(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
支持体に複数の転写部作製部を形成し、前記複数の転写部作製部を含む前記支持体の一方の面を粘着層で被覆し、前記粘着層を押圧して、前記一方の面の前記複数の転写部作製部が形成されている位置に、前記粘着層と一体的に形成された凸又は凹形状の複数の基準マーク転写部を形成する第1工程と、
前記一方の面に、前記粘着層を介して、回路形成面が前記一方の面と対向するように半導体チップを配置する第2工程と、
前記一方の面に、前記半導体チップ及び前記複数の基準マーク転写部を被覆する封止樹脂を形成し、前記封止樹脂の前記粘着層と接する主面に、凸又は凹形状の前記複数の基準マーク転写部の形に倣った形状の凹又は凸形状の複数の基準マークを形成する第3工程と、
前記支持体及び前記粘着層と共に前記複数の基準マーク転写部を除去し、前記回路形成面と、前記複数の基準マークが形成された前記主面とを露出させる第4工程と、
前記回路形成面上及び前記主面上に、前記複数の基準マークを基に前記半導体チップと電気的に接続される配線層を含む配線構造体を形成する第5工程と、を有する半導体パッケージの製造方法。
前記第5C工程では、前記複数の基準マークの位置を基準として、前記絶縁層上に前記配線層の一部として新たな基準マークを形成する請求項5記載の半導体パッケージの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。又、以下に説明する平面図等において、断面図との対応関係を明確化する目的で、断面図と同一のハッチングを施す場合がある。
【0016】
〈第1の実施の形態〉
[第1の実施の形態に係る半導体パッケージの構造]
図4は、第1の実施の形態に係る半導体パッケージを例示する断面図である。
図4を参照するに、半導体パッケージ10は、半導体チップ20及び封止樹脂30を基体とし、その上に極薄の配線構造体40が形成され、更に配線構造体40上に外部接続端子49が形成された構造を有する。
【0017】
半導体パッケージ10の平面形状は例えば矩形状であり、その寸法は、例えば幅15mm(X方向)×奥行き15mm(Y方向)×厚さ0.6mm(Z方向)程度とすることができる。以下、半導体パッケージ10を構成する半導体チップ20、封止樹脂30、配線構造体40、及び外部接続端子49について詳説する。
【0018】
半導体チップ20は、半導体基板21と、電極パッド22と、突起電極23とを有する。半導体チップ20の厚さは、例えば300〜500μm程度とすることができる。
【0019】
半導体基板21は、例えばシリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)等からなる基板に半導体集積回路(図示せず)が形成されたものである。電極パッド22は、半導体基板21の回路形成面側に形成されており、半導体集積回路(図示せず)と電気的に接続されている。電極パッド22の材料としては、例えばアルミニウム(Al)等を用いることができる。電極パッド22の材料として、銅(Cu)とアルミニウム(Al)をこの順番で積層したもの、銅(Cu)とアルミニウム(Al)とシリコン(Si)をこの順番で積層したもの等を用いても構わない。
【0020】
突起電極23は電極パッド22上に形成されている。突起電極23としては、例えば円柱形状の銅(Cu)ポスト等を用いることができる。突起電極23の直径は、例えば50μm程度とすることができる。突起電極23の高さは、例えば5〜10μm程度とすることができる。隣接する突起電極23のピッチは、例えば100μm程度とすることができる。なお、電極パッド22上に突起電極23を設けなくてもよい。この場合には、電極パッド22自体が配線構造体40の第1配線層42と電気的に接続される電極となる。
【0021】
以降、半導体チップ20において、回路形成面を主面と称する場合がある。又、半導体チップ20において、主面と反対側に位置する主面と略平行な面を裏面と称する場合がある。又、半導体チップ20において、主面及び裏面と略垂直な面を側面と称する場合がある。
【0022】
封止樹脂30は、半導体チップ20の裏面及び側面を被覆するように形成されている。但し、半導体チップ20の放熱性能を向上させるため、半導体チップ20の裏面の全部又は一部を封止樹脂30から露出させても構わない。封止樹脂30の配線構造体40側の面(以降、封止樹脂30の主面とする)は、半導体チップ20の主面と略面一とされている。
【0023】
封止樹脂30の材料としては、例えばエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂等の絶縁性樹脂を用いることができる。封止樹脂30の、半導体チップ20の側面を被覆する部分の幅W
