(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
CPU(Central Processing Unit)等に使用される半導体素子は動作時に高温となるため、その熱を速やかに外部に放熱することは、半導体素子の性能を発揮する上で極めて重要である。
【0003】
そこで、従来より、半導体素子上にヒートスプレッダやヒートパイプ等の放熱部品を装着して、半導体素子が発する熱を外部に有効に放出する経路を確保することが行われている。又、ヒートスプレッダやヒートパイプ等の放熱部品の放熱性能(熱放射性)を向上する検討が行われており、特に、ヒートスプレッダやヒートパイプ等の表面に施すめっきについては様々な技術が開示されている。
【0004】
例えば、めっき液の組成を『水+硫酸ニッケル+塩化ニッケル+ほう酸+光沢剤+界面活性剤+カーボンナノファイバ』とし、界面活性剤をポリアクリル酸として作製した複合めっき層において、良好な放射率が得られることが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
又、金属部品の表面に、カーボンナノファイバが分散された電解めっき液を用いた電解めっきによって形成されたカーボンナノファイバとめっき金属とからなる複合めっき皮膜層を形成し、複合めっき皮膜層の表面を形成するカーボンナノファイバの一部がめっき金属で覆われることなく露出するようにした放熱部品が開示されている。又、金属部品の表面に複合めっき皮膜層を形成した後、複合めっき皮膜層の表面から露出するカーボンナノファイバの量を増やすため、複合めっき皮膜層にエッチングを施して複合めっき皮膜層に含まれる金属を除去することが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
又、金属源と、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、ケッチェン、黒鉛類等の炭素の微粒子とを含有してなり、該微粒子の平均粒径が1μm以下であるめっき液を表面処理に使用することによって、低接触抵抗と異物付着防止性能とが両立することが開示されている。又、微粒子含有金属層の表面に炭素微粒子が露出していると、より効果的であり、微粒子含有金属層の表面側に金属めっきを施す場合でも、積層された金属めっき層の表面に炭素微粒子が露出するようにすることが好適である旨が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
又、表面の少なくとも一部にめっき金属層が形成された多数本のカーボンナノチューブによって形成された塊状粒状物であって、該塊状粒状物を形成するカーボンナノチューブの各々は、その端部が前記塊状粒状物の外方に露出状態で突出することなく、前記めっき金属層によって相互に固着されていることを特徴とする塊状粒状物が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
【0008】
このように、ヒートスプレッダやヒートパイプ等の表面に施すめっきについては様々な技術が開示されており、特に、カーボンナノファイバ等の炭素材料を用いたものが数多く開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0022】
〈第1の実施の形態〉
[第1の実施の形態に係る放熱部品の構造]
まず、第1の実施の形態に係る放熱部品の構造について説明する。
図1は、第1の実施の形態に係る放熱部品を例示する断面模式図である。
図2は、
図1の一部を拡大して例示する断面模式図である。
図1及び
図2を参照するに、放熱部品1は、基材10と、第1めっき層20と、触媒層25と、第2めっき層30と、を有する。但し、
図1において、触媒層25の図示は省略されている。
【0023】
基材10は、第1めっき層20、触媒層25、及び第2めっき層30が積層形成される部分である。基材10は、熱伝導率が良好な金属から構成することが好ましく、具体的には、例えば銅(Cu)、鉄(Fe)、又はこれらの合金等を用いることができる。
【0024】
第1めっき層20は、基材10上に形成された、金属22中にカーボンナノチューブ21が分散された複合めっき層である。第1めっき層20の厚さT
1は、は、例えば、10〜20μm程度とすることができる。カーボンナノチューブ21は、基材10の表面に対してランダムな方向に配されており、カーボンナノチューブ21の一部は、金属22の表面から突出している。
【0025】
