特許第5735082号(P5735082)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5735082
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】清涼飲料水
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/02 20060101AFI20150528BHJP
【FI】
   A23L2/02 F
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-225992(P2013-225992)
(22)【出願日】2013年10月30日
(65)【公開番号】特開2015-84715(P2015-84715A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2014年4月4日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 掲載年月日:平成25年4月30日 掲載アドレス:http://www.kikkoman.co.jp/corporate/news/13021.html
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004477
【氏名又は名称】キッコーマン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000104559
【氏名又は名称】日本デルモンテ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101236
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100128532
【弁理士】
【氏名又は名称】村中 克年
(72)【発明者】
【氏名】藤村 和樹
(72)【発明者】
【氏名】長井 淳夫
【審査官】 小石 真弓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−188191(JP,A)
【文献】 特開2007−189934(JP,A)
【文献】 特開2006−141260(JP,A)
【文献】 特許第4806590(JP,B2)
【文献】 特許第4818735(JP,B2)
【文献】 特許第5116884(JP,B2)
【文献】 食品添加物事典,2001年,p98
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トマト搾汁液と、クエン酸ナトリウム及びクエン酸カリウムから選択される少なくとも1種とを含み、
前記トマト搾汁液由来のグルタミン酸の含有量は、水100質量部に対して0.01質量部〜0.05質量部であり、
前記クエン酸ナトリウム及びクエン酸カリウムから選択される少なくとも1種の含有量は、水100質量部に対して0.08質量部〜0.32質量部であり、
前記グルタミン酸の含有量と、前記クエン酸ナトリウム及びクエン酸カリウムから選択される少なくとも1種の含有量との比は、1:4.8〜1:16.0である
ことを特徴とする清涼飲料水。
【請求項2】
請求項に記載する清涼飲料水において、
前記クエン酸ナトリウム及びクエン酸カリウムから選択される少なくとも1種の含有量は、水100質量部に対して0.16質量部〜0.26質量部であることを特徴とする清涼飲料水。
【請求項3】
請求項1又は2に記載する清涼飲料水において、
ポリフェノールをさらに含むことを特徴とする清涼飲料水。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トマト搾汁液と電解質とを含む清涼飲料水に関する。
【背景技術】
【0002】
野菜を原料とする野菜ジュースは栄養価が高く、手軽に栄養が補給できる点で優れている。代表的な野菜のジュースとして、トマトジュースがある。従来のトマトジュースに関する技術には、酵素を添加し特定の剪断速度で処理を施すことで粘度を低減するトマトジュースの製造方法や(例えば、特許文献1参照)、生食用トマトのフレッシュな香気を引き立たせてこれをブレンドするトマトジュースの製造方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