1は、例えば50〜100μm程度とすることができる。封止樹脂30の厚さT
1は、例えば500〜700μm程度とすることができる。
【0024】
配線構造体40は、第1絶縁層41、第1配線層42、第2絶縁層43、第2配線層44、第3絶縁層45、第3配線層46、ソルダーレジスト層47が順次積層された構造を有する。配線構造体40の厚さT
2は、例えば30〜50μm程度とすることができる。
図4では、封止樹脂30の厚さT
1と配線構造体40の厚さT
2は同程度に描かれているが、実際は、配線構造体40の厚さT
2は封止樹脂30の厚さT
1と比べて大幅に薄くなっている。
【0025】
第1絶縁層41は、略面一である半導体チップ20の主面及び封止樹脂30の主面に、半導体チップ20の突起電極23を覆うように形成されている。第1絶縁層41の材料としては、例えばエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂等の絶縁性樹脂を用いることができる。第1絶縁層41の厚さは、例えば10μm程度とすることができる。
【0026】
第1配線層42は、第1絶縁層41上に形成されている。第1配線層42は、第1絶縁層41を貫通し突起電極23の上面を露出する第1ビアホール41x内に充填されたビア配線、及び第1絶縁層41上に形成された配線パターンを有する。第1配線層42は、第1ビアホール41xの底部に露出した突起電極23と電気的に接続されている。第1配線層42の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。第1配線層42を構成する配線パターンの厚さは、例えば5μm程度とすることができる。このように、半導体パッケージ10では、半導体チップ20と配線構造体40との電気的接続にバンプを用いていない。
【0027】
第2絶縁層43は、第1絶縁層41上に、第1配線層42を覆うように形成されている。第2絶縁層43の材料や厚さは、第1絶縁層41と同様とすることができる。
【0028】
第2配線層44は、第2絶縁層43上に形成されている。第2配線層44は、第2絶縁層43を貫通し第1配線層42の上面を露出する第2ビアホール43x内に充填されたビア配線、及び第2絶縁層43上に形成された配線パターンを有する。第2配線層44は、第2ビアホール43xの底部に露出した第1配線層42と電気的に接続されている。第2配線層44の材料や厚さは、第1配線層42と同様とすることができる。
【0029】
第3絶縁層45は、第2絶縁層43上に、第2配線層44を覆うように形成されている。第3絶縁層45の材料や厚さは、第1絶縁層41と同様とすることができる。
【0030】
第3配線層46は、第3絶縁層45上に形成されている。第3配線層46は、第3絶縁層45を貫通し第2配線層44の上面を露出する第3ビアホール45x内に充填されたビア配線、及び第3絶縁層45上に形成された配線パターンを有する。第3配線層46は、第3ビアホール45xの底部に露出した第2配線層44と電気的に接続されている。第3配線層46の材料や厚さは、第1配線層42と同様とすることができる。
【0031】
ソルダーレジスト層47は、第3絶縁層45上に、第3配線層46を覆うように形成されている。ソルダーレジスト層47は開口部47xを有し、第3配線層46の一部はソルダーレジスト層47の開口部47xの底部に露出している。ソルダーレジスト層47の材料としては、例えばエポキシ系樹脂やイミド系樹脂等を含む感光性樹脂組成物等を用いることができる。ソルダーレジスト層47の厚さは、例えば10μm程度とすることができる。
【0032】
必要に応じ、開口部47xの底部に露出する第3配線層46上に、金属層を形成してもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。
【0033】
外部接続端子49は、開口部47xの底部に露出する第3配線層46上に(第3配線層46上に金属層が形成されている場合には、金属層の上に)形成されている。本実施の形態において、半導体パッケージ10は、外部接続端子49の形成されている領域が半導体チップ20の直上の領域の周囲に拡張された所謂ファンアウト構造を有する。つまり、封止樹脂30の主面の上方に外部接続端子49が位置するように、配線層を引き回している。隣接する外部接続端子49のピッチは、隣接する突起電極23のピッチ(例えば100μm程度)よりも拡大することが可能となり、例えば200μm程度とすることができる。但し、半導体パッケージ10は、目的に応じて所謂ファンイン構造を有しても構わない。
【0034】
