え40℃で2時間攪拌した。有機層を分離し、得られた有機層を飽和重曹水および水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下でトルエンを留去した。得られた残渣を減圧乾燥することにより、無色の液体(ex−1)186gを得た。
【0089】
(第2段階)
trans−p−クマル酸400gをメタノール1200mlに加え、濃硫酸10gを滴下し、加熱還流下で5時間攪拌した。室温まで冷却した後、減圧下でメタノールを留去した。得られた残渣を氷水2000mlに注ぎ込み、酢酸エチル2000mlを加え、有機層を分離した。得られた有機層を飽和重曹水および水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で酢酸エチルを留去し、得られた残渣をエタノールで再結晶することにより、化合物(ex−2)280gを得た。
【0090】
(第3段階)
化合物(ex−2)30gおよび水酸化ナトリウム7gを、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)230mlに加え、窒素雰囲気下50℃で撹拌した。そこへ、化合物(ex−1)45gのDMF溶液100mlを滴下した。滴下後、80℃で8時間撹拌した。析出した沈殿物を濾別し、濾液に水300mlおよびトルエン300mlを加え有機層を分離した。得られた有機層を飽和重曹水および水で洗浄した。減圧下でトルエンを留去した。得られた残渣に水酸化ナトリウム7g、メタノール300mlおよび水300mlを加え加熱還流下3時間攪拌した。室温まで冷却した後、減圧下でメタノールを留去した。得られた残渣に3N塩酸水溶液300mlおよび酢酸エチル300mlを加え有機層を分離した。得られた有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で酢酸エチルを留去し、トルエンで再結晶することにより、化合物(ex−3)29gを得た。
【0091】
(最終段階)
2−ヒドロキシエチルメタクリレート14g、化合物(ex−3)29gおよび4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)3gを、ジクロロメタン300mlに加え、窒素雰囲気下冷却しながら撹拌した。そこへ、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)24gのジクロロメタン溶液60mlを滴下した。滴下後、室温で16時間撹拌した。析出した沈殿物を濾別し、有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下でジクロロメタンを留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:トルエン−酢酸エチル混合物(容量比:トルエン/酢酸エチル=8/1))で精製し、減圧乾燥することにより、化合物(1−1−1)27gを無色の液体として得た。
得られた化合物(1−1−1)のNMRは以下の通りである。
1H−NMR(CDCl
3;δppm):7.68(d,1H),7.50(d,2H),6.95(d,2H),6.35(d,1H),6.16(s,1H),5.60(s,1H),4.57(d,2H),4.49(d,2H),4.48−4.40(m,4H),4.11(s,2H),1.96(s,3H),1.92−1.85(m,2H),0.94(t,3H).
【0092】
[実施例2]
化合物(1−1−10)を以下のスキームで合成した。
【0093】
(第1段階)
3−エチルオキセタニルメタノール50gおよび水酸化ナトリウム172gをDMF500mlに加え、窒素雰囲気下50℃で撹拌した。そこへ、1,6−ジブロモへキサン158gを滴下した。添加後、80℃で6時間撹拌した。室温まで冷却した後、水500mlおよびトルエン500mlを加え有機層を分離した。得られた有機層を飽和重曹水および水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下でトルエンを留去した。減圧蒸留により精製し、無色の液体(ex−4)60gを得た。
【0094】
(第2段階)
化合物(ex−2)30gおよび水酸化ナトリウム7gを、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)230mlに加え、窒素雰囲気下50℃で撹拌した。そこへ、化合物(ex−4)47gを滴下した。滴下後、80℃で8時間撹拌した。室温まで冷却した後、水300mlおよびトルエン300mlを加え有機層を分離した。得られた有機層を飽和重曹水および水で洗浄した。減圧下でトルエンを留去した。得られた残渣に水酸化ナトリウム7g、メタノール300mlおよび水300mlを加え加熱還流下3時間攪拌した。室温まで冷却した後、減圧下でメタノールを留去した。得られた残渣に3N塩酸水溶液300mlおよび酢酸エチル300mlを加え有機層を分離した。得られた有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で酢酸エチルを留去し、ヘプタンで再結晶することにより、化合物(ex−5)39gを得た。
【0095】
(最終段階)
2−ヒドロキシエチルメタクリレート14g、化合物(ex−5)39gおよびDMAP3gを、ジクロロメタン400mlに加え、窒素雰囲気下冷却しながら撹拌した。そこへ、DCC24gのジクロロメタン溶液60mlを滴下した。滴下後、室温で16時間撹拌した。析出した沈殿物を濾別し、有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下でジクロロメタンを留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:トルエン−酢酸エチル混合物(容量比:トルエン/酢酸エチル=8/1))で精製し、減圧乾燥することにより、化合物(1−1−10)32gを無色の液体として得た。
得られた化合物(1−1−10)のNMRは以下の通りである。
1H−NMR(CDCl
3;δppm):7.68(d,1H),7.50(d,2H),6.93(d,2H),6.35(d,1H),6.16(s,1H),5.60(s,1H),4.51(d,2H),4.22(d,2H),3.98−3.91(m,4H),3.81(s,2H),1.96(s,3H),1.87−1.79(m,6H)1.69−1.60(m,4H),0.92(t,3H).
