特許第5735352号(P5735352)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5735352リードフレーム連結体、リードフレームの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5735352
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】リードフレーム連結体、リードフレームの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/50 20060101AFI20150528BHJP
【FI】
   H01L23/50 A
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-126352(P2011-126352)
(22)【出願日】2011年6月6日
(65)【公開番号】特開2012-253265(P2012-253265A)
(43)【公開日】2012年12月20日
【審査請求日】2014年5月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】小林 剛
【審査官】 小川 将之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−007274(JP,A)
【文献】 特開平9−326460(JP,A)
【文献】 特開昭59−188952(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの主面にアライメントマークがめっきにより形成された一対のレール部と、
前記一対のレール部の間に連結部により連結され、前記1つの主面と同じ側の主面に前記アライメントマークと同じ材質のめっき部が形成された複数のリードフレームと、
を有することを特徴とするリードフレーム連結体。
【請求項2】
前記アライメントマークは長手方向に沿って所定の間隔で形成されていること、を特徴とする請求項1に記載のリードフレーム連結体。
【請求項3】
前記アライメントマークは、環状に形成されていること、を特徴とする請求項1または2に記載のリードフレーム連結体。
【請求項4】
前記アライメントマークは、前記1つの主面と、前記1つの主面に対して反対側の主面に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のリードフレーム連結体。
【請求項5】
前記リードフレームは、半導体素子を搭載するダイパッドと、前記ダイパッドに向かって伸びる複数のリードとを有し、
前記めっき部は、前記ダイパッドと、前記リードの先端とに形成されていること、
を特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のリードフレーム連結体。
【請求項6】
めっきマスクを用いて導電部材の1つの主面にめっき部と第1のアライメントマークとを形成する工程と、
前記導電部材の1つの主面にレジスト膜を形成する工程と、
マスクパターンと第2のアライメントマークとが設けられたフォトマスクと、前記第1のアライメントマークと、を互いに位置合せして前記レジスト膜を露光し、エッチングマスクを形成する工程と、
前記エッチングマスクを用いて前記導電部材をエッチングする工程と、
を含むことを特徴とするリードフレームの製造方法。
【請求項7】
前記導電部材は、帯状に形成され、
前記エッチングマスクは、一対のレール部間に、複数のリードフレームを形成するパターンを含み、
前記めっきマスクを用いて、前記第1のアライメントマークを前記導電部材の前記レール部に対応する側縁部に形成することを特徴とする請求項6に記載のリードフレームの製造方法。
【請求項8】
前記エッチングマスクを形成する工程において、前記リードフレームを前記導電部材に沿って順次露光し、隣り合う前記リードフレームを露光する際に、同一の前記第1のアライメントマークが複数回使用されることを特徴とする請求項7に記載のリードフレームの製造方法。
【請求項9】
前記第1及び第2のアライメントマークを撮影した画像データと、前記導電部材又は前記レジスト膜のエッジを含む領域を撮影した画像データとに基づいて位置合せすることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載のリードフレームの製造方法。