外部接続端子49は、マザーボード等の実装基板(図示せず)に設けられたパッドと電気的に接続される端子として機能する。外部接続端子49としては、例えば、はんだボール等を用いることができる。はんだボールの材料としては、例えばPbを含む合金、SnとCuの合金、SnとAgの合金、SnとAgとCuの合金等を用いることができる。外部接続端子49として、リードピン等を用いても構わない。
【0035】
但し、本実施の形態では外部接続端子49を形成しているが、外部接続端子49は必ずしも形成する必要はない。要は、必要なときに外部接続端子49を形成できるように第3配線層46の一部がソルダーレジスト層47から露出していれば十分である。
【0036】
なお、本実施の形態では、封止樹脂30の幅W
1として50〜100μmを例示した。しかし、ファンアウト構造により多端子の半導体パッケージを実現する場合、封止樹脂30の幅W
1を0.5〜6mm程度とし、封止樹脂30の主面の上方に、より多数の外部接続端子49を設けてもよい。
【0037】
以上が、半導体チップ20の主面上及び封止樹脂30の主面上に、極薄の配線構造体40が形成された半導体パッケージ10の構造である。
【0038】
[第1の実施の形態に係る半導体パッケージの製造方法]
続いて、第1の実施の形態に係る半導体パッケージの製造方法について説明する。
図5〜
図16は、第1の実施の形態に係る半導体パッケージの製造工程を例示する図である。なお、
図5〜
図9において、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図である。
【0039】
まず、
図5及び
図6に示す工程では、粘着層51で被覆された一方の面に複数の凹部51xが形成された支持体50を作製する。なお、凹部51xは、本発明に係る基準マーク転写部の代表的な一例である。
【0040】
より詳しく説明すると、始めに、
図5に示す工程では、支持体50を準備し、準備した支持体50に複数の貫通孔50xを形成する。なお、貫通孔50xは、本発明に係る転写部作製部の代表的な一例である。貫通孔50xは、最終的に個片化されて半導体パッケージ10となる領域外に形成することが好ましく、例えば、支持体50の外縁部近傍に形成することができる。但し、貫通孔50xは、配線構造体40の形成に影響を与えない領域(例えば、半導体パッケージ10の最外縁部近傍)であれば、最終的に個片化されて半導体パッケージ10となる領域内に形成してもよい。なお、
図5では2個の貫通孔50xを形成しているが、3個以上の貫通孔50xを形成しても構わない。
【0041】
支持体50としては、例えば、銅板を用いることができる。なお、支持体50は必ずしも銅板には限定されず、鉄やニッケル等の他の金属板やガラス板、シリコン板等を使用できるが、後述する支持体50を除去する工程(
図9参照)において、エッチングで容易に除去できる銅板を用いることが好ましい。
【0042】
支持体50の平面形状は、例えば、直径200mm程度の円形とすることができる。支持体50の厚さは、例えば、300〜800μm程度とすることができる。なお、本実施の形態では、支持体50の平面形状が円形である場合を例示するが、支持体50の平面形状は矩形や楕円等であっても構わない。
【0043】
貫通孔50xは、例えば、エッチングやプレス加工等により形成できる。貫通孔50xの直径は、例えば、30〜300μm程度とすることができる。貫通孔50xをエッチングで形成する場合は、エッチングを行う場所を除く支持体50の一方の面を感光性材料等のマスク(図示せず)で覆い、マスクで覆われていない部分の支持体50を除去する。支持体50が銅板である場合には、例えば、塩化第二鉄水溶液や塩化第二銅水溶液、過硫酸アンモニウム水溶液等を用いてエッチングを行うことができる。
【0044】
次に、
図6に示す工程では、複数の貫通孔50xを含む支持体50の一方の面を粘着層51で被覆し、粘着層51を加熱しながら支持体50の一方の面側に押圧し(所謂ラミネート)、支持体50の一方の面に複数の貫通孔50xに対応する複数の凹部51xを形成する。凹部51xは、加熱により軟化した粘着層51の一部が押圧されて貫通孔50x内に入り込むことにより形成される。粘着層51としては、例えば、アクリル系粘着材やポリイミド系粘着材が形成されたフィルム等を用いることができる。粘着層51の厚さは、例えば、50〜70μm程度とすることができる。凹部51xの深さは、例えば、30μm程度とすることができる。
【0045】
次に、