【0096】
[実施例3]
化合物(1−1−11)を以下のスキームで合成した。
【0097】
(第1段階)
4−ヒドロキシ安息香酸メチル50gおよび水酸化ナトリウム13gを、DMF250mlに加え、窒素雰囲気下50℃で撹拌した。そこへ、化合物(ex−1)81gのDMF溶液150mlを滴下した。滴下後、80℃で8時間撹拌した。析出した沈殿物を濾別し、濾液に水300mlおよびトルエン300mlを加え有機層を分離した。得られた有機層を飽和重曹水および水で洗浄した。減圧下でトルエンを留去した。得られた残渣に水酸化ナトリウム13g、メタノール300mlおよび水300mlを加え加熱還流下3時間攪拌した。室温まで冷却した後、減圧下でメタノールを留去した。得られた残渣に3N塩酸水溶液300mlおよび酢酸エチル300mlを加え有機層を分離した。得られた有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で酢酸エチルを留去し、トルエンで再結晶することにより、化合物(ex−6)42gを得た。
【0098】
(第2段階)
trans−p−クマル酸120gを無水酢酸1200mlに加え、窒素雰囲気下冷却しながら撹拌した。そこへ、ピリジン64gを滴下した。滴下後、室温で4時間撹拌した。析出した沈殿物を濾別し、得られた結晶をエタノールで再結晶することにより、化合物(ex−7)103gを得た。
【0099】
(第3段階)
2−ヒドロキシエチルメタクリレート50g、化合物(ex−7)80gおよびDMAP9gを、ジクロロメタン800mlに加え、窒素雰囲気下冷却しながら撹拌した。そこへ、DCC84gのジクロロメタン溶液160mlを滴下した。滴下後、室温で16時間撹拌した。析出した沈殿物を濾別し、有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下でジクロロメタンを留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:トルエン−酢酸エチル混合物(容量比:トルエン/酢酸エチル=8/1))で精製した。得られた残渣をメタノール500mlに加え、冷却しながら撹拌した。そこへ、28%アンモニア水溶液47mlを滴下した。滴下後、室温で2時間撹拌した。減圧下でメタノールを留去し、残渣に水500mlおよび酢酸エチル500mlを加え、有機層を分離した。得られた有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で酢酸エチルを留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:トルエン−酢酸エチル混合物(容量比:トルエン/酢酸エチル=4/1))で精製した。減圧乾燥し、無色の液体(ex−8)92gを得た。
【0100】
(最終段階)
化合物(ex−6)30g、化合物(ex−8)35gおよびDMAP3gを、ジクロロメタン300mlに加え、窒素雰囲気下冷却しながら撹拌した。そこへ、DCC28gのジクロロメタン溶液60mlを滴下した。滴下後、室温で16時間撹拌した。析出した沈殿物を濾別し、有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下でジクロロメタンを留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:トルエン−酢酸エチル混合物(容量比:トルエン/酢酸エチル=6/1))で精製し、メタノールで再結晶することにより、化合物(1−1−11)47gを得た。
得られた化合物(1−1−11)の相転移点およびNMRは以下の通りである。
相転移温度:C 81 I
1H−NMR(CDCl
3;δppm):8.17(d,2H),7.73(d,1H),7.60(d,2H),7.27(d,2H),7.04(d,2H),6.46(d,1H),6.17(s,1H),5.62(s,1H),4.59(d,2H),4.53(d,2H),4.49−4.42(m,4H),4.19(s,2H),1.97(s,3H),1.94−1.88(m,2H)0.96(t,3H).
