(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
カメラが撮影可能な色の一部の波長を透過するカラーフィルタを用いて撮影された第1カラー画像、及び前記カラーフィルタを用いずに撮影された第2カラー画像を取得する画像取得手段と、
前記画像取得手段によって取得された前記第1カラー画像と前記第2カラー画像との対応点を複数検出する対応点検出手段と、
前記対応点検出手段によって検出された前記複数の対応点に基づいて、各対応点の位置が一致するように前記第1カラー画像を変形した第3カラー画像を生成する画像変形手段と、
前記画像取得手段によって取得された前記第2カラー画像及び前記画像変形手段によって生成された前記第3カラー画像の前記対応点の位置ずれ量が閾値以上であるか否かを判定する画像変形結果判定手段と、
前記画像変形結果判定手段によって前記対応点の位置ずれ量が閾値以上であると判定された場合、前記画像取得手段によって取得された前記第2カラー画像を用いて、被写体の色再現処理を行い、前記画像変形結果判定手段によって前記対応点の位置ずれ量が閾値未満であると判定された場合、前記画像取得手段によって取得された前記第2カラー画像及び前記画像変形手段によって生成された前記第3カラー画像を用いて、被写体の色再現処理を行う色再現処理手段と、
を含む画像処理装置。
カメラが撮影可能な色の一部の波長を透過するカラーフィルタを用いて撮影された第1カラー画像、及び前記カラーフィルタを用いずに撮影された第2カラー画像を取得する画像取得手段と、
前記画像取得手段によって取得された前記第1カラー画像と前記第2カラー画像との各々を小領域画像に分割する画像分割処理手段と、
前記小領域画像毎に、前記画像取得手段によって取得された前記第1カラー画像の前記小領域画像と、前記第2カラー画像の対応する前記小領域画像との対応点を複数検出する対応点検出手段と、
前記小領域画像毎に、前記対応点検出手段によって前記小領域画像について検出された前記対応点に基づいて、各対応点の位置が一致するように前記第1カラー画像の前記小領域画像を変形した第3カラー画像の小領域画像を生成する画像変形手段と、
前記小領域画像毎に、前記画像取得手段によって取得された前記第2カラー画像の前記小領域画像及び前記画像変形手段によって生成された前記第3カラー画像の対応する前記小領域画像の前記対応点の位置ずれ量が閾値以上であるか否かを判定する画像変形結果判定手段と、
前記画像変形結果判定手段によって前記対応点の位置ずれ量が閾値以上であると判定された前記小領域画像の各々について、前記第2カラー画像の前記小領域画像から、前記第1カラー画像の対応する前記小領域画像を推定する画像推定手段と、
前記画像変形結果判定手段によって前記対応点の位置ずれ量が未満以上であると判定された前記小領域画像に対応する前記第1カラー画像の前記小領域画像、及び前記画像推定手段によって推定された前記第1カラー画像の前記小領域画像を貼り合わせた画像を生成する画像貼り合わせ手段と、
前記画像取得手段によって取得された前記第2カラー画像及び前記画像貼り合わせ処理手段によって生成された画像を用いて、被写体の色再現処理を行う色再現処理手段と、
を含む画像処理装置。
前記小領域画像毎に、前記対応点検出手段によって前記小領域画像について検出された前記対応点の数が、所定値以上であるか否かを判定する検出対応点数判定手段を更に含み、
前記画像変形手段は、前記小領域画像毎に、前記検出対応点数判定手段によって前記小領域画像について前記対応点の数が所定値以上であると判定された場合、各対応点の位置が一致するように前記第1カラー画像の前記小領域画像を変形した前記第3カラー画像の小領域画像を生成し、
前記画像推定手段は、更に、前記検出対応点数判定手段によって前記対応点の数が所定値未満であると判定された前記小領域画像の各々について、前記第2カラー画像の前記小領域画像から、前記第1カラー画像の対応する前記小領域画像を推定する請求項4記載の画像処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0019】
[第1の実施の形態]
<システム構成>
第1の実施の形態に係る画像処理装置について説明する。
【0020】
第1の実施の形態に係る画像処理装置10は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、後述する色再現処理ルーチンを実行するためのプログラムを記憶したROM(Read Only Memory)とを備えたコンピュータで構成されている。このコンピュータは、機能的には、