図7に示す工程では、個片化された複数の半導体チップ20を準備する。各半導体チップ20は、半導体基板21と、電極パッド22と、突起電極23とを有し、電極パッド22及び突起電極23は各半導体チップ20の主面側(回路形成面側)に形成されている。そして、準備した各半導体チップ20を、支持体50の一方の面の凹部51xが形成されていない領域に、主面が粘着層51を介して支持体50の一方の面と対向するように配置し、支持体50の一方の面側に押圧する。これにより、各半導体チップ20は、フェイスダウンの状態で粘着層51を介して支持体50の一方の面上に仮固定される。
【0046】
次に、
図8に示す工程では、圧縮成形により、支持体50の一方の面に粘着層51を介して、各半導体チップ20の裏面及び側面、並びに複数の凹部51を被覆する封止樹脂30を形成する。具体的には、
図7に示す構造体を下金型(図示せず)上に載置し、粘着層51上や各半導体チップ20の裏面及び側面、並びに複数の凹部51上に封止樹脂30の材料であるエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂等の絶縁性樹脂のペレットや粉末を載置する。そして、載置した絶縁性樹脂のペレット又は粉末を加熱し流動化させ、上金型(図示せず)で下金型(図示せず)の反対側から押圧することにより均一化し硬化させ、封止樹脂30を形成する。なお、上金型(図示せず)が粘着層51の最外縁部に接するため、粘着層51の最外縁部には封止樹脂30が形成されない領域ができる。加熱は、例えば150℃5分程度とすることができる。封止樹脂30の厚さT
1は、例えば500〜700μm程度とすることができる。なお、圧縮成形に代えて、トランスファーモールド法等により封止樹脂30を形成しても構わない。
【0047】
次に、
図9に示す工程では、
図8に示す支持体50及び粘着層51を除去する。なお、
図9は、便宜上、
図5〜
図8とは上下反転して図示している。支持体50が銅板である場合には、例えば、塩化第二鉄水溶液や塩化第二銅水溶液、過硫酸アンモニウム水溶液等を用いたエッチングにより除去できる。粘着層51は、支持体50を除去した後、機械的に剥離することにより除去できる。
【0048】
これにより、各半導体チップ20の主面と、複数の凹部51xが転写されて複数の凸部30xが形成された封止樹脂30の主面(各半導体チップ20の主面と同一側の面)が露出する。又、各半導体チップ20の裏面及び側面は封止樹脂30により被覆され、各半導体チップ20の主面と封止樹脂30の主面とは略面一となる。
【0049】
複数の凹部51xが転写された複数の凸部30xは、封止樹脂30の主面の外縁部近傍に形成される。各凸部30xの高さは、各凹部51xの深さに対応し、例えば、30μm程度とすることができる。各凸部30xは、
図9以降の工程において、配線パターン等を形成する際の基準マーク(アライメントマーク)として用いることができる。凸部30xを2個形成する場合は、2個の凸部30xを結ぶ線が半導体チップ20の配列方向に対して所定の傾斜角を持つように配置することが好ましい。
【0050】
各凸部30xは、封止樹脂30形成時の樹脂の流動等による各半導体チップ20のシフト量を検討するための基準マークとして用いることもできる。ここで、各半導体チップ20のシフト量とは、各半導体チップ20が本来固定されるべき位置(設計値)と各半導体チップ20が実際に固定された位置との差である。各半導体チップ20のシフト量を検討することにより、封止樹脂30形成時の樹脂の収縮量等を把握することが可能となり、この情報を半導体パッケージ10の製造工程にフィードバックすることができる。
【0051】
次に、
図10に示す工程では、各半導体チップ20の主面上及び封止樹脂30の主面上に、各半導体チップ20の主面側に設けられた突起電極23を被覆する第1絶縁層41を形成する。第1絶縁層41の材料としては、例えば熱硬化性を有するシート状のエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂等の絶縁性樹脂、又は、熱硬化性を有する液状又はペースト状のエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂等の絶縁性樹脂を用いることができる。
【0052】
第1絶縁層41は、後述する工程(
図11参照)でレーザ加工法等により第1ビアホール41xを形成しやすくするために、例えばシリカ(SiO
2)等のフィラーが含有された加工性に優れた樹脂材を用いることが好ましい。第1絶縁層41に含有されるフィラーの量を調整することにより、第1絶縁層41の線膨張係数を調整することもできる。他の絶縁層についても同様である。第1絶縁層41の厚さは、例えば10μm程度とすることができる。
【0053】
