(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光伝送路同士を接続する部分に設けられて前記光伝送路を伝搬する通信光の一部を漏洩光として取り出す光取り出し手段を備えた光コネクタに接続され、前記光取り出し手段からの前記漏洩光を検知する光検知器において、
前記漏洩光の光量から検知した前記通信光の光量を出力する出力手段と、
前記受光部にて受光した前記漏洩光から伝送装置間で送受信されるフレームを検知し、該フレームに含まれる識別番号から装置識別情報を取得する装置識別部と、
前記装置識別部で取得した前記装置識別情報を表示する識別情報表示部と、
を備えたことを特徴とする光検知器。
前記漏洩光を受光する受光部と、該受光部にて受光した前記漏洩光の光量を検知し、前記漏洩光の光量に基づいて前記通信光の光量を検知して出力する検知部とをさらに備え、前記出力手段は、前記検知部にて検知した前記通信光の光量を表示する光量表示部を有する請求項1に記載の光検知器。
前記装置識別部は、外部装置に記憶されたデータベースと通信する通信手段を備え、該通信手段により前記装置識別番号を前記データベースと照会して前記装置識別情報を取得する請求項1から3の何れか一項に記載の光検知器。
光伝送路同士を接続する部分に設けられて前記光伝送路を伝搬する通信光の一部を取り出す光取り出し手段を備えた光コネクタが前記光伝送路の複数箇所に設けられており、請求項1から4の何れか一項に記載の光検知器が前記光コネクタに接続されることで前記光伝送路の複数箇所の前記通信光の光量が検知され、光損失の発生箇所が特定されることを特徴とする光伝送システム。
【背景技術】
【0002】
データセンタや局舎などの光通信関連設備では、光伝送路を伝搬する通信光は、可視光領域にない不可視光であることが多いため、目視にて確認することができない。そのため、光伝送路が使用されているか否かといった運用状態を容易に把握できず、また、使用中の光伝送路を未使用と誤認して、光コネクタを抜いてしまうなどの問題があった。
【0003】
そこで、光通信関連設備の保守性や運用効率を向上させるため、光ファイバを接続した状態で、光伝送路を伝搬される通信光の有無を目視で確認するための光検知器が検討されている。
【0004】
例えば、光ファイバが内蔵された割スリーブ内で突き合わせ接続されるフェルールの端面同士の間にギャップを設け、そのギャップに光透過性樹脂からなる導波体を設け、導波体の上方に導かれた通信光の一部を蛍光体で受光し、通信光の伝搬の有無を検出する光検知器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、光ファイバを内蔵した2つのフェルール間に光導波路基板を配置し、通信光の一部を光導波路基板にて分岐して通信光出力部へ取り出すことにより、通信光の有無を確認する光検知器が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
通信光の一部を分岐して取り出す分岐器を使用し、分岐光の端末部に可視光変換素子を取り付ける光検知器が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
このように、従来の光検知器では、取り出した通信光の一部を可視光に変換して出力することで、通信光の有無を目視で確認できるようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、光通信関連設備において、従来の光検知器を光伝送路内に配置させることにより、任意の光伝送路を伝搬する通信光の有無を把握することはできるものの、光伝送路の劣化等によって光損失が発生しているか否かは把握することができない。
【0010】
そのため、通信障害等の問題が生じる前に、光損失が発生した光伝送路の交換や切り替え等の措置を講じることができない場合があり、従来の光検知器で光通信関連設備の保守性や運用効率を向上させるのに十分であるとは言い難い。
【0011】