図1に示すように、対応点検出部14、画像変形処理部15、画像変形結果判定部16、変形結果画像出力部17、色再現処理部18、及び色再現処理部19を含んだ構成で表すことができる。
【0021】
画像処理装置10には、画像入力部11で撮影されて得られた3バンド画像1と、画像入力部12で撮影されて得られたRGB(3バンド)画像2とが入力される。画像入力部11は、RGBカメラ11aを有しており、画像入力部12は、RGBカメラ12aを有している。RGBカメラ11a及びRGBカメラ12aは、共にCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor )等のセンサ及びRGB各色のフィルタを備えたデジタルカメラである。
図2に示すように、画像入力部11は、RGBカメラ11aの他、該RGBカメラ11aが有する本来のR、G、Bの各色に対応するフィルタの透過波長の一部のみを透過するカラーフィルタ11bを備えている(
図3(A)参照)。画像入力部11及び画像入力部12により、6つのバンドの各々のデジタル信号値が、6バンド画像の画素値として得られる(
図3(B)参照)。以下では、マルチバンド画像の一例として6バンド画像を例に挙げて説明するが、マルチバンド画像を6バンド画像に限定するものではない。また画像入力部11におけるカラーフィルタはカメラが有する波長感度の一部のみを透過するバンドパスフィルタでも良い。また画像入力部11におけるカメラは白黒カメラでも良い。
【0022】
画像処理装置10の対応点検出部14は、画像入力部11から入力された3バンド画像1のデータ、及び画像入力部12から入力された3バンド画像2のデータに基づいて、フィルタ無しで撮影した3バンド画像2を基準画像とし、フィルタを用いて撮影された3バンド画像1と3バンド画像2の2枚の3バンド画像間での対応点を複数検出する。
【0023】
2枚の3バンド画像間での対応点の検出は、例えば、位相限定相関法(参考文献(青木孝文、伊藤康一、柴原琢磨、長嶋聖、「位相限定相関法に基づく高精度マシンビジョン−ピクセル分解能の壁を越える画像センシング技術をめざして−」、Fundamentals Review Vol.1 No.1)を参照)に従って行えばよい。この場合には、
図4に示すように、対応点検出部14は、白黒画像生成部112a、112bと、位相画像生成部113a、113bと、相関画像生成部114と、対応点検出部115とを含んだ構成で表すことができる。この対応点検出部14によれば、白黒画像生成部112a、112bで、3バンド画像1及び3バンド画像2から白黒画像を各々生成し、位相画像生成部113a及び113bで、生成された白黒画像各々から位相画像を生成する。そして、相関画像生成部114で、生成された2つの位相画像から相関画像を生成し、対応点検出部115で、生成された相関画像における相関値が最大の座標に基づいて2画像間のずれ量を求めて対応点を検出する。相関値が最大の座標を求めるに当たり、例えばガウス関数等を内挿することによりサブピクセル精度でのずれ量、対応点の座標を検出することも可能である。
【0024】
対応点検出部14は、上記の対応点の検出の結果として、検出された対応点の数、及び3バンド画像1、2における対応点の座標およびズレ幅を出力する。
【0025】
画像変形処理部15は、得られた対応点の検出結果を用いて、カラーフィルタ11bを装着して撮影した画像(3バンド画像1)を変形させて、新たな3バンド画像(3バンド画像3)を生成する。
【0026】
画像変形処理部15による変形処理では、対応点検出部14で得られた対応点情報を元に画像変形パラメータ(射影変換の場合には水平/垂直方向のずれ量、3軸(X軸、Y軸、Z軸)それぞれに対する回転角度、倍率。スプライン補完等の非線形手法に基づく場合には、そのモデルパラメータ)を算出し、算出した画像変形パラメータを仮定した変形モデル(射影変換や非線形変換)に適用して、3バンド画像2と各対応点の位置が一致するように3バンド画像1に対して変形処理を施す。なお、画像変形における手法は、ここでは特に限定しないが、例えば、射影変換(線形変換)もしくは非線形的な画像変形処理を施す。
【0027】
画像変形結果判定部16は、3バンド画像2と3バンド画像3とに基づいて、画像変形が正しく行われたか否かを判定する。判定処理では、3バンド画像2と3バンド画像3の間での対応点が同じ座標上に存在するかを判断するために、画像間での対応点の位置ずれ量を再度計算する。また、対応点間の位置ずれ量(距離)に関する閾値を予め設定(閾値の決め方は限定しない)しておき、例えば、対応点間の平均二乗誤差が閾値以下であれば、正しく画像変形が行われたと判定し、閾値以上であれば正しく画像変形が行われなかったと判定する。なお、対応点間の平均二乗誤差が、対応点間の位置ずれ量の一例である。