上述した従来のトマトジュースは、トマト特有の青臭さ等が低減され、香味のよいものであるが、トマトを豊富に用いながらも、清涼飲料水のようにさらに飲みやすい飲料が望まれている。他方、トマトを豊富に用いながらも、水分やミネラルが吸収され易いアイソトニック機能を有する清涼飲料水も望まれている。しかしながら、トマトを含む清涼飲料水に、通常、電解質として用いられている塩化ナトリウムを添加してアイソトニック機能を付与しても、塩味(旨味)が強くなり、トマトのフレッシュな甘みや香味が失われ、清涼感を得ることがより一層困難になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−011287号公報
【特許文献2】特開2012−152173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような事情に鑑み、トマトを豊富に含みながらも清涼感を有し、且つ電解質を補給できる清涼飲料水を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成する本発明の第1の態様は、トマト搾汁液と、クエン酸ナトリウム及びクエン酸カリウムから選択される少なくとも1種とを含み、前記トマト搾汁液由来のグルタミン酸の含有量は、水100質量部に対して0.01質量部〜0.05質量部であり、前記クエン酸ナトリウム及びクエン酸カリウムから選択される少なくとも1種の含有量は、水100質量部に対して0.08質量部〜0.32質量部であり、前記グルタミン酸の含有量と、前記クエン酸ナトリウム及びクエン酸カリウムから選択される少なくとも1種の含有量との比は、1:4.8〜1:16.0であることを特徴とする清涼飲料水にある。
【0007】
かかる第1の態様では、トマト搾汁液と、クエン酸ナトリウム及びクエン酸カリウムから選択される少なくとも1種との配合のバランスにより、トマトのフレッシュな甘み、酸味及び香味を有し、且つ電解質を補給できる清涼飲料水とすることができる。また、トマトのフレッシュな甘み、酸味及び香味のバランスがよい清涼飲料水となる。これにより、清涼感に優れ、且つ電解質が体内に吸収されやすい美味しい清涼飲料水とすることができる。
【0010】
本発明の第の態様は、第の態様に記載する清涼飲料水において、前記クエン酸ナトリウム及びクエン酸カリウムから選択される少なくとも1種の含有量は、水100質量部に対して0.16質量部〜0.26質量部であることを特徴とする清涼飲料水にある。
【0011】
かかる第の態様では、電解質が体内により吸収されやすい清涼飲料水とすることができる。
【0014】
本発明の第の態様は、第1又は第2の態様に記載する清涼飲料水において、ポリフェノールをさらに含むことを特徴とする清涼飲料水にある。
【0015】
かかる第の態様では、トマトに含有されるグルタミン酸由来の旨味がポリフェノール由来の苦味により強く感じられなくなる。これにより、より清涼感のある美味しい清涼飲料水となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、トマトを豊富に含みながらも清涼感を有し、且つ電解質を補給できる美味しい清涼飲料水が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】クエン酸三ナトリウムの含有量と、トマト搾汁液に含有されるグルタミン酸の含有量との関係を示すグラフ。
図2】クエン酸三カリウムの含有量と、トマト搾汁液に含有されるグルタミン酸の含有量との関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の清涼飲料水を詳細に説明する。
【0019】
(実施形態1)
本発明の清涼飲料水は、アルコール成分を含まない(アルコール分1%未満)飲用の香味を有する水であって、トマト搾汁液と、クエン酸ナトリウム及びクエン酸カリウムから選択される少なくとも1種とを含むものをいう。
【0020】