【請求項10】
前記導電部材のうちのリードフレームが形成される部分以外の部位に前記第1のアライメントマークを形成したことを特徴とする請求項6に記載のリードフレームの製造方法。
【請求項11】
前記めっきマスクは、第1の方向に沿って連接された複数のリードフレームの前記めっき部に対応する開口部と、前記第1のアライメントマークに対応する開口部を含み、
前記エッチングマスクは、前記複数のリードフレームに対応するパターンを含み、
前記エッチングの工程の後、前記連接された複数のリードフレームを個々に分離する、ことを特徴とする請求項6に記載のリードフレームの製造方法。
【請求項12】
前記エッチングマスクは、第1の方向に沿って連接された複数の単位リードフレームを含む単位列リードフレームを前記第1の方向と直交する方向に沿って複数列形成するパターンを含む、
ことを特徴とする請求項6に記載のリードフレームの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
リードフレーム連結体、リードフレームの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置用のリードフレームは、帯状の導電材料(被加工材)に対して例えばエッチング加工が施され、所定部分(例えば、リードの先端やダイパッドの上面)にめっきが施される(例えば、特許文献1参照)。めっきは、例えば、リードフレームをメカニカルマスクとシール材との間に挟み込み、メカニカルマスクの開口部からリードフレームにめっき液を噴霧して形成される。この場合、リードフレームとメカニカルマスクの密着性が悪いと、リードフレームとメカニカルマスクとの隙間から漏れためっき液がリードフレームの裏面やリードの側面等に付着する場合がある。このように付着しためっきは、実装された半導体装置の特性に影響を与える。このため、板状の導電材料に対してめっきを施してからリードフレームを形成する方法がある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−326460号公報
【特許文献2】特開昭59−188952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のめっきの後にリードフレームを形成する方法では、めっきを形成する領域の境界に貫通孔を形成し、めっきとリードフレームを形成するためのマスクとの相対的な位置を確認している。このため、例えば、ダイパッドの中央部分にめっきを形成する場合、貫通孔を形成することができないため、位置合せを行うことができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一観点によれば、リードフレーム連結体は、1つの主面にアライメントマークがめっきにより形成された一対のレール部と、前記一対のレール部の間に連結部により連結され、前記1つの主面と同じ側の主面に前記アライメントマークと同じ材質のめっき部が形成された複数のリードフレームと、を有する。
本発明の一観点によれば、リードフレームの製造方法は、めっきマスクを用いて導電部材の1つの主面にめっき部と第1のアライメントマークとを形成する工程と、前記導電部材の1つの主面にレジスト膜を形成する工程と、パターンと第2のアライメントマークとが設けられたフォトマスクと、前記第1のアライメントマークと、を互いに位置合せして前記レジスト膜を露光し、エッチングマスクを形成する工程と、前記エッチングマスクを用いて前記導電部材をエッチングする工程と、を含む。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一観点によれば、フォトマスクを高精度に位置合せすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】(a)、(b)はリードフレームの平面図。
図2】リードフレームの拡大平面図。
図3】単位リードフレームの拡大平面図。
図4】リードフレームの製造方法を示す平面図。
図5】リードフレームの製造方法を示す平面図。
図6】(a)はリードフレームの製造方法を示す平面図、(b),(c)は(a)の部分拡大図。
図7】リードフレームの製造方法を示す平面図。
図8】(a)はフォトマスクの平面図、(b)は(a)の部分拡大図。
図9】(a)はフォトマスクの平面図、(b)は(a)の部分拡大図。
図10】露光装置の概略構成図。