第1絶縁層41の材料として熱硬化性を有するシート状のエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂等を用いた場合には、各半導体チップ20の主面上及び封止樹脂30の主面上に、半導体チップ20の突起電極23を覆うようにシート状の第1絶縁層41をラミネートする。そして、ラミネートした第1絶縁層41を押圧しながら硬化温度以上に加熱して硬化させる。なお、第1絶縁層41を真空雰囲気中でラミネートすることにより、第1絶縁層41中へのボイドの巻き込みを防止することができる。
【0054】
第1絶縁層41の材料として熱硬化性を有する液状又はペースト状のエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂等を用いた場合には、各半導体チップ20の主面上及び封止樹脂30の主面上に、半導体チップ20の突起電極23を覆うように液状又はペースト状の第1絶縁層41を例えばスピンコート法等により塗布する。そして、塗布した第1絶縁層41を硬化温度以上に加熱して硬化させる。
【0055】
なお、第1絶縁層41は、光をある程度透過させるため、第1絶縁層41を介して基準マークとなる凸部30xを認識できる。
【0056】
次に、
図11に示す工程では、第1絶縁層41に、第1絶縁層41を貫通し突起電極23の上面を露出する第1ビアホール41xを形成する。第1ビアホール41xは、例えばCO
2レーザ等を用いたレーザ加工法により形成できる。この際、基準マークとなる複数の凸部30xの位置を基準として、突起電極23の上面に対する第1ビアホール41xの形成位置を決定することができる。
【0057】
レーザ加工法により形成した第1ビアホール41xは、第2絶縁層43が形成される側に開口されていると共に、突起電極23の上面によって底面が形成された、開口部の面積が底面の面積よりも大となる円錐台状の凹部となる。なお、他のビアホールもレーザ加工法により形成すると同様の形状となる。第1ビアホール41xをレーザ加工法により形成した場合には、デスミア処理を行い、第1ビアホール41xの底部に露出する突起電極23の上面に付着した第1絶縁層41の樹脂残渣を除去することが好ましい。他のビアホールをレーザ加工法により形成する場合も同様である。
【0058】
なお、第1ビアホール41xは、第1絶縁層41として感光性樹脂を用い、フォトリソグラフィ法により第1絶縁層41をパターニングすることにより形成しても構わない。この際、パターニングの基準マークとして複数の凸部30xを用いることができる。又、第1ビアホール41xは、第1ビアホール41xに対応する位置をマスクするスクリーンマスクを介してペースト状の樹脂を印刷し硬化させることにより形成しても構わない。
【0059】
次に、
図12に示す工程では、第1絶縁層41上に第1配線層42を形成する。第1配線層42は、第1ビアホール41x内に充填されたビア配線、及び第1絶縁層41上に形成された配線パターンを含んでいる。第1配線層42は、第1ビアホール41xの底部に露出した突起電極23と直接電気的に接続される。この際、基準マークとなる複数の凸部30xの位置を基準として、第1ビアホール41xの底部に露出した突起電極23の上面に対する第1配線層42の形成位置を決定することができる。第1配線層42の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。第1配線層42は、セミアディティブ法やサブトラクティブ法等の各種の配線形成方法を用いて形成することができるが、一例としてセミアディティブ法を用いて第1配線層42を形成する方法を以下に示す。
【0060】
まず、無電解めっき法又はスパッタ法により、第1ビアホール41xの底部に露出した突起電極23の上面、及び第1ビアホール41xの内壁を含む第1絶縁層41上に銅(Cu)等からなるシード層(図示せず)を形成する。更に、シード層上にレジスト層(図示せず)を形成し、形成したレジスト層(図示せず)を露光及び現像することで第1配線層42に対応する開口部を形成する。この際、露光装置は、基準マークとなる複数の凸部30xの位置を検出し、検出した複数の凸部30xの位置を基準として、第1ビアホール41xの底部に露出した突起電極23に対する開口部の形成領域(露光及び現像する領域)を決定することができる。
【0061】
そして、シード層を給電層に利用した電解めっき法により、レジスト層の開口部に銅(Cu)等からなる配線層(図示せず)を形成する。続いて、レジスト層を除去した後に、配線層をマスクにして、配線層に覆われていない部分のシード層をエッチングにより除去する。これにより、基準マークとなる複数の凸部30xの位置を基準として、第1ビアホール41xの底部に露出した突起電極23に対して位置合わせされた第1配線層42が、第1絶縁層41上に形成される。
