【実施例】
【0113】
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0114】
共役ブロック共重合体を構成する共役重合体ブロックの合成を重合例1〜8、及びそれを用いた本発明の共役ブロック共重合体の合成を実施例1〜8に示す。また、本発明の適用外を比較例1〜9に示す。
【0115】
(重合例1)
下記反応式(1)に従い共役重合体ブロックA1の合成を行った。なお、以下の反応式中、置換基であるエチルヘキシルをEtHexまたはHexEtと略記する。
【化10】
【0116】
窒素雰囲気下、100mL三口フラスコに2,6−ジブロモ−4,4’−ビス(2−エチルヘキシル)−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン(1.50g,2.68mmol)、4,7−ビス(3,3,4,4−テトラメチル−2,5,1−ジオキサボロラン−1−イル)ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール(1.04g,2.68mmol)、トルエン(50mL)、2M炭酸カリウム水溶液(25mL,50mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh
3)
4)(61.9mg,53.5μmol)、aliquat336(2mg,4.95μmol)を加えた後に80℃で2時間攪拌した。その後、フェニルボロン酸ピナコールエステル(273mg,1.34mmol)を加え、80℃で18時間攪拌した。反応終了後、反応溶液をメタノール(500mL)に注ぎ、析出した固体を濾取し、水(100mL)、メタノール(100mL)で洗浄し、得られた固体を減圧乾燥することで粗生成物を得た。粗生成物を、ソックスレー抽出機を用いてアセトン(200mL)、ヘキサン(200mL)で洗浄した後に、クロロホルム(200mL)で抽出した。得られた溶液をメタノール(2L)に注ぎ、析出した固体を濾取した後に減圧乾燥することで黒紫色の固体として共役重合体ブロックA1を得た(1.04g,41%)。
【0117】
得られた共役重合体ブロックA1の理化学分析を行った。
1H−NMR(核磁気共鳴)測定により、分子構造を同定した。
1H−NMR(270MHz):δ=8.10−7.95(m、2H)、7.80−7.61(m、2H)、2.35−2.12(m、4H)、1.60−1.32(m、18H)、1.18−0.82(m、12H)
数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、何れも、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)による測定に基づき、ポリスチレン換算値で求めた。ここでは、GPC装置として、東ソー株式会社製のHLC−8320GPCを用い、カラムとして、東ソー株式会社製のTSKgel SuperMultiporeHZ−Mの2本を直列に繋いだものを用いた。これらの数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)の値を用いて、(Mw)/(Mn)により分散度(PDI)を求めた。
GPC(CHCl
3):Mn=19600g/mol、Mw=45500g/mol、PDI=2.32
この理化学分析結果は、前記反応式(1)に示される化学構造を支持する。
【0118】
(重合例2)
下記反応式(2)に従い共役重合体ブロックA2の合成を行った。
【化11】
【0119】
窒素雰囲気下、100mL三口フラスコに2,6−ジブロモ−4,4’−ビス(2−エチルヘキシル)−ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ゲルモール(1.66g,2.68mmol)、4,7−ビス(3,3,4,4−テトラメチル−2,5,1−ジオキサボロラン−1−イル)ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール(1.04g,2.68mmol)、トルエン(50mL)、2M炭酸カリウム水溶液(25mL,50mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(61.9mg,53.5μmol)、aliquat336(2mg,4.95μmol)を加えた後に80℃で2時間攪拌した。その後、フェニルボロン酸ピナコールエステル(273mg,1.34mmol)を加え、80℃で18時間攪拌した。反応終了後、反応溶液をメタノール(500mL)に注ぎ、析出した固体を濾取し、水(100mL)、メタノール(100mL)で洗浄し、得られた固体を減圧乾燥することで粗生成物を得た。粗生成物を、ソックスレー抽出機を用いてアセトン(200mL)、ヘキサン(200mL)で洗浄した後に、クロロホルム(200mL)で抽出した。得られた溶液をメタノール(2L)に注ぎ、析出した固体を濾取した後に減圧乾燥することで黒紫色の固体として共役重合体ブロックA2を得た(1.03g,38%)。
【0120】
重合例1と同様に、得られた共役重合体ブロックA2の理化学分析を行った。
1H−NMR(270MHz)、δ=8.20−7.95(m、2H)、7.90−7.12(m、2H)、2.34−2.10(m、4H)、1.59−1.33(m、18H)、1.19−0.81(m、12H)
GPC(CHCl
3):Mn=17500g/mol、Mw=42400g/mol、PDI=2.42
この理化学分析結果は、前記反応式(2)に示される化学構造を支持する。
【0121】
(重合例3)
下記反応式(3)に従い共役重合体ブロックA3の合成を行った。
【化12】
【0122】
充分に乾燥させアルゴン置換したナスフラスコAに、脱水及び過酸化物除去処理を行なったテトラヒドロフラン(THF)25mLと、2−ブロモ−5−ヨ−ド−3−ヘキシルチオフェン1.865g(5mmol)と、i−プロピルマグネシウムクロリドの2.0M溶液2.5mLを加えて、0℃で30分攪拌し、上記反応式中の化学式(a1)で示す有機マグネシウム化合物の溶液を合成した。
【0123】
乾燥させたアルゴン置換したナスフラスコBに、脱水及び過酸化物除去処理を行なったTHF25mLとNiCl