図11】(a)は露光装置におけるフォトマスクと導電材料との位置合せを説明する平面図、(b),(c)はカメラの撮影画像を示す説明図。
図12】別のリードフレームの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態を図1図11に従って説明する。
尚、添付図面は、構成の概略を説明するためのものであり、実際の大きさ、比率を表していない。
【0009】
図1(a)に示すように、リードフレーム10は、長手方向(図1(a)の左右方向)の側縁部両側に形成された一対のレール部11,12と、レール部11とレール部12との間に形成された複数(図1(a)において3つ)の単位列リードフレーム21を有している。レール部11と単位列リードフレーム21は、連結部31によって互いに連結されている。各単位列リードフレーム21は、連結部32によって互いに連結されている。レール部12と単位列リードフレーム21は、連結部33によって互いに連結されている。各連結部31,32,33を切断することにより、リードフレーム10から、図1(b)に示す帯状のリードフレーム100が形成される。
【0010】
次に、リードフレーム10について詳述する。
図1(a)に示すように、リードフレーム10は、帯状の導電材料に対して、例えばエッチング加工を用いて形成される。導電材料は、例えば、銅(Cu)である。リードフレーム10は、例えば幅が250mm、厚さが0.2mmであり、図示しないリールに巻回されている。
【0011】
レール部11の1つの主面には、複数のアライメントマーク15が形成されている。同様に、レール部12の1つの主面には、複数のアライメントマーク16が形成されている。複数のアライメントマーク15,16は、リードフレーム10の長手方向に沿って、所定の間隔Aで形成されている。アライメントマーク15,16は、例えば、レール部11,12の表面に形成されためっきであり、このめっきの材質は例えば銀(Ag)である。
【0012】
単位列リードフレーム21は、長手方向の側縁部に形成された一対のレール部22,23を有している。レール部22,23には、ガイド孔27,28が長手方向に沿って所定間隔で貫通形成されている。ガイド孔27,28は、図1(b)に示すリードフレーム100の位置決めや搬送を行うために利用される。両レール部22,23は、単位列リードフレーム21の幅方向に沿って延びるセクションバー24により互いに連結されている。各セクションバー24には、幅方向に沿って延びるスリット26が形成されている。
【0013】
各単位列リードフレーム21は、長手方向のセクションバー24と、幅方向のレール部22,23とで囲まれたフレーム領域41を有している。図2に示すように、フレーム領域41には、単位リードフレーム42がマトリクス状(図2において、5×5)に複数個連設して形成されている。
【0014】
図3に示すように、単位リードフレーム42は、半導体素子が搭載されるダイパッド43を有している。ダイパッド43は、サポートバー44を介してダイパッド43を囲む格子状に形成された内フレーム45と接続され、単位リードフレーム42の略中央に配置されている。ダイパッド43の周囲には、内フレーム45からダイパッド43に向かって延びる櫛歯状の複数のリード46が形成されている。
【0015】
ダイパッド43の一主面には、めっき47が形成されている。めっき47は、ダイパッド43の中央部分を被覆し、ダイパッド43の端部が露出するように形成されている。めっき47は、ダイパッド43に直接接合される半導体素子(図示略)の接続性を高めるために形成されている。めっき47の材質は例えば銀(Ag)である。各リード46の先端上面には、めっき48が形成されている。めっき48は、リード46の先端部中央を被覆し、リード46の端部が露出するように形成されている。めっき48は、リード46と半導体装置(図示略)とを接続するボンディングワイヤ(図示略)の接続性を高めるために形成されている。めっき48は、めっき47と同じ材料(例えば銀(Ag))である。つまり、図1(a)に示すレール部11,12の上面に形成されたアライメントマーク15,16と、ダイパッド43の上面に形成されためっき47と、リード46の上面に形成されためっき48は、同じ材質である。
【0016】
次に、リードフレーム10の製造方法を説明する。
まず、図4に示すように、酸洗浄等の前処理を施した帯状の導電材料51を準備する。