【0062】
次に、
図13に示す工程では、
図10〜
図12と同様な工程を繰り返すことにより、第2絶縁層43、第2配線層44、第3絶縁層45、及び第3配線層46を積層する。すなわち、第1配線層42を被覆する第2絶縁層43を形成した後に、第1配線層42上の第2絶縁層43の部分に第2ビアホール43xを形成する。第2ビアホール43xを形成する際に、凸部30xを基準マークとして用いることができる。つまり、各絶縁層が光をある程度透過するため、画像認識装置等で凸部30xを検出し、アライメントに利用できる。
【0063】
但し、既に第1絶縁層41及び第2絶縁層43が積層されている等の理由により基準マークとなる凸部30xの認識が困難な場合もある。その場合には、第1絶縁層41上に第1配線層42を形成する際に、凸部30xを基準として第1絶縁層41上に第1配線層42の一部として新たな基準マークを形成しておけばよい。以下のビアホールや配線パターンを形成する際に用いる基準マークに関しても同様である。つまり、複数層を介して基準マークとなる凸部30xの認識が困難な場合には、凸部30xを基準として任意の層に新たな基準マークを形成し、新たに形成した基準マークを基準としてビアホールや配線層等の位置決めを行えばよい。
【0064】
更に、第2絶縁層43上に、第2ビアホール43xを介して第1配線層42に接続される第2配線層44を形成する。第2配線層44としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。第2配線層44は、例えばセミアディティブ法により形成される。
【0065】
更に、第2配線層44を被覆する第3絶縁層45を形成した後に、第2配線層44上の第3絶縁層45の部分に第3ビアホール45xを形成する。更に、第3絶縁層45上に、第3ビアホール45xを介して第2配線層44に接続される第3配線層46を形成する。第3配線層46としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。第3配線層46は、例えばセミアディティブ法により形成される。
【0066】
図10〜
図13の工程により、各半導体チップ20の主面上及び封止樹脂30の主面上に3層のビルドアップ配線層(第1配線層42、第2配線層44、及び第3配線層46)が形成される。なお、ビルドアップ配線層は1層や2層でもよいし、
図13の工程の後に更に
図10〜
図12の工程を必要回数だけ繰り返すことにより、4層以上のビルドアップ配線層を形成してもよい。
【0067】
次に、
図14に示す工程では、第3絶縁層45上に、第3配線層46を覆うように開口部47xを有するソルダーレジスト層47を形成する。具体的には、第3絶縁層45上に、第3配線層46を覆うように、例えばエポキシ系樹脂やイミド系樹脂等を含む感光性樹脂からなるソルダーレジストを塗布する。そして、塗布したソルダーレジストを露光及び現像することで開口部47xを形成する。これにより、開口部47xを有するソルダーレジスト層47が形成される。第3配線層46の一部は、ソルダーレジスト層47の開口部47xの底部に露出する。なお、開口部47xを形成する領域(露光及び現像する領域)は、基準マークとなる凸部30x(又は、凸部30xを基準として任意の層に新たに形成した基準マーク)の位置を露光装置が検出することにより決定される。
【0068】
必要に応じ、開口部47xの底部に露出する第3配線層46上に、金属層を形成してもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。これらの金属層は、例えば、無電解めっき法により形成できる。
【0069】
図10〜
図14の工程により、各半導体チップ20の主面上及び封止樹脂30の主面上(各半導体チップ20の主面と同一側の面上)に、各半導体チップと電気的に接続される配線層を含む配線構造体40が形成される。
【0070】
次に、
図15に示す工程では、開口部47xの底部に露出する第3配線層46上に(第3配線層46上に金属層が形成されている場合には、金属層の上に)外部接続端子49を形成する。本実施の形態において、半導体パッケージ10は、外部接続端子49の形成されている領域が半導体チップ20の直上の領域の周囲に拡張された所謂ファンアウト構造を有する。但し、半導体パッケージ10は、目的に応じて所謂ファンイン構造を有しても構わない。
【0071】
外部接続端子49は、マザーボード等の実装基板(図示せず)に設けられたパッドと電気的に接続される端子として機能する。外部接続端子49としては、例えば、はんだボール等を用いることができる。はんだボールの材料としては、例えばPbを含む合金、SnとCuの合金、SnとAgの合金、SnとAgとCuの合金等を用いることができる。