本発明の清涼飲料水には、トマト搾汁液と共に、電解質としてクエン酸ナトリウムやクエン酸カリウムが配合される。クエン酸ナトリウムやクエン酸カリウムは、塩味を呈することのない電解質であるため、この電解質の配合によって、トマトのフレッシュな甘み、酸味及び香味が失われることはない。すなわち、本発明によれば、トマトのフレッシュな甘み、酸味及び香味のバランスがよく、清涼感があり、且つ電解質補給能に優れた美味しい清涼飲料水が実現される。さらに、本発明の清涼飲料水は、トマトを豊富に含有する。具体的には、ペットボトル一本(500ml)あたり、約一個分のトマト(約80g)が含有される。これにより、トマトに含まれる各種ビタミンや、抗酸化作用を有するリコピン等の栄養を効率よく摂取できる栄養価の高い清涼飲料水となる。以下、本発明の清涼飲料水について詳細に説明する。
【0021】
本発明の清涼飲料水に含有されるトマト搾汁液とは、食用されるトマトを破砕又は裏ごしして、皮、種子等を除去することにより得られた液汁や、濃縮トマトを希釈することにより得られた液汁をいう。また、日本農林規格に規定されているトマトジュースや、トマトピューレ、トマトペースト等のトマト加工品を、例えば希釈等してトマト搾汁液として用いることもできる。このようにトマト搾汁液の態様は限定されない。なお、これらのトマト搾汁液は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
【0022】
トマト搾汁液を含有した清涼飲料水は、例えば、生食用トマトのトマト搾汁液を含有した場合、生食用トマトの程よい酸味と甘みと香味が引き出された清涼飲料水となる。また、加工用トマト又はトマト加工品から得られたトマト搾汁液を含有した場合、完熟した甘みが引き出された清涼飲料水となる。
【0023】
トマト搾汁液には、グルタミン酸が豊富に含まれる。トマト搾汁液に含有されるグルタミン酸の含有量は、水100質量部に対して0.01質量部〜0.05質量部であることが好ましい。このような含有量とすることで、トマトのフレッシュな甘み、酸味及び香味のバランスがよく、清涼感に優れた美味しい清涼飲料水とすることができる。
【0024】
また、本発明の清涼飲料水は、トマト搾汁液と共に、クエン酸ナトリウム及びクエン酸カリウムから選択される少なくとも1種(以下、「クエン酸ナトリウム等」という)、すなわち、電解質を含む。クエン酸ナトリウムは、特に限定されず、一ナトリウム塩、二ナトリウム塩又は三ナトリウム塩であってもよい。クエン酸カリウムについても同様である。また、クエン酸ナトリウムやクエン酸カリウムは、公知の製法で製造されたものを用いてもよく、食品に含まれるものを用いてもよい。さらに、これらのクエン酸ナトリウムやクエン酸カリウムは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0025】
トマト搾汁液に含有されるクエン酸ナトリウム等の含有量は、水100質量部に対して0.08質量部〜0.32質量部が好ましく、0.16質量部〜0.26質量部がより好ましい。このような含有量とすることで、ナトリウムイオンやカリウムイオン(電解質)が体内に吸収され易くなる。これにより、本発明の清涼飲料水は優れたアイソトニック機能を有する清涼飲料水となる。
【0026】
このようなアイソトニック機能を有する清涼飲料水は、夏場などの電解質補給の代替となり得る。夏場においては発汗と共にナトリウム、カリウム等の電解質が失われ、これらの補給が重要とされるからである。特に、清涼飲料水にナトリウムを添加してアイソトニック飲料とする場合、通常は、ナトリウム補給として、塩化ナトリウムが添加されるが、塩化ナトリウムは塩味(旨さにも寄与)を呈するため、アイソトニック飲料に不適な場合もある。しかしながら、クエン酸ナトリウムやクエン酸カリウムを清涼飲料水に添加しても、塩味を呈することがないため、トマトのフレッシュな甘み、酸味及び香味が失われず、美味しさを維持したままナトリウム補給能に優れた清涼飲料水とすることができる。すなわち、本発明の清涼飲料水は、トマトのフレッシュな甘み、酸味及び香味のバランスがよく、清涼感に優れた美味しいアイソトニック飲料となる。なお、清涼飲料水に、糖類、甘味料等の添加物を適宜配合することにより、美味しさの向上を図ることができる。