【0101】
[実施例4]
化合物(1−1−12)を以下のスキームで合成した。
【0102】
(第1段階)
4−アセトキシ安息香酸50g、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン28gおよびピリジニウムp−トルエンスルホン酸(PPTS)6.7gをジクロロメタン1000mlに加え、窒素雰囲気下室温で8時間攪拌した。飽和重曹水を加え有機層を抽出した。得られた有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下でジクロロメタンを留去し、減圧乾燥した。得られた残渣をTHF500mlおよびメタノール500mlの混合溶液に加え、窒素雰囲気下冷却しながら撹拌した。そこへ、28%アンモニア水溶液30mlを滴下した。滴下後、室温で8時間撹拌した。減圧下でTHFおよびメタノールを留去し、酢酸エチル1000mlおよび水1000mlを加え有機層を抽出した。得られた有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で酢酸エチルを留去し、残渣をヘプタンで再結晶することにより、化合物(ex−9)41gを得た。
【0103】
(第2段階)
化合物(ex−9)41g、炭酸カリウム38gをDMF500mlに加え、窒素雰囲気下60℃で加熱しながら撹拌した。そこへ、エピブロモヒドリン76gを滴下した。滴下後、60℃で6時間撹拌した。沈殿物を濾別し、濾液に酢酸エチル1000mlおよび水1000mlを加え有機層を抽出した。得られた有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下でジクロロメタンを留去し、減圧乾燥した。得られた残渣をTHF300mlおよびメタノール300mlの混合溶液に加え、窒素雰囲気下冷却しながら撹拌した。そこへ、6N塩酸水30mlを滴下した。滴下後、室温で4時間撹拌した。酢酸エチル1000mlおよび水1000mlを加え有機層を抽出した。得られた有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で酢酸エチルを留去し、エタノールで再結晶することにより、化合物(ex−10)23gを得た。
【0104】
(最終段階)
化合物(ex−10)5g、化合物(ex−8)7gおよびDMAP0.3gを、ジクロロメタン100mlに加え、窒素雰囲気下冷却しながら撹拌した。そこへ、DCC6gのジクロロメタン溶液20mlを滴下した。滴下後、室温で16時間撹拌した。析出した沈殿物を濾別し、有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下でジクロロメタンを留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:トルエン−酢酸エチル混合物(容量比:トルエン/酢酸エチル=6/1))で精製し、メタノールで再結晶することにより、化合物(1−1−12)6gを得た。
得られた化合物(1−1−12)の相転移点およびNMRは以下の通りである。
相転移温度:C 154 I
1H−NMR(CDCl
3;δppm):8.21(d,2H),7.78(d,1H),7.60(d,2H),7.32(d,2H),7.12(d,2H),6.46(d,1H),6.24(s,1H),5.62(s,1H),4.51−4.43(m,4H),4.19−4.08(m,2H),3.08−3.01(m,1H),2.64−2.58(m,1H),2.51−2.44(m,1H),1.97(s,3H).