そこで、本発明の目的は、光伝送路を伝搬する通信光の有無を検知することができると共に、光伝送路における光損失の発生の有無を検知することができる光検知器及びこれを用いた光伝送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、請求項1の発明は、光伝送路同士を接続する部分に設けられて前記光伝送路を伝搬する通信光の一部を漏洩光として取り出す光取り出し手段を備えた光コネクタに接続され、前記光取り出し手段からの前記漏洩光を検知する光検知器において、前記漏洩光の光量から検知した前記通信光の光量を出力する出力手段と、前記受光部にて受光した前記漏洩光から
伝送装置間で送受信されるフレームを検知し、該
フレームに含まれる識別番号から装置識別情報を取得する装置識別部と、前記装置識別部で取得した前記装置識別情報を表示する識別情報表示部と、を備えたことを特徴とする光検知器である。
【0013】
請求項2の発明は、前記漏洩光を受光する受光部と、該受光部にて受光した前記漏洩光の光量を検知し、前記漏洩光の光量に基づいて前記通信光の光量を検知して出力する検知部とをさらに備え、前記出力手段は、前記検知部にて検知した前記通信光の光量を表示する光量表示部を有する請求項1に記載の光検知器である。
【0014】
請求項3の発明は、前記光量表示部は、前記検知部にて検知された前記通信光の光量を含む所定範囲の通信光の光量の最低値が表示される請求項2に記載の光検知器である。
【0016】
請求項
4の発明は、前記装置識別部は、外部装置に記憶されたデータベースと通信する通信手段を備え、該通信手段により前記装置識別番号を前記データベースと照会して前記装置識別情報を取得する請求項
1から3の何れか一項に記載の光検知器である。
【0017】
請求項
5の発明は、光伝送路同士を接続する部分に設けられて前記光伝送路を伝搬する通信光の一部を取り出す光取り出し手段を備えた光コネクタが前記光伝送路の複数箇所に設けられており、請求項
1から4の何れか一項に記載の光検知器が前記光コネクタに接続されることで前記光伝送路の複数箇所の前記通信光の光量が検知され、光損失の発生箇所が特定されることを特徴とする光伝送システムである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、光伝送路を伝搬する通信光の有無を検知することができると共に、光伝送路における光損失の発生の有無を検知することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施の形態を示す光検知器の斜視図であり、
図2は、
図1の光検知器と光検知器を取り付ける光コネクタを示す断面図である。
【0022】
図1、
図2に示すように、光検知器1は、伝送装置間を接続する光伝送路(例えば光ファイバ)中に設けられその光伝送路を伝搬する通信光の一部を漏洩させる光取り出し手段2を備えた光コネクタ3(詳細は後述)に、接続され、その光取り出し手段2からの漏洩光を検知するものであり、この漏洩光の光量から検知した通信光の光量を出力する出力手段を備える。
【0023】
また、光検知器1は、漏洩光を受光すると共に受光した漏洩光を電気信号に変換する受光部4と、受光部4にて受光した漏洩光の光量を検知し、その漏洩光の光量に基づいて通信光の光量を検知して出力する検知部(図示せず)とをさらに備える。本実施の形態において、出力手段は、検知部にて検知した通信光の光量を表示する光量表示部5で構成される。つまり、出力手段は、受光部4で受光した漏洩光に基づいて検知部で検出(算出)した通信光の光量を人が認識できる形で出力するためのものである。また、受光部4及び検知部は、回路基板6に実装され、光検知部が構成される。光検知部を構成する回路基板6は略直方体状の筐体(光検知器本体)7内に収容される。
【0024】
受光部4は、光検知器1を光コネクタ3に接続した際に、光取り出し手段2と対向するように、筐体7の底面から突出して設けられる。受光部4は、光コネクタ3の光取り出し手段2によって漏洩された通信光の一部(漏洩光)を受光して電気信号に変換するためのものであり、PD(フォトダイオード)などの光起電力効果型の光センサからなる。この光センサから出力される電気信号を損失なく後段(検知部)へ伝送するために、増幅器をさらに備えるようにしてもよい。