【0028】
変形結果画像出力部17は、画像変形結果判定部16によって正しく画像変形が行われたと判定された場合に得られた3バンド画像2および3バンド画像3をメモリ上に展開、モニタ上へ表示、もしくはファイルへ出力する。
【0029】
色再現処理部18は、画像変形結果判定部16によって正しく画像変形が行われなかったと判定された場合に、3バンド画像2のみを用いた被写体の色再現処理を行い、色再現結果画像を生成して出力する。
【0030】
色再現処理では、3バンド画像2、色再現パラメータ(撮影時の照明光スペクトルやカメラの感度などの分光反射率推定に必要な情報、および再現したい照明環境での照明光スペクトルや表示デバイスの特性)に基づいて、3バンド画像2から写っている被写体の色(スペクトル、分光反射率、色、RGB/多原色信号値)をウィナー推定法等により算出し、色再現結果画像(分光反射率画像、もしくはRGB/多原色画像)を生成して出力する。
【0031】
例えば、ウィナー推定法を用いて、3バンド画像2から画素毎の分光反射率を推定し、推定した分光反射率を画素値とする分光反射率画像を生成する。そして、分光反射率画像から、例えば、RGB画像を生成する場合には、例えば、上記生成した分光反射率画像に対して、予め定めた再現したい照明環境での照明光スペクトル及び予め定めた表示デバイスの特性を用いて、RGB画像を生成すればよい。具体的には、予め定めた再現したい照明環境での照明光スペクトルと各画素に対応する推定された分光反射率の各波長の値を掛け合わせ反射光スペクトルを算出し、更に各画素に等色関数を掛け合わせXYZ測色値を求める。各画素について計算されたXYZ測色値から表示デバイスの特性(XYZ測色値と表示デバイスのRGB値の関係式、およびトーンカーブなど表示デバイスに関する入出力の関係)に基づきR値、G値、及びB値を計算し、各画素の画素値を、計算したRGB値とするRGB画像を生成する。予め等色関数と表示デバイスの特性からスペクトル-RGB値変換行列を求めておき、反射スペクトルに対し該当行列を掛け合わせ、さらにトーンカーブによる補正を経てRGB画像を生成してもよい。
【0032】
色再現処理部19は、画像変形結果判定部16によって正しく画像変形が行われたと判定された場合に、3バンド画像2および3バンド画像3を用いて、色再現処理を行い、色再現結果画像を生成して出力する。
【0033】
色再現処理では、3バンド画像2、3バンド画像3、色再現パラメータ(撮影時の照明光スペクトルやカメラの感度などの分光反射率推定に必要な情報、および再現したい照明環境での照明光スペクトルや表示デバイスの特性)に基づいて、3バンド画像2及び3バンド画像3から、写っている被写体の色(スペクトル、分光反射率、色、RGB/多原色信号値)をウィナー推定法等により算出し、色再現結果画像(分光反射率画像、もしくはRGB/多原色画像)を生成して出力する。
【0034】
<画像処理装置の作用>
次に、第1の実施の形態に係る画像処理装置10の作用について説明する。まず、画像入力部11及び画像入力部12により、3バンド画像1及び3バンド画像2が撮影された後、画像処理装置10によって、
図5に示す色再現処理ルーチンが実行される。
【0035】
ステップS101において、画像入力部11で撮影された3バンド画像1のデータ及び画像入力部12で撮影された3バンド画像2のデータを取得する。
【0036】
ステップS102において、上記ステップS101で取得した3バンド画像1及び3バンド画像2の間における対応点を複数検出する。そして、ステップS103において、上記ステップS102で検出された対応点の情報に基づいて、上記ステップS101で取得した3バンド画像1に対して画像変形処理を行って、3バンド画像3を生成する。
【0037】
次のステップS104では、上記ステップS101で取得した3バンド画像2及び上記ステップS103で生成された3バンド画像3の間における対応点の位置ずれ量(例えば平均二乗誤差)を計算する。そして、ステップS105において、上記ステップS104で計算された位置ずれ量が閾値以上であるか否かを判定する。計算された位置ずれ量が閾値以上である場合には、ステップS106において、3バンド画像2のみを用いて、被写体の色再現処理を行い、色再現処理の結果を出力し、色再現処理ルーチンを終了する。
【0038】
一方、上記ステップS105で、計算された対応点の位置ずれ量が閾値未満であると判定された場合には、ステップS107において、上記ステップS101で取得した3バンド画像2及び上記ステップS103で生成された3バンド画像3を出力する。次のステップS108では、上記ステップS101で取得した3バンド画像2及び上記ステップS103で生成された3バンド画像3を用いて、被写体の色再現処理を行い、色再現処理の結果を出力し、色再現処理ルーチンを終了する。