次いで、導電材料51に対し、例えば、フォトリソグラフィ法によりめっきのためのレジストマスクを形成する。詳述すると、図5に示すように、導電材料51の一主面に感光性フィルム52を貼り付ける。感光性フィルム52は、例えばドライフィルムレジスト(DFR)である。次に、感光性フィルム52を、図8(a)に示すフォトマスク(レチクル)61を用いて露光する。フォトマスク61は、基板62と、基板62上に形成されたマスクパターン63,64とを有する。基板62は、例えば石英ガラスである。マスクパターン63,64は、例えばクロムからなる金属膜である。
【0017】
マスクパターン63は、フレーム領域41(図2参照)に対応して幅方向(図8(a)の左右方向)に2列、長手方向(図8(a)の上下方向)に3列の合計6つ形成されている。マスクパターン63は、図8(b)に示すように、単位リードフレーム42のめっき47に応じたマスクパターン63aと、めっき48に応じたマスクパターン63bとを含む。マスクパターン64は、図1(a)に示すアライメントマーク15,16に対応する。尚、アライメントマーク15に対応するマスクパターン64の符号を64aとし、アライメントマーク16に対応するマスクパターン64の符号を64bとして示す。マスクパターン64a,64bは、フォトマスク61の幅方向の一端側において長手方向の両側部分にそれぞれ形成される。露光処理では、導電材料51がフィーダ装置(図示略)により所定間隔で搬送され、搬送される導電材料51の感光性フィルム52に対してフォトマスク61を用いた露光が行われる。感光性フィルム52を現像することにより、導電材料51の一主面には、めっき47,48及びアライメントマーク15,16に応じた開口部を有するレジストマスク(めっきマスク)が形成される。
【0018】
次いで、導電材料51に形成したレジストマスクを用いてめっき処理をする。めっきは、導電材料51の一主面に形成されたレジストマスクの開口部から導電材料51に対してめっき液を噴霧して行う。次に、めっき後の導電材料51からレジストマスクを剥離する。レジストマスクが剥離された導電材料51には、図6(a)に示すように、フレーム領域41に対応してめっき部53が長手方向に沿って所定間隔で形成される。図6(b)に示すように、めっき部53には、形成前の単位リードフレーム42の位置に応じてめっき47,48が一主面に形成されている。また、導電材料51の長手方向の各側縁部54,55には、複数のアライメントマーク15,16がそれぞれ形成されている。複数のアライメントマーク15,16は、側縁部54,55の長手方向に沿って、所定の間隔A(図1(a)参照)で形成されている。アライメントマーク15は、図6(c)に示すように、環状のめっきで形成されている。同様に、アライメントマーク16も環状に形成されている。尚、めっき処理において、導電材料51の裏面にめっき液が付着するのを防ぐために、導電材料51の裏面をフィルム等で被覆することが好ましい。
【0019】
次いで、導電材料51に対し、例えば、フォトリソグラフィ法によりエッチング加工のためのレジストマスク(エッチングマスク)を形成する。詳述すると、図7に示すように、導電材料51の主面のうち、めっき47,48及びアライメントマーク15,16を形成した主面に感光性フィルム56を貼り付ける。また、図示しないが、導電材料51の主面のうち、めっき47等を形成していない主面を、フィルムにより被覆する。感光性フィルム56は、例えば、ドライフィルムレジスト(DFR)である。次に、感光性フィルム56を、図9(a)に示すフォトマスク71を用いて露光する。フォトマスク71は、基板72と、基板72上に形成されたマスクパターン73とを有する。基板72は、例えば石英ガラスである。マスクパターン73は、例えばクロムからなる金属膜である。マスクパターン73は、フレーム領域41(図2参照)に対応して幅方向(図9(a)の左右方向)に2列、長手方向(図9(a)の上下方向)に3列の合計6つ形成されている。マスクパターン73は、図9(b)に示すように、単位リードフレーム42のリードパターンに応じたマスクパターン73aを含む。尚、図示しないが、フォトマスク71には、図1(a)に示すリードフレーム10において、図1(b)に示すリードフレーム100として形成されない部分、例えば連結部31,32,33を形成するための開口部に対応するマスクパターンが形成されている。
【0020】