【0105】
[実施例5]
化合物(1−2−2)を以下のスキームで合成した。
【0106】
(第1段階)
trans−p−クマル酸100gおよびピリジン60gをテトラヒドロフラン(THF)1000mlに加え、窒素雰囲気下冷却しながら攪拌した。そこへ、無水酢酸75gを滴下した。滴下後、室温で4時間撹拌した。析出物をろ別し、トルエンで洗浄することにより、化合物(ex−11)72gを得た。
【0107】
(第2段階)
化合物(ex−11)30g、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン15gおよびピリジニウムp−トルエンスルホン酸(PPTS)3.6gをジクロロメタン600mlに加え、窒素雰囲気下室温で8時間攪拌した。飽和重曹水を加え有機層を抽出した。得られた有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下でジクロロメタンを留去し、減圧乾燥した。得られた残渣をTHF300mlおよびメタノール300mlの混合溶液に加え、窒素雰囲気下冷却しながら撹拌した。そこへ、28%アンモニア水溶液18mlを滴下した。滴下後、室温で8時間撹拌した。減圧下でTHFおよびメタノールを留去し、酢酸エチル500mlおよび水500mlを加え有機層を抽出した。得られた有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で酢酸エチルを留去し、残渣をヘプタンで再結晶することにより、化合物(ex−12)19gを得た。
【0108】
(第3段階)
化合物(ex−12)19gおよびトリエチルアミン12gをジクロロメタン200mlに加え、窒素雰囲気下冷却しながら撹拌した。そこへ、メタクリル酸クロライド9.6gを滴下した。滴下後、室温で4時間撹拌した。氷水を加え有機層を抽出した。得られた有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下でジクロロメタンを留去し、減圧乾燥した。得られた残渣をTHF200mlおよびメタノール200mlの混合溶液に加え、窒素雰囲気下冷却しながら撹拌した。そこへ、6N塩酸水20mlを滴下した。滴下後、室温で4時間撹拌した。酢酸エチル500mlおよび水500mlを加え有機層を抽出した。得られた有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で酢酸エチルを留去し、エタノールで再結晶することにより、化合物(ex−13)9.6gを得た。
【0109】
(最終段階)
グリシドール3.1g、化合物(ex−13)9.6gおよびDMAP0.5gを、ジクロロメタン100mlに加え、窒素雰囲気下冷却しながら撹拌した。そこへ、DCC8.9gのジクロロメタン溶液20mlを滴下した。滴下後、室温で16時間撹拌した。析出した沈殿物を濾別し、有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下でジクロロメタンを留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:トルエン−酢酸エチル混合物(容量比:トルエン/酢酸エチル=4/1))で精製し、メタノールで再結晶することにより、化合物(1−2−2)7.2gを得た。
得られた化合物(1−2−2)の相転移点およびNMRは以下の通りである。
相転移温度:C 94 I
1H−NMR(CDCl
3;δppm):7.95(d,2H),7.65(d,1H),7.43(d,2H),6.62(d,1H),6.38(s,1H),6.12(s,1H),4.45−4.21(m,2H),3.17−3.09(m,1H),2.82−2.74(m,1H),1.98(s,3H).
【0110】
[実施例6]
化合物(1−2−10)を以下のスキームで合成した。
【0111】
(第1段階)
2−ヒドロキシエチルメタクリレート50g、ピリジン50mlをトルエン150mlに加え、冷却下p−トルエンスルホン酸クロリド80gを添加し、窒素雰囲気下室温で16時間攪拌した。析出した塩を減圧濾過により除去した。濾液に水(100ml)を加え40℃で2時間攪拌した。有機層を分離し、得られた有機層を2N塩酸、飽和重曹水および水を順次用いて洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。トルエンを減圧留去し、粗製の無色の液体(ex−14)98gを得た。
【0112】
(第2段階)
trans−フェルラ酸100gおよびピリジン45gをテトラヒドロフラン(THF)1000mlに加え、窒素雰囲気下冷却しながら攪拌した。そこへ、無水酢酸63gを滴下した。滴下後、室温で4時間撹拌した。析出物をろ別し、トルエンで洗浄することにより、化合物(ex−15)81gを得た。