【0072】
外部接続端子49は、例えば第3配線層46上に(第3配線層46上に金属層が形成されている場合には、金属層の上に)表面処理剤としてのフラックスを塗布した後、はんだボールを搭載し、240℃〜260℃程度の温度でリフローし、その後、表面を洗浄してフラックスを除去することにより形成できる。但し、外部接続端子49として、リードピン等を用いても構わない。
【0073】
但し、本実施の形態では外部接続端子49を形成しているが、外部接続端子49は必ずしも形成する必要はない。要は、必要なときに外部接続端子を形成できるように第3配線層46の一部がソルダーレジスト層47の開口部47xから露出していれば十分である。
【0074】
次に、
図16に示す工程では、
図15に示す構造体を所定の位置で切断することにより封止樹脂30及び配線構造体40を個片化し、半導体パッケージ10が完成する。
図15に示す構造体の切断は、ダイシングブレード57を用いたダイシング等によって行うことができる。なお、個片化は、隣接する半導体チップ20間の封止樹脂30及び配線構造体40を切断することにより行うが、その際、複数の半導体チップ20を有するように切断しても構わない。その場合には、複数の半導体チップ20を有する半導体パッケージが作製される。
【0075】
このように、第1の実施の形態によれば、個片化前の封止樹脂の主面(半導体チップの主面と同一側の面)の外縁部等に複数の基準マークを形成する。これにより、個片化前の半導体チップの主面上及び封止樹脂の主面上に半導体チップと電気的に接続される配線層を含む配線構造体を形成する際に、複数の基準マークの位置を基準として、半導体チップに対する配線層の形成位置を決定することができる。又、複数の基準マークの位置を基準として、封止樹脂形成時の樹脂の流動等による半導体チップのシフト量を検討し、封止樹脂形成時の樹脂の収縮量等を把握することができる。
【0076】
〈第1の実施の形態の変形例1〉
第1の実施の形態では、
図5に示す工程において、支持体50に複数の貫通孔50xを形成する例を示した。第1の実施の形態の変形例1では、支持体50に複数の凹部50yを形成する例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例1において、第1の実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0077】
図17は、第1の実施の形態の変形例1に係る半導体パッケージの製造工程を例示する図である。なお、
図17において、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図である。
【0078】
図17に示す工程では、支持体50を準備し、準備した支持体50に複数の凹部50yを形成する。なお、凹部50yは、本発明に係る転写部作製部の代表的な一例である。凹部50yは、最終的に個片化されて半導体パッケージ10となる領域外に形成することが好ましく、例えば、支持体50の外縁部近傍に形成することができる。
【0079】
但し、凹部50yは、配線構造体40の形成に影響を与えない領域(例えば、半導体パッケージ10の最外縁部近傍)であれば、最終的に個片化されて半導体パッケージ10となる領域内に形成してもよい。なお、
図17では2個の凹部50yを形成しているが、3個以上の凹部50yを形成しても構わない。
【0080】
凹部50yは、例えば、ハーフエッチングやプレス加工等により形成できる。凹部50yの直径は、例えば、30〜300μm程度とすることができる。凹部50yの深さは、例えば、30μm程度とすることができる。
【0081】
凹部50yをハーフエッチングで形成する場合は、ハーフエッチングを行う場所を除く支持体50の一方の面を感光性材料等のマスク(図示せず)で覆い、マスクで覆われていない部分の支持体50を一方の面側から厚さ方向の途中まで除去する。すなわち、マスクで覆われていない部分の支持体50を、エッチングを開始した一方の面から他方の面には貫通させず、任意の厚さまで除去する。支持体50の材料が銅(Cu)である場合には、例えば、塩化第二鉄水溶液や塩化第二銅水溶液、過硫酸アンモニウム水溶液等を用いてハーフエッチングを行うことができる。
【0082】
次に、
図6〜
図16と同様の工程を実施することにより、
図4に示す半導体パッケージ10が完成する。
【0083】
このように、第1の実施の形態の変形例1によれば、支持体50に複数の貫通孔50xに代えて複数の凹部50yを形成することにより、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0084】