2(dppp)27mg(0.05mmol)を加えて35℃に加熱した後、有機マグネシウム化合物溶液(a1)を添加した。35℃で1.5時間加熱攪拌した後、5M塩酸50mLを加えて室温で1時間攪拌した。この反応液をクロロホルム450mLで抽出し、有機層を重曹水100mL、蒸留水100mLの順で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮乾固した。得られた黒紫色の固体を、クロロホルムの30mLに溶かし、メタノ−ルの300mLに再沈殿し、充分に乾燥したものを、分取用GPCカラムを用いて精製することにより共役重合体ブロックA3(690mg)を得た。
【0124】
なお、溶媒であるTHFは、和光純薬工業社製の脱水テトラヒドロフラン(安定剤不含)を、金属ナトリウム存在下蒸留精製を行なった後、和光純薬工業社製のモレキュラーシーブス5Aに一日以上接触させることで、精製を行った。また、重合体の精製には分取用のGPCカラムを用いてにて精製を行なった。用いた装置は、Japan Analytical Industry社製のRecycling Preparative HPLC LC−908を用いた。なお、カラムの種類は、日本分析工業社製のスチレン系ポリマーカラム 2H−40及び2.5H−40を2本直列に接続したものである。また、溶出溶媒はクロロホルムを用いた。
【0125】
重合例1と同様に、得られた共役重合体ブロックA3の理化学分析を行った。
1H−NMR:δ=6.97(s、1H)、2.80(t、J=8.0Hz、2H)、1.89−1.27(m、10H)、0.91(t、J=6.8Hz、3H)
GPC(CHCl
3):Mn=21000g/mol、Mw=24150g/mol、PDI=1.15
この理化学分析結果は、前記反応式(3)に示される化学構造を支持する。
【0126】
(実施例1)
下記反応式(4)に従い共役ブロック共重合体1の合成を行った。なお、以下の実施例における共役ブロック共重合体の構造式または反応式中、「−b−」はブロック共重合、「−r−」または「−ran−」はランダム共重合であることを示す。
【化13】
【0127】
窒素雰囲気下、100mL三口フラスコに共役重合体ブロックA1(0.80g)と共役重合体ブロックA3(0.80g)、トルエン(20mL)、2M炭酸カリウム水溶液(10mL,20mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(20.5mg,17.7μmol)、aliquat336(0.8mg,1.98μmol)を加えた後に80℃で24時間攪拌した。反応終了後、反応溶液をメタノール(200mL)に注ぎ、析出した固体を濾取し、水(20mL)、メタノール(20mL)で洗浄し、得られた固体を減圧乾燥することで粗生成物を得た。粗生成物を、ソックスレー抽出機を用いてアセトン(100mL)、ヘキサン(100mL)で洗浄した後に、クロロホルム(100mL)で抽出した。得られた溶液をメタノール(1L)に注ぎ、析出した固体を濾取した後に減圧乾燥することで黒紫色の固体として共役ブロック共重合体1を得た(0.53g,33%)。
【0128】
重合例1と同様に、得られた共役ブロック共重合体1の理化学分析を行った。
1H−NMR(270MHz):δ=8.12−7.94(m、2H)、7.80−7.61(m、2H)、6.97(s、1H)2.35−2.12(m、6H)、1.62−1.31(m、26H)、1.19−0.83(m、15H)
GPC(CHCl
3):Mn=41000g/mol、Mw=86100g/mol、PDI=2.10
この理化学分析結果は、前記反応式(4)に示される化学構造を支持する。
【0129】
(実施例2)
下記反応式(5)に従い共役ブロック共重合体2の合成を行った。
【化14】
【0130】
窒素雰囲気下、100mL三口フラスコに共役重合体ブロックA2(0.80g)と共役重合体ブロックA3(0.80g)、トルエン(20mL)、2M炭酸カリウム水溶液(10mL,20mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(20.5mg,17.7μmol)、aliquat336(0.8mg,1.98μmol)を加えた後に80℃で24時間攪拌した。反応終了後、反応溶液をメタノール(200mL)に注ぎ、析出した固体を濾取し、水(20mL)、メタノール(20mL)で洗浄し、得られた固体を減圧乾燥することで粗生成物を得た。粗生成物を、ソックスレー抽出機を用いてアセトン(100mL)、ヘキサン(100mL)で洗浄した後に、クロロホルム(100mL)で抽出した。得られた溶液をメタノール(1L)に注ぎ、析出した固体を濾取した後に減圧乾燥することで黒紫色の固体として共役ブロック共重合体2を得た(0.53g,33%)。
【0131】
重合例1と同様に、得られた共役ブロック共重合体2の理化学分析を行った。
1H−NMR(270MHz):δ=8.21−7.94(m、2H)、7.92−7.13(m、2H)、6.97(s、1H)、2.35−2.11(m、6H)、1.61−1.31(m、26H)、1.19−0.83(m、15H)
GPC(CHCl
3):Mn=41000g/mol、Mw=86100g/mol、PDI=2.10
この理化学分析結果は、前記反応式(5)に示される化学構造を支持する。
【0132】
(重合例4)
下記反応式(6)に従い共役重合体ブロックA4の合成を行った。
【化15】
【0133】
窒素雰囲気下、100mL三口フラスコに2,6−ジブロモ−4,4’−ビス(2−エチルヘキシル)−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン(1.50g,2.68mmol)、4,7−ビス(3,3,4,4−テトラメチル−2,5,1−ジオキサボロラン−1−イル)ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール(1.04g,2.68mmol)、トルエン(50mL)、2M炭酸カリウム水溶液(25mL,50mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(61.9mg,53.5μmol)、aliquat336(2mg,4.95μmol)を加えた後に80℃で2時間攪拌した。その後、フェニルブロマイド(210mg,1.34mmol)を加え、80℃で18時間攪拌した。反応終了後、反応溶液をメタノール(500mL)に注ぎ、析出した固体を濾取し、水(100mL)、メタノール(100mL)で洗浄し、得られた固体を減圧乾燥することで粗生成物を得た。粗生成物を、ソックスレー抽出機を用いてアセトン(200mL)、ヘキサン(200mL)で洗浄した後に、クロロホルム(200mL)で抽出した。得られた溶液をメタノール(2L)に注ぎ、析出した固体を濾取した後に減圧乾燥することで黒紫色の固体として共役重合体ブロックA4を得た(1.06,42%)。