また、フォトマスク71は、アライメントマーク74を有する。アライメントマーク74は、例えば、基板72上に形成された位置合せ用のマークである。アライメントマーク74は、図1に示すアライメントマーク15,16に対応する。尚、アライメントマーク15に対応するアライメントマーク74の符号を74aとし、アライメントマーク16に対応するアライメントマーク74の符号を74bとして示す。アライメントマーク74a,74bは、フォトマスク71の幅方向の一端側において長手方向の両側部分にそれぞれ形成されている。
【0021】
露光処理では、例えば、図10に示す構成の露光装置81を用いる。露光装置81は、制御部82と、導電材料51が搬送されるステージ83と、フォトマスク71が接続されたアクチュエータ84と、3つのカメラ85a〜85cとを有する。めっき処理された導電材料51は、ステージ83上に(図10の左から右に向かって)搬送される。フォトマスク71は、搬送される導電材料51の上方に配置されている。アクチュエータ84及びカメラ85a〜85cは、制御部82にそれぞれ接続されている。アクチュエータ84は、制御部82からの制御に基づいて、フォトマスク71の位置、角度等を変更可能に構成されている。カメラ85aは、図11(a)に示す領域R1を撮影する。同様に、カメラ85bは、領域R2を撮影する。同様に、カメラ85cは、領域R3を撮影する。図11(b)に示すように、領域R1には、アライメントマーク15とアライメントマーク74aとを含む。図示しないが、領域R2には、アライメントマーク16とアライメントマーク74bとを含む。図11(c)に示すように、領域R3には、導電材料51と感光性フィルム56の幅方向の端部部分を含む。
【0022】
制御部82は、カメラ85a〜85cの画像データに基づいて、アクチュエータ84を駆動し、フォトマスク71を導電材料51に位置合せする。詳述すると、図11(a)に示すように、導電材料51の上方に配置されたフォトマスク71は、幅Bがアライメントマーク15,16間の間隔Aよりも長く形成されており、導電材料51のフォトマスク71と対向する部分は、アライメントマーク15,16がそれぞれ2つ含まれる。図11(a)に一点鎖線で示すフォトマスク71aは、1回前の露光でフォトマスク71を導電材料51に位置合せした部分を示している。露光装置81は、フォトマスク71aの位置において、搬送方向の基端(搬送元)側に形成されたアライメントマーク15a(15),16a(16)を用いてフォトマスク71を位置合わせする。つまり、露光装置81は、1回前に導電材料51(感光性フィルム56)に対して露光を行った領域(以下、露光領域という)に含まれるアライメントマーク15a,16aを位置合わせに用いる。
【0023】
図11(b)に示すように、アライメントマーク74aは、例えば、基板72上に十字に形成されている。露光装置81の制御部82は、第1の測定点として、カメラ85aからの画像データに基づいて、例えば、アライメントマーク15aとアライメントマーク74aとの相対的な位置を測定する。同様に、制御部82は、第2の測定点として、カメラ85bからの画像データに基づいて、例えば、アライメントマーク16aとアライメントマーク74bとの相対的な位置を測定する。尚、図11(a)において、フォトマスク71のアライメントマーク74a,74bは、図面が煩雑になるため省略している。
【0024】
カメラ85cは、フォトマスク71とは離間した導電材料51の基板端部において、導電材料51の幅方向の一端部分を含む領域R3を撮影する。言い換えると、領域R3は、フォトマスク71に対して、導電材料51の搬送方向(図11(a)の左右方向)において、アライメントマーク15a,16aとは反対側の導電材料51の一部を含む領域である。図11(c)に示すように、導電材料51の表面上の感光性フィルム56は、導電材料51の端部から幅Cの位置に貼り付けられている。幅Cは、例えば1mmである。制御部82は、カメラ85cからの画像データに基づいて、例えば感光性フィルム56のエッジを検出する。制御部82は、上記した第1及び第2の測定点の測定結果と、感光性フィルム56の検出されたエッジに基づいて、フォトマスク71の目標となる位置を算出する。例えば、各測定点における相対的な位置と、検出されたエッジの位置及び傾きから加重平均を算出し、算出結果に基づいて目標とする位置と、その位置に移動させるXYθ方向の移動量を決定する。制御部82は、算出結果に応じてアクチュエータ84を駆動する。アクチュエータ84は、制御部82からの制御に基づいて、フォトマスク71を導電材料51に位置合せすることで、フォトマスク71のマスクパターン73をめっき47,48に対して位置合わせする。