【0039】
以上説明したように、第1の実施の形態の画像処理装置によれば、カラーフィルタの無いRGBカメラにより撮影された3バンド画像2を基準画像として、各対応点の位置が一致するように、カラーフィルタを装着したRGBカメラにより撮影された3バンド画像1を変形した3バンド画像3を生成し、3バンド画像3との対応点の位置ずれ量(例えば平均二乗誤差)が閾値以上である場合に、3バンド画像2のみを用いて、被写体の色再現処理を行うことにより、従来手法よりも色再現結果の精度および色再現結果画像の画質が向上する。
【0040】
画像変形処理に失敗した場合のエッジ周辺の偽色は(面積は微小だが)人の目には極めて目立つ。それに対して、3原色画像から色再現処理を行っても大きな劣化は人には感じられない。従って、画像の変形処理に失敗し、マルチバンド撮影の生成に失敗した場合でも、最低でも現在一般的に用いられている3バンド画像からの色再現結果とほぼ同等の精度が保証される。
【0041】
[第2の実施の形態]
<システム構成>
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態の画像処理装置について、第1の実施の形態の画像処理装置10と同様の構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0042】
第2の実施の形態の画像処理装置210を構成するコンピュータは、機能的には、
図6に示すように、対応点検出部14、検出対応点数判定部214、画像変形処理部15、画像変形結果判定部16、変形結果画像出力部17、色再現処理部18、及び色再現処理部19を含んだ構成で表すことができる。
【0043】
検出対応点数判定部214は、対応点検出部14で検出された対応点の数が閾値以上(例えば、画像変形処理が射影変形である場合の閾値は6点以上)であるか否かを判定し、検出された対応点の数が閾値以上であれば、画像の変形に十分な数の対応点が検出されたと判定し、一方、検出された対応点の数が閾値未満であれば、画像の変形に十分な数の対応点が検出されなかったと判定する。
【0044】
検出対応点数判定部214によって、画像の変形に十分な数の対応点が検出されたと判定された場合には、画像変形処理部15が、対応点検出部14で得られた対応点の情報を用いて、カラーフィルタ11bを装着して撮影した3バンド画像2を変形させて、新たな3バンド画像3を生成する。
【0045】
検出対応点数判定部214によって、画像の変形に十分な数の対応点が検出されなかったと判定された場合、色再現処理部18は、3バンド画像2のみを用いた被写体の色再現処理を行い、色再現結果画像を生成して出力する。
【0046】
<画像処理装置の作用>
次に、
図7を参照して、第2の実施の形態の画像処理装置210で実行される色再現処理ルーチンについて説明する。なお、第1の実施の形態における色再現処理ルーチンと同一の処理については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0047】
ステップS101において、画像入力部11で撮影された3バンド画像1のデータ及び画像入力部12で撮影された3バンド画像2のデータを取得する。
【0048】
ステップS102において、上記ステップS101で取得した3バンド画像1及び3バンド画像2の間における対応点を複数検出する。そして、ステップS201において、上記ステップS102で検出された対応点の数が閾値以上であるか否かを判定する。検出された対応点の数が閾値以上である場合には、ステップS103へ移行するが、一方、検出された対応点の数が閾値未満である場合には、ステップS106へ移行する。
【0049】
ステップS103では、上記ステップS101で取得した3バンド画像1に対して画像変形処理を行って、3バンド画像3を生成する。次のステップS104では、上記ステップS101で取得した3バンド画像2及び上記ステップS103で生成された3バンド画像3の間における対応点の位置ずれ量(例えば平均二乗誤差)を計算する。そして、ステップS105において、上記ステップS104で計算された対応点の位置ずれ量が閾値以上であるか否かを判定する。計算された対応点の位置ずれ量が閾値以上である場合には、ステップS106において、3バンド画像2を用いて、被写体の色再現処理を行い、色再現処理の結果を出力し、色再現処理ルーチンを終了する。
【0050】