【0134】
重合例1と同様に、得られた共役重合体ブロックA4の理化学分析を行った。
1H−NMR(270MHz):δ=8.10−7.96(m、2H)、7.81−7.61(m、2H)、2.35−2.13(m、4H)、1.59−1.32(m、18H)、1.18−0.81(m、12H)
GPC(CHCl
3):Mn=20100g/mol、Mw=44300g/mol、PDI=2.20
この理化学分析結果は、前記反応式(6)に示される化学構造を支持する。
【0135】
(重合例5)
下記反応式(7)に従い共役重合体ブロックA5の合成を行った。
【化16】
【0136】
窒素雰囲気下、100mL三口フラスコに2,6−ジブロモ−4,4’−ジヘキサデシルシクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン(2.05g,2.68mmol)、4,7−ビス(3,3,4,4−テトラメチル−2,5,1−ジオキサボロラン−1−イル)ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール(1.04g,2.68mmol)、トルエン(50mL)、2M炭酸カリウム水溶液(25mL,50mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(61.9mg,53.5μmol)、aliquat336(2mg,4.95μmol)を加えた後に80℃で2時間攪拌した。その後、フェニルボロン酸ピナコールエステル(273mg,1.34mmol)を加え、80℃で18時間攪拌した。反応終了後、反応溶液をメタノール(500mL)に注ぎ、析出した固体を濾取し、水(100mL)、メタノール(100mL)で洗浄し、得られた固体を減圧乾燥することで粗生成物を得た。粗生成物を、ソックスレー抽出機を用いてアセトン(200mL)、ヘキサン(200mL)で洗浄した後に、クロロホルム(200mL)で抽出した。得られた溶液をメタノール(2L)に注ぎ、析出した固体を濾取した後に減圧乾燥することで黒紫色の固体として共役重合体ブロックA5を得た(1.11g,36%)。
【0137】
重合例1と同様に、得られた共役重合体ブロックA5の理化学分析を行った。
1H−NMR(270MHz):δ=8.13−7.95(m、2H)、7.82−7.35(m、2H)、3.04−2.89(m、4H)、2.34−2.13(m、8H)、1.55−1.42(m、12H)、1.35−1.09(m、36H)、0.82(m、6H)
GPC(CHCl
3):Mn=18900g/mol、Mw=37200g/mol、PDI=1.97
この理化学分析結果は、前記反応式(7)に示される化学構造を支持する。
【0138】
(重合例6)
下記反応式(8)に従い共役重合体ブロックA6の合成を行った。
【化17】
【0139】
窒素雰囲気下、100mL三口フラスコに2,6−ジブロモ−4,4’−ビス(4,4,5,5,6,6,7,7,7−ノナフルオロヘプチル)−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン(2.29g,2.68mmol)、4,7−ビス(3,3,4,4−テトラメチル−2,5,1−ジオキサボロラン−1−イル)ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール(1.04g,2.68mmol)、トルエン(50mL)、2M炭酸カリウム水溶液(25mL,50mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(61.9mg,53.5μmol)、aliquat336(2mg,4.95μmol)を加えた後に80℃で2時間攪拌した。その後、フェニルボロン酸ピナコールエステル(273mg,1.34mmol)を加え、80℃で18時間攪拌した。反応終了後、反応溶液をメタノール(500mL)に注ぎ、析出した固体を濾取し、水(100mL)、メタノール(100mL)で洗浄し、得られた固体を減圧乾燥することで粗生成物を得た。粗生成物を、ソックスレー抽出機を用いてアセトン(200mL)、ヘキサン(200mL)で洗浄した後に、クロロホルム(200mL)で抽出した。得られた溶液をメタノール(2L)に注ぎ、析出した固体を濾取した後に減圧乾燥することで黒紫色の固体として共役重合体ブロックA6を得た(1.20g,43%)。
【0140】
重合例1と同様に、得られた共役重合体ブロックA6の理化学分析を行った。
1H−NMR(270MHz):δ=8.12−7.97(m、2H)、7.90−7.32(m、2H)、2.75(t、J=7.56Hz、4H)、2.31−1.92(m、8H)
GPC(CHCl
3):Mn=19200g/mol、Mw=42700g/mol、PDI=2.22
この理化学分析結果は、前記反応式(8)に示される化学構造を支持する。
【0141】
(重合例7)
下記反応式(9)に従い共役重合体ブロックA7の合成を行った。
【化18】
【0142】