【0025】
光量表示部5は、複数の発光素子からなり、それぞれの発光素子は筐体7の上面に設けられる。発光素子は、例えばLED(発光ダイオード)からなる。これら発光素子は、検知部で検出された通信光の光量に基づいて発光されて光伝送路を伝搬する通信光の光量を表示(
図1、
図2では、−10dBm、−20dBm、−30dBm、−40dBmの各光量を表示)する。
【0026】
例えば、通信光の光量が検知されていない場合は、「OFF」の発光素子が発光されて通信光の光量が検知されていないことを表示する。また、通信光の光量が−40dBm未満の範囲の場合(OFFの場合を除く)、全ての発光素子が発光されずに、−40dBm未満であることを表示する。さらに、通信光の光量が−40dBm以上−30dBm未満の範囲の場合は、「−40dBm」の発光素子が発光されて通信光の光量が−40dBm以上−30dBm未満の範囲であることを表示する。同様に、−30dBm以上−20dBm未満の範囲、或いは−20dBm以上−10dBm未満の範囲の場合、「−30dBm」或いは「−20dBm」の発光素子が発光されてそれぞれの光量を表示する。また、通信光の光量が−10dBm以上の場合は、「−10dBm」の発光素子が発光されて通信光の光量が−10dBm以上であることを表示する。
【0027】
つまり、光量表示部5は、少なくとも検知部にて検知された通信光の光量を含む所定範囲の通信光の光量の最低値を補償する(表示する)光量表示手段を有する。
【0028】
この他にも筐体7内には、受光部4や検知部、発光素子に電力を供給するための電力供給部(例えば、電池など)8が収容される。
【0029】
筐体7の上面には、電力供給部8からの電力の供給の有無を切り替えるための電源スイッチ9が設けられる。他方、筐体7の底面には、光コネクタ3に形成されたガイド溝10に挿入される複数(
図1、
図2では4つ)の脚部11が形成される。
【0030】
図1、
図2では、通信光の光量を出力する4つの発光素子と、通信光の有無を表示する1つの発光素子とを設ける場合を示しているが、通信光の光量をより細かく表示できる、つまり検知部で検出した光量をそのままの値で出力する発光素子を備えるようにしてもよい。
【0031】
光検知器1を接続する光コネクタ3の一例を説明する。
【0032】
図2に示すように、光コネクタ3は、サーバ等の伝送装置間を接続する光伝送路中に設けられその光伝送路同士を光接続すべく、コネクタ本体12内に光伝送路と光結合するコア部及びクラッド部を有する接合体13を備える。なお、コア部及びクラッド部の各外径は、伝送損失の発生を抑制するという点で、光伝送路(例えば光ファイバ)のコア及びクラッドの各外径と等しいことが好ましい。
【0033】
接合体13の両端部外周は、コネクタ本体12内に収容されたスリーブ14,15にそれぞれ嵌入され、固定される。接合体13の両端面には、光コネクタ3の使用時に、一方の伝送装置側のSCコネクタが備える円筒状のフェルールと他方の伝送装置側のSCコネクタが備える円筒状のフェルールがそれぞれ挿入されて突き合わせ接続される。一方の伝送装置側のフェルールには光伝送路である一方の伝送装置側の光ファイバが内蔵され、他方の伝送装置側のフェルールには光伝送路である他方の伝送装置側の光ファイバが内蔵される。接合体13の外径は、一方の伝送装置側及び他方の伝送装置側のフェルールの外径と同じであり、接合体13のコア部及びクラッド部が光伝送路である一方の伝送装置側及び他方の伝送装置側の光ファイバと同一直線状となるように配置されている。
【0034】
接合体13は、コア部を伝搬する通信光の一部を取り出すための光取り出し手段2を構成している。光取り出し手段2は、通信光の一部を光検知器1側(の方向)へ取り出すものである。
【0035】