一方、上記ステップS105で、計算された対応点の位置ずれ量が閾値未満であると判定された場合には、ステップS107において、上記ステップS101で取得した3バンド画像2及び上記ステップS103で生成された3バンド画像3を出力する。次のステップS108では、上記ステップS101で取得した3バンド画像2及び上記ステップS103で生成された3バンド画像3を用いて、被写体の色再現処理を行い、色再現処理の結果を出力し、色再現処理ルーチンを終了する。
【0051】
以上説明したように、第2の実施の形態の画像処理装置によれば、カラーフィルタの無いRGBカメラにより撮影された3バンド画像2を基準画像として、各対応点の位置が一致するように、カラーフィルタを装着したRGBカメラにより撮影された3バンド画像1を変形した3バンド画像3を生成し、画像変形に十分な対応点の数が検出されなかった場合、及び3バンド画像3との対応点の位置ずれ量が閾値以上である場合に、3バンド画像2を用いて、被写体の色再現処理を行うことにより、従来手法よりも色再現結果の精度が向上する。
【0052】
なお、上記の第1の実施の形態及び第2の実施の形態において、画像変形結果判定部16によって正しく画像変形が行われなかったと判定された場合に、再度、画像変形を行って、画像変形結果判定部16での判定をやり直すようにしてもよい。例えば、
図8に示すように、画像変形結果判定部16によって正しく画像変形が行われなかったと判定された場合に、画像変形処理部215によって、再度、画像変形処理を行い、画像変形結果判定部16によって正しく画像変形が行われたと判定されるまで繰り返す。ある設定回数を超えた場合には正しい画像変形は不可能と判断し、色再現処理部18によって、3バンド画像2のみを用いて色再現処理を行う。
【0053】
[第3の実施の形態]
<システム構成>
次に、第3の実施の形態について説明する。なお、第3の実施の形態の画像処理装置について、第1の実施の形態の画像処理装置10と同様の構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0054】
第3の実施の形態の画像処理装置310を構成するコンピュータは、機能的には、
図9に示すように、画像分割処理部312、色再現結果画像生成部314、及び画像貼り合わせ処理部316を含んだ構成で表すことができる。
【0055】
画像分割処理部312は、画像入力部11で得られた3バンド画像1及び画像入力部12で得られた3バンド画像2の各々を小領域画像に分割する。3バンド画像1は、3バンド画像2の小領域画像と同じサイズ、もしくは3バンド画像2を分割して得られた小領域よりも大きなサイズの領域に分割される。3バンド画像1、3バンド画像2を小領域画像に分割する際には、分割した小領域画像を最終的に1枚の画像に復元する際に画像の欠落を防ぐため、3バンド画像1および3バンド画像2ともに、分割した小領域の画像には重なりがあることが好ましい。
【0056】
また、画像分割処理部312は、計算処理の高速化を考慮して、一辺の画素数を2のべき乗、64 pixel, 128 pixel, 256pixel、などとした小領域画像に分割することが好ましい。
【0057】
色再現結果画像生成部314は、対応点検出部14、画像変形処理部15、画像変形結果判定部16、変形結果画像出力部17、色再現処理部18、及び色再現処理部19を含み、対応点検出部14、画像変形処理部15、画像変形結果判定部16、変形結果画像出力部17、色再現処理部18、及び色再現処理部19の各々が、画像分割処理部312によって分割された、対応する3バンド画像1の小領域画像及び3バンド画像2の小領域画像の組み合わせ毎に、上記の第1の実施の形態と同様の処理を行う。色再現結果画像生成部314は、小領域画像毎に、当該小領域画像の色再現結果画像を出力する。なお色再現結果画像生成部314は、上記の第2の実施の形態と同様の処理を行っても良い。
【0058】
画像変形処理部15では、小領域内で局所的な対応点のみが画像変形パラメータに影響を与えるため、画像全体から得られた対応点すべてを使うよりも精度良く、撮影画像間の位置ずれを補正できる。
【0059】
また、画像貼り合わせ処理部316は、色再現結果画像生成部314によって生成された小領域画像毎の色再現結果画像をタイリングして、小領域画像に分割する前の元画像のサイズの画像となるように1枚の画像に貼り合わせて、色再現結果画像を生成し、出力する。
【0060】
<画像処理装置の作用>
次に、
図10を参照して、第3の実施の形態の画像処理装置310で実行される色再現処理ルーチンについて説明する。なお、第1の実施の形態における色再現処理ルーチンと同一の処理については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0061】