〈第1の実施の形態の変形例2〉
第1の実施の形態では、
図5に示す工程において、支持体50に複数の貫通孔50xを形成する例を示した。又、第1の実施の形態の変形例1では、支持体50に複数の凹部50yを形成する例を示した。第1の実施の形態の変形例2では、支持体50に複数の凸部50zを形成する例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例2において、第1の実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0085】
図18及び
図19は、第1の実施の形態の変形例2に係る半導体パッケージの製造工程を例示する図である。なお、
図18及び
図19において、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図である。
【0086】
まず、
図18に示す工程では、支持体50を準備し、準備した支持体50に複数の凸部50zを形成する。なお、凸部50zは、本発明に係る転写部作製部の代表的な一例である。凸部50zは、最終的に個片化されて半導体パッケージ10となる領域外に形成することが好ましく、例えば、支持体50の外縁部近傍に形成することができる。
【0087】
但し、凸部50zは、配線構造体40の形成に影響を与えない領域(例えば、半導体パッケージ10の最外縁部近傍)であれば、最終的に個片化されて半導体パッケージ10となる領域内に形成してもよい。なお、
図18では2個の凸部50zを形成しているが、3個以上の凸部50zを形成しても構わない。
【0088】
凸部50zは、例えば、電解めっき法や無電解めっき法等により形成できる。凸部50zの直径は、例えば、30〜300μm程度とすることができる。凸部50zの高さは、例えば、30μm程度とすることができる。
【0089】
凸部50zを電解めっき法で形成する場合は、電解めっきを行う場所を除く支持体50の一方の面を感光性材料等のマスク(図示せず)で覆い、マスクで覆われていない部分の支持体50の一方の面に、支持体50をめっき給電層に利用して例えば銅を電解めっきし、凸部50zを形成する。但し、支持体50をめっき給電層に利用する場合には、支持体50が銅(Cu)等の金属からなる必要がある。
【0090】
次に、
図6〜
図8と同様の工程を実施する。但し、ここでは、支持体50の一方の面に
図6〜
図8に示す凹部51xに代えて凸部50zに対応する凸部が形成されている。
【0091】
次に、
図19に示す工程では、
図9に示す工程と同様にして、
図18に示す支持体50及び粘着層51を除去する。これにより、各半導体チップ20の主面と、複数の凸部50zが転写されて複数の凹部30zが形成された封止樹脂30の主面(各半導体チップ20の主面と同一側の面)が露出する。又、各半導体チップ20の裏面及び側面は封止樹脂30により被覆され、各半導体チップ20の主面と封止樹脂30の主面とは略面一となる。凹部30zの深さは、凸部50zの高さに対応し、例えば、30μm程度とすることができる。
【0092】
次に、
図10〜
図16と同様の工程を実施することにより、
図4に示す半導体パッケージ10が完成する。
【0093】
このように、第1の実施の形態の変形例2によれば、支持体50に複数の貫通孔50xに代えて複数の凸部50zを形成することにより、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0094】
以上、好ましい実施の形態及びその変形例について詳説したが、上述した実施の形態及びその変形例に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態及びその変形例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0095】
例えば、
図8に示す工程以降に、封止樹脂の半導体チップの裏面側を研磨し、半導体チップの裏面を露出させてもよい。これにより、半導体チップの放熱性を向上できる。更に、半導体チップの裏面に、ヒートスプレッダ等の放熱部品を接合しても良い。これにより、半導体チップの放熱性を一層向上できる。
【0096】
又、封止樹脂の半導体チップの裏面側を研磨する際に、半導体チップの裏面側も研磨し、半導体チップを薄型化してもよい。
【0097】
又、基準マークの平面形状は円形には限定されず、矩形や十字形等の任意の形状として構わない。つまり、基準マークの元になる貫通孔50xや凹部50y、凸部50z等の平面形状は円形には限定されず、矩形や十字形等の任意の形状として構わない。