光取り出し手段2は、例えば、接合体13の受光部4と対向する位置に、接合体13の表面からコア部までを少なくとも貫通するように、通信光の一部を漏洩光として取り出すための光検知用溝を形成して構成される。光検知用溝は、受光部4と対向する位置の接合体13に、受光部4の受光面に対して垂直に形成され、縦断面視で略矩形状(凹状)に形成される。なお、光取り出し手段2は、光検知用溝を形成した接合体13に限るものではなく種々の変更が可能である。
【0036】
光取り出し手段2である接合体13を収容するコネクタ本体12は、角形筒状であり、一端部(
図2では左側)が例えば一方の伝送装置側の光コネクタアダプタ16となり、他端部(
図2では右側)が他方の伝送装置側の光コネクタアダプタ17となる。
【0037】
コネクタ本体12内の中央部には、2つのスリーブ14,15と、これらスリーブ14,15間の内側に保持される接合体13とが収容される。コネクタ本体12内の接合体13の上部には、光取り出し手段2で一部を取り出した通信光を光検知器1に出力するための光出力ポート18が形成される。
【0038】
光出力ポート18は、光取り出し手段2からの出力(漏洩光)を光検知器1に出力すると共に、その光検知器1をコネクタ本体12に対して着脱自在に挿抜する検知孔19からなる。この検知孔19に異物が入り込むのを防止するため、コネクタ本体12には、コネクタ本体12に光検知器1が取り付けられていないときに、検知孔19に異物が入り込むのを防止するカバー20が開閉自在に設けられ、そのカバー20には、検知孔19に嵌合する円柱状の防塵栓21が形成される。
【0039】
また、コネクタ本体12の側面には、光検知器1を取り付ける際に、光検知器1の受光部4を光出力ポート18の検知孔19にガイドして、光検知器1の位置決めを行うためのガイド溝10が形成される。
【0040】
本実施の形態に係る光検知器1の作用を説明する。
【0041】
光検知器1にて通信光の検知を行う際は、光コネクタ3のカバー20を開けて光出力ポート18を露出させた後、光検知器1の脚部11を光コネクタ3のガイド溝10に沿って挿入する。すると、光検知器1の筐体7の底面から突出した受光部4が、位置決めされた状態で光出力ポート18である検知孔19に収容される。この状態で、電源スイッチ9をONにすることで、通信光の検知が可能となる。
【0042】
光検知器1では、受光部4にて、光コネクタ3の光取り出し手段2からの漏洩光を受光すると共に受光した漏洩光を電気信号に変換する。検知部では、受光部4にて受光した漏洩光の光量を検知し、その検知した漏洩光の光量に基づいて通信光の光量を検知(算出)する。例えば、光コネクタ3の光取り出し手段2が通信光の1/1000の漏洩光を取り出すように設計されているとすると、検知した漏洩光の光量を1000倍すれば通信光の光量を算出することができ、通信光の光量を得られる。
【0043】
通信光の光量が得られたら、その光量を光量表示部5で表示する。すなわち、検知部で検知した通信光の光量に基づいて発光素子を発光させる。例えば、光量が−10dBmであれば−10dBmを表示する発光素子を発光させ、光量が検出できない(漏洩光がない、或いは極めて小さい)ときにはOFFを表示する発光素子を発光させる。この発光素子の選択は既知のブリッジ回路等で実現すればよい。
【0044】
このように、本実施の形態に係る光検知器1によれば、漏洩光の光量から検知した通信光の光量を出力する出力手段を備えるため、通信光の有無に加えて通信光の光量をも検知することが可能となる。
【0045】
また、光検知器1は、漏洩光を受光すると共に受光した漏洩光を電気信号に変換する受光部4と、受光部4にて受光した漏洩光の光量を検知し、その漏洩光の光量に基づいて通信光の光量を検知して出力する検知部とを備え、出力手段が検知部にて検知した通信光の光量を表示する光量表示部5で構成されるため、簡易な構造で通信光の光量の表示を実現することができる。
【0046】