ステップS101において、画像入力部11で撮影された3バンド画像1のデータ及び画像入力部12で撮影された3バンド画像2のデータを取得する。
【0062】
ステップS302において、上記ステップS101で取得した3バンド画像1及び3バンド画像2の各々を、小領域画像に分割する。ステップS303において、上記ステップS302で分割された小領域画像のうち、処理対象の小領域画像として、対応する3バンド画像1及び3バンド画像2の各々の小領域画像の組み合わせを設定する。
【0063】
そして、ステップS304において、処理対象として設定された3バンド画像1及び3バンド画像2の各々の小領域画像に対して、上記第1の実施の形態で説明した
図5に示す色再現処理ルーチンと同様の処理を実行して、当該小領域画像に対する色再現結果画像を生成する。
【0064】
ステップS305では、全ての小領域画像について、上記ステップS303、S304の処理を実行したか否かを判定し、上記ステップS303、S304の処理を実行していない小領域画像が存在する場合には、上記ステップS303に戻り、当該小領域画像を、処理対象として設定する。一方、全ての小領域画像について、上記ステップS303、S304の処理を実行したと判定された場合には、ステップS306へ移行する。
【0065】
ステップS306では、上記ステップS304で得られた各小領域画像に対する色再現結果画像を貼り合わせて、1枚の色再現結果画像を生成して出力し、色再現処理ルーチンを終了する。
【0066】
以上説明したように、第3の実施の形態の画像処理装置によれば、小領域画像毎に、カラーフィルタの無いRGBカメラにより撮影された3バンド画像2を基準画像として、各対応点の位置が一致するように、カラーフィルタを装着したRGBカメラにより撮影された3バンド画像1を変形した3バンド画像3を生成し、小領域画像毎に、3バンド画像3との対応点の位置ずれ量(例えば平均二乗誤差)が閾値以上である場合に、3バンド画像2の当該小領域画像のみを用いて、被写体の色再現処理を行うことにより、従来手法よりも色再現結果の精度および画質が向上する。
【0067】
画像変形処理に失敗した場合のエッジ周辺の偽色は(面積は微小だが)人の目には極めて目立つ。それに対して、画像変形処理に失敗した小領域を3原色で処理する場合は、全体としてはごく僅かな面積となるため、3原色画像から色再現処理としても大きな劣化は人には感じられない。小領域画像の変形処理に失敗した場合でも、最低でも3バンド画像からの色再現精度が保証される。
【0068】
なお、上記の実施の形態では、色再現結果画像生成部314が、対応点検出部14、画像変形処理部15、画像変形結果判定部16、変形結果画像出力部17、色再現処理部18、及び色再現処理部19を含んだ構成で表わされる場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。色再現結果画像生成部314が、対応点検出部14、検出対応点数判定部214、画像変形処理部15、画像変形結果判定部16、変形結果画像出力部17、色再現処理部18、及び色再現処理部19を含んだ構成で表わされるようにしてもよい。この場合には、対応点検出部14、検出対応点数判定部214、画像変形処理部15、画像変形結果判定部16、変形結果画像出力部17、色再現処理部18、及び色再現処理部19の各々が、画像分割処理部312によって分割された、対応する3バンド画像1の小領域画像及び3バンド画像2の小領域画像の組み合わせ毎に、上記の第2の実施の形態と同様の処理を行う。
【0069】
[第4の実施の形態]
<システム構成>
次に、第4の実施の形態について説明する。なお、第4の実施の形態の画像処理装置について、第1の実施の形態の画像処理装置10及び第3の実施の形態の画像処理装置310と同様の構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0070】
第4の実施の形態の画像処理装置410を構成するコンピュータは、機能的には、
図11に示すように、画像分割処理部312、小領域変形判定部414、画像バンド数変換処理部416、画像貼り合わせ処理部418、変形結果画像出力部420、及び色再現処理部422を含んだ構成で表すことができる。なお、画像バンド数変換処理部416が、画像推定手段の一例である。
【0071】