以降、カーボンナノチューブ21の金属22の表面から突出している部分を、カーボンナノチューブ21の突出部と称する。カーボンナノチューブ21の突出部の金属22の表面からの突出量Lは、カーボンナノチューブ21ごとに異なるが、例えば、10μm程度とすることができる。カーボンナノチューブ21の突出部の投影面積は、第1めっき層20の表面に対して3%以上とすることができる。
【0026】
カーボンナノチューブ21の径は、例えば、100〜300nm程度とすることができる。カーボンナノチューブ21の長さは、例えば、10〜15μm程度とすることができる。カーボンナノチューブ21の本数は、例えば、数万本程度とすることができる。
【0027】
金属22は、熱伝導率が良好で錆び難い金属から構成することが好ましく、具体的には、例えばニッケル(Ni)、銅(Cu)、コバルト(Co)、金(Au)、銀(Ag)等を用いることができる。
【0028】
なお、カーボンナノチューブ21に代えて、カーボンナノファイバ、グラファイト、カーボンブラック等の炭素材料を用いても構わない。又、これらの炭素材料が混合したものを用いても構わない。
【0029】
触媒層25は、第1めっき層20の表面(すなわち、カーボンナノチューブ21の突出部の表面及び金属22の表面)を覆うように形成されている。触媒層25は、第2めっき層30を形成する前に触媒として付与される触媒物質からなる層である。触媒層25は隣接するカーボンナノチューブ21の突出部間を充填しない程度の層厚に制御されている。
【0030】
触媒層25の材料としては、例えば、パラジウム(Pd)を用いることができる。触媒層25の材料として、銀(Ag)やSn/Pd(錫とパラジウムを混合したもの)等を用いても構わない。触媒層25は、存在することにより所定の効果が得られ、特にその厚さは問題とならないが、触媒層25の厚さT
2は、例えば、10〜40nm程度とすることができる。なお、触媒層25は、本発明に係る第3の金属の層の代表的な一例である。
【0031】
第2めっき層30は、触媒層25の表面(すなわち、触媒層25が形成されたカーボンナノチューブ21の突出部の表面及び金属22の表面)を覆うように形成されている。第2めっき層30は、カーボンナノチューブ21の突出部の脱落を防止するために設けられている。第2めっき層30を、触媒層25が形成されたカーボンナノチューブ21の突出部全体を覆うように形成すると熱放射性が低下するので、第2めっき層30は触媒層25が形成された隣接するカーボンナノチューブ21の突出部間を充填しない程度の層厚に制御されている。
【0032】
但し、触媒層25及び第2めっき層30は、カーボンナノチューブ21の突出部の表面及び金属22の表面に一様に付着しなくてもよい。例えば、カーボンナノチューブ21の突出部の表面及び金属22の表面に、触媒層25を介さずに第2めっき層30が直接形成されている部分が存在してもよい。部分的にこのような形態となったとしても、全体的にみれば触媒層25が形成されたカーボンナノチューブ21の突出部の表面及び金属22の表面を覆うように第2めっき層30が形成されているため、熱放射性の向上という所定の効果が得られるからである。
【0033】
なお、カーボンナノチューブ21等の炭素材料は親水性が悪く、触媒層25との密着不良を起こす虞があるため、触媒層25は、所定の表面処理が施されて親水化された第1めっき層20の表面上に形成されている。所定の表面処理については、後述する。
【0034】
第2めっき層30は電解めっき法により形成されており、その材料としては、例えば、ニッケル(Ni)を用いることができる。第2めっき層30として電解めっき法により形成されたニッケル(Ni)を用いた場合、第2めっき層30の厚さT
3は、0.5μm以上2μm以下とすることが好ましい。第2めっき層30の厚さT
3が0.5μmよりも薄いと、カーボンナノチューブ21の脱落を防止することが困難となる。一方、第2めっき層30の厚さT
3が2μmよりも厚いと、熱放射性が低下する。
【0035】
第2めっき層30を、電解めっき法により形成された銅(Cu)や銀(Ag)としても構わない。第2めっき層30として電解めっき法により形成された銅(Cu)や銀(Ag)を用いた場合、第2めっき層30の厚さT
3は、0.5μm以上2μm以下とすることが好ましい。第2めっき層30の厚さT
3が0.5μmよりも薄いと、カーボンナノチューブ21の脱落を防止することが困難となる。一方、第2めっき層30の厚さT
3が2μmよりも厚いと、熱放射性が低下する。
【0036】