【0027】
さらに、グルタミン酸の含有量と、クエン酸ナトリウム及びクエン酸カリウムから選択される少なくとも1種の含有量との比は、1:4.8〜1:16.0であることが好ましい。このような比とすることにより、トマト搾汁液に含まれるトマトのフレッシュな甘み、酸味及び香味と、ナトリウムイオン等の電解質量とのバランスが最適となり、さらに清涼感に優れ、且つ体内に吸収されやすい清涼飲料水とすることができる。
【0028】
また、本発明の清涼飲料水は、さらにポリフェノールを含むことが好ましい。ポリフェノールは、主に植物の種子、樹皮、表皮に含まれ、一般に苦みを感得させる作用を有する。したがって、ポリフェノール由来の苦味は、グルタミン酸由来の旨味を強く感じさせない程度に味を調整する作用を有する。これにより、グルタミン酸の旨味が程よく調整され、美味しさが向上した清涼飲料水となる。なお、ポリフェノールの中でも、強い抗酸化力を有するブドウ種子抽出物やカテキンが好ましい。ブドウ種子抽出物は、ブドウの種子から得られるプロアントシアニジンを主成分とするポリフェノールである。カテキンは、お茶に含まれるポリフェノールであり、お茶独特の苦味や渋みの成分である。
【0029】
また、本発明の清涼飲料水は、さらに、有機酸を含んでもよい。有機酸を含むことで程よい酸味を有し、清涼飲料水により一層の清涼感が付与される。有機酸は、特に限定されないが、例えば、クエン酸、酢酸、酒石酸、レモン果汁、梅酢、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸及びビタミンC等が挙げられる。有機酸の中でも、クエン酸やリンゴ酸が好ましい。また、有機酸は、公知の製法で製造されたものを用いてもよく、食品に含まれるものを用いてもよい。なお、これらの有機酸は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0030】
なお、清涼飲料水は、糖類、甘味料、保存料、安定剤、酸化防止剤、着色料及び香料水等の清涼飲料水に使用可能な各種添加物が適宜配合されていてもよい。
【0031】
以上に説明したように、本発明の清涼飲料水は、トマト搾汁液とクエン酸ナトリウム等とを含むものである。トマト搾汁液を含有することにより、トマトの栄養と共に、トマトのフレッシュな甘み、酸味及び香味が適度に取り入れられる。また、クエン酸ナトリウム等を含有することにより、体内に吸収されやすい電解質が添加される。これにより、栄養価が高く、清涼感に優れ、且つ電解質を補給できる美味しい清涼飲料水とすることができる。
【0032】
例えば、トマト搾汁液に含有されるグルタミン酸の好ましい含有量(水100質量部に対して0.01質量部〜0.05質量部)のうち、水100質量部に対して0.017質量部〜0.024質量部の割合でグルタミン酸を含有することにより、ペットボトル一本(500ml)あたり、約一個分のトマト(約80g)を摂取できる清涼飲料水となる。また、クエン酸ナトリウム等の好ましい含有量(水100質量部に対して0.08質量部〜0.32質量部)のうち、水100質量部に対して0.16質量部〜0.26質量部の割合で含有することにより、ペットボトル一本(500ml)あたり、夏場の塩分補給に必要な電解質の量を摂取できる清涼飲料水となる。これにより、栄養価が極めて高く、且つ優れた電解質補給能を有する清涼飲料水とすることができる。
【0033】
さらに、清涼飲料水にポリフェノールを含有することにより、グルタミン酸由来の旨みが強くならないように調整される。これにより、グルタミン酸の旨味が程よく調整され、より一層美味しい清涼飲料水とすることができる。このような清涼飲料水は、特に夏場の熱中症対策、食欲減衰時、疲労時、病後及び産後等の栄養補給及び水分補給に有用である。
【実施例】
【0034】
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明する。
【0035】
(クエン酸三ナトリウムを含む清涼飲料水)
以下に示す実施例1〜3の清涼飲料水は、トマト搾汁液及びクエン酸三ナトリウム(電解質)を含む飲料水であり、実施例4〜21は、トマト搾汁液、クエン酸三ナトリウム及びブドウ種子抽出物を含む飲料水である。また、比較例1の清涼飲料水は、クエン酸三ナトリウム及びブドウ種子抽出物のみを含み、比較例2の清涼飲料水は、トマト搾汁液のみを含む飲料水である。