【0025】
次に、露光装置81は、ステージ83に搬送される導電材料51上の感光性フィルム56に対してフォトマスク71の位置を合わせて露光する処理を繰り返す。露光に用いる光は、例えば紫外線である。感光性フィルム56を現像することにより、導電材料51の一主面には、マスクパターン73aに応じた開口部を有するレジストマスクが形成される。
【0026】
次いで、導電材料51の一主面に形成されたレジストマスクの開口部から導電材料51に対してエッチング加工を施して、図1(a)に示すリードフレーム10が形成される。エッチング加工で使用されるエッチング液は、例えば、塩化第二鉄水溶液である。そして、リードフレーム10の単位列リードフレーム21は、連結部31,32,33を切断することにより、図1(b)に示すリードフレーム100として形成される。
【0027】
以上記述したように、本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)リードフレーム10は、めっきを施した導電材料51に対してエッチング加工を行って形成される。導電材料51に対して単位リードフレーム42の所定部分(ダイパッド43及びリード46)に対応しためっき47,48を形成するとともに、側縁部54,55の表面にアライメントマーク15,16をめっきにより形成する。露光装置81は、フォトマスク71のアライメントマーク74a,74bに対する導電材料51のアライメントマーク15,16の相対的な位置と、導電材料51に貼り付けた感光性フィルム56のエッジとを用いて、フォトマスク71を導電材料51に位置合わせする。これにより、めっき47,48に対してフォトマスク71のマスクパターン73を高精度に位置合わせすることができる。また、このような高精度な位置合せを繰り返しながら導電材料51を搬送させることで、導電材料51に対して露光領域を高精度に連接させることができ、エッチング加工の精度を高め、生産性を向上させることができる。
【0028】
(2)導電材料51に対してめっき47,48と、アライメントマーク15,16とを同時に形成し、そのアライメントマーク15,16をフォトマスク71の位置を合わせに用いてレジストマスク(エッチングマスク)を形成する。これにより、単位リードフレーム42の所定部分に対応して形成しためっき47,48とエッチングマスクとの位置ずれを抑制することができる。
【0029】
(3)露光装置81は、アライメントマーク15a,16aに加えて、フォトマスク71とは離間した基端(搬送元)側の感光性フィルム56のエッジを用いて位置合わせする。つまり、露光装置81は、露光領域を連接させる方向(反搬送方向)の先端側のエッジを用いて位置合せする。これにより、単位列リードフレーム21を複数連接された幅方向に広い帯状のリードフレーム10に対して、フォトマスク71を高精度に位置合せでき、エッチング加工の精度を高めることができる。
【0030】
尚、上記実施の形態は、以下の態様で実施してもよい。
・上記実施形態では、レール部11,12の間には、リードフレーム10の長手方向に沿って単位列リードフレーム21が形成されていたが、これに限定されない。例えば、図12に示すように、帯状のリードフレーム91は、レール部11,12の間に3つのリードフレーム92を有する。リードフレーム92は、フレーム領域41を長手方向に沿って所望の数(図12において4つ)だけ連接して形成されている。レール部11,12は、幅方向に沿って延びる連結部93により互いに連結されている。リードフレーム92は、長手方向において連結部94により連結され、リードフレーム92がリードフレーム91の長手方向に沿って複数形成されている。連結部93と連結部94とは互いに連結されている。このように構成されたリードフレーム91は、連結部93,94を切断することにより、リードフレーム92を複数形成できる。
【0031】
・上記実施形態では、露光装置81は、フォトマスク71を1つ用いたが、これに限定されず、複数のフォトマスク71を用いてもよい。例えば、導電材料51の上面と下面のそれぞれに対向する2つのフォトマスクを有する構成としてもよい。例えば、アライメントマーク15,16と、上面と対向するフォトマスクとを位置合せした後に、下面と対向するフォトマスクを上面側のマスクに追随するように移動させることで、導電材料51の上下面に対して同時に精度良くパターニングすることが可能となる。