なお、放熱部品1は、例えば、ベーパーチャンバー、ヒートパイプ、ヒートスプレッダ、LEDの筺体等に適用することができる。つまり、放熱部品1の基材10は半導体素子等の発熱体に取り付けられ、半導体素子等の発する熱を基材10を介して第1めっき層20の表面に迅速に伝達する。第2めっき層30ではカーボンナノチューブ21の一部が金属22の表面から突出しており、カーボンナノチューブ21の突出部は極薄の触媒層25及び第2めっき層30で覆われているため、カーボンナノチューブ21の突出部からは、基材10から伝熱された熱が直ちに放熱され、第1めっき層20の熱放射性を更に向上できる。又、カーボンナノチューブ21の突出部は極薄の触媒層25及び第2めっき層30で覆われているため、カーボンナノチューブ21の突出部の脱落による熱放射性の低下を防止できる。
【0037】
[第1の実施の形態に係る放熱部品の製造方法]
次に、第1の実施の形態に係る放熱部品の製造方法につて説明する。
図3及び
図4は、第1の実施の形態に係る放熱部品の製造工程を例示する図である。始めに、
図3に示す工程では、基材10を準備する。基材10は、熱伝導率が良好な金属から構成することが好ましく、具体的には、例えば銅(Cu)、鉄(Fe)、又はこれらの合金等を用いることができる。
【0038】
そして、準備した基材10の表面に、金属22中にカーボンナノチューブ21が分散された電解めっき液を用いて電解めっきを施し、金属22中にカーボンナノチューブ21が分散された複合めっき層である第1めっき層20を形成する。第1めっき層20は、カーボンナノチューブ21の一部が金属22の表面から突出した複数の突出部を含むように形成する。
【0039】
第1めっき層20の厚さT
1は、例えば、10〜20μm程度とすることができる。カーボンナノチューブ21の突出部の金属22の表面からの突出量Lは、カーボンナノチューブ21ごとに異なるが、例えば、10μm程度とすることができる。金属22の表面から突出しているカーボンナノチューブ21の投影面積は、第1めっき層20の表面に対して3%以上とすることができる。なお、カーボンナノチューブ21及び金属22の詳細は、前述のとおりであるため、説明は省略する。
【0040】
図3に示す工程で用いる電解めっき液には、カーボンナノチューブ21を分散する分散剤としてのポリアクリル酸が配合されていることが好ましい。又、光沢剤として、アルカンジオール化合物、アルケンジオール化合物又はアルキンジオール化合物が配合されていることが好ましい。特に、アルキンジオール分子中にオキシエチレン側鎖を有するアルキンジオールであって、このアルキンジオール化合物の分子量の少なくとも20重量%をオキシエチレン側鎖が占める光沢剤を好適に用いることができる。このオキシエチレン側鎖が占める割合を85重量%以下とすることが好ましい。
【0041】
更に、電解めっき液には、界面活性剤としてのケトン基、アルデヒド基又はカルボン酸基を有する有機化合物、カーボンモノオキサイド化合物、クマリン誘導体、アリルアルデヒドのスルホン化物、アリル基を有するスルホン化合物、アルキレンカルボキシエステル、アルキレンアルデヒド、アセチレン誘導体、ピリジウム化合物、アルカンスルホン化合物又はアゾ化合物が配合されていてもよい。かかる電解めっき液にカーボンナノチューブ21を分散するには、予め分散剤溶液に浸漬して分散性を向上したカーボンナノチューブ21を電解めっき液に混合することが好ましい。
【0042】
電解めっき液に混合するカーボンナノチューブ21の混合量は、100ppm以上が好ましく、更に好ましくは500ppm以上、特に好ましくは1000ppm以上である。カーボンナノチューブ21の混合量の上限は1重量%程度である。カーボンナノチューブ21の混合量が1重量%を越えると、カーボンナノチューブ21の分散が困難となる傾向にある。
【0043】
この様にカーボンナノチューブ21が分散された電解めっき液を用いて電解めっきを施す際には、カーボンナノチューブ21の分散状態を維持するため、電解めっき液を攪拌しつつ、電流密度を5A/dm
2以下で施すことが好ましい。電流密度を5A/dm
2を越える条件で電解めっきを施すと、形成される第1めっき層20の表面が凹凸面になり易い傾向にある。
【0044】
更に、基材10を直流電源(図示せず)の陰極に接続して電解めっき液の液面に対して垂直に載置し、基材10の表面(電解めっきを施す面)の側方に直流電源(図示せず)の陽極に接続された陽極板(図示せず)を載置する。そして、基材10と陽極板(図示せず)とを左右方向に遥動させつつ電解めっきを施すことによって、カーボンナノチューブ21を基材10の表面に均一に配設でき、かつ、カーボンナノチューブ21の一部が金属22の表面から突出した複数の突出部を含むように形成できる。
【0045】