【0036】
[実施例1]
水100質量部に対して、トマト搾汁液13質量部(含有されるグルタミン酸0.02質量部)と、電解質としてクエン酸三ナトリウム0.22質量部とを混合し、全体として500mlの清涼飲料水とした。なお、添加物として、カルシウム2mgと、ビタミンCを20mg添加した。
【0037】
[実施例2]
トマト搾汁液19.5質量部(含有されるグルタミン酸0.03質量部)と、クエン酸三ナトリウム0.24質量部とを混合した以外は、実施例1と同様にして、清涼飲料水を得た。
【0038】
[実施例3]
トマト搾汁液32.5質量部(含有されるグルタミン酸0.05質量部)を混合した以外は、実施例2と同様にして、清涼飲料水を得た。
【0039】
[実施例4]
トマト搾汁液6.5質量部(含有されるグルタミン酸0.01質量部)と、クエン酸三ナトリウム0.08質量部と、ブドウ種子抽出物0.02質量部とを混合した以外は、実施例1と同様にして、清涼飲料水を得た。
【0040】
[実施例5]
クエン酸三ナトリウム0.16質量部を混合した以外は、実施例4と同様にして、清涼飲料水を得た。
【0041】
[実施例6]
クエン酸三ナトリウム0.26質量部を混合した以外は、実施例4と同様にして、清涼飲料水を得た。
【0042】
[実施例7]
クエン酸三ナトリウム0.32質量部を混合した以外は、実施例4と同様にして、清涼飲料水を得た。
【0043】
[実施例8]
トマト搾汁液13.0質量部(含有されるグルタミン酸0.02質量部)と、クエン酸三ナトリウム0.22質量部とを混合した以外は、実施例4と同様にして、清涼飲料水を得た。
【0044】
[実施例9]
トマト搾汁液19.5質量部(含有されるグルタミン酸0.03質量部)と、クエン酸三ナトリウム0.24質量部とを混合した以外は、実施例4と同様にして、清涼飲料水を得た。
【0045】
[実施例10]
トマト搾汁液32.5質量部(含有されるグルタミン酸0.05質量部)を混合した以外は、実施例4と同様にして、清涼飲料水を得た。
【0046】
[実施例11]
クエン酸三ナトリウム0.16質量部を混合した以外は、実施例10と同様にして、清涼飲料水を得た。
【0047】
[実施例12]
クエン酸三ナトリウム0.24質量部を混合した以外は、実施例10と同様にして、清涼飲料水を得た。
【0048】
[実施例13]
クエン酸三ナトリウム0.32質量部を混合した以外は、実施例10と同様にして、清涼飲料水を得た。
【0049】
[実施例14]
トマト搾汁液3.25質量部(含有されるグルタミン酸0.005質量部)と、クエン酸三ナトリウム0.24質量部とを混合した以外は、実施例4と同様にして、清涼飲料水を得た。
【0050】
[実施例15]
トマト搾汁液52質量部(含有されるグルタミン酸0.08質量部)と、クエン酸三ナトリウム0.24質量部とを混合した以外は、実施例4と同様にして、清涼飲料水を得た。
【0051】
[実施例16]
クエン酸三ナトリウム0.16質量部と、ブドウ種子抽出物0.03質量部とを混合した以外は、実施例4と同様にして、清涼飲料水を得た。
【0052】
[実施例17]
クエン酸三ナトリウム0.26質量部を混合した以外は、実施例16と同様にして、清涼飲料水を得た。
【0053】
[実施例18]
トマト搾汁液13質量部(含有されるグルタミン酸0.02質量部)と、クエン酸三ナトリウム0.22質量部とを混合した以外は、実施例16と同様にして、清涼飲料水を得た。
【0054】
[実施例19]
トマト搾汁液19.5質量部(含有されるグルタミン酸0.03質量部)と、クエン酸三ナトリウム0.24質量部とを混合した以外は、実施例16と同様にして、清涼飲料水を得た。
【0055】
[実施例20]
トマト搾汁液32.5質量部(含有されるグルタミン酸0.05質量部)を混合した以外は、実施例16と同様にして、清涼飲料水を得た。
【0056】
[実施例21]
クエン酸三ナトリウム0.24質量部を混合した以外は、実施例20と同様にして、清涼飲料水を得た。
【0057】
[比較例1]