また、光量表示部5により、少なくとも表示された(発光された)通信光の光量の値以上の光量が得られている(検知されている)ことがわかる。したがって、光伝送路を伝搬する通信光の光量を検知し、この検知した光量を通信光の初期の光量と比較することにより、光伝送路における光損失の発生の有無を知ることができ、これにより光伝送路の劣化等を判別し、通信障害等の問題が生じる前に、光損失が発生した光伝送路の交換や切り替え等の措置を講じることができ、従来の光検知器よりも光通信関連設備の保守性や運用効率を向上させることができる。
【0047】
さらに、本実施の形態では、光検知器1と光コネクタ3とを別体としているため、通信光の有無や通信光の光量を確認する必要があるときだけ光検知器1を取り付けることができ、常時は光検知器1を別体として取り外しておくことができる。そのため、光検知器1が1台あれば複数の光コネクタ3の通信光を検知することができる。データセンタや局舎などの光通信関連設備では、非常に多くの光コネクタを用いている場合が多く、光検知器1と光コネクタ3を一体とした場合に比べて光検知器に係るコストを大幅に削減することが可能となる。
【0048】
本実施の形態では、発光素子にて通信光の有無や通信光の光量を出力するものとしたが、表示方法はこれに限られず、LCD(液晶ディスプレイ)を用いて文字情報として表示するようにしてもよい。
【0049】
次に、本発明の他の実施の形態を
図3、
図4にしたがって説明する。
図3、
図4では、
図1の光検知器1の各部材と同様の機能を有するものには
図1と同じ符号を付すものとする。
【0050】
図3に示すように、本発明の他の実施の形態に係る光検知器100は、
図1、
図2の光検知器1において、受光部4にて受光した漏洩光から装置識別信号を検知し、この検知した装置識別信号に含まれる識別番号(識別No.)から装置識別情報を取得する装置識別部と、装置識別部で取得した装置識別情報を表示する識別情報表示部101とをさらに備えたものである。なお、装置識別部は、検知部に設けられていてもよく、また、検知部とは別に設けられていてもよい。
【0051】
装置識別信号は、伝送装置間で通常に送受信されるフレームでもよいし、伝送装置間で装置識別用の専用の信号を定期的に送信させるようにしてもよい。この装置識別信号から読み取る識別番号とは、例えば、専用のフレームに格納した値や、送信フレーム中のディスティネーションアドレスやセンドアドレスなどの領域に格納されるMACアドレスやIPアドレスのことである。
【0052】
装置識別部は、無線或いは有線により外部装置(データベースなど)と通信する通信手段を備える。識別情報表示部101は、光検知器100の筐体7の上面に設けられる。識別情報表示部101は、LCD(液晶ディスプレイ)などの文字情報表示機能を有するものからなる。外部装置は、装置識別信号に対応する装置識別情報を予めデータベースとして記憶させた通信手段を有するデータベースサーバ等のことである。装置識別情報とは、例えば、通信光を検知している光コネクタに接続されている伝送装置(接続装置)や回線No.、その回線に用いられている光ファイバの種別、その光ファイバの伝送速度などのことである。
【0053】
本発明の他の実施の形態に係る光検知器100の作用を説明する。
【0054】
この光検知器100は、受光部4で漏洩光を受光すると、装置識別部により漏洩光から装置識別信号を読み取る(例えば、センドアドレスの領域を参照して送信元アドレスを取得する)。
図4に示すように、装置識別部は、その通信手段によって、漏洩光から読み取った識別番号(例えば、送信元アドレス)を外部装置に送信する。外部装置は、装置識別部から送信された識別番号を受信した後、自身に記憶されたデータベース102を参照して識別番号と対応する装置識別情報を抽出し、この装置識別情報を光検知器1に送信する。
【0055】
例えば、外部装置が、装置識別部から識別番号として「002」を受信した場合、データベース102を参照して、識別番号「002」に対応する接続装置「AAB」、回線No.「2b−2b」、光ファイバ種別「MMF(50:コア径)」、伝送速度「1Gbps」を抽出し、これらの装置識別情報を光検知器1に送信する。
【0056】
そして、光検知器1の装置識別部は、外部装置から送信された装置識別情報を受信して、得られた装置識別情報を識別情報表示部101に表示する。また、光量表示部5には通信光の光量が表示される。