次いで、触媒層25を形成する前に、第1めっき層20の表面に表面処理を施す。表面処理を施す理由は、カーボンナノチューブ21は親水性が悪く、触媒層25とカーボンナノチューブ21の突出部との間で密着不良を起こす虞があるためである。第1めっき層20の表面に表面処理を施すことによりカーボンナノチューブ21の突出部は親水化するため、触媒層25との密着性を大幅に向上することができる。表面処理には、例えば、2−アミノエタノール、ポリオキシエチレン−オクチルフェニルエーテルを主成分とする界面活性剤を用いると好適である。
【0046】
次いで、
図4に示す工程では、表面処理が施された第1めっき層20上に、カーボンナノチューブ21の突出部の表面及び金属22の表面を覆うように、触媒層25を形成する。触媒層25は隣接するカーボンナノチューブ21の突出部間を充填しない程度の層厚に制御する。そして、カーボンナノチューブ21の突出部の表面を覆う触媒層25及び金属22の表面を覆う触媒層25上に、電解めっき法により第2めっき層30を形成する。第2めっき層30は触媒層25が形成された隣接するカーボンナノチューブ21の突出部間を充填しない程度の層厚に制御する。
【0047】
触媒層25の材料としては、例えば、パラジウム(Pd)を用いることができる。触媒層25の材料として、銀(Ag)やSn/Pd(錫とパラジウムを混合したもの)等を用いても構わない。触媒層25は、存在することにより所定の効果が得られ、特にその厚さは問題とならないが、触媒層25の厚さT
2は、例えば、10〜40nm程度とすることができる。
【0048】
第2めっき層30の材料としては、例えば、ニッケル(Ni)を用いることができる。第2めっき層30としてニッケル(Ni)を用いた場合、第2めっき層30の厚さT
3は、0.5μm以上2μm以下とすることができる。第2めっき層30の厚さT
3が0.5μmよりも薄いと、カーボンナノチューブ21の脱落を防止することが困難となる。一方、第2めっき層30の厚さT
3が2μmよりも厚いと、熱放射性が低下する。
【0049】
第2めっき層30の材料として、銅(Cu)や銀(Ag)を用いても構わない。第2めっき層30として銅(Cu)や銀(Ag)を用いた場合、第2めっき層30の厚さT
3は、0.5μm以上2μm以下とすることが好ましい。第2めっき層30の厚さT
3が0.5μmよりも薄いと、カーボンナノチューブ21の脱落を防止することが困難となる。一方、第2めっき層30の厚さT
3が2μmよりも厚いと、熱放射性が低下する。
【0050】
図4に示す工程において、触媒層25を形成する工程よりも前に、酸浸漬工程を設け、触媒層25を形成する工程と第2めっき層30を形成する工程(電解めっき工程)との間に、還元処理工程を設けてもよい。酸浸漬工程は、被めっき面を活性化させ、触媒層25を付き易くする工程である。酸浸漬工程では、例えば、塩酸を主成分とする溶液を用いることができる。還元処理工程は、被めっき面に付与された触媒物質(触媒層25を構成する物質)を還元して金属化する工程である。還元処理工程では、例えば、還元剤である次亜リン酸ナトリウムを主成分とする溶液を用いることができる。
【0051】
このように、
図3及び
図4の工程により、
図1及び
図2に示す放熱部品1を作製することができる。
【0052】
以上のように、第1の実施の形態によれば、基材10上に、カーボンナノチューブ21が基材10の表面に対してランダムな方向に配されており、カーボンナノチューブ21の一部が金属22の表面から突出している第1めっき層20を形成する。そして、第1めっき層20の表面に所定の表面処理を施した後、第1めっき層20上に隣接するカーボンナノチューブ21の突出部間を充填しない程度の層厚で触媒層25及び第2めっき層30をこの順番で形成する。これにより、熱伝導率等の熱特性に優れたカーボンナノチューブ21が、熱伝導率等の熱特性に優れた金属22中に配されるため、基材10の表面から第1めっき層20の表面に熱を迅速に伝達することが可能となり、熱放射性を向上できる。
【0053】
又、カーボンナノチューブ21の一部が金属22の表面から突出しており、カーボンナノチューブ21の突出部は極薄の触媒層25及び第2めっき層30で覆われている。これにより、カーボンナノチューブ21の突出部からは、基材10から伝熱された熱が直ちに放熱されるため、第1めっき層20の熱放射性を更に向上できる。
【0054】
又、カーボンナノチューブ21の突出部は極薄の触媒層25及び第2めっき層30で覆われているため、カーボンナノチューブ21の突出部の脱落による熱放射性の低下を防止できる。
【0055】
〈第1の実施の形態の変形例〉