トマト搾汁液を混合せず、クエン酸三ナトリウム0.24質量部と、ブドウ種子抽出物0.03質量部とを混合した以外は、実施例1と同様にして、清涼飲料水を得た。
【0058】
[比較例2]
トマト搾汁液19.5質量部(含有されるグルタミン酸0.03質量部)を混合し、クエン酸三ナトリウムを混合しない以外は、実施例1と同様にして、清涼飲料水を得た。
【0059】
[試験例1]
実施例1〜21の清涼飲料水及び比較例1、2の清涼飲料水について、識別能力を有する専門パネラーによる官能検査を実施した。官能検査は、「清涼感」、「味のバランス」及び「美味しさ」の各項目について実施した。これらを総合的に評価した結果、清涼飲料水の品質が極めて良好である場合は◎、良好である場合は○、概ね良好である場合は△、良好でない場合は×とした。表1に、清涼飲料水成分の含有量と官能検査の総合評価を示す。また、図1に、クエン酸三ナトリウムの含有量とトマト搾汁液に含有されるグルタミン酸の含有量との関係を示す。
【0060】
表1より、実施例1〜3の清涼飲料水は、トマト搾汁液(グルタミン酸)と電解質(クエン酸三ナトリウム)を含むものである。いずれも官能検査の総合評価で極めて良好◎と評価され、清涼感を有する美味しい清涼飲料水となった。この結果、実施例1〜3の清涼飲料水は、トマト搾汁液と電解質との配合のバランスがよく、且つ電解質として塩味を呈することがないクエン酸三ナトリウムを配合することにより、美味しさを向上できることがわかった。
【0061】
実施例4〜21の清涼飲料水は、トマト搾汁液(グルタミン酸)と電解質(クエン酸三ナトリウム)とブドウ種子抽出物とを含むものである。いずれも官能検査の総合評価で極めて良好◎、良好○又は概ね良好△と評価され、清涼感を有する美味しい清涼飲料水となった。これは、ブドウ種子抽出物由来の苦味でグルタミン酸由来の旨味が程よく調整され、さらに塩味を呈することのない電解質で清涼飲料水全体の味のバランスが程よく調和されたからである。
【0062】
一方、電解質とブドウ種子抽出物のみを含む清涼飲料水(比較例1)や、トマト搾汁液のみを含む清涼飲料水(比較例2)は、官能検査の総合評価で良好でない×と評価され、美味しさに欠ける清涼飲料水となった。
【0063】
また、図1に示すように、トマト搾汁液に含有されるグルタミン酸の含有量が、水100質量部に対して0.01質量部〜0.05質量部の範囲で、且つクエン酸三ナトリウムの含有量が0.08質量部〜0.32質量部の範囲にある清涼飲料水は(実施例1〜13,16〜21)、ブドウ種子抽出物の有無及び含有量に関わらず、官能検査の総合評価において極めて良好◎、良好○又は概ね良好△となった。これらの中でも、クエン酸三ナトリウムの含有量が0.16質量部〜0.26質量部の範囲にある清涼飲料水は(実施例1〜3,5,6,8,9,11,12,16〜21)、官能検査の総合評価において極めて良好◎又は良好○となった。これにより、グルタミン酸及びクエン酸三ナトリウムの含有量を所定範囲にすることにより、清涼感が一層付与され、美味しさを向上できることがわかった。
【0064】
さらに、図1の直線から、グルタミン酸の含有量と、クエン酸三ナトリウムの含有量との比を1:4.8〜1:16.0とすることにより、清涼飲料水の美味しさを一段と向上できることがわかった。
【0065】
【表1】
【0066】
(クエン酸三カリウムを含む清涼飲料水)
以下に示す実施例22〜24の清涼飲料水は、トマト搾汁液及びクエン酸三カリウム(電解質)を含む飲料水であり、実施例25〜36は、トマト搾汁液、クエン酸三カリウム及びブドウ種子抽出物を含む飲料水である。
【0067】
[実施例22]
水100質量部に対して、トマト搾汁液13質量部(含有されるグルタミン酸0.02質量部)と、電解質としてクエン酸三カリウム0.22質量部とを混合し、全体として500mlの清涼飲料水とした。なお、添加物として、カルシウム2mgと、ビタミンCを20mg添加した。
【0068】
[実施例23]
トマト搾汁液19.5質量部(含有されるグルタミン酸0.03質量部)と、クエン酸三カリウム0.24質量部とを混合した以外は、実施例22と同様にして、清涼飲料水を得た。
【0069】
[実施例24]
トマト搾汁液32.5質量部(含有されるグルタミン酸0.05質量部)を混合した以外は、実施例23と同様にして、清涼飲料水を得た。