【0032】
また、このようなパターニングに対応して、めっき処理において、アライメントマーク15,16を導電材料51の上下面に同時に形成してもよい。これにより、後のエッチング加工において、上下面の両方に対して同時にエッチング加工を施すことができるため、導電材料51の裾引き、ダレを抑制した精度の良いにリードフレームを製造することが可能となる。
【0033】
・上記実施形態では、導電材料51に対してフォトマスク71を位置合せしたが、例えば、フォトマスク71に対して導電材料51を位置合せしてもよい。
・上記実施形態において、フォトマスク71の位置合わせに第1及び第2の測定点と感光性フィルム56のエッジの3点を用いたが、これに限定されず、2点、又は4点以上を用いてもよい。また、例えば、アライメントマーク15,16を3点以上用いて位置合わせしてもよい。
【0034】
・上記実施形態において、アライメントマーク15,16及びアライメントマーク74a,74bの形状は一例であり、適宜変更してもよい。
・上記実施形態では、アライメントマーク15,16をリードフレーム10のレール部11,12に形成したが、これに限定されず、例えば、単位列リードフレーム21のレール部22,23に形成してもよい。また、例えば、単位リードフレーム42内にアライメントマーク15,16を形成し、フォトマスク71の位置合わせが終了した後に、エッチング加工より除去する方法を用いてもよい。
【0035】
・上記実施形態において、単位列リードフレーム21の数は一例であり、リードフレーム10の幅方向に列数を2、又は4以上形成してもよい。
・上記実施形態において、フレーム領域41内に形成した単位リードフレーム42の数及び配置は一例であり、適宜変更してもよい。
【0036】
・上記実施形態では、めっき処理において、フォトリソグラフィ法により形成したレジストマスクを用いたが、例えばメカニカルマスクを用いてもよい。
・上記実施形態において、レジストマスクを直接露光(マスクレス露光)により形成してもよい。
【0037】
・上記実施形態において、めっきに使用する金属は、銀に限定されず、例えば、パラジウムを用いてもよい。
・上記実施形態において、めっき処理は、例えば、無電解めっき法を用いて行ってもよい。
【0038】
・上記実施形態において、リードフレーム10を形成する導電材料51は、銅(Cu)に限らず、銅をベースとした合金、鉄−ニッケル(Fe−Ni)、又は鉄−ニッケルをベースとした合金等を用いてもよい。
【0039】
・上記実施形態では、めっき用のレジストマスクの形成に感光性フィルム52を用いたが、所望の解像性があり、耐めっき性がある材料であれば、特に限定されない。また、エッチング加工のレジストマスクの形成に感光性フィルム56を用いたが、所望の解像性があり、耐エッチング性がある材料であれば、特に限定されない。
【0040】
・上記実施形態では、エッチング液として塩化第二鉄水溶液を用いたが、導電材料51の材質に応じて適宜変更してもよい。
・上記実施形態では、フォトマスク71の位置合せに加重平均を算出したが、これに限定されず、例えば、他の座標を算出する方法を用いてもよい。
【0041】
・上記実施形態では、フォトマスク71の位置合わせに感光性フィルム56のエッジを検出して用いたが、例えば、導電材料51のエッジを用いてもよい。
・上記実施形態において、フォトマスク61の導電材料51に対する位置合せを、例えば導電材料51のエッジを用いて実施してもよい。
【0042】
・上記実施形態において、めっき処理におけるレジストマスクの形成を、露光装置81と同種類の装置で行ってもよい。
・上記実施形態は、めっきが施されたリードフレームのエッチング加工に具体化したが、他の類似する加工方法、製造工程及び装置等に具体化してもよい。
【符号の説明】
【0043】
10,91,92,100 リードフレーム
11,12,22,23 レール部
15,16 アライメントマーク(第1のアライメントマーク)
21 単位列リードフレーム
42 単位リードフレーム
47,48 めっき(めっき部)
51 導電材料(導電部材)
53 めっき部
54,55 側縁部
56 感光性フィルム(レジスト膜)
61,71 フォトマスク
73,73a マスクパターン
74a,74b アライメントマーク(第2のアライメントマーク)
R3 領域
図1
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