第1の実施の形態では、第2めっき層30を電解めっき法により形成する例を示した。第1の実施の形態の変形例では、第2めっき層30を無電解めっき法により形成する例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例において、第1の実施の形態と共通する部分についての説明は省略する。
【0056】
無電解めっき法により第2めっき層30を形成するには、まず第1の実施の形態の
図3と同様な工程を実施する。そして、触媒層25を形成する前に、第1の実施の形態と同様に、第1めっき層20の表面に表面処理を施す。
【0057】
次いで、表面処理が施された第1めっき層20上に、カーボンナノチューブ21の突出部の表面及び金属22の表面を覆うように、触媒層25を形成する。触媒層25は隣接するカーボンナノチューブ21の突出部間を充填しない程度の層厚に制御する。そして、カーボンナノチューブ21の突出部の表面を覆う触媒層25及び金属22の表面を覆う触媒層25上に、無電解めっき法により第2めっき層30を形成する。第2めっき層30は触媒層25が形成された隣接するカーボンナノチューブ21の突出部間を充填しない程度の層厚に制御する。
【0058】
第2めっき層30の材料としては、例えば、Ni−Pを用いることができる。第2めっき層30としてNi−Pを用いた場合、第2めっき層30の厚さT
3は、0.5μm以上2μm以下とすることが好ましい。第2めっき層30の厚さT
3が0.5μmよりも薄いと、カーボンナノチューブ21の脱落を防止することが困難となる。一方、第2めっき層30の厚さT
3が2μmよりも厚いと、熱放射性が低下する。
【0059】
この工程において、触媒層25を形成する工程よりも前に、酸浸漬工程を設け、触媒層25を形成する工程と第2めっき層30を形成する工程(無電解めっき工程)との間に、還元処理工程を設けてもよい。酸浸漬工程は、被めっき面を活性化させ、触媒層25を付き易くする工程である。酸浸漬工程では、例えば、硫酸水素ナトリウム及び硫酸を主成分とする溶液を用いることができる。還元処理工程は、被めっき面に付与された触媒物質(触媒層25を構成する物質)を還元して金属化する工程である。還元処理工程では、例えば、還元剤であるジメチルアミンボランを主成分とする溶液を用いることができる。その後、前述の無電解めっき工程を行う。このように、無電解めっき法により第2めっき層30を形成しても良い。
【0060】
以上のように、第1の実施の形態の変形例によれば、無電解めっき法により第2めっき層30を形成しても第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0061】
[実施例1]
始めに、第1の実施の形態に係る製造方法で放熱部品1(放熱部品1Aとする)を作製した。まず、基材10として銅(Cu)を準備し、基材10上に電解めっき法により金属22中にカーボンナノチューブ21が分散された複合めっき層である第1めっき層20(層厚T
1=10μm)を形成した。なお、金属22の材料としてはニッケル(Ni)を用いた。
【0062】
次に、第1めっき層20上に前述の表面処理を施した後、カーボンナノチューブ21の突出部の表面及び金属22の表面を覆うように触媒層25(層厚T
2=10〜40nm)を形成した。なお、触媒層25の材料としてはパラジウム(Pd)を用いた。この時点で、STEM(Scanning Transmission Electron Microscope)により観察した結果、第1めっき層20の表面に触媒層25(パラジウム)が形成されていることが確認できた。
【0063】
次に、カーボンナノチューブ21の突出部の表面を覆う触媒層25及び金属22の表面を覆う触媒層25上に、電解めっき法により第2めっき層30(層厚T
3=2μm)を形成した。なお、第2めっき層30の材料としてはニッケル(Ni)を用いた。
【0064】
次に、比較例として、放熱部品1Aと同様に第1めっき層20を形成し、第1めっき層20上に前述の表面処理を施した後、触媒層25(パラジウム)を形成せずに、カーボンナノチューブ21の突出部の表面及び金属22の表面上に、直接電解めっき法により第2めっき層30(層厚T
3=2μm)を形成したサンプル(放熱部品W(比較例)とする)を作製した。なお、第2めっき層30の材料としてはニッケル(Ni)を用いた。つまり、放熱部品W(比較例)は、触媒層25(パラジウム)が形成されていない点のみが、放熱部品1Aと相違している。
【0065】