【0070】
[実施例25]
トマト搾汁液6.5質量部(含有されるグルタミン酸0.01質量部)と、クエン酸三カリウム0.08質量部と、ブドウ種子抽出物0.02質量部とを混合した以外は、実施例22と同様にして、清涼飲料水を得た。
【0071】
[実施例26]
クエン酸三カリウム0.16質量部を混合した以外は、実施例25と同様にして、清涼飲料水を得た。
【0072】
[実施例27]
クエン酸三カリウム0.26質量部を混合した以外は、実施例25と同様にして、清涼飲料水を得た。
【0073】
[実施例28]
クエン酸三カリウム0.32質量部を混合した以外は、実施例25と同様にして、清涼飲料水を得た。
【0074】
[実施例29]
トマト搾汁液13.0質量部(含有されるグルタミン酸0.02質量部)と、クエン酸三カリウム0.22質量部とを混合した以外は、実施例25と同様にして、清涼飲料水を得た。
【0075】
[実施例30]
トマト搾汁液19.5質量部(含有されるグルタミン酸0.03質量部)と、クエン酸三カリウム0.24質量部とを混合した以外は、実施例25と同様にして、清涼飲料水を得た。
【0076】
[実施例31]
トマト搾汁液32.5質量部(含有されるグルタミン酸0.05質量部)を混合した以外は、実施例25と同様にして、清涼飲料水を得た。
【0077】
[実施例32]
クエン酸三カリウム0.16質量部を混合した以外は、実施例31と同様にして、清涼飲料水を得た。
【0078】
[実施例33]
クエン酸三カリウム0.24質量部を混合した以外は、実施例31と同様にして、清涼飲料水を得た。
【0079】
[実施例34]
クエン酸三カリウム0.32質量部を混合した以外は、実施例31と同様にして、清涼飲料水を得た。
【0080】
[実施例35]
トマト搾汁液3.25質量部(含有されるグルタミン酸0.005質量部)と、クエン酸三カリウム0.24質量部とを混合した以外は、実施例25と同様にして、清涼飲料水を得た。
【0081】
[実施例36]
トマト搾汁液52質量部(含有されるグルタミン酸0.08質量部)と、クエン酸三カリウム0.24質量部とを混合した以外は、実施例25と同様にして、清涼飲料水を得た。
【0082】
[試験例2]
実施例22〜36の清涼飲料水について、試験例1と同様の官能検査を実施した。表2に、清涼飲料水成分の含有量と官能検査の総合評価を示す。また、図2に、クエン酸三カリウムの含有量とトマト搾汁液に含有されるグルタミン酸の含有量との関係を示す。
【0083】
表2より、トマト搾汁液(グルタミン酸)と電解質(クエン酸三カリウム)を含む実施例22〜24の清涼飲料水は、いずれも官能検査の総合評価で極めて良好◎と評価され、清涼感を有する美味しい清涼飲料水となった。
【0084】
また、図2に示すように、トマト搾汁液に含有されるグルタミン酸の含有量が、水100質量部に対して0.01質量部〜0.05質量部の範囲で、且つクエン酸三カリウムの含有量が0.08質量部〜0.32質量部の範囲にある清涼飲料水は(実施例22〜34)、ブドウ種子抽出物の有無及び含有量に関わらず、官能検査の総合評価において極めて良好◎、良好○又は概ね良好△となった。これらの中でも、クエン酸三カリウムの含有量が0.16質量部〜0.26質量部の範囲にある清涼飲料水は(実施例22〜24,26,27,29,30,32,33)、官能検査の総合評価において極めて良好◎又は良好○となった。これにより、グルタミン酸及びクエン酸三カリウムの含有量を所定範囲にすることにより、清涼飲料水の清涼感及び美味しさを向上できることがわかった。
【0085】
さらに、図2の直線から、グルタミン酸の含有量と、クエン酸三カリウムの含有量との比を1:4.8〜1:16.0とすることにより、清涼飲料水の美味しさを一段と向上できることがわかった。
【0086】
以上の試験例1、2の結果から、トマト搾汁液と塩味を呈しない電解質(クエン酸三ナトリウム若しくはクエン酸三カリウム)、又はトマト搾汁液と塩味を呈しない電解質とブドウ種子抽出物とを配合することにより、清涼感に優れ、且つ電解質補給に優れた美味しい清涼飲料水を実現できることがわかった。
【0087】
【表2】
図1
図2