窒素雰囲気下、100mL三口フラスコに2,6−ジブロモ−4,4’−ビス(6,6,6−トリフルオロヘキシル)−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン(1.64g,2.68mmol)、4,7−ビス(3,3,4,4−テトラメチル−2,5,1−ジオキサボロラン−1−イル)ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール(1.04g,2.68mmol)、トルエン(50mL)、2M炭酸カリウム水溶液(25mL,50mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(61.9mg,53.5μmol)、aliquat336(2mg,4.95μmol)を加えた後に80℃で2時間攪拌した。その後、フェニルボロン酸ピナコールエステル(273mg,1.34mmol)を加え、80℃で18時間攪拌した。反応終了後、反応溶液をメタノール(500mL)に注ぎ、析出した固体を濾取し、水(100mL)、メタノール(100mL)で洗浄し、得られた固体を減圧乾燥することで粗生成物を得た。粗生成物を、ソックスレー抽出機を用いてアセトン(200mL)、ヘキサン(200mL)で洗浄した後に、クロロホルム(200mL)で抽出した。得られた溶液をメタノール(2L)に注ぎ、析出した固体を濾取した後に減圧乾燥することで黒紫色の固体として共役重合体ブロックA7を得た(1.18g,44%)。
【0143】
重合例1と同様に、得られた共役重合体ブロックA7の理化学分析を行った。
1H−NMR(270MHz):δ=8.12−7.97(m、2H)、7.90−7.32(m、2H)、2.75(t、J=7.56Hz、4H)、2.31−1.92(m、16H)
GPC(CHCl
3):Mn=20600g/mol、Mw=46000g/mol、PDI=2.23
この理化学分析結果は、前記反応式(9)に示される化学構造を支持する。
【0144】
(実施例3)
下記反応式(10)に従い共役ブロック共重合体3の合成を行った。
【化19】
【0145】
窒素雰囲気下、100mL三口フラスコに共役重合体ブロックA4(0.80g)と共役重合体ブロックA5(0.80g)、トルエン(20mL)、2M炭酸カリウム水溶液(10mL,20mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(20.5mg,17.7μmol)、aliquat336(0.8mg,1.98μmol)を加えた後に80℃で24時間攪拌した。反応終了後、反応溶液をメタノール(200mL)に注ぎ、析出した固体を濾取し、水(20mL)、メタノール(20mL)で洗浄し、得られた固体を減圧乾燥することで粗生成物を得た。粗生成物を、ソックスレー抽出機を用いてアセトン(100mL)、ヘキサン(100mL)で洗浄した後に、クロロホルム(100mL)で抽出した。得られた溶液をメタノール(1L)に注ぎ、析出した固体を濾取した後に減圧乾燥することで黒紫色の固体として共役ブロック共重合体3を得た(0.58g,36%)。
【0146】
重合例1と同様に、得られた共役ブロック共重合体3の理化学分析を行った。
1H−NMR(270MHz):δ=8.13−7.94(m、4H)、7.82−7.35(m、4H)、3.04−2.90(m、4H)2.35−2.12(m、12H)、1.60−1.30(m、30H)、1.35−1.20(m、36H)、1.18−0.82(m、18H)
GPC(CHCl
3):Mn=39600g/mol、Mw=83700g/mol、PDI=2.11
この理化学分析結果は、前記反応式(10)に示される化学構造を支持する。
【0147】
(実施例4)
下記反応式(11)に従い共役ブロック共重合体4の合成を行った。
【化20】
【0148】
窒素雰囲気下、100mL三口フラスコに重合体ブロックA4(0.80g)と重合体ブロックA6で示されるポリマー(0.80g)、トルエン(20mL)、2M炭酸カリウム水溶液(10mL,20mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(20.5mg,17.7μmol)、aliquat336(0.8mg,1.98μmol)を加えた後に80℃で24時間攪拌した。反応終了後、反応溶液をメタノール(200mL)に注ぎ、析出した固体を濾取し、水(20mL)、メタノール(20mL)で洗浄し、得られた固体を減圧乾燥することで粗生成物を得た。粗生成物を、ソックスレー抽出機を用いてアセトン(100mL)、ヘキサン(100mL)で洗浄した後に、クロロホルム(100mL)で抽出した。得られた溶液をメタノール(1L)に注ぎ、析出した固体を濾取した後に減圧乾燥することで黒紫色の固体として共役ブロック共重合体4を得た(0.67g,42%)。
【0149】
重合例1と同様に、得られた共役ブロック共重合体4の理化学分析を行った。
1H−NMR(270MHz):δ=8.12−7.96(m、4H)、7.85−7.32(m、4H)、2.74(t、J=7.58Hz、4H)、2.35−1.31(m、30H)、1.19−0.82(m、12H)
GPC(CHCl
3):Mn=40200g/mol、Mw=86100g/mol、PDI=2.14
この理化学分析結果は、前記反応式(11)に示される化学構造を支持する。
【0150】
(実施例5)
下記反応式(12)に従い共役ブロック共重合体5の合成を行った。
【化21】
【0151】
充分に乾燥させアルゴン置換したナスフラスコAに、脱水及び過酸化物除去処理を行なったTHF20mLと、2−ブロモ−5−ヨ−ド−3−ヘキシルチオフェン1.512g(4.05mmol)と、i−プロピルマグネシウムクロリドの2.0M溶液2mLを加えて、0℃で30分攪拌し、有機マグネシウム化合物溶液(a1−1)を合成した。別の充分に乾燥させアルゴン置換したナスフラスコBで、脱水及び過酸化物除去処理を行なったTHF5mLと2,5−ジブロモ−3−[6−(2−テトラヒドロピラニル)オキシヘキシル]チオフェン0.403g(0.95mmol)とt−ブチルマグネシウムクロリドの1.0M溶液0.95mLを加えて、60℃で2時間攪拌し、有機マグネシウム化合物溶液(a1−2)を合成した。
【0152】
充分に乾燥させ、アルゴン置換したナスフラスコCに、脱水及び過酸化物除去処理を行なったTHF25mLとNiCl
2(dppp)27mg(0.05mmol)を加えて35℃に加熱した後、先に調製した有機マグネシウム化合物溶液(a1−1)の70%を添加し、35℃で1.5時間加熱攪拌した。次いで、残りの有機マグネシウム化合物溶液(a1−1)及び有機マグネシウム化合物溶液(a1−2)を添加し、35℃で2時間反応させた。反応終了後、t−ブチルマグネシウムクロリドの1.0M
THF溶液2mLを加え35℃にて1時間攪拌し、次いで5M塩酸30mLを加えて室温で1時間攪拌した。この反応液をクロロホルム450mLで抽出し、有機層を重曹水100mL、蒸留水100mLの順で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮乾固した。得られた黒紫色の固体を、クロロホルムの30mLに溶かし、メタノ−ルの300mLに再沈殿し、充分に乾燥したものを、重合例3と同様に分取用GPCカラムを用いて精製することにより共役ブロック共重合体5(650mg)を得た。
【0153】
得られた共役ブロック共重合体5の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分散度(PDI)を重合例1と同様に求めた。
GPC(CHCl
3):Mn=20,800、Mw=23,400、PDI=1.13
【0154】
(実施例6)
下記反応式(13)に従い共役ブロック共重合体6の合成を行った。
【化22】
【0155】
充分に乾燥させアルゴン置換したナスフラスコAに、脱水及び過酸化物除去処理を行なったTHF21mLと、2−ブロモ−5−ヨ−ド−3−ヘキシルチオフェン1.573g(4.2mmol)と、i−プロピルマグネシウムクロリドの2.0M溶液2.1mLを加えて、0℃で30分攪拌し、有機マグネシウム化合物溶液(a2−1)を合成した。別の充分に乾燥させアルゴン置換したナスフラスコBで、脱水及び過酸化物除去処理を行なったTHF4mLと2,5−ジブロモ−3−(6,6,6−トリフルオロヘキシル)チオフェン0.393g(0.8mmol)とt−ブチルマグネシウムクロリドの1.0M溶液0.8mLを加えて、60℃で2時間攪拌し、有機マグネシウム化合物溶液(a2−2)を合成した。
充分に乾燥させ、アルゴン置換したナスフラスコCに、脱水及び過酸化物除去処理を行なったTHF25mLとNiCl
2(dppp)27mg(0.05mmol)を加えて35℃に加熱した後、先に調製した有機マグネシウム化合物溶液(a2−1)を添加し、35℃で1.5時間加熱攪拌した。次いで、有機マグネシウム化合物溶液(a2−2)を添加し、35℃で2時間反応させた。反応終了後、t−ブチルマグネシウムクロリドの1.0M
THF溶液2mLを加え35℃にて1時間攪拌し、次いで5M塩酸30mLを加えて室温で1時間攪拌した。この反応液をクロロホルム450mLで抽出し、有機層を重曹水100mL、蒸留水100mLの順で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮乾固した。得られた黒紫色の固体を、クロロホルムの30mLに溶かし、メタノ−ルの300mLに再沈殿し、充分に乾燥したものを、重合例3と同様に分取用GPCカラムを用いて精製することにより共役ブロック共重合体6(699mg)を得た。
【0156】
得られた共役ブロック共重合体6の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分散度(PDI)を重合例1と同様に求めた。
GPC(CHCl
3):Mn=21,100、Mw=25,100、PDI=1.19
(重合例8)
下記反応式(14)に従い共役重合体ブロックA8の合成を行った。なお、以降の反応式中、置換基である3−ヘプチルを3−HepまたはHep−3と略記する。また、以降の反応式中、置換基であるメチルをMeと略記する。
【化23】
【0157】
窒素雰囲気下、50mlのナスフラスコに共役重合体ブロックA8を構成する単量体である2,6−ビス(トリメチルスズ)−4,8−ジドデシルベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン(0.64g,0.75mmol)及び1−(4,6−ジブロモチエノ[3,4−b]チオフェン−2−イル)−2−エチルヘキサン−1−オン(0.32g,0.75mmol)と、DMF(6.2mL)、トルエン(25mL)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(9.2mg、7.8μmol)を加え、115℃で1時間30分加熱した。次に、リンカー化合物として2,5−ジブロモチオフェン(1.84g,7.6mmol)を加え、115℃で16時間加熱した。反応終了後、反応溶液を濃縮し、メタノール(500mL)に注ぎ、析出した固体を濾取し、得られた固体を減圧乾燥することで粗生成物を得た。粗生成物を、ソックスレー抽出機を用いてアセトン(200ml)、ヘキサン(200mL)で洗浄した後に、クロロホルム(200mL)で抽出した。有機層を濃縮乾固し、得られた黒紫色の固体を、クロロホルム(30mL)に溶解させ、メタノール(300mL)で再沈殿した。
【0158】
得られた共役重合体A8の精製には分取用のGPCカラムを用いて精製を行なった。精製用の装置は、Japan Analytical Industry(株)製のRecycling Preparative HPLC LC−908を用いた。なお、カラムの種類は、日本分析工業(株)製のスチレン系ポリマーカラム 2H−40及び2.5H−40を2本直列に接続したものである。また、カラム及びインジェクターは145℃とし、溶出溶媒はクロロホルムを用いた。
【0159】
数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、何れも、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)による測定に基づき、ポリスチレン換算値で求めた。
ここでは、いずれもGPC装置として、Waters製のGPC/V2000を用い、カラムとして、昭和電工製のShodex AT−G806MSの2本を直列に繋いだものを用いた。また、カラム及びインジェクターは145℃とし、溶出溶媒として、o−ジクロロベンゼンを用いた。
【0160】
得られた共役重合体ブロックA8(0.51g,86%)の重量平均分子量(Mw)は33,100、数平均分子量(Mn)は14,600、多分散度は2.27であった。
1H NMR (270MHz,CDCl3): δ =7.60‐7.30 (br、 3H),3.30‐3.00 (Br、 5H),2.00‐1.10 (br、 52H),1.00‐0.70 (br、12H)
(実施例7)
下記反応式(15)に従い共役ブロック共重合体7の合成を行った。
【化24】
【0161】
アルゴン雰囲気下、5mLフラスコに共役重合体ブロックA8(160.0mg,0.12mol)と、重合体ブロックBを構成する単量体として2,6−ビス(トリメチルスズ)−4,8−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン(113.0mg,0.16mmol)、2,6−ビス(トリメチルスズ)−4,8−ジプロピルベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン(40.9mg,0.07mmol)および1−(4,6−ジブロモチエノ[3,4−b]チオフェン−2−イル)−2−エチルヘキサン−1−オン(86.0mg,0.20mmol)を加え、DMF(0.3mL)と、トルエン(1.4mL)と、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(3.4mg,2.98μmol)とを加え、容器内をアルゴンガスで20分間バブリングした後に、110℃で10時間加熱した。反応終了後、反応溶液をメタノール(500mL)に注ぎ、析出した固体を濾取し、得られた固体を減圧乾燥することで粗生成物を得た。粗生成物を、ソックスレー抽出機を用いてアセトン(200mL)、ヘキサン(200mL)で洗浄した後に、クロロホルム(200mL)で抽出した。得られた溶液をメタノール(300mL)に注ぎ、析出した固体を濾取した後に減圧乾燥することで黒紫色の固体として共役ブロック共重合体7(221.0mg,75.4%)を得た。前記重合例8と同様の方法及び条件で、得られた共役ブロック共重合体7の精製を行った。
前記重合例8と同様の方法及び条件で、得られた共役ブロック共重合体7の理化学分析を行った。以下の理化学分析結果は、前記反応式に示される化学構造を支持する。
1H−NMR(270MHz,CDCl
3):δ=7.60−7.30(br,3H)、4.40−4.00(br,4H)、3.30−3.00(Br,4H)、2.00−0.60(br,51H)
GPC(CHCl
3):Mn=28800g/モル、Mw=86400g/モル、PDI=2.99
(実施例8)
下記反応式(16)に従い共役ブロック共重合体8の合成を行った。
【化25】
【0162】
共役重合体ブロックA8(0.59g,0.75mmol)、重合体ブロックBを構成する単量体として2,6−ビス(トリメチルスズ)−4,8−ビス(5−(2−エチルヘキシル)チオフェンー2−イル)ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン(0.68g,0.75mmol)および1−(4,6−ジブロモチエノ[3,4−b]チオフェン−2−イル)−2−エチルヘキサン−1−オン(0.32g、0.75mmol)を用いた以外は実施例7と同様の方法を用いて共役ブロック共重合体8を得た(0.48g,76%)。
【0163】
前記重合例8と同様の方法及び条件で、得られた共役ブロック共重合体8の理化学分析を行った。以下の理化学分析結果は、前記反応式に示される化学構造を支持する。
1H−NMR (270MHz, CDCl
3): δ=7.60‐7.30 (br, 8H),6.95−6.85(br,2H)、3.30‐3.00 (br, 6H)、2.85−2.75(Br,4H)、2.00‐0.60 (br, 104H)
GPC(CHCl
3):Mn=27,500g/モル、Mw=67,600g/モル、PDI=2.46
【0164】
(比較例1)
充分乾燥させたガラス製ナスフラスコAを充分にアルゴン置換した後、THF45質量部と重合触媒のNiCl2(dppp)の0.054質量部を加えた。別の乾燥したナスフラスコBに、THF29質量部と、2−ブロモー5−ヨード3−ヘキシルチオフェンの2.8質量部と、i−プロピルマグニシウムブロマイドの2.0M溶液の3.5質量部を加えて、0度で30分攪拌した。その後、反応液をナスフラスコAに加え、35℃で90分間かけて重合を行なった。その後、別の乾燥したナスフラスコCで、THF16質量部と2−ブロモー5−ヨードー3−(2−エチル)ヘキシルチオフェンの1.4質量部と、i−プロピルマグニシウムブロマイドの2.0M溶液の1.7質量部を加えて、0℃30分反応させた溶液をナスフラスコAに加え、7時間反応した。反応後、t−ブチルマグネシウムクロライドの1.0M THF溶液の4質量部を加え、1時間攪拌し、さらに5Mの塩酸の100質量部を加え、1時間攪拌し、重合を停止した。その後、クロロホルムの900質量部で抽出し、重曹水の200質量部、蒸留水の200質量部で洗浄し、濃縮乾固した。得られた黒紫色の固体を、クロロホルムの56質量部に溶かし、アセトンの600質量部に再沈殿後、充分に乾燥して共役ブロック共重合体C1[ポリマー名:ポリ(3−ヘキシルチオフェン−ブロック−3−(2−エチルヘキシル)チオフェン)](P1)を得た。
【0165】
重合例1と同様のGPC測定により、得られた共役ブロック共重合体C1の重量平均分子量は21,600、数平均分子量は17,900であった。ポリ(3−ヘキシルチオフェン)ブロックの含量は79mol%であった。
【0166】
(比較例2)
下記反応式(17)に従い共役ブロック共重合体C2の合成を行った。
【化26】
【0167】
充分に乾燥させアルゴン置換したナスフラスコAに、脱水及び過酸化物除去処理を行なったTHF21mLと、2−ブロモ−5−ヨ−ド−3−ヘキシルチオフェン1.573g(4.2mmol)と、i−プロピルマグネシウムクロリドの2.0M溶液2.1mLを加えて、0℃で30分攪拌し、有機マグネシウム化合物溶液(a3−1)を合成した。別の充分に乾燥させアルゴン置換したナスフラスコBで、脱水及び過酸化物除去処理を行なったTHF4mLと2,5−ジブロモ−3−(4,4,5,5,6,6,7,7,7−ノナフルオロヘプチル)チオフェン0.393g(0.8mmol)とt−ブチルマグネシウムクロリドの1.0M溶液0.8mLを加えて、60℃で2時間攪拌し、有機マグネシウム化合物溶液(a3−2)を合成した。
【0168】
充分に乾燥させ、アルゴン置換したナスフラスコCに、脱水及び過酸化物除去処理を行なったTHF25mLとNiCl
2(dppp)27mg(0.05mmol)を加えて35℃に加熱した後、先に調製した有機マグネシウム化合物溶液(a3−1)を添加し、35℃で1.5時間加熱攪拌した。次いで、有機マグネシウム化合物溶液(a3−2)を添加し、35℃で2時間反応させた。反応終了後、t−ブチルマグネシウムクロリドの1.0M
THF溶液2mLを加え35℃にて1時間攪拌し、次いで5M塩酸30mLを加えて室温で1時間攪拌した。この反応液をクロロホルム450mLで抽出し、有機層を重曹水100mL、蒸留水100mLの順で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮乾固した。得られた黒紫色の固体を、クロロホルムの30mLに溶かし、メタノ−ルの300mLに再沈殿し、充分に乾燥したものを、重合例3と同様に分取用GPCカラムを用いて精製することにより共役ブロック共重合体C2(721mg)を得た。
【0169】
重合例1と同様のGPC測定により、得られた共役ブロック共重合体C2の重量平均分子量(Mw)は23,400、数平均分子量(Mn)は20,800、分散度(Mw/Mn)は1.13であった。
【0170】
(比較例3)
3−ヘキシルチオフェンと3−フェノキシメチルチオフェンとのモル比が1:1のジブロック共重合体を合成し、比較例3の共役ブロック共重合体C3とした。共役ブロック共重合体C3の合成の詳細な手順は非特許文献3に従った。得られた共役ブロック共重合体C3の重量平均分子量(Mw)は22,500、数平均分子量(Mn)は19,800、分散度(Mw/Mn)は1.14であった。
【0171】
(比較例4)
3−ヘキシルチオフェンと3−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]メチルチオフェンとのモル比が1:1のジブロック共重合体を合成し、比較例4の共役ブロック共重合体C4とした。共役ブロック共重合体C4の合成の詳細な手順は非特許文献1に従った。得られた共役ブロック共重合体C4の重量平均分子量(Mw)は25,100、数平均分子量(Mn)は20,200、分散度(Mw/Mn)は1.24であった。
【0172】
(比較例5)
3−ヘキシルチオフェンとスチレンとのモル比が1:1のジブロック共重合体を合成し、比較例5の非共役ブロック共重合体C5とした。非共役ブロック共重合体C5の合成の詳細な手順は非特許文献2に従った。得られた非共役ブロック共重合体C5の重量平均分子量(Mw)は24,000、数平均分子量(Mn)は16,900、分散度(Mw/Mn)は1.42であった。
【0173】
(比較例6)
下記反応式(18)に従い共役ブロック共重合体C6の合成を行った。
【化27】
【0174】
窒素雰囲気下、100mL三口フラスコに共役重合体ブロックA4(0.80g)と共役重合体ブロックA7で示されるポリマー(0.80g)、トルエン(20mL)、2M炭酸カリウム水溶液(10mL,20mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(20.5mg,17.7μmol)、aliquat336(0.8mg,1.98μmol)を加えた後に80℃で24時間攪拌した。反応終了後、反応溶液をメタノール(200mL)に注ぎ、析出した固体を濾取し、水(20mL)、メタノール(20mL)で洗浄し、得られた固体を減圧乾燥することで粗生成物を得た。粗生成物を、ソックスレー抽出機を用いてアセトン(100mL)、ヘキサン(100mL)で洗浄した後に、クロロホルム(100mL)で抽出した。得られた溶液をメタノール(1L)に注ぎ、析出した固体を濾取した後に減圧乾燥することで黒紫色の固体として共役ブロック共重合体C6を得た(0.67g,42%)。
【0175】
重合例1と同様に、得られた共役ブロック共重合体C6の理化学分析を行った。
1H−NMR(270MHz):δ=8.12−7.96(m、4H)、7.85−7.32(m、4H)、2.74(t、J=7.58Hz、4H)、2.35−1.31(m、38H)、(m、12H)
GPC(CHCl
3):Mn=36000g/mol、Mw=80900g/mol、PDI=2.25
この理化学分析結果は、前記反応式(14)に示される化学構造を支持する。
【0176】
(比較例7)
共役重合体ブロックA1を比較例7の共役ポリマーC7とした。
【0177】
(比較例8)
共役重合体ブロックA3を比較例8の共役ポリマーC8とした。
【0178】
(比較例9)
下記反応式(19)に従い共役ポリマーC9の合成を行った。
【化28】
【0179】
窒素雰囲気下、50mlのナスフラスコに共役ポリマーC9を構成する単量体である2,6−ビス(トリメチルスズ)−4,8−ジプロピルベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン(0.45g,0.75mmol)及び1−(4,6−ジブロモチエノ[3,4−b]チオフェン−2−イル)−2−エチルヘキサン−1−オン(0.32g,0.75mmol)と、DMF(6.2mL)、クロロベンゼン(25mL)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(9.2mg、7.8μmol)を加え、135℃で1時間30分加熱した。次に、末端封止剤として2,5−ジブロモチオフェン(1.84g,7.6mmol)を加え、115℃で16時間加熱した。反応終了後、反応溶液を濃縮し、メタノール(500mL)に注ぎ、析出した固体を濾取し、得られた固体を減圧乾燥することで粗生成物を得た。粗生成物を、ソックスレー抽出機を用いてアセトン(200ml)、ヘキサン(200mL)で洗浄した後に、クロロベンゼン(200mL)で抽出した。有機層を濃縮乾固し、得られた黒紫色の固体を、クロロベンゼン(30mL)に溶解させ、メタノール(300mL)で再沈殿した。
前記重合例8と同様の方法及び条件で、得られた共役ポリマーC9(0.31g,77%)の理化学分析を行った。以下の理化学分析結果は、前記反応式に示される化学構造を支持する。
1H NMR (270MHz,CDCl3): δ =7.60‐7.30 (br、 3H),3.30‐3.00 (Br、 5H),2.00‐1.10 (br、 12H),1.00‐0.70 (br、12H)
GPC(CHCl
3):Mn=10,400g/モル、Mw=24,400g/モル、PDI=2.34
【0180】
(比較例10)
重合例8で得た共役重合体ブロックA8と比較例9で得た共役ポリマーC9とを50:50の重量分率にて混合したポリマーブレンドD1を作製した。
【0181】
(共役ブロック共重合体と電子受容性材料の混合溶液の製造)
実施例1で得られた共役ブロック共重合体1を16.0mgと電子受容性材料としてPCBM(フロンティアカーボン社製E100H)を12.8mgと溶媒としてクロロベンゼン1mLとを40℃にて6時間かけて混合した。その後、室温20℃に冷却し、孔径0.45μmのPTFEフィルターで濾過して共役ブロック共重合体とPC
61BMを含む溶液を製造した。
【0182】
実施例2、5、6及び比較例1〜5、8により得られた各重合体についても同じ方法により、PC
61BMを含む溶液を製造した。
【0183】
実施例3、4及び比較例6、7により得られた各重合体については重合体を5.0mgと電子受容性材料としてPC
61BM(フロンティアカーボン社製E100H)を20.0mgとを使用した以外は共役ブロック共重合体1と同じ方法により、重合体とPC
61BMを含む溶液を製造した。
【0184】
実施例7、8及び比較例9により得られた各重合体、及び比較例10より得られたポリマーブレンドD1については重合体を10.0mgと電子受容性材料としてPC
71BM(フロンティアカーボン社製E110)を15.0mg混合した粉末に、2.5%の体積分率にて1,8−ジヨードオクタンを混合したクロロベンゼン1mLを溶媒として添加し100℃にて6時間かけて混合した。その後、室温20℃に冷却し、孔径1.00μmのPTFEフィルターで濾過して重合体とPC
71BMを含む溶液を製造した。
【0185】
(有機太陽電池の作製、評価)
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜(抵抗値10Ω/□)を付けたガラス基板を15分間オゾンUV処理して表面処理を行った。基板上に正孔輸送層となるPEDOT:PSS水溶液(H.C.Starck社製:CLEVIOS PH500)をスピンコート法により40nmの厚さに製膜した。ホットプレートにより140℃で20分間加熱乾燥した後、次にスピンコートにより上記により製造した重合体とPC
61BMとを含む溶液又は重合体とPC
71BMとを含む溶液を塗布し、有機薄膜太陽電池の有機光電変換層(膜厚約100nm)を得た。3時間真空乾燥した後、実施例1、2、5、6及び比較例1〜5、8に関しては120℃30分の熱アニールを施した。その後、真空蒸着機によりフッ化リチウムを膜厚1nmで蒸着し、次いでアルミニウムを膜厚100nmで蒸着した。蒸着のときの真空度は、すべて2×10
-4Pa以下であった。これにより共役ブロック共重合体による光電変換素子である有機薄膜太陽電池が得られた。有機薄膜太陽電池の形状は5×5mmの正四角形であった。
【0186】
(光電変換効率及び溶解度パラメーターの測定)
得られた各実施例、比較例の有機薄膜太陽電池の光電変換効率を300Wのソーラシミュレーター(ペクセルテクノロジー社製、商品名PEC L11:AM1.5Gフィルター、放射照度100mW/cm
2)で測定した。その測定結果を表1、表2及び表3に示す。また、各実施例の共役ブロック共重合体を構成する各重合体ブロックの溶解度パラメーターは、Bicerano法にてコンピューターソフトウェアScigress Explorer Professional 7.6.0.52 (富士通製)を用いて計算した。各比較例の重合体についても同様の方法により溶解度パラメーターを測定した。結果を併せて表1〜3に示す。
【0187】
表1(実施例1〜4)、表2(実施例5〜8)、表3(比較例1〜5)、表4(比較例6〜10)には、共役ブロック共重合体を構成する共役重合体ブロックの構造、共役重合体ブロックの溶解度パラメーター(SP値)、SP値の差、及び有機薄膜太陽電池の光電変換効率を示した。また、共役ブロック共重合体を構成する共役重合体ブロックのうち、最大値の溶解度パラメーターを有する共役重合体ブロックを共役重合体ブロックA、最小値の溶解度パラメーターを有する共役重合体ブロックを共役重合体ブロックBとして示す。尚、比較例10にて得られたポリマーブレンドD1については、ブレンドした各ホモポリマーのSP値の差を表中に示した。
【0188】
【表1】
【0189】
【表2】
【0190】
【表3】
【0191】
【表4】
【0192】
評価からわかるように各ブロックを構成する共役重合体ブロックの溶解度パラメーターのうち、最大値(ポリマーブロックA)と最小値(ポリマーブロックB)の差が0.6以上2.0以下である本発明の共役ブロック共重合体を用い有機薄膜太陽電池は、従来の共役ブロック共重合体と比較して高い変換効率であることがわかる。
【0193】
実施例1と比較例7、8との比較、さらに実施例7、8と比較例9との比較により共役ブロック共重合体が、単独単量体単位からなる共役ポリマー(共役ホモポリマー)より変換効率が高いことがわかる。実施例1及び2では主鎖の二価の複素環基を変えることで溶解度パラメーターを調整し、好ましい共役ブロック共重合体を合成することができることがわかる。側鎖の長さを変えることで(実施例3)、または側鎖に結合するフッ素原子の数を適切に選ぶことで(実施例4、6)、各重合体ブロックが好ましい溶解度パラメーター差を持つ共役ブロック共重合体を合成することができることがわかる。また水酸基を側鎖に結合させることでも溶解度パラメーターを適切に調整することができることがわかる(実施例5)。実施例5及び7より、重合体ブロックAまたはBはランダム共重合体からなる重合体ブロックであってもよいことがわかる。
【0194】
一方、比較例1、2、3及び6から各ブロックを構成する共役重合体ブロックの溶解度パラメーターのうち、最大値(共役重合体ブロックA)と最小値(共役重合体ブロックB)の差が0.6以上2.0以下の範囲でなければ高い変換効率が得られないことがわかる。溶解度パラメーターの差が本発明の規定範囲内であっても、フッ素原子及び水酸基以外の官能基で置換されたアルキル基を側鎖に有する比較例4及び非共役重合体ブロックを、主として含むブロック共重合体である比較例5は変換効率が低いことがわかる。また、比較例10より溶解度パラメーターの差が0.6以上2.0以下のポリマーをブレンドしたポリマーブレンドであっても本発明の共役ブロック共重合体のような優れた変換効率は出ないことがわかる。