【0057】
このように、本発明の光検知器100によれば、受光部4にて受光した漏洩光から装置識別信号を検知し、この検知した装置識別信号に含まれる識別番号から装置識別情報を取得する装置識別部と、装置識別部で取得した装置識別情報を表示する識別情報表示部101とをさらに備えるため、通信光の有無、及び光損失の発生の有無を知ることができると共に、通信光の光量、さらには装置識別情報を検知することができる。
【0058】
光検知器100では、データベース102が外部装置に記憶されているとしたが、光検知器100自体にデータベース102を備えていてもよい。例えば、回路基板6にメモリ部を設け、そのメモリ部にデータベース102を記憶させておき、装置識別情報を得る際にはメモリ部に記憶されたデータベース102を照会するようにしてもよい。
【0059】
次に、光検知器1(或いは光検知器100)を用いた光伝送システムを
図5で説明する。
【0060】
図5に示すように、本発明の光伝送システム200は、本発明の光検知器1(或いは光検知器100)を用い、光伝送路の複数箇所で通信光の光量を計測することにより、損失発生箇所を特定できるようにしたシステムである。
【0061】
この光伝送システム200では、A区域に伝送装置I〜IVが配置され、B区域に伝送装置V,VIが配置され、C区域に伝送装置VII,VIIIが配置される。伝送装置IはB区域の伝送装置VIに接続されている。同様に、伝送装置IIは伝送装置Vに接続され、伝送装置IIIは伝送装置VIIに接続され、伝送装置IVは伝送装置VIIIに接続されている。このように、伝送装置同士が一対一で接続されている。
【0062】
これらの伝送装置を接続する光伝送路中のX〜Z地点にはそれぞれ光コネクタ3が設けられている。但し、伝送装置IIIと伝送装置VIIとを接続する光伝送路ではX地点及びY地点の2箇所のみに光コネクタ3が設けられている。
【0063】
図5において、損失発生箇所の特定手順を具体的に説明すると、各光伝送装置同士を接続する各光伝送路中のX〜Z地点に設けられた各光コネクタ3に光検知器1を順次接続して各地点での通信光の光量を計測し、光量が想定外に低下する区間を損失発生箇所として特定する。
図5の例では、伝送装置Iと伝送装置VIを接続する光伝送路のX地点とY地点との間に損失発生箇所があり、X地点及びY地点での通信光の光量を比較することで、この区間内に損失発生箇所が存在すると特定できる。
【0064】
このように、本発明の光伝送システム200によれば、損失発生後、光検知器1で光伝送路の複数の地点での通信光の光量を計測することで、従来では特定困難であった損失発生箇所が特定できる。
【0065】
また、光伝送システム200において、各光コネクタ3に光検知器1を常時接続しておくか、定期的に光検知器1で通信光の光量を検知しておくことで、各地点での通信光の光量を経時的に観測することができるので、光伝送路の劣化及びその劣化箇所を特定できる。よって、光伝送路の劣化に応じて光伝送路の交換や切り替え等の措置を講じることで、光伝送路で通信障害が発生するのを事前に防ぐことができる。従って、光通信関連設備の保守性や運用効率を向上させることができる。
【0066】
上記実施の形態では、光検知器1と光コネクタ3を別体として説明したが、光検知器1と光コネクタ3は一体であってもよい。
【0067】
上記実施の形態においては、出力手段が光検知器に設けられて通信光の光量を表示する光量表示部からなる例で説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、通信光の光量の表示や記憶(記録)などを行う光検知器とは別の場所に設置された外部媒体へ、漏洩光の光量から検知した通信光の光量を信号として出力する出力手段であってもよい。なお、このような場合には、例えば、光検知器と外部媒体とをケーブルなどの伝送線路を用いて接続して通信光の光量を含む信号を外部媒体へ出力したり、或いは、通信光の光量を含む信号を無線を用いて光検知器から外部媒体へ出力してもよい。