小領域変形判定部414は、対応点検出部14、検出対応点数判定部214、画像変形処理部15、及び画像変形結果判定部16を含み、対応点検出部14、検出対応点数判定部214、画像変形処理部15、及び画像変形結果判定部16の各々が、画像分割処理部312によって分割された、対応する3バンド画像1の小領域画像及び3バンド画像2の小領域画像の組み合わせ毎に、上記の第2の実施の形態と同様の処理を行う。小領域変形判定部414は、小領域画像毎に、3バンド画像1の当該小領域画像及び3バンド画像3の当該小領域画像と、検出対応点数判定部214の判定結果と、画像変形結果判定部16の判定結果とを出力する。また、小領域変形判定部414は、上記の第1の実施形態と同様の処理を行っても良い。
【0072】
画像バンド数変換処理部416は、検出対応点数判定部214によって画像の変形に十分な数の対応点が検出されなかったと判定された小領域画像、及び画像変形結果判定部16によって正しく画像変形が行われなかったと判定された小領域画像の各々について、3バンド画像2の当該小領域画像から、画像入力部11で得られるであろう3バンド画像1の当該小領域画像を推定して生成し、画像変形後の3バンド画像3の当該小領域画像と画像データを置き換える。
【0073】
3バンド画像1の推定処理では、3バンド画像2の当該小領域画像から分光反射率を推定し、撮影時の照明光スペクトル、および画像入力部11の光学特性を用いて、画像入力部11で得られるのと同等の画像の当該小領域画像を推定する。例えば、3バンド画像2の当該小領域画像からウィナー推定法などを用いて画素毎の分光反射率を推定し、推定した分光反射率を画素値とする分光反射率画像を生成する。生成した分光反射率画像に対して、予め定めた撮影時の照明光スペクトルを掛け合わせて観察される反射光スペクトルを算出し、得られた反射光スペクトルに対し、画像入力部11におけるカメラ11aとカラーフィルタ11bを総合した予め定めた分光感度を掛け合わせることで、画像入力部11で得られたであろう信号値を画素毎に算出し、画像入力部11で得られるのと同等の画像の当該小領域画像を生成する。
【0074】
画像貼り合わせ処理部418は、画像変形結果判定部16によって正しく画像変形が行われたと判定された小領域画像に対応する3バンド画像3の各小領域画像と、画像バンド数変換処理部416によって生成された各小領域画像とを貼り合わせ、オリジナル画像サイズの3バンド画像3を生成する。あるいは、3バンド画像2を更に用いて、1枚の6バンド画像を生成するようにしてもよい。
【0075】
変形結果画像出力部420は、画像貼り合わせ処理部418によって生成された3バンド画像3、及び3バンド画像2からなる2種類の3バンド画像(もしくは1枚の6バンド画像)をメモリ上に展開、モニタ上へ表示、もしくはファイルへ出力する。
【0076】
色再現処理部422は、画像貼り合わせ処理部418によって生成された3バンド画像3、及び3バンド画像2からなる2種類の3バンド画像(もしくは1枚の6バンド画像)を用いて、色再現処理部19と同様に、被写体の色再現処理を行い、色再現結果画像を生成して出力する。
【0077】
<画像処理装置の作用>
次に、
図12を参照して、第4の実施の形態の画像処理装置410で実行される色再現処理ルーチンについて説明する。なお、第1の実施の形態、第2の実施の形態及び第3の実施の形態における色再現処理ルーチンと同一の処理については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0078】
ステップS101において、画像入力部11で撮影された3バンド画像1のデータ及び画像入力部12で撮影された3バンド画像2のデータを取得する。
【0079】
ステップS302において、上記ステップS101で取得した3バンド画像1及び3バンド画像2の各々を、小領域画像に分割する。ステップS303において、上記ステップS302で分割された小領域画像のうち、処理対象の小領域画像として、対応する3バンド画像1及び3バンド画像2の各々の小領域画像の組み合わせを設定する。
【0080】
そして、ステップS404において、処理対象として設定された3バンド画像1及び3バンド画像2の各々の小領域画像に対して、上記第1の実施の形態で説明した
図7に示す色再現処理ルーチンのステップS101、S102、S201、S103、S104、S105と同様の処理を実行して、当該小領域画像に対して、対応点検出、検出対応点数の判定、画像変形、及び画像変形結果の判定を行う。
【0081】
ステップS305では、全ての小領域画像について、上記ステップS303、S404の処理を実行したか否かを判定し、上記ステップS303、S404の処理を実行していない小領域画像が存在する場合には、上記ステップS303に戻り、当該小領域画像を、処理対象として設定する。一方、全ての小領域画像について、上記ステップS303、S404の処理を実行したと判定された場合には、ステップS406へ移行する。