【0113】
(第3段階)
3−エチル−3−オキセタンメタノール10g、化合物(ex−15)20gおよびDMAP1.0gを、ジクロロメタン400mlに加え、窒素雰囲気下冷却しながら撹拌した。そこへ、DCC19gのジクロロメタン溶液40mlを滴下した。滴下後、室温で16時間撹拌した。析出した沈殿物を濾別し、有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下でジクロロメタンを留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:トルエン−酢酸エチル混合物(容量比:トルエン/酢酸エチル=4/1))で精製した。得られた残渣をTHF300mlおよびメタノール300mlの混合溶液に加え、窒素雰囲気下冷却しながら撹拌した。そこへ、28%アンモニア水溶液25mlを滴下した。滴下後、室温で8時間撹拌した。減圧下でTHFおよびメタノールを留去し、酢酸エチル500mlおよび水500mlを加え有機層を抽出した。得られた有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で酢酸エチルを留去し、残渣をトルエンで再結晶することにより、化合物(ex−16)12gを得た。
【0114】
(最終段階)
化合物(ex−14)14g、化合物(ex−16)12gおよびNaOH1.6gを、DMF120mlに加え、窒素雰囲気下80℃で加熱しながら8時間撹拌した。析出した沈殿物を濾別し、濾液に酢酸エチル500mlおよび水500mlを加え有機層を抽出した。得られた有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で酢酸エチルを留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:トルエン−酢酸エチル混合物(容量比:トルエン/酢酸エチル=4/1))で精製することにより、化合物(1−2−10)8.4gを無色の液体として得た。
得られた化合物(1−2−10)のNMRは以下の通りである。
1H−NMR(CDCl
3;δppm):7.54(d,1H),7.38−7.26(m,2H),6.69(d,1H),6.32(d,1H),6.14(d,1H),5.60(s,1H),4.59(d,2H),4.53(d,2H),4.51(t,2H),4.25(t,2H),4.19(s,2H),3.97(s,3H),3.80(s,3H),1.93−1.88(m,2H)0.94(t,3H).
【0115】
[実施例7]
化合物(1−2−4)を以下のスキームで合成した。
【0116】
(第1段階)
4−クロロブタノール100gにピリジン80gを加え、窒素雰囲気下冷却しながら攪拌した。そこへ、無水酢酸113gを滴下した。滴下後、室温で4時間撹拌した。反応液に水500mlおよびトルエン500mlを加え、有機層を分離した。得られた有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下でトルエンを留去し、残渣を蒸留することにより、化合物(ex−17)116gを得た。
【0117】
(第2段階)
4−ヒドロキシ安息香酸メチル50g、水酸化ナトリウム13gをDMF150mlに加え、窒素雰囲気下60℃で撹拌した。そこへ、ヨウ化ナトリウム5gを添加し、次いで化合物(ex−17)74gを滴下した。滴下後、80℃で8時間撹拌した。室温まで冷却した後、酢酸エチル300mlおよび水300mlを加え有機層を分離した。得られた有機層を2N塩酸、飽和重曹水および水を順次用いて洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で酢酸エチルを留去し、残渣にメタノール200ml、水酸化ナトリウム26gおよび水200mlを加え加熱還流下3時間攪拌した。減圧下でメタノールを留去し、残渣を3N塩酸水溶液に注ぎ込んだ。析出物を濾別し、得られた結晶をエタノールで再結晶することにより、化合物(ex−18)37gを得た。
【0118】
(第3段階)
化合物(ex−18)37g、N,N−ジメチルアミノピリジン30gを、THF400mlに加え、窒素雰囲気下冷却しながら撹拌した。そこへ、アクリル酸クロライド19gを滴下した。滴下後、室温で16時間撹拌した。反応液を氷水に注ぎ込み、酢酸エチル500mlを加え有機層を抽出した。得られた有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で溶剤を留去し、エタノールで再結晶することにより、化合物(ex−19)33gを得た。
【0119】
(第4段階)
3−エチル−3−オキセタンメタノール11g、化合物(ex−11)20gおよびDMAP1.2gを、ジクロロメタン400mlに加え、窒素雰囲気下冷却しながら撹拌した。そこへ、DCC21gのジクロロメタン溶液40mlを滴下した。滴下後、室温で16時間撹拌した。析出した沈殿物を濾別し、有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下でジクロロメタンを留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:トルエン−酢酸エチル混合物(容量比:トルエン/酢酸エチル=4/1))で精製した。得られた残渣をTHF300mlおよびメタノール300mlの混合溶液に加え、窒素雰囲気下冷却しながら撹拌した。そこへ、28%アンモニア水溶液25mlを滴下した。滴下後、室温で8時間撹拌した。減圧下でTHFおよびメタノールを留去し、酢酸エチル500mlおよび水500mlを加え有機層を抽出した。得られた有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で酢酸エチルを留去し、残渣をトルエンで再結晶することにより、化合物(ex−20)11gを得た。
【0120】
(最終段階)
化合物(ex−19)11g、化合物(ex−20)11gおよびDMAP0.5gを、ジクロロメタン200mlに加え、窒素雰囲気下冷却しながら撹拌した。そこへ、DCC9.0gのジクロロメタン溶液20mlを滴下した。滴下後、室温で16時間撹拌した。析出した沈殿物を濾別し、有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下でジクロロメタンを留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:トルエン−酢酸エチル混合物(容量比:トルエン/酢酸エチル=4/1))で精製し、メタノールで再結晶することにより、化合物(1−2−4)10gを得た。
得られた化合物(1−2−4)の相転移点およびNMRは以下の通りである。
相転移温度:C 127 I
1H−NMR(CDCl
3;δppm):8.15(d,2H),7.68(d,1H),7.51(d,2H),7.31(d,2H),7.14(d,2H),6.34−6.30(m,2H),6.19−6.11(m,1H),6.02−5.93(m,1H),4.58(d,2H),4.53(d,2H),4.50−4.38(m,4H),4.11(t,2H),2.19−2.10(m,2H),1.86−1.77(m,4H)0.96(t,3H).
【0121】
[実施例8]
化合物(1−1−1)のホモポリマーを以下のスキームで合成した。
【0122】
化合物(1−1−1)5.0gおよびアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.3gをTHF40mlに加え、窒素雰囲気下で10時間加熱還流下撹拌した。反応液をメタノールへ注ぎ込み再沈殿化した。結晶を濾別し、乾燥することにより、ポリマー(P−1)4.7gを得た。
【0123】
得られたポリマーは、Mwが7800、Mw/Mnが1.9であった。
【0124】
[実施例9]
化合物(1−1−11)のホモポリマーを実施例4と同様のスキームで合成した。
【0125】
化合物(1−1−11)5.0gおよびアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.02gをTHF40mlに加え、窒素雰囲気下で10時間加熱還流下撹拌した。反応液をメタノールへ注ぎ込み再沈殿化した。結晶を濾別し、乾燥することにより、ポリマー(P−2)4.5gを得た。
【0126】
得られたポリマーは、Mwが64000、Mw/Mnが2.4であった。
[実施例10]
化合物(1−1−1)と化合物(M−1−1)の共重合ポリマーを以下のスキームで合成した。
【0127】
化合物(1−1−1)2.5g、化合物(M−1−1)2.5gおよびアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.1gをTHF40mlに加え、窒素雰囲気下で10時間加熱還流下撹拌した。反応液をメタノールへ注ぎ込み再沈殿化した。結晶を濾別し、乾燥することにより、ポリマー(P−3)4.3gを得た。
【0128】
得られたポリマーは、Mwが12000、Mw/Mnが2.3であった。
【0129】
ここで、化合物(M−1−1)は国際公開第1994/00797号パンフレットの方法に従い合成した。
[実施例11]
化合物(1−1−1)とグリシジルメタクリレートの共重合ポリマーを以下のスキームで合成した。
【0130】
化合物(1−1−1)4.0g、グリシジルメタクリレート1.0gおよびアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.05gをTHF40mlに加え、窒素雰囲気下で10時間加熱還流下撹拌した。反応液をメタノールへ注ぎ込み再沈殿化した。結晶を濾別し、乾燥することにより、ポリマー(P−3)4.6gを得た。
【0131】
得られたポリマーは、Mwが45000、Mw/Mnが1.9であった。
[実施例12]
化合物(1−2−10)とメタクリル酸メチルおよびヒドロキシブチルメタクリレートの共重合ポリマーを以下のスキームで合成した。
【0132】
化合物(1−2−10)3.5g、メタクリル酸メチル1.0g、ヒドロキシブチルメタクリレート0.5およびアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.07gをTHF40mlに加え、窒素雰囲気下で10時間加熱還流下撹拌した。反応液をメタノールへ注ぎ込み再沈殿化した。結晶を濾別し、乾燥することにより、ポリマー(P−4)4.2gを得た。
【0133】
得られたポリマーは、Mwが38000、Mw/Mnが2.0であった。[実施例13]
化合物(1−2−4)とメタクリル酸メチルおよびヒドロキシブチルメタクリレートの共重合ポリマーを以下のスキームで合成した。
【0134】
化合物(1−2−10)2.0g、化合物(M−2−10)2.6g、化合物(S−5−1)0.4およびアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.03gをTHF40mlに加え、窒素雰囲気下で10時間加熱還流下撹拌した。反応液をメタノールへ注ぎ込み再沈殿化した。結晶を濾別し、乾燥することにより、ポリマー(P−4)4.4gを得た。
【0135】
得られたポリマーは、Mwが58000、Mw/Mnが2.2であった。
【0136】
ここで、化合物(M−1−2)は特許第4011652号公報に記載の方法に従い合成した。また、化合物(S−5−1)は特開2002−226429号公報に記載の方法に従い合成した。
【0137】
[実施例14]
ポリマー(P−1)をシクロペンタノン:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)=7:3(重量比)の混合溶剤に溶解させ、固形分濃度7重量%の溶液とした。この溶液を孔径0.45μmのフィルターで濾過することにより、光配向剤(H−1)を調製した。
【0138】
[実施例15]
ポリマー(P−1)をポリマー(P−2)に置き換えた以外は、実施例8と同様のスキームで光配向剤(H−2)を調製した。
【0139】
[実施例16]
<液晶配向膜F−1の作製>
光配向剤(H−1)を、ガラス基板上へスピンコートにより塗布した。この時、塗布性は良好であった。この基板を80℃で3分間加熱し、混合溶剤を除去することで塗膜を形成した。超高圧水銀ランプより、この塗膜表面に塗布面に対して90°の方向から313nm付近の波長の直線偏光紫外線を1.0J/cm
2照射することで、光配向処理した液晶配向膜F−1を得た。
【0140】
次に、2枚の光配向膜F−1で低分子液晶JC−5100XX(チッソ社製)を挟み、110℃のホットプレートで30秒加熱し、室温に静置した。クロスニコルにした二枚の偏光板の間に挟み水平面内で回転させると、明暗の状態となった。このことから、光配向膜F−1が水平配向であることが確認できた。
なお、液晶配向膜F−1を重ねるときは、塗布面が液晶に接するようにし、直線偏光の向きが同じ向き(ほぼ平行)になるようにした。
【0141】
[実施例17]
<重合性液晶組成物(1)の調製>
化合物(LC−1):化合物(LC−2)=50:50(重量比)で2つの化合物を混合した。この組成物をMIX1とする。このMIX1の全重量を基準として、重量比0.002の非イオン性のフッ素系界面活性剤(ネオス(株)製、商品名フタージェント FTX−218(登録商標))、および重量比0.06の重合開始剤irgacure907(BASF社製)を添加した。この組成物にシクロペンタノン:PGMEA=1:1(重量比)の混合溶剤を加えて、この混合溶剤の割合が80重量%である重合性液晶組成物(1)とした。
【0142】
上記記載の化合物(LC−1)および化合物(LC−2)の具体的製造法について説明する。化合物(LC−1)は特開2006−307150号公報に記載の方法に従い合成した。化合物(LC−2)は特開昭63−64029号公報に記載された方法に従い合成した。
【0143】
[実施例18]
<光学フィルムの形成>
実施例10で得られた液晶配向膜F−1に、重合性液晶組成物(1)をスピンコートにより塗布した。この基板を80℃で3分間加熱してから、室温で3分間冷却し、溶剤が除去された塗膜を紫外線により大気中で重合させて、液晶の配向状態を固定させた光学フィルムを得た。この光学フィルムを偏光顕微鏡で観察したところ、配向欠陥はなく、均一な配向を有していることが確認できた。この光学フィルムのレタデーションを測定したところ、ホモジニアス配向であることが確認できた。