サンプル作製後、SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて、放熱部品1A及び放熱部品W(比較例)のニッケル(Ni)の析出状態を観察した。その結果を、
図5A〜
図5Cに示す。
図5Aは、放熱部品W(比較例)のカーボンナノチューブ21の突出部の表面及び金属22の表面のSEM写真(倍率:2000倍)である。
図5Bは、放熱部品1Aのカーボンナノチューブ21の突出部の表面及び金属22の表面のSEM写真(倍率:2000倍)である。
図5Cは、
図5Bを拡大したSEM写真(倍率:10000倍)である。
【0066】
図5Aから、触媒層25(パラジウム)を形成していない放熱部品W(比較例)では、ニッケル(Ni)が団子状に析出していることがわかる。又、ニッケル(Ni)が付着せずにカーボンナノチューブ21の突出部の表面が露出している箇所が多数存在している。
【0067】
一方、
図5B及び
図5Cから、触媒層25(パラジウム)を形成した放熱部品1Aでは、
図5Aの放熱部品W(比較例)と比較して、ニッケル(Ni)が遙かに均一に析出していることがわかる。又、ニッケル(Ni)が付着せずにカーボンナノチューブ21の突出部の表面が露出している箇所は、ほとんど存在しないか、或いは、放熱部品W(比較例)と比較して遙かに少ない。
【0068】
このように、本実施例によれば、第2めっき層30を形成する工程よりも前に、触媒層25を形成する工程を設けることにより、第2めっき層30を均一に析出できることが確認された。
【0069】
なお、実施例1では、電解めっき法により第2めっき層30を形成した場合のニッケル(Ni)の析出状態を示したが、無電解めっき法により第2めっき層30を形成した場合も、同様にニッケル(Ni)を均一に析出できることが確認されている。
【0070】
[実施例2]
次に、第1の実施の形態の変形例に係る製造方法で放熱部品1(放熱部品1Bとする)を作製した。まず、基材10として銅(Cu)を準備し、基材10上に電解めっき法により金属22中にカーボンナノチューブ21が分散された複合めっき層である第1めっき層20(層厚T
1=10μm)を形成した。なお、金属22の材料としてはニッケル(Ni)を用いた。次に、第1めっき層20上に前述の表面処理を施した後、カーボンナノチューブ21の突出部の表面及び金属22の表面を覆うように触媒層25(層厚T
2=10〜40nm)を形成した。そして、カーボンナノチューブ21の突出部の表面を覆う触媒層25及び金属22の表面を覆う触媒層25上に、無電解めっき法により第2めっき層30(層厚T
3=2μm)を形成した。なお、第2めっき層30の材料としてはNi−Pを用いた。
【0071】
次に、比較例として、銅(Cu)からなる基材10のみのサンプル(放熱部品X(比較例)とする)と、銅(Cu)からなる基材10上に層厚10μmの電解ニッケルめっき層(カーボンナノチューブは分散されていない)のみを形成したサンプル(放熱部品Y(比較例)とする)を作製した。
【0072】
サンプル作製後、所定のブロックにヒータと温度計とサンプル(放熱部品1A、放熱部品1B、放熱部品X(比較例)、及び放熱部品Y(比較例)を順番に搭載)を取り付け、ヒータに一定電圧を60分間印加したときの温度計の温度を測定した。その結果を、
図6に示す。
図6において、60分経過後の温度上昇が小さいサンプルほど熱放射性が優れていることを示している。なお、放熱部品1Aは実施例1で作製したものを用いた。
【0073】
図6に示すように、放熱部品X(比較例)及び放熱部品Y(比較例)では、60分経過時の温度は略92℃であった。これに対して、第1の実施の形態に係る製造方法で製造した放熱部品1Aでは、60分経過時の温度は略82℃であった。これは、放熱部品X(比較例)及び放熱部品Y(比較例)に対して−10℃であり、熱放射性が大幅に向上することが確認された。
【0074】
又、第1の実施の形態の変形例に係る製造方法で製造した放熱部品1Bでは、60分経過時の温度は略85℃であった。これは、放熱部品X(比較例)及び放熱部品Y(比較例)に対して−7℃であり、熱放射性が大幅に向上することが確認された。
【0075】
このように、本実施例によれば、第1の実施の形態に係る製造方法で製造した放熱部品1A、及び第1の実施の形態の変形例に係る製造方法で製造した放熱部品1Bでは、従来の放熱部品に対して熱放射性が大幅に向上することが確認された。
【0076】
以上、好ましい実施の形態及びその変形例について詳説したが、上述した実施の形態及びその変形例に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態及びその変形例に種々の変形及び置換を加えることができる。