【0082】
ステップS406では、上記ステップS404で得られた各小領域画像に対する判定結果に基づいて、画像の変形に十分な数の対応点が検出されなかったと判定された小領域画像、及び画像変形結果判定部16によって正しく画像変形が行われなかったと判定された小領域画像の各々について、3バンド画像2の当該小領域画像から、画像入力部11で得られるであろう3バンド画像1の当該小領域画像を推定して生成し、3バンド画像3の当該小領域画像と画像データを置き換える。
【0083】
ステップS407では、上記ステップS406で置き換えられた結果の3バンド画像3の各小領域画像を貼り合わせて、1枚の3バンド画像3を生成する。次のステップS408では、上記ステップS101で取得した3バンド画像2、及び上記ステップS407で生成した3バンド画像3を用いて、被写体の色再現処理を行い、色再現処理の結果を出力し、色再現処理ルーチンを終了する。
【0084】
以上説明したように、第4の実施の形態の画像処理装置によれば、小領域画像毎に、カラーフィルタの無いRGBカメラにより撮影された3バンド画像2を基準画像として、各対応点の位置が一致するように、カラーフィルタを装着したRGBカメラにより撮影された3バンド画像1を変形した3バンド画像3を生成し、小領域画像毎に、3バンド画像3との対応点の位置ずれ量(例えば平均二乗誤差)が閾値以上である場合に、3バンド画像2の当該小領域画像を用いて、3バンド画像1と同様の画像を推定し、小領域画像を貼り合わせた画像を用いて、被写体の色再現処理を行うことにより、従来手法よりも色再現結果の精度が向上する。
【0085】
なお、上記の実施の形態では、小領域変形判定部414が、対応点検出部14、検出対応点数判定部214、画像変形処理部15、及び画像変形結果判定部16を含んだ構成で表わされる場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。小領域変形判定部414が、上記の第1の実施の形態で説明した対応点検出部14、画像変形処理部15、及び画像変形結果判定部16を含んだ構成で表わされるようにしてもよい。この場合には、画像バンド数変換処理部416は、画像変形結果判定部16によって正しく画像変形が行われなかったと判定された小領域画像の各々について、3バンド画像2の当該小領域画像から、画像入力部11で得られるであろう3バンド画像1の当該小領域画像を推定するようにすればよい。
【0086】
また、上記第1〜第4の実施の形態では、2つの3バンド画像(計6バンド画像)が画像処理装置に入力される例について説明したが、マルチバンド画像であれば、これに限定されないのはもちろんである。
【0087】
また、上記第1〜第4の実施の形態では、マルチバンド画像を入力する画像入力装置として、RGBカメラ11a及びカラーフィルタ11bを有する画像入力部11と、RGBカメラ12aを有する画像入力部12とを例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、
図13に示すように、RGBカメラと、単色カラーフィルタを備えた単色(白黒)カメラを複数台組み合わせた多眼式カメラシステムにも適用可能である。また画像入力部11におけるカラーフィルタはカメラが有する波長感度の一部のみを透過するバンドパスフィルタでも良い。また画像入力部11におけるカメラは白黒カメラでも良い。
【0088】
また、上記第1〜第4の実施の形態では、2つの画像入力部により3バンド画像1及び3バンド画像2が同期して撮像される場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、1つの画像入力部から時系列で撮像される3バンド画像1及び3バンド画像2を用いてもよい。この場合には、カラーフィルタの装着及び非装着を切替える機構を設け、カラーフィルタを装着した状態で3バンド画像1を撮像し、カラーフィルタを外した状態で3バンド画像2を撮像するようにすればよい。また、3つ以上の画像入力部を有していても構わない。
【0089】
また、上述の画像処理装置は、内部にコンピュータシステムを有しているが、コンピュータシステムは、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
【0090】
また、本願明細書中において、プログラムが予めインストールされている実施形態として説明したが